それと先日「お!これ小説に使えそうなセリフ回しじゃね?起きたらメモっとこ」と夢の中で思う夢を見ました・・・実際起きたらセリフの方は忘れてました・・・ちくせう
日本近海のとある無人島に俺達は降り立った
そこには既に様々な種族の混成部隊が出来上がっているのが目に入る
『D×D』が幾ら精鋭部隊と言ってもアホみたいな数の邪龍達を相手にするのにこちらも数を揃えなくては意味が無い。戦いは数なのですよ、アニキ
とはいえそれでも向こうの方が数は多いんだろうけどね
まぁトライヘキサと聖杯さえ何とか出来れば量産型邪龍の弱体化結界を超広範囲で展開すればそこでほぼ勝利が確定するからそこはマジでロスヴァイセさんに感謝である
今、この島に集結しつつあるのは日本を縄張りとする妖怪と五大宗家を中心にした陰陽師などの術者が大半を占めている
陰陽師とかも妖怪や式神を強化・使役する術者も多いから傍から見る分には完全に百鬼夜行だ
すると現れた俺達に気付いた一部の人達が近寄って来る
その中の小柄な影が走り寄ってくると軽くジャンプして抱き着いてきたのでそれを受け止める
「イッキ!それに皆もよく来たのじゃ!此度の戦、私も戦うのじゃ!」
「え!?マジで!?」
幾ら何でも今の九重じゃ量産型邪龍の一体でも倒すのは至難を極めると思うんだけど
「ふふふ、心配要りませんよイッキ殿。九重は私に疑似的に
ああ~、そう言えば原作の冥界の魔獣騒動の時とかにそんな描写が有ったような気がするな
この世界線では俺がさっさと【じばく】連打したからそんな機会は無かったみたいだけど
「うむ♪そういう訳じゃからな。自分一人で!―――とはいかんが、やっとお主らと一緒に戦えるのじゃ!」
「そっか。親子ならではの連携技って事だな。しっかり八坂さんのサポートしてやれよ」
九重が八坂さんと常に一緒に居るならば俺も安心出来るからな
「―――ふむ。私の上に九重が重なる事で旨みが増す。これが俗に言う『親子丼』というもので」
いきなり何を言いだすんですかねぇ八坂さんは!?てかマジで誰だよ?そんな間違った『親子丼』を八坂さんに教えたのは!?
「違いますぅぅぅ!親子丼の認識を穢さないでくれませかねぇ!?そもそも親子丼ってのは食べ物で狐ではなく鳥を使用した・・・」
八坂さんでなくとも当然知っている事だろうが、そこまで訂正したところで今度はレイヴェルが顔を紅くして狼狽えだした
「イ・・・イッキ様!?まさか私とお母さまを一緒に美味しく頂くおつもりですの!?流石にそれはお父様やお兄様たちも激怒致しますわよ!」
レイヴェルさぁぁぁん!?それはボケてるんですか!?天然なんですか!?
「・・・レイヴェル。ちょっと笑ってる」
「にゃはははは♪レイヴェルもイッキを揶揄える程度には砕けてきたわね」
いや多分それって悪戯好き猫又姉妹と常に一緒に居る影響だと思うんですけど!
もう一度レイヴェルの方を見るとクスクスと笑っていたので本当に冗談だったんだろう
なんかこのままだと九重も何時しか皆の影響を受けて俺をイジリに来る未来が見えそうだ
「イッキ殿は何時でも揶揄い甲斐がありますなぁ」
そんな俺達のやり取りを見て八坂さんも満足気だ
戦いの前の緊張は解れるけど代わりに疲れるんですけど?
「くふふふ。ともあれ九重の初陣が世界を救う為というのも乙なモノと云えるかの。それに、九重の力を見たならばきっと驚くじゃろう。この娘は将来私を凌ぐ九尾となるのだと確信しておるぞ」
八坂さんに褒められて九重の頬が紅く染まる
「そっか、なら、援護は任せるぞ。九重」
「うむ!大船に乗った気でいるが良いぞ!」
俺が抱き抱えていた九重が俺の首に手を回してギュっとしてくる
九重は古い家特有の落ち着く香りがしてくるから癒される。ここら辺は近未来的堕天使建築の我が家にはないものだろう
それに黒歌達だと如何してもドギマギとした感じがするからね―――勿論それはそれで良いんだけど、完全に守ってあげたくなる系の九重はレアだ
それも後数年後くらいに九重との関係が恋仲として進展したら別なんだろうけどな
「あらあら、うふふ♪私も後でイッセー君にあんな風に抱き着いてみようかしら?以前にイッセー君が小さくなった時みたいに今度は私が小さくなって何時もと違う甘え方を体験してみるというのも良いかも知れませんわねぇ」
「あら?昔の朱乃が見られるなら是非私も混ぜてくれないかしら?」
そう言って次に現れたのは朱乃先輩の数年後の姿と言われたら納得してしまいそうなくらいに生き写しな女の人だった。敢えて違いを探すなら少し目元がキツメかな?朱乃先輩からおっとり成分を少し抜いたような感じだ
そんな彼女の登場に朱乃先輩は満面の笑みを浮かべて近くに駆け寄る
「
「ええ、久しぶりね朱乃。今までは碌に連絡も取れなかったけど、五大宗家も和平を結んだし、姫島のご隠居たちも押し込め・・・説き伏せてきたから今度一度ゆっくりお茶でもしましょうか」
「はい!」
今押し込めるとか言い掛けませんでしたか?
「あの朱乃さんにそっくりな人は誰なんですか?」
そんな中イッセーはリアス先輩にコッソリと耳打ちしている
「五大宗家の一つである姫島の現当主よ。朱乃とは
「え!?鳶雄さんって姫島の関係者だったんですか!?」
「ええ。もっとも『幾瀬』を名乗っている通り、姫島との繋がりは薄いみたいだけどね。なんでもイッセーと同じ年ごろまでは裏の世界の事も知らずに一般人として過ごしていたらしいわ」
「はぇ~、偶に出会う時は『特訓、特訓!』って感じだったからあんまりそういった事情を聴いたりしなかったな」
「彼が訓練に参加する時は少ないからイッセーは気が逸ってしまったのね。でも拳をぶつけ合う以外の交流も大切よ。戦いだって相手の私生活からでも見えて来る事って意外と多いのよ?」
相手の趣味・嗜好から戦い方を割り出すってどこの落第騎士の『天眼』ですか?まぁ流石にアレとは比べられないんだろうけど、要はどんな情報も逃さずに多角的に判断しろって事だろうな
長年次期当主及び『王』として人の上に立ってきたリアス先輩らしいモノの見方って感じか
「う~ん。どうしよっかにゃ~?」
「いや、なにを悩んでんだ?黒歌」
なんかさっきから視界の隅で黒歌が顎に手をやって考え込んでるんだよな
「いやぁ、白音もレイヴェルも九重もちっこい体でイッキに甘えてるじゃにゃい?朱乃っちじゃないけど私も一度小さくなってみるべきかと思ってね。ほら、私がイッキと初めて出会った時って殆ど今と見た目は変わってないからイッキとしても新鮮だと思うのよねぇ・・・折角色んなシチュエーションを試す手段も有れば時間もあるんだし、そういうのも楽しそうじゃないかにゃ?」
「お前はこんな時になにを考えてんだよ?てかここで黒歌までロリになっちまったら俺にあらぬ疑い(ロリコン疑惑)が掛けられそうなんだけど?」
そんなのは元浜で間に合ってるんだよ!
いやまぁ黒歌が小さくなって白音みたいに俺の膝の上に座ってみるとかそれだけだったら別に良いんだけどさ。実際可愛いと思うし
だけど絶対に黒歌の場合悪戯としてロリボディに変化したままR―18な展開に持っていこうとすると思うんだ・・・流石にそれは色んな意味でヤバいからな。社会的に死にそう
「それって外から見たら片方が幼過ぎるのが問題って事よね?だったらイッキも一緒に小さくなってロリショタプレイをしてみるにゃ!」
「そこじゃねぇぇぇぇぇぇ!!」
R指定においてロリもショタも現実じゃアウトだよ!つぅか俺らの実年齢はバレバレなんだからマジで意味ねぇよ!!
「ははっ、先輩方は世界の命運を目の前にしても平常通りなんですね」
「ん~、私はこういうアットホームな感じは好きだよ~♪ね~、黄龍?」
続いて現れたのは少し前に一度別れた後輩の百鬼黄龍と同じく生徒会の新メンバーの会計を務めるミラーカ・ヴォルデンベルグさんだ。純血の吸血鬼でギャスパーのようにデイライトウォーカーではない為、学園で見かける時は常に太陽光を遮るように全身マフラーや帽子、サングラスで完全武装しているからぶっちゃけ今回初めて素顔を見たな
吸血鬼よろしく青白い肌に人形のように整った容姿で白銀の長髪の持ち主だ。見た目だけなら滅多に表に出ない深窓の令嬢でも通じそうではある。ただ、どうやら実際は明るい性格のようでさっきから元気よくピョンピョン動いてるから、何だか病気になった人がハイテンションになっているようにすら見えて違和感を感じるな
要は第一印象は『見た目と中身にギャップのある人』だ
活発系かつ病弱系・・・みたいな?
いや、第一印象はモコモコの完全武装だからこの場合第二印象か?・・・如何でも良いか
「おう、百鬼も来たんだな・・・まぁ俺もイッセーも女性陣の押しが時々変な方向にぶっ飛ぶのが悩みの種と云えなくはないかな?」
「モテない男子が聞いたらキレそうな悩みですね」
松田と元浜は基本日に三回はキレてくるぞ
「でも黄龍だって婚約者が二人居るじゃん。それに多分もう一人くらいは増えるんじゃないの?」
そこにミラーカさんが百鬼の顔を下から覗き込むように見ながら女性関連の事情をバラすと、すぐさま反応したイッセーが叫ぶ
「なぁにぃぃぃ!?百鬼お前後輩のクセに婚約者が二人も居るだと!?バラ色の高校生活かよ!」
「お前がキレんなイッセー。てかお前は自分の事(美少女ハーレム形成)を棚に上げてなんでそんな素直に相手を妬めるんだよ?」
完全非モテ時なら分からんでもないけど、今のイッセーがそのことでキレるのは理不尽過ぎるぞ―――もっと心を広く持てって
「あははは・・・実は五大宗家の次期当主レベルの男子なら血を残す為にも3人くらいまでなら同時に結婚も出来るって国にも裏で許可されてるんですよ。同じ五大宗家の
「イエーイ!娶られるよ~♪♪」
か、軽いな・・・それにしても幾ら和平を結んだと言っても五大宗家筆頭が人類の敵としてのイメージの強い吸血鬼のお姫様を嫁に迎えるってかなり大胆な改革だよな?
「・・・家の為、国の為の取引だとしても最初はミラーカとも結婚するのは櫛橋の許嫁に対しても引け目みたいなのを感じてたんですが、多くの女性に囲まれながらも不和を起こさない兵藤先輩と有間先輩の様子を見て政略結婚だろうと男なら自分の嫁くらいは全員幸せにする度胸と度量が必要だと思ったんです!マジで先輩方は色んな意味で尊敬してます!」
お、おう、そうか・・・女の子に囲まれている事を羨ましいとか妬ましいとかじゃなくて尊敬されるなんて言われる日が来るとは思わなかったよ
「てかミラーカさんは戦えるのか?同じ吸血鬼のお姫様のエルメンヒルデはそこまで戦闘が得意って訳じゃなかったみたいだけどさ?」
そう言えばイッセーは年明けに祖母の家のある田舎で軽く一緒に戦ったんだっけ?
「あ~、エメちゃんにも得意な技は有るんだけど下準備が必要だからねぇ―――私はだいじょ~ぶ!私って実は脱いだら凄いんだよ♪」
「ぬぁあにぃぃぃっ!!え?脱ぐの?戦場のド真ん中でストリップショーしてくれるの!?そりゃあ俺達男の士気は向上するだろうけどさ―――有難うございます!!」
「アホか。脱いだらってのは夜ならって意味だろ・・・だよな?」
この世界だと割とマジで脱ぎかねない気がするんだけど大丈夫だよね?・・・それはそれとしてさっきの発言は際ど過ぎな気がするけどさ
「あははは、夜のミラーカが本気を出せば辺り一帯が地獄絵図になりますからね。戦いが始まったら間違っても彼女には近づかないで下さいよ?」
百鬼の次期当主にそこまで言わしめる程にエグイ能力を使うのか。ちょっと気に為るな
他にもこの島には時間を追うごとにどんどんと戦力が集中しつつあるようで八坂さん以外にも妖怪の主クラスもそれなりに参戦しているな。正直島には入りきらないから飛べる奴は飛んでる感じだ
全方位を海に囲まれた日本という国の関係上、放送でもあったように戦闘の余波で沿岸部が危ないけどその辺りは日本の神様が対処して下さるみたいだし、ちらほらとなら神の気配もこの島に在るので前線に出て戦う神様も居る様だ
そんな中で誰かがふと海の向こうを見やるとこの場に居た他のメンバーも釣られてそっちを向く
視線の向こうからは大量の邪龍となによりトライヘキサの重苦しい
「いよいよ・・・だな・・・」
「ええ、そうね。リゼヴィムから始まったこの因縁も今日で断ち切りましょう!」
「『了解!』」
リアス先輩の喝に皆が応え、それぞれが戦闘配置に付いて行く―――程なくして水平線の向こう側に黒い影が見え始めてきたのだった
今日という戦いが世界の明日を左右する。その事に怖気付く者は一人として居なかった
[保護者 side]
イッキたちが無人島へ転移して行ってから程無く、有間家のリビングにはイッキとイッセーの両親が揃っていた
駒王町は三大勢力が裏で様々な防備を整えているので人間界としては安全度が高い。しかしそれでも伝説の怪物であるトライヘキサの狙いの一つが日本である以上は確実に安全とは言い難い
オーフィスとリリスが揃って待機している以上は七分割しているトライヘキサの流れ弾程度はなんとか出来そうだが、万全を期す為にも固まっている方が良いのだ・・・イッキの両親は出掛ける前に息子からいざとなったらリビングの赤いボタンを押すようにとは言われているが、それが『月までぶっ飛ぶ緊急離脱装置』と知らないのは幸せなのかも知れない
また安全の観点以外にも超常の存在と繋がっている子供を持つ親という共通点を持つ者同士で集まる事による情報の共有や心の平定を望んだところも有った
「
兵藤夫妻を招き入れた有間一輝の父親である有間
「これはどうも、お邪魔させていただきます」
「お邪魔致しますわ。ですが宜しければ私の事も
「それもそうですね。では今後は
そうして三人がリビングに移動するとそこにはお茶を用意している
そしてお互いに名前呼びにする事を伝えると全員でテーブルを囲む
今までも隣に住む者同士で交流は有ったが、イッキとイッセーの二人が裏の事情を話してから一つの卓を囲むのは初めてであった
二つの家は大所帯である為に親だけで自然と集まれる機会は少なかった上に息子や将来の娘たちがテロリストと戦う組織に身を置いているという事実へ何時話が飛び火するか分からなかったからだ
特に兵藤
しかしトライヘキサの人間界への進出によってそんな段階はとうに過ぎ去ってしまったのだ
「それにしてもトライヘキサですか・・・私達からしたら余り親しみの無いものでしたが一度くらいは聖書というものに目を通すべきなのかも知れませんな」
リビングにも設置されているテレビを軽く見ながら五郎が切り出す
トライヘキサという名前も今まさに冥界のチャンネルで出てきたから知った名前だ
人間界のチャンネルでは日本とヨーロッパに謎の巨大生物たちが出現としか流れていないが裏のチャンネルならばその限りではない
時折兵藤家にも訪れていた紅髪の美丈夫であるサーゼクスがスーツ姿ではなく豪華な装飾の施された鎧を着こんで『魔王』としてテレビに出ている姿を見るのは妙な気分である
特に一人息子が王様に対して無礼を働いてないかなどが気に掛かるところだ
プライベートでのサーゼクスや貴族の当主というジオティクスに知らぬこととは云え今まで散々庶民として対応してきたのだから心配するのも当然かも知れない
「それも良いかも知れませんね。私達の場合は妖怪大百科とかが有ればそっちも見るべきでしょうかね」
そんな五郎の切り出しに一義もお茶で軽く喉を鳴らしてから答える
息子の周りにはなにかと妖怪の影が多い気がするからだ
「ははは!それを言ったらこちらも北欧神話を読む必要が出てきますな・・・暫く前にオーディンという名のご年配の方が家に泊まってた事も有ったのですが、今思うと北欧の主神様だったのだと思いますよ」
「なんと!神様がお泊りになられていたとはそれはまた御利益が有りそうですな」
大物という意味でなら『百鬼夜行の主』と称されるぬらりひょんも有間家には来た訳だが、流石に神様という響きには敵わない
「・・・あの子たちは・・・大丈夫でしょうか・・・?」
「「「・・・・・・・・」」」
三希が小さく溢してしまった声に他の3人も一瞬言葉が出なくなる
多少おどけた態度を取っていようとも結局のところこの場には子供を心配する親しかいないのだ
「あらやだ、御免なさいね。空気を悪くしちゃって」
「いいえ、寧ろ助かりました。誰かが切り出さなくてはいけない事でしたからね」
「それにきっと大丈夫ですよ美希さん。うちの息子なんて『ちょっと世界を救ってくる』だなんて近くのコンビニにでも行くような感じで出て行ったくらいですし、私達が思っているよりずっと安全なのかも知れません」
「―――あらあら、一輝くんはうちの一誠と違ってしっかりしてますからね。こっちなんて行き先もなにも告げなかったんですよ?一誠もそれくらい余裕のある態度を身に付けてくれたら私や夫ももう少し安心出来ましたのに・・・孫の顔は見れそうなのは安心ですけど」
無論、人間界でも四方を国に囲まれたヨーロッパ方面では最初期に戦闘機が幾つも撃墜された事は表のニュースにも挙げられている上に、今もこの場に居る彼らが冥界のテレビを点けながらもその内容を極力見ないようにするという矛盾的な行動をしている事からも窺えるように本気で大丈夫だと楽観視している訳ではない
それでも今出来る事は戦場へ向かった子供たちの無事を祈る事だけだ
「はっはっはっはっは!お互い、将来は孫に囲まれた生活を送れそうですな―――いっその事我が家とそちらの家の間にある塀を取り払って広めの庭に改造してしまっても良いのかも知れませんな。イッセーもイッキくんもお嫁さんは綺麗どころばかりですし、可愛い孫たちが同じ庭を駆け回ってボール遊びをする様子をそれぞれの縁側で眺める・・・う゛う゛ぅ・・・想像したら幸せで涙が出て来そうです」
「全くあなたったら袖を濡らしながら言うセリフじゃありませんよ?」
号泣している五郎にハンカチを渡す三希は少しだけ気が楽になったのか笑みを浮かべる
「うふふ、でもそんな未来も素敵ですね」
「ええ、その為にも我々が出来る事は、少ないですが重要ですよ。子供たちの無事を信じて、あの子達が返ってきた時に温かいご飯とごく普通の『おかえりなさい』を言う事です」
一義の一言に皆が小さく頷き、様々な想いと祈りを籠めつつテレビに目を向ける。子供たちの無事を祈るように―――例え一瞬でも自分達の大事な子供たちが映ったなら精一杯応援出来るように
[保護者 side out]
[Boss side]
冥界のとある堕天使領。冥界に現れたトライヘキサの進行方向である首都リリスとは別方向に位置するとあるVIP向けのリゾートホテルのプールにその少年は居た
プールの傍でパラソルを立てデッキチェアに座りながらプールの水面を興味深げに覗き込む彼の目には聖書のハルマゲドンを始めとした様々な神話に多く描かれる世界の終わりを告げる大戦争とも云える戦いの映像が見えている
神々や伝説の戦士などが参戦しているこの戦いでは既に多くの死者が出ていた
トライヘキサが時折放つブレスの直線状に居たならばそれだけで神々だろうと防げず、全力で回避するしかない上に早々避け切れるものでもない
更には量産型の邪龍と赤龍帝も一般兵士が相手取るのは命懸けだ
既に各地に設置された野戦病院では回復術師たちがフル稼働しており、怪我人も最低限動けるようになったらまた邪龍の群れに突撃するという最低なサイクルが出来上がりつつある
トライヘキサ復活までの間にアポプスとアジ・ダハーカが夥しい数の量産型邪龍を揃えた為に物量に押し潰されているのだ
そんな各地の様子を見ながらテーブルに展開していた盤上遊戯の駒を動かす
「チャトランガ・・・チェスや将棋の起源となったとされるボードゲームでしたね」
青白く光る髪を持った少年が声を掛けられてそちらに視線を向けるとそこには緑色の髪の妖艶な雰囲気を纏う美丈夫が立っていた。それを彼は出迎える
「やぁアジュカ。キミは戦いに行かなくて良いのかい?サーゼクスたち他の魔王は前線に赴いたようじゃないか」
「それをおっしゃるならばシヴァ様の方もインド神話にもトライヘキサが現れているのですからトロピカルドリンクを飲んでいる場合ではないのでは無いですか?」
「ハハッ、神だって休日にバカンスを楽しむ時も有るさ。何千年も神をやってる連中が不測の事態の一つや二つで慌ててトップに指示を貰わなきゃ動けないだなんて滑稽だろう?―――っま、僕が直接動くと色々事後処理が厄介になるから出来るだけ働くなって部下に頼まれてる手前も有るんだけどね。それに幸いトライヘキサが降り立ったのはインドラの管轄する場所だから安心して他勢力への援軍を向かわせることも出来る・・・冥界にもそろそろ僕の陣営の神が何柱か到着するんじゃないかな?インドラも最近は自陣を太らせ続けてきてたんだから
「それについては同感ですね。かの神が自主的に
「アイツも昔から派手好きだからねぇ。ただ、時代が移ろいだ
挨拶代わりの軽口を叩き合ったところで少年の姿をした神。シヴァは「さて」と一度視線を切る
「それで、どんな用かな?」
どこか挑発めいた視線でアジュカを見やる彼に当のアジュカも妖艶で考えの読めない笑みで応える
「トライヘキサの討伐依頼を三大勢力からお受けしたとお聞きしましたが」
アジュカはシヴァのチャトランガの置かれたテーブルの対面に座りながらその駒を一つ動かす
それを見たシヴァも応じる形で駒を動かした。二人の動かした駒の動きはゲームのルールからすれば出鱈目だ。しかし観る者が見ればそれは今の世界の趨勢の略図だと気づいただろう。リゾート地の一角で彼らが駒を動かせば各地の戦局がその通りに動く
リアルタイムの情報収集能力と破格の頭脳を持っているからこそのものだが、まるで彼らが世界を直接掌握し、弄んでいるかのような光景だった
「ま、一応ね。だがこれは・・・想定外かな?恐らく世界を巻き込む程の『戦争』でなければ、アレを封じる事はできない」
「封じる・・・ですか。破壊の神たる貴方が世界を巻き込んででも封じる事しか出来ないと?」
アジュカの言葉にシヴァは肩をすくめる
「流石の僕でもアレを殺しきるのは不可能さ。それが出来るとすれば全盛期のオーフィスかグレートレッドくらいのものだろう―――それはキミやアザゼルだって解ってた事じゃないのかな?
『破壊』はするさ。けれどそれだけで殺せる程やわな存在じゃないだろう?あの
今のトライヘキサは元々のタフさに加えて聖杯と生命の実の力で、例えるならゲームのレイドボスに蘇生魔術と回復魔術を重ね掛けしてあるような状態だ。一度や二度破壊した程度ではほとんど意味を為さない
「それよりも僕が気になるのはキミらが急遽用意したもう一つの作戦とやらの事かな?最終手段の一歩手前に差し込むという割には僕らにも詳しい内容は教えてくれなかったしね」
「あらゆる勢力に迷惑はお掛けしませんよ。それに詳細は現地で・・・という事で話は終わっていますから」
「まっ、僕らの用意した檻をキミらがどう扱うのか。精々楽しませて貰うよ」
ニヤリと笑うシヴァの傍でトロピカルドリンクの氷がカランと音を立てた
「さて、世間話はこの辺りにして私の用事が何かという事でしたが、二点有ります。一つは我が友サーゼクスの邪魔をさせない事。もう一つはあなたがこれを機に『破壊』を始めないか見定めさせていただく事です」
アジュカの背後には何時しか蒼い長髪の冷たい雰囲気を宿した美女が立っていた。強大なドラゴンのオーラを隠す気は無いようで、その正体が五大龍王最強のティアマットだと察せられた
そんな彼女の手には一つの携帯電話が握られている
それは恐らく
「へぇ、僕がトライヘキサと共に世界を破壊するとでも?」
「いいえ、あなたが破壊するのがこの世界だとは一言も―――しかし異世界が標的となるという事ならば話は別です。アナタはあくまでもトライヘキサの抑止力を買って出ただけ」
「あはは!なかなか面白い考察だけど、異世界に手を出すつもりは無いよ―――多分ね」
「ええ、そうでしょうね。ですが私はこの場に留まりアナタと共に居る事により、その僅かな可能性に対する抑止力となりましょう」
今のやり取りからシヴァは思う。成程、各勢力の神々がもう一人の超越者よりも目の前の悪魔の方を警戒するのも頷ける―――彼は神々の事を
世界中に散らばる神話を読み解くと分かる事だが大抵の神々というのは頭のネジが2つか3つは外れている連中ばかりだ
最近だと
無論。長い年月を生きる中で人と触れ合う内に人間の感性にある程度共感し、所謂丸くなった神も居るが、大半は傍迷惑な趣味や理念の持ち主たちだ
目の前に座るこの神々からすれば年若い悪魔はそんな複雑怪奇な思考回路すらも本質的に捉えている節がある―――それは単に頭が良いだけなのか、それとも彼も
「―――神と超越者の考えている事はよく分からないわ」
今まさに世界が崩壊しそうだという時にただの世間話のように火花を散らしている二人の様子を見ていたティアマットは溜息を吐く
「単純な話です。アイツの敵になるのなら、私の敵になるというだけです」
熱を帯びた友情に厚い言葉だ
普段はのらりくらりとしている男の珍しく表に出した本心なのだろう
「良いだろう。ならば共に見定めようじゃないか―――この世界の行く末を」
戦う者。祈る者。
[Boss side out]
次回から本格戦闘に入れそうですww