[木場 side]
僕たちは指定の時間になり今回の決闘の為に用意された特別性のフィールド内に転移した
先にシトリー眷属と『
この場でアーシアさんを無事に助け出してリアス元部長がアーシアさんを眷属にし、その後イッキ君が一部のはぐれエクソシストを
ガチガチに記憶に蓋をしたはずなのに幾つかのワードから連鎖的に『ナニカ』がフラッシュバックしそうになって思わず目つきが鋭くなってしまっていると『D×D』のリーダーであり天界の
「木場きゅん。怖い顔してるみたいだけど大丈夫かい?」
心配気な声だ。今回の決闘は出来ればケンカの範疇で治めたいというアザゼル先生の言もある中、僕がやり過ぎてしまわないか今の僕を見て危惧してしまったのかも知れない
「大丈夫です。少し関係の無い事を考えてしまっていただけです。深くツッコまないで下さい。本気でお願いします」
「う、うん。分かったから一言ごとに顔を近づけるのは止めてよ。何も訊かないからさ」
ああ・・・道理でデュリオさんの顔がやけに近くに感じると思った
知らず知らずのうちに詰め寄ってしまっていたらしい
「でも如何やら勘違いのようで良かったよ。さっきも木場きゅんは怒気や殺気を放っている訳では無かったみたいだしね。キミが教会に対して
「―――剣を向けるべき相手くらいは弁えているつもりです」
いや、正直に言えば
実はこのフィールドに入る直前にもイッセー君にも「お前が死んでも代わりなんてしてやらない」って釘を刺されちゃったし、この前の時のように無謀な突貫はしないように心掛けなくちゃいけないや
するとデュリオさんは懐から二羽の折り紙で作った鶴を取り出して神器の力で空に飛ばす
クルクルと飛ぶその姿を目で追うとデュリオさんが静かに話し始めた
「この町の周辺にある教会施設の地下でさ、近々神器の解呪儀式が行われる予定なんだよ。神様の齎した神器は時に宿った相手と致命的に相性が悪い場合がある。足が速くなる神器で逆に立てなくなったり、目に関係する神器なら目が見えなくなったり、酷い場合だと全身に拒絶反応が出て衰弱死してしまうなんて事すらあるんだ」
その話は聞いた事がある
超常の神秘と人間の魂の融合は聖書の神ですら完璧に扱う事が出来ない領域なのか、それとも聖書の神が死んだ事で神器と奇跡を司る『システム』に悪影響が出ている事が問題なのか、はたまたその両方なのか
なんにせよ神器の先天的不適合者が今の世に生まれてしまう事が有るのは事実だ
「まだ完全な理論じゃないそうなんだけど、今回解呪の儀式を受ける子は二人居てね。一人はさっきも言ったように足に関係する神器を持っていて、それが原因で車椅子の生活をしてるんだ。足が治ったなら遊園地に行きたいって言ってたよ」
それは・・・なんとも普通で、だからこその尊い夢だろう
「―――もう一人の子の方が今は切羽詰まった状況でね。その子は悪魔と人間の間に生まれたみたいなんだけど、半分でも人間の血が入っている為に神器を宿しちゃったみたいなんだよね。そこはヴァーリきゅんと同じなんだけど、今はもうベッドから起き上がる事も喋る事すら難しい程に衰弱してしまってるんだ。それこそ、冥界一医療が充実してるっていうシトリー領が新薬を開発してなかったら去年の内に亡くなってしまっていただろうってお医者さんが言ってたよ。だから、今回の解呪儀式を受けないという選択肢は無かった」
そう言えばシトリー領で画期的な新薬が開発されて他の医療施設よりも頭二つ分は突き抜ける程の成果を出したと冥界のニュースでやっていた。しかし、悪魔と人間のハーフで冥界の医療施設に居る子供の事情を天使の彼が知っているのは何故だろうか?
「どうやらその子は『おっぱいドラゴン』とか『
天使の彼のファンだと云う悪魔の子供。これもまた同盟から得られた一つの形なのかも知れない
「それからもちょくちょく会いに行ってるけど、何も変わらなかったよ。悪魔とか、人間とか関係ない。ただただ無邪気な子供の笑顔がそこにあった。退院出来たら一度、教会の施設も見て回ってみたいんだってさ―――だから俺はそんな子供たちの素朴な夢を守れるようになりたいんだ」
今まで宙を舞っていた二羽の折り鶴が彼の手元に戻る
片方の鶴は少々不格好な形をしているところを見るに恐らくその子供たちがデュリオさんの為に折ったものなのだろう
それを大事そうに懐にしまったデュリオさんが顔を上げる
「さぁ、お話はここまでだ。おっかない先生たちがやって来た」
その言葉と共に教会の正面から戦士の一団が堂々と入って来たのだった
[木場 side out]
教会の戦士達が既に視認できる距離から歩いてくる様子を見てるとソーナ先輩から声が掛かる
「有間君は今回は如何立ち回る予定でいますか?」
「そうですね。双方に死者が出ないように立ち回りつつ、エヴァルド・クリスタルディ氏と軽く手合わせをする程度でしょうか。多分デュリオさんも似たような感じで戦うと思いますよ。彼がその気になったら最初の一手で敵が全滅してしまいますしね」
そこまで一方的だともはやケンカとは呼べないだろう
「ええ、その方が良いでしょう。木場君はイリナさん達と違って悪い意味でエクスカリバーとの因縁が有りますから―――それを断ち切らせる為にもリアスは此方のチームに入って戦う事を許可した訳ですし、これはクーデター組にとってのケンカであると同時に木場君にとってのケンカでもありますからね」
祐斗にとってのケンカでもある・・・ね。確かにその通りだ
「さて、お話は此処までみたいですね」
戦士の皆さん全員が立ち止まった
双方のグループのリーダーであるデュリオさんとクリスタルディさんが先ずは言葉を交わす
「これは先生。お久し振りッスね」
「・・・この再会を喜ぶべきか、嘆くべきか。デュリオ、そして転生した『
飄々と挨拶したデュリオさんにクリスタルディさんは堅い表情を崩さない
「こっちも訊きたい事は山ほどあるんスけどね。そっちも後には退けないのかも知れないけれど、『人』として対話を最初から放棄しちゃあダメだと思うんスよ」
「天使となったお前が『人』として語るのか?」
元人間の彼から『人』と聴いたクリスタルディさんが皮肉気に口を歪め、対してデュリオさんは軽く肩を竦めるだけだ
「イヤ、実際天使と人間の違いなんて羽根と輪っかと光力くらいですよ?『対話』にゃ関係ない項目ばかりだと思いません?」
「ならば答えよう。語る事など何も無いと・・・それともこう言えばよいか?近々お前が足繁く通っている施設の子供たちが『悪魔的な儀式』を受けようとしている。それは既に罪深い事であり、辺獄にて罪を浄化してやる事こそが唯一の救いになると」
挑発の為だろうがデュリオさんの一番大切な想いを踏み荒らす発言をしたクリスタルディさんに飄々とした態度を崩さなかったデュリオさんの目つきが初めて鋭いものに変わる
「・・・例え冗談でも、それは俺の前で言っちゃいけないやつっスよ。先生」
あからさまな挑発だと分かっていても、それでも聞き流せなかった教え子に彼は逆に問う
「―――若いな。デュリオよ。教会最強と称されたお前は何の為にその力を振るう?」
「この手の届く限りのガキンチョ共の笑顔を守る。今も昔も、そしてこれからも、俺の戦う理由はそれだけで十分っスよ」
その儚くも尊い願いを聴いて教会の戦士達は少し顔が曇る
今は刃を向け合ってこそ居るものの、目指す先に違いなど無いのだから
「クリスタルディ先生。互いにもう言葉は無粋となりましょう」
「グリゼルダか・・・そうだな。元より我らはその為にこの場に集ったのだ」
エヴァルド・クリスタルディはその剣を天に掲げる
例えレプリカと云えども教会の戦士達にとって教皇より直接賜ったというその聖剣は彼らの士気を向上させ、その意思を研ぎ澄ませるのになんの不足も有りはしない
「皆の者!天より許された一戦だ!心に溜まった
彼の持つ剣の切っ先が此方に向かって振り下ろされるのと同時に戦士達が各々の武器を手に咆哮と共に突っ込んで来る
≪始まりましたね。先ずは遠距離攻撃を封じましょう。椿姫と翼は前に出て盾を展開。桃は二人をガードしなさい≫
耳に付けた通信機からソーナ先輩の指示が飛ぶ
リーダーこそデュリオさんだけどデュリオさん自身が前線に出る貴重な戦力だし戦術家としての能力だけを見るならこの場ではソーナ会長が一番なので指揮を預かっている感じだ
参謀総長とかそんなイメージだけどソーナ会長にはピッタリである
椿姫先輩の攻撃を吸収し、倍化して跳ね返す『
その攻防の間に相手の近接戦組も彼我の距離を半分以下に縮めてきた
≪ならば此方も同じアタッカーで迎え撃ちましょう≫
それを聞いて草下さんを除いた残るシトリー眷属とイリナさんを含めた『
今は神器無しで素手での格闘戦だ。祐斗も聖魔剣の刃は潰してあるし、他のメンバーもある程度自分に制限を掛けた戦闘になる・・・向こうの戦士は刃引きとかしてないけど今の彼らが模造刀の類を持ってる訳無いからそこは仕方ない
他にも草下さんの『
あ~、それにしても四方八方から色んな攻撃が襲い掛かって来るとか夏休みの京都を思い出すなぁ
過去に思いを馳せながらも一人ずつカウンター戦法で潰していると椿姫先輩の声が響く
「会長!条件が整いました!」
≪ええ、椿姫、至りなさい≫
「はい!
ソーナ先輩の許可を得た椿姫先輩が神器の
空中に三つの歪で不思議な模様で向こう側が見えない鏡が出現する
「お出でなさい。『
その鏡の奥から椿姫先輩の呼び声に応えて三体の怪物が姿を現した
≪あれが椿姫の
ふむ?なんでそんな制限が入ってるんだろうな?ひょっとして亜種の
また今度
そんな事を考えてる間に三体の怪物は俺達近接戦組を飛び越えて後方に居た戦士達の元に突撃する
そして三体の内の一体であう巨大なネズミである『
≪『
次に服を着た二足歩行の兎が戦士たちの間をピョンピョンと飛び跳ねる
「うひゃあああああああああああっ!!」
「ゲハハハハハハハハハハハハハッ!!」
『
≪『
ソーナ先輩の説明を聴きながら残る帽子を被った細身の魔物に目を向けると帽子の奥の眼が光ってその光を直視した者達が突然怯えたように目の前に我武者羅に攻撃を加え始める
≪『
ソーナ先輩の解説を聴いて少し離れた場所に居た祐斗が苦笑してる様子が見えた
祐斗自身は問題無いとしてグレモリー眷属はパワータイプが多いからね。勿論テクニックも磨いてはいるんだけど、イッセー達は修行や実戦でテクニックを10伸ばすと自然とパワーが30位伸びてしまうと云う骨の髄までパワータイプだから
祐斗の境遇に僅かに同情の念を抱いているとソーナ先輩から新たな指示が飛ぶ
≪では有間君だけは効果範囲に突っ込んで下さい≫
ホワッツ!?
「ソーナ先輩!?俺、何か貴女に嫌われるような事しましたか!?」
『これら三つの能力を受ければどのような相手であっても戦いから除外出来ます』って説明していたその中に飛び込むの!?苛め!?
≪いえ、椿姫の能力で相手の戦線はほぼ崩壊するでしょうが『
確かに俺はクロウ・クルワッハみたいな力こそパワーみたいな奴が一番攻略し難いかも知れん
だがそれはそれとしてこの釈然としない感じは何なんだろうか?
近くの味方に容赦なく刃を振るっている教会の戦士たちの下へ跳躍しようとするが直前に肩を"ちょんちょん"と叩かれてそちらを見ると黒い触手が肩を叩いていた
その大元を辿るとサジがラインを伸ばしていて俺に向かってグッと親指を立てている―――ウルセェよ!励まそうとすんな!!
直後に跳躍した俺の視界が一瞬滲んだのは気のせいだと思う
教会の戦士達の数が半数を下回った時、低くて重い声が響いた
「下がれ」
クリスタルディさんのその一言でさっきまで雄たけびを上げながら加熱していた戦士達も一瞬で静まり返って道を開ける。溢れ出るカリスマオーラだ
ああいうのは今の俺では真似出来ないよな・・・京都の
強烈な邪気を纏って数多の妖怪に傅かれる存在・・・どう見てもヤベェ奴だコレ
不穏な未来の映像を振り払って改めて近づいてくる男を見つめる
すると今まで後ろで待機していたデュリオさんが天使の翼を広げて俺達の近くに降りてきた
「イッキ君。木場きゅん。聞いてるだろうけど先生は元エクスカリバーの使い手でね。手に持っているのはレプリカなんだけど、それを踏まえてもイメージしてるであろう最強のエクスカリバー使いの四つ上は覚悟しておいて欲しい」
≪彼の相手はデュリオさん、イリナさん、シスター・グリゼルダ、有間君、木場君に担当して貰います。教会の戦士達はシトリー眷属と残りの『
その言葉を受けて俺も流石に素手は止めて
他の皆も改めて聖魔剣や聖剣、光力で出来た武器などを構え直したようだ
ゆっくりと近づいて来た最強のエクスカリバー使いは予備動作無しで無数に分身する
そこにグリゼルダさんが本体を見極める為に光の球体を散弾の如くばら撒くが本体がその攻撃を弾くと同時に本体は幻術に紛れて瞬時に移動し、擬態の力で本体と入れ替わった実体の有る分身が突撃する。それを本体と勘違いしたイリナさんと祐斗が迎撃しようとするのをデュリオさんが制して振り出しに戻る
「最後に違和感を感じられたから擬態って分かったけど、イッキ君は先生の動きは見えた?」
「これでも仙術使いなので一応見えてました。俺のパートナーも幻術使いですし・・・精巧な幻術を造る為にレプリカのエクスカリバーに大量に力を込めているんでしょうけれど、半ば力押しで作られた幻術には違和感を感じます・・・もしもアレが本物のエクスカリバーだったなら、俺でも見抜けたかは自信が持てませんがね」
これで能力五分の一以下だってんだからな。エクスカリバーの能力の多彩さには本当に舌を巻く
神をも殺す
使いこなせるかは別としても性能はぶっ壊れ過ぎだよな
俺は一旦下がって来ていた祐斗とイリナさんの前に立つ
「取り敢えず軽く一当てしてみるから二人ともよく観察しといてくれ」
二人は一瞬何か言いた気だったけど、一当てするだけと言ったのが効いたのか見に回ってくれた
「イッキ・アリマか。ストラーダ猊下と張り合ったキミに手加減は出来んな」
「あはは、お手柔らかにお願いします」
別に手加減してくれても良いんですよ?
そんな事を思いつつ俺とクリスタルディさんは同時に地面を蹴った
それと同じく
「ふむ。やはり仙術使い相手では見破られてしまうか。仙術の使い手と戦った経験は余り無いが、厄介なものだな」
「戦闘経験豊富そうな貴方でも、そんなに少ないもんですか?」
「当然だ。我らが主に相手にする悪魔や吸血鬼、堕天使で仙術を扱う者など居ない上に使い手自体も少ないのだからな。お前自身も含め、お前の周囲に仙術使いが多く揃っているだけだ」
言われてみればそうかもな。仙術は希少で強力とされる力だし、『D×D』とか裏の世界のトップ陣との繋がりが強いと自然と周囲に仙術使いがチラホラ集まる訳だ。その上で九尾の狐とか孫悟空とか教会としても敵対し辛い立場の強者ばかりだと戦う機会も無くなるよな
ならば仙術使いとしての力も存分に振るうとしよう
鍔迫り合った状態から足元の地面を踵で二度叩くと周囲の地面がトゲ状に変化して襲い掛かる
「甘い!」
しかしその攻撃は彼に当たる前に不自然に軌道が逸れてしまい結局かすり傷も付かなかった
「私の時代には無かったが、『支配』の能力も問題無く扱えるのだよ」
やっぱりこう云う分かり易いのは対処されるか
「むっ!?」
ならばと彼の足の下にある土を退かして片足だけ埋まる即席の落とし穴を造る
一瞬体勢が沈むように崩れたところに余っていた左手の武器を手放して沈んで来た顎にアッパーカットを繰り出そうとしたが思いっきり上半身を後ろに倒す事で回避される
だが敵の目の前で片足が埋まった状態でそこまで体勢を崩して良いのかと思ったが埋まった足が地面を
見れば彼の足に形態変化した聖剣が巻き付いてそこから鋭い刃が伸びている
具足に出し入れ可能な刀剣を取り付けるかのようなロマン武器だ
「私が現役時代に3本のエクスカリバーを扱っていたのは聞いているのだろう?ミミックが在れば直接手で持つ必要は無い―――まさか私が3本目を口に咥えていたとでも思っていたか?」
御免なさい、ちょっと思ってました。どこぞの海賊狩りの海賊みたいにやってるか、もしくは凄いとっかえひっかえしながら戦ってるのかと!
ミミックで分身も造ってたし、この分なら全身いたる所から刃を生やせるトリッキーな戦いも可能だろう・・・日本刀の形か鞭のようにしならせるかの二択だったイリナさんとはえらい違いだな
「ちょっ、ちょっと有間君!今何か凄い失礼な事考えなかった!?」
イリナさんが不穏な空気を感じ取ったようだ。俺達の周りの女性陣ってこう云うのには変に敏感な人が多いよな
「いやぁ、クリスタルディさんのエクスカリバー捌きが凄いなぁって・・・流石はイリナさん達の先生ですね!」
「そ、そうよ!先生は凄いんだから!!」
恩師を褒められたからか途端に上機嫌になるイリナさん・・・ちょろい
グリゼルダさんは額に手を当てて頭が痛そうにしているし、祐斗とデュリオさんは苦笑中だ
「では此処からは純粋に戦士としての近接戦の技術での応酬といこうではないか」
クリスタルディさんはミミックの力で両手に剣を握った二刀流の構えとなる
柄頭から伸びる紐で繋がっているのでゼノヴィアのエクス・デュランダルの分解機構とはまた別のようだ。俺の二刀流に合わせた形なのだろう
それから始まった様子見を棄てた剣戟の応酬で周囲の戦士達に直接の被害こそ無いものの廃教会も教会周辺の森も剣戟の余波で粉微塵となっていく
『破壊』と『天閃』を組み合わせた果てしなく分かり易い攻撃だ
衝撃が何度か重なった場所は空間が崩れて向こうに万華鏡のような次元の狭間が見える
・・・ロスヴァイセさん。もうちょっと結界の強度を上げても良いんじゃないかな?
備考欄に斬撃に弱いって書いておこうか
そのまま少し戦っていると彼が戦い方に変化を付け始める
お互いの剣がぶつかってクリスタルディさんがそのまま押し込むような形で力を掛けてきたので鍔ぜり合うようになりお互いの足が止まった瞬間に彼の持つ刀身から刃が何本も伸びてきたのだ
「危なっ!?」
密着状態は向こうに有利過ぎるな、これは!
咄嗟に体をずらして枝分かれした刀身を避けると何本かの細い切っ先が背後で地面に当たって爆音を奏でる。今まで以上に『破壊』の特性が猛威を振るう訳だ
正統派の剣技と同時に全身を植物のツタが絡みつくようなミミックの斬撃も襲い掛かってくるのを捌いていると不意に左手の辺りに危機感を感じる
気配に意識を向けるとミミックで伸ばした剣の先端部分だけを透明化させて左腕に巻き付けようとしているようだ
単純に透明になってるだけなら兎も角、気配も『夢幻』以上に遮断出来るらしい
まぁそれくらいしないと『夢幻』の完全な下位互換だもんな
そうして細剣と鞭が合わさったような聖剣が左腕に巻き付いた
「漸く捕らえたぞ。もっとも、その腕を輪切りにしようとしていると云うのに巻き付くだけに終わっているのには物申したいがな」
普通に恐い事言いますね!フェニックスの涙とかが有るからこそ何だろうけどさ!
『破壊』の特性も相変わらず乗ってるから巻き付く刃に合わせて螺旋状にオーラを集中させてるから輪切りに為らずに済んでるけども!
なら、此方も一つトリッキーに脱出しますか
俺は憑依させているイヅナの妖力を借り受けて術を発動する
“ポンッ!!”
軽い音を立てて俺は小学生低学年くらいの年齢に『変化』する
「は?」
俺の腕を捕まえていたミミックもいきなり肉体の体積が減った影響で隙間が出来てその隙に腕を引っこ抜いて距離を取った
狐と狸の妖怪の代名詞とも云えるのがやはりこの変化の術だろう
白音の大人モードと違って見た目を変えているだけなので子供の筋力になったりしないし、ちゃんと服も子供サイズだ
「おお!初めて実戦で使ってみたけど間合いの変化を戦術に組み込めるのは面白いかも知れないな・・・見た目が締まらないけど些細な事だろうし」
「『些細じゃなぁああああい!!』」
おうふ!皆からのツッコミが耳に痛い―――通信機越しに大声出さないで欲しい
≪有間君。その姿だと此方も気力が削がれるので元に戻って頂けませんか?≫
ソーナ先輩の通信も入ったので変化の術を解いて元に戻る
何やら不評だったようだ
「いやぁ、なんて言うか・・・ねぇ?」
「小さい子供が戦場に居るという視覚情報だけでも如何してもハラハラしてしまいますね」
仁村と椿姫先輩の声に皆も頷いている。慣れれば大丈夫なんだろうけど、いきなりやるこっちゃ無かったか
「あ~、祐斗。エクスカリバーの力を使わせ続けて体力は消耗してるはずだし、場も白けちゃったから交代で良いか?」
「あ、うん、そうだね。後は僕たちでやるよ」
改めて戦闘態勢に入る祐斗たち・・・仕切り直すには効果的だったのだと思うとしよう
≪有間君。次に子供の姿になる時は周囲に黒歌さん達が居ない時かキチンと紹介した後にして下さいね―――多分彼女達が使いものにならなくなりますので≫
ソーナ先輩はなにを心配してるんですかねぇ!
「いやいや、黒歌達にそんなショタコン疑惑を掛けなくても・・・」
咄嗟に否定しようとするがそれも直ぐに遮られてしまう
≪甘いですよ。別にそういう趣味でなくとも危険だと言っているのです―――分かりましたね?≫
「―――はい」
ソーナ先輩の圧の籠った忠告を受けながらも俺は祐斗たちの戦いに目を向けるのだった
神器不全症の悪魔と人間のハーフはサイラオーグとのゲームの審判役だったリュディガー・ローゼンクロイツの子供ですね。シトリーの医療が発展して影響が出る人物と考えたらその子が浮かんだので救済してみました