どうしたのだろう、町がより騒然としている。
高々と掲げられたテレビに、テロップが流れる。
(久賀浩人第二次犯行予告)
「僕はテロを続けます。僕が捕まるまで、何度でも。」
画像の中の浩人はにこりともせずに言った。
「予想した、最悪の結果だな」
(過去にて)
今日も、僕は闇にいる。闇は良い。それ以外の邪魔な物を押し出してくれる。
さて。そろそろ次の段階に入ろうか。
僕は電話をかけた。
(もしもし?)
「あ、もしもし?浩人だけど、チカ?」
(うん、そう。どうしたの?)
「明日そっちに行く用事が出来たんだけど、ついでによろうと思うんだ。五時ぐらいは大丈夫?」
(ごめん、明日は塾あるから。六時に出来る?)
知っている、そんなことぐらい。「うん、分かった。じゃあそういうことで」
僕は電話を切った。やっと、だ。体中がブルブル震えた。うれしさに打ちひしがれるというのは、こういうことなんだろう。
大丈夫、僕は正しい行動をしている。味方が何人もいるじゃ無いか。
(現代にて)
浩人の犯行予告は瞬く間に広がった。そして、どこで突き止めたのか浩人の過去も出回った。少年犯罪の被害者であるということだ。ある芸能人が炎上した。浩人を強く批判したからだ。賛否両論両極端に分かれた。
かわいそう、という言葉も行き交うようになった。
「何がかわいそうよ。あんたらが作った社会でしょうが。自分は良い奴だと言いたいのね。こういう奴に限ってクズばっかなんだから」
あくまでナナの持論だが、その通りだと思う。こういう奴は自分のやったことに責任を持たない。責任を持たないから、平気で忘れられる。だからやったことすら気づいていない。指摘されても分からない。そんな奴ばっかりだ。そういうと、偏見だと抗議する人もいるけれど。
突然ケータイがなった。
「もしもし?」
(浩人の情報は無いか?)
また、お前かよ。正直うざったくなってきた。
「あ~、どちら様ですか?お人違いでは?」
(遊んでいる暇なんて無いんだよ。君も大人になれば分かるがね)
「僕は大人が嫌いだね。話すことは何も無い。それじゃ」
ボタンを押そうとして、次の言葉で手が止まった。
(耳寄りな情報があるぞ。きっとここで聞かなかったらきっと後悔する。特に君の場合はね)
「・・・餌をぶら下げて食いつくまでまっとる気か?僕はお利口な魚じゃあ無いからな、お前ごとのみこむかもよ」
(これを聞いても、それが言えるか?)
ザザ、ザという音に続き、キーン、キュイーュンと聞こえてくる。
(ザザ・・・もう・・・ザザ・・・うまザザ・・・)
どうも音質が悪い。それで余計意識を集中していた。
(二人目のザザ・・・ライダーが)
今、なんて言った?二人目のライダー?
(どうだこれでも言わない気か?)
「わかったよ。でも、先に情報を流すなんて馬鹿じゃないのか?」
(普通ならな。だが、これで何も言わないのは、お前の主義に反する。強制したんだよ)
なるほど悪知恵が働く。全く、こんな奴が政府にいるなんてな。
「・・・放火犯に接触した。当時の事件には黒幕がいることが分かった。以上」
(関係は?何も言わなかったわけは無いだろう?)
時々鋭いからこいつは嫌いだ。
「先輩と言っていた。それ以外は何も」
(ありがとう。引き続き調査を頼む)
一方的に通話を切られた。
耳の奥で、『二人目のライダー』という言葉が反響している。どうやってそんな情報を手に入れたのだろう。
まあ、そのことはいくらこの場で考えても答えが出ない。いったん保留することにしよう。
「カズ、先輩は見つかってるの?」
「いや、まだ。探してくる」
僕は逃げるようにその場を去ろうとして、途中で立ち止まった。
「ちょっと調べてくれないか?」
「何をよ」
「このあたりで、ここ数ヶ月以内に殺人事件が起きていないかをだ」
(過去にて)
今日はとうとう、チカの家まで行く日だ。
かなり早めに家を訪ねる。
「あら、いらっしゃい。どうしたの?」
「ちょっと早くに着いちゃったので。まだ帰っておられませんよね?」
おばさんは喜んで家の中に入れてくれた。簡単だ。こんなに警戒心が無いだなんて。
僕は包丁を握りしめる。家の扉を閉め、後ろ手に鍵をまわした。
(現在にて)
約束の時間が来た。そろそろ来るはずだ。
黒塗りの車が向こうからやってくる。ドアが開く。今回は部下の人はいない。
「何ですか、二人だけで話がしたいなんて」
車が発進する。津田議員の車だ。
「もしかしたらなんですが」
僕はそう前置きした。
「浩人は、擁護法を改定させるためにテロを起こしたんじゃ無いですかね?」
「私も、ちょうどその線を疑っていたんですよ」
車は走る。殺風景な町の中を。雪はもう、すっかり溶けている。
「このことは、広めるべきです」
「どうして?」
「だって、でないと浩人君は何のためにテロをしたのか分からなくなるじゃないですか。ただの凶悪犯にされてしまいます」
僕は何だか腹が立った。
「まだ、決定的な物的証拠がありません。犯人と決めつけるには、まだ早いのでは無いでしょうか」
僕は自分に驚いた。無意識に浩人をかばっていたのだ。これではナナに言えた身分では無いな。
僕が車を降りたのとほぼ同時に電話が鳴った。
「もしもし?」
(あ、もしもしカズ君?調べ物が終わったよ)
「そうか、それでどうだった?」
(うん、その周辺では事件らしい事件は火災以降発生していないんだって)
「そうか。分かった、ありがとう」
よかった。少なくとも、浩人は殺人鬼じゃない。
(過去にて)
おばさんはドタドタと忙しく動き回っている。その背後にそっと忍び寄り、首に突きつける。
「動かないでください」
ピタッと動きが止まる。
「あの、」「しゃべらないでください」
僕は包丁を握り直した。
「僕は今から一年前、あなたの息子に、チカの兄に、家を焼かれました。その復習のために、あなたたちに接触したんです。この包丁は祖母の形見です」
「ああ、あ、あの子がまた・・・」
どうやら家族にも信頼されていないらしい。かわいそうなやつだ。
「息子さんの、コウタの居場所はわかりますか」
「いえ、音信不通でして」
「それでは、チカさんの日記を見せてください。」
「・・・見ない方が、いいかもしれません」
「それでも、それしか手がかりがないんだ!」
僕は包丁で机をたたいた。
「世の中の人は許せというでしょう!でもどうしても許せないものは許せません!第一、ここで引き下がったら・・・」
僕は固く閉ざした口の間から、水を漏らすようにして言った。
「この恨みは、どうなる」
おばさんは哀れみの目を向けてきた。昔っからそうだ、世間の大人たちは哀れみか同情しかしてくれない。
「ここに・・・」
おばさんが日記を出してきた。表紙をめくる。
(7月10日 今日もいじめにあった。犯罪者の妹め、といって水をかけられた。でも仕方がない、悪いのは私の方だ。)
「何、知った風な口をきいてる」
(7月11日 今日はノートを破かれた。流しっぱなしの水道の水でノートはだめになった。先生は誰一人何も知らせてくれなかった。)
「自分で気づけよ、その程度。だから相手の気持ちがわからないんだ」
(7月12日 今日は殴られた。体中がアザだらけ。いつもの痛み止めを飲んだ。もうそろそろ病院に薬をもらいに行かなきゃ。あとどれくらい、こんな生活を続ければいいの?)
「ふざけんな!」
ノートを思いっきり放り捨てた。
「僕は、僕の家族は、妹は、痛いなんてどころじゃなかったんだよ!全身大やけどしながら、息もできない状態で、消防隊も見殺しにした!どっかの偉い「セージカ」の方を優先して、二時間も火の中でのたうち回った!痛みを知ったような口をきくな!」
おばさんはずっと正座している。
「あなたの言うとおりだった。見るべきじゃなかった。見たらいけなかったんだ、こんなもの」
おばさんは僕に向かって土下座した。
「お願いです、あの子にはまだ将来があります。どうかあたしの命で、あの子を、チカを見逃してやってください」
包丁を、確かめた。しっかりと握っている。振りかぶって、そしてー
床にたたきつけた。
「できない!僕は土下座して謝る人を切り殺せるほど非情になれやしないんだ!卑怯じゃないか!」
僕は花のポスターに目がとまった。うっとうしいポスター。お前は、何で僕を笑うんだ?
突然、はっとした。
「まさか、家中に貼ってあるポスターは・・・」
僕は一番近くのポスターを引っぺがした。
あらわになる、大きな傷跡ーコウタの仕業だ。
僕は次々とポスターを破いた。どこもかしこも傷だらけ。
気がつくと、玄関まで来ていた。
「僕は、もうたくさんだ!傷つけるのも、傷つけられるのも!」
僕は、走った。走って、走って、気がついたらいつかの公園まで来ていた。
僕はベンチの上で仰向けになった。静かに雪が積み重なってゆく。ああ、このまま押しつぶされたらいいのに。
(現代にて)
浩人が、第二回のテロを決行した。電車に毒ガスの発生する混合液を入れたトランクケースを乗せたのだ。
怪しいケースがあるという通報に警察が駆けつけた。警戒している人がほとんどだったため、簡単に見つかったようだ。ケースの中には、塩素系漂白剤と酸性洗剤の混合液が入っていたそうだ。
「本当に虐殺が目的なら、犯行予告なんてするかなあ?」
「そう思ってるやつもいるらしいな。見てみろ、これ」
スマホの画面には、「凶悪犯久賀浩人の過去」という見出しに続いて、家が焼かれたことや家族が死んだことが書いてあった。
どこから持ち出したのか、僕の名前まで出ていた。
「早く止めないと、えらいことになりそうね」
ナナの言うとおりだ。早くしなければ。
(過去にて)
視界が薄くなる。僕は落ちていく。冷たいとも思わなくなった。ああ、最高だ。世界からほっぽり出されることが、こんなに楽しくうれしいことだったとは。もっと早く気づくべきだった。
「何してんの?」
上から声が降ってきた。ザ、ザと雪がはらわれる。
「風邪引くよ?」
「・・・うるさい。ほっとけ。家には帰ったのか?」
「うん。フクシューのために、近づいたんだってね」
「なら、何で追いかけてきた?」
「だって、これでお別れだなんて、寂しすぎるよそんなの」
僕は鼻で笑い飛ばした。
「しつこくて嘘つきの男でもか。それとも何か、初恋でもしたとでも言うのか?」
「うん」
チカがうなずいたのを見て、ドキンとした。心臓が頭を飛び抜けて、上から見下ろしているみたいだ。
「私に初めて優しくしてくれた人。最初は友情あたりだったんだけど、気づいたら、ね。たった今さっき失恋したばかりだけれど」
僕は、わかっていなかったのだ。自分のことしか見ていなかったのだ。
「ごめん」
「ううん、いいよ。もう終わったことだし。それより今は、お兄ちゃんを探さなきゃ」
僕らの関係は、最悪から始まった。それは仕方がないことだ。でも、僕らを引きつけるものがあった。
「その押し花は、オオアマナ?」
「うん、前に言ったでしょ。妹の誕生日プレゼント。枯れたから、押し花にしたんだ」
「それ、いつのこと?」
「去年の夏」
「え?それ、枯れてないかも」
今、なんて言った?
「オオアマナは、球根植物だから休眠するの。それ、枯れてないよ」
僕らの溝が、埋まり始めた。もう一度球根を世話し始めた。ああだこうだと指示を受けているうちに、僕らは距離を縮めていた。
そんなあるときだった。コウタの居場所がわかった。幸せは連続するものだと思った。僕たちはカラオケの一室で落ち合った。
家族以外には話を聞かせるなと言ったので、二人が隣の部屋で会話し、スマホを通話状態にして盗聴することになった。
「お兄ちゃん、どうしてずっといなかったの?」
「俺が更生してまっとうに働き出すようになってから一ヶ月、過去のことが新聞に載った。俺は職を失った。友も失った。でも、みっともなくて誰にもいえなかった。だから黙って出て行った」
「お兄ちゃん・・・」
「でも、俺はまた仕事がもらえた。それをするだけで、一千万もらえるそうだ。何だと思う?爆弾運びさ!新宿駅に爆弾を運ぶ、それだけで大金が手に入る」
僕らはあっけにとられた。
「俺は家族を幸せにする。信じてほしい」
僕たちはそのあと、二人でしばらく歩いた。二人とも黙りこくっていたが、ついに僕は言った。
「ねえ。いつ、爆弾を運ぶのか聞いてもらえる?」
「なんで?」
「いいから」
「何か、変なこと考えてない?」
「大丈夫。心配ないよ」
僕はチカを介して、爆破予定日を聞いた。そして、犯行予告を行った。
(現代にて)
「防犯カメラには何もなかったのか?」
(それが、あったはあったんだがな。プライバシーの関係上、報道できんかった)
「じゃあ、動画を送ってくれ」
僕は動画を確認した。間違いない。大急ぎで画面を打つ。
「ナナ、見ろ。勝ったぞ」
「へ?何が?」
「だから、コウタだよ。いくぞ」
「分かった」
「あ、ナナにはこっちな」
僕は紙切れを渡した。
(浩人サイド)
この車に隠れてから、かなりの日がたった。タブレットには、相変わらず僕のことが書かれている。
こんこんと扉をノックされた。
「浩人、ちょっと出てきて」
チカの声だ。僕は外に出た。
「何?どうしたの?」
「あのね、さっき樫村さんって人が来て、和人さんって人が今お兄ちゃんと話してるって」
ああ、やっと頼りになる人が来た。浩人は、ゆっくり歩いた。
(和人サイド)
僕はある倉庫へと向かった。
「コウタ、いるか?」
「いるぞ。ケーサツはつれてきてないだろうな」
「ああ、僕だけだ」
ナナには別の仕事を任せた。
「おまえ、何で浩人の家を焼いた?」
「計画がばれたからだ」
ずいぶんあっさりと答えたな。
「あいつの妹が、俺が爆弾の実験をしてるところを見てたんだよ」
山奥で、爆破実験をしていたところ、兄への誕生日プレゼントにするため、野花を探して山奥まで行っていたらしい。そして、ある人物に命令されて、放火を促したそうだ。
「なぜ、手を貸そうと考えた?」
「金がもらえると聞いたからだ。それだけだ」
「それだけのために、人を殺したのか?」
「そうだよ。俺は触法少年だ。裁くことはできないさ」
「本当に、そう思っているのか?」
「ああ、そうだよ」
僕は首を振った。
「おまえみたいなのが処罰された事例はある。お前は無事じゃいれないさ」
「乗るか、そんな脅し」
「じゃあこれを見ろ」
僕は逮捕状を突きつけた。
「え?」
「本物のコピーだ。知り合いから借りた」
そこへ、誰かが駆け込んできた。
「お兄ちゃん!」
「・・・チカ」
「もうやめてよ、こんなこと」
コウタは震えだした。
「今更、やめられねえよ!」
暴れ出したコウタを最小限の動きで押さえつけると、僕はスマホからある人の声を聞かせた。
「おまえに命令したのは、こんな感じの声か?」
「・・・そうだよ。」
決まった。チカから番号を聞き、僕は大急ぎで浩人にあるものを送った。
(浩人サイド)
「・・・決まった」
「ん?なんか言った?」
「いや、何でもないです」
「それにしても、いつもこんな裏方ばかり、飽きないのかねえ、和人は」
「それが、和人さんですから」
(和人サイド)
「まず言っておかなければならないことがある。新聞におまえの記事を載せたのは僕だ。すまない」
僕は頭を下げた。
「僕は、おまえに兄を殺されてから、おまえをずっと恨んできた。平気な顔して働いているのが、許せなかった。それが被害者を減らすことだと信じていた。でも、違った。被害者は増えた。すまなかった」
僕はうわごとのように繰り返した。
「いいですよ、もう、そんなこと。それより、浩人のところに行きましょう」
チカと僕が出て行き、手錠をされたコウタだけが残った。
(浩人サイド)
「けりがついたよ」
チカからそう聞いたときは、本当にほっとした。僕は包丁を確かめた。チカから返してもらったものだ。
僕ら二人は、町に出た。日用品を買いに。顔はタブレットにうずくめるようにして隠している。
僕は画面を見つめすぎて目がしょぼしょぼした。目をいじくっている間に、何かにつまづいてこけた。
「大丈夫?」
「あ、大丈夫です」
声をかけてきた女の人は僕の顔を見てわなわな震えだした。まずい、ばれた。
「逃げるぞ」
僕はチカの手を取り全速力で駆けた。後からいくつもの足音が追いかけてくる。
「浩人、オオアマナは?咲いた?」
「なんで今、そんなこと聞くんだ。それどころじゃないんだよ!」
「それどころなの、私にとっては。教えて」
何かを悟っているようだ。
「まだ咲いてない。つぼみが膨らみ始めたところ!」
息が荒くなる。そろそろ、逃げられないな。
僕は公園に入った。
包丁を出し、チカの喉元に突きつける。
「ごめん、人質を演じて」
この日、彼女がいい役者であることを知った。小刻みに震え、涙を薄く浮かべて、唇をかんでいる。
「見ろ!僕には人質がいる!会津議員と話がしたい!十分だけでいい。呼んでこい!」
やがて会津議員が現れた。
「何かな、浩人君」
「おまえの愚行を、僕は許さない」
「許さない?それは私の台詞だ!君のような非行少年がいるから、擁護法を変えようとしているんじゃないか!君はテロリストだ。許されないのは、おまえだ!」
拍手が起きた。やむのを待ってから、僕はしゃべった。
「あなたは、僕をかばうようなことを言っていたじゃないですか」
「何のことかな?全く覚えがないな」
「知り合いが言っていました」
「証拠は?ないだろう!」
僕はチカに「おい」と言った。あくまで渋々という演技をしながら、彼女はある音声を再生した。
「浩人君は何のためにテロをしたのか分からなくなるじゃないですか。ただの凶悪犯にされてしまいます」
野次馬がざわめきだした。
「それはあくまで、あなたの擁護法が厳罰化に向かうようにしようという思考だけです!」
「コウタという実行犯に、会津議員の肉声を聞かせたところ、自分に命令したのと同じ声だと言いました」
会津は何も言わない。
「僕は、真実が知りたい!この事件の、本当の黒幕を!」
さて、これ以上は無駄だろう。
「ごめんよ、チカ。僕は真実をしれない」
僕はチカを突き飛ばすと、自分の首元に包丁を向けた。普通に言っただけじゃ簡単に忘れられるだろう。だが、少年が自殺してまで、死の間際で言ったことなら、なかなか忘れられないだろう。
警察官が駆け込んでくる。耳に声が飛び込んでくる。
「ヒロト!」
(翌日)
浩人のことは記事になった。自殺して、強いメッセージをこの世に残した『美形過ぎる』ヒーローとして。全く世間は調子がいい。
電話が鳴った。
「カズ、例の公園に来いって」
結局、浩人は死ななかった。チカが叫んだ瞬間、ほんのちょっとだけ動きが止まり、その間に取り押さえられた。
「なんで、動きを止めたんだ?」
「わかりません。体が勝手に。僕たちの関係は、ただの友達ではありません。でも、この感情は何なのか・・・」
僕は笑った。
「どうしたんです?」
「いや、若いなと思って」
「和人さんもでしょう」
チカの一家は、引っ越した。そこではいじめもなく、うまくやっていけているようだ。
コウタは、無期懲役の判決が下された。今度こそ、更生するだろう。
浩人は孤児院で育てられることになった。友達もいるようだ。
デモも起こった。ただ、ワーワー騒ぐのではなく、静かに、気品のあるデモだった。浩人の言葉が引用されていた。「真実を語れ」、と。
津田議員は裁判中だ。きっと手ひどいしっぺ返しが待っているだろう。
「これで、一件落着だね」
店に帰るなり、ナナがそう言った。
「いや、まだだ」
「え?」
「僕の予想が正しければ・・・この事件の裏には、本当の黒幕は、鬼だ」
いかがでした?感想・アドバイスお待ちしております。そして、「ちょっと魔王を倒してくるわ」(略して魔っちょ)も併せてお願いします。
次回予告
ついに現れる黒幕と、動き出すもう一人の仮面ライダー。果たして何者なのか?
次回、仮面ライダーmath、「仮面ライダー(X)参上」お楽しみに!