インフィニット・ストラトス リビルドワールド   作:しびれあくせる

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速過ぎる時の瞬きに晒されて

「でぃええええええいっ!!!」

撃たれる弾丸を装甲の厚さを盾に弾きつつ、鈴の道老龍が流星の如く駆ける。

たとえ零落白夜が一撃必殺の性能をもっていようとも、槍の間合いには及ばず触れる事叶わない。

3機の白式改が襲い掛かろうとも速度と射程距離で優位に立つ道老龍は、マドカに似た少女達を文字通り千切っては投げ、千切っては投げの大奮戦をしていた。

狙うは本体ではなく武装、雷公鞭のビームソードモードは零落白夜より柄の分長いため、発生源である雪片弐型を擦れ違いざま軽々と破壊していく。

そのスピード、雲鷹の如く。

急発進・急加速・急制動を繰り返し、次々とターゲットを変えて螺旋運動を繰り返す道老龍は、もはや無双の強さを発揮していた。

 

「なんだ、このISは・・・!?」

「ここまでの機動はデータに無いぞ!?」

「進化し続けるあたしにっ!データなんて意味あるかっ!!」

 

事実、専用機チームバトルが開始する前と後では鈴の実力は段違いに上がっている。

それというのも箒との決戦、セシリアとの激闘、レティシアの戦いに影響された事で、知らず彼女のエクシードとしての能力が急上昇しているのである。

これまでは未来予知や感応力に大きく振られていたその力が、ISとの適合力向上にもその指針を向けられたのだ。

ラウラの測定不能には及ばないものの、その適合力は120%。

十二分にSランクと判断して良いものだ。

これはエクシードとしての能力としては破格、最強格と呼んで差し支えない。

幸か不幸か、それを知る者が自身も含めて誰もいないのであるが。

 

バリアを貫通し、反則級とも思われた零落白夜も、当たらなければ意味は無い。

その武装自体を狙われ、無力化されたところでコアを破壊され、3人まとめて鈴に抱えられてしまう織斑の少女達。

 

「くそっ!こんなバカなっ!」

「は、離せっ!このぉっ!・・・ひっ!?」

 

両腕いっぱいに三人を抱える鈴へと野次を飛ばす彼女達はしかし、自分達もろとも撃ってくる仲間からの銃撃に身を縮こまらせる。

その様子を見て意地悪い笑みを浮かべてやる鈴。

「なぁに?怖い?」

「こ、怖くなどあるかっ!」

「貴様などと違って、こちらは使命のためなら・・・!」

「あっそ。そりゃ結構なこと」

少し乱暴な軌道で回避しつつ、他の織斑達―――エレンとナユタがいる天蓋へと放り出された三人は、悔し気に鈴を見上げる。

 

「あたしは怖いわよ。怖いけど戦うの、大切なもののために」

 

言い捨てる様に言うだけ言って、残った敵へと向かう道老龍。

それを見送った少女達は、困惑気味につぶやいた。

「・・・怖い?怖いだと?恐怖を感じる輩に負けたというのか!?」

「き、きっと機体性能の差だ!でなければ、我々織斑がこんな簡単に・・・!」

「しかし、出撃前のデータでは・・・」

未知の状況に狼狽する三人の少女へと、マドカと戦闘して敗北した二人、エレンとナユタが歩み寄っていく。

「アスカ、コルデ、ヒルダ」

それぞれがアルファベットのA、K、Hを示す名前。

彼女達は、先に墜とされたエレン達を咎める事も出来ず、歯軋りしつつ問う。

「マドカは・・・何と言っていた」

「我々を侮辱していたのではないのか?」

「いや、我々を止めたいと、我々を守りたいと言っていた」

「理解できん!」

癇癪を起こす少女達。無理もない。

マドカ自身ですら、二カ月前までは彼女達と同じく、戦うこと以外の価値観を知らなかったのだから。

 

「ただ・・・今は見守ろうと思う。マドカの戦いを」

「ナユタ」

「そうか、お前はN・・・M(マドカ)とは一番付き合いが長かったな」

 

ナユタは頷く。

もしも、マドカが織斑として生まれた自分達へ、何かを示そうとしているのなら。

答えを出すのは、それからでも遅くはないだろう。

 

 

========================

 

 

モルドスライム相手にビームが逆効果である事はセシリアもシャルロットもよく知っている。

先刻まであれほどいがみ合っていた二人であったが、今は非常に練度の高いコンビネーションにてモルドスライムたちを追い詰めていた。

セシリアがレーザーで穴をあけて、そこへシャルロットが実弾を大量に叩き込む。

コアと操者の正確な位置を簪が教えてくれるからこその荒業であるが、その狙いもタイミングも寸分の狂いもない。

タッグトーナメントで名を馳せたチーム【シャル・ウィ・ダンス】の再結成。

全力でのタイマンを経て更に強まった絆、というより色々とぶっちゃけ合って心に土足で踏み込み合った結果、より仲良くなったというわけであるのだが。

 

ともあれ、爆破四散したモルドスライムが露出させたコアを正確に撃ち抜き、現状は全滅させたセシリアとシャルロットは、これ以上モルドスライムが誕生しない戦い方をする刀奈たちへと視線を向ける。

「なんとかなりそうだね!」

「ですわね!わたくしたちもあちらを手伝いますわよ!」

「了解っ!・・・っ、あれは!?」

いくらか粘液の様な破片が飛び散っているが、それでもモルドスライムが居なくなり広々と感じられるスタジアムのグラウンド上に、数名の男が上がり込んできた。

 

執事風の男、白スーツの双子、フード付きコートの男。

 

戦闘中の領域に生身で踏み込む彼らを一般人とは思えないが、迷い込んだ来賓であるという可能性も否めない。

「簪さん、人がグラウンド上にっ!」

「えっ・・・!?」

判断を仰ぐべく簪へと報告するセシリア。

簪はそれを受けて望遠モードで彼らを視認する―――と。

 

「・・・鶴守くん、織斑くん・・・!?」

 

「えっ!?」

「そんな・・・!?」

「一夏!?こんなところで何してんの!?」

鈴を含め、思わず漏れた彼女達の声が聞こえたのか、青い織斑はこめかみに青筋を立てて怒りを露にする。

「あ?テメェら、誰と勘違いしてやがる!?」

「落ち着け億春(おくはる)。すぐに奴らも誰が本当の織斑か理解する事になる」

宥める赤い織斑は、空に浮いているセシリアたちを見上げるとふっと笑い、

「丁度いい、あいつらを殺しがてら身体を温めるとしようか」

「そいつはいい!文句ねぇよな、アドルフ!」

「ええ、存分に雑魚散らしを満喫してください」

困惑するIS学園生徒達を前に、織斑一族と思われる二人はアンプル容器を首へ突き刺すと、ゆっくりと中の溶剤を注入していく。

そして空となった容器を投げ捨てると、左腕のガントレット状の何か(・・)を掲げ、高らかに―――喚ぶ。

 

「終わらせてやろう―――ホワイト・テイル」

「全てを壊せ、ホワイト・ブレス!!」

 

白き閃光が迸る。

女性しか身に纏えない筈のインフィニット・ストラトスが発動し、発現し、彼らの全身へと纏われていく。

 

赤い織斑の白い物語(ホワイト・テイル)は白式を正当進化させたようなデザイン、先端に刃の備えられた尻尾、両腕に装着された手甲には展開装甲(シームレスシフト)が組み込まれており、荷電粒子砲と零落白夜によるクローやシールドを任意に発現出来るものだ。

大型のウイングからはミラージュ・サインという幻影を生み出すナノマシンを放出出来、その飛行速度は白虎や道老龍に勝るとも劣らない。

 

億春と呼ばれた青い織斑は白い吐息(ホワイト・ブレス)

こちらは白騎士を意識されたデザインであるが中身は最先端を往く。

ホワイト・テイルとは逆に装甲厚くパワー重視のセッティングがされており、薙刀、ハンマー、扇、拳鍔、双刀、そしてビームサーベルと、数々の零落白夜を発動できる武装を拡張領域から取り出せるようになっている。

目を引くのは右肩側から大きく伸びる、零落白夜のビームを放てるキャノン砲であろう。

近づいても、遠距離でも零落白夜を飛ばせる、悪夢のような機体である。

 

「そんな、ばかな・・・!?」

たじろぐ簪。

衝撃に瞳孔を小さくする刀奈。

忍も、マドカも、あろうことかスコールすらも驚きに手を止め、彼ら織斑へと見入ってしまう。

「あ、あいつらは、一体・・・!?」

「・・・クソが。もう男でもISが使える手段を用意してやがったか」

「何ですって・・・!?エデンがそんな技術を持っていたなんて、聞いていないわ!」

らしくもなく狼狽し、眼下に見えるアドルフへと声を荒げるスコール。

「どういう事、アドルフ!エデンは亡国機業への技術提供を惜しまないのではなかったの!?」

「我々とあなた方はあくまで協力関係です。全てを開示するわけがないでしょう」

「いけしゃあしゃあとよくも・・・!」

怒りを露にするスコールだが、その隙を狙ってジョーカーのドリルがゴールデン・ドーンの左腕を抉り飛ばす。

 

「っ!クソッ・・・!」

「悪いがてめえの相手をしている暇はなくなった。速攻で終わらせるぞ」

「何を言っている!」

「あいつらはやべえ。見て分かんねえのか」

左ドリルフックから流れる様な右ボディブロー、膝蹴りから左腕での打ち下ろし、右アッパー。

目にも止まらぬコンビネーションで打ちのめされたスコールは、フィニッシュで放たれた左のドリルストレートで貫かれるのだけはどうにか回避して天蓋を転がっていく。

「ハァ・・・ハァ・・・!」

ところどころダメージの痕が残るジョーカーではあるが、いまの連撃でゴールデン・ドーンは致命傷寸前だ。

ここまで互角だった忍とスコールの戦いも、終わりが見えてきた。

 

「ケリをつけるぜ」

 

腰を落とし、細かくフットワークを刻みながら踏み込むジョーカー。

餌を駆る百舌のように鋭い拳は音速を超えて黄金の鎧へとクレーターを刻み、電光を纏った回し蹴りが三日月のような弧を描いてスコールの脇腹へと突き刺さる。

「グゥッ・・・!」

こみ上げる嘔吐を堪えながらスコールはほとんどゼロ距離から火球を放ち、その灼熱はジョーカーの肩装甲を溶解させて後方へと飛んでいく。

忍の目の良さが無ければ熱の精製から発射までの速度に対応できず真正面から直撃を食らってしまっただろうがしかし、右肩に大きなダメージを食らいながらも黒い颶風は止まらない。

 

火球発射直後のゴールデン・ドーンの左肩発射口へと右腕を捻じ込み、内部基板を握り潰して引き千切りながら抜き放つ。

舌打ちしながら放たれた右肩からの火球には、迎え撃つように左腕のドリルを叩き込み、一点から後方へと発生する高速回転の渦によって火球は熱を撒き散らしながら霧散していく。

散り散りになった熱はジョーカーの黒い装甲を点々と溶解させていくが、溶けた液体金属ドリルの中からはマニュピレータが顔を出し、右肩同様に火球発射口を力任せに内部から破壊する。

 

「気に入らないわ・・・!なんて青臭い戦法を!」

「てめえが老けすぎなんだよ」

 

忍が勝負を急いだというのもあるが、スコールの言う通りダメージを度外視しての戦い方はあまりにも考えなしで、彼女の目には若すぎる・・・青臭く映る事だろう。

事実、忍ほどの戦闘経験があればもっと老獪に、手練手管を尽くしてダメージ少なく済ませる事は出来たかもしれない。

 

だが彼はそうしなかった。

彼もまた、綾や一夏、ボゥイやマドカを見てきた大人の一人だ。

 

あの真っ直ぐで青臭い少年達を見てきて―――触発されないほど忍の心は老いてはいない。

蘇る若き日の記憶、夢を信じてきたあの頃。

それを再燃させるには十分な学園での日々。

立場が立場であれば、彼もまたIS学園に生徒として通った世界があったかもしれない。

それほどに。

 

架神 忍はクールなハートに熱き炎を灯した男なのだ。

 

「クソッ!」

 

捨て台詞一つ、スコールは残った炎の鞭の出力を上げて暴走状態とし、それを切り離して炎の壁を作り出し、後方へと全速力でバックブーストした。

距離を取るのではない。

逃亡だ。

 

「今日のところは引き上げるわ・・・次はこうはいかないわよ、架神 忍」

「・・・ふん」

 

忍は追う事無く、あっという間に戦闘圏を離脱していくゴールデン・ドーンを見送った。

自述した通り、今は新たに現れた敵を放っておくわけにはいかない。

傷だらけの装甲とところどころ機能不全を起こしている肉体を引き摺りながら、忍は煙草を一服吸いたいのを堪えて敵を振り返った。

 

 

========================

 

 

残った白式改の数もそこそこに、鈴は踵を返して織斑の二人の元へと移動し、そのISと顔立ちを見て愕然とする。

「一夏じゃない・・・しかも、二人?あんた、一体なんなのよ!?」

「あ?誰だこいつ?」

眉をしかめる億春へと、ホワイト・テイルを纏った赤い織斑は皮肉気に笑う。

「凰 鈴音。織斑 一夏の幼馴染で、中国代表候補生だな」

簡素なプロフィールを口にした彼は、優しく微笑むと鈴と、背後にいるセシリアやシャルロットへと名乗る。

 

「初めまして、俺の名前は織斑 京秋(けいしゅう)一夏(あいつ)と同じく、織斑計画で生まれた遺伝子改良チルドレンさ。こっちは弟の億春」

 

織斑 京秋と名乗った男は、懐っこくも爽やかな笑顔で鈴へ接する。

一夏と寸分違わぬその顔立ちに、笑い顔に、思わず動揺してしまう鈴。

「俺と億春は織斑 千冬のコピーとして生まれたシリーズの中でも抜群に出来が良くてね。今はエデンの中枢に関わる仕事をしているよ」

「そこにいるクズ共と違って俺達は男だからな。生まれ持ったスペックが違うんだよ」

エレンやナユタたち、生き残ったシリーズたちを指差して嘲笑う億春。

どうやら見た目が同じでも、京秋よりも億春の方が荒々しい性格のようだ。

打って変わって年相応の兄貴分といった京秋は億春を軽く小突くと、

「こら、億春。あまり挑発するなよ。・・・悪いね、弟が口悪くて」

「・・・あんたたち、何が目的なの?」

京秋の謝罪には答えず、鈴は警戒を解かずに問う。

彼女のエクシードとしての勘が語っているのだ、この男はヤバい。

好戦的な億春よりも、心の中のどす黒い悪意を抑え込んでいる京秋の方が、よほど。

 

それはセシリアも、エクシードではないシャルロットでも感じ取れた。

億春は少なくとも彼女達を敵として見ているが、京秋は人間として見ていない。

実験動物か、はたまた農場の家畜か。

そのように思われているだろう気配を感じ取ったのか、京秋は肩をすくめると、

「やれやれ、やっぱり女を口説くのは難しいな。目的だって?そんなの、織斑 一夏を殺す事に決まってるだろ?」

「なんですって・・・!?」

「どうして一夏を狙うの!?」

シャルロットの問いかけに意外そうな顔をした京秋は、くすりと笑って回答する。

 

「だって、羨ましいじゃないか」

 

軽く、たったそれだけの理由で殺意を滲ませる京秋に、ごくりと唾を飲む鈴たち。

「別に俺はね、自分と同じ顔の人間がいてもいいと思うんだ。俺の場合、そんな事を言い出したらキリがないしね。けど、織斑 一夏、あいつだけは心から許せない」

「だから・・・どうして!」

「同じきょうだいでありながら、あいつだけ千冬姉に愛されてる。あいつだけ普通に学校へ通って、君達と心を通わせて、青春したり、恋愛したりと自由にやっている。許せると思うかい?あいつは俺や億春と同じ顔をしながら能力的には低ランクだ。弱い代わりに愛されるなんて、図々しいと思わないかい?俺達がこんなに必死に、それこそ命を賭けて成績を残して、今の立場を確立させたのにさ」

持論を展開させながら、京秋は笑う。

笑いながら、怒る。

 

「俺があいつなら、もっと千冬姉の力になれたのに。どうしてあいつだったんだろうな。君達は一夏が好きなのかな?なら俺の方がもっと相応しかったはずだ。そう―――俺なら、もっと上手く織斑一夏(・・・・)でいられたんだ」

「ふっざけんじゃないわよ!!」

 

当然、鈴も怒る。

誰よりも優しい、誰よりも素直な、誰よりも大好きなあの少年を侮辱され。

黙って聞いていられる凰 鈴音ではない。

軟槍・打神鞭を構え、よく回る口を潰さんと闘志を燃やしつつ、鈴は叫ぶ。

 

「あんたなんか一夏じゃない!あんたみたいな黒くて粘っこい奴が一夏なはずがない!あたしが好きなのは、千冬さんが大事にしてるのは、あんたなんかじゃない!!」

「知っているさ。俺が歪んでいる事くらい―――こうなる前に、千冬姉に愛されたかったけどもう無理なんだろうな。けど、だからさ」

 

構えもせず、京秋は・・・一夏と同じ顔で、嗤う。

 

「だからせめて、憎たらしい一夏(あいつ)を殺したって、バチは当たらないだろう?」

「もう、黙れっ――――!!」

 

勢いよくバーニアを吹かし、鈴が特攻する。

それに合わせてセシリアとシャルロットがガトリングで援護射撃を行う。

三人の表情に浮かんでいるのは紛れもない怒り、友を、仲間を罵られた憤りの色だ。

乱れ飛ぶ弾丸をジグザグな飛行でかわす京秋、その土手っ腹へ向け下方向から槍を振るう鈴。

油断しきった京秋はそれをかわすことなく、しかし、その間に割り込んだ億春が力任せに軟槍の先端を受け止める方が早かった。

 

「!?あたしの槍を・・・!?」

「ハハッ!もういいだろ兄貴!こいつ等やっちまおうぜ!」

「いいぞ、思い切り嬲って一夏の前に晒してやろう」

 

槍を引き寄せ、その顔面を殴り飛ばす億春。

バリアスキンや絶対防御の恩恵があっても吹き出してきた鼻血を止める暇なく、億春は先端に零落白夜を纏うハンマーを手に、鈴へと振り下ろす。

「このっ・・・!」

咄嗟の判断で硬槍・雷公鞭でどうにか受け止めるも、触れればアウトな上に防げば爆発的な衝撃が襲いくるその一撃に大きく吹き飛ばされる鈴。

「きゃああああ!!」

「鈴っ!」

アリーナのバリアへと激突する鈴を見送るしかなかったセシリアは、億春のホワイト・ブレスへむけレーザーライフルのトリガーを引く、も。

その銃身を京秋の左腕から発射された荷電粒子砲が撃ち抜く方が早く。

「なっ・・・!」

「いちいち動きがスローだね、君達は」

「わたくしが遅いですって・・・!?」

挑発に乗り、接近戦用ビット・サジタリウスとレーザービット・ブルー・ティアーズを差し向けるセシリア。

前後左右から狙いを定めてくるそれらを目で追った京秋は、不敵な笑顔と共に両腕から零落白夜を発動させると、まるでアスレチックのコースを楽しむようにサジタリウスを踏み台にして、目の前のレーザービットを切り裂いて撃破。

あまりに鮮やかで洗練された動きに言葉も出ないセシリア。

「ほうら、スローリィ」

「セシリアっ!」

 

逃げつつ追加のビットを放つセシリアの援護にバズーカを発射するシャルロット。

その弾丸は投げ放たれた億春のビームファンにて墜とされ、次なる獲物として選ばれたシャルロットはぞわりと背筋を震わせた。

「俺とも遊んでくれよ、なぁ!?」

「くっ!!」

パワー自慢の億春のハンマーの一撃を、ガーデン・カーテンで防ぐシャルロット。

ツインドライブ搭載機のフェニックス・リヴァイヴなら、ホワイト・ブレスの力にも押し負けはしない―――鈴のように吹き飛ばされず、その場に踏みとどまるシャルロットだが。

「はっはァ!脆いんだよ、女ぁ!!」

ハンマーとは逆側の手から伸びる薙刀の一撃に、言う通り粘土細工のように脚部が斬り墜とされてしまうフェニックス・リヴァイヴ。

装甲の厚さならトップクラスの機体をここまで簡単に切り裂くなんて―――改めて、零落白夜の威力を感じるシャルロットは、目潰しがてら火炎放射器をセットして億春の顔面へと放出する。

 

「小細工が!ぬっ!?」

ものともせずに炎の中から抜け出てくる億春だったが、その目前にスプレー缶のような物体があることに気付く。

「バイザーっ!!」

「遅いっ!!」

億春が眼球保護用のバイザーを展開させるかさせないか、ギリギリのタイミングでフラッシュバンが炸裂する。

視界全てがホワイトアウトするほどの閃光と耳障りな音響をどうにか防いだ億春は、すこし目がくらんだ様子であるが感覚でシャルロットを追い続ける。

「少しはやるじゃねぇか!もっと楽しませてくれよ!」

「じゃあ存分に味わって・・・よっ!」

隙が出来た億春からイグニッションブーストで距離を取るシャルロットは、慣性はそのままに振り返りつつ、バスター・キャノンを展開。

その破壊的な粒子の奔流をホワイト・ブレスへと放出する。

うっすらとシャルロットの姿を確認した億春は舌なめずり一つ、右肩上から大型のキャノン砲を装備すると、照準もそこそこに撃ち返す。

 

「舐めんなオラぁ!!」

 

放たれるのは零落白夜の弾丸、それがバスター・キャノンの粒子弾とぶつかり合い、拮抗してそのまま消失するのを見て、シャルロットは愕然とする。

「あのタイミングで撃ったバスター・キャノンと、相打ち・・・!?」

「ボーっとするには早ぇぞ、いくぜぇ!!」

遺伝子改良チルドレンらしい再生能力ですぐに視界を回復させた億春は、シャルロットを追ってイグニッションブースト。

再度発射されたバスター・キャノンをまたも相殺し、今度は拳鍔―――ナックルガードを装備して殴りかかる億春。

「そう来るのなら・・・!」

対してシャルロットは、両腕にバックラー、その下にパイルバンカー・デュランダルを装備して拳撃に真っ向から受けて立つ。

盾で殴り合うと見せかけてバンカーで貫く、その算段でフェイントを織り交ぜながら撃ち合い、億春の大振りに合わせてバックラーを炸薬でパージ、クロスカウンターの要領でフェイスガードを狙って左腕を突き出す―――。

 

「甘ぇ!!」

 

が、バンカーは打ち込む前に、いつの間にか顕現させていた短刀で切り裂かれ、焦ったシャルロットはいち早く体勢を立て直した億春のボディブローによって吹き飛ばされ、鈴同様にアリーナのバリアと衝突してしまう。

「かはっ・・・!」

どうにかガーデン・カーテンで防いだことにより意識を刈り取られる事はなかったが、それを差し引いてもこの威力。

ハンマーと拳打だけで表面が折れひしゃげたガーデン・カーテンを見て、白土の上へと着地したシャルロットは息を荒くしながら上を見上げる。

(なんて奴だ、全然隙が無い!こんな相手・・・初めてだ!)

気持ちで圧されながらも、負けじと空を仰いでいたシャルロットは、その目に映す。

 

鈴が、自分の親友が、IS学園最高峰のエクシードが。

京秋の手によって切り裂かれ、道老龍を解除される様を。

 

 




こーこーにあーるからー!

順調に勝ち進んできたのに一気に巻き返されちゃう絶望感よ。

二次創作だとオリジナル織斑って一秋くらいしか見ないなー、もっと自由にやっていいのになーとか思ってましたので。

桁すっ飛ばして億とかでいいじゃん!とか思っての億春と京秋。
まぁ、ジョジョっぽい名前になっちゃったなとは思いますが。(たまに【おくやす】って打ち込む)
どうしてこうなった。。。
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