俺達がトライヘキサとアポプスに近づく為に更なる進撃を仕掛けようとした時、ついにトライヘキサの頭上辺りに陣取っていたアポプスが動いた
手元に出現させた聖杯に手を翳すと聖杯が強く輝いて俺達が押し進めた前線の前衛組と最初に俺達が居た無人島近くで援護してくれていた後衛組の間に大量の魔法陣が展開され、そこから量産型邪龍の大群が現れた・・・ご丁寧に強力な邪龍達をメインに据えた構成となっている
「さぁ、これからが本番だ。進めば私の下へ辿り着けよう。しかし後ろの者達に甚大な被害が出る事になるぞ?壁役の居なくなった後衛ほど脆いものは無いからな―――私も早く貴様らと戦いたいが、手を緩めるような無粋な真似をする気は無い。頭を回し、死力を尽くし、貴様らにとって最も価値のある勝利へと続く道を歩んでみせろ。その先でこそ、私は待つ」
アポプスのセリフが風に乗ってこちらまで届いてくる。前門の虎、後門の狼と云うか前も後ろもドラゴンばっかだ
「っく!あれ程容易く戦力を補充出来るなんてね!しかも強力な邪龍ばかり。ここで島まで邪龍を蹴散らしつつ後退すれば取り敢えずの被害は抑えられるでしょうけど、減らした端から補充されたら焼け石に水だわ。それにファーストインパクトで兵隊たちの力は大分消耗しているから今回は凌げてもその次からは死者が大量に出始めるわね」
「邪龍の増援がどれだけ残ってるは判らない以上は消耗戦に持ち込むのは下策ですわね。当初の予定通り、素早く邪龍の囲いを突破して本丸に乗り込むしかないでしょう」
頭脳派のリアス先輩とレイヴェルが多少予想より損害が増えるのは無視してでも前に進むべきと口にする。確かに無限湧きする中ボスなんていちいち相手にしてられない。しかしアポプスは更にこちらに畳み掛けるように仕掛けてきた
「そうだろう。貴様らは戦士として自分のすべき事を理解している。ならばもう少し後ろ髪を引いてやるとしよう」
アポプスが再度聖杯に手を翳すと今度は最初に俺達が居た無人島を中心に展開していた後衛組の背後にも邪龍の軍団が出現した。これで前衛組も後衛組も関係なく邪龍達に完全包囲された形だ
「さて如何する?今ならば転移で逃げて立て直す事は出来るだろう。しかしその間に我らは貴様らの後ろにある国に乗り込む。人が、建物が、自然が、その多くが破壊され、再び貴様らが我らに挑むとしても眼下の戦場は焼け野原となるだろう。冷静にして冷酷な判断で撤退するか、刺し違える覚悟で進撃し、その蛮勇を勇気と称えられるものへと昇華させるのか、貴様らの魂の指し示す奇跡を魅せてくれ」
クソ!どこかの人間讃歌を謳いたい魔王っぽいようなセリフを吐きやがって!
完全に潰しに来ているな・・・いや、その上で自分と相対する勇者を望んでいる感じなんだろうけど、この一ヵ月で聖杯なんてチート級アイテムでせっせと邪龍を量産してたこいつ等が本気の物量をぶつけてくるとか面倒ってレベルじゃねぇ―――このまま戦って勝ったとしても双方全滅での勝利とか勝利と呼びたくはないし、如何動くべきか
てかトライヘキサをなんとかしようと色々頑張ってた訳だけど、原作よりも時間が有った分だけ前哨戦の難易度は寧ろ上がってねぇ?
すると俺達の背後の無人島から極大の光の柱と呼べる斬撃が放たれ、襲い掛かる邪龍の群れの一部を薙ぎ払った
「それは好都合。『奇跡』がご所望ならばやはりこの場は俺の出番のようだな」
手に持つ聖槍で肩をトントンと叩きながら余裕の表情を浮かべながら現れたのは曹操だった
「曹操!?お前なんで此処に!?」
イッセーが驚きと共に質問すると何時もの飄々とした態度のまま答えてくれた
「なに、帝釈天に遣わされてな。遅ればせながら俺も参戦させて貰おうとこの島にやって来たのだが、中々良いタイミングだったようだな」
「あれを見ろ!」
そこで戦場に居た誰かが島の付近の空中に指を差して叫ぶとそこから空間転移で五大龍王の一角である
「ほっほっほ、今まで中々一緒に戦ってやれんですまんかったのぅ。さてさて、その分働かせて貰うぞい」
筋斗雲に乗って戦場を駆り始めたのは初代の孫悟空だ・・・確かに『D×D』の副リーダーって肩書の割に数回出会っただけだったからな
とはいえ帝釈天の遣いとして殆ど単騎で世界を飛び回ってクリフォト相手に暴れてたみたいだから流石に文句は付けられん
そんな孫悟空に続いて戦場に飛び出した二つの影
片方は年老いた豚の獣人のような風貌でもう片方はドクロの数珠を首から掛けた髭の長い老人だ
「ブヒッとな。まったく、この歳で大喧嘩たぁ老体には堪えるぞ」
「まったく、まったく、儂らの中で現役なのは悟空だけだってのに、儂らまで無理矢理引っ張ってきおってからに」
文句を言いつつ豚の獣人は口から極大の火を噴き、ドクロ数珠の爺さんは眼下にある海水を無数の獣の形に変えて邪龍達に向かわせていた
「そう言うない。
そりゃあアンタ等なら大抵の若い奴らには負けないでしょうよ
『そりゃあ暴れないと嘘だよな!』
「「「いの一番に引退したぐーたら龍は黙っとれ!!」」」
西遊記メンバーの中での
「
イッセーが孫悟空と関連付けて増援に来た二人の正体に辿り着く。
そんな伝説のメンバーに増援に来ていた最後の人影が声を掛ける
「悟空、悟浄、八戒、玉龍。私語を慎め、世界の危機だ。今こそ積んだ徳の見せどころなのだぞ」
見た目は青年一歩手前くらいで蓮の花を思わせる衣装を着こみ足元に車輪がくっ付いてそこから火を噴き、手には炎を纏った槍を持っている。他に目を引く物は腰布と手首の輪っかだな。どれもが最高峰の武具だと解る
「
お~!
「でも曹操。確か今って帝釈天の領域の須弥山にもトライヘキサが出現してるんだろ?幾ら戦神の多いインド神話つっても最強の
「っふ。どうやらかの神はライバル視している破壊神が各勢力に悠々と援軍を送っている事がお気に召さないらしくてね。『俺達はシヴァ神の陣営と違ってトライヘキサに襲われてる状態でも各勢力に援軍を送る程度余裕だし!』・・・と、見栄を張りたいのさ」
「うっわぁ、面倒クセェ上司だな」
『帝釈天も本気』って本気の出しどころ間違えてるだろ
曹操も否定も肯定もせずに肩を竦めるだけだし・・・まぁお陰でこっちは助かってるからこれ以上は俺も控えるか。それに対トライヘキサ戦でありとあらゆる勢力に恩が売れる機会とも言えるから、そこまで可笑しい判断とも云えないしな―――部下は大変だけど
そんな彼らは確かに心強い援軍だけど広範囲に広がる戦線を支えるには流石に手が足りない。そんな想いに応えるかのように更に援軍がやって来た
極大のブレスと極大の聖剣の波動が邪龍の群れを薙ぎ払う
「どうした?お前たちの力はこんなモノではないだろう。お前たちの全てを俺はまだ見ていないのだ。タンニーンへの義理立ても有り、今は力を貸そう」
「久しぶりだな、若人たちよ。すでに引退した身だが、世界の危機とあっては立ち上がらなければ主に顔向け出来ないのでな。この老骨に鞭を打ってやって来たのだよ」
新たな援軍は邪龍最強のクロウ・クルワッハに最強の聖剣使いのストラーダ猊下だ。二人の圧倒的な攻撃力の前ではグレンデルとラードゥンの硬い防御も布切れのように破られていく
更にそこにダメ押しとして曹操が動いた
曹操は聖槍を掲げる様に両手で持つ
「さぁ、先程のアポプスの『奇跡を魅せろ』とのリクエストに応えるとしよう!」
曹操に気合が入ってるのは良い事だけど懸念事項が一つ有るんだよな
「大丈夫か曹操?天界の時みたいにおっぱいの奇跡を手繰り寄せたりしないよな?」
乳神降臨(日本の)とか既に前科一犯なんだし
「・・・この場で赤龍帝を多少女性の胸関連で強化したとしてもこの戦場全体の戦局を変えるような『奇跡』は聖書の神の遺志とて引き起こせないだろう―――大丈夫だ。問題無い」
ニヒルな笑みを浮かべながら問題しか起きそうにない返しは止めなさい!そう思うのも束の間、曹操は最強の
「槍よ、神を射抜く真なる聖槍よ。我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの狭間を抉れ―――汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ!
曹操の掲げた槍の穂先から神聖で莫大な光が天をも貫く柱となり、夜の戦場を昼間かと見紛う程の明るさで照らし出す
そして直ぐに戦場に『奇跡』による変化が訪れた
『・・・・・おっぱい』、『・・・おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』、『おっぱい』
四方八方、上下も含めて全方位から聞こえてくるのは言い訳のしようも無く『おっぱい』だった
そしてそのおっぱいコールを連打してるのはアポプス達が用意した偽物の赤龍帝達だ
「こ、これは一体どうなってやがるんだ?」
彼らのオリジナルであるイッセーが状況に付いて行けない中、リアス先輩が何かに気付いたようだ
「―――っは!?そうよ!あの偽物の鎧たちはサイラオーグとのレーティングゲームのフィールドに残されたイッセーの血液や鎧の欠片を基にして量産されたものだったはずよ!つまり、あの試合で
「そうか!『おっぱいドラゴン』のコピーならば乳に関する奇跡も通用するという事だな!」
リアス先輩の推理にゼノヴィアも得心がいったらしい・・・曹操よ。如何やらこの戦場全体にはとっくにおっぱい要素が詰め込まれていたみたいだぞ?
「で、でもでも!大丈夫なのこれ!?偽物のイッセー君たちがなにか(おっぱい)を求めるように手をゆらゆらと突き出してるんだけど、その内私達の胸が狙われない?」
あ、確かにそれはダメだ。俺はイッセーの兜を両手で掴んで"ゴチッ"と額を突き合わせて緑色のレンズの奥のイッセーの瞳を覗き込む
「イッセー。例え偽物でも黒歌たちの胸を揉もうものならお前に
なんか今凄く平坦な声が喉から出た気がする
言われたイッセーは高速で頭を縦に振った・・・と云うか全身が震えてる気がするな
「絶対阻止する!死んでも阻止するわ!!」
おう、その意気だイッセー。マジでその時は容赦しねぇからな?
だが如何やらこのおっぱいの奇跡は終わってはいなかったようで、戦場を照らしていた光の柱から一柱の神が降臨した。トーガを身に纏ったブロンド短髪で天使の羽のようなものを生やした男神だ
「アレは!?ギリシャ神話の恋愛と性愛を司るとされる神―――エロス!!」
戦場の誰かがその正体を知っていたのか叫ぶ・・・っておいおい。仮にも『聖書の神』の起こす奇跡なのに日本神話の乳神やらギリシャ神話のエロスやらを引っ張って来るとか聖書の神様の遺志も随分と腰が軽いな。和平を結んだせいか?
そして敵味方関係無く今の状況に困惑してる中、降臨したエロスがその声を―――否、神の啓示を彷徨える偽乳龍帝たちに
≪OPPA~I、に目覚めた愛し子達よ。残念ながら鎧姿のキミたちはOPPA~I、を揉む事は出来てもその柔らかさも温かみも感じる事は出来ない≫
なんでおっぱいだけ『OPPA~I』なんてカタコト英語みたいな発音なんだよ?あとさり気に残酷な事実を突きつけてるな。偽赤龍帝改め、偽乳龍帝軍団に隠しきれない動揺が広がっているぞ
だがそんな苦難の道を敷かれて生まれてきてしまった新たなおっぱいの信徒たちに進むべき道を示すのもまた
≪OPPA~I、に触れもしないならそんな
エロス神は戦場の偽乳龍帝たちに≪OPPA~I、包ンダラ、イイジャ~ン。OPPA~I、ウズメタラ、イイジャ~ン≫と無駄に神々しく告げる
≪さぁ、キミたちの新たな門出を祝う為にこの曲を贈ろう。キミたちにこれ以上相応しい応援歌は無いだろうからな≫
慈愛に満ちたその表情で指を"パチン"と打ち鳴らすと無駄に豪華な音楽が奏で始める。ただパイプオルガンだとか高級な楽器テンコ盛りの音だけどリズム自体は凄く聞いた覚えがある曲だ
≪と~ある国の隅っこに おっぱい大好きドラゴン住んでいる☆≫
ああ、はい。解ってましたよ。これが『おっぱいドラゴンの歌』だって事ぐらいはさ
エロス神もノリノリで歌い始めて周囲の偽乳龍帝も歌うという機能は無い代わりにセラフォルーもとい魔王少女レヴィアたんが振付したダンスを踊っていく・・・イッセーは鎧の状態で今までも沢山踊って来たから鎧の記録に残ってるのかな?
そう云えば聖槍の起こす奇跡には相手を祝福して心を得るものも有るって前に言ってたっけ?多分今目の前で起きている奇跡がその類なんだろうな
≪おっぱいドラゴン今日は寝る いろいろおっぱいあったけど
どうしてもスイッチ姫が大好き おっぱいドラゴン明日も飛ぶ!≫
そのまま2番の歌詞までFullで
「・・・・・なぁ曹操。おっぱいによる奇跡なんて起こらないんじゃなかったのか?」
「有間一輝・・・俺はもう二度と(聖書の)神など信じないと誓うぞ」
※この日を境に世界の美乳・巨乳の誕生率が3割増しになった(未来の
「ん゛っうん゛!確かに予想外過ぎる事態だったけれどこれでグレンデルにラードゥン。赤龍帝と普通の邪龍の軍団の四つの勢力の内、一つが消滅したわ。大分戦い易くなったはずよ」
リアス先輩がなんとか頭を回して状況の把握に努めている
確かにパワーも有って『譲渡』の力も有る偽赤龍帝たちが居なくなったのはデカいな―――内容に目を瞑れば素晴らしい『奇跡』であり戦果だ
「因みに本物のおっぱいドラゴンであるイッセーはさっきの状況をどう見るんだ?」
「いや・・・本当にもう訳が分からないぜ・・・」
「お前って自分から変態的な事をする時は割と突き抜けるのに、周囲が変態的な事をすると途端に一般人になるよな」
~何処かのリゾート地~
「う~ん。待ったしても良いかい?」
「先ほどの領収書を受け取らなくても良いのであれば、どうぞ」
「―――あなた達いい加減普通に観戦したら?」
おっぱいドラゴンとオール・エヴィルの齎す変化は神にも超越者にも読めなかったようである
~何処かのリゾート地(完)~
偽赤龍帝軍団が居なくなった事で戦況は五分にまで持ち直した・・・あれだけの事が有ってもまだ五分なのだから追加で召喚された邪龍の数も大概で有る事が伝わるだろう
「皆さん、トライヘキサの束縛術式が出来上がりました。ただ、これを発動する為にはトライヘキサに触れ合うくらいの距離まで近づかなければなりません。更には各勢力と連絡を取り合ってタイミングを合わせて七か所同時に発動する必要が有るので下手をすればトライヘキサの近くで待機する必要が有ります・・・アポプスの動向も気になりますし、如何したものでしょうか」
「どちらにせよ、聖杯を取り戻さないとなにも始まらないわ。多少危険でもトライヘキサに近づいてギャスパーとヴァレリーが聖杯の奪取。そのままトライヘキサに張り付く形で邪龍達からロスヴァイセを私達で守るわよ」
「『了解!』」
皆が再度気合を入れ直す。しかし堅牢さに定評のあるグレンデルとラードゥンの群れを普通に突破しようとすれば時間が掛かってしまう
そこで今まで力を温存していた皆も動き出す
「ここからは出し惜しみは無しでいくわよ―――アーシア!」
「はい!」
リアス先輩の指示を受けて邪龍四兄弟の背に乗って龍王であるファーブニルに守って貰いながら俺達及び周辺の味方の回復役を担っていたアーシアさんが奥の手を披露する
ファーブニルを召喚する際に契約の対価として既に渡していたパンツとはまた別にパンツを3枚取り出したのだ
「ファーブニルさん。つ、追加の
「あれは!アーシアの勝負パンツにお気に入りのパンツに今日の体育の着替えの時に穿いていたはずのパンツじゃないか!―――まさかアーシア!その三枚目のパンツは脱ぎたてなのか!?今はノーパンなのか!?」
「ち、違いますゼノヴィアさん!これは家を出る直前に履き替えたものなので今の私はちゃんと穿いてますぅぅ!」
『追加のお宝、頂きました。アーシアたんの体温がほんのり残ってるパンティー。クンカクンカ―――俺様超本気出す』
渡されたパンツを一通り堪能したらしいファーブニルは口を大きく開くとそこから様々な伝説のアイテムを吐きだしていく。強大な力を秘めた魔剣、聖剣、聖槍、魔槍、盾、弓矢、斧、それ以外にも香炉など如何戦闘に用いるのか一見しただけでは分からないようなものまでファーブニルの黄金の波動を纏って空中に展開された・・・お前どこの英雄王だよ?
これだけの伝説のアイテムを同時に操るなど如何に龍王と云えども消耗が激しいだろうにアーシアさんのパンツを受け取った
この場において守られる立場のアーシアさんとヴァレリーさん(+ギャスパー)にロスヴァイセさんは一か所に固まって動いているので実質あの二人も一緒に守ってる状態だ。これならば俺達アタッカーも後ろを気にせずトライヘキサへの道を拓く事だけに注力出来る
アーシアさんの
「皆、俺が道を拓くから60秒でトライヘキサの下まで走り抜けてくれ。今から一分間。皆の命と安全は俺が預かるけど、問題有るか?」
最速でトライヘキサの近くまで移動する為に皆に俺を信じられるかと問うと呆れたような顔をされてしまった
「バーカ。今更イッキの『全力』を疑う奴なんて居ねぇよ。そうだろ、皆?」
イッセーの言葉に皆が頷いてくれる。それに多少こそばゆさを感じながらも前を向く
そうだな、こんな時だし折角なら気合を入れていこう
士気を上げるのも大切だからな
「だったら遅れるなよ。しっかりと―――俺の後ろについて来い!!」
こんなセリフも夏季休暇に京都の妖怪たちと討ち入りした時以来だな
多少の懐かしさを感じながらも俺は能力を解放する
「【一刀修羅】!!」
先程俺が発動した【一刀羅刹】に比べたらその出力は60分の1しか無いが、多少硬い程度の量産型邪龍なんて【一刀修羅】でも十分豆腐を斬るかのような手ごたえに変貌する
イッセー達からすれば俺の影を追う事も難しいだろうスピードで周辺の邪龍を高速で動き回ってなで斬りにする
放った斬撃はそのまま遠方の邪龍達も切り裂くので今はイッセー達の周囲全方位に絶えず斬撃が舞っている状態だ。そしてそのままトライヘキサへ続く道を俺が造るとイッセー達も出来たばかりで邪龍の肉片がバラバラと落ちているその空間に跳び込んで来る
・・・肉片も出来るだけ吹き飛ばすか。なにせ手ごたえ無くスパッと切れるから衝撃で吹き飛んだりしないのだ
俺の姿はほぼ見えて無いだろうが、無数の斬撃を放ちながら突き進むイッセー達に遠くに居てギリギリ無事だった邪龍達がブレスを放ってきたりもしたが【一刀修羅】で全てがスローモーションに見えていた俺は少し荒めの斬撃を放って衝撃波でブレスを消し去っていく
う~む。味方を守りながらだとあんまり綺麗過ぎる斬撃は少しマイナスだな。飛んでくる銃弾を刀で真っ二つにしても結局自分に当たっちゃうような感じだ
攻撃を切り裂いても斬られた方がそれに気付かないから推進力もそのままにこっちに向かって来るって云うね・・・ル○ン三世の五右衛門とか斬った後の銃弾どう処理してるんだろう?
思考も加速しているので余裕のある考察をしつつも宣言通りに60秒でトライヘキサの近くまでやって来た。そして【一刀修羅】の効力が切れて一瞬酷い虚脱感と共に落ちそうになるが、それと同時にフェニックスの涙を飲んで体力を全回復する
「来たか。だが、この一撃はどう防ぐ?」
俺達の事を見ていたアポプスが指示を出したのかトライヘキサの口に先程放たれたものよりも更に強力なオーラが集まり始め、そんなトライヘキサの顔の方向へ立ち塞がるように量産型グレンデルとラードゥンが隙間なく密集する。時間を稼いで俺達ごと吹き飛ばすつもりか!
「させん!」
俺達がその状況を打開する為に動き出す前に黄金の鎧を纏ったサイラオーグさんが別方向から突撃して来た。見れば彼の進行方向の邪龍達はそれぞれが虹色のシャボン玉に包まれて文字通り嵐のような攻撃に晒されている―――更にその周囲に居る邪龍達もシャボン玉が障壁となって中心を突っ切るサイラオーグさんに攻撃を加えられないでいるようだ
当然ながらその光景を生み出したのはデュリオさんだ。丁度サイラオーグさんと一緒に戦ってたようで、こっちの状況を見るや直ぐさま彼に道を造ったのだろう
しかしサイラオーグさんだけではトライヘキサのブレスを如何にかする手立てはない。だからこそ彼はここで禁じられた呪文を口にする
「此の身、此の
『我と我が主は、此の身、此の魂魄が尽きるまで幾万と王道を駆け上がるッ!』
サイラオーグさんとレグルスが交互に呪文を唱える
それは彼のこれまでの人生であり、これから歩む道への決意の表明でもあった
「唸れ、誇れ、屠れ、そして輝けッ!」
『此の身が魔なる獣であれどッ!』
「我が拳に宿れ、
「舞えッ!」
『舞えッッ!』
「『咲き乱れろッ!!』」
「『
二人の呪文が重なりレグルスの黄金一色だった鎧はバアル家を象徴する色である紫を加えて新たな輝きを得た
「サイラオーグさん。ヴァーリの
驚くイッセーの言うように彼は魔獣を封じた
ヴァーリは魔力を糧に一時的に
「ゆくぞ、レグルス!」
『ハッ!』
「『
サイラオーグさんが
「『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッツ!!』」
放たれたのは二人の獅子王が魔力を乗せた渾身の絶叫
文字通り爆発するような音圧と威圧に近くに居た邪龍達は一瞬身動きが取れなくなり、その隙にサイラオーグさんが口を開けたトライヘキサの顎下に潜り込む
アレがサイラオーグさんとレグルスの魔力を用いた特殊技か・・・サジは「旦那が変な技開発してた」って言ってたけどそんな可笑しな所有ったか?
「『
何処か可笑しそうに笑うサイラオーグさんは握り締めた拳でトライヘキサの顎にアッパーを繰り出した。衝突した拳と顎はこの戦場全体にも響きそうな音を鳴らしてトライヘキサの顔の向きを僅かに上を向かせる
「まだまだアアアア!!」
そのままサイラオーグさんが只管顎下に連続で拳と蹴りを加えていき、トライヘキサの顔が俺達から逸れた時、かの獣のブレスが解き放たれて大分遠くの海に落ちた
津波とかは沿岸部を守ってる神様とかが何とかしてくれるだろう
それでもブレスの範囲が範囲なので味方にも少なくない被害が出たようだが
「―――情けない。今の俺ではこの程度か」
いやいや、多分トライヘキサの顎砕けてるか最低でも罅入ってましたよ?もう治ってるだろうけど魔王級の攻撃でもかすり傷程度のはずだから十分凄いでしょ
だがそんなライバルの雄姿を見て血が滾ったのかリアス先輩も高めた魔力で滅びの球体を何発も撃ち出していく
「負けてられないわね!私達も一気にアポプスを叩くわよ!!」
「よっしゃ!ギャスパー、準備は良いか!」
≪とっくに出来てるよ、イッセー先輩!聖杯は必ず止める!≫
「うふふ、頑張りましょうね。ギャスパー」
闇の獣の姿で格好良くキメているギャスパーもヴァレリーさんがポヤポヤ笑顔で頭を撫でているからいまいち締まらないな
さて、ここで以外にもアポプスに突撃する為に最初に前に出たのはレイヴェルだった
「ギャスパーさんが大切な方の為に頑張ろうとしているんです。友人として私もここは一つ派手にいきますわよ!」
そんなレイヴェルは全身に猛々しくも神々しい炎を纏っている。いや、アレは俺が与えた【神性】を全開にしているというよりはレイヴェルがその全身を禁術の贄として捧げているのか・・・今までは腕や足など体の一部だったのに全身となると威力は比較にならないだろう
レイヴェルの背後に展開されている北欧式の魔法陣に巨大な樹の紋様が描かれている
「北欧の主神オーディン様はその昔ルーン文字を得る為に世界樹ユグドラシルの下で
レイヴェルの突き出した指が素早く空中に縦に三本、左右の斜めにも三本ずつ、計九本の線を奔らせる。ルーン文字の原典にして原点であるマザールーンと呼ばれるものだ
「これが北欧における始まりにして創成の炎!神や巨人たちですらも焼き尽くす原初の
神話の一節を再現するその一撃は前方の邪龍の群れを焼き払い、トライヘキサの表面も焼き、アポプスにすら原初の水による防御態勢を取らせる程だった
たった一発。されど間違いなく神クラスの一発だったな。禁術使いの面目躍如ってところか
「元北欧の
「・・・恐ろしい限りですね。同じ術式を
ですよね。再生能力だけならトライヘキサとタメを張るだろう。まぁトライヘキサは有り余るエネルギーで無限コンテニュー可能だけどさ
「レイヴェルにだけ良い格好させられません。ギャー君の友達なら私も当てはまるんですから」
「にゃははは♪白音もレイヴェルも九重も張り切るなら私はイッキのお嫁さんという枠組みで参加しようかにゃ?
「はい。黒歌姉様!」
なんとも恥ずかしい宣言をした二人が浄化の炎に【神性】を練り込んだ神聖なる炎を身に纏う―――彼女達が悪魔とか妖怪とか言われても中々に信じ難いだろう
白音も今までは三又モードの時は小柄なままだったが、この状態では大人モードとも併用出来るようだ
更に言えば二人はそれぞれ神聖な炎で編み込まれた透けるような羽衣を纏っている。まるで天女のような姿に惚れ惚れするし、何よりあの羽衣はより高濃度の浄化の炎で形作られているようなのでアレに触れれば量産型じゃないグレンデル達でも一瞬で燃え尽きるかも知れないな
「私の
俺の彼女の期待値が重い!別に俺能力で彼氏彼女の関係を結んだ訳じゃないよ!
俺がなにか云う前に白音と黒歌は神浄の炎で邪龍達を容易く葬っていく
九重は八坂さんの手を借りた形だけど俺の将来の嫁さん達が皆して神の炎をブッパしていく・・・それに比べて俺はと云えば邪炎を邪龍に浴びせて邪龍達がつんざく様な悲鳴を上げながら燃え落ちていく様を量産していってるというこのギャップよ!
「あはは、まぁ聖と邪が合わさってある意味バランスは取れてるように見えるんじゃないかな?」
俺一人と黒歌達四人でバランス取れてるって如何いう意味ですかねぇ、祐斗さん?
邪神要素が強すぎですか、そうですか!
悲しい気持ちになりつつも俺達はついにアポプスの下まで辿り着いたのだった