インフィニット・ストラトス リビルドワールド   作:しびれあくせる

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ボゥイと箒は戦意喪失中。。。


誰かの傷ついた心が

周 宇泽(チョウ ユゥゼァ)と呼ばれていた自分には顔が無かった。

事故で顔が判別できない程に潰れてしまい、包帯まみれの顔の中身は、だれも知らなかった。

そうだ・・・あまりに虚無過ぎる生活の中で忘れていた。

 

オレは、まわりがそう呼ぶから自分を周 宇泽(チョウ ユゥゼァ)だと思っていたし。

自分に顔が無い事だって、当たり前の事だと思っていたし。

過去や親の顔を思い出せない事だって・・・辛いからと避けていたんだ。

 

何という事だろう。

あいつの言う通り、オレは・・・本当は何者でもなくて。

名無しの、存在する意味のない、空っぽの・・・人間でも、インフィニット・ストラトスでもない。

 

オレは。

誰なんだ。

 

 

========================

 

 

呆然自失のボゥイを庇いに入った刀奈は、即座に目の前から向かい来るISの異様さに気付く。

悪魔のような外見もそうであるのだが、挙動のいちいちが隙だらけなのだ。

ただし、戦いの素人ゆえの隙ではなく―――どこからでも撃ってこいとでも言わんばかりの余裕とでも言うべきか。

目立つ装備は片手に持つ大剣と、背部スタビライザーのみ。

フルスキンゆえの防御力に自信はあるのだろうが、果たしてそれだけであろうか。

 

「ボゥイ君っ!ボゥイっ!しっかりして、こら!」

リベリオンの肩を揺らすニルヴァーナ・・・レティシア。

だが、ボゥイはろくに反応する事無く、ただ仮面の下から虚空を眺めるだけだ。

やはりここであの赤黒いISを迎え撃つしかないか。

決意と共に蒼流旋を構える刀奈へと、アモン―――宇泽(ユゥゼァ)が迫る。

宇泽はアモンのマスククラッシャー同様、口元を歪めると刀奈へと問う。

 

「おまえは、そいつの女か?」

「ち、ちがっ!そ、そうだといいけど、今は違うわよっ!」

「どちらにしろ好意的なら無惨に殺してそいつの前で吊るしてやる!」

「や―――やれるもんならやってみなさいなっ!!」

 

己の残虐性を隠さない宇泽の挑発を受け、刀奈はガトリングを掃射。

避ける事無く正面から挑むアモンは、大振りの大剣で薙ぎ払う。

余裕で躱す刀奈―――上方向からランスで刺突を試みる、が。

「シャアッ!!」

瞬間、アモンの背中にある六本のスタビライザーが意志を持っているかのように刀奈の腹部を狙って伸びる。

(そういう事っ・・・!)

獲った、と思わせてこうして狩るのがアモンの常套手段なのだろう、最初から警戒していた刀奈はランスの動きを止めるとマニューバ機動で回避しながら敵の背後へと飛びやり過ごす。

刀奈のスカーレイディを追って向きを変えるスタビライザーの皮を被った棘。

その長さは10メートルを過ぎてもまだ長さを変えて、触手のようにどこまでも刀奈を追う。

「くっ、このっ!」

振り返りながらブレードチャクラムを振り回して迎撃、ワイヤーで逆にスタビライザーを絡め捕り動きを封じると、今度は縛られた棘から灼熱の炎が吹き上がる。

「二段構え・・・!?」

高熱は数トンの重圧にも耐えうるワイヤーを容易く溶解させ、纏まったまま螺旋を描いてスカーレイディ・Rへと迫る。

 

後方へブーストしながらランスを振って逃れる刀奈、そこへアモンは大剣の鍔にある蝙蝠の羽状の装飾を剥ぎ取ると、ブーメランよろしく投げ飛ばした。

楕円の軌跡を描きながらスカーレイディの装甲を掠めたそれにより、バランスを崩して肩部装甲を貫かれる刀奈。

「きゃあっ!!」

悲鳴と共に弾かれる刀奈の全身を、今度は縛り付ける様に絡みついた触手上の棘は生身なら簡単に圧殺されてしまうほどの絞圧で搾り上げる。

「あ、ぐっ・・・!」

「マントちゃんっ!」

そこへ、刀奈の名前を知らないレティシアがカットに入る。

自慢のエレキギターでハードロックをかき鳴らしながら、ビット六基を差し向けてブレードモードで切断を試みる。

だが、斬れない。

強力なビームの刃を通さないスタビライザーに愕然とするレティシアへ、アモンは突きの体勢でブーストする。

 

「おまえもそいつの仲間だな!」

「保護者よっ!」

「なら殺し甲斐がある!!」

 

勢いよく突き出された大剣は中央で真っ二つに割れると、大鋏のようになってニルヴァーナを断ち切ろうと咢を開く。

後方宙返りして回避するレティシアだが、アモンのブーストの鋭さに距離を取る事が出来ずに段々と壁際へと追いやられていく。

「ネヴァーマインドっ!!」

刀奈のフォローに回さず残っていたバーニアビットでアモンへ集点ビームの嵐を見舞うレティシアであったが、その黒い装甲には傷一つ付けられない。

「全然効かないのはショックだね・・・!」

「技術がおまえたちなら素材の有利はエデンだ!こっちは高精度な装甲を使用出来ているんだよ!!」

宇泽の言葉に、科学者でもあるレティシアはなるほどと素直に理解する。

自分の知っている限りの素材であれば大破までいかずとも少しはダメージを与えられる筈だ。

通用しないという事は、大量の鉱山から作られた様々な合金がISに施されているのだろう。

それこそ、レティシアや豪すら知らない素材が。

 

目の前の敵の対処で精一杯なレティシア。

必然、刀奈は自力でこの窮地から脱出せねばならなくなる。

「くっ、のっ、このまま絞め殺されてたまるもんですか・・・!」

身をよじって抜け出そうとするも絡みつく合金製の触手はびくともせず、むしろもがけばもがくほど食い込み、血流すら阻害していく。

あわやチアノーゼ寸前といったところで、刀奈の目の前に螺旋をえがく剣が振り下ろされて首を絞めつけていたスタビライザーが破壊された。

 

架神 忍のジョーカーが、左腕のドリルで削り切ったのだ。

「た、助かったわ、架神先生っ・・・!」

「ふん。てめえが死んだら簪が泣くだろうが」

「なにそのツンデレみたいな・・・」

「黙って助けられてろ」

 

歯医者を連想させる耳障りな音を立てながら次々と触手を粉砕していく忍に気付き、宇泽はレティシアを攻める手を止めて振り返る。

「おまえは・・・」

「関係ねえ。他を当たれ」

「そうか」

ボゥイの関係者ではない事が分かるとまたレティシアへの攻撃を再開する宇泽。

焦り気味に忍へと食いつく刀奈。

「ちょ、ちょっと!手伝ってくれないんですか先生!?」

「悪いが手一杯だ。それとも、てめえがあっちの織斑の相手をするか?」

刀奈を捕らえていた触手全てを破壊したジョーカーがくい、とホワイト・テイルとホワイト・ブレスを指差す。

 

あちらは零落白夜持ちだ。

全身装甲でサイボーグの肉体を持っている忍ならまだしも、他のISなら一発当たっただけで意識を刈り取られてアウトだ。

そういう相性の意味では、確かに忍が一夏の援護に行った方が効率が良い。

 

「・・・こっちで頑張ります」

「もう捕まんなよ。助けるのが面倒だからな」

(助けてはくれるのね)

王道なツンデレをかまして一夏の方へと向かっていく忍。

確認すれば、亡国機業のリーダーと思わしき女性がスタジアムの天蓋で気を失って倒れ伏している。

ならば、指揮系統を失った白式改はマドカとミーア、ダーシャに任せれば良いはずだ。

「もうひと踏ん張り・・・頑張れ、私!頑張って、ボゥイ君っ!」

気合一発、アモンと競り合うニルヴァーナへとバーニアを吹かす刀奈。

いま、彼を助けられるのは自分達しかいない。

その矜持が、ゼロから己を作り始めた刀奈のモチベーションに繋がっていた。

 

 

========================

 

 

アドルフのIS、ゲーティアは豪の製作した四獣を解析、研究して製作された機体である。

言ってみれば青龍(アマデウス)の攻撃力、白虎のスピード、朱雀の汎用性、玄武(ガーベラ)の防御力を全て持ち合わせるにはどうすれば良いか。

これがその回答だとばかりに、完成したのが継ぎ接ぎのようなバランスの悪いISであった。

零落白夜を放出できる二門のビームマシンガン、両腕の大型パイルバンカー、スラスターを兼ねる大型荷電粒子砲という武装。

脚部にウイングスラスターユニット、高背部に巨大な粒子ウイングで無理矢理高速移動を可能とし、胸部には全方のみであるが防御が可能となるバリアフィールド発生装置を組み込んである。

距離を選ばず、決定的な攻撃力と防御力を保ちつつ、凄まじいスピードで動く。

これだけ聞けば無敵の機体であるかのように聞こえるが、実際には重すぎて、エネルギー消費が激しすぎて、扱いがピーキーすぎてまともに操縦出来る人間などまずいない。

 

だが、まともに操縦できる人間がいた場合はどうだろうか。

 

上半身を白、インナーを黒、下半身を赤、武装を青に染めたハイパワーかつ高純度装甲の機体は、アドルフによる高精度な操縦技術によって、ラウラをも圧倒しつつあった。

「くっ―――やるな、我が弟ながら・・・!」

速度の出かかりは遅いものの、加速が始まると圧倒的な速度で回り込み、制動から再発進までのタイミングを絶妙に見極める。

遠距離戦闘の荷電粒子砲は威力のわりに命中精度も高く、近づけばパイルバンカーが牙を向く。

同じく距離を選ばず防御主体で動けるシュヴァルツェア・ガーベラなら負けじと戦えるはずであるが、どうにもバリアを貫通するマシンガンと相性が悪い。

更にこちらからの攻撃は速過ぎてまず当たらず、当たったと思えば同様のバリアフィールドにて弾かれる。

実戦を繰り返して腕を磨いてきたラウラですら追い付けない技術に、ただ頭が下がるばかりだ。

 

「いいよ、いいよねえさん!流石僕のねえさんだ!もっと早く殺せると思ったのに、こんなに長持ちしてくれるなんて!やっぱりねえさんも僕を愛しているんだね!」

「ああ、綾がそうしてくれたように、わたしもおまえを受け容れてやるとも!そして、こんなところで殺されてもやれんな!」

 

ラウラが突然現れたアドルフへ好意的に接しているのは、まずそれが理由である。

あの日、見も知らぬ自分のために命を投げ出す程の覚悟を見せてくれた綾。

わたしだって、同じような境遇であろうこいつを愛してやろうじゃないか。

かなり歪んでいるのが玉に瑕だがな。

 

ハンドガンで撃ち返しつつ宝玉を当てるタイミングを見計らうも、そのデータも取られているのかまるで隙を見せないアドルフ。

むしろ、ここまで熟練の距離の取り方を識っているアドルフ相手に電磁力で距離感を乱そうとしても無駄かもしれないのだが。

博打としてバリアアタックであるゾネ・スヴェルを発動しようとも、おそらくは貫通されてしまうのがオチだろう。

グングニールはまだ使うべきタイミングではない。

結局は円状に動きながらフェイントをかけあい、マシンガンの有効射程外で戦うのがベターであり、唯一互角に持ち込める手段なのである。

 

それでも距離を詰め、離しの繰り返しのルーティーンがだんだん短くなっている事に冷や汗を垂らすラウラ。

確実に、少しずつ自分が追い詰められている証拠だ。

 

「楽しいねぇ、ねえさん!もうすぐその命に届くと思うとたまらないよ!」

「そうか?わたしはもう少しこのやりとりを続けたいな、具体的には綾が来るまで!」

「そうだ、にいさん。にいさんはどうしたんだい?」

「野暮用で遅れている、心配するな。すぐに会えるさ」

「そうか、そうだよねぇ!にいさんが僕を置いて逃げるわけがないものねぇ!!」

 

圧倒的な技術力とは裏腹に、純粋な少年の如き狂気を振りまくアドルフ。

律儀に付き合いながらも、あまりの反応速度に早くも眼帯を外すラウラ。

金色に輝くラウラの瞳を見たアドルフは、嬉しそうに口を大きく開いて笑う。

「ヴォーダン・オージェ!いいね、ねえさん!なら僕もそれを使うよ!」

「なにっ!?」

ヴォーダン・オージェとは人間の眼球に投与するハイパーセンサーであり、ISとの適合率の上昇や、動体視力の向上などを目的とした手術の総称だ。

ラウラはこれに上手く適合できず長い間苦しんでいたのだが、豪の処置により自分の力として使いこなせるようになって久しい。

シュヴァルツェア・ガーベラのオーバーブースト能力であるグングニールを発動する際は常にこの瞳を全開にしなければならないのだが、高速戦闘が必要な際には通常レベルで発動させてはいるのだ。

 

そんなものを、アドルフもまた仕込んでいた―――ならば、ここから先はもっと速くなるのか。

「いくよ、ねえさん!!」

「どこまでも退屈させん奴め・・・!」

両目を金色に染めるアドルフ、スピードを増す反応速度。

ラウラは思う。

冗談でも命賭けとか言うもんじゃないな、と。

 

(早く来い、綾!でないと・・・割と本気で、死ねる・・・!)

 

アマデウスの改造完了まで、あと10分。

 

 

========================

 

 

「ぐっ・・・うっ!」

とどめの一撃が零落白夜ではなかった事が幸いしたのか、シャルロットは意識を切らす事無くグラウンドの白土の上へと立ち上がった。

ISの応急手当用品で折れた片腕をどうにか固定し、痛む体を引きずるように戦場を歩いていく。

「ボゥイ・・・ボゥイ!」

口から出るのは大好きな少年の名前。

自分という存在を見失い、きっと仮面の下で哀しみの表情を浮かべているのだろう、涙を流せぬ彼を想う。

 

振り返れば、髪を切ってからずっと一緒にいた気がする。

失恋に後ろ髪を引かれていた自分を引っ張り回して、元気をくれた。

何度も変な名前で呼ばれて、そのたびに訂正して。

でも、それが恥ずかしかっただけなんだって分かったら、すごく可愛く思えてしまって。

今はもう、ずっと昔から一緒だった気さえするよ。

いつだって手を引いてくれたね。

いっしょにドライブにも行ったし、息を合わせて戦ったりもしたよね。

かわいいって言ってくれた事、ほんとはすごく嬉しかったんだよ。

あの後は二人して泥んこになって台無しだったけどね。

抱き締めてきて、ありがとうって言ったの、ずっと忘れない。

ボゥイ、ボクね。

キミの事が好きだ。

お父さんやお義母さん、リョウよりも、キミが大好きだ。

だから、もう心だけで泣かなくていいんだよ。

寂しい想いなんて、ボクがもうさせないから。

だから―――。

 

ほろほろと、シャルロットの双眸から涙があふれて落ちる。

力なく項垂れているリベリオンは、目に光が灯っていない。

それがシャルロットには、涙を流さずに泣いているように見えた。

ボゥイが泣けないのなら、ボクがキミの分まで泣いてあげる。

だから、辛い時には辛いって言っていいんだ。

そう言ってあげたかった。傍に寄り添ってあげたかった。

一刻も早く。一瞬でも近くに。

本来ならもう動けない程のダメージを受けながらも、シャルロットはその一念で歩き続けた。

 

そうして段々とリベリオンへ近づいていくシャルロットに、宇泽(ユゥゼァ)が気付く。

彼には簡単に察する事が出来た。そうか、あの女があいつにとって一番大切な女だ。

あれを跡形もなく消し飛ばしたら、あいつはどんな顔を見せるかな。

サディスティックにニタリと嗤った宇泽は、頭部へとエネルギーを集約させ、フェルミオンブラスター級のパワーを放出させんと構えた。

「―――ボゥイくんっ!!」

それがリベリオンを狙ったものと考えた刀奈が割って入る。

「ボゥイっ!!」

駆け寄ろうとするも間に合わないレティシア。

 

「消え失せろ―――サイコバスターーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」

 

アモンの額の第三の瞳から、爆発的な反物質エネルギーが津波となって発射される。

それに気付くも、最後まで諦めずにボゥイへと歩を進めるシャルロット。

大きく手を広げる刀奈―――。

 

ひときわ大きな閃光がアリーナの内部を赤く染め上げた。

 

衝撃に吹き飛ぶシャルロット。

直撃を受けて弾き飛ばされる刀奈。

余波で動けないレティシア。

勝ち誇る―――周 宇泽。

 

爆風により、奇しくもリベリオンに背を預ける形で着地したシャルロットは、ISを解除されて気絶した刀奈へと、庇ってくれた事について心の中で礼を言い、震える手で彼の顔へと手を伸ばした。

 

「ボゥイ、聞こえる?」

「・・・・・・・・・」

「無理に返事しなくてもいいよ。辛いよね、信じてた過去が偽物だったなんて知ったら、誰だってそうなっちゃうよ」

 

リベリオンの鋼鉄のボディに身体を預けながら、シャルロットは涙ながらに続ける。

 

「でもね、ボゥイ。ボクはキミが何者でもいいんだ。それでキミを嫌いになんてならないんだ。だって、ボクが好きになったのは―――ボクに頑張る元気をくれたのは、周 宇泽じゃなくて、ボゥイ・シューマッハなんだよ」

 

その言葉に、ようやくリベリオンの視線がぐらりとシャルロットへ向けられる。

仮面のバイザー越しに映る金髪の少女。

傷だらけで自分を見上げる彼女の、なんと代えがたい美しさか。

 

「立ち上がるのが辛いなら、これからはボクがキミの足になる。過去が欲しいなら、ボクのこれまでをキミにあげる。だから、ボゥイ」

 

リベリオンの、ボゥイの手が、シャルロットの力ない手を握る。

「・・・シャルロット」

絞り出すように出たのは、愛する少女の名前。

 

「だから、ボゥイ。キミの未来を、ボクにちょうだい。ボクと一緒に生きるキミの未来を、一緒に作ろう。それじゃ、だめかなぁ?」

「・・・・・・!シャル、ロット・・・!!」

 

リベリオンの瞳に光が灯る。

ボゥイは気付く。

あの日、シャルロットと出会うまでの自分の世界は。

シャルロットと出会ってからの今日までの日々は。

こんなにも、色彩が違って見えていた事に。

 

 

オレは・・・何を悩んでいた。

もともと捨てた過去だったじゃないか。

今のオレを作り上げた軌跡なんて、関係ねぇ。

未来(まえ)だけ見つめられればいい、だってそうだろう?

 

この仮面さえあれば、全てを忘れられるから。

シャルロットがオレを呼んでくれるなら、他には何もいらないのだから。

 

 

力が溢れる。

ISクリスタルがその輝きを取り戻す。

ボゥイのメンタリティが正常に戻り、新たな想いの芽生えと共に急速にリベリオンを修復させていく。

その翠色の美しさに驚愕するアモン。

「何だ・・・何が起きた!?」

レティシアが呟く。

「やっぱ、きみはロックだよボゥイくん」

意識が無くとも、刀奈はボゥイを想う。

「ボゥイ君・・・生きて・・・!」

 

そして。

シャルロットを抱き上げ、リベリオンは起ち上がる!

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

 

咆哮、否、絶叫。

 

一夏が、京秋が、億春が、忍が、箒が、簪が、マドカが、ミーアが、ダーシャが、ラウラが、アドルフすらも、ボゥイを振り返る。

 

溢れ出るIS量子の海の中で佇む、完全復活したリベリオンを。

過去を失い、未来を手にしたボゥイ・シューマッハを。

 

こみ上げる苛立ちを隠せずに、アモン―――周 宇泽は叫ぶ。

「何をしてる・・・何でそうなってるんだ、名無しのゴミがぁ!!」

 

対して、ボゥイは宇泽を見上げながら答える。

 

「オレは人間じゃない!インフィニット・ストラトスでもない!まして、周 宇泽でもなければ、織斑ですらない!だが!!」

自分を優しい目で見つめるシャルロットへと、最大級の答えを。

 

「だが名前はある!!オレは運命に歯向かう叛逆者(リベリオン)!!ボゥイ・シューマッハだ!!」

 

傷ついた心、闇の中から立ち上がる理由を見つけた叛逆者(ボゥイ)は、高らかに宣言した。

 

「シャルロット!おまえがオレをボゥイと呼ぶ限り、オレはもう折れねぇ!オレはおまえのために生き続ける、仮面の騎士になる!!」

「ボゥイ・・・っ!!」

 

ボゥイはシャルロットの嬉し涙を拭ってやると、その身柄をレティシアへと預ける。

「シャルロットをたのむ」

「りょうかいっ!」

頷き、預けられたシャルロットと拾い上げた刀奈を抱え格納庫方面へと飛び去るニルヴァーナ。

自分という存在を愛する女性によって確立させたボゥイ・シューマッハは、大弓・イチイバルを手に浮遊し、改めてアモンと対峙する。

 

「来い・・・!過去のオレ、周 宇泽!!オレはおまえを乗り越えて、シャルロットと未来を進む!!」

「ふざけんじゃねぇ!!オレはそんなセリフが聞きたいんじゃねぇ!もっともっと、おまえには絶望してもらわなきゃ気が済まねぇんだよ!!」

「だったら力づくでそうしてみろ!!」

「言われるまでもねぇ!!!」

 

感情のままに、全身装甲(フルスキン)のIS同士、イグニッションブースト同士が激突する。

白の叛逆者、黒の悪魔。

己という存在を賭け、二つのISが力を比べ合う。

 

灼熱色の軍配は、果たしてどちらにあがるのだろうか。

 




あーーーーーーー!!きのうはー!いらーないー!!
あーーーーーーー!!れっみしーざーうぇーーーーーーー!!

もう溜めに溜めたよこの瞬間のために!!

なんかもう綾の新型とかどうでもいいや!(よくない)
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