転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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二話連投です


第十四話 邪人?いいえ、邪神です!

[イッセー side]

 

アポプスをドライグと一緒に倒した事で俺達の戦っていた島を覆っていた結界が崩れ去ったが、アポプスの消滅を確認した俺は少し気が緩んでその場に片膝をついてしまう

 

『相棒、フェニックスの涙はもう無いのだろう?俺もこの肉体を維持するのが限界に近い。今の内に通信でアーシア・アルジェントを呼んでおけ』

 

確かにドライグの言う通りでこのままじゃ普通に死んじまうからな

 

俺は言われた通りに通信で上空に居るリアスに通話を繋いで状況を伝えると程無くして皆が揃って島までやって来てくれた

 

「イッセーさん!お怪我を診せて下さい!」

 

使い魔となった量産型邪龍の内の一匹から飛び降りたアーシアが駆け寄って来たので鎧を一度解除すると直ぐに暖かい緑の光に全身が包まれていく

 

流石に幾つも体に大穴が開いてる状態なので速攻で完治とはいかないが、それでもしっかりと目視出来る速度で急速に怪我が塞がりつつある

 

それと俺が鎧を解除した事でドライグもその実体が光となって消えていった

 

「イッセー、よくやったわ。ドライグもちゃんと顕現出来たみたいだし、何よりも途中から感じた貴方の圧倒的なオーラは見事なものだったわ」

 

「ははっ、有難うリアス・・・と言ってもアレは俺の力って言うかオーフィスと異世界の乳神様が手を貸してくれたからなんだけどさ」

 

頭を掻いて軽く謙遜(けんそん)するとリアスは優しい微笑みで返してくれた

 

「それでも良いのよ。周囲の手を借りて巨悪に立ち向かう・・・それもヒーローの一つの形だとは思わないかしら?」

 

何時も力を貰っているスイッチ姫に言われたら返す言葉も無いな

 

「―――それに私はただヒーローの活躍を遠くで眺めてるヒロインなんて御免だわ。貴方の隣で貴方を支えられる方が良い。だから私はイッセーを孤高の英雄(スーパーマン)になんてさせないわ。皆で力を合わせる戦隊ヒーローの方が私は好みよ?」

 

周りに居る皆も強い眼差しで俺を見てくれている

 

この様子じゃ俺も少しでも気を緩めたら逆に追い抜かれちまうな

 

そんな風に感動しているとリアスの下に突如として通信が繋がった

 

通信画面に映っていたのは赤黒い人型のシルエットだった・・・誰だ?

 

≪リーアたん!今、リーアたんが戦隊ヒーロー(サタン・レンジャー)が大好きだって心の声が聞こえたよ!うんうん♪やっぱりリーアたんは私の事が―――"バジッ!!"≫

 

リアスが拳に纏った滅びの魔力の裏拳で通信画面を術式ごと破壊した!てか今のってサーゼクス様かよ!?いや、確かによくよく思い返せばシルエットはサーゼクス様のものだった。もしかしてアレがサーゼクス様の戦闘形態・・・所謂(いわゆる)超越者モードってやつか?

 

周りの皆が今度は苦笑したりリアスは何も言わないけど顔を真っ赤に染めている中、アーシアによる治療で体の怪我は完治した

 

アポプスは倒したけど戦いはまだ続いているんだ。俺はその場で立ち上がったがそこで喉の奥からせり上がって来るものを感じた

 

「ッぐっぷ!!?」

 

咄嗟に口を手で塞いだから吐き出した大量の血がアーシアに掛かる事は無かったぜ・・・でも、これは!?痛ってェェェ!!なんだコレは!?全身が内側から引き裂かれるみたいに痛い!いや、実際に体中から血が噴き出してやがる!

 

「イッセー!?」

 

「イッセーさん!?」

 

「イッセーくん!?」

 

「イッセー先輩!?」

 

皆の心配する声が聞こえる中、俺は既に口元を抑えていた手すら放して四つん這いで全身を痙攣させていた―――アーシアの治癒の光が再び体を包み込むのを感じるが傷が治る気配が無い

 

『相棒。今、お前の中でオーフィスの力が暴れまわっているのだ・・・乳神とやらの力はお前自身が乳力(にゅ~・パワー)みたいなところが在ったからそこまでの悪影響は出していないようだが、無限の龍神の力はお前が発現させるには強力過ぎたのだ。アーシア・アルジェントの治癒の力が届いてないのも制御が完全に外れたオーフィスの力に弾かれてしまっているからだろう』 

 

ドライグの説明に近くからアーシアの「そんな!?」という焦った声が聞こえる・・・そっか、散々才能が無いって言われてきた俺の力じゃオーフィスの力を受け止め切れなかったんだな

 

だが朦朧(もうろう)としてきた意識の中で誰かが俺の額に指を一本押し当てるのを感じた

 

「まっ、こんな事だろうとは思ったけどな」

 

そう聞こえてたかと思えば俺の体の中で暴れまわっていたオーフィスの力が急速に静まっていくのを感じる。同時にずっと治癒を掛け続けてくれていたアーシアの力がちゃんと機能するようになったのか全身の怪我も治っていく

 

「はぁ・・・はぁ・・・い、イッキ?」

 

霞んだ視界が元に戻っていくと俺の額に触れていたイッキの姿が映る

 

「おう。仙術でお前の気を整えたからもう大丈夫だろう。立てるか?」

 

「あ、ああ・・・」

 

口元を盛大に汚していた血を拭ってふらつきながらも立ち上がる

 

そっか。イッキが治してくれたのか・・・いやでも待てよ?確かにイッキは生命の気を操るのに長けてるみたいだけど、俺の中で荒れ狂ってたのはオーフィスの無限の力なんだぞ?それをこうも簡単に制御出来るものなのか?

 

てか死ぬほどキツイ状態は脱したけど、まだ体が内側から膨満してるみたいにエネルギーが詰まってるような感じがする

 

「オーフィスの力はなんとかしたけどイッセーの中のやたらと質の高くなってる乳力(にゅ~・パワー)は手ぇ付けて無いからな。お前さり気に異世界の乳神とか言ってたからその影響なんだろうけど、そのまま放っておけばその内馴染むはずだ」

 

あ~、乳神様の置き土産でもう一度『NEW BorN』を発動したような感じになるって訳ね

 

それで強くなれるんなら暫く全身が痛いって程度は耐えなくちゃな!

 

「イッセーさん、良かったですぅ!一時は如何なる事かと・・・」

 

「イッセー!もう、心配させないでちょうだい」

 

「あらあら、全くですわぁ。流石に今回のは胆が冷えましたのよ?」

 

するとそこで俺がもう大丈夫だと安心したのかリアスやアーシアに朱乃さんが抱き着いて来た!ああ~、皆のお胸に包まれるとダメージとかどうでも良くなる~♪・・・っていかんいかん!心配させた事はちゃんと謝らないとな

 

「ごめんな。もう大丈夫だからさ―――それに俺は皆を残して死んだりなんかしねぇって」

 

俺はまだリアスにしかちゃんと好きと伝えて無いし、皆の処女だって貰わなくっちゃ死んでも死に切れねぇよ

 

「そうだな。イッセーが死んでしまったら子作りが出来なくなってしまう。それは困るぞ」

 

「もう、ゼノヴィアもそんな(ひね)た言い方しなくても・・・ああ、でも確かに将来私とダーリンの間に生まれる天使と悪魔のハーフっていう和平の象徴とも云える子が生まれないのも一大事だけど」

 

こ、子供か~。流石に今の段階じゃ実感湧かないな・・・俺達まだ高校生だし

 

しかしそんな未来に想いを馳せていると黒歌さんのお叱りの声が聞こえてきた

 

「ちょっと!回復したんならさっさと邪龍の殲滅に戻って欲しいんだけどにゃ!」

 

あ!そう言えばイッキの奴も何時の間にか島に向かって来る邪龍を焼き払ってるし、白音ちゃんにレイヴェルにマジメなロスヴァイセさんも一緒に迎撃してる!

 

そりゃそうだよな。俺達の感動シーンとか邪龍達からしたら関係ない訳だし、襲って来てるよね!

 

俺達は再び空へと飛び立って邪龍達を勢い良く撃墜させてゆく。するとそこでイッキの耳元に通信用魔法陣が展開された

 

「了解です、アザゼル先生。ヴァーリがアジ・ダハーカを倒したならもう問題無さそうですね」

 

通信先はアザゼル先生か―――ひょっとして俺がアポプスを倒した事は既に伝えたのかな?

 

でも問題無いとは一体?―――疑念に思ってるとイッキはそのまま黒歌さんに声を掛けた

 

「黒歌!トライヘキサの現れてる全七か所とも準備完了だ。一丁頼む」

 

「了解にゃ!」

 

黒歌さんが応えると同時に巨大な魔法陣を構築するとトライヘキサの頭上の空が割れてその空間に結界に捕らわれたままのトライヘキサが徐々に吸い込まれていく

 

「す・・・スゲェ・・・!」

 

あれだけ猛威を振るっていたトライヘキサがロスヴァイセさんが造ったっていう封印で完全に動きが止められている事もそうだけど、天空のその奥に広がる闇にあの巨体が飲み込まれて行く様は奈落を彷彿とさせるぜ・・・まぁ奈落に堕ちると言うよりは昇っていってる訳だけど

 

そうしてトライヘキサが完全に飲み込まれて天の巨大な亀裂が閉じると自然とこの戦場に喝采が上がった。しかし変化はそれで終わりでは無かったようで量産型邪龍が未だ(ひし)めく戦域全てを超巨大な結界が包み込み、量産型の邪龍達の力が封じられる

 

邪魔者(トライヘキサ)が居なくなった時点で後方で待機してたこの国の神様達が邪龍封じの結界を張ってくれる算段になってたのよねぇ―――ノーマルの邪龍は飛ぶこともままならなくなるし、グレンデルとラードゥン印の邪龍も今なら一般の兵士たちでも十分戦えるはずにゃ」

 

黒歌さんの説明を聴いた俺は勢いよく右手の拳と左手の手のひらをぶつけて打ち鳴らす

 

「よっしゃ!てことはトライヘキサをどっかに跳ばした今の内に邪龍達を全部掃除してその後でトライヘキサを皆でやっつけるって事なんだな!―――イッキ。悪いがその時はもう一度龍神化の力も使うと思うからよ。またオーフィスの力の制御を頼むわ!」

 

少し後ろに居たイッキの方に振り返りながらお願いをする。本当なら自分で制御出来るようにならないといけないんだけど、今はそんな事言ってられないからな・・・トライヘキサとの戦いが終わった後でも修行に身を入れねぇとな

 

だが振り向いた先にはさっきまで居たはずのイッキの姿がどこにも無かった

 

「あ、あれ?イッキの奴どこ行ったんだ?」

 

リアス達もトライヘキサの方に気が盗られていたのかキョロキョロと周囲を見渡すばかりだ

 

「イッキ先輩ならあそこです」

 

そんな中で白音ちゃんが指を差す方向はトライヘキサが吸い込まれた場所だった

 

たださっきと違うのは巨大な空中スクリーンが投射されてそこに七体のトライヘキサと、それと対峙するように一人佇んでいるイッキの姿だ

 

「んな!?なんでイッキが一人だけであんな所に居るんだよ!?」

 

「それは、私達が居るとイッキ様が本気を出せないからですわ。今から始まる戦いに巻き込まれたら命は有りませんのよ?」

 

今度はレイヴェルがにわかには信じられないような事を言う

 

イッキが一人でトライヘキサと戦う!?・・・いや、でも黒歌さんもレイヴェルも白音ちゃんもこの事は既に知っていたのか落ち着いた様子だ。イッキが先走ったとかではなくてちゃんと計画された事なのだろう

 

「にゃっはははは♪まぁ弱った邪龍を片手間に狩りながらでも見てなさいって。この一ヵ月は私達も裏でそりゃあもう涙ぐましい努力をして今日の日に備えたんだから・・・ねぇ?レイヴェル?」

 

「く、黒歌さん!その話はしないで下さいまし!」

 

ん?なんでレイヴェルは顔を真っ赤にしてるんだ?あと白音ちゃんも釣られてか一緒に顔を紅くしてしまっているし、一体どんな準備をしたんだよイッキ?

 

詳しい内容は聞けそうになかったので再び上空に映し出された映像に目をやると結界に捕らわれていたトライヘキサ達が少しずつその檻を壊そうとしているみたいだった。既に結界の各所に罅のようなものが入っているのが見える

 

このままでは程なくトライヘキサ達はイッキに襲い掛かるだろう

 

そしてそんなトライヘキサ達の様子を眼前に見据えたイッキは静かに呪文(うた)を謳いだす

 

≪偽り望まれし亡霊よ、今こそ[真/神(シン)]たる頂きに至れ≫

 

イッキから解き放たれ可視化した・・・いや、物質化した呪いがイッキの背後の上空に昇っていく

 

罪架(ざいか)を纏いし堕天の蛇よ、円環(えんかん)司る蛇の残響を喰い千切れ≫

 

赤黒い泥のようなそれは丸い円を描く・・・アポプスと戦った時の疑似日食に近いけど、おどろおどろしい泥を纏ったソレはまるで暗黒の太陽のようだ

 

≪この()矮小(わいしょう)なる(うつわ)であれど、我が魂は万象の(おり)を受け入れし(さかずき)なり≫

 

イッキの全身に神器の能力を発動させる時の禍々しい青白く光る刺青が浮かび上がり、赤黒い泥の一部がオール・エヴィルのボロボロのバンダナと、同じくボロボロの長いマフラーになった・・・マフラーの方は腰布を流用した感じか?

 

ソレは映像越しだと言うのに目にしているだけで背筋に冷たい汗が流れ落ちるのが伝わって来る

 

≪汝、我が(そそ)ぎし混淆(こんこう)たる(けがれ)()み干さん≫

 

ああ、本能で理解出来たぜ。今のイッキは俺達が今感じている恐怖心すらも呑み込んであらゆる負の感情を取り込んだ存在―――邪神オール・エヴィル(この世すべての悪)だってな

 

≪グルヴゥァァァアアアアアアアアアア!!!≫

 

イッキの準備が整った事で危険な敵であると認識したのか七体の内の一体が首だけ動かしてイッキに極大のブレスを放とうとする。あの攻撃は例え別れた状態のトライヘキサであろうと直撃すれば神クラスであっても容易に消し飛ばす威力を誇る。それなのにイッキの奴はそれを見ても避けるどころか防ごうとする素振りさえ見せない

 

「あのバカ!なにボサッとしてんだよ!?」

 

俺が悲鳴染みた声を上げたその直後に放たれたブレスは恐ろしいまでの威力と範囲で画面の向こうを紅蓮の地獄へと変えた

 

だが乱れた映像が回復するとそこには何事も無かったかのように無傷で佇むイッキの姿が映る

 

「・・・当たって無かったのか?」

 

「いいえ、直撃したように見えたけど・・・」

 

つい口から出た疑問にリアスも困惑したように否定する

 

トライヘキサはと言えばさっきの一撃で結界のタガが外れたのか全ての拘束術式を解除してそれぞれの獣の体が融合し、七つの首に獣の王冠の証である角を十本生やした黙示録に記されたままの姿へと回帰した

 

そして今度は全ての首が口元に極大のブレスをチャージしていく・・・映像越しでもイッキの纏うオーラとトライヘキサの纏うオーラでは一つに戻ったトライヘキサの方が明らかに強いのが判る!―――次の瞬間、画面が真っ白に染まりイッキもトライヘキサの姿も見えなくなる

 

あのブレスが放たれたのだろう・・・あれじゃ幾らイッキでも致命傷だ!イッキの得意とする気の一点集中防御とやらも全身隈なく攻撃されたら意味が無い!

 

絶望感が俺の中に広がるが、画面の向こうに人影が見えた

 

そしてまたしても無傷(・・)のイッキが現れる

 

映像の向こうのイッキはたった今本気のブレスを見舞ったトライヘキサに向かって薄く不敵に嗤う

 

≪今、なにかしたか?≫

 

イッキにはかすり傷だって付いてはいないようだった

 

おいおい、一体なにが起こってんだよ?

 

―――俺達の困惑を余所に黙示録の獣と邪神の戦いは本格化していくのだった

 

[イッセー side out]

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