第一話 神の、加護です?
[アザゼル side]
年の瀬でもうすぐ新年を迎えようとしている今、俺は某国の僻地の川でかれこれ数時間は釣り糸を垂らしていた。因みに釣果はゼロだ。なにせこの川にはそもそも魚が居ないからな
新年に向けて全員が忙しくしている中で俺がそんなある意味で太公望染みた事をしているのは伝説に因んでとある大物を釣り上げたいからに他ならない
その大物は俺の隣に座って同じく釣り糸を垂らしている青光りする黒髪の持ち主の15歳前後の年齢に見える人物だ
俺が意識を向けたのが判ったのか青年は軽く笑う
「・・・釣りは苦手だったかな?」
「いいや、一応
この青年に見える人物程ではないがそれなりには長く生きてるという自覚は有るんでね
色々と手を出してみたものは有る
最も趣味として没頭できるものも、そうでないものも有ったがな
「成程、ブームは過ぎ去っていた訳だ。まぁ僕も前に釣りにハマっていたのは結構昔で、今は久しぶりのブームの再来なんだけどね」
確かにずっと続く趣味と時折思い出したようにハマる趣味ってのは有るもんだ
俺の場合神器研究が前者で釣りは後者に当たる
とはいえブームでないからと言っても別にその間釣りが嫌いになる訳でもないんだがな
「―――あんたに頼みたいのは一つだけだ。もしもトライヘキサが復活した時にはあの獣を止めて欲しい」
「良いのかい?あれはキミたち聖書陣営の怪物だったと思うが」
「現時点でアレを単独で止められるとしたらアンタだけだろう」
「買い被り過ぎだよ。且つて地上最強と謳われた二天龍ですらもその獣と同等とされる全盛期のオーフィスやグレートレッドを止める事など出来ないだろうに」
確かにその通りだ。二天龍が封印されている現状、この青年こそがグレートレッド達を抜かした中では最強だがそんなものは気休めにも為らないだろう。それどころか当時の二天龍を超えたのではないかと目されるクロウ・クルワッハの方が実際に強いかも知れん。しかしその上でトライヘキサを相手に対抗しうる存在が居るとしたら、この神以外に在り得ないんだ
「そうだな。普通ならば無理だろう。だがアンタは『戦争』を司る神であると同時に『曖昧さ』を司る神でもある。自身の存在を敵対する相手の尺度に合わせて変貌させ、どんな相手でも『戦争』を引き起こせる・・・違うか?破壊神シヴァ」
◇もしもこの場にイッキが居れば「月姫の『
「ははは、僕より強い奴なんて基本は居ないから殆ど死にスキルだけどね―――しかし僕が引き起こせるのは『戦争』であって『蹂躙』じゃない。トライヘキサを止められたとしても相応に苦労はするだろう。そんな僕にキミは何を差し出せるのかな?」
「俺に用意できるものなら何でもだな。俺の命が欲しけりゃくれてやるし、オーディンの爺さんやゼウスのオヤジにも対価を出すよう頼む事も出来るだろう。俺の伝手の届く範囲の全てだ」
世界を滅ぼせるトライヘキサの相手をして貰おうってんだ。正直これでも安すぎるくらいだろうが、これ以上の物は用意できん
下手な交渉は逆効果と思って最初から
ったく、世界の為に此処まで身を張る事になるたぁ少し前までは思いもしなかったぜ
「要らないさ。キミの命も、なんだったらオーディンやゼウスの命にだって興味はない。あえて欲するならオーフィスやイレギュラー体とされるサーゼクスやアジュカ。彼らのような僕の喉元に届きそうな人材は欲しいところだが、彼らが求めるのは『平穏』だ。能力は申し分ないとしても『戦争』を司る僕とは相いれない―――折角部下にしても、逆に敵対したとしても嫌そうに戦われては僕もモチベーションが下がるからね」
そこまで口にすると隣に座っていたシヴァは立ち上がって告げる
「呑もう。キミの願いを。件の獣がグレートレッドを倒し、異世界に進出しようとするのなら僕が阻もう。ただし、それ以外は干渉しない。クリフォトを潰して復活を阻止したりといった事には一切手を貸さない。僕が動くのはあくまでもキミたちの思う最悪のシナリオが動き出した時だけだ」
「そうか。有難い。心から感謝を・・・」
「いいさ。それが僕の役割だからね―――全てを破壊する」
するとシヴァは川から巨大な光り輝く魚を釣り上げた。この川に魚は居ないはずだがこの神には俺には見えない世界が見えているのだろう
しかし、結果は上々だ
俺達聖書陣営から出てきた問題のケツ持ちをシヴァに任せる事が出来たのだから
内心安堵していると跳ねまわる巨大魚を指一本で一撫でして大人しくさせていたシヴァが異世界の事について話しかけてきた
「しかし、キミたちは余程異世界の事を危険視しているようだね。そんなに異世界の神とやらは強大だと思っているのかい?」
「ああ、次元を隔ててイッセーに加護を与えるなんて離れ業をした乳神は悪神ロキを一撃で倒す程の力を齎している。それ程の事が出来るとすればグレートレッド級の力は必要だろう。そしてそれらと戦っているとされる邪神・・・現時点で判る範囲でもそれだけの強さが有るんだ。そんな処にリゼヴィムがちょっかい出してもしもグレートレッド級の奴らが異世界には2体も3体も居るなんて事になればこの世界は蹂躙される以外の道が無くなっちまう。それは避けなきゃいかん」
相手の戦力も不透明な中で取り敢えず戦争を仕掛けようってんだからリゼヴィムの幼稚さには毎度頭痛が襲ってくるぜ
「最高なのは俺達がリゼヴィムを倒して異世界の神々も邪神とやらを倒し、異世界間協定でも結ぶ事なんだがな」
乳神とやらが所属している陣営が一枚岩かは分からんが、既に異世界の存在自体はお互いが認識してしまっている
例え簡単に行き来出来ないのだとしても不戦協定くらいは結んでおきたい処だ
まっ、そんな馬鹿みたいに都合の良い状況なんて早々起きるはずもないんだがな
~『おっぱい
『ええい!
『ハッ!
『レガルゼーヴァとセラセルベスは今如何している?』
『兄君であらせられる鬼神・レガルゼーヴァ様は
『二人とも呼び戻せえええええええ!!』
~『おっぱい
この世界の誰も知らない内に異世界の命運はおっぱいによって左右されそうになっていた
[アザゼル side out]
年の瀬を超えて新年を迎え、俺達は今京都の伏見稲荷大社に初詣に来ていた
俺と黒歌は一応毎年こっそり来ていたけど今回はオカルト研究部のメンバーも一緒だ
初詣に何処に行くかという話になった時に俺が京都に行くという事を伝えたらリアス部長改めリアス先輩に「なら皆で行きましょう」という事になったのだ
因みにアザゼル先生は他のVIPの方々との新年会でこの場には居ない
後に送られてきた写メはアザゼル先生とサーゼクスさんにグレイフィアさん。ミカエルさんにギリシャの主神ゼウスと北欧の主神オーディンが酔っぱらって全力でエンジョイしてる画像だった
「待っておったぞ!皆の衆!」
伏見稲荷大社の山を登った先では九重が元気に出迎えてくれた
よく見れば先日贈った簪で髪を結ってある
直ぐ後ろには八坂さんと御付きの妖狐の人達が数人待機してる
流石に新年で人がごった返しているので一角に人避けの結界を張ってスペースを確保してるので九重たちも狐耳や尻尾はそのままだ
「皆様、遠路はるばるようお越し下さいましたなぁ」
それから俺や黒歌が定例文で挨拶すると次に振袖姿のリアス先輩がグレモリー眷属代表としての挨拶を交わす・・・一応以前通信での挨拶はしていたけどリアス先輩と朱乃先輩に白音とレイヴェルは八坂さんと直接顔を合わせるのは今回が初めてになるからね
そして初顔合わせはその4人に限った話ではない
「は、初めまして。息子が何時も世話になっております」
「九重ちゃんとも久しぶりね」
―――そう。この場に居るのは俺の両親も含まれる
オカルト研究部の挨拶だが裏の事を知った両親という事と京都で出会う予定の八坂さんと九重が俺との繋がりが濃すぎる訳なので(九重との婚約的な意味で)挨拶をという事になったのだ
京都を統べる八坂さんやその娘の九重は新年は基本忙しいから両親だけ後で時間を作って貰うというのも八坂さん達のスケジュールを圧迫し兼ねないからな
「でも九重ちゃんは確か11歳だったわよね?それが3年前からイッキの婚約者だなんて・・・イッキ、貴方変な事はしてないでしょうね?」
出来るか!白音は見た目ちっこいけど高校生だが九重は人間界で言えば小5だぞ
寧ろ俺の方が何かと性に寛容な八坂家に振り回されてるわ!
それからは皆で先ずは当初の目的である初詣のお祈りを済ませる
俺は戦闘力が上昇しそうな神の加護でも得られませんか?とか祈っておいた
トライヘキサの事がある以上は世界平和とかは自分で掴まないといけないからな
役立ちそうなステータスアップ系の加護を是非!・・・まぁ何かが付与された感じは暫く待っても何も無かったんだけどね
お社の方では他にシトリー眷属も初詣に来ていたらしく新年の挨拶を交わす
サジは次期生徒会の副会長の座を狙ってるらしく、当選祈願をしたようだ
因みにだがサジはまだソーナ会長と花戒さんに仁村さんとの進展が無いらしい・・・と云うのも『できちゃった結婚』を叫んだらしいサジと彼女達の間がギクシャクして誰も話題を切り出せないのだとか―――気まずいのは分かるけどソーナ会長はもう直ぐ卒業なんだし、それまでには決着付けろと背中を叩いておいたけどな
他にはゼノヴィアと花戒さんが至近距離で火花を散らしているな
あの二人は生徒会長に立候補しているので今回はライバル同士になる訳だ
「負けるつもりはないわ。ゼノヴィアさん」
「ああ、桃。やるからには全力だ。そしてその上で私が勝つ!」
お互いニヤリと笑いながら握手している
「おお!アレが青春というヤツなのじゃな!」
九重も目をキラキラさせてるな。熱い学園ドラマを目の前で見られればそうなるだろう
そんな事を考えてると八坂さんが後ろから近寄って来て耳元の辺りでコッソリと声を掛けてきた
「(ふふふ、九重は人間でいう中学生に合わせて駒王学園に入学するようリアス殿に取り計らって貰っておるのじゃ。今年の春からと云う手も有ったのじゃがイッキ殿も黒歌殿達も後一年はお互いの体に気兼ねなく溺れたいじゃろう?九重をイッキ殿の家に送る時までには
なに言ってのこの人!?いや、確かに九重が同居するようになったらとっても
「最も、九重にアレコレ吹き込む反動でイッキ殿の家に住まう九重が体を持て余すかも知れんが、例の黒歌殿の魔法が有るなら手を出しても良いでの」
「出しません~!九重の事はちゃんと大切にします~!!」
大学生になってるはずの俺に中学生を襲う許可とか出さないで下さい!
極めて健全な関係を心掛けますよ!
「ふむ。しかしそれはそれで九重にとって辛いものかも知れぬの・・・好きな男と一緒にいて優しくされる日々。段々と膨れ上がる愛情とそれに伴う情欲・・・終には九重の方が強引にイッキ殿を押し倒す・・・うむ!一筆書けそうじゃ!」
書くなよ!自分の娘を出汁にした官能小説妄想しないで下さいよ!
誰が読むんだそんな物!?
八坂さんの相変わらずの質の悪い冗談(冗談だよね?)に翻弄されつつも全員分の参拝が終わったようで、これから皆は京都の他の神社なども廻っていく予定だ
祀ってる神様によって家内安全や合格祈願、商売繁盛など特色があるからね
ゼノヴィアなんかは「それでも願うだけならタダだろう。全ての神社で子宝を願うぞ!」とか言ってたけどな
イッセーはそんなゼノヴィアに新年早々ツッコミを入れて疲れた様子で白い息を吐いている
「ったく、ゼノヴィアの奴はなんちゅう願いをしてるんだか」
「そうか?悪魔は子供が出来難いんだし、今から願うだけ願っといても良いと思うんだが」
「ゼノヴィアの肩を持つなよ。高校生で父親になる勇気は流石に無いぞ」
まぁそうだよな。そこら辺の事も加味して黒歌も避妊魔法作ってた訳だし
「と言うかその言い方だとちゃんと付き合う事も視野に入れ始めたのか?」
『今』はダメでも『将来』は父親になっても良いって聞こえたぞ?
「あ~、そりゃ俺の夢はハーレム王でリアスも朱乃さんもアーシアもゼノヴィアもイリナもそれに多分最近グイグイ来るようになったロスヴァイセさんも俺なんかの事を好きって言ってくれるんだ。何時までも返事をしないままって訳にはいかないだろう?・・・と言っても今はまだ心の準備をしただけなんだけどな」
おや?なんだかイッセーが精神的に成長している気がする―――なんでだ?
「お前のお陰だぜ、イッキーーー好きな女の子を全力で幸せにする気概くらい持てないで、ハーレム王なんて目指せる訳ないもんな」
両親に裏の事がバレた日の『黒歌達を絶対幸せにする』宣言の事か
何時の間にか俺がイッセーのハーレム王の道の手本の一つみたいな感じになってたのかな?
目指した訳じゃないけど一応俺もハーレムのカテゴリーには入るだろうし、触発されたのか
「じゃ、
「おう。イッキだけじゃなくて白音ちゃんや黒歌さんにレイヴェル。それにイッキの両親までとか八坂さんはどんな用事なんだろうな?」
そう。実はこの後今イッセーが言ったメンバーは皆と別れて裏京都に向かうんだよな
「内容は聞いてないけどこのメンツなら婚約関係で『将来良くして下さいね』って改まった挨拶をするとかそんな感じじゃないのか?」
婚約者を一堂に集める理由なんてそんな処だろう
「お家同士の交流ってやつか・・・それだとレイヴェルの親御さん達は?」
「フェニックス家とかは上級悪魔の中でも位は高いし、新年はパーティーに出ずっぱりで忙しいだろうから流石に無理だろう。一応三箇日の間に両親連れてフェニックス家に行く予定は有るぞ?」
その辺りの手続きはレイヴェルに頼む事になったけどな
「マジで?お前本当そういう処はサッサと話進めるよな」
「いや、元々京都で八坂さんと挨拶するのもフェニックス家に挨拶に行くのもこれは両親の案だよ。ほら、俺の家って一般の出じゃん?八坂さんもフェニックス家も遥か格上になるから挨拶だけでも早めに済ませておいた方が良いって両親が気にしてさ」
「あ~、確かに俺がイッキの両親の立場なら気持ちは分かるかな?」
イッセーの両親はリアス部長の両親と授業参観の時に自然と交流を持てて実は何回か兵藤家に来ていたみたいだから未だしも、俺の両親からしてみれば八坂さんやフェニックス卿は妖怪と悪魔のお偉いさんと云う以外の情報はほぼ皆無だからな。裏の事を聞きかじった程度の両親が色々と気にしてしまうのは仕方ない処がある
まぁ八坂さんもフェニックス卿も気さくな性格だから実際に出会ってみれば印象も変わるだろう
皆と別れて裏京都に入り八坂さんと九重の住む屋敷に歩いて行く
江戸時代風の町並みにそこかしこに色んな妖怪が居るので両親の目線が忙しない
いや、白音とレイヴェルも一緒か
「日本の古風なものを好むリアス様なら裏の京都でも目を輝かせそうですわね」
「リアス部長・・・リアス元部長はグレモリー領の実家にも色々と日本のグッズを溜め込んでいますから―――年末の大掃除でヴェネラナ様に大量に廃棄されて落ち込んでいましたが」
グレモリー眷属が年末に冥界に行ってたのはそれか
きっとリアス先輩は色々と抵抗してヴェネラナさんに一蹴されたんだろうな
と云うかヴェネラナさんが娘の私物を棄て去るとかどれだけ実家のリアス先輩の部屋はカオスな状態になってたんだろう?
少し見てみたかったかも知れん
そんなこんなで辿り着いた八坂さんの屋敷だが中には入らずに屋敷の裏手に回って更に進んでいく
そうなると流石に皆訝し気な表情となる
「あの八坂さん。どこに向かってるんですか?」
「なに、そう急かさんでも直ぐに分かるでな」
そう返されたら黙るしかないので大人しく付いて行くとしめ縄が掛かっている大きな丸めの岩が鎮座し、その周囲も石造りの祭儀上となっている場所だった
「この場所は裏の京都の頭目が新年に吉兆を占ったりこの国の神々と直接話せる『ほっとらいん』が繋がってる場所でもあるのじゃよ」
ほうほう!詰まりは八坂さんが直々に俺らの事を占ってくれると、そう言う事かな?
「―――という訳で今から天照大御神殿と繋げるからの」
「いやそっちぃぃぃ!?いきなり日本の神々のトップとどんな話が有るって言うんですか!?」
全力で太陽神じゃん!日本の主神様だよ
「なんじゃ。イッキ殿達は前に北欧の主神であるオーディン殿の護衛を務めていた事も有るんじゃから今更じゃろう」
そりゃオーディンやら三大勢力のトップやら色々とトップもしくはトップクラスと沢山出会ってるけど初めて出会うお偉いさん相手に緊張ゼロとはいきませんからね?
両親は・・・あ、ダメだ
神話クラスの話に付いて行けてない。フリーズと云うか考える事を放棄してやがる!
確かに矢面に立つのは俺だとは思うけどさぁ!
「そうか・・・そうだよなぁ。神様が本当に居ると知ってるんだからさっきのお参りももっと真剣に祈っておくべきだったのかなぁ」
「ええ、あなた。後で改めて参拝しておきましょうか」
そろそろ現実に戻って来て欲しいと思ってる中、八坂さんは着物の袖の中からサバイバルナイフ位の大きさで刀身の代わりに沢山の鈴が付いている祭具である神楽鈴を取り出し"シャンッ"と鳴らす
するとしめ縄の掛かっていた大岩に映像が映し出された・・・あの大岩ってビデオ通話の画面だったんですかい!
古代から続いていたであろう現代文明に匹敵する技術力に慄きながらも画面に目を向けるとそこには金髪美人が映っていた
見た目ではFateのキャス狐の狐耳無しに近い感じだな―――あと金髪
そう言えばキャス狐は太陽神の分霊みたいな立ち位置だったっけ?まぁ似てるだけだと思うが
≪久しゅう。八坂。秋の折に攫われた聞いた時は心配したぞ?大事無いようで何よりじゃ≫
”みこ~ん!と可愛く初登場♪”・・・なんて出だしじゃなくて安心したよ
そこまでいってたらちょっと悪い意味で時空が歪みそうだったからな
それから八坂さんと軽い新年の挨拶を交わした後で天照様は俺達にも自己紹介及び挨拶をしてくれたので礼をして答えた
両親はカチコチだったし黒歌は白音に懇願される形で礼を取った感じだったけどな
白音もそこまで心配しなくても多少はこっちに合わせるようになってくれた黒歌なら無難な挨拶程度はしてくれたはず・・・はずだよね?
断言出来ない辺りが黒歌らしいと言うかなんと言うか・・・
≪さて、新年は何かと忙しいからの。早速じゃが本題を・・・と言う前に有間一輝。お主に一つ謝っておかねばのう≫
え?俺日本の神様と交流とか無いから謝るも謝られるも無いはずなんだけど
≪お主、先程宇迦に願い事をしたじゃろう?≫
宇迦―――伏見稲荷大社の宇迦之御霊大神の事だな
確かに願い事自体はしたけど神様の御利益も参拝者の数だけ分散してるなら何も感じなくても可笑しい事なんて無いと思うのだが、違うのか?
≪宇迦も『すてーたすあっぷ』などと言う願い事は初めてだったとは言っていたが折角クリフォトとの戦いに赴いているこの国の人間の其方に多少なりとも力になればと加護を授けようとしたらしいのじゃが、弾かれてしまったようでな―――こうして見てみればよう解る。人と神の間に出来た子程度ならば未だしも、お主の持つ【神性】は各神話の神々でも主要な地位に就いとる者ら並みじゃ。加護はあくまでも『神』が己が庇護する『人』に与えるもの・・・お主は人間じゃが気配が人のそれではない。お主の【神性】に加護が弾かれてしまうのじゃよ≫
Oh shit!
主神様にまで『人間じゃねぇ』って言われた!いや、『人間だけど』って言ってくれてるけども!
≪まぁそういう訳でお主には今後も神の加護は欠片も届かんという訳じゃ≫
い、いや。まだ慌てるような時間じゃない
アザゼル先生もオーフィスのお社とかで「無限の龍神を祀るお社とか調べるっきゃねぇだろ!」って『加護測定器』を始め色んな物で計測して皆にボコられてたけど特に俺だけ加護が届いてないとかは言ってなかったし、要は主神クラスだとほぼ同格だから加護を与えられないけど最強の龍神様の加護なら俺の【神性】を貫通して加護を届けられるって事だよな?
ああ、オーフィス。俺が祈りを捧げる神はお前だけになりそうだよ・・・
「にゃはははは!い、イッキだけ加護を得られないとかそこまで盛大にハブられてるだなんて可っ笑しいにゃ~!まぁ元々加護にそこまでの性能を期待しても仕方ないし、諦めるしかないんじゃないかにゃ?」
そんなに笑うなよ。拗ねるぞ畜生!
「元気を出して下さいまし、イッキ様」
「ん、加護が無くてもイッキ先輩なら問題ない」
「寧ろそれだけの【神性】を持っておると言う方が凄いじゃろう」
肩を落とした処に左右から白音とレイヴェルがちょっと背伸びして頭を撫でてきて正面からは九重が抱き着いて来た
うぅ・・・気遣いが妙に身に染みるぞ
黒歌も背後から背中をポンポンと叩いてくるしな。と云うか爆笑してたのは黒歌だよね!
≪うむ。正しく八坂の娘の言う通りでな。お主が加護を求めたのはクリフォトと戦う為の手札を一枚でも多く欲したからじゃろう?ならばお主がそやつらに加護を与えてやれば良い≫
なんかこの神様今トンデモナイ事言いませんでしたか?
「あの、天照様・・・俺別に神様じゃないんですけど・・・」
≪別に半神などであっても加護は授けられよう。確かに神として特別なにかを司る訳でも無いのなら広範囲に加護を授ける事は出来ずとも、お主自身が大切に扱い、守りたいとする者達ならばその限りではないのじゃ≫
そう言われると今まさに自分の周囲を固めてる四人という事になる
両親もそうだけど俺が今必要としているのはクリフォトと戦う為の加護だ
そういう意味では両親は加護は対象外になるな―――九重の場合は将来的な話になるが
≪決まったようじゃな。それで良い。後でそこの祭場で簡易の儀式を執り行えば加護も繋がるじゃろう。今は一年で最も祈りと加護の力が蔓延している時期な上に京の都なら十分なはずじゃ≫
そりゃ京都なら天界の『システム』に似て非なる感じの機構が組み込まれてるでしょうね
≪では、加護の話も終わった処で本題に入ろうかの≫
そう言えば加護はついでの話でしたね・・・衝撃的過ぎてこれで終わりだと思ってたよ
≪なに、単純な話での―――お主達の婚約及び将来の婚姻をこの国でも正式に認めるよう取り計らうという話じゃ。
成程、そういう話ですか・・・確かに俺達にとっては利にはなっても損にはならない話だけど、主神様が直々にそんな事を告げるような事か?
支配者目線で考えるなら俺に少しでも恩を売ってこの国との結びつきを強くする為か?何だかんだで一応俺も魔王クラスで且つ寿命も延びてる訳だし
しかしそれにしたって九重はまだ11歳だ。話を振るにしても少し性急過ぎる気もするけど、この時期でないとダメな理由が有るとか?
・・・トライヘキサと隔離結界か
原作知識を基にして考えればもうそろそろ各神話体系の神々や魔物などのトップたちが万が一復活したトライヘキサを滅ぼす苦肉の策として隔離結界と呼ばれる頑強な結界にトライヘキサと一緒に封じられてその内側で約一万年程の時間を掛けてトライヘキサを滅ぼすという策が有った
各神話の主要な神々・・・当然目の前の天照大御神も参戦すると考えるべきだろうし日本屈指の神社・仏閣を有する裏京都の支配者である八坂さんにも秘密裡にその計画は伝わっているはずだ
―――となればもう直ぐこの世界から居なくなる『かも』知れない神々は心情的に『やれる仕事は出来るだけやっておきたい』となるのだろう
そう考えれば一応の納得はいく訳だ。なら・・・
「格別のご高配を賜り痛み入ります。謹んでお受けいたします」
さっきも言ったが悪い話ではないので慇懃な感じに受け取っておく事にした
実質タダで貰えるもんなら貰っとこうと云う訳だ
≪ホホホ、そうやってこの話を素直に受ける姿を見るにその者らとの将来は安泰のようじゃのぉ
―――では八坂よ、後は任せるぞ≫
「畏まりました。後日、関東の妖怪との和平協議の折にまた御逢い致しましょう」
天照様は口元を着物の袖で隠して笑いながらそこで通信は切れたのだった
その後、簡易な儀式とやらを八坂さん主導の下で執り行った事により4人には俺の『加護』とやらが付与される事となった
黒歌達なら上手く使うだろう
ともあれ京都でやる事も終わってイッセー達も参拝巡りは終わって帰宅しているとの事だったので俺達も俺達で家に帰って行った
黒歌や白音は仙術使いだから未だしもレイヴェルはまだ追加されたばかり加護の気配を十全に隠蔽とか出来ないので夕方に改めて皆集まった時に普通にバレてしまったけどな
「加護を授けたってイッキお前・・・やっぱ人間じゃないだろ?」
「人間だよ!最近ちょっと自分でも自信が持てなくなってきたけど人間ですぅぅう!!」
だから皆もそんな微妙な視線を向けないでくれませんかねぇ!
こうして新年初日から幸先の良いのか悪いのか判らないスタートを切ったのだった
・・・その日の夜、俺の加護を得た事で感情が高まったのか艶っぽい
冒頭では破壊神の実力と能力を考察してみました。原作では散々グレートレッドたちを抜かせば二天龍最強!ドラゴン最強!とやってたのにいきなり666を単独で止められるシヴァとか出て来るし、超越者モードでもない四大魔王と同等と公式にあるインドラがシヴァをライバル視しているとかそこら辺を原作リスペクトしながら矛盾が出ないようにすると『原初の一』みたいな能力になりましたww
あとイッキの加護はもう直ぐ最終決戦ですので嫁ーズを筆頭にイッセー達も原作とは違う成長やら必殺技やらを出していきたかったからですねw