塔城小猫が目の前に現れていきなり核心を突いて来た
これもう完全に確信をもってるよね!?多分だけど匂いでバレバレなんだよね!?
ていうか何でここに居るのかって思ったけど彼女の主であるリアス・グレモリーは高等部のオカルト研究部を拠点としているのだ―――放課後になれば中学生の彼女でもここに居るのは何ら不思議ではない!
ていうか黒歌も妹がオカ研(高等部)に居るの知ってたはずだよね!?うっかりか!?うっかりなのか!?トオ〇カの呪いか!?って俺も人の事言えねぇし!!
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・ナンノコトカナ?」
とりあえず誤魔化すことにした
「誤魔化さないでください!」
おおぅ、秒で切って捨てられてしまった
どうする!?どうするのが一番波風が立たないのだ!?彼女が黒歌を売るような真似をするとも思えないが今は姉に裏切られたと思っているのだ
そんな中で出会った姉の匂いが染みついた俺という存在。混乱して深く考えずにリアス・グレモリーに報告しないとも限らない。それはまずい!どういう経緯にせよ今の黒歌はSSランクのはぐれ悪魔なのだから!
俺の知るリアス・グレモリーなら討伐隊は派遣しなくとも捕縛部隊の派遣位はするかもしれない・・・小猫に黙っているよう何とか説得できても後々バレれば『指名手配犯をかくまった』として彼女も主のリアスも非常に面倒な事になるかもしれん・・・考えろ俺!
いつの間にか汗ばんでいた手をズボンで拭ったとき、手に硬い感触がした―――もしかしてコレならいけるんじゃないか?大根芝居でも構わない、今はこっちのペースに持ち込もう
「・・・何のことか分からないな。それよりも仕事の話をしようじゃないか」
無駄に不敵なラスボス(アザゼル先生をイメージ)を演じつつそう切り出す
「・・・仕事?」
「そう、仕事だよ、悪魔クン?」
そういった途端一気に距離を取られた
「そう警戒しなさんな、俺は見ての通りただの人間だよ―――君と契約を結びたい」
そう言いつつポケットの中にあった一枚のカードを取り出す―――そう、悪魔召喚用のカードだ。先日貰ったのだが記念にポケットに入れてあったのだ
「・・・契約?」
「その通り、俺は今夜このカードで君を呼び出そう。勿論一人で来てくれよ。もしかしたらお前さんの知りたいことが知れるかもしれないぜ―――おっと主に告げ口するのは禁止だ。お前さんだけなら兎も角リアス・グレモリーまで来たら話がこじれるかも知れないからな・・・」
そして全力で身体強化して一瞬で彼女の背後に回りこみ
「戦いになればどちらが有利なのかは理解できるな?もう一度言うぞ。誰にも知らせず一人で来い。そうすれば全ては丸く収まるかも知れないぜ」
そう言い残し瞬時に消えていった
▽
「・・・で?言い訳は?」
所変わって俺の部屋、今現在全力で土下座を披露しています
「てんぱってました。あの時の俺はどうかしていたんです。ごめんなさい!」
途中からはノリノリで演技(アザゼル風)をしていた気がする
そんな俺の姿を見た黒歌はかなり脱力感が漂っている
やってられないとでも感じているのだろう
「はぁ、私のうっかりも原因だし、時間もない中、過ぎたことを言ってても始まらないにゃ。それで?どうするつもりだったのかにゃ?」
「妹さんにも言ったけど俺と契約を結んで貰おうと思ってる。契約内容はただの雑談、ただし第三者に話の内容を直接的及び間接的に伝えることを禁止するという条件を付ける」
全力で怪しまれてるだろうが黒歌がいるという証拠はまだ見せていないのだ。何とか先に契約を結ぶことができれば丸く?収まるのである
「そう、じゃぁ私は遠くに行っておくから上手い事まとめておいてにゃ」
そのまま彼女は足元に魔法陣を展開し転移する
「待ったぁぁぁぁぁぁぁぁ」
・・・前になんとか魔法陣を破壊できた。そしてそのまま黒歌に抱き着く、何気に自分から抱き着くのは初めてだがなりふり構っていられない!・・・いや、でも柔らかいし腰細っそ!そう思いつつ必死に引き留める
「無理だから!黒歌抜きで俺だけで話を収めるとか絶対に無理だから!妹さんと仲直りするチャンスなんだから!」
「にゃ~!離すにゃ~!今更どんな顔して会えばいいっていうのかにゃ~!!」
「どんな顔でも真実を話せばいいって!後はアドリブでいいから!」
「それって丸投げっていうのにゃ!」
そんな攻防を繰り返しているうちに外はすっかり暗くなっていた。もう呼び出してもいい頃だろう
「・・・分かった、白音に会うにゃ。ただしイッキ!もし白音に嫌われたら私はこの町を出ていくけど、イッキも一緒に来るにゃ!逃亡先で一滴残らず搾り取ってやるにゃ!」
・・・一瞬それもいいかなとヨコシマな考えが頭をよぎってしまったが、きっとそうはならないだろう
「分かったから一度隠れて!今から呼び出すから!」
そういって抱き付いてた黒歌を離し、彼女が部屋の外に出たのを確認してから召喚のカードで塔城小猫の事を強く思い浮かべながら召喚する
部屋の真ん中に魔法陣が浮かび上がり塔城小猫が現れ、俺の姿を確認するや距離を取り部屋の中を鋭い目つきで見渡す
「・・・あなただけですか?」
完全に警戒している・・・当たり前か、そして俺もラスボスモード(アザゼル風)で相対する―――俺は割と冷静なのかもしれん(錯乱)
両腕を組み不敵な笑みを浮かべる
「そう警戒するなよ悪魔クン?平和的に話し合いをしようじゃないか」
「話し合い?」
「その通りだ。悪魔は人間の願いを叶えてくれるんだろう?俺の要求は『この部屋で行われる』ただの雑談だ。ただしここで見たり聞いたりした内容はいかなる手段を用いたとしても第三者に伝えることを禁じさせてもらう」
「・・・・・」
彼女は黙ったまま険しい表情を崩さない―――よく見れば頬に汗が伝っているのが見える
焦燥・不安・恐怖などを同時に強く感じているのだろう
「この条件を呑むのであれば俺はキミのいかなる質問にも誠意を持って答えてやろう・・・どうかな?キミにも何か知りたいことがあるんじゃないのか?それなら、俺と契約しろ」
やべぇ、もはやどっちが契約を迫る側なのか分からないし演技が止まらない!誰か俺の暴走を止めてくれ!
「・・・分かりました。その条件で契約を結びます」
彼女が絞り出すようにそう言った直後、部屋の扉が開け放たれて黒歌に強烈なボディーブローを叩き込まれた
「何をやってるのにゃ!白音を怖がらせるなんて万死に値するにゃ!『知識が欲しければ契約しろ』ってどこのメフィスト・フェレスにゃ!」
そうか・・・ラスボス先生のつもりがメフィストになっていたのか―――俺の演技はどうやらまだまだだったようだ
「ね・・・姉さま?」
「にゃ!白音!これはえっとその・・・」
こうして猫又姉妹は再会を果たしたのだった
「・・・という訳で私があのバカ主を殺したのはそういう理由だったにゃ」
今は姉妹で黒歌の知る限りの真相を妹に伝えている
「そう・・・ですか・・・なら、黒歌姉さまが今この町にいる理由は何なんですか?」
「いや~偶々流れ着いたこの町が居心地よくて・・・」
「黒歌姉さま?さっさと話してください」
俺と出会った時もそうだけど冗談の類はバッサリと切り捨てるな・・・
「う゛ぅ・・・」
「いや、そこまで話して何で口ごもるんだよ」
「うるさいにゃ!」
そんなやり取りをしていると小猫がこちらに対して「あなたはご存じなのですか?」と尋ねてきた
「知ってるけど、どうする?黒歌が黙ってるなら俺から言うけど?」
「・・・そうですね、お聞きします―――それと先ほどまでと随分印象が違うようですが?」
「あれは話の主導権を握ろうとしてちょっと暴走していただけなんだ・・・ゴメン」
できれば掘り返さないで欲しい。俺の新たな黒歴史の1ページになりそうだから
「分かりました・・・それで?」
「妹が主になったグレモリー及びその眷属にイジメられたりしてないか心配になって3年前からこの町にいるみたいです。いつだったか『私の事なんか忘れて昔みたいに笑えるようになってくれないかにゃ~?』って言ってました!」
「うにゃ~!?聞いてたのかにゃ!」
うるせぇ!この姉妹が仲直りするためならシリアスなんてぶち壊してやる!
そんなやり取りをしていると小猫はうつ向いてしまい、少しすると涙と一緒に嗚咽が漏れてきた
「にゃにゃ!白音!?なんで泣いてるのにゃ!え・・・えっとやっぱり私居なくなった方が・・・」
小猫ちゃんは黒歌がそこまで言いかけたところで彼女に正面から抱き着いた
「にゃ!白音!?」
黒歌も初めは両手をわたわたさせていたが次第に抱き合う形になった―――これなら大丈夫かな
「あー白音ちゃん。俺はとりあえず30分ほど席を外すから、黒歌もまだてんぱってると思うからその間お姉さんが逃げないようにお願いするよ」
「に゛ゃ!ちょっと待つにゃイッキ!!」
黒歌を無視して小猫に話しかける
「お願いできるかな?」
それに対して彼女は小さく頷いた。それを見た俺は黒歌の「おいてかないで欲しいにゃ~」という声をしり目に部屋から外に出て行った
30分後、また自分の部屋に戻ると猫又姉妹は二人そろってベッドに腰かけているようだ
小猫はとてもご機嫌なのが分かる―――何故なら猫耳としっぽを出して(リラックスモード?)満面の笑みなのだ・・・うん、可愛い
しかし、こうして二人そろって見てみるとよく似ている。猫耳という分かりやすい特徴に加えて顔立ちもそっくりだ。今は少し小猫の方が幼い感じだがそれも当然と言えるし、髪型を一緒にしたら完璧じゃないか?もっとも、スリーサイズは今はまだまだd
“ボフッ!!”
「今何か考えましたか?」
流れるような動作で枕が飛んできた
どうやら勘の鋭さは天下一品のようだ―――彼女は黒歌とは別のベクトルで十分に可愛いと思うけど深く考えるのはよそう
「・・・取り合えず仲直りは出来たみたいで何よりだ。そう言えば自己紹介もまだだったな、俺は
「私は・・・」
彼女はそこで言葉が詰まってしまった。おそらく『白音』と『小猫』のどちらを名乗るべきかと思っているのだろう・・・ここは助け舟を出すか
「キミが『白音』と『小猫』の二つの名前を持ってる事は知ってる。今はまだキミは中等部だから学校で早々会うような事はないだろうけど来年からは違うだろう?俺としては出来れば『小猫』の名前で呼びたいな」
「何でですか?」
「普段が『白音』呼びだと何処かでうっかりそう呼んじゃいそうだからね。確実に面倒になるし、それでなし崩し的に黒歌の事までバレでもしたら目も当てられない」
「確かにそうですね。では私の事は『小猫』と呼んでください―――私も貴方の事はイッキ先輩とお呼びしても?」
「了解。宜しく、小猫ちゃん」
「宜しくお願いします」
そうしてお互いに挨拶を交わし合った―――すると彼女は「それで、イッキ先輩は結局何者なんですか?」と聞いて来た
「何者と言われても・・・一般人?」
「イッキ、その説明は厳しいにゃ」
「いやでも黒歌、俺は生まれは一般家庭だし何処かの組織に所属もしてないし、フリーの仙術使いとして何処かで働いたこともないし・・・一応一般人なんじゃ?」
俺がそう言うと黒歌はそれを否定する
「イッキは今関西を統べる大妖怪の娘の婚約者にゃ。正式に所属してるとは言えないけど一般人ともまた言えないにゃ」
そうか・・・いつの間にか俺は一般人という称号を失っていたのか
「イッキ先輩、婚約者がいらっしゃるんですか!?」
小猫ちゃんが驚きつつも興味深々といった感じで聞いてくる・・・やっぱり女の子はこういう色恋に発展しそうな話題に食いつくんだな―――しかしどう答えたものか
「9歳にゃ♪」
って黒歌さん!?いや間違ってないけどせめて『コレコレこういう事情で』って感じで言い訳ぐらいさせてくれ!
ほら!小猫ちゃんが全力で部屋の隅に移動して蔑んだ目でこっち見てるから!
「ペド野郎とか最低です」
小猫ちゃん『ペド野郎』なんてスラングよく知ってたな!
「小猫ちゃん!やましい事など何もないから!やむにやまれぬ事情が有ったんだって!」
「その通りにゃ白音、今から婚約が決まった時の事とか私とイッキが初めて出会った時にイッキが叫んだ恥ずかしい事とか全て余さず教えてくれるにゃ」
とんでも無い事言うなこの性悪猫!
「言いたきゃ言えばいいさ!その間俺は部屋を出てる!俺から言う気はない!」
「ふふん!そう言う思ったにゃ♪白音、ちょっと・・・」
そう言って何やら耳打ちしている。今のうちに逃げたほうがいいか?そう思っていると小猫ちゃんが話し掛けてきた
「イッキ先輩、質問があります」
「質問?」
「はい。先輩が叫んだ恥ずかしい事を詳しく教えてください」
「はっ!?そんなの答える訳が・・・」
「『俺はキミのいかなる質問にも誠意を持って答えてやろう』・・・契約を結ぶ条件として先輩が言い出した事です」
「私が質問内容を考えて白音が質問をする、そしてイッキは誠意を持ってそれに答える・・・何も問題は無いにゃん♪」
・・・そうだった!小猫ちゃんは大人しい印象だったけど原作でも吸血鬼のギャスパー・ヴラディにニンニクフルコースをしたり、事あるごとに毒舌を吐いたりするキャラだった!?姉妹がそろった事でえげつない事になってやがる!
・・・そして約1時間後赤面しつつも魂の抜けかけた俺がそこにいた―――どうしてこうなった?
それから一年間、仙術や姉に対する忌避感を払しょくした小猫ちゃんが黒歌に修行を付けてくれないか?というお願いもあり、召喚カードで他言無用の条件をいちいち結びなおしながらも部屋での雑談という名目の仙術・妖術の解説や瞑想、他にも運動を一緒にするという名目の実戦的な修行を行っていった
流石に猫妖怪最強の戦闘種族だけあって彼女もメキメキと力をつけていった
主のリアス・グレモリーは彼女が新学期に伴い迷いが吹っ切れたと思っているらしく、優しい主に『姉と和解できた』と報告できない事は心苦しく思っているようだが、話せない事は理解しているので時々落ち込んでいるようだ
そして季節は廻り駒王学園の2年生となり、ついに原作の季節がやってきた
次回から原作!小猫ちゃんも強化しちゃったし今からライザーが勝てる未来が見えないww