イナズマイレブンGO3 ソウルビースト   作:喋る盾

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第六話 それぞれの思惑

ーSide.???

 

 

ピーッピー、ピーーー!

 

 

 

 ……松風天馬とフィリア・サンディーロの衝突。

 新しい必殺タクティクスで突破口を見出せた雷門だったけど、フィリア・サンディーロの()()()によって、戦況は更に覆った。

 ーーーまさか、こんなところであの力を目にするなんて。

 結果的に、更に動きの良くなったブレイブニールに必殺タクティクスを封じられ、相手陣内に孤立する松風天馬。

 フィリア・サンディーロと一対一となり、化身アームドを発動させながら攻める。

 

 

『ーーー諦めなければ、なんとかなるんだッ!』

 

 

 なんとかなる……とてもそんな状況じゃないのは、見てる観客からしても明らか。

 ーーーなのに。

 

 

「………凄い」

 

 

 思わず、私はそう呟いた。

 松風天馬の得意とするドリブルも、必殺技も、それらを化身アームドした状態でありながらも、フィリア・サンディーロを抜くことは出来ない。

 ただ、()()()()()()()()()()()()

 信じ難い事だけど、彼はこの攻防の中で、秒刻みに進化している。あのどうしようもないフィリア・サンディーロの力を前に、少しずつ対応しつつある。

 器用ーーー試合前の私は、彼にそのような評価をした。

 けど、違う。器用なんて、これはそんな低次元の話じゃない。

 ーーー異質。

 そう、サッカープレイヤーとして、彼はあまりにも異質だ。

 

 

ーーーお前となんて、一緒にプレーできる訳ないだろ。

ーーー異質なんだよ、お前。お前のサッカーに付いていくなんて、無理に決まってるだろ。

 

 

 ーーー。

 試合は二人の蹴りの衝撃により、膠着状態にあった。

 力は拮抗しているーーー。

 側からはそう見えるけど、未だ松風天馬は()()()()()()

 僅かではあるけど、フィリア・サンディーロの方が力は上だ。

 このままでは負ける。そう判断した時ーーー。

 

 

『ーーーッ、はぁぁぁぁぁああああッ!!』

『ッ!?』

 

 

 バァンッ。

 松風天馬の蹴りの力が急に高まり、ボールに掛かる力の均衡が崩れる。

 ボールは弾かれ、二人のはるか上空まで上がった瞬間、試合は終了。

 

 4ー2。

 

 後半押していたように見えたけど、結果的には敗北。

 ……せめて後10分、時間があれば、今の松風天馬なら追い付くことが出来たのではないか?

 今の彼を見てるとそう感じるけど、どの道たらればの話だ。

 スタジアムは両チームの健闘を称え、拍手で溢れ返っている。

 しかし私はそんな中、松風天馬というサッカープレイヤーに目線を外せないでいた。

 

 

 彼ならば、きっとーーー。

 

 

 

 

ーSide out.???

 

◇◇◇

 

ーSide.松風天馬

 

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……っ」

 

 

 

 ーーー終わった。

 新必殺タクティクス、そして二度の化身アームド。

 完全に息が上がった俺は、その場で膝に手を置き、整えるように息を吐き出す。

 4ー2。

 結果、そして内容を見ても、明らかに完敗だ。俺達のサッカーはまだ、世界のトッププレイヤーには通用しない。

 悔しさ……は勿論ある。

 けどそれ以上に、楽しかった。世界のトップクラスのサッカーというのを、肌で感じる事が出来た。

 今はまだまだだけど、いずれはーーー。

 

 

「お疲れ様、松風さん。とても良い試合だったわ」

「フィリア……ありがとう。俺達もその、楽しかったです」

 

 

 その場で息を整える俺に近づくフィリア……その後ろには、GKのジャンカルもいた。

 フィリアは手を差し出して来る。

 俺はその手を取りつつそう告げると、フィリアの顔は真っ赤に染まった。

 

 

「や、やっぱり聞こえてたのね……。ごめんなさい、プレー中に」

「あ、いや……っ、俺もあの時はその、とても充実しててーーー全く、同じ事考えてました」

「充実……そうね。私もとても充実していたわ。最近、こんな試合をした記憶が無かったから、余計に……ね」

 

 

 フィリアは微笑みながら、そう語る。

 

 

「ねぇ、松風さん。貴方の事、"テンマ"って呼んでも良いかしら?貴方も、試合の時みたいにフランクに接してもらって大丈夫よ?」

「え?あ、はい!もちろん!」

 

 

 ふふっ、とこれまた楽しそうにそう口にする。

 その後ろでは、ジャンカルがとても驚いた様子でいた事に気付く。

 ……その後、何故か鋭い視線をこちらに向けていた事にも。

 

 

「じゃあーーーテンマ。また試合しましょうね。今度は、もっと大きな舞台で」

「はい…あ、いやーーーうん、やろう!今度は絶対、負けないから!」

 

 

 俺とフィリアは、改めて握手を交わす。

 それと同時に、スタジアム全体が拍手で溢れ返る。

 こうして、俺達の初めての海外チームとの試合は、敗北という形で終わりを告げた。

 

 

 ただーーー俺とフィリアは、この時の約束の機会が近いうちに訪れる事を、今はまだ知らなかった。

 

 

 

 

ーSide out.松風天馬

 

◇◇◇

 

ーSide.フィリア・サンディーロ

 

 

 

 

「えらく気に入った様だな。あの松風天馬とかいう小さなキャプテンの事を」

 

 

 日本のチーム、雷門との試合が終わり、宿泊予定のホテルに向かうバスの中、試合の余韻に浸っていた私に、隣に座るジャンカルがそのように口にする。

 

 

「気に入った……そうね。彼は強いわ。サッカーの技術云々の前に、心の在り方が。あの純粋なサッカーへの強い想いの気持ちが、彼をあそこまで強くさせた」

 

 

 試合終了後の彼は、試合前の彼よりも圧倒的に違う。ブレイブニール(私達)という強い力とぶつかった事で、彼をあそこまで成長させた。

 そしてそれは、私も同じーーー。

 

 

「フィディオさんがよく言ってたじゃない。本当に強くなりたいのであれば、自らの力を全て出し切り、互いに成長し合える唯一無二の存在ーーー好敵手(ライバル)と出会う事だって」

「……フィリアにとっての好敵手(ライバル)が、彼だと言うのか?」

「そうね……。今日の試合は、お互いが成長し合えた場だった。()()()がどう思ってるかはわからないけど、私にとっての好敵手(ライバル)は正に彼ね」

 

 

 もしかしたら、フィディオさんの狙いはそこだったのかもしれない。

 正直に言えば、本国でプレーしていた時の私達は、何処か停滞傾向にあった。

 各大会での優勝……圧倒的というわけではなかったし、強敵ともいえるチームは他にも存在する。

 ただ、その中でも選手個人で見ると、強敵といえるのは本当に片手で数える程だ。チーム全体が高いレベルである事は、実はそうそう無い。

 そんな中で決まった、FFI優勝国である日本で一番強いチームとの試合。

 今回の相手は、チーム全体が高い水準のレベルにあり、その中でも世界で通用する輝きを持つ選手が何人かいた。

 そして、その中でもテンマは、一層の輝きを見せていた。今はまだ発展途上でも、次に会った時はーーー。

 

 

「それに、今日個人シュートで私達のゴールを奪ったのは、紛れもなく彼じゃない。直に彼のシュートを目の当たりにした貴方なら、分かってくれると思っていたのだけど」

「………分かりたくもないな」

 

 

 不機嫌そうにそう呟いた彼は、拗ねるように私から視線を外し窓の景色を眺めた。

 ……試合が終わってからというもの、ずっとこんな感じだ。

 一体、何故ずっと不機嫌でいるのか。

 

 

「……まあ、いっか」

 

 

 私も目を閉じつつ、そのように自己完結させる。

 ーーー明日には、イタリアに帰国する。

 今度また試合する時の為に、私ももっと強くなりたい。

 サッカーを始めてからというもの、こんな気持ちは初めて……だからこそーーー楽しくもある。

 ホテルまでの道のり。

 私は初めての、不思議な感情に心地良さを感じつつ、そのまま眠りについた。

 

 

 

ーSide out.フィリア・サンディーロ

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーSide.松風天馬

 

 

 

「霧野、剣城をマークだ!車田さんは倉間をお願いします!天馬は俺が!」

「ああ、わかった!」

「頼んだぞ!」

「行きますよ!神童センパイ!」

 

 

 フィリア達との試合から、早二週間。

 今日も俺達雷門は、練習に明け暮れている。

 あの試合で、色々と課題が見つかった俺達の練習は、少しずつ変化が見られた。

 今の神童センパイの指示もそう。

 以前はどちらかというと、司令塔としてオフェンスに重視した指示だったのに対し、この二週間はディフェンス面にも指示の傾向が見られる。

 神童センパイ自身もディフェンス技を習得した事で、雷門の守りは更に強固なモノとなった。

 その証拠と言ってはアレだけど、四日前に行なった新雲学園との練習試合では、太陽を中心としたあのオフェンス相手に、4ー1と得点を1点に抑え俺達雷門が勝利した。

 そして、俺自身もーーー。

 

 

『アインザッツ!』

 

 

 対峙する神童センパイが、両手で空を切るように払いクロスさせ、奏でる音を聴くように目を閉じる。

 俺はその目を閉じたタイミングで、ボールを軽く蹴り空中に上げる。

 そして神童センパイが目を開け、ボールをカットしようと接近して来るタイミングでスピードを上げ、ループするように落ちてきたボールを確保して抜き去った。

 

 

「なっ……!」

「通さないよ!天馬君!」

 

 

 神童センパイを抜き、狩屋が即座にフォローに入る……けど。

 必殺技に入られる前に、目線と脚の動きで左右に揺さ振りを掛ける。

 フェイントも挟みつつ、狩屋の脚が大きく開いた所を股抜きで抜き去った。

 

 

「やっ…ば!」

『ゴッド…ウィンド!!』

『はぁっ!ーーーぶっ飛びパンチッ!!』

 

 

 狩屋を退け、キーパーの信助と一対一となる。

 俺のゴッドウィンドに対し、信助はぶっ飛びパンチで対応する。

 しかし、神風の勢いにサイドからのパンチングでは捌く事が出来ず、ボールはそのままゴールに突き刺さった。

 

 

「……やられたな」

「……スピードも相手を抜くドリブル技術も、あの試合からまた格段に上手くなったな」

 

 

 俺が倒れている信助に手を貸していると、神童センパイと剣城がそんな事を口にする。

 

 

「ホント凄いよ、天馬!この前の新雲学園との練習試合もドリブル技使わないで、相手を何人も抜いてたしさ!スピードもまた速くなったよね!」

「そ、そんな事ないよっ!俺なんてまだまださ。……今のままじゃ、まだフィリアを抜く事は出来ないし、もっと…もっと上手くならないと……」

 

 

 ……フィリアと一対一になった、あの最後の攻防。

 あの時のどんどんスピードが増していく感覚ーーー正直今の俺は、あの時のスピードには全然追い付いていない。

 その上、俺のドリブル技術がまだ未熟だったから、あの時はスピードを活かしきれなかった。

 あの加速していくスピード、そしてそれを活かせる技術があれば、フィリアを抜く為のーーー新しい必殺技に繋がるかもしれない。

 そう思ってこの二週間は、極力ドリブル技を使わずに練習してきたけど、なかなか上手くいかない。

 

 

「僕も負けてられないなぁ……。あのジャンカルってゴールキーパーの動きは、きっと僕にも応用が効くと思うんだよね。あの体の使い方、足腰のバネの活かし方……あの試合で、どれも凄く勉強になった気がするよ」

「俺もあの試合のフィリアの動きは、同じFWとして参考になる部分が多かった。今まではパワー寄りに作り上げた必殺技が多かったからな……一度基本に立ち返ってみるのもいいかもしれない」

 

 

 信助も剣城も、あの試合で学んだ事を活かそうと色々と考えている。

 もちろん、信助や剣城だけじゃない。

 他の皆も、それぞれの思惑でこの二週間の練習を行なっているのは、側から見てもわかる。

 

 ーーー雷門は、まだまだ強くなる。

 

 フィリア……俺、頑張るよ。

 この凄いチームのキャプテンとして、いつかきっと、フィリアのチームともう一度サッカーが出来るように。

 あの時の続きが、出来るようにーーー。

 

 

「さあ、皆!もう一本いきましょう!!」

 

 

 ーーーもっともっと、強く。

 

 




どうも、喋る盾です。
今回でブレイブニール編は完全に終わりです。次回からは本格的に、イナズマジャパン結成編となります。(今回で1つのまとまり方として良い感じに終われたので、もしかしたら次話投稿と同時に1章をブレイブニール編という形に変更になるかもしれません(汗))

今回は主にブレイブニール戦のその後のまとめ的な話なので、特にいつもの様な説明もない……かと思います。関係性などについては、今後本編で詳しく書けていけたらと考えてます。

次回の投稿について、既にとあるオリキャラが出る事は確定しているのですが、まだビジュアル等が完全に定まっていないので、完全に決まり次第投稿させて頂く予定です(流石に半年も掛からないかと思いますが(笑))

それでは、また次回に。
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