イナズマイレブンGO3 ソウルビースト   作:喋る盾

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第十話 日本代表選考試合 その1

 ーーーホーリーロードスタジアム。

 

 

 

『さあ!遂にこの日がやって参りました!フットボールフロンティアインターナショナル!通称、FFIV2の開催が発表されてから早くも二日経ち、本日このホーリーロードスタジアムでは、日本が誇る新生イナズマジャパンが誕生致します!!』

 

 

 実況の角馬王将の言葉で、ホーリーロードスタジアムに集まる観客達のボルテージは更に高まる。

 あの衝撃の発表から早二日。

 急遽告知された代表選考試合であり、先日行なわれたイタリアチームとの親善試合よりも短い期間でありながら、ホーリーロードスタジアムは超満員で埋め尽くされていた。

 少年サッカー界の人気。そして十年振りとされる新生イナズマジャパンの発表をこの目で見届けようとする熱狂的なファンの有様が、この光景に映し出されていた。

 

 

「……本当に、凄い熱気ですね」

「ああ。何てったって日本代表選考試合だからな。先日のイタリア戦とは比べ物にならない程に熱くもなるさ」

「神童や天馬達が候補に選ばれてて良かったっすよね〜。お陰であの長蛇の列に並ばずに座れたし」

 

 

 このスタジアムの熱気に当てられて、観客席に座る雷門メンバーが口々にそう話す。

 その周りには、聖堂山中、新雲学園、幻影学園と、候補選手が選出されている学校やチームがそれぞれ席に座っている。

 この観客席一帯は候補選手が選出された学校やチームが特別に招待された場所であり、浜野が口にするように、他の一般観客とはまた違ったルートでこの場所に来ていたのだ。

 

 

「……ふん。こんなとこに招待されても意味ねぇだろうが。選手なら"あそこ"に呼ばれてねぇとよ」

「ま、まあまあ倉間先輩。しょうがないじゃないですか。今は神童先輩や天馬君達を応援しましょうよ」

「……お前は悔しくないのか?影山。お前以外の一年は皆呼ばれているんだぞ?」

 

 

 代表候補に呼ばれなかった事に対し、気が荒ぶっている倉間を宥めようとする影山だが、逆にそのように問われてしまう。

 倉間の言う通り、雷門メンバーの中で選出された候補選手の中には、天馬、信助、剣城、狩屋と、影山以外の一年生の名が連ねている。

 なのに対し、代表候補選手が世間に発表されてからというもの、特に悔しがる様子もなくこうして自分や他の皆にいつも通り接している姿が、倉間には疑問しかなかった。

 

 

「……悔しいですよ。僕だって、今まで皆と一緒にサッカーをやってきたんです。悔しくない訳がないですよ。ーーーでも、選ばれたメンバーを見ても、僕自身が力不足なのは自分でも分かっています。だから今は、皆の事を精一杯応援しようって決めたんです!そしていつか、皆のところまで追いついてみせます!」

「影山……」

 

 

 ーーー悔しさはある。しかし、いつまでも立ち止まってるつもりはない。

 影山の言葉に、倉間はそんな意気込みを感じた。

 そして、その影山が向ける視線の先には、今正に、日本代表候補選手達が入場を始めていた。

 

 

『ご覧下さい!彼らが日本各地から集められた代表候補選手であり!この中から、新生イナズマジャパンが誕生致します!!本日は24名の候補選手を二つのチームに分けて試合を行い、選手達のプレーを判断した上で、代表選手を選出致します!その選出資格を持つイナズマジャパンの新監督は、後ほど発表とさせて頂きます!!』

 

「……改めて見ると、凄いメンバーだド」

「ああ。どの選手も、ホーリーロード本戦で主力だった選手ばかりだ。こんなメンバーの中で、雷門の皆が多く選出されているのは誇らしい限りだな」

 

 

 代表候補選手達が次々と入場し、センターラインを境に整列する中、天城と車田はそのように口にする。

 24名の候補選手の中でも、雷門メンバーが選出されている人数は8名。

 やはりホーリーロード優勝校という事もあり、他の学校やチームよりも選出枠を大幅に拡大して選ばれているようだ。

 

 ーーー選手達が互いに礼をし、それぞれのポジションへと就く。

 青い代表ユニフォームに身を包むAチームと、アウェイカラーである白を主体とした青と赤のラインの入ったユニフォームに身を包むBチーム。

 観客の熱気にも負けない程の闘志を秘めた選手達が視線を交わす中、日本代表イナズマジャパンの選考試合が、始まった。

 

 

『ーーーそれでは、キックオフです!!』

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

・Aチーム

 

FW 雨宮 白竜

 

MF 紅月 松風☆ 黒裂 貴志部

 

DF 江島 霧野 護巻 真狩

 

GK 千宮路

 

 

・Bチーム

 

FW 剣城 雪村 南沢

 

MF 雛乃 神童☆ 真帆路 錦

 

DF 森村 黒壁 狩屋

 

GK 兵頭

 

 

 

◇◇◇

 

 

ーSide.松風天馬

 

 

 

 ピーーーーッ!

 

 

 

 遂に始まった、日本代表選考試合。

 俺達Aチームボールから始まり、白竜から太陽、そして俺へとボールが渡る。

 

 

「よーーしっ、皆!攻めていくぞ!」

「「「おお!」」」

 

 

 俺はそのままドリブルで駆け上がり、目の前の雪村さんを躱す。

 そこから黒裂さんにパスを出し、更にサイドを走る貴志部さんにボールが渡り、着実にボールを前線へと運ぶ。

 ドリブルで上がる貴志部さんに、雛乃さんがスライディングを掛けるが、ジャンプしてそのまま黒裂さんにボールを戻す。

 

 

「良し!」

「させるか!」

 

 

 しかし、そのパスを神童さんがカットした事で、相手にボールが渡る。

 スペースが空いた右サイドからドリブルで上がる神童さんは、センターラインの辺りでボールを高く上げる。

 その位置は、比較的距離が近い中盤であった為、俺はそのボール目掛けてジャンプするーーーが。

 

 

「させるか、よッ」

 

 

 同じく跳んでいた真帆路さんが、ヘディングでその軌道を変える。

 ボールの行き先には錦さんが走っていて、そのまま確保した錦さんが更に前線へと駆け上がる。

 

 

「通さんッ!」

『うぉぉぉぉおおお!昇り龍ッ!!』

 

 

 走る錦さんに江島さんが立ちはだかるが、錦さんは必殺技で地面から飛び出た龍に乗り、抜き去る。

 

 

「行くぜよ!南沢さん!」

『ソニックショット!V2!!』

 

 

 錦さんは龍から降りた軌道のまま、南沢さんにパスを出す。

 南沢さんは受け取ったパスをそのまま必殺シュートに繋げ、加速するシュートがゴールを襲う。

 

 

『はぁっ!シュートブレイクッ!!』

 

 

 加速するシュートに一早く反応した大和も、必殺技で対応する。

 幾度となく蹴りを入れる事でボールの勢いは衰え、最後のひと蹴りで空中に上がったボールは、シュートの威力が爆散し大和の手に収まった。

 

 

『おおっとぉ!息つく暇もない攻防の数々!南沢のシュートまで攻め込んだBチームでしたが、Aチームのキーパー千宮路の好セーブにより、Aチームピンチを凌いだぁ!』

 

 

 ……凄い。これが日本トッププレイヤー同士の攻防か……!

 数々の攻防。

 以前よりもパワーアップしている必殺技。

 この試合に懸ける皆の闘志が、ヒシヒシと伝わってくる!

 

 

『さあ!再び攻守が切り替わり、ボールは千宮路から護巻、そして霧野に渡ったぁ!いきなりシュートを撃たせてしまったAチームだが、ここから挽回なるか!?』

 

 

 いいぞ……!

 皆昨日までの練習の成果が出ている。少しずつだけど、確実にパスを回してボールを前線へと運んでいる。

 相手はメンバー的にも、どちらかと言えば攻撃寄りの布陣のチームだ。

 DFは狩屋以外データがないけど、神童さんを含めたあの中盤さえ抜ければ、きっとシュートチャンスは生まれるはず。

 霧野さんに渡ったボールはその後幾度かのパスを経て、黒裂さんに渡る。

 黒裂さんがドリブルで上がる中、その進路を神童さんが阻む事で、動きが一瞬止まる。

 

 

「ッ、天馬!」

 

 

 ……今の神童さんのディフェンス力は、かなり厄介だ。

 対峙した事で黒裂さんもそれを感じ取ったのか、フリーで走り込んでいた俺にパスが通る。

 そのまま俺はドリブルで上がるが、目の前には真帆路さんが立ちはだかる。

 

 

「行かせるかッ!」

『ーーー真!アグレッシブビートッ!!』

 

 

 そんな真帆路さんを、必殺技で躱す。

 鼓動から発するオーラで、点と点を結ぶラインを辿るように抜き去るこのドリブルは、以前よりも更に進化しており、虹色に輝くラインの激しい音波(ビート)の衝撃は鋭さを増していた。

 真帆路さんを抜いた事で、中盤を抜ける。

 俺は走り込む太陽と白竜に一瞬視線を交わし、高い位置でボールをゴール前に上げた。

 

 

「太陽ッ!」

『はぁぁぁぁあッ!サンシャインーーー』

 

 

 そのボールを追うのは、太陽。

 太陽はそのまま腕を大きく振り下ろし、稲光走る暗雲を、そして天を引き裂く。

 晴れた空に上がるボール目掛けて、太陽も跳躍し必殺シュートを放とうとするーーーが。

 

 

「撃たせないよ!太陽君!」

 

 

 そこに狩屋が跳躍を合わせてきた事で、シュート射線上を阻害する。

 ーーーしかし。

 

 

「ーーー白竜君!」

「な……ッ、フェイント!?」

 

 

 太陽の必殺技には、()()()()()()()()()()()

 始めから太陽は自分の必殺技を囮に使うことで、白竜を完全にフリーの状態にしたんだ。

 

 

「ナイスパスだ、太陽!ーーーはぁッ!」

 

 

 太陽からのパスは吸い込まれる様に白竜の胸元に移動し、そのボールは回転と共に光り輝くオーラを発する。

 そして跳躍する事でボールと共に空中に移動した白竜は、更にそのオーラを強大なものと化する。

 空が荒れ、渦巻く雲の下で、光り輝くオーラを発したボールに蹴りを入れ、必殺シュートを撃ち込んだ。

 

 

『ホワイト…ハリケーンッ!!』

「………ッ」

 

 

 凄まじい威力のパワーシュートが、兵頭さんが守るゴールを襲う。

 先程の太陽のフェイントは狩屋だけでなく、ゴールキーパーの兵頭さんにも()()()()()効果があった様で、パスをそのままシュートに繋げた白竜の必殺技は兵頭さんの反応を遅らせた。

 しかしそれも()()であり、必殺技を使う暇が無くとも、兵頭さんは白竜のシュートを両手で受け止める。

 ーーーけど。

 

 

「ぐ……ぐぁぁぁぁあああッ!」

 

 

 ズドォンッ!

 パワーで押し切った白竜のシュートが兵頭さんの手を弾き、ゴールネットを破かんばかりに大きく突き刺さった。

 

 

『ゴォォォォル!!先制点はAチームだぁッ!!雨宮のシュートかと思わせた矢先、白竜の渾身の必殺シュートが炸裂ッ!試合開始早々攻められたAチームでしたが、松風、雨宮、白竜の連携で見事に返したァ!!』

 

「……ッ、見事だ」

 

 

 ーーーゴール前でそう賛辞する兵頭さんのキーパーグローブは、白竜のシュートの威力で少し焦げていた。

 

 ……良し、上手くいった!

 連携技の禁止……この特殊ルールを逆手に取った、必殺技を囮にする連携。

 仮にこの連携で太陽の必殺技が完全に発動していたら、それはもうシュートチェインとして扱われていただろうけど、必殺技を囮としたパスからのシュートであれば、プレーの連携の範囲内のはずだ。

 

 

「やったね、天馬!」

「ナイスパスだったよ、太陽!それに白竜も!相変わらず凄い威力のシュートだった!」

「フッ、当然だ。俺はこんなところで、負けるわけにはいかないからな」

 

 

 俺達は近づき、互いにハイタッチをする。

 相手チームと比較しても、ディフェンス面に特化した選手が多い俺達にとって、この一点は大きい。

 試合開始早々の先制点……この一点で、チームの士気も高まるはずだ。

 

 

 試合の流れを引き寄せた俺達は、この勢いに乗るべく、試合再開後も果敢に攻め続けた。

 ーーーしかし暫く経ってから、データに無かったある一人の選手のプレーによって、その勢いは完全に封殺される事となった。

 

 

 

 

ーSide out.松風天馬

 

◇◇◇

 

 

 

 

『ーーーバリスタショットッ!』

『ハンターズネット…V2!』

「……ッ、ナイスだ!狩屋!」

 

 

 センターラインから少し抜けた場所から、黒裂の必殺シュートが放たれる。

 貴志部から渡ったパスをそのままロングシュートに繋げた黒裂だったが、流石に距離があり過ぎたのか、狩屋の必殺技でシュートブロックを掛けられ、兵頭がキッチリと抑え込んだ。

 ーーー松風天馬率いるAチームが先制点を取ってから、その勢いは更に増していた。

 Bチームの神童も得意のゲームメイクで試合を立て直そうと試みるが、士気の高まったAチームのディフェンスラインを突破出来ず、天馬を中心としたオフェンス陣の対応に手を焼いていた。

 神童の代名詞である神のタクトであれば、このディフェンスラインを突破出来たかもしれないが、神のタクトは必殺タクティクスに属する技術であり、この試合では禁止とされている。

 

 

『ワンダー…トラップッ!』

「ッ、しまった!」

「白竜!」

『このッーーーハンターズネット…V2!!』

 

 

 ーーー更に、Bチームはディフェンダーとして動いているのが、実質狩屋のみであった。

 森村はAチームのオフェンスを止めるのには実力不足であり、黒壁は何故か()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 中央を守る筈の黒壁が動かない為、狩屋がディフェンスライン全域をカバーしている状況だ。

 狩屋のしなやかなボディーバランス、そしてセンスと運動量から為せる技術(ワザ)だが、何時迄も保つ動きでないのは確かだ。

 

 

「……ッ、黒壁!何故動かない!ちゃんと狩屋(ディフェンス)のフォローに入れッ!」

「…………」

 

 

 ディフェンスに戻ろうと走る神童の叫びも、黒壁にはどこ吹く風といった感じだ。

 ーーーしかしその目線は、しっかりとAチームオフェンス陣の動きを捉えている。

 些細な動作であり、冷静さを保てていない神童は気付かなかったが、天馬を含めた少数のフィールドプレイヤーがこの事実に気付き、Aチーム側は警戒を強めていた。

 

 

 

 

 

「ーーーへぇ。テッシンのあの動作に気付く奴もいるんだ。……面白いなぁ」

「……まあアイツも、以前に比べたらお粗末な程に動作がみえみえだからな。分かる奴には分かるんだろ」

 

 

 ーーースタジアムの観客席、その最上段。

 そこでは二人の男が、高い位置から見下ろすかの如く、試合を観戦していた。

 

 

「……ったく、アンタの気紛れに付き合わされる身にもなってみろよ。なんだって態々日本(こんなところ)まで来て、こんな奴らのサッカー見なきゃなんねぇんだよ」

「まあまあ。君もテッシンの事は心配していただろう?何せ()()()()()()()()祖国の代表になろうとしているんだ。様子見程度に来るのも悪くはないだろう」

「別に心配なんかしてねぇよッ!」

 

 

 最上段の一角で、ある男の怒号が飛ぶ事で注目が集まる。

 もう一人の男はそんな怒号もお構い無しに、薄っすらと笑みを浮かべていた。

 

 

「ほらほら、もう少し静かにしてないと」

「な……ッ、やっぱアンタと居ると調子狂うぜ全く……ッ。ーーーそれよりも、テッシンだろ?」

「ああ、そうだったね。……恐らく、()()()()も間もなく終わる。日本の選手達がアレに対応出来るかどうか、この試合の鍵は正にそこだろうね」

 

 

 そう告げる男の視線の先では、今正に、戦況が変わろうとしていた。

 

 雪村からボールを奪った霧野から天馬へとパスが渡り、天馬は目の前に立ちはだかる神童を紅月とのワンツーで躱す。

 紅月の正確無比且つ味方を走らせるパスは天馬のスピードを更に加速させ、中盤の守りを一気に突破した。

 そして、現状Bチームのディフェンスの要である狩屋には雨宮がマークに付いている為、実質天馬はフリーの状態でゴール前まで駆け上がる。

 

 

「(良し…!ここで追加点を取れば、一気に試合の主導権を取れる!ここで決めればーーー)」

 

 

 スピードに乗った、天馬にとっても絶好のシチュエーション。

 ゴールキーパーの兵頭が構える中、天馬はゴッドウィンドの初動に入るーーーその時だった。

 

 

「ーーーふむ、なるほど。確かに速いな」

『ゴッドーーーッ!?』

 

 

 一瞬。

 天馬にとって、それ程の刹那の時間だった。

 技の初動に入ったと同時にいきなり目の前に現れた黒壁に一瞬怯み、身体を硬直させてしまう天馬。

 黒壁はその一瞬の硬直の隙を突き、流れるような動作からボールを奪取。そのままロングフィードで一気に最前線へとパスを出した。

 

 

「ーーーッ!拙いッ、戻って!」

 

 

 硬直から脱した天馬が、空かさず味方に指示を出す。

 絶好のシュートチャンスの場面であったが故に、両チーム誰もがボールの奪取に反応が遅れ、Aチーム側はカウンターを受けた形となってしまった。

 空いたスペースに落ちたボールを確保したのはーーー剣城京介。

 剣城もまた突然のパスに反応が遅れた一人であったが、持ち前の状況判断の速さで誰よりも早く行動し、絶好の形でパスを受け取った。

 剣城はそのままドリブルで上がり、目の前の江島をヒールリフトで躱した事で、ゴールキーパーと一対一となる。

 

 

「決めさせるものかッ!」

『ーーーデビルバーストG2ッ!!でぇぇりゃぁあッ!!』

 

 

 黒き翼のオーラをボールに凝縮し、体の捻りを加えたパワーシュートが、ゴールを襲う。

 千宮路もシュートブレイクで蹴りの連打を与える事でシュートの威力を削ろうと試みるが、最後の蹴りの一打を打ち上げる前に、ボールの勢いに押されゴールに叩き込まれてしまった。

 

 1ー1。

 

 

「ッ、しまった!」

「……っまさか、あそこで出てくるとはな。黒壁鉄心」

 

 

 そう口にする白竜の見据える先ーーー黒壁鉄心は既に、何事も無かったかのように元のポジションに就いていた。

 剣城の得点で盛り上がるBチームだが、たった一度のプレーで状況をひっくり返した黒壁に、白竜と同様に視線を送る選手も複数いる。

 ボールを奪われた天馬本人も、一瞬の出来事で何が起こったのか理解が追いつかなかったが、黒壁に異様な何かを感じ取っていた。

 

 

 

 

 

「ははは!やっぱりやるねぇ、黒壁も」

「ああ、相変わらず理解不能な技術(テクニック)だ。ーーー果たしてあの中の何人が、今のワンプレーに違和感を感じたんだか」

「そうだね……君も気付くのに二週間は掛かったからね」

 

 

 ほっとけーーーと、男は不貞腐れるように言葉を返す。

 もう一人の男は、そんな男を一瞥しながらも、その赤い瞳をフィールドで戦っている選手達に向けーーー。

 

 

「……さあ、見せてあげなよ。君が絶望した、祖国のサッカープレイヤー達に。君の本領ーーー」

 

 

 そしてその表情は、相変わらず笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

「ーーーポイズン・フィールドコマンドをさ」

 




ちょっと遅れました、、、 (ちょっととは)
どうも喋る盾です。
いよいよ始まりました日本代表選考試合。
イタリア戦やってるとはいえ、試合描写はやはり難しいですね、、、。
今回三人称の文が多かったかと思いますが、何となくこちらの方が試合描写書きやすい気がするので、所々天馬視点やら挟む形で、今後もこんな感じで書いていくかと思います。

・連携シュート?
天馬→太陽→白竜に繋げたあのシュートは、説明としては本文通りです。シュートチェインではなく、あくまでパス→必殺シュートです。兵頭さんも必殺技で止めさせても良かったかもしれませんが、使ったとしても"あばれぐるま"くらいなので、それだったら別になくてもいいかなと思いあんな描写にしました。

・狩屋
めっちゃ、頑張ってる!

・二人の男
また新キャラです(汗)といっても、名前はまだまだ出しませんけどね。あまりオリキャラを1度に多くだして分かりにくくさせたくない、という考えが一応私の中にあるのですが、黒壁の為に必要な2人でした。

・補足事項
イタリア戦の剣城のデスドロップの時に伝え忘れていたのですが、必殺技のG進化に関しては、アニメ版同様に改やV2のように必殺技名の後に口にしない方向性で行きます。
つまり描写としてデスドロップG3などと描きますが、この場合はデスドロップと叫んでる様に捉えてください。
なので今回進化したデビルバーストG2も、これまで通りデビルバーストと叫んでるのを想像してもらえればと思います。


まだ割と序盤なんですよね、、、。細かくはやりたいと思ってるんですが、話数的に長々となっちゃうのかどうか、、、。
まだ黒壁しか新キャラ掘り出せてないので、美羽や好葉ももっと上手く出せて行けたらと思っています。
それではまた、次回に。

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