転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第六話 決闘、直前です!

教会の戦士達との決闘は三日後に決定した訳だがこの世界は兎角イベント事に事欠かない

 

翌日にイッセーの家に突然とあるVIPがやって来るとの事で待ち構えていたのだが、転移魔法陣から現れたのは小っちゃいぬいぐるみみたいな赤いドラゴンだ

 

アーシアさんの使い魔のラッセーより少し大きい程度だが洗練されたオーラの流れだ

 

その小型ドラゴンを見てイッセーが嬉しそうに名前を呼ぶ

 

「タンニーンのおっさん!お客っておっさんの事だったのか!」

 

「久しぶりだな。兵藤一誠。直接顔を合わせるのはサイラオーグ・バアルとの試合の時以来か」

 

そう言えば試合前のホテルで激励に来てくれてたんだっけか

 

その時もホテルに15m級のドラゴンは大き過ぎるからぬいぐるみ仕様だったな

 

思い返しているとリアス先輩が一歩前に出る

 

「お久し振りです。タンニーン様。本日は如何いったご用向きで来られたのでしょうか?」

 

「うむ。実はお前たちに頼みたい事が有ってな―――俺の領地に暮らしているドラゴンは大半が平穏を求めて流れてきた者達なのだが、その内の一種族に『虹龍(スペクター・ドラゴン)』という希少種が居てな、それが此度タマゴを生んだのだ」

 

話しと言うのは単純でそのドラゴンのタマゴが孵るまでの間、この地の地下に置いて欲しいとの事だった。何でも冥界の空気とそのタマゴは相性が悪いらしく、冥界に置いておくと高確率で腐ってしまうとの事だ。裏のルートで販売すればアホみたいな金額になるようでクリフォト辺りに狙われる可能性も十分に在る為、防備の整った駒王町の中でも一番戦力が集中しているこの場所に置きたいという理由らしい

 

「分かりました。私共の方でも出来るだけ見守らせて頂きますわ。孵化の兆候が見えたらご連絡させて頂きます」

 

「すまんな。助かる」

 

タンニーンさんが引き受けてくれたリアス先輩にお礼を言うと連絡用魔法陣でそのタマゴを持ってくるように通信先に伝える。すると程無く転移魔法陣が再び輝きだし、そこから現れたのは邪龍筆頭格であるクロウ・クルワッハだ。両腕で抱えるように七色が入り混じったタマゴを持っている

 

流石にドラゴンのタマゴというだけあってか一抱えくらいの大きさはあるようだ

 

だが皆は希少で美しいタマゴよりもその運び手にこそ驚いたようで一瞬で身構えた

 

しかしそこにタンニーンさんが小さな翼をパタつかせながら割り込む

 

「待ってくれ。驚かせて済まないが、この者は今は俺の食客でな。敵対しないでくれると有難い」

 

「なっ!?食客って、コイツはあのクロウ・クルワッハなんですよ!?」

 

正気か!?―――とでも言いた気なイッセーにタンニーンさんも苦笑気味だ。一応常識外れな事をしているという自覚は有るのだろう

 

「分かっているさ。だが同じドラゴン同士、少し思う処があってな。それにクロウ・クルワッハは邪龍ではあるがグレンデルのような粗暴な輩とは違って話の通じる相手だ。無暗に暴れないようにと約束も取り付けてある」

 

「俺は今タンニーンに衣食住などを世話になってるからな。その義理を果たしているに過ぎない」

 

皆が口元を引きつらせるか"イヤイヤ"とばかりに首を横に振るかしているのも気にせず、クロウ・クルワッハは丁度この場に来ていたオーフィスに視線が固定される

 

そして抱えていたタマゴを静かに床に降ろすとバナナ片手のオーフィスに向かってファイティングポーズを取った

 

「オーフィスか。俺と闘え」

 

最強の龍神(弱体化)と最強の邪龍の様子を見て他の皆の緊張具合が一気に加速する

 

しかしオーフィスはバナナを食べるのを止めてクロウ・クルワッハをジッと見つめると口を開く

 

「我、ケンカしないようにこの家の者達と約束してる。無理」

 

「そう・・・なのか?ならば如何いった手順を踏めば可能となる?」

 

「知らない」

 

「そう・・・か」

 

速攻で断られたクロウ・クルワッハはそのまま大人しく引き下がって足元に置いた『虹龍(スペクター・ドラゴン)』のタマゴを再び抱え上げるとまた黙ってしまう

 

オーフィスはオーフィスでドラゴンのタマゴに興味が惹かれたのかクロウ・クルワッハの抱えるタマゴを手の平で"ぺしぺし"と叩いている

 

そんな最強の称号を持つドラゴン二体の会合風景を見て皆も変な表情をしているな

 

「なんて言うか、『ドラゴンはマイペース』なんて言われる理由がこの光景を見てると理解出来るような気がするよな」

 

独特の雰囲気を前に素直に感想を述べる・・・なんと言うか、二人とも素直なんだよね

 

「いや、でもドライグもアルビオンもここまでじゃ無いと思うぞ?」

 

確かに、ドライグもアルビオンも人間臭い感じでしっかりと会話が成り立つよな

 

「・・・二天龍は昔から歴代所有者と共に人間側の視点から世界を見てきているので、その影響じゃないでしょうか?」

 

『そうだな。俺もアルビオンも今の所有者と巡り合うまでは余り会話もしてこなかったが、それでも人間に宿るという神器の特性上、人に近い視点で多くを見てきたつもりだ。自分ではよく分からんが、多少感化されるくらいはしているかも知れんな』

 

白音の推測に当のドライグ本人がそれを肯定する

 

成程、確かにドライグとアルビオンはある意味で人間の文化を一番近くで見てきたドラゴンかもな

 

サジに宿るヴリトラなんかは最近まで意識は無かった訳だし、他のドラゴン系統の神器がどんな感じかは知らないけど常に力を引き寄せる二天龍に比べたらそれこそ覚醒もしないまま次代の持ち主に移行するとかも普通に在り得そうだ

 

「そしてそれはクロウ・クルワッハにも言える事だ。ヤツは人間界を見過ぎた者の目をしている。二天龍のように間近で接してきた訳では無いだろうが、それでも人間の世界は我々のような異形の存在と比べると移り変わりが激しい。如何に強力なドラゴンとて、様々な知識、価値観に触れ続ければ多少の様変わり程度はするという事だ」

 

俺はタンニーンさんの言葉を聴きながらタマゴを抱えたままのクロウ・クルワッハを見る

 

実際クロウ・クルワッハは邪龍で戦いを楽しむ為ならテロリストに力を貸したりもするけど、アポプスやアジ・ダハーカのように戦闘こそを全てに優先させている感じはしない

 

恐らくはこの辺りがタンニーンさんの言う変化なのだろう

 

クリフォト側に付いた他の邪龍達は基本滅ぼされていた邪龍達ばかりだから世界の移り変わりを眺める機会なんて当然なかった訳だしな

 

なればこそ、提案くらいはしてみるのも一興か

 

「なぁクロウ・クルワッハ。オーフィスの代わり・・・と言うのは烏滸がましいが、俺と模擬戦してみる気は無いか?」

 

「『なっ!?』」

 

「ほう?」

 

皆の驚愕の声とクロウ・クルワッハの面白気な声が重なる

 

「お前!何考えてんだよ、イッキ!?」

 

「なにって・・・修行の模擬戦相手をクロウ・クルワッハが務めてくれたら捗るだろうなぁってさ。流石にガチバトルしたら死ぬしかないし、模擬戦でも良いって言ってくれるならめっけもんだろ?断られたらそこまでだし、提案するだけならタダだからな」

 

そう返すとイッセーは天を仰いでしまった

 

「そうだった。お前って普段慎重な癖して時々アホみたいに大胆になるんだよな・・・オーフィスの服装にダメ出しした時とか、他にも幾つか」

 

大丈夫、大丈夫。グレートレッド以外誰も勝てないとされていたオーフィスの服装全否定した時よりは多分マシだよ

 

「それで如何だろうか、クロウ・クルワッハ。さっきも言ったように今の俺じゃお前には勝てないけど、俺を鍛えてくれたなら将来の楽しみが増えるんじゃないか?」

 

俺の知り得る限りでの原作知識では最終決戦が終わってから世界大会みたいなのが始まるってところで終わっていたけど、まさかそのまま国際大会を滞りなく進ませて終了なんて事はないだろう

 

異世界と云う盛大な伏線も張られてた訳だしな

 

もうすぐ俺の原作知識というアドバンテージが無くなる以上、これまで以上に基礎力を向上させて未来に備える必要が出て来る・・・と云うかよくよく考えたら天界でファーブニル逆鱗モードが発動していない時点で今更か?う~ん。後で差異から来る変化を予測しておかないとな

 

ともあれ、イッセーが夏休みにタンニーンさんに追い回されてたように格上の強者、それも強大なドラゴン相手なら共振効果みたいな感じに俺の素のオーラも引き上げられる可能性は高い

 

「クッ、クハハハハハ!邪龍の俺に人間を鍛えろと言うか。しかも俺が楽しむ布石として!永らく生きているが、そのような馬鹿げた話をされたのは初めてだ!!」

 

それなりにツボに入ったようで凄い笑っている

 

ドデカいタマゴを抱えたままってのがシュールだが・・・

 

「一応此方がお願いする立場だからな。戦いを司るドラゴンなんて称されるアンタ相手なら、やっぱり対価は戦いが良いのかなってさ」

 

さぁて、コレで条件を呑んでくれたらベストなんだけどな

 

「ふん、俺は他者を鍛えた事などないからな。最初にお前が言ったように模擬戦という形にはなるだろう。後は勝手に強くなるがいい」

 

おし!好感触な反応だ

 

内心ガッツポーズしていると「だが」と続けられた

 

「模擬戦ではお前の目的とも被っている故に対価とするには少し弱い。お前は他に俺にどんな対価(たたかい)を差し出せる?」

 

え~、クロウ・クルワッハってこんな事云うヤツなんだ・・・意外とがめつい

 

そんな俺の心境が伝わったのかクロウ・クルワッハは薄く笑う

 

「ドラゴンとは(おの)が宝に執着する者だ。下手に暴れるつもりは無いが、目の前に(たたかい)が転がっていれば手を伸ばす程度はする」

 

戦いはお宝ですか。そうですか・・・

 

「なら、こういうのは如何だ?」

 

俺は仙術で空気を操ってクロウ・クルワッハにのみ声が届くように調節して報酬の話をする

 

「・・・成程、存分に戦いたければ勝ち取ってみせろと言うのだな?」

 

「ああ、その時が来たなら真正面から闘ってやるよ」

 

「ああ、愉しみに待とう」

 

俺がガチバトル宣言をすると目の前の邪龍さんは凶悪な笑みを浮かべた

 

良し!格好つけてるようでその実、保身に走った二次案で納得してくれた!

 

この邪龍さんと何の保険もなしにガチバトルするしかないってんならそもそもの提案自体を却下しないといけないところだったぞ

 

今のところ俺達の間でも噂程度という扱いになっている未来の国際レーティングゲーム

 

その場で相対する機会が在るならちゃんと戦うという約束だ

 

今の段階ではトップの間でもちゃんと決まっているか分からないが、俺はちゃんとその大会が開かれる可能性が高いという事を知っている

 

神々も戦う事を想定した頑丈なレーティングゲームのフィールドに『リタイア転送機能』他、各種安全策を張ってあるフィールドでならクロウ・クルワッハ相手でも死にはしないだろう

 

あの大会の詳細までは知らないけど多くの神々まで参戦する以上は悪魔のレーティングゲームよりも特に『死』に関しては安全策が練られていると思う

 

なにせ神が死んだらマジで一大事だからな

 

最強邪龍との模擬戦の権利を獲得しつつ、対価の戦いとやらは国際ルールに守られながら支払ってやるよ!―――は?チキン?なんとでも言えば良いさ

 

フッ、勝ったな(何に?)

 

謎の優越感と達成感に浸っているとタンニーンさんが近づいてきた

 

「話は付いたようだな。クロウ・クルワッハは暫くは俺の領地でドラゴンを見て回るそうだ。模擬戦などの都合の調整は連絡用の魔法陣を渡しておくのでそれで付けてくれ・・・それとクロウ・クルワッハ。もしも有間一輝が対価の話を持ち出したが故に戦いの話を白紙に戻そうとしていたら、如何していたのだ?」

 

「―――その時は対価は要らんから俺と闘えと言うまでだ」

 

「え゛っ」

 

なにそれ!?なんの為に対価の話持ち出したんだよ、このドラゴン!?

 

『クックックックック!有間一輝。クロウ・クルワッハとどんな契約を交わしたのかは知らんが、覚えておけ。ドラゴンは何処までも我が道を往くような奴らばかりだ。特に強力なドラゴン程、そういう奴が多い。価値観の違いから来る『ズレ』で痛い目を見る者は居るものだぞ?』

 

ドライグの忠告を聴いてチラッと視線がアーシアさんの方へ向く

 

・・・成程。グレモリー家が用意した財宝を払えば良いとされていたアーシアさんもファーブニルの変態性によって公衆の面前でパンツを晒されたり、クッキングされたりしてるもんな

 

大丈夫だ俺。確かにガックリときたけど、下には下が居るものだ

 

実際、俺は一応当初の予定の範囲には納まってる訳だしな

 

「イ、イッキさん!?なんで私を見て納得したように頷いているんですかぁっ!?」

 

「・・・いや、アーシアさん。何も他意はないですよ?」

 

「絶対嘘ですぅぅぅ!」

 

純情ガールのアーシアさんに嘘を看破された!?そんな馬鹿な!!(すっ呆け)

 

その後、『虹龍(スペクター・ドラゴン)』のタマゴを駒王町のとある地下空間に設置し、『D×D』のメンバーが交代制でタマゴを見守る事となった

 

一応『D×D』もそれなりに数は居るし、どうしても都合がつかない時間帯が出来るようなら駒王町のスタッフがその地下空間周辺の警備を強化するそうだ

 

「イッキ」

 

「はい?」

 

タマゴを設置してタンニーンさんとクロウ・クルワッハを見送り、イッセーの家まで戻ってきたらリアス先輩に呼び止められた・・・あの?随分と迫力のある笑顔ですね?

 

「正座」

 

「はい」

 

速攻で正座をする俺。あれは逆らってはいけない種類の笑顔だった。間違いない

 

「イッキ先輩。突拍子もない提案(邪龍との模擬戦)をするのは構いませんが、せめて私達に先に意思確認くらいはして下さい」

 

「あっ、はい」

 

そうして俺は暫くの間リアス先輩の有難い説教を受ける事になるのだった

 

 

 

 

 

教会の戦士達との決闘を明日に控えた今日、何時ものように放課後に部室に集まっている

 

クロウ・クルワッハとの模擬戦だが、元々クロウ・クルワッハ自身の目的がタンニーンさんの領地のドラゴン達を見ていたいというものだったし、決戦が目前に迫っている事もあってまだ一度も戦ってないんだよな

 

今は生徒会選挙の意見を別の教室で出し合っているゼノヴィア達も小休止及び俺達の意見も軽く聴きたいとして部室に来ているところだ

 

桐生さんも客人枠でソファーに座ってクッキーを食べている

 

「やっぱりここは普通の生徒会長とは一味違う!って言うのを一目で分かるように派手なパフォーマンスが必要だと思うのよ!ゼノヴィアが剣を持って壇上で巻き藁をスパッと一太刀!これで皆の視線は釘付けよ!」

 

今はイリナさんが皆にドヤ顔で素晴らしき意見を提案なさってくれているところだ

 

俺達オカルト研究部は生徒会選挙ではやっぱり仲間であるゼノヴィアを応援してるから意見を求められれば協力はする

 

彼女達もあくまでも自分達で進めているというスタイルだしね

 

・・・ただ、なんでか時々眩暈がするんだよ

 

「取り敢えずイリナさん。日本には銃刀法というものが存在していてだな・・・」

 

例えパフォーマンスだろうと刀剣類の扱いは未成年には認められないよ?細かい事まで言い出せばもっと色々規約が在るが、此処では言わないけどさ

 

「つーか、生徒会長に関係ねぇだろ、それ!」

 

解説とツッコミでイリナさんの意見をダブルで否定しているとレイヴェルの淹れた紅茶に頬を綻ばせていた桐生さんが"うんうん"と頷く

 

「いや~、やっぱ有間君や兵藤が居ると私の仕事(ツッコミ)が減って良いわ~。これでこそ休憩よね」

 

うちの聖剣コンビが済みません。教会の教えに一般常識の科目はまだ無いみたいなんです

 

すると桐生さんが丁度思い出したとばかりにイッセーに詰め寄った

 

「あ、そうそう!兵藤。例のアレ、見させてもらったわよ」

 

「な、なんだよ?アレって?」

 

イッセーは瞬時に思い至らなかったのか頭の上に疑問符を浮かべる

 

「なにって決まってるじゃない。あんた達のレーティングゲームとやらの試合映像よ」

 

「あ、あ~、そう言えばそんな事言ってたっけな」

 

「そうそう、有間君の提案でね。家で選挙に使えそうなネタをノートに書きだし終わった時に息抜きついでにゼノヴィアっちを喚び出して一緒に視たのよ。ゼノヴィアっちが還る時にノートも渡せるしね。ノートは次の日に学校で返して貰えれば良いし」

 

そりゃ何とも合理的な事で

 

「いや~、凄かったわよ。空中から剣を出したり魔法放ったり、アンタは赤い鎧着こんで殴り合ってたり、アレなら確かに世界の命運くらい懸けて戦ってたりするのかもねぇ」

 

桐生さんからしてみれば正しく別次元の戦いだったろうな

 

かなり楽しそうに試合について語っている

 

「う~ん。でもやっぱり注目すべきはゼノヴィアっちやロスヴァイセちゃんのエチエチ衣装とかストリップショーとかよねぇ」

 

・・・うん。別次元だろうがなんだろうが着目する場所は変わってないみたいだな

 

「後は白音ちゃんのナイスバディモードとかね♪あの豊満に成長したおっぱいで有間君に迫ったりしてるんじゃないの?」

 

「・・・なんで分かったんですか?」

 

答える必要ないですよ白音さん!普通に肯定しちゃってるじゃないですか!

 

「いや、なんでもなにも有間君の膝の上を陣取ってる姿を見せておいて今更じゃない?一応表立っては有間君の彼女は白音ちゃんのお姉さんって事になってるけど、その体勢じゃあね。一緒に住んでるレイヴェルちゃんもそうなんでしょ?クラスメイトにハーレム男が二人も揃ってるとか今時の日本じゃそれだけでもファンタジーの世界よ」

 

・・・そう言えば白音は毎度の如く俺の膝の上に座っているな

 

俺達にとって部室の中における日常の一コマになってたから桐生さんが来てもそのままだった

 

もっとも桐生さんは俺が脱童貞した事はエロススカウターでその場で看破してたし、俺の家(一応正確には有間家と塔城家のハウスシェア)に丁度女の子が3人住んでる事は松田や元浜とかの話からも分かってたはずだから殆ど確信してたんだろうけど

 

「くうぅぅぅ!ちっちゃい白音ちゃんもおっきい白音ちゃんも両方堪能出来るとか今すぐお前をぶん殴りたくなるぞ、イッキィィィ!!」

 

そんな歯ぎしりして悔しがるなよイッセー

 

「成人した悪魔は魔力で外見年齢を好きに変えられるんだから数年後にでもリアス先輩にでもちっちゃくなって貰えば良いじゃねぇか」

 

「そうか!その手が在ったか!!サーゼクス様に見せてもらったアルバムでしか知らないリアスの小さい頃の姿を直接この目で見られるのか!!」

 

イッセー・・・お前何歳くらいのリアス先輩を想像してるんだ?

 

まぁ今のイッセーはイヤらしい顔というより、だらしない感じの顔だから大丈夫か

 

―――まるでサーゼクスさん(シスコン)のような顔だよ

 

「そんな!ただでさえリアスお姉様に一歩遅れてるのに新しい方面から攻められたら更に差が開いてしまいますぅ!朱乃さんも対抗するでしょうし―――い、一体如何すれば良いんでしょうか?」

 

「いや待てアーシア。忘れ勝ちだが年上美人属性のロスヴァイセ先生はリアス元部長と朱乃元副部長より歳は一つ上だ。一番最初に我々が警戒すべきなのは銀髪幼女なのかも知れんぞ」

 

ゼノヴィア・・・今この場にロスヴァイセさんが居なくて良かったな。流石にお叱り受けてたと思うぞ。その後ロスヴァイセさんが妄想の海(イッセーの抱っこ)に沈みそうだけどね

 

「そ、そうよね!ロスヴァイセ先生も最近ダーリンへの視線が熱を帯びて来てるし、十分あり得る話しよね」

 

「うむ。やはり此処は子作りで先手を打つしかないだろう。イッセーにチヤホヤされるのも一度は体験してみたいものだが、やはり子作りに勝るものは無いはずだ―――アーシア、イリナ。明日は丁度決戦だ。イッセーの士気を上げるという口実で例の子作り部屋で待ち構えるぞ。なに、適当にイッセーに寝る前に飲み物を飲ませておけば寝た後でも然程時間は掛からずトイレへ立つだろう。そこを仕留めるぞ!」

 

「はい!」

 

「ええ!」

 

ゼノヴィアの提案にアーシアさんとイリナさんは力強い目で返事を返す

 

「ゼノヴィアあああああああ!本人の目の前で隠す気ゼロの作戦会議とか止めてくれよ!大体最後の仕留めるってなんだ!ムードのムの字も無ぇじゃねぇか!!」

 

なんと言うか、イッセーもこういう処は苦労してるよな

 

 

 

 

決闘を前した俺達の日常はこうして普通に過ぎていくのだった

 

 

 

 

 

 

決戦当日。俺達『D×D』のメンバーや今回応援にやってきた『御使い(ブレイブ・セイント)』の皆さんは既にイッセーの家の地下転移の間に集合している

 

四大セラフから各三名ほど出してイリナさんやグリゼルダさんを含めて10名程だな

 

駒王町に居るのが『D×D』の中心メンバーという扱いを受けているところは有るが、『御使い(ブレイブ・セイント)』の皆さんも普通に『D×D』所属だし、幾らクーデター組が駒王町のメンバーに挑戦状を叩き付けたと言っても天界側が一つの戦力も出さないと言うのは問題だからね

 

とは言え基本は無用な被害が出ないようにサポートや防衛をメインにして貰う予定のようだ

 

全員が集まったのを確認したアザゼル先生が一歩前に出て声を掛ける

 

「いいか、今回のは教会の戦士達とのケンカだ。戦う場所はそこの転移陣の先にレーティングゲームのフィールドの技術の応用で駒王町を再現してある。範囲は直系10km。クーデター組も同じくこちらの用意した転移魔法陣で深夜零時と同時に転移する予定となっている」

 

「なんつぅか。よく向こうもその案に乗りましたね?転移先が罠とか牢獄とかだったりとかは考えなかったんでしょうか?」

 

アザゼル先生の説明にサジが疑問を呈すが先生は苦笑して返す

 

「当然考えただろう。俺も考えた。だが却下した。その理由は・・・イッセー、分かるか?」

 

「これが『ケンカ』だからですね?」

 

「そうだ。ケンカってのは小難しい事を抜きにして正面から堂々と相手の鼻っ柱に拳骨をぶち込む事に意義があるんだよ。禍根を絶つ為のケンカで禍根を残す戦いを演じるなんざ道化も良い所だからな。そしてそれは向こう側も解っている」

 

そう。相手がただの敵ならば潰せば良いが、今回の相手は『敵』である以上に『味方』なのだ

 

今回の俺達は相手の気持ちを汲む戦いをする事が先ず前提条件

 

「お前らにばかり貧乏くじを引かせて申し訳ないが如何か奴らに応えてやって欲しい。それと今回のクーデターだがやはり枢機卿3名の真意は別にあったようだ。教会、いや、同盟の未来を考えた・・・な。今はまだ言えんが、やる事は変わらん。全力でぶつかってやれ」

 

「今回用意したフィールドには対トライヘキサ用に開発した様々な術式も盛り込んでいます。普通のレーティングゲームのフィールドよりは頑丈に出来ているので多少派手に暴れても大丈夫です。今回の戦闘でもっと良いデータが採れればいいのですが・・・」

 

成程、データ収集の為に派手な技を使った方が・・・って、いやいや!今回の相手は基本人間なんですよ!フィールド崩壊級の技を打ち込んだから流石に死にません?

 

・・・やるとするならヴァスコ・ストラーダとエヴァルド・クリスタルディくらいか

 

「相手は中隊規模の部隊を二つに分けるそうです。片方はヴァスコ・ストラーダ率いる部隊。もう片方がエヴァルド・クリスタルディ率いる部隊ですね。それに合わせて此方も部隊を二つに分けます。私達シトリー眷属と『御使い(ブレイブ・セイント)』の皆さんがエヴァルド・クリスタルディ側を担当します。リアスのグレモリー眷属はヴァスコ・ストラーダ側を担当して下さい。有間君とレイヴェルさんも同様です」

 

あれ?サジって確かヴァスコ・ストラーダ側担当だった気がするんだけど違ったっけ?

 

・・・俺とレイヴェルが居るからか

 

「そしてヴァーリチームのアーサーさんには私達の側に付いて貰おうと思っています」

 

ソーナ先輩に編成を聴いたアーサーが何かを言う前に祐斗が割り込んで来た

 

「ソーナ前会長、僕もそちら側に付いても良いですか?」

 

その一言を聞いて祐斗と聖剣計画の事を知るメンバーは驚くと同時に納得した

 

もっとも、硬い表情にはなったが

 

「―――エクスカリバー、ですね?」

 

「はい。エヴァルド・クリスタルディは天然のエクスカリバーの真の適合者だと聞いています」

 

「確かに、当時のエクスカリバーはバラバラでしたが、彼ならば統合されたエクスカリバーも十全に扱えたであろうとされています」

 

ソーナ会長の答えにグリゼルダさんが補足説明をしてくれた

 

「そうですね。加えて教会の中でも唯一、教皇聖下から直接エクスカリバーのレプリカを賜っています。話では統合されたエクスカリバーのデータを元に再現したようです・・・最も、性能は本物のエクスカリバーに比べれば五分の一以下だそうですが―――ストラーダ猊下も同様にデュランダルのレプリカを賜っているそうです」

 

教会の二大巨頭がレプリカとは云え最強の聖剣を手にしていると聞き、皆の緊張の度合いが跳ねあがる。此処に居る大半は悪魔だから仕方ないんだろうけどね

 

「レプリカか・・・ストラーダ猊下とクリスタルディ先生が持つ以上は気休め程度にしかならないのだろうな」

 

「やらせて下さい。これは復讐ではありません。挑戦なんです!」

 

祐斗が真っ直ぐにソーナ先輩を見据えて頼むとアーサーが近づいて来た

 

「やらせて上げても良いのでは?剣士のこだわりは剣士でしか癒せません。代わりに私がグレモリー眷属側に付きましょう。エクスカリバーの使い手も魅力的ですが、『教会の暴力装置』、『天の許した暴挙』、『本当の悪魔』とまで言われたあのご老体の力の方が興味が惹かれるものですから・・・願わくば両方と戦いたいものですがね。今の彼が心配なら有間一輝もそちら側に付ければ戦力的には大きな違いも出ないでしょう」

 

アーサーが援護射撃をするが当の祐斗はその内容にハッキリと不機嫌顔だ

 

「・・・言ってくれるね。キミと僕だけじゃ力のつり合いが取れてないって聞こえるよ?」

 

「その通りですよ。ですが、勘違い無きように言っておきますが、キミの事を下に見ている訳ではありません。キミはまだ、自分の中に眠る可能性を引き出しきれてないだけです。全てが噛み合った時、キミは私の好敵手足り得る剣士となるでしょう」

 

アーサーさ~ん。決戦前でピリピリしてる祐斗をナチュラルにイラつかせるの止めてくれませんかねぇ!アーサー自身は素直に思った事を言っただけ何だろうけど『今のお前は戦うに値しない』って言われた祐斗が危ない目つきになってきてるから!

 

「ソーナ。祐斗をそっちに入れてあげて」

 

「良いのですか?」

 

「ええ、『剣士のこだわりは剣士にしか』・・・そう言うのが在る(・・)というのは一応分かってるつもりよ―――祐斗。今度こそエクスカリバーへの想いに決着を付けてらっしゃい」

 

リアス先輩の許可を得た祐斗はリアス先輩に片膝を付いた騎士の礼を取った

 

「有難う御座います。我が主」

 

それを見届けたソーナ先輩は今度は俺に問うてくる

 

「有間君は如何しますか?ヴァスコ・ストラーダ氏もエヴァルド・クリスタルディ氏も最大戦力でこそありますが、本気のつぶし合いを望んでいる訳ではないようですし、ここは有間君の意見を尊重しても良いのですが」

 

最強のデュランダル使いと最強のエクスカリバー使いの何方と戦いたいかですか

 

「何方かと訊かれたならエクスカリバーですかね。先日ストラーダさんとは十分闘り合ったので、折角ならもう片方とも手合わせしておきたいです」

 

戦わずに済むなら家で黒歌達と一緒にコタツでミカンとか食ってたいけどね

 

黒歌も白音も猫だからかコタツに入ると気持ち良さそうに丸くなるから見ていて和むのだ

 

レイヴェルは今冬初めてコタツ文化に触れたから当初は『だらしない』とぷんすかしてたけど今では普通に潜り込んで来る・・・流石に寝そべってはいないみたいだけど、来年辺りにはレイヴェルもコタツの魔力に陥落すると俺は見ている

 

部隊の再編成も終わり、各々がリラックス出来る状態で30分程過ぎた頃、部屋に設置された巨大転移魔法陣が淡い光を放ち始めた

 

「時間だな。お前ら、祭り(ケンカ)の時間だ。一丁派手に暴れてこい!」

 

「『はい!』」

 

アザゼル先生の激励の下、全員が転移魔法陣に乗り込んだ

 

 

 

―――決闘(カーニバル)が始まる





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