インフィニット・ストラトス リビルドワールド   作:しびれあくせる

73 / 76
第十話 結納と旅立ちと円卓の物語
幕間


束を先頭に、ラウラを背負った綾、一夏、箒、途中で合流した千冬、クロエの順番でIS学園通用路を歩いていく。

暮桜が凍結されているという地下への道筋を既に知っているのか、束の歩みに迷いはない。

速足な束についていきながら千冬は、箒へと謝罪する。

「すまなかった、箒」

「千冬さん・・・」

「どうしても言い出す事が出来なかった。凍結された暮桜を解凍する手段は無かったし、かなり悲惨な光景だったためお前に伝えるべきではないと考えていた。こんな形で―――お前に真実を知られるとは、思っていなかったのだ」

「いえ・・・私こそ、動揺し過ぎました。想定外だったとはいえ、一夏を援護する事を忘れ・・・あまつさえ、敵の甘言に乗ろうとまで・・・」

重く、沈んだ表情の箒。

未だにずきずきと胸が痛む。あんな残酷な男の言葉を、何故信じようとした。

 

瞼を閉じればいまだに、織斑 京秋という男が放った一発の粒子砲が、マドカと同じ顔をした少女達の命を奪った光景がちらつく。

あんな簡単に、命とは散ってしまうものなのかと、恐ろしく思った。

インフィニット・ストラトスとは兵器であり、そういった力があるものだと頭で理解していても、実際に目にするまでは実感が湧かなかった。

そして、ISと共に生きていくという事は、あのような機会も増えるという事―――箒は今更ながら、自分が足を踏み入れた世界の怖さというものを知ったのである。

 

箒と同じ光景を見た一夏は、それを思い出すだけで悔しさで一杯になる。

目に見える全てを守り抜くと誓ったというのに、あそこで生きていた命は自分の手をすり抜けていってしまった。

俺がもっと強ければ―――京秋を抑える事が出来ていれば。

あんな暴挙は起こさせなかったのに。

千冬がかつて感じた無力感と後悔・・・その一端を感じ取った一夏は、歯を食いしばって折れそうな心を引き戻す。

負けないと誓った。折れないと誓った。

それでもと言い続けると、誓ったんだ。

だから俺は・・・もっと強くなるんだ。

 

「リョウ・・・相談がある」

「今じゃないと駄目ですか?」

「そんな状況じゃない事は分かってる。でも、口にしておきたい」

「・・・どうぞ」

 

歩きながら、振り返ることなく綾は一夏の話を聞く。

早歩きに綾の隣へと進んだ一夏は、意を決して言う。

 

「白虎も、お前の機体みたいに強化出来ないか?」

「その前に自分自身の成長を考えなさいな」

「分かってる、それを怠るつもりはない。けど、またあいつが・・・京秋が現れた時、止められるとは思えない。俺自身の成長を待っている余裕なんてない。なら、少しでも強くなって、あいつと互角に戦える手段がないと・・・!」

 

よほどシリーズの少女達を守れなかったのが悔しかったのだろう、一夏は血が滲むほどに拳を握りしめながら思う。

自分を犠牲にしてでも手が届くような、強い力を。

誰も失う事のない未来を。

しかし綾は溜息をつくと首を振り、

「僕のやり方は君には合いませんよ」

「でも、リョウ!」

「短絡的な強さは道を誤る。君には、君自身の進化に手を貸してくれるISがいるでしょう。僕に願うより―――白虎と対話を重ねて、サードシフトでも目指した方がいい」

「サード、シフト・・・!?」

 

三次移行(サードシフト)

意志を持つISという存在が、操者と最大限に心を重ねた時に発生する現象、自己進化といえるセカンドシフトの、次の領域。

初めて聞く用語に一夏は惑いつつも確認する。

「そんな事が、可能なのか?」

「さてね。僕は可能性の話をしています。少なくとも、僕のようにISを自分の手で進化させるという方法はアマデウスと相談のうえで行った、僕だけのものです。君には君の強くなる方法がある。それは自分で考えて、白虎と話し合って決めるべきだと思いますがね」

 

サードシフトは原理的には起こりえると言われているものの、いまだにそれを成し遂げた操者はいない。

だから確実に強くなれると約束できるものではない、だが。

一夏ならば―――限りなく自己進化を続ける彼ならば、そこに行きつく事が出来るのではないかと、綾は感じている。

 

「束さんの仰っていた通り、今は急ぎです。落ち着いたら白虎と会話してみる事ですよ」

「・・・ああ、そうするよ」

左腕のブレスレットとなっている白虎へ視線を注ぎ、一夏は頷く。

綾には綾のやり方が、一夏には一夏のやり方があるというのは納得がいく言葉だ。

何故なら、綾はアマデウスのために悩んで悩んで、悩み抜いてバハムート・ノアという進化へとたどり着いた。

自分で改造も出来ない癖に、部外者である綾へ同じように白虎のために悩んでくれなどと、虫が良いにも程がある。

これは自分と、自分のISである白虎の問題だ。

なら、強くなるのも二人で考えるべきだ。

 

未来への可能性を示唆され、力強く頷く一夏。

それを聞いていた箒もまた、リストアンクルとなっている朱雀へ視線を落とした。

「サードシフト・・・我々も目指すべきなのだろうか」

 

 

学生棟を通り過ぎてしばらく歩き、やがて束は理事長室の横にある何もない壁へと手を当てる。

「ここだね」

「?ただの壁ですが・・・」

「ああ、入り口を封鎖してあるんだ。誰にも存在を見つからないようにな」

「念入りな・・・」

千冬の補足を聞く綾の目の前で、束はポケットから化粧ポーチ大の謎のツールボックスを取り出すと、これまた謎の液体瓶を取り出して、その中身を壁へとふりかけた。

するとたちまち―――コンクリートの壁がさらさらと砂へと分解されていき、奥に地下へとつながる階段を示したのである。

「どういう原理ですか・・・」

「後で教えたげるね。さ、行こう」

 

小気味良い足音を立てて階段を下りていく束、追いかける綾達。

「う、んん・・・」

そこで、段をおりる際に揺さぶられたのかラウラが小さなうめき声と共に目を覚ます。

綾は背中のラウラを振り返りつつ、

「起きましたか、ラウラ」

「ああ綾、おはよう・・・アドルフはどうした」

「帰りました。また会おうと言ってましたよ」

「そうか」

起き抜けに大きく伸びをするラウラは、きょろきょろとあたりを見回して一夏と箒と千冬、クロエと束の姿を確認すると、現状把握につとめる。

「ここは?」

「IS学園内ですよ。地下の暮桜を回収に行くところです」

「ふむ・・・」

階段の上ながらも危なげなく綾の背中から降りたラウラは、最後尾についていたクロエをじっと見つめると、その隣へ並んで話しかけた。

 

「・・・おまえもゲルトナーに作られた遺伝子改良チルドレンか。架神から話は聞いている」

「はい。(せつ)はあなたより先に生み出され、失敗作として廃棄されそうになったところを束様に拾われました」

「なるほど、わたしの姉のようなものか」

「違います。あなたは(せつ)の成れなかった完成体。(せつ)と姉妹などと、あなたにとってはおこがましい話です」

「完成体、か。ヴォーダン・オージェ移植に失敗し、ドイツ軍からも除籍された厄介者を完成というのなら、とんだ駄目計画だな」

自虐的に笑ってみせるラウラ。

彼女にとって、もはや生まれの優劣など興味の欠片もない。

いまはもう、綾や仲間の皆と笑って暮らせることが何よりも大切なのだ。

 

「もしわたしの存在が疎ましいのなら言ってくれ。なるべく話しかけないようにはできる」

「いいえ、そういうわけでは・・・」

「なら何故そんなに腫れ物に触れる様な話し方をする?わたしの顔は怖いか?」

「・・・不思議です。あなたはもっと、好戦的な性格だと思っていました」

「昔はそうだったかもな。黒歴史というやつだ」

 

頭を雑にかくラウラ。

サイドポニーを揺らしながら反省している様子を見て、クロエはようやくクスリと微笑んだ。

「あなたは出来損ないである(せつ)を、自分と比較して見下しているものと思っていました。それがこんなフランクな性格だったなんて・・・意外です」

 

もし綾と出会う前のラウラであれば、自分の生まれや力を誇示してクロエを見下していたかもしれない。

けれど人は変わる。成長だってする。

環境次第で、こうした気さくで話し上手なラウラにだってなれるのだ。

 

「出来損ないか。完成された人間などいないし、出来損ないのままの人間もいない。もしそういう自分の出来損ないな生まれがコンプレックスだというなら・・・」

「?」

ラウラはニッと笑い、クロエの顔を覗き込んで言う。

「拾われた出来損ない同士、わたしたちは似合いの姉妹だな」

「・・・・・・・・・ふふっ」

「はは」

 

小さく笑い合うラウラとクロエ。

その様子に綾は勿論のこと、束すらも嬉しそうに小さな笑みを浮かべていた。

 

 

やがて長い階段を下りきると、ちょっとした運動会館のようなスペースが目の前に広がる。

IS学園は地上だけでなく、地下にも網の目のように施設が広がっているのだが、このような場所があるという事はどこにも開示されていない。

暗く、空気も薄いその空間は人間が訪れた気配をセンサーで感知すると、ライトを照らしてエアコンを稼働させ、唸るような起動音を発する。

きょろきょろとあたりを見回していた綾や一夏たちは、束が迷いなく進んでいく先に見える二機のISらしき影へに気付いた。

 

一機は、量産型IS打鉄(うちがね)に似たデザイン、元は白と赤だったのだろうカラーリングは煤と埃で薄汚れた第一世代機。

手にした剣は雪片―――白虎が使う吹雪の元となった剣だ。

「あれが・・・暮桜」

最初期のインフィニット・ストラトス、暮桜(くれざくら)

篠ノ之 束が開発し、千冬へ預けた専用機。

今となっては、インフィニット・ストラトスを男性でも使えるためのキープログラムが隠された禁断の箱である。

 

そして―――その向こう側に座するのは。

 

「なんだ、あれ・・・!?」

一夏がそう口にするほどに異様な姿。

10メートルはありそうな巨体、そのシルエットは人間の女性。

真っ黒なコールタールに塗り固められたような、刀を手にした女の形。

暮桜と鍔迫り合いをした形で動きを止めているそれこそが、VTシステムの発現体。

箒の母を生贄に顕現した、織斑千冬の動きをトレースした化け物である。

 

「あれに、母さんが・・・」

「見ない方がいい、箒」

「でも、千冬さん!」

 

近づこうとする箒の手を取る千冬、困惑する箒。

ここまでくればさすがの箒とて察する事は出来ている。

母はもう―――死んでいるのだと。

 

「くーちゃん、おねがい」

「はい、束様」

 

クロエは懐から何かしらのタッチパッド端末を取り出すと、暮桜の傍へと近づいて捜査を行う。

2分ほど経過したところで、暮桜とVTシステムを起動したISだったものが白い光を放ち、ガラスが砕ける様なエフェクトを放ってその凍結を解除されていく。

少しずつ量子へと変換されていく二機。

ややあって、暮桜は光に包まれると待機状態の指輪へと変化し、千冬の元へと飛んでいく。

右手で暮桜を受け止めた千冬は感慨深く手の平の上で鎮座する懐かしき愛機へ視線を落とし、

「・・・待たせた、暮桜」

そう呟いた。

 

もう一機は、パラパラと崩れていき、次第に中のコアと人間を露出させていく。

束も、箒も、決して目を逸らさずに見つめ続ける。

かつんと乾いた音を立てて床へと落ちるISコア。

そして現れたのは―――白骨。

静かに口元を抑える箒。

スチールウールが燃えゆく様を見つめるかのように、それを観察する束。

抜け落ちた髪の毛がばらばらと散らばり、VTシステムに栄養を吸われ尽くした白骨は床に落ちると容易く砕け散っていく。

 

左指の薬指にはめられていた結婚指輪だけが、その白骨が束と箒の母であった事を示していた。

 

「かあ、さんっ・・・!」

ボロボロと泣き出し、一夏に抱き着いて嗚咽を上げる箒。

黙って抱き返す一夏。

束はゆっくりと砕かれた骨の中から指輪を手に取ると、神妙な顔つきで眺めてぽつりと言う。

「・・・なんでかな。大嫌いな母親だったのに、こうなっちゃうと・・・せつないや」

「天災であっても人間だったという事だろう、束よ」

この場に無い筈の声に、はっと振り返る束。

視線を向けた先には、階段を下りてきた少年が一人。

ラウラとの血縁を思わせる銀髪に赤い瞳。

長すぎる白衣を引きずりながら歩いてきたのは、鶴守 豪。

豪の記憶や経験をインストールされた綾の父レオンのクローン体であるが、彼は生前のようにポケットに手を入れたままラウラたちを通り過ぎて束へと歩み寄り、その目の前へと立った。

 

「・・・ごーちゃん、なの?」

「ああ。こんな身体になっちまったが、今の鶴守 豪はおれだ」

 

床に膝をつけて豪と視線を合わせる束。

最愛の男の成れの果て、再会と言っていいのか初対面と言えばいいのか。

どちらにせよ豪の側からすれば、記憶にある束を少し年上にした目の前の女性を正面から見据えている事になる。

「束よ」

びくっ、とらしくもなく肩をすくませる束。

彼女はかつて、豪から白虎と朱雀のコアを盗んで、それをもとに研究した量産コアを世に出回らせた過去を持つ。

きっとそれを咎めようとしているのだろうと、束は思う。

この少年が豪であって豪でないとしても、これから彼が語る言葉はいうなれば豪の遺言そのもの。

どれほど罵られようと、束はそれを受け止めなければならない責任がある。

 

「おまえは、おれにとってたった一つ・・・許せんことをした」

「うん・・・ごめんなさい。勝手にコアを持ち出したこと―――」

「違う」

 

首を振る豪。

戸惑う束は、ならばなぜ彼が怒っているのか、理由を探す。

 

「・・・何も言わずに、白騎士を作った事・・・?」

「違う」

「あのミサイルから、あいにゃんとれおれおを守れなかった事・・・?」

 

あいにゃん、れおれおとは綾の母である愛奈と、父であるレオンへ束がつけた愛称だ。

ふたりとも、白騎士事件にて故人となっている。

 

「違う」

「じゃあ、なぁに・・・?」

 

すがるように、涙を浮かべながら問う束の頬を、豪がはたく。

ぱしん、と乾いた音が響き、ぽかんとする束を抱き寄せた豪は、ささやくように言った。

 

「どうして、おれに何も相談しなかった」

 

ほろりと、束の双眸から涙が零れる。

ひ弱な少年の身体ながらも力一杯大人の束を引き寄せ、豪もまた涙する。

 

「エデンの事を知っていたのなら、なぜおれに相談しなかった。どうしておまえ一人で背負い込もうとした。ずっと、おれとおまえが力を合わせれば無敵だったじゃないか。ふたりなら、なんとかなったかもしれないじゃないか。どうして・・・おれを置いていった」

「ご・・・ちゃ・・・ん」

「辛かったなあ、束。きっと一人で泣き続けてきたんだろう。おまえを守ってやれなかった、頼られる大人になる事が出来なかった、おれを許せよ」

「う・・・うあああああ・・・ごうちゃ、ごうちゃああああああんん・・・・・・!」

 

抱き合いながら、許し合いながら、涙を流す二人の天災科学者。

誰も理解する事が出来ないほどの頭脳をもった二人は、お互いしか分かり合える相手がいなかった。

世界中に、束と豪は、二人きりだったのだ。

だから束は豪に惹かれたし、豪も束を受け容れたのだ。

 

「・・・やれやれ。束は敵だなんて、どの口が言ったのか」

こっそりともらい泣きして鼻をすする綾。

「・・・な?やっぱり、分かり合えるんだよ、束さんとも」

「ああ・・・私が間違っていた」

涙する箒の肩を抱く一夏の言葉に頷く千冬。

天災でも幼馴染でもなく、ちゃんと篠ノ之 束を理解してやるべきだったと、そう思う。

「なぜ・・・(せつ)が、泣いているのでしょう・・・」

「嬉しい時だって人は泣けるさ。それは成長だよ、クロエ」

束の姿に涙するクロエの肩を叩くラウラ。

 

「さて、聞きたい話もある。おまえの飛行船に邪魔するぞ、束」

束が泣き止むまですこし時間がかかったものの、それまで静かに待っていた一同は、豪の言葉で状況を思い出す。

すぐにでもエデンの手先であるIS連合高官が、IS学園を乗っ取りに来るかもしれないのだ。

「うん、それに・・・行かなきゃならないところもあるの。ごーちゃん、手伝ってくれる?」

「当然だ。なら、IS学園の防御と束についていく組で人員を編成せねばな」

頷き合って立ち上がる束と豪。

「善は急げだ、さっさと戻るぞ。箒の母も埋葬してやらねばならん」

千冬は暮桜を束へと放り投げると、踵を返して階段へと向かっていく。

その背を追いかけていくラウラ、一夏と箒、綾。

 

束と手をつなぎ合って歩く豪は、ふと思いついたように言う。

「ふむ、とはいえだ。今後またおまえが説明責任を放棄してどっか行っちまう可能性もまだあるのよな」

「ごーちゃん、信用ないー・・・」

しょぼくれて繋いだ手をぶんぶん振る束。

こんな恋する乙女の様な束を見るのは初めてな箒は、これが自分の身内である事を考えると少し気恥ずかしくもある。

豪は続ける。

「いっその事あれだな。もうどっか行かないように鎖でもつないでおくか」

「犬扱い・・・」

「違う違う。なんかこう、内面的なあれだ」

 

少し嫌な予感がし始めた綾と箒が立ち止まる。

なにも察する事が出来ていない織斑姉弟や、クロエとラウラはただ首を捻る。

 

束から受け取った暮桜の待機状態たる指輪を掲げると、豪は名案を思い付いたとばかりに高らかに言う。

 

「そうだ束。おれと結婚するか!」

 

カッと表情を硬直させる綾と箒。

 

「うん、する~!」

 

喜んで即答する束。

固まるのは一夏や千冬も同じく。

ついていけていないクロエをのぞけば、平然としているのはラウラだけだ。

 

確かに豪は早くに妻を亡くしておりフリーと言えなくはなく、さらに身体を変えている事もあり今の豪は独身同然ではあるのだが。

それでいいのかと綾が問う暇もなく豪は束の左手の薬指へ暮桜をはめてやり、逆に束は豪の指へと母の結婚指輪をはめて、少し照れながら手をつなぎ直し、

 

「とりあえずこいつは婚約の指輪にしておくか!全てが片付いたら盛大に結婚式あげるとしよう!」

「嬉しい・・・!ごーちゃん、新婚旅行はどこいこっか~?」

「そんなもん、一緒にロケット作って宇宙に決まっとろう!」

「やったぁ!ごーちゃんならそう言ってくれると思ってたよ!」

 

らんらんるーとご機嫌に歩いていく豪と束。

まさかの展開に思考がついていけない綾と箒の親族コンビ。

「うむ、おめでとうじいさま。じゃあもう篠ノ之 束は敵じゃないのだな」

「はっはっは、情報が古いぞラウラ!もはや束は我らの家族じゃい!」

「やだ、ごーちゃんってば気が早いけど束さん嬉しい~!」

「いい事だ。ならこれで正式にクロエもわたしの姉だな」

「そ、そうなるのでしょうか??」

ブライダルカーに繋がる空き缶のように束と豪へついていくラウラとクロエ。

それを無言で見送るしかない一夏と千冬。

デッサン人形のように妙なポーズで固まっていた綾は、同じく固まっていた箒へと視線を向けると、混乱する思考をどうにか正常に戻すべく回転させ、絞り出すように言う。

 

「い、従伯叔祖母(いとこおおおば)さん?」

「叩き斬るぞ」

 

祖父である豪と束が結婚するのであれば、束の妹である箒はそういう立場になるのだが、箒からすればたまったものではない。

かなりガチめに怒りを滲ませた箒はISを部分展開させると武装である雨月を抜き放とうとする。

「・・・冗談ですとも」

ISのバリアを素通りするほどの居合いを今なら放ちそうな箒をどうにか宥め、綾は頭を抱えて首を振った。

 

「あの軽薄さは一体誰の血筋なんだ・・・」

 

ぼそりと呟いた言葉はどこへ辿り着くわけでもなく。

ひたすらに空気の読めない展開に綾はげっそりと肩を落とすだけであった。

 




なぁにこれぇ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。