イナズマイレブンGO3 ソウルビースト   作:喋る盾

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第二話 それぞれの挨拶

ーSide.???

 

 

 

「はぁ……まだかしら?イタリアチームの入場は」

 

 

 ホーリーロードスタジアム観客席。

 私は今日この場所でおこなわれる、イタリアチーム【ブレイブニール】とホーリーロード前大会で優勝した雷門中との親善試合を観に、このホーリーロードスタジアムに足を運んだ。

 既に名門校雷門中のメンバーは自陣ベンチに出てきており、各々アップを始めている。

 どうやら、イタリアチームは諸事情で遅れているらしく、試合開始にはもう暫く掛かるようだ。

 ふと、雷門中陣営のベンチに視線を移すと、どうやら円陣を組むところのようだ。

 

 

『よぉぉおしッ、みんな!サッカーやろぉぉぜぇぇえ!!!』

『『『『『おおお!!!!!』』』』』

 

 

 今の声は、今年雷門中に入学したばかりの一年生であり、今年のホーリーロード決勝からキャプテンを務めてる、松風天馬という男のモノのはずだ。

 これでも私はサッカープレイヤーの端くれであり、少年サッカーの全国大会であろうと一応一通りチェックしている。……と言っても、流石に地区予選を見る程暇しているわけではないが。

 

 松風天馬に対する私の第一印象は、何というか、器用の一言に尽きた。

 あのホーリーロード本戦のトリッキーなスタジアムに対する適応力、柔軟な発想力ーーー何より彼は、全国という舞台でディフェンス、ドリブル、シュート、更にはキーパーまでもこなしてしまうという、一年生ながら凄まじい活躍を見せていた。

 噂によると、入部当初はドリブル以外まるっきり初心者だったとか。何それチートじゃない?

 挙げ句の果てに彼は、準決勝で自らの化身を進化させるという異業を成し遂げてしまった。少なくとも私は、化身が進化するなんて話は聞いたことがなかった。

 

 ただそんな彼が、キャプテンに向いてるかと言われたら答えはNOだ。特に、あの決勝戦の時点ではとても向いてるようには見えないだろう。

 それでもあの雷門の監督ーーー伝説のGKと言われた円堂守さんや、他の雷門の先輩たちが認めているということは、前キャプテン以上何らかの影響を与えているのであろう。

 

 

「ーーー松風、天馬」

 

 

 ……どうやら、私が考え事をしている間に【ブレイブニール】の選手達が入場していたようだ。

 現在、円堂守と握手をしているのがイタリアチームの監督みたいだけど……まさか。

 あの選手といい、どうやらわざわざ足を運んで観に来た甲斐があったみたいだ。

 

 

 

ーSide out.???

 

◇◇◇

 

ーSide.松風天馬

 

 

 

『スタジアムにいる観客の皆さま、長らくお待たせしました。まもなく、イタリアチーム【ブレイブニール】の選手入場です!』

 

 

 遂に来た……ッ。

 何やら諸事情で遅れたみたいだけど、いよいよ、イタリアの強豪チーム【ブレイブニール】の選手達が来る。

 俺や雷門の皆、そして観客の視線が選手入場口に集中する。

 まず始めに出てきたのは、顔立ちの整った男性……おそらく【ブレイブニール】の監督であろう人がスタジアムに入ってくる。円堂監督や豪炎寺さん達と同じくらいの年齢に見えるがあの人、何処かで……?

 しかし疑問も束の間。次に入場してきた選手を見て、俺は驚きを隠せなかった。おそらくこれは俺だけではないはず。

 

 

「え……?女の子!?」

 

 

 そう。入ってきたのは、少し長めの髪を後ろに纏めたであろう栗毛色の女の子だった。しかも、驚くのはそれだけじゃない。

 

 

「……それも左腕にキャプテンマークがあると言う事は、彼女がこのチームのキャプテンなのか」

 

 

 神童センパイも驚きつつ、その事実を言葉にする。

 イタリアでも強豪チームと言われている【ブレイブニール】。それを纏めているキャプテンがまさか女の子だとは思いもしなかった。

 次々に【ブレイブニール】の選手達が入場する中、キャプテンマークを身につけた女の子は真っ先に俺の方に近付いて、笑みを浮かべながら手を差し出す。

 

 

「貴方がこのチームのキャプテンかしら?ーーー初めまして。私が【ブレイブニール】のキャプテン、フィリア・サンディーロよ。……今日はごめんなさい。急な申し出だった上に遅れてしまって」

「あ、い、いえ、俺たちは全然大丈夫です!ーーーえっと、初めまして。雷門中キャプテンの松風天馬です。今日はわざわざ、日本までありがとうございます」

 

 

 俺は差し出された手を握り、握手を交わす。し、身長高いなぁ……剣城くらいはあるんじゃないかな。

 少し緊張気味に挨拶をすると、不意にフィリアさんは笑い始めた。

 

 

「ふふ、貴方達の反応見てたら、何となく察したわ。女子の私がキャプテンなのに驚いているのかしら?」

「え!?あ、いや、その……」

「気にしなくていいわ。そう思われたのは今回に限った事じゃないから。ーーー勿論、男子しか出られないようなリーグとかだと、私は試合に出る事が出来ないけど、基本的には私がキャプテンとしてチームを纏めているわ。それに、そういう試合の時は……ジュラーノ!」

 

 

 そう口にしたフィリアは、急に【ブレイブニール】選手達のいる方へ向くと、誰かを呼び出す。

 呼ばれた男はフィリアよりも背が高く、同年代とは思えない体の持ち主だった。

 少し目つきが鋭いが、美形とも言える顔立ちの男がフィリアの隣に立つと、その男を紹介し始めた。

 

 

「彼の名前はジャンカル・ジュラーノ。このチームの正GKで、私が試合に出られない時の臨時ゲームキャプテンなの」

「初めまして、ジャンカル・ジュラーノだ。どう呼んでもらっても構わない。今日はよろしく頼む」

「は、初めまして。キャプテンの松風天馬です。今日はよろしくお願いします」

 

 

 それなりの身長差で威圧感を感じつつも、握手を交わし挨拶をする。

 

 

「……さて、私たちのせいで時間も押しているでしょうし、私もそろそろ戻るわ。今日はよろしくお願いしますね、松風天馬さん」

 

 

 その言葉を最後に、ジャンカルさんと共に相手ベンチに戻っていってしまった。

 確かに時間的にもそろそろ試合が始まるだろう。

 

 

「な、なんかもうちょっと怖そうなイメージだったけど、なんか拍子抜けというか……」

「そうでもないぞ、影山」

 

 

 今の様子を見ていた輝が漏らした言葉に、剣城が口を挟む。

 

 

「……うん。正直、あのフィリアをドリブルで抜けるイメージが浮かばない」

「ああ。あのジャンカルというGKも、見た目以上に相当手強そうだ。俺のシュートが通用するかどうか」

 

 

 実際に言葉を交わした事で感じた率直な俺の思いに、剣城も同じように感じていたようで同意する。

 これが世界トップクラスのプレイヤー、か。

 ……凄いな。

 今からこんな凄い人達とサッカーが出来ると思うと、自然と口元が緩む……っ。

 

 

「さあ、みんな!ポジションに就こう!!」

 

 

 この高ぶった思いを旨に、俺たちはそれぞれのポジションに就いた。

 

 

 

ーSide out.松風天馬

 

 

◇◇◇

 

 

「やあ、マモル。久しぶりだね」

 

 

 松風天馬とフィリア・サンディーロの両キャプテンが挨拶をしていた時。

 【ブレイブニール】の選手達を率いて入場した監督が、円堂守の姿を見ると真っ先に近づき、そのように挨拶をしてきた。

 

 

「まさかお前が監督になっていたなんてなーーーフィディオ」

 

 

 フィディオ・アルデナ。

 イタリアの『白い流星』と呼ばれ、かつて、円堂守がキャプテンを務めたイナズマジャパンと、世界一の座を掛けて戦った、イタリア代表オルフェウスの元副キャプテン。

 チームを離れていたキャプテンの代わりにチームを纏め上げ、オルフェウスをFFIベスト4にまで導いた選手だ。

 

 一時期はプロの第一線で活躍していた選手だったが、不慮のアクシデントで利き足を故障してしまい選手生命を絶たれてしまう。

 

 

「足はもう大丈夫なのか?」

「日常生活を送る分にはもう何ともないよ。……と言っても、サッカーのような激しいスポーツはもう無理だけどね」

「……またお前のシュート、受けてみたかったぜ」

「すまない、マモル。……でもオレの意志は、彼女達が引き継いでいる。その為になったんだ、監督に」

 

 

 そう力強く口にするフィディオの視線の先には、ポジションに就き始めるフィリアの姿があった。

 

 

「……そうか。でも天馬達も、俺らの魂をしっかり受け継いでいる。フィディオ達が思っている以上に手強いぜ?」

「ああ。今日改めて本人たちを見て、感じたよ。それは、彼女も同じだとは思うけどね」

「良い試合にしよう、フィディオ」

「勿論。今日はよろしく頼む」

 

 

 互いにそう口にし握手を交わした事で、それぞれのベンチに戻っていく。

 丁度両チームがポジションに就いたところで、日本とイタリアの親善試合は、イタリアボールからのスタートで幕を開けた。

 

 

 

◇◇◇

 

ーSide.松風天馬

 

 

 

「ーーー先ずこれは、挨拶代わりです」

 

 

 それは、試合開始のホイッスルが鳴った直後の一瞬の出来事だった。

 イタリアボールから始まった親善試合。

 味方からボールを受け取ったフィリアのその一言と共に、フィリアの足元からボールが消える。

 

 ーーー刹那。

 

 

「ッッ!?」

「くッ……何だ!?」

 

 

 俺たちの横を、物凄いスピードの()()()通り過ぎていく。

 突然のことで反応が遅れ、その()()()サッカーボールである事に気付くのに、コンマ何秒か遅れてしまった。

 

 

「まさか、いきなりシュートを……!?」

「ッ、三国センパイ!!」

 

 

 センターラインから撃たれたシュートは、あっという間にディフェンスの最終ラインを抜け、ゴール前まで突き進む。

 距離があったおかげで俺たちよりも早くシュートに反応出来たのか、三国センパイは必殺技の構えに入る。

 右拳に込めたオーラを爆炎へと変えジャンプし、回転と落下のエネルギーを加えてシュートを地面に押さえ込んだ。

 

 

『うぉぉおおおお!!爆!バーニングキャッチィィイ!!!』

 

 

 初めて見たときとは比べ物にならない爆炎を纏ったエネルギーで、シュートの威力は次第に落ちていく。

 完全に威力を相殺したところで、両手でしっかりとボールを掴み抑えた。

 

 

「……ッ、なんてシュートだ」

「ああ。しかも今のはセンターラインからのシュートだったから良いが、あれがペナルティーエリアの中からのシュートだったら……」

 

 

 ーーー入っていたかもしれない。

 それは、今のシュートを見た全員が感じた事だった。

 

 これがイタリアチーム【ブレイブニール】のキャプテンで、10番(エース)を背負う彼女の実力。

 まだ試合は始まったばかりだというのに、世界のサッカーレベルというのを肌に感じた瞬間だった。

 

 

 

「ーーーさあ、見せてもらいましょうか。日本一のチームの実力を」




場面の切り替え多くてごちゃごちゃしちゃった感が……。

今回は色んな人物の登場回となりました。
冒頭の人物、ブレイブニールの2名、そしてフィディオ・アルデナ。
フィディオに関しては賛否両論ある内容かと思いますが、監督業に専念させ後の代表監督にさせたかったのと、フィリア、ジャンカル両名の師匠としての立場に置いておきたかったからです。
円堂達のように、プロ選手の立場を置いて監督に、もしくは両立させてまで監督をやるような人物ではないと感じたので。(まだ若いですし)
イメージとしては円堂大介とロココの関係に近いかな?

三国先輩のバーニングキャッチ……真進化で合っているはずですけど、間違ってたら言ってください。

次回から本格的に試合内容に入っていきたいと思います。色々と不安ですが。

それではまた次回に。
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