転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第十二話 その名を、受け入れます?

山岳地帯を高速で飛行していたヴァーリはとある山の頂に辿り着いた

 

そこには三つ首の邪龍であるアジ・ダハーカが邪龍軍団と連合軍の戦いを見物していた

 

そしてやって来たヴァーリに計六つの視線を向ける

 

『よぉ、来たか白いの』

 

『やっほー☆』

 

『遅かったじゃないの!』

 

だが挨拶だけしたアジ・ダハーカは再び視線をヴァーリから外す

 

アジ・ダハーカの見つめる先は眼前に広がるヨーロッパの戦場だけではない

 

魔法で幾つもの映像を空中に映し出しており、その先に他六ケ所のトライヘキサと各勢力の連合軍との壮絶な戦いの光景を流している

 

そんな映像をヴァーリにも見やすいように移動させたアジ・ダハーカは問い掛ける

 

『なぁヴァーリ・ルシファー。此処やアポプスの居る日本、他の神話世界でも行われている世界の終焉とも云える極大の破壊風景を見てなにを思うよ?』

 

『どんな感じ?』

 

『ぶっちゃけ如何よ?』

 

真ん中の首の質問に左右の首も軽いノリで追従してくる

 

そしてアジ・ダハーカは元々返答を待つつもりは無かったのかそのまま自分の感想を述べ始める

 

『俺としては―――まっ、こんなもんだよなってのが素直な気持ちだ』

 

『うんうん☆』

 

『想像通り!』

 

『今は三大勢力の同盟を切っ掛けに各神話も仲良しこよしの態勢を造りつつあるけどよ。もっと昔はそれこそ世界中のあらゆる神話体系が大々的に争ってた。今の段階じゃあまだ昔の再現すら届いてるか微妙なくらいだ・・・まっ、このまま続けば世界は終わるんだろうけど『破壊』なんてのは経過も結果も見慣れたもんだ』

 

確かに、とヴァーリは思う。表の戦争も裏の戦争も規模が違うだけで爆炎の後に死体と焦土が残るだけという結末に変わりは無い

 

『だがそこに異世界なんてもんを知っちまった。そこにはもしかしたら俺達の誰も知らない何か別の答えが待っているかも知れない!そう考えたらワクワクしたんだよ―――勿論、単純な戦い、殺し合いも変わらず大好きだぜ?だがそれだけで良いんなら別に異世界の事は後回しにして、先ずこの世界の強い連中全員と決着を付けてからでも良かった・・・だけどよ、そこまで待てないくらいに俺は期待に惹かれちまったのさ』

 

アジ・ダハーカが子供のようにキラキラした瞳で空の向こうを見上げる

 

最凶クラスの邪龍とされる彼の語る姿は余りにも無邪気と呼べるものだった

 

『―――『E×E(エヴィー・エトウルデ)』っていう、機械生命体と精霊が争ってる世界なんだとよ。今んところ分かってるのは精霊を司る善神レセトラスってのと機械生命体を司る邪神メルヴァゾアってのが世界を二分して支配してるって事だけだ・・・この世界のありとあらゆる文献や伝説にも残ってない世界だからな。リゼヴィムたちが必死こいて調べた上で判明したのはその二柱の神の名前くらいだ。あとは精々乳神ってのが居るって事くらいだな』

 

それはヴァーリとしても初めて聴く異世界の情報だった。確かに岩人形(ゴーレム)とかならまだしもロボットか、もしくはアンドロイドが出てくる神話などと云うのは聞いた事が無い。それもSFとファンタジーが正面戦争してるとなれば尚更だ

 

『グックック、『D×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)』たるグレートレッドを超えた先に待っているのが『E』を冠する世界ってのは中々しゃれているとは思わねぇか?もしかしたら観測出来てねぇだけで他にももっと沢山の異世界が存在するのかも知れねぇよな』

 

『『E×E』の次は『F×F』?』

 

『それかこの世界が『D×D』なら『C×C』や『B×B』なんて世界も有るのかな?』

 

―――成程。確かにそれは夢の有る話だ

 

まだまだこの世界一つですら周り切れていない自分からすれば漠然した感覚でしか掴めない程に壮大で、太古から生きている目の前の邪龍が自分以上に興味を惹かれるのも頷けるというものだ

 

『どいつもこいつも世界征服だの世界平和だのと御大層な名目掲げてるけどよ。俺から言わせれば皆おんなじだぜ。ガキンチョが思い描くような夢に邁進するバカばっかりだ。それなのに利権だの愛だの名誉だのと途中で余所見する奴が多すぎるんだよな―――でもよ。俺ぁ違うぜ?俺は強い奴と戦って面白いもんが見れればそれで良いんだ。それ以外のもんは俺には必要ねぇ』

 

『シンプル・イズ・ベスト☆』

 

『一番愉しい事だけやってたいの!』

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ヴァーリは目の前の邪龍の純粋な言葉に思わず無言になり、その様子を見たアジ・ダハーカは軽く肩を竦めた

 

『ガキだって思うか?それとも傍迷惑だと蔑むか?別に構わねぇぜ。言われ慣れてるからよ・・・俺はこの生き方を変えるつもりは無ぇ。それが邪悪だと云うのならそれで良い。邪龍で十分だ』

 

「―――いや、あまりにも単純明快で潔い答えだと思ってな。俺個人としては好感すら覚えるよ」

 

『ハハッ、まぁ万人受けする答えじゃねぇってのは分かってるがよ。時々オメェみたいな奴も現れるんだよな』

 

ヴァーリの返答に今度はクツクツと笑いを溢すアジ・ダハーカを見てヴァーリは思う

 

成程、目の前の邪龍は邪悪なのだろう。だが同じ邪悪でもリゼヴィムとはまた違う

 

リゼヴィムは邪悪であろうとする故に破壊と闘争を振りまいたがアジ・ダハーカは破壊と闘争を求めた結果が他者から見た場合邪悪なのだ

 

他人を気にするリゼヴィムと己が道を往くアジ・ダハーカでは役者も違えば根底に根差すモノも違うのだ―――リゼヴィムが見限られたのも当然と云える

 

『なぁ、また闘ろうぜ?ヴァーリ・ルシファーにアルビオン。前の時みたいにお互い血だらけになりながらガツンガツンと身も心も砕けるまでよ』

 

『二天龍を倒して地上最強の称号を得る!』

 

『邪龍こそ最強なり!』

 

「ああ、やり合おうアジ・ダハーカ。俺もその為に此処へ来た」

 

ヴァーリが応えるとアジ・ダハーカは体から強大なオーラを(ほとばし)らせる

 

例え上級悪魔であっても今のアジ・ダハーカの隣に無防備に立っていれば焼かれて死ぬだろう。

それ程に絶大なオーラだった

 

だがそんな凶悪なオーラと戦意を真正面から受けたヴァーリも歓心こそすれど恐怖までは抱かない

 

強さを求める彼にとってはどんな状況でも格上との戦いは強くなる上で最高の糧となるからだ

 

恐怖とはまた似て非なるゾクゾクとした高揚感が全身を支配した・・・彼も大概戦闘狂(バトル・ジャンキー)なのだ

 

睨み合って数秒。示し合わせたかのように両者はその場から消え去り、天空高くで激突した

 

 

 

空中でぶつかった両者はお互いに口元を僅かに切って血を流しながら距離を取る

 

音の壁を瞬時に突破してアジ・ダハーカの顔面の一つを殴りつけたヴァーリをアジ・ダハーカも間髪入れずに殴り返した構図だ

 

『・・・魔法による遠距離戦が得意なお前が初手から肉弾戦とはな』

 

てっきり距離を詰める自分と魔法で応戦して近寄らせないアジ・ダハーカという形で勝負が進むと思っていたのだが、当の邪龍は魔法を発動させる素振りさえ見せずに拳を固く握るだけだったのだ

 

『なぁに、お前が真っ直ぐに向かってきやがるからよ。ケンカの始まりを告げるのはやっぱり顔面パンチの方が盛り上がるだろう?』

 

今のはアジ・ダハーカにとっては単なる挨拶だったのだ

 

まるで合理的では無いが目の前の邪龍の目的は愉しむ事だと考えれば辻褄は合う・・・要するに大バカ者なのだが、見ていて気持ちの良いバカだ

 

「始まりの合図か。ならば次はウォーミングアップの時間だな」

 

ヴァーリはそういうと空中に無数の魔力弾と北欧式の魔法陣を展開させて撃ち放つ

 

それを防御魔法陣で防いだアジ・ダハーカはお返しとばかりに凶悪な魔法をヴァーリに打ち込む

 

Half(ハーフ)Dimension(ディメンション)!!』

 

同じく防御魔法を張ったヴァーリだが瞬時にそれだけではアジ・ダハーカの魔法を防ぎきれないと察した事で片腕を前方に突き出し、向かい来る魔法を半減領域で威力を削る

 

何度か半減させた魔法はヴァーリの障壁に当たると重い手ごたえを伴ったものの防ぐことが出来た

 

「―――やはり、遠距離戦では向こうが数段上だな」

 

『ああ、アジ・ダハーカは様子見の一撃だったのだろうが今の攻撃、本気で防いだだろう?』

 

アルビオンの言うようにそれだけの力量差が彼我の間には有るのだ

 

『さあ!どんどん魔法を増やしていくぜえええエエエエエエエ!!』

 

最初のヴァーリに合わせたであろう数十発の魔法だったがこの戦域にあらゆる場所に物凄い勢いで魔法陣が増えていき、そこから多種多様な属性・効果を持った魔法が撃ち放たれる

 

ヴァーリも半減領域を展開させるが、ただそこに留まって集中砲火を半減させても十分にヴァーリにダメージを与える威力を保っている事は先の一撃で実証済みだ。それ故ヴァーリは戦場を縦横無尽に飛び回り、弱めた魔法を自分の魔法で迎撃して相殺する

 

だがしかしヴァーリが処理する魔法よりもアジ・ダハーカが新たに生み出す魔法の速度の方が上だ。周囲一帯に展開される魔法陣の数は既に五桁に届き、今も尚増え続けている

 

『ウォーミングアップって言ったよなアアア?なら、それも終わりにしてこっからは禁術も混ぜていくぜエエエ!!』

 

アジ・ダハーカのオーラが更に爆発し、そのオーラを糧に血の涙を流す聖母、目を合わせただけで死にかねない一つ目巨人(サイクロプス)、おどろおどろしい人の手の形をしたナニカ。それ以外にもレイヴェル・フェニックスの使っているような単純に魔法の威力を底上げしたものまで禁術だけでもこれ程の数が有るのかと驚くほどの禁忌が戦場を埋め尽くした

 

それらの禁術を見た瞬間ヴァーリは禁手(バランス・ブレイカー)の更に先に手を伸ばす

 

「我、目覚めるは、律の絶対を闇に堕とす白龍皇なりッ!無限の破滅と黎明(れいめい)の夢を穿(うが)ちて覇道を往く!我、無垢なる龍の皇帝と成りてッ!―――汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えようッ!!」

 

Juggernaut(ジャガーノート)Over Drive(オーバードライブ)!!!!』

 

禁術が完成して放たれるまでの僅かな時間にヴァーリは白銀の鎧を身に纏う。過去最高に早口で唱えた呪文のお陰でギリギリこちらの準備も間に合った

 

解き放たれた禁術の数々になりふり構わず全力を籠めた能力を解放する

 

Compression(コンプレッション)Divider(ディバイダー)!!!!!』

 

やっている事は『Half(ハーフ)Dimension(ディメンション)』と変わらない。しかし白銀の鎧を着こんだ状態で放たれるこの技は神クラスの最上級死神のプルートでさえ瞬殺する程に逸脱した力を持つ

 

そのあらゆるものを原子レベルまで圧縮し、消滅させる必殺技を防御に使い・・・無数の魔法がヴァーリの体を撃ち抜いた

 

「ガッハアアアアアッツ!!?」

 

『おっ♪スゲェじゃねぇか。今のは俺様も本気を出した攻撃だったのに消滅はしなかったか』

 

アジ・ダハーカの禁術がヴァーリの防御でも相殺しきれずにダメージを負った理由は単純だ。アジ・ダハーカの方が強いから・・・ぐうの音も出ない程に分かり易い図式である

 

『大丈夫か!ヴァーリ!?』

 

「っぐ!問題無い。アルビオン・・・少し全身の骨が砕けた程度だ」

 

まるで大丈夫じゃないダメージ報告をしながらもヴァーリは支給されていたフェニックスの涙で回復する。だが怪我と体力は回復したが精神的にはかなりの衝撃を受けてしまっている―――全力中の全力を注ぎ込んでも防御すらもままならなかったからだ

 

以前ヴァーリが仲間たちと戦った時より明らかに強くなっている・・・もしも前回ですら今ほどの力を振るっていたなら死者の一人か二人は出していただろう

 

『グックック、前に戦った時ぁまだ体を聖杯で調節中だったからよ。『本気』で戦ってはいたが『全力』じゃあ無かったんだよ。だが調整が済んだ事で更にリゼヴィムの野郎が持ってたオーフィスの蛇の力も取り込めたって訳だ』

 

「―――成程。最強格の邪龍に龍神の力も加わったのか。道理で強い訳だ」

 

ヴァーリは砕けてしまった白銀の鎧の各所を修復しつつも納得する

 

これ程の力を無制限に八方に振りまく事が出来る全盛期のオーフィスもそれと同格とされるグレートレッドやトライヘキサも神クラスまで昇りつめたと云える今のヴァーリですら足元にも及んでいない規格外の存在なのだと

 

「全く、超え甲斐のある目標だ」

 

『んあ?トライヘキサの事か?そうだな、今は異世界が先決だが俺も邪龍最強を謳う以上はいずれはぶっ倒したい相手だぜ』

 

一瞬だけヴァ―リの意識がトライヘキサの方向へ向いたのに気付いたのかアジ・ダハーカも同意する―――強さを求める邪龍にとってトライヘキサやグレートレッドを標的にしない理由も無いのだ

 

もしやすると昔に直接ケンカを売ったことすら有るかも知れない

 

『だけどよ。今はお互い目の前の相手に集中しようや―――なんだったら白龍皇の真の力ってのを使ってもいいぜ?且つては(どく)龍皇なんて揶揄(やゆ)されたオメェの力を見てみてぇもんだなぁ。なぁ?

アルビオン・グウィバー(・・・・・)?』

 

『毒龍皇!毒龍皇!』

 

『毒々しいキミの力を僕らに魅せて☆』

 

アジ・ダハーカがその名を呼ぶとヴァーリ鎧の宝玉が明滅する

 

『・・・その名と力は棄てたものだ』

 

聞こえてきたのは何時にも増して不機嫌な声だ

 

アルビオンの後半の名前であるグウィバーとは『毒蛇』を指す言葉だ

 

昔はそのまま毒を振りまいて戦い、それだけでも十分神々ですら恐れるだけの力を持っていた―――しかしある時赤龍帝のア・ドライグ・ゴッホと出会いその毒が効かない初めての相手に驚愕し、またそのシンプルに強いドライグのドラゴンの在り方に憧れたのだ

 

それ以降、アルビオンは『毒』以外の力を求めた

 

そうして生まれた力が『半減』であり『吸収』であり、『反射』なのだ

 

今此処で『毒』の力を使うという事は『毒』ではなく『己』を高めてドライグのライバルたらんとする向上心に対する裏切り行為だ

 

それはアルビオンにとって決して容認できない手段だった・・・そう、『だった』のだ

 

アルビオンが『毒』の力を封じた背景には神々すらも忌避する力という在り方が嫌いでもあったからだ。汚い言い方をすれば周囲が自分の事を汚物やヘドロでも被ってるかのように扱い、遠ざかるからという理由も有った

 

しかし今世でヴァーリ・ルシファーを宿主としてからアルビオンは多くの経験をした

 

先ず宿主であるヴァーリは祖父も父も毛嫌いしているが悪魔の父(ルシファー)の肩書には少なからず誇りを持っているようだった・・・決して中二病の琴線に触れたからではないと思いたい

 

続いてライバルである赤龍帝のコンビも乳龍帝やおっぱいドラゴンなどと云うふざけた名称で精神を病むドライグの姿や、自分自身も二天龍そのものが穢されたかのような感覚に号泣してドライグと傷をなめ合う日々も有った

 

大体忌避される猛毒も今の有間一輝の邪気に比べれば可愛いものである

 

有間一輝は邪気を操る際は相手に邪気が流れないように抑えてパワーだけを出来るだけ引き出しているが、それが無ければ模擬戦の度に阿鼻叫喚の地獄絵図が顕現するだろう・・・有間一輝が模擬戦でも全力の邪気の特性を振るうのは現状クロウ・クルワッハか白銀の鎧のヴァーリくらいだ

 

邪気の扱いにも慣れてきた今の有間一輝は『触れるな危険』としての格がかなり上昇している

 

触らぬ神になんとやらだ

 

そんな天龍の価値観にすら影響を及ぼす者達に囲まれているアルビオンにも少しずつ心境の変化が訪れつつあったのだ

 

『・・・・・・・・・・』

 

アルビオンが思い悩んでいるとアジ・ダハーカは今度はヴァーリに話し掛けてくる

 

『ヴァーリ・ルシファー。お前さんも前に殺り合った時とは少し変わったよな―――その目はよく知ってるぜ?なにか大切なモンを守ろうとする奴の目だ。仲間・・・じゃねぇよな?お前は身内は大切にするタイプに見えるが、お前の仲間は必死になって守らなきゃいけないような弱い奴らじゃなかった。とすると・・・女でも出来たか?』

 

アジ・ダハーカの言葉によく見ているとヴァーリは思う

 

これが例えばグレンデルのような粗暴な邪龍であったならそのような細かな変化など気にも留めなかっただろう

 

「ッフ、女というのは否定はしないが兵藤一誠のような色恋とかじゃないさ。昔、とても・・・そう、とても世話になった女性が居てね。まぁこんな俺にも一家族くらいは守りたい者達が出来たというだけだ。軽蔑するか?弱弱しく感じるか?これでも存外悪く無いと思っている」

 

母を守ろうという気持ちは以前から有ったが、あの時、母以外にも弟と妹が居るその情景を見てから、ただそれだけでもヴァーリの守護する対象は一人から一家族に変わった

 

あの家族の『幸せ』を守るなら誰一人として欠けてはならないからだ・・・そう、自分以外の誰一人として

 

それを聴いたアジ・ダハーカは楽し気に笑いながらもその瞳に真剣な色を混ぜる

 

『いいや、寧ろ逆だぜ。家族や恋人、友人、主従。関係は様々だが、誰かを守りたいって想いを軸にしてる奴らは例外なく強者だった。どれ程力の差が有ろうとも命が燃え尽きるその瞬間まで勝つつもりで立ち向かってきやがる―――邪龍の俺が舌を巻く程のしぶとさでな。だからよ、それを聴いた以上はオメェの事はより一層油断のならねぇ相手だと認識させて貰うぜ!!』

 

刹那、アジ・ダハーカの構築した魔法陣から眩い光が放たれ世界を覆った

 

攻撃が来るかと身構えたヴァーリは頭がグラつくのを感じる

 

直接的な攻撃ではなく、精神に作用するタイプの禁術を使われたと理解した時には抗えないところまで術に嵌ってしまい、深い深い幻術(ゆめ)の世界へと堕ちていった

 

 

 

ヴァーリは暖かくて安らぐ素朴な香りのする布団を掛けて寝ている事に気が付いた。だが布団とはまた別の重みが自分に乗っかっているのも感じる

 

この感覚からして小さな子供が乗っているのだと理解するが不思議と嫌な感じはせず、寧ろ抱き寄せたい衝動すら有った

 

そしてゆっくりと目を開けると[一度だけ見た/毎日見ている]自分と似た顔立ちの少年が目を覚ました自分を覗き込んで満面の笑みを浮かべていた

 

「やった!お兄ちゃんが起きた!朝ご飯がもう直ぐ出来るから起こしてこいってさ!」

 

「あ・・・ああ・・・」

 

パチクリと瞬いてなんともマヌケな返事をしてしまったが当の少年はヴァーリが起きたてでまだ寝ぼけているのだと思ったのか、気にも留めてないようだ

 

すると部屋の扉が開いて入口から小さな人影が入って来る

 

そちらにヴァーリと少年が同時に視線を送ると部屋の中の様子を見て可愛らしく頬を膨らませた少女が両腰に手をやって"ムスッ"としたポーズを取る

 

「ああ、もう!お兄ちゃんをそんな乱暴に起こしちゃダメって何時も言ってるでしょ?」

 

少女としては寝ている人の上に乗っかってはしゃぐと云う起こし方はアウトだったらしい。如何やら少年はやんちゃっ気が強くて少女はしっかり者の性格をしているようだ

 

少年・・・弟がベッドから起き上がったヴァーリの手を引く

 

「ほら!お兄ちゃん、早く早く!」

 

されるがままに部屋を連れ出されたヴァーリは向かう先から芳ばしい匂いが漂って来るのを感じた―――手を引く弟に後ろから付いてくる妹。ならばこの先で朝食を用意しているのは

 

「あら、ヴァーリも起きたのね。貴方が一番遅いなんて大学のテストも大変ね。昨夜も遅くまで勉強を頑張ってたんでしょう?」

 

―――在り得ない。そう何処かで否定しようとしていた心が目の前に現れた母親の優しい笑みと言葉によって大きな罅が入る音がした

 

それから丁度出来上がったらしき料理の配膳を手伝い、家族四人で(・・・・・)席に着く

 

そうして食べ始める彼らを見ながら自分の分に手を付けないヴァーリを見て母親は心配そうな表情となる

 

「食べないの?ヴァーリ?ひょっとして具合が悪かったりするのかしら?」

 

その言葉に弟と妹がすぐさま反応した

 

「え!?お兄ちゃん病気なの!?」

 

「わ、私救急箱取って来る!」

 

「い、いや、大丈夫だ!昨日は日が回るまで起きてたから少しボーっとしてただけだから、心配はいらない」

 

弟妹の楽しそうな表情を崩してしまった事に慌てたヴァーリは咄嗟に言い訳をする

 

そこで自分は元気だとアピールする為に朝食を少々豪快にガッツいたのだが、驚く事となる・・・とても暖かく美味しかったのだ

 

純粋な味覚から感じる美味しさもそうだが、なによりもこの『家族の食卓』が心の奥底からヴァーリを満たしていく

 

自然と顔が(ほころ)んだヴァーリが次々と皿の上の料理を胃に流し込んでいく様に母親も弟や妹も安心したようで家族での食事が再開される

 

『―――今、お前が居るのは俺の創った幻術の中だ。対象の深層心理を読み取り、本人が一番幸福だと感じる仮初の世界を映し出す』

 

不意に頭の中にアジ・ダハーカの声が響いてくる

 

やはりこれは幻術の中なのか

 

これは自分の心の真実を映す偽りの世界

 

『―――グックック、歴代最強と名高い白龍皇の望んでいるものが、至極ありふれた一般家庭の暮らしだったとはな』

 

可笑しそうに、されど決して(さげす)んでいる訳ではないアジ・ダハーカの笑い声にヴァーリは言い返す事も出来ない―――あの時、たった一度だけ見た家族の情景にここまで自分が焦がれているとは思わなかったのだ

 

『お前が望むならその世界で生き続ける事も可能だぜ?やり方は簡単だ。お前がその世界を心から・・・魂から受け入れる事だ。そうする事でこの禁術は完成する。例え現実の肉体が滅びようともお前の魂を幸福で満ちた結界に捕らえるのさ。永遠にな―――考える時間はたっぷり有る。よく考える事だな。今までも何百何千という強者がこの『幸せ』に膝をついていった』

 

アジ・ダハーカの言葉が終わると同時、ヴァーリの片腕が再び弟に引っ張られた

 

「お兄ちゃん!サッカーしようよ!」

 

そうすると今度は反対側の手も掴まれて引っ張られる

 

「ダーメ!今日は私がお兄ちゃんにお勉強見てもらうんだから!」

 

弟と妹はヴァーリを挟んで目から火花を散らせるとそれぞれが後ろに体重を掛けて引っ張る。ヴァーリを中心にまるでヤジロベーのような恰好となった

 

「こーら、そんなに引っ張ったらお兄ちゃんの腕が取れちゃうわよ?」

 

食べ終えた食器を片付けていた母親が兄妹仲睦まじい様子を見て微笑ましいものを見るような顔となる。如何やら助けてはくれないようだ

 

結局午前は妹と一緒に勉強をして午後からは弟とサッカーをするという形で話を纏めた

 

二人の面倒を見つつ昼食後の皿洗いや夕刻には洗濯物を取り込んだりといった家事を軽く手伝って夜が完全に遅くなる前に今日は兄妹三人で一緒のベッドに入る

 

ヴァーリはまたしても衝撃を受ける。家族と共に眠るというだけの行為がここまで心地よい安心感を(もたら)すものだとは思わなかったのだ

 

今日一日過ごしただけで一体幾度(いくたび)価値観が揺らいだか判らなかった

 

「お休み!明日もまた遊んでね。お兄ちゃん!」

 

「お兄ちゃん。お休みなさい」

 

「ああ、お休み」

 

弟と妹のあどけない寝顔に挟まれたヴァーリは思う―――これが普通の幸せ

 

これ程に満たされるものが世間ではありふれたものだと云うのが信じられなかった

 

次の日は朝から母親も交えてボードゲームやカードゲームなどでそれこそ一日中盛り上がった

 

ヴァーリはそのひと時を真剣に見つめる―――勝ったり負けたりで一喜一憂する弟妹の姿や人生ゲームで借金を背負わされたと戦慄する母親などの表情を一瞬たりとも見逃さないように、真剣に

 

そして一通り遊んでもう直ぐ夕食という辺りでヴァーリは静かに立ち上がった

 

覚悟はしていたはずだがそれだけの動作で悲壮な想いが顔に出てしまったのだろう。対面に居た弟と妹がまた心配するような表情となる

 

「お兄ちゃん?どうしたの?」

 

「お兄ちゃん?苦しいの?」

 

下から見上げるように覗き込まれた事でヴァーリは溢れる涙を堪え切れなくなる。そして二人をその腕の中に抱き寄せた

 

「俺は―――」

 

一度声が詰まる―――昨日の朝の時のように誤魔化すような真似はもう出来ない

 

俺はお前たちの名前を知らないんだ―――どれ程願い望んでも、弟と妹の名を呼んでやる事が出来ない。アジ・ダハーカの禁術と云えどもヴァーリ自身が識り得ない願いまでは叶える事が出来なかった。だからこそ、この世界が偽りだと強く認識出来る

 

「行かなくてはいけない所が有るんだ。これ以上、お前たちと遊んでやれない事を申し訳なく思う・・・ゴメンな」

 

最後にもう一度腕の中の彼らを強く抱きしめ直す。その中に感じる温もりを決して忘れないように

 

これは夢だ。幻だ。現実のものなんて一つだって有りはしない・・・それでも

 

「俺はお前たちと出会えて、一緒に遊べて幸せだった。それだけで俺はこの先も何千年、何万年だって生きていける!戦っていける!」

 

二人を抱きしめていた手を放して一歩下がり、その顔を見据えて告げる

 

「名前を呼んでやれなくてゴメンな。だからこそ、俺は行くよ。お前たちを守る為に」

 

ヴァーリは二人に背を向け、玄関に視線を送る。その傍には悲し気な顔をした母親が立っていた

 

「母さん。もう会えないだろうけど、話せないだろうけど、俺は何時までも遠くからあなた達の事を見守っているよ・・・俺は、あなたの息子で幸せだった」

 

ヴァーリはそれだけ告げて母親の隣を通り過ぎて玄関のドアノブに手を掛ける。弟や妹と同じように抱きしめてしまったら、きっとこの決意が鈍ってしまうと思ったから

 

扉を開く直前、後ろから声が掛けられる

 

「行ってらっしゃい、ヴァーリ」

 

「っ・・・行ってきます。母さん」

 

この世界はヴァーリの心の願いを映す。だから今のヴァーリの背中を押す言葉も、きっと彼が欲しかった言葉なのだろう

 

扉をくぐった先は庭先などではなく、ただの白い空間だった。そこに父親らしき影が見える。自然と『父親』だと認識した影はヴァーリの実の父親でもあの家族の父親でもない

 

十二枚の堕天使の翼を広げるアザゼルの姿だった・・・成程、これが俺の父親像かとヴァーリは自嘲する。本当に深層心理というものは自分の事だと言うのにちゃんと理解出来ていない事ばかりなのだな、と

 

「行くのか?」

 

アザゼルが静かに訊いてくる

 

ヴァーリはアザゼルに近寄りそのすぐ隣で立ち止まる

 

「ああ、行くよアザゼル。俺は現実のあんたに会えて本当に良かった―――俺は、ヴァーリ・ルシファーだ」

 

帰ろう。大切な者達が待つ、あの世界へ

 

決意を胸にヴァーリは一歩を踏み出し、世界の全てが光に包まれた

 

 

 

ヴァーリがゆっくりと目を開けると目の前にはアジ・ダハーカが佇んでいた

 

遠くでは戦闘による無数の爆炎が巻き起こっている様を見てあの幻術の世界は現実では精々数秒程度の出来事だと理解する

 

『良い夢は見れたか?』

 

その問いにヴァーリは晴れやかな笑顔で応える

 

「ああ、最高の夢だったよ、感謝する。お陰で俺は大切なもの、守りたいものを再認識出来た」

 

ヴァーリの答えを聴いたアジ・ダハーカは油断や慢心などといった感情の一切を排した。ここから先の闘いにそのようなモノが介入する隙などないのだと

 

『白龍皇ヴァーリ・ルシファーよ。下劣な術にて貴公を陥れようとした事を謝罪する。そして貴公こそが我が最大の好敵手であると認識させて貰う』

 

「俺の方こそ、お前と闘える事を心の底から誇りに思う。この命と誇りに掛けてお前を打倒し、俺はあの家族を絶対に守り切るッツ!!」

 

仲間達と一緒に戦う時はお互いに守り合う・・・支え合う戦いだ。だがただ只管(ひたすら)に『守る』という一念のみが今のヴァーリを動かす原動力となる

 

このような気持ちで戦うのは初めてだが成程。過去、歴戦の強者(ツワモノ)達が奮い立つ理由が分かった気がするとヴァーリは独り言ちる

 

とめどなく溢れるこの気力が有れば何度だって立ち上がれるだろう

 

『―――ヴァーリよ。私はあの幻の世界でお前の覚悟を見た。ならば私も且つては忌避したその名も受け入れようではないか!』

 

ヴァーリとアルビオンが自分の心と向き合った時、鎧の宝玉からオーフィスの声が響く

 

『・・・ーリ、ヴァーリ。我の声、聞こえる?』

 

「オーフィスか?」

 

『そう。イッセーが我と共に謳った。だから次はヴァーリの番。我と共に謳おう?』

 

(うた)・・・か。龍神との二重奏(デュエット)ならば、それはさぞや素晴らしいものとなるのだろうな

 

『イッセーには我の力を貸した。でも、ヴァーリは違う。ヴァーリは自分自身の力を極めてその先に行きたいと言っていた。だから我はそう在れるように、そっと手を添えるだけ―――ヴァーリとアルビオンが自分を受け入れたからこそ、出来ること』

 

導いてくれると云うのか、最強の龍神が―――それはなんと心強い事なのか

 

『ヴァーリ。我と話してくれて、ありがとう』

 

それはオーフィスがまだ禍の団(カオス・ブリゲード)の一応のトップだった頃の話だ。シャルバ達旧魔王派も曹操達英雄派も、他の誰であってもオーフィスとまともに関わろうとはせずにただ「蛇が欲しい」としか口にせず、オーフィスもまた一方的に「グレートレッドを倒して故郷に帰りたい」くらいしか言わなかったのだ。酷い会話のキャッチボールである

 

そのような中でヴァーリだけはオーフィスと時折きちんと『対話』をしていたのだ・・・途中からルフェイも参戦したが、始まりはヴァーリである

 

―――ああ、こんな俺で良ければまた何時でも話し相手になってやろう

 

仲間でも無ければ守るべき家族でもない・・・恐らくこれが『友』と呼べるものなのだろう

 

『私も一緒に謳おう、オーフィス、ヴァーリ。折角の門出を祝う唄なのだ。二重奏(デュエット)よりも三重奏(トリオ)の方が映えるだろう?』

 

アルビオンの言葉に口元に薄く笑みを浮かべたヴァーリは頭に浮かび上がった呪文を唱える

 

「我に宿りし無垢なる白龍よ、覇の理をも降せ」

 

ヴァーリの白銀の鎧の各所に漆黒が色付き始める

 

『我が宿りし白銀の明星(みょうじょう)よ、黎明(れいめい)の王位に至れ』

 

続くアルビオンの唄に光の翼も黒く染まり、新たな翼も次々と生えていく

 

「濡羽色の無限の神よ」

 

白銀のオーラが全身を包み

 

玄玄(げんげん)たる悪魔の父よ』

 

オーフィスの唄で漆黒のオーラが更に全身を包み込む

 

「『窮極(きゅうきょく)超克(ちょうこく)する我らが(いましめ)を受け入れよ』」

 

ヴァーリとアルビオンの声が重なり鎧の全ての宝玉にルシファーの紋様が浮かび上がる

 

「『『―――汝、玲瓏(れいろう)の如く我らが耀(かがやき)にて跪拝(きはい)せよッツ!!』』」

 

最後に三人の唄が世界に響く。新たな『王』の誕生に平伏せよと

 

『『『LLLLLLLLLLLLLLL(ルルルルルルルルルルルルルルル)LLLLLLLLLLLLLLL(ルルルルルルルルルルルルルルル)LLLLLLLL(ルルルルルルルル)Lucifer(ルシファー)!!!!!!!!!』』』

 

『『『Dragon(ドラゴン)Lucifer(ルシファー)Drive(ドライブ)!!!!!!!!!!』』』

 

連続するエラー音のような音を響かせて白銀と漆黒のオーラが爆発した

 

白銀と漆黒の耀きの中から現れたヴァーリは今までとは一線を画した濃密なオーラを滾らせる

 

流麗なフォルムとなった鎧姿はある種の美しさすら感じられる

 

「魔王の血筋たるルシファーの力と白龍皇、アルビオン・グウィバーとしての力。その全てを発現させたこの形態。貴様にぶつけよう、アジ・ダハーカッ!!」

 

ヴァーリの荘厳な姿を見たアジ・ダハーカは狂わんばかりに歯をむき出しにして(わら)った

 

嬉しさのあまり全身がブルブルと震えている―――最高潮に興奮しているようだ

 

『いいぜ!最高だ!やっぱりリゼヴィムの野郎は魔王の息子でも魔王としての器は無かったんだな。今のお前から放たれる王気(オーラ)がその証拠だぜ!―――お前こそが『ルシファー』だッ!!』

 

「ああ、今なら自信を持って告げられそうだ―――我が名はルシファー。真に魔王の血脈(ほこり)を継し、ヴァーリ・ルシファーだ!!」

 

『―――ほぅ、これは・・・クックック!』

 

ヴァーリの言葉に三つ首を天に向けて歓喜の遠吠えをするアジ・ダハーカとは別にアルビオンからは興味深いといった声が漏れ、その後隠しきれない笑いへと変換される

 

「どうした、アルビオン?」

 

『いやなに、同じオーフィスの唄を謳った影響かドライグたちの様子が伝わって来てな。まさかドライグが現世に蘇って兵藤一誠と共に暴れているとは思わなかったぞ』

 

アルビオンの言葉を聴いたアジ・ダハーカが天に吼えていた顔を元に戻す

 

『なんだなんだ?ドライグが復活してるって?なんだよ、アポプスの奴も最高に愉しんでるみてぇじゃねぇか!―――おい、アルビオン。ドライグが復活したならお前も復活は出来ねぇのか?』

 

問われたアルビオンは難しい声を上げる。兵藤一誠達と違ってヴァーリとアルビオンは復活を前提とした準備などしていなかったからだ

 

『むぅ・・・今は無理だな。術式によると向こうは事前に造った絶大なパワーを蓄えた七つの宝玉(乳玉(にゅ~・ボール)とは言わない)を糧として復活したようだが、俺達はそのようなものを用意してはいなかったからな』

 

『そうか、そりゃあ残念だ』

 

目の前に架空のエサだけ見せつけられた形となってしまったアジ・ダハーカは僅かに落胆する。正直今のヴァーリでも十分だが敵に更に上の領域が有るというならその全てを味わい尽くしたいタイプなのだ。その上で勝つ為に

 

だがそこに思わぬ人物が舞い込んできた

 

「お困りのようだな。雇い主(リーダー)

 

「サラマンダー・富田!何故此処へ!?」

 

「なに、お前たちの闘いは流れ弾一つでも十分危険故にある程度の状況は把握していたのだが、アルビオンの復活にこちらが使えるのではないかと思ってな。急遽(きゅうきょ)用意したのだ」

 

サラマンダー・富田はニヒルに笑いながら手元から濃密なエネルギーの球体を七つ取り出した

 

「凄まじいエネルギー体だ。しかし急遽だと?サラマンダー・富田、これは一体・・・?」

 

そう。あれ程のエネルギーは普通なら直ぐに用意出来るものではない。時間を掛けて溜めるか、それとも別に特別な手法を用いる必要があるだろう

 

そして彼はその疑念に答えてくれた

 

「ッフ、これは尻子玉(しりこだま)だ」

 

「『は?』」

 

「尻子玉だ。聖剣使いや孫悟空の末裔、元総督殿など、この戦場に居た並み居る強者のケツから取り出した河童だけが扱えるエネルギー・・・さあ、アルビオンよ。お前は先程自らが忌避した名も受け入れると言ったのだろう?ならばこれで示せ!乳龍帝のライバル、尻龍皇ここに在りと!!」

 

『ち、違う!私が受け入れようと言ったのは毒龍皇の名の方だ!例えその尻子玉が純粋なエネルギー体だとしてもそんなのでパワーアップしたら外堀が埋まってしまう!おい、何故ヴァーリの後ろに回る?何処に突っ込む気だ?おい止めろ。ヴァーリもなにが起こっているのか判らないって顔をするんじゃない!やめ、やめ・・・アアアアアアアッ!!?』

 

ドライグの『真の理解者』となったアルビオンは後日失語症となり、先駆者(ドライグ)の介抱でなんとか持ち直す事に成功した




書く前→原作通りで少しセリフを弄る程度かな~?
書いた後→アイエエエエ!?河童!?河童なんで!?

あと二話に分けるって言ったのも無理だったのでなんとか今日中にもう一話上げます!だってGWだし!
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