ーSide.松風天馬
FFIV2の日本代表候補として召集された日から、早くも二日。
つまりいよいよ明日、代表を決める選考試合が行なわれる。
円堂監督が言っていたように、
ただ、各国のサッカー協会や候補選手には、俺達同様に既に通達があったようで、今こうしている間も各国の代表選手が次々と選ばれている。
イタリアも既に代表選手が決まっているようで、その中には勿論あの二人の名前もあった。
ーーー俺も、負けてはいられない。
現在、日本の候補選手24名からチーム分けされ、俺はAチームとして明日の選考試合に出る。
Aチームはこの二日間、雷門中のサッカー棟で練習を行なっており、今現在も練習中だ。
日本各地の中学、チームから集まったとはいえ、ここにいるのは日本の少年サッカー界のトッププレイヤー達。即席チームとは思えない程、この二日間で連携が上手く取れてきている。
ーーーとは、思う。
「貴志部さん!霧野さんが護巻さんのフォローに入ります!一旦後ろにパスを!」
「わかった、頼んだよ!」
「真狩さん!FWを引き付けてからこちらにパスを! 黒裂さんが上がっているので注意して下さい!」
「ああ!」
現在、この二日間の練習の仕上げとして、半分に分かれたミニゲーム形式で試合を行なっている。
分かれたメンバーは、
・Aチーム
FW 雨宮太陽
MF 松風天馬 貴志部大河
DF 真狩銀次郎 江島一八
GK 千宮路大和
・Bチーム
FW 白竜
MF 黒裂真命 紅月美羽
DF 霧野蘭丸 護巻徹郎
GK 西園信助
と、なっている。
ここまでは皆の連携も悪くない。
やはりこういった高いレベルのプレイヤー同士の練習は刺激になるのか、この二日で皆の動きの質も良くなっている。
ただーーー問題はここからだ。
「もーーらいっ♪」
「なっ!?」
俺含め、こちらの意識が黒裂さんに向けられている最中、突如スピードを上げた美羽が真狩さんからボールを奪取する。
しかもDFの真狩さんがボールを奪われた事で、こちらのDFは江島さんのみ。対するあちらのオフェンスは美羽と、攻撃に転じた事を瞬時に判断して上がっていた白竜の二人。
ボールを持つ美羽に江島さんが付くものの、このままでは白竜にパスが渡り、完全にフリーの状態になる。そういう場面だ。
「通さんっ!」
「ーーー邪魔」
しかし、美羽はそのまま突き進む。
目の前に立ちはだかる江島さんに対し、一度目線と体の僅かな動作で江島さんの意識を左に逸らし、その一瞬の硬直を突いて右から抜いた。
あまりにも自然な動作に、思わずプレーの一部始終に魅入ってしまった。
「はぁぁぁぁぁぁああッ!!」
美羽と大和との一騎討ち。
江島さんを抜いた美羽はそのままゴールに向かってシュートする。
この二日間の練習で分かった事だけど、美羽のキック力も相当のものだ。ストライカー、といっても通じるくらいには、白竜や太陽と比べても決して劣っていない。
相手の意表を突くディフェンス、流れるような動作で抜くドリブル、ストライカーと遜色ないシュート力。
美羽本人が言うように、正にオールラウンドに動けるプレイヤー。
こんな凄い選手が今まで知られていなかったなんて、正直今でも信じられない。
『はぁっ!ーーーシュートブレイクッ!!』
対する大和も、必殺技で美羽のシュートを受け止める。
本来あの技は、激しい蹴りの連打でボールに負荷を掛け、最後に蹴り上げたボールが空中でシュートの威力を爆散させる技だ。
しかし美羽のシュートは、その負荷では爆散出来なかったようで、空中に蹴り上げたボールは再びゴールに向かう。
ーーーが。
「ーーーくっ!」
そのボールを、真正面でガッチリとキャッチする大和。
爆散されなかったとはいえ、蹴りの連打で威力が弱まったシュートは、そのまま大和の手の中で収まった。
「チッ………」
「よし、行けッ!」
シュートを止めた大和から、真狩さん、そして俺へとパスが渡る。
相手の黒裂さんをドリブルで抜き、ヘルプで護巻さんが目の前に来たところで、前線の太陽へとパスを出した。
「頼む!太陽!」
「任せて、天馬!ーーーはぁぁぁぁああッ!」
ボールが渡ったところで、太陽は腕を大きく振り下ろし、稲光走る暗雲を切り裂き、天を引き裂く。
晴天の空の中、ボールが空中で炎を灯す。
その業火は渦巻くエネルギーと化し、太陽はそのボールに蹴りを入れ、シュートを放った。
『サンシャインストームッ!!』
『ッ、はぁっ!ーーーぶっ飛びパンチ…改ッ!!』
進化した信助のぶっ飛びパンチ。
ブレイブニール戦後の課題だった身体の扱い方、そして足腰のバネの使い方、それをフルに活かした上で、必殺技の威力向上に繋げた。
ーーーしかし。
「っ、うわぁぁぁぁああ!」
ズドォンッ!
太陽の凄まじい業火のシュートは信助の拳を弾き、そのままゴールに突き刺さった。
これでようやく、1ー0だ。
……それにしても。
「凄いよ、太陽!いつの間にあんな
そう。先程の太陽の必殺技は、俺も初めて見るものだった。
太陽も先の未来での戦いにおいて、同じ時空最強イレブンの一人として少しの間一緒にプレーしていたけど、あんな必殺技は見た事がなかった。
「うん。つい最近、完成したばかりだからね。実はあの戦いの後、密かに作り上げていたんだ。化身の力に頼らない、僕だけの必殺技を。この前の雷門との練習試合には間に合わなかったけど、このシュートで、代表選考や世界の強豪達に挑戦するつもりさ」
そう語る太陽の表情は、自信に満ち溢れていた。
確かに以前までの太陽は、化身による必殺シュート、そして未来での戦いで得た化身アームドの力を主体としたストライカーだった。
剣城や白竜のような個人の必殺技を有していなく、その化身の力で消耗は激しかった。
時空最強イレブンではMFとして参戦していた為、あまり露見されなかったけど、ストライカーとしてそこは大きな弱点だった。
しかしこの必殺技……その弱点を克服できるどころか、必殺シュートとしても太陽の化身技に匹敵ーーーいや、もしかしたらそれ以上の威力を秘めているかもしれない。
「大丈夫かい?信助君」
「う、うん………ありがとう、太陽……」
俺がそのように思っていると、太陽は弾かれて倒れていた信助に手を差し出していた。
その手を取り、起き上がる信助の表情はーーーあまり良くはない。
……これは昨日の練習の後、信助本人から聞いた事だけど……どうやら信助は、キーパーとしての自分の力に自信を無くしているみたいだ。
イタリアのGKジャンカルの存在。そして自分との比較。
ジャンカルの技術を自分の中に取り込もうとすればするほど、その実力差が明確になってくるーーーと、本人は口にしていた。
『ーーー天馬もあの試合からまた更に上手くなったし、この前のゴッドウィンドも、以前よりパワーアップしていた。多分僕のぶっ飛びパンチじゃ世界どころか、日本のトッププレイヤーにも通用しない。こんなんじゃイナズマジャパンのゴールを守れないよ……』
『そんな事ないよ!ぶっ飛びパンチが通用しないならもっと特訓して技の練度を上げればいいし、信助には化身や化身アームドがある!信助だって立派な雷門のGKなんだから、イナズマジャパンのゴールだって守れるさ!』
『……化身や化身アームドだけじゃ、
……信助も、一種の壁にぶち当たっている。
今日の練習で少しでもその不安が晴れればと思っていたけど、あの表情を見るからに不安は更に募っているはずだ。
選考試合は明日……正直、これは今すぐ解消出来るものでもないし、GKとしての知識もない俺がアレコレ言ったところで、信助の悩みはきっと晴れない。
これは信助自身で乗り越えてもらうしかない。信助なら、きっと大丈夫だ。
そしてーーーこのチームの問題は、まだある。
「おい、紅月!なぜあの場面で俺にボールを寄越さない!あそこで俺に渡していればフリーでシュートを決められただろう!」
「はぁ?なんで私が貴方なんかにパスを出さなきゃいけないの?私があのデカいDFを抜いた時点でフリーになったんだから、貴方に渡す必要なんてどこにもないんだけど?」
俺達のいるゴールの反対側で、そんな会話が聞こえて来る。
声の主は、白竜と美羽だ。
会話の内容からして、先程の相手側のオフェンス時に、ボールを奪った美羽がフリーの白竜にボールを渡さなかった事に関するものらしい。
俺は太陽と信助と共に、反対側にいる白竜と美羽の場所まで移動する。
「あんな真正面からのシュート、キーパーも万全の態勢で止められる!サイドにいた俺にパスを出していれば、その一瞬の動作でキーパーの反応を僅かでも遅らせて、シュートを撃てたはずだ!現に、お前のシュートは止められただろう!」
「だったら、もっと早く前に飛び出す事ね。貴方のスピードじゃ私のパスに
「なんだと……っ!?」
「はい!ストップ、ストップ!美羽も白竜も落ち着いて!」
二人の争いがヒートアップしそうなところで、止めに入る。
これが、このチームにおける1番の問題。
ーーー美羽が俺以外の皆と、全然噛み合わない。
昨日も別の人と起こった争いだけど、美羽のプレーはとにかく
確かに技術面において、オールラウンドに動ける選手として最初は誰もが一目置いてたんだけど、チームプレイを必要とする場面で、美羽は殆どソロでその場面を切り抜けてしまう。
つまり連携が成り立たないわけで、こうした選手間の不満が飛び交うのは必然だった。
「天馬……っ、しかしだな……!」
「えーー!私は落ち着いているよ?天馬♪」
明らかに怒りの表情を浮かべている白竜に対し、美羽は先程の態度から一転して明るい笑みを見せる。
そう。こんな風に、俺に対してだけ態度が変わるように、プレーの連携も何故か俺とだけ噛み合う。
美羽のパスは、何というか
相手の走力の一歩先を行くパスを美羽のキック力から生み出している為、偶に美羽の気紛れで他のメンバーにパスが行っても、大抵追い付けないか、ボールの勢いが強過ぎて確保出来ず失敗する。
ーーー日本各地から集められたトッププレイヤー達が、だ。
俺も最初の一、二回はパスを受け取れなかったけど、何となく美羽が出したいタイミングに合わせて走り出す感覚が掴めてから、美羽は頻繁にパスをくれる様になったし、俺自身もボールを確保出来る様になっていた。
一応他のメンバーにもこの事は伝えているんだけど、流石に二日間でこの
「と、とにかく!今日の練習はもう終わり!皆、明日の試合に備えてしっかりと休んで!」
元々このミニゲームで今日の練習を終わりにするつもりだった為、一旦この場を鎮める為にそう皆に声を掛けた。
信助の事や美羽の事……他にも色々と懸念は残るけど、明日はキャプテンとして、皆のプレーを引き出していかないと。
ーSide out.松風天馬
◇◇◇
ーSide.紅月美羽
ーーーチームプレイ、ね。
選考試合前日のチーム練習が終わり、帰り途中の河川敷前駅構内のベンチに私は座っていた。
思い返しているのは、この二日間のチーム練習。
日本代表の候補と呼ばれる選手達だから、少しは期待していた。……けどやっぱり、
チームプレイ、連携。
この二日間で、嫌と言うほど他の選手から言われてきた。
私のプレーが、彼らにとって
「何が、チームプレイよ……」
そんな事を口にしながら、ふと窓の外を見ると、夕暮れに差し掛かる河川敷のサッカーグラウンドに、一人の人影が見えた。
何度も加速しながらドリブルし、自身の身に不安定な風を纏いながら、ゴールとゴールの間を何往復もしている。
ーーー松風天馬。
私達には明日に備えてよく休んでと言っておきながら、チーム練習が終わった後も、ここで練習をしていたみたいね。
……天馬だけは、私の意図しているプレーの本質に気付き、それを実行して見せていた。
天馬の事を認めつつも、やはり何処か感じていた私の不安を、彼は見事に吹き飛ばしてくれた。
天馬と一緒にプレーしている時だけは、本当の意味でサッカーが楽しいと感じている。……いや、
「……やっぱり良いなぁ、天馬は♪」
最近は天馬の事を考えていると、心が暖かくなる。
これが天馬に対する"期待"から来るものなのか、それとも別の何かの感情なのか。それはまだよくわからない。
でも……天馬と一緒に代表になりたい。
この気持ちだけは、本物だと自覚している。
「……ホントは一緒に練習したかったけど、今日は無理かな?ーーーまたね、天馬♪」
そう口にし窓から離れ、たった今来た電車に乗り込んだ。
明日の試合ーーー。
周りがなんと言おうと、私は、私のプレーで代表になってみせる。
ーーー天馬と、一緒に。
ーSide out.紅月美羽
◇◇◇
「もっと…もっと速く……っ」
Aチームの練習が終わり、松風天馬は河川敷でただ一人、試合前の最後の練習を行なっていた。
もう日が沈み始め、しばらくすれば辺りが真っ暗になるこの時間帯。
ドリブルでフィールドを駆け走り、時に加速する事で、フィリアと対峙したあの時のスピードを再現しようとしていた。
「(スピードを上げるだけじゃなく、そのスピードを維持しながら、足下の技術で相手を抜くイメージ……フィリアとの攻防を思い出してーーー)」
丁度センターラインに差し掛かったところで、天馬は瞬間的に更に加速する。
目の前に相手がいるイメージで一度止まり、左にドリブルを逸らす事でフェイントを一度入れる。
そこから身体を反転させ、右から相手を抜くーーーこの時に足下からボールを離さないキープ力と加速を意識する事で、天馬の目標とする動きに達する事が出来るのだがーーー。
「…ッ!?うわぁぁぁああ!」
バタンッ!
身体を反転し加速する勢いと、ボールを上手くキープする動きが噛み合わず、ボールに脚が絡まった事で大きく前方に倒れてしまった。
「いっつつ……あともうちょっとなんだけどなぁ……。あそこから一気に加速してスピードを維持しながら、足下でボールを上手くコントロールするのがこんなに難しいなんて……」
天馬が挑戦している
動きの形としては"そよ風ステップ"に似ているが、その内容は大きく異なる。
相手を軸に身体を反転させ、相手を風の軌道に乗せる事で抜き去るのがそよ風ステップなのに対し、一度左へのフェイントを見せ、緩急を加えた反転運動から瞬間的に加速させて抜くのが新技の全容だ。
動きの内容はおろか、そのボール運びも異なる。
「いっその事そよ風ステップのように向かってくる相手の力も利用するべき……?いや、それだとあのスピードを活かしきれないし、現にその抜き方は
「ーーーやってるな、天馬」
ビクッ。
考え事をしていた天馬は、急に掛けられた声に思わず身体を震わせた。
「すまない。考え事をしていたか」
「っ、神童センパイ!」
突然の声の主、それは同じくチーム練習を終えてこの河川敷に来た神童拓人だった。
神童はBチームのキャプテンとして候補選手に選ばれており、この二日間は帝国学園で練習を行なっていた。
帝国学園から神童の家までは、雷門中、そして河川敷も通る為、帝国学園から帰宅途中だった神童は、河川敷で練習していた天馬の姿が見え、声を掛けたのだ。
「おいおい、"センパイ"は無しだとあれ程皆で話しただろ?俺達は代表候補選手なんだから、いつまでも部活動の先輩後輩は無しだ」
「あ!すみません……つい、言っちゃうんですよね。ーーー"神童さん"」
先輩呼びの禁止。
これは選考試合のチーム分けが終わった後、雷門メンバーで集まって決めた事だった。
最初に口にしたのは雷門の候補選手の中で最上級生の三国であり、神童が先述したように部活動の枠組みから外れた代表候補という集まりの中で、先輩後輩の関係は無しにしようというのが理由だ。
といっても、それで年齢に関して対等の間柄にしようというメンバーはいない為、それぞれ先輩には"さん"付けで呼ぶようにしていた。
「ーーーじゃあ神童さんも、練習帰りだったんですね」
「ああ。……と言っても、今日は早めに切り上げた方だ。昨日はもう少し遅い時間まで練習していたからな」
「あ、じゃあそれで昨日は会わなかったんですね。一応昨日も同じくらいの時間帯にここに居たんですけど……」
ーーーあれから天馬は一時練習を切り上げ、神童と河川敷に設置されているベンチに座っていた。
話すのは互いの近況報告ーーーといってもお互いチームのキャプテンであり、チームの情報を事細かに話すつもりはない。あくまで触れる程度に話すだけだ。
「
「もちろん、皆気合入ってます!……けど、色々と不安や問題もあって、少し上手くいってませんね。神童さんの方は?」
「……こっちも、チームとして万全の状態……とは言えないな。雷門の皆や他の選手も気合いは十分だが、不安要素もあるのは確かだ」
互いにキャプテンという立場上なんとかしたかった気持ちはあったものの、今回集められたのは日本各地から選ばれたトッププレイヤーという事もあり、皆自身のサッカースタイルというのを確立させている。
そんな我を持つ者同士が集まれば、些細な反発も大きなものと化する。
それを修正しようとするには、二日間という時間はあまりに短かったと言える。
「……でも、やるしかないですよね!明日いよいよ日本の代表が決まるんですから、俺自身も皆も自分のプレーを全部引き出せるように、キャプテンとして頑張りたいです!」
「……ああ、そうだな」
天馬の言葉に、思わず笑みを浮かべてそう答える神童。
時空最強イレブンを集める旅の中、キャプテンとしての自分に自信を無くしていたあの頃の天馬に比べて、大分頼もしくなったと改めて神童は感じていた。
そして、
「ーーーこうして二人でこの場所にいると、あの頃を思い出すな」
「……?あの頃、ですか?」
「ああ。俺と天馬が勝負して、初めてそよ風ステップを使った日の事だ」
ーーー数ヶ月前の栄都学園との練習試合。
当時フィフスセクターの管理下にあり、試合の勝敗が定められていた頃。
その練習試合も3ー0で雷門の敗北という指示が出されていたが、天馬の想いに感化された神童が思わずゴールを奪ってしまい、3ー1という結果で勝敗指示を破ってしまう。
その責任を負わされる形となり、当時監督であった久遠道也が監督を解任された事で、神童自身を自主退部にまで追い込む事となる。
それを良しとしない天馬も説得したがその気持ちが揺るがない事を悟り、最後に一度だけ、神童の必殺技フォルテシモを見せて欲しいと頼み、信助と共にこの河川敷に集まったのだ。
「ーーーで、その後フォルテシモを見せてもらって、俺達も頑張ろう!って凄く思いました。だからこそ、本当のサッカーが出来るようになったら戻ってきてくれますか?なんて聞いちゃって……そしたら神童さんが俺からボールを奪って何か勝負になったんですよね」
「そうだな。あの時の俺は、とにかく頑なに本当のサッカーというものを否定していた。そんなもの、あるはずが無いと。だからこそ天馬の言葉は、俺の心を強く揺さぶった」
最初は信助と二人掛かり、そして勝負が長引くにつれて、天馬は神童相手に一人でボールをキープする様になっていた。
ボールをキープし、加速する。
正に先日のフィリアと対峙した時と同様に、天馬はその勝負の中で進化していったのだ。
そして完成した初めての必殺技がーーー"そよ風ステップ"。
「あの時起こした小さな風が、ここまで大きな風となって、俺達をここまで導いてくれた。あの時お前に負けてなかったら、今こうして日本代表候補としてサッカーする事もなかったかもしれない」
松風天馬が起こしたそよ風が、革命という名の風となり、未来をも巻き込む強大な
そしておそらく、この風はこれからも成長していくだろう。
ーーー世界という、強敵を相手に。
「(……天馬、お前ならきっとーーー)」
ーーー代表は、まだ決まっていない。
しかし神童は、何処か確信めいたものを感じていた。
「……天馬、お前には感謝している。俺達をここまで連れてきてくれたのは、紛れもなくお前だ。ーーーだが、
「神童さん……。ーーーもちろんですよ!俺は絶対、日本代表になってみせます!だから、明日は絶対負けませんよ!神童さん!」
互いにベンチから立ち上がり、握手を交わしながら告げる天馬と神童。
その瞳は、両者力強いものを秘めていた。
両チーム不安要素を抱えながらも、時間は刻々と迫っている。
いよいよ、明日。
十年振りの、新生イナズマジャパンがーーー決まる。
書く意欲は結構あるんですが、なかなか文が上手く書けずに結局グダると言うーーー。
どうも、喋る盾です。
今回は試合前日Aチーム編という事で、地味にいつもの1.5倍くらい文字数あります(汗)
こんなに書いちゃってBチーム編書けるのかと不安ですが、B側の内情も書かないとなので(物語的に)頑張って書きます。
・今回はまず、時系列から。
この作品は世界編がテーマなので、映画イナダンでやったイナズマジャパンの話はもちろん起こりませんでした。
つまり、太陽のサンシャインストームも白竜の化身アームドもCS編では出ておらず、今回出たサンシャインストームに関しては今回初登場という形となっています。(映画のみ登場した一部の必殺技、あと既に本作でも普通に出てた風穴ドライブ等は、CS編で試合では使ってないけど裏で編み出していた必殺技として登場させる事もあります。その必殺技が出た時はその都度説明します)
・天馬の選手達に対する名前の呼び方に関しては、活動報告に記載してあるのでよければそちらで確認を。
・今回帝国学園の場所を調べる為に久しぶりにダークを開いたのですが、GO1の時の河川敷の場所かなり違っててびっくりしました(汗)
一応この小説はギャラクシー参考に、雷門の大体右側の位置に河川敷があると考えて下さい。GO1は真上にあって驚きました。
・天馬が挑戦している技。
もう全容書いちゃったのでお分かりですね?
さて、次回はこの話のBチーム編をやる予定です。
森村好葉や黒壁鉄心と、ある意味Aチームよりも不安要素が多いBチームですが、どうなるのか。
それではまた、次回に。