転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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本日二話目です


第十三話 明星の、白龍皇です!

七つの尻子玉の力を背後から入れられたヴァーリはその莫大な力でアルビオン復活の術式を組む。フルフェイスの鎧を纏っていた事もあってか『何処から』入れられたかは見えなかったようだ

 

鎧とか関係無しに少なくとも物理的に突っ込まれてはいない

 

サラマンダー・富田は戦闘中にいきなり尻子玉を抜かれて虚脱したところに配給されていたフェニックスの涙をぶっかけられたアザゼル、美猴、アーサー、ゴグマゴグ(何故か取り出せた)、幾瀬鳶雄、少し離れた場所で戦っていた元龍王のタンニーンに後で殺されない事を願うしかない・・・因みに最後の尻子玉はサラマンダー・富田自身のモノだ。決してルフェイやラヴィニアなどのレディーに手を出さない辺りは紳士である

 

最も仮に手を出していたなら聖王剣と狗神と白龍の逆鱗に触れただろうが、ギリギリ戦いの後でボコボコにされる程度で済む事だろう・・・フェンリルにも手を出していないところを見るに紳士云々(うんぬん)ではなく命の危険を察知しただけかも知れないが・・・

 

兎も角彼はNINJAの修行(クンフー)を受けし者。有間一輝ではないが、使えるモノはなんでも使うのだ

 

尻子玉はその者の魂と言われる程のモノである為アザゼルたちから取り出したソレはアルビオンを復活させるに足るだけの力を内包していた

 

最もサラマンダー・富田が実力者である彼らから抜き出せたのは味方に対する油断と未知の感覚による困惑によるものなので、基本は戦闘中の敵対者には使えない河童固有の技である

 

「俺の役割はこれまでのようだ・・・もしも『おっぱいドラゴンの歌』のようなテーマソングをお望みなら『尻子玉ラプソディー』をケツ龍皇バージョンでお届けするぜ」

 

サラマンダー・富田は人差し指と中指を揃えて立てて顔の傍で"スチャッ!!"と小粋に振る。もうこの場に用は無いので自分の戦場に戻るのだろう

 

『待て!この腐れ河童!今すぐ頭の上の皿ごと噛み砕いてやるから帰るんじゃない!待て!待てエエエエッ!!』

 

鎧から投射された光から徐々に生前の肉体の輪郭を取り戻しつつあったアルビオンの言葉はサラマンダー・富田には届かなかったようで完全に復活した時には既に彼は居なくなっていた

 

獲物を逃したドラゴンの咆哮が戦場に虚しく響く

 

『ハッハッハ!随分とヒデェ事になってるじゃねぇか、アルビオン。どうだ?ドライグみてぇに正式にケツでパワーアップした気分は?最高かよ?』

 

『ケツ龍皇!ケツ龍皇!』

 

『ヒップドラゴン誕生だ☆』

 

アジ・ダハーカの幼稚な煽りを受けたアルビオンは額に血管を浮かび上がらせる。血が滾り過ぎて白龍皇から赤龍帝にクラスチェンジしそうな勢いだった

 

白い鱗の下はとっくに真っ赤に染まっている事だろう

 

『・・・ヴァーリよ。最初だけ、最初だけで良いから私一人にやらせてくれ。絶対にアイツの顔面を殴り飛ばす』

 

ヴァーリもアルビオンの言葉に頷いて返す

 

ここで否と言えば三つ巴の乱闘にすら発展すると思ったからだ

 

『なんだなんだ?最初はアルビオンからか?俺は構わねぇぜ、順番だろうが同時だろうが、お前らを両方しっかりと味わえるってんならよオオオオオッ!!』

 

『ヴァーリ、よく見ておけ!お前は戦闘において『半減』の力を重視し過ぎている。私が直々に白龍皇としての能力の扱い方をレクチャーしてやろう!』

 

アルビオンとアジ・ダハーカが同時に天高く飛び上がり、先程アジ・ダハーカが繰り出したのと同じように万にも届く数の魔法をアルビオンに撃ち放っていく

 

『フンッ!!』

 

アルビオンが気合と共に広範囲に『半減』の領域を展開し、迫りくる魔法の威力を減衰させていく。そして『半減』させ切れなかった魔法がアルビオンにぶつかる瞬間に全方位に圧倒的なオーラの波動を振りまいて攻撃を相殺した

 

そんな馬鹿みたいな量のオーラを消費したはずのアルビオンは息も切らせていない

 

「禁術に含まれるオーラを『吸収』したのか!」

 

『その通りだ。確かに直接的に『半減』が効きづらい相手は神々クラスとなればそれなりに居る。だがこうして敵の攻撃を『半減』で防御出来るなら、そこに含まれるオーラを取り込めるのもまた道理という訳だ!』

 

説明もそこそこにアルビオンは真っ直ぐに全速力でアジ・ダハーカに突撃する

 

『どうしたアルビオン?確かに(はや)いがそんなんじゃカウンターを狙ってくれってなもんだろう!』

 

自身の持つ最高速度というのは容易に軌道修正出来るものではない。アジ・ダハーカは迫りくるアルビオンが避け切れない範囲で迎撃に極太のレーザーのような魔法を何発も撃ちこむ

 

それをアルビオンはその速度を維持したまま全く無秩序な軌道を描いて攻撃を避け切った

 

そのままアジ・ダハーカが新たな魔法を展開するよりも先にその顔面の一つにアルビオンの拳が突き刺さる

 

『―――『反射』の力も弾く方向を気を付けながら自分に掛けてやればこんな真似も出来る。丁度ヴァーリがリゼヴィムにやった慣性の『半減』と合わせて使えば更に小回りが利くだろうな。上を目指すなら、面白い能力の使い方も模索してみると良い』

 

アジ・ダハーカはアルビオンの拳で流した鼻血を鼻息で吹き飛ばして熱い視線を送る

 

『良~いパンチだったぜぇ!やっぱり強えぇなあっ、二天龍ってのはよぉ―――だったら俺もこの場で命を使い果たす気でいかせて貰うぜエエエエッツ!!』

 

元々禁術使いのアジ・ダハーカは魂を削るような攻撃も普通に織り交ぜてはいるがそれは魂レベルでタフな邪龍故に他者が扱う時と比べて危険度が低くなっているだけだ

 

しかしトライヘキサに異世界の進出という命令自体はインプットしておいたのなら、この場で命を燃やし尽くしても次に復活する時には異世界への扉は開かれている公算が高い

 

ならばもう細かい事を考える必要は無い―――目の前の二天龍を斃す為に命の全てを禁術という炉にくべる。勝った後に生き残るか如何かなど運任せで十分だ

 

『お前も一緒に掛かって来いよ、ヴァーリ・ルシファー!決着を付けようぜエエエッ!!』

 

空を埋め尽くすばかりだった万を超える魔法が更に数十倍の規模で展開されるのを見てヴァーリは舌を巻く。本当に後先考えない全力だ。此方が欠片でも力を緩めたら喰い潰される

 

只々(ただただ)一歩でも早く前に踏み込んで己の全てをぶつける駆け引きほぼゼロの刹那の決着をアジ・ダハーカは望んだのだ

 

アジ・ダハーカの禁術がヴァーリ達を飲み込むのが先か、ヴァーリ達が死ぬよりも先にアジ・ダハーカを消滅させるのが先か・・・一歩、いや、半歩でも先に相手の命に届いた方が勝利となる

 

「面白い!受けて立とう!!」

 

三匹のドラゴンが縦横無尽に空を我が物顔で飛び回る

 

ヴァーリが突き出した手のひらから撃ち出した魔力弾は巨大な山の頂を掠めただけで消失させ、アルビオンのブレスは天を覆っていた分厚い雲を両断する

 

自身の慣性の『半減』や『反射』で一瞬にして様々な角度から襲い来る攻撃にアジ・ダハーカも全ては避けれずに防御魔法の上から体を撃ち抜かれていく

 

対するアジ・ダハーカの禁術もヴァーリやアルビオンの半減領域すらも力でゴリ押して全身を滅多打ちにしていった―――鎧や鱗は爆ぜたり砕けたりしてどんどんその機能を低下させていく

 

迫りくる致命傷となり得る攻撃だけを体に残っている鎧や鱗で受け止めて最低限死なないように立ち回り、お返しとばかりにアジ・ダハーカの腕を、翼を、首を、胸を穿っていく

 

一発一発で体の表面が弾けるヴァーリ達と体がゴッソリ抉れるアジ・ダハーカでは今のところヴァーリ達の方が優勢だろうか

 

しかしそこで彼らの視界の端に量産型邪龍(よけいなもの)の姿が映る

 

アジ・ダハーカを助けにきたのではなく(そんなプログラムは絶対にしない)この戦場で絶大な力を振りまくヴァーリ達を優先して排除すべき敵と認識して攻撃を加えに来たのだろう

 

『俺達のケンカの邪魔をするんじゃネェエエエエエエエッ!!!』

 

当然愉しい時間に水を差されたアジ・ダハーカは烈火の如く怒り狂い量産型邪龍達を消し飛ばす

 

『ったく、量産型つっても最低限意思は有るってのによぉ。どいつもこいつもケンカの本質ってのを解ってねぇ―――グレンデルの時も邪魔が入ったってのに』

 

以前ヴァーリチームと戦った時に途中からグレンデルが乱入してきた時の事を言っているのだろう。あの時も横やりを入れられたアジ・ダハーカはヴァーリ達そっちのけでグレンデルと殺し合いをしていたくらいだから、本当に嫌いなのだろう

 

とは言えその心境には同意せざるを得ないヴァーリは翼を広げて邪龍達がまだいる広範囲に危険でおどろおどろしいオーラをドーム状に降らせる

 

Venom(ヴェノム)!!』

 

そのオーラの範囲内に居た邪龍達は突然苦しみだし、どんどんと体が細くなりながら血を吐き出して墜落していった

 

『―――ほぅ、これが『毒蛇』の力か』

 

その光景を見ていたアジ・ダハーカも歓心した様子だ

 

「そうだ。これが毒龍皇とも呼ばれたアルビオン・グウィバーの毒の力・・・『減少』だ」

 

アルビオンの本来の力であった『減少』は無機物以外ならば何であれソレを構築する要素を消失させていく力だ・・・有機物である生命ならばその魂すらも例外にはならない

 

魂レベルで傷付いたのならば神々ですら容易に復活どころか回復も出来ない

 

それ程までに凶悪な毒なのだ―――周囲の量産型邪龍達は全身の体組織が『減少』してゆき、結果として致命傷となって墜落していった

 

『・・・俺様にはその毒を使わないのか?』

 

そう、ヴァーリが毒の力を振りまいたのは戦いに無粋に介入しようとしていた邪龍達だけで、アジ・ダハーカにはその力を向ける素振りすら無かった。そしてそれに答えたのはアルビオンだ

 

『言ったはずだ。既に棄てた力だとな。高みを目指す為の力は己で研鑽し高めた『半減』などの能力と牙と爪、この肉体だけで十分だ。俺達が『毒』を使うのは何かを守る為の戦いにおいて周りに居る木偶人形やリゼヴィムのような下劣な輩などの一切の慈悲も遠慮も必要無い相手のみ』

 

『なんだ?俺様みたいな邪悪な邪龍は対象外なのか?』

 

世界にケンカを売っている邪龍も十分遠慮が要らないの範疇に入るのではないかと問うが上空で毒を散布し終わったヴァーリが今度はアルビオンへの質問に代わりに答える

 

「それも言ったはずだ、アジ・ダハーカ。お前の在り方を俺は好ましく思うと」

 

世間における評価など関係ない。使うも使わないも決めるのは己の意思一つなのだと、己が道を往くドラゴンらしい理由だ

 

「お前は俺達が何時か『真なる白龍神皇』に至る為に必要な糧であり、強者・・・そうだな。ライバルというやつだ」

 

『グックック!お前のライバルは赤龍帝達じゃねぇのかよ?そこに俺様も含めて良いのかい?』

 

白龍皇のライバルとは赤龍帝である。確かにそれはこの先も変わらぬ答えだがそれだけで済ませてしまうのは勿体ない―――答えの形は一つではないのだ

 

「っふ、『ライバル』がお一人様限定などと誰が決めた?俺は闘争に生きるドラゴンであると同時に欲深い悪魔でもある。好敵手が何人も居る方が俺としては嬉しいがね」

 

『はっ!違いねぇ!そりゃあ遊び相手は多い方が良いに決まってるよなぁあああ!それにしても悪魔でドラゴン・・・赤龍帝と合わせて『D×D(ディアボロス・ドラゴン)』とでも呼ぶべきか?』

 

それを聴いたヴァーリは『D』を冠する世界において今代の二天龍を表すのに相応しい名称だと素直に思う

 

チーム名である『D×D』も元々は様々な『D』の集まりとして名付けられた経緯を持つ。その中で新たに『D×D』という称号が付くというのもまた粋であろうと

 

「良い名だ。だが悪のドラゴンと聞けば中には邪龍を連想する者も居るだろう―――故に、この場でお前を倒して今代の二天龍のみの称号として世界に知らしめてやろう」

 

兵藤一誠とドライグがアポプスに敗北する事など無い

 

そして自分もまた目の前の邪龍に敗けやしない―――邪龍が最強?いいや違う。地上最強のドラゴンは今も昔も天龍なのだ!

 

彼らは再び極大の力でぶつかり合う。会話の最中に壊れた鎧や抉れた体は修復したが、体力は相応に消費される。三者共にもう長くは持たない有様だ

 

アジ・ダハーカの禁術も最初に比べて数が減るが、ならばとばかりに逆に距離を詰めて出来る限り至近距離で魔法を放つ事でヴァーリ達に少しでもそのままの威力の禁術をぶつける

 

対するヴァーリとアルビオンも拳や爪に乗せた莫大な魔力やドラゴンのオーラで殴りつけ、切り裂いていく―――勝負は血で血を洗う壮絶な近接戦へとなだれ込んだ

 

ヴァーリとアルビオンがそれぞれ放った魔力弾とブレスでアジ・ダハーカの左右の首の根本が弾け飛んだが、首だけとなったアジ・ダハーカがそのままヴァーリ達に噛み付ついて本体のアジ・ダハーカが体から切り離された長い首根っこを両手で掴まえて地上に投げつける

 

まさかそんな戦術を使って来るとは思わなかったヴァーリとアルビオンはそのまま地面に叩き付けられて盛大に粉塵を巻き上げた

 

一瞬アジ・ダハーカの居場所を見失ったヴァーリにかの邪龍は捨て身の突撃を決行してその腹部に噛み付いた・・・もう回復どころか攻撃に回す魔法力すら残ってないのだ

 

アジ・ダハーカが勝利するには本体であるヴァーリの命をここで噛み切るしかない

 

「ッグッアアア!!」

 

鎧を貫通しどんどんと肉体に沈み込んで来る巨大な牙の感触に明確な死が頭を過ぎる。だが激痛で眩く明滅する意識の中で浮かんで来たのはあのたった一つの守り抜くと誓った家族の姿だ

 

その情景を見た瞬間ヴァーリの腕は自らを噛み殺さんとする邪龍の牙を逆に捕らえていた

 

そしてヴァーリの鎧の腹部がスライドしてそこに現れた巨大な宝玉に絶大なパワーが溜まっていく

 

兵藤一誠がアポプスに放った神殺しの一撃である『ロンギヌス・スマッシャー』だが赤龍帝の一歩前を歩く彼はそこに更にルシファーの耀きを上乗せする

 

「これで終わりだ。アジ・ダハーカッ!!」

 

『『『LLLLLLLLLLLLLLL(ルルルルルルルルルルルルルルル)LLLLLLLLLLLLLLL(ルルルルルルルルルルルルルルル)LLLLLLLL(ルルルルルルルル)Lucifer(ルシファー)!!!!!!!!!』』』

 

『『『Satan Lucifer Smasher(サタン・ルシファー・スマッシャー)!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』』

 

白銀と漆黒に彩られた極大のオーラ砲である『天龍殺しの一撃』は地平線の更に先まで消えない一本線をこの星に刻み付けた

 

それ程の攻撃を喰らったアジ・ダハーカは・・・まだ生きていた

 

だがそれも頭だけの状態だ。口の最奥でオーラ砲を発射した関係で喉から上が偶々残ったのだろう

 

足を引き摺りながら首だけとなったアジ・ダハーカに近づくヴァーリに邪龍はそれでも不敵に笑う

 

『おりゃあ、十分満足のいく闘いが出来たと思ってるぜ?・・・ちぃっとばかし、数千年程待ってろよ。また復活してお前とケンカしに来るからよ・・・また何時かケンカしようぜ。ヴァーリにアルビオン・・・明星の白龍皇よ』

 

悪魔でありドラゴン。ルシファーであり白龍皇でもある彼らを最後にそう讃えるとアジ・ダハーカの頭部は塵となって消えていった

 

「―――ああ、何時かまた今日のような互いの誇りと存在を掛けた戦いをしよう。我が好敵手、アジ・ダハーカよ」

 

ここにもう一つの邪龍と天龍の戦いが幕を閉じたのだった

 

 

 

アジ・ダハーカとの戦闘が終わり時間経過とダメージの蓄積で現界状態を維持できなくなったアルビオンが宝玉の中に戻り、ヴァーリ自身も体力の消耗を抑える為に通常の禁手(バランス・ブレイカー)の鎧に戻る

 

ヴァーリがそのままトライヘキサと邪龍達の戦場に飛んで行くとトライヘキサの巨体が複雑怪奇な魔法陣で全身を包まれて微動だにしないでいる光景が目に入った

 

「そうか・・・トライヘキサは予定通り停止させられたようだな」

 

「ああ、ついでに言やぁ日本側でヴァレリーとギャスパーが聖杯を取り戻したらしい。これで後は量産型の邪龍共も減る一方だぜ」

 

ヴァーリの呟きに上から声が降ってくる

 

見上げると堕天使の翼を広げたアザゼルが降りてきたところだった

 

「よお、勝ったみてぇだな。遠目にだがお前の進化を見させて貰ったぜ―――あれがお前の出した答えなんだな。リゼヴィムなんかよりもよっぽどルシファーらしかったぜ」

 

それを聴いたヴァーリは気恥ずかしい想いとなる。アジ・ダハーカの幻術の世界でアザゼルの事を心の底では『父親』として慕っていたのだと文字通り見せつけられたばかりだからだ

 

そして美猴(びこう)やラヴィニアなどヴァーリの仲間たちもヴァーリの健闘を讃える為に集まって来た

 

・・・サラマンダー・富田が全身妙にボロボロになっているのはきっと彼なりの激戦があったに違いない。具体的に言えば尻子玉関連で熱きバトルが勃発したのだろう

 

後に彼は語る。あの夏の日の『河川敷頂上決戦』にも劣らない戦いがそこには有ったと

 

「さて、トライヘキサも止まりアジ・ダハーカと聖杯の問題が片付いたのであれば、後は私達はこのまま邪龍の殲滅を続ければ宜しいので?」

 

アーサーの質問にアザゼルは頷く

 

「ああ、それで良い。ヴァーリがアジ・ダハーカを倒し、日本ではイッセーもアポプスをやっつけたらしいからな。これで次の作戦に邪魔が入る事は無いだろう」

 

アザゼルは動けないトライヘキサの更に上空に視線を移す

 

それに釣られて皆も視線を向けるとトライヘキサの頭上の空間に亀裂が入りそのまま一気に空間に穴が開く・・・その先に見えるのは次元の狭間ではなく真暗で特に何も無い世界だ

 

「あの先に広がってるのは悪魔のレーティングゲームの技術とアジュカの運営する『ゲーム』に天界の『システム』、神の子を見張る者(グリゴリ)の長年の研究成果、北欧のユグドラシルなど、同盟を結んだ勢力の技術を結集して創り上げた結界空間だ―――只管頑丈さだけを(・・・・・・・・)追求して造られた空間だよ(・・・・・・・・・・・・)

 

アザゼルの説明にヴァーリは感心する。自分達に内緒でこんなものまで用意していたとは相変わらずの手際の良さだと

 

だが続く言葉にヴァーリは自分の耳を疑った

 

「まっ、これはイッキの奴のリクエストなんだがよ。アイツがトライヘキサと気兼ねなく一対一(サシ)でやり合える場所が欲しいっつってな」

 

「なに?では有間一輝が提示した作戦というのは?」

 

「単純だ。アイツが一人で黙示録の獣(トライヘキサ)を真正面から打倒(うちたお)す。それがアイツの作戦だ」

 

なんだそれは?と皆の意見が重なる。そんなものは無謀なんて言葉では到底足りない愚かな行為だ

 

疑念が深まる中、トライヘキサの体が徐々に頭上に広がる世界に吸い込まれて行く

 

見ればアザゼルが手元に魔法陣を展開して捕らえたトライヘキサの座標を変更しているらしい

 

「トライヘキサ単体を結界に放り込んでも相手はあの規格外の化け物だからな。それだけだとそう遠くない内に結界が破られちまう。だからそれ以外の手を打つ必要は有るのさ―――俺達も中の様子は確認出来るようにしなきゃいけねぇから映像は繋がるようになってるぜ・・・まぁ見てろよ。イッキの言う事を信じるなら、これから始まるのは一方的な蹂躙劇だ」

 

トライヘキサが居なくなった事で各戦域にはロスヴァイセの邪龍弱体化結界が張られるようになる。各神話の戦士や神々は弱体化した邪龍達を殲滅しながら世界の行く末が左右される一戦をその目にするのだった




やっとイッキを邪神に・・・ゲフンゲフン!ヒーローに出来るぜ!
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