『D×D』のメンバーとして三箇日は怒涛のお偉いさん方相手の挨拶で時間を潰し、残りの僅かな冬休みはそれぞれが実家に帰ったりプチ旅行に行ったりして過ごした
イッセーはイッセーで田舎の祖母の家に両親とアーシアさんと一緒に帰省してそこでプラモ漁りもとい大公としての仕事に来ていたシーグヴァイラさんと吸血鬼のエルメンヒルデと偶然出会ってプラモに情熱を傾ける上級吸血鬼と戦ったりしたらしい・・・うん。毎度の事ながらよく分からん
因みに同じプラモデル好きのシーグヴァイラさんとその吸血鬼だが意気投合したりはせずに細かいマニア魂の違いから相容れる事は無く、激闘を繰り広げたのだとか
シーグヴァイラさんってソーナ会長と同じ眼鏡クールキャラなのにロボットとかが大好きなのだそうだ。なんでも現大公アガレスの教育の賜物なのだとか
まぁ別に個人の趣味の範疇の話だし違和感は有るものの否定するようなものでも無いだろう
そして迎えた3学期、始業式の日の午後
アーシア新部長の下俺達の最初の部活動が始まる
因みにこの場にはリアス先輩や朱乃先輩は居ない
引退した自分達が居ても良いようには為らないだろうと新体制がある程度整うまでは部室に顔を出すのは控えるそうで今は3年の教室でソーナ会長や椿姫先輩と雑談に興じているところらしい
まぁ生徒会の方はまだ選挙もして後任を決めている訳でもないからもうほんの少しだけはソーナ会長たちは仕事があるかな?―――と言っても引き継ぎ程度だろうが
それからはアーシアさんが『部長』と呼ばれても自分が呼ばれたと気付かなかったり新体制と云えど新しく部長になったアーシアさんがまだまだ上に立つ立場に慣れてないという事も有って一先ずはリアス先輩の部活動の方針をリスペクトしてそこから少しずつ新しい試みを増やしていくと言う方針に固まった
次に部員の補充の話に移る
「新入部員とかは如何すれば良いんだろうな?俺達って部活がそのまま悪魔の活動とほぼ直結してただろ?俺達裏側に理解のある人じゃないと色々やり難くなりそうだけど」
「そうか?元々普通部活なんてのは夕方辺りで切り上げるものだし完全に表の人間が入部したとしても悪魔の活動としての拠点を移すか一旦帰る真似をした後で改めて部室に集まるとか手は有るだろう。まぁ面倒な上になんだか騙してるような感じになりそうだから裏の人間が欲しいって意見には賛成だけどな」
その人だけ普通に帰って残りのメンバーが後で集まるとか傍目には苛めレベルでハブってるようにしか見えないだろうしね
「そういう事でしたら一応候補は二人居ますわ。今年の春にルフェイさんとベンニーアさんが駒王学園に入学する手続きをしているそうですの。ベンニーアさんは分かりませんが、ルフェイさんはこのオカルト研究部に入部したいと仰っていましたわ」
朱乃先輩からお茶くみ係の後任に就いたレイヴェルが今まさに欲している裏の関係者の入部希望者の名前を挙げてくれる
ルフェイもベンニーアも『おっぱいドラゴン』のファンだしね
ベンニーアはシトリー眷属として生徒会に入ったりとかも一瞬考えたけどあのまったりとした性格のベンニーアは生徒会の空気と合わなそうではある
ゼノヴィアが生徒会長に当選したならまた別かも知れないけどね
「―――ゼノヴィアの方もまだ話し合ってんのか」
新オカルト研究部の大凡の方針が決まったのでイッセーが息を吐いてからこの場に居ないゼノヴィアの方に意識を向ける
今このオカルト研究部にはゼノヴィアとイリナさんが居らず、旧校舎の別の空き教室で桐生さんも交えて明日からの生徒会選挙活動についての意見を出し合っているのだ
教会トリオと桐生さんは仲が良いけどアーシアさんは新部長という事で流石にこっちを優先する事になったけどな
すると丁度向こうでの話し合いも一段落したのか桐生さんが勢いよく部室の扉を開けて入って来た
「どう!?ゼノヴィアっちの選挙活動の勝負服をセレクトしてみたわ!」
"ババーン"という効果音でも出ていそうな感じに振り向きざまにすぐ後ろに立つゼノヴィアの登場を演出する桐生さん―――かなりノッてますね
「ふっ、似合うかな?」
出てきたゼノヴィアの格好は中世ヨーロッパの貴族風でしかも男の格好だ
男装の麗人。女生徒からの黄色い歓声が巻き起こりそうではある
「う~ん。馬子にも衣裳って感じかしら?」
イリナさんソレ、褒め言葉じゃないからね?
「ア〇ドレ!とか言ってイッセーに抱き着くと云うのも一つの手か?」
ゼノヴィア『ベル薔薇』知ってるのか・・・俺も触りしか知らないけどさ
ただそれをやると黄色い歓声以外に悲鳴と怨嗟もプラスされるぞ
「ゼノヴィアっちもあれだねぇ。魔力で
桐生さんがそんな様子を見ながら冗談めかして言うとイッセーがツッコム
「そうだな。ゼノヴィアが
「あはは、それもそうよね」
「「アッハッハッハ!」」
「アッハッハ・・・は?」
二人して笑いあっているとイッセーが急に固まった
そして恐る恐る桐生さんに確認を取る
「き・・・桐生・・・お前今魔力とか
「? ええ、言ったけど?」
あっけらかんとした態度で普通にそう返す桐生さんにイッセーは益々混乱していく
「あっ!そうでした!イッセーさんにはまだお話していませんでした」
「そうか。そうだったな。イッセー、桐生は私の常客だぞ。当然私達の正体も知っている」
「・・・・・ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」
アーシアさんとゼノヴィアの態度と言葉に一拍置いてからイッセーの絶叫が部室内に木霊した
「い、い、い、何時から!?」
イッセーに困惑しながらも問われた桐生さんは顎に指を一本置いて思い出すような仕草で記憶を探っていく
「確か12月の始めの頃だったかしら?駅前で配られてたチラシを面白半分で使ってみたらゼノヴィアっちが魔法陣から現れてね。それからリアス先輩も出て来て裏の事とか説明を受けたのよ」
まぁ同じ町で表と裏の双方で活動してたらそういう時もあるわな
俺も白音が両親に召喚されたし
「心配しなくても松田や元浜も含めて誰にも話したりしないわよ。友達であるアーシアやゼノヴィアっちにリアス先輩の頼みであるし、その辺案外口が堅いわよ?」
「寧ろさっきのはイッセーの失態だろう?魔力で
俺もレイヴェルが淹れてくれた珈琲を飲みながら忠告するとイッセーもガックリと肩を落とした
「う゛っ、確かにさっきの俺の態度はいただけなかったかな・・・でもその、桐生は俺達の正体を知ったんだろう?変に思わなかったのか?」
「思ったわよ?」
イッセーの若干ネガティブが入ったようなセリフに桐生さんはズバッと率直に返した
「だって悪魔とか妖怪とか天使とか完全にファンタジーじゃない?変に思うか如何かって聞かれたらそりゃ答えは決まってるわよ―――でも同時にこうも言うわよ。だからなに?」
「だ、『だからなに?』ってお前・・・」
「アーシアもゼノヴィアっちもイリナっちも私にとって大切な友達よ。オカルト研究部の人達も皆評判が良いのは知ってるし、悪魔なんて言っても要は種族が違うってだけでしょ?人間にだって悪人も居れば善人も居るんだし、それと同じ事が言えるって云うのは直ぐに解ったわよ―――だから別に良いんじゃないかしら?それに人間よりはるかに強い悪魔とか天使とかが陰からコッソリ私達の事を守ろうとしてくれてるっていうなら尚更ね」
桐生さんって本当にサバサバした性格してんな
「それとゼノヴィアっちにも聞いてるわよ。あなた達なんか今世界の命運掛けて戦ってるんだってね。普段スケベなだけのアンタからは想像出来ないけど、応援くらいならしてあげるわ」
「そうだぞ、イッセー。ちゃんと俺達か弱い人間を悪の魔の手から守ってくれよ」
「イッキは乗っかんなよ!桐生は未だしも俺はお前の事を『弱い』だなんて認めねぇからな!」
ッチ、ラスボスとの戦いとか別にイッセーが片づけてくれるならそれで構わないんだけどな
楽なのが一番だし
「そう言えば有間君は人間なんだってね。で、他にはイリナっちが天使でアザゼル先生が堕天使で残りのメンバーが悪魔・・・まぁ人間から悪魔に為ったってのが大半みたいだけど、やっぱり松田や元浜と一緒に有間君に叩き伏せられてる兵藤がそんなに強いって云うのはイマイチ実感湧かないわよねぇ」
学園生活や私生活を見て戦闘力を察しろとか一般人に求める水準じゃないわな
「そういう事なら百聞は一見に如かずとも言うし、今度桐生さんがゼノヴィアに頼み事をする時に悪魔の試合のレーティングゲームの映像を見てみたいとか頼んでみたら如何だ?サイラオーグさんとの試合とかさ」
人間にレーティングゲームの映像を見せるのが対価がどれくらいになるのかは分からないけど、和平なりで色々と各勢力との繋がりを強くしている今ならそこまで馬鹿みたいにお高い御値段にはなってないとも思うし
「あっ、それは良いわね!ゼノヴィアっち~。次に呼び出す時はそのレーティングゲーム?っていうののビデオ見せてよ!」
「分かった。バアル眷属との試合はイッセーの家に普通に保管してあるからな。後で一応マスター・リアスに確認だけ取っておこう」
その返事に「良し♪」とガッツポーズを決めた桐生さんは再びゼノヴィアとイリナさんを伴って部室から出て行く
「まっ、そういう訳だから私は変わらずゼノヴィアっちの応援を続けるわよ。よぉし、二人とも、次は選挙当日のスピーチ原稿の草案を幾つか簡単な流れだけだけでも決めていきましょう」
三人が出て行って閉められた部室の扉に一瞬の沈黙が降りる
「何つぅか、桐生の奴が面倒見が良いのは知ってたけど、ああも裏側の事に対してもアッサリしてると力が抜けちまうな」
「ふふふ、桐生さんはとっても器の大きい方なんですよ?」
最後に少々の暴露事項が在ったものの三学期初日の部活動は滞りなく終わっていくのだった