転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第十七話 闇の、頂点です?

イッセーの上級悪魔昇格の儀式とリアス先輩や朱乃先輩方最上級生組の卒業式が目前に迫った駒王学園のとある放課後。俺達は授業も部活もまったりとした惰性モードを滲ませながら過ごしていると部室にアザゼル先生とリアス先輩がやって来た

 

「イッセー、イッキ。お前らにそれぞれ客人だ。ちょいと付いて来て貰うぞ」

 

客人?アポも無しに?それに俺とイッセーで相手が違うのか?

 

「それはまたいきなりですね。そのお客と云うのはどなた何ですか?」

 

俺が質問するとアザゼル先生は渋面を作り、リアス先輩も困ったような表情となる

 

「悪いが此処では言えん。そいつ等はお忍びだからあんまりこの町に来た事を漏らしたくはないんだとよ。特に片方は余所に知られれば要らぬ誤解だって招きかねない相手だからな」

 

「兎に角今は付いてきて頂戴。事情は本人たちが話してくれるでしょうから」

 

誤解すら招きかねないって相手なのに突っぱねないで面会を許可したって事ですか?

 

思わず近くに居たイッセーとパチクリと視線が交差するがお互いに心当たりは居ないというアイコンタクトに終わり戸惑いの気持ちを抱えながらも二人に付いて行く事となった

 

 

 

駒王町の地下に住民たちには内緒で広がる空間の内の一つに転移するとそこには10m級の巨体を誇るドラゴンと闇色のオーラが人型をした存在が漂っていた

 

「いやなんだよあのバリバリの神格?」

 

つい思った事が口をついて出てしまったがぶっちゃけこの空間では最上級悪魔クラスの内在オーラを感じるドラゴンより闇色のオーラの存在感が半端ない。多分全盛期のフェンリルとかと殆ど遜色ない実力の持ち主だ。世界の強者トップ10まではいかなくてもそれに近しい神様だろう

 

威圧してる訳じゃないけど隣のドラゴンさんも実力差を感じ取ってか微妙に縮こまっているようで巨体の割に変に小さく感じるぞ

 

そんな彼らだが俺とイッセーの姿を認識したら二人とも素早く片膝をついて(こうべ)を垂れる騎士の礼と云うか臣下の礼を取る。因みに俺の前に人型の闇でイッセーの前にドラゴンだ

 

そして先ずは格上の闇のオーラの方から自己紹介してくれた

 

〔お会いできて光栄でございます。有間一輝殿。私はゾロアスター教における最高神の一柱、アンラ・マンユと申します〕

 

アンラ・マンユ!?いや、それも驚きだけどなんで最高神が俺に対して片膝付いてんだよ!?

 

隣のドラゴンも如何やら正体は知らなかったのか驚愕の表情で固まっている

 

気持ちは分かるけど挨拶の途中なので続きを促す事にした

 

「えっと初めまして。けど先ずは自己紹介だけ済ませておきましょう―――ほら、イッセー」

 

そっちのドラゴンはお前の客みたい何だからお前が正気に戻せと言外に込める

 

「あ、ああそうだな!その・・・覚えのあるオーラなんだけど、もしかしてタンニーンのオッサンの親戚かなにかだったりする?」

 

「―――ハッ!?これはお恥ずかしい所をお見せ致しました。貴方様のご推察の通り、某めは魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)、タンニーンが三男ボーヴァと申します」

 

イッセーに声を掛けられた事でショックから脱したのか彼も挨拶をしてくれた。てかタンニーンさんに子供って居たのか。そこら辺の話は聞いた事無かったな

 

それにしても元龍王の息子に最高神とか単なるお客にしてはメンバーが豪勢過ぎませんかね?特に最高神の方が突き抜けてるんだけど、確かにこれはアザゼル先生でも断れないわな―――前に改心した(させた)ハーデスが土下座しに来た時も有ったけどさ

 

「それでは如何にもお二方が同時にここに居るのは偶然のようですが、ご用向きは別々にお伺いした方か宜しかったでしょうか?」

 

仮にも相手には最高神が混じっているので言葉に気を付けて俺達の下に来た理由を問う・・・まぁプライドの高いドラゴンや神様が臣下の礼を取っている時点で半ば諦めている節は有るけどな

 

アンラ・マンユ神が頭を下げたまま返事をする

 

〔いいえ、それには及びません。我ら、見据える相手は違えども心に秘めたる思いは同じなようです。先ずは我らの主張をお聞き届け下さい〕

 

アンラ・マンユとボーヴァの二人が俺とイッセーに一層頭を下げてこの広い空間にもよく通る強い意思の籠った声で宣言する

 

燚誠(いっせい)の赫龍帝。兵藤一誠殿!」

 

〔邪悪なる者の覇者たる有間一輝殿!〕

 

「「私/(それがし)めを貴方さまの臣下にして頂きたい!!」」

 

その言葉を聴いた俺はこめかみを指でグリグリと押し、イッセーは天を仰いだ・・・如何してこうなった?

 

 

―――あれから取り敢えず俺とアザゼル先生にイッセーとリアス先輩がそれぞれの客の話をちゃんと聞く為に別室に移動した

 

俺の前には出された紅茶を飲んでいるアンラ・マンユが座っている・・・給仕の人とか呼べる訳ないので俺が淹れたのだが〔そのような雑事、私めがやらせて頂きます!〕とか言ってないで大人しくしてて欲しいと切に願う

 

「で、本気なのか?仮にも最高神の一角を担うお前さんがコイツのもとに下るってのは?」

 

全員が席に着いたら早速アザゼル先生が切り出してくれた。こういう時にはアザゼル先生の司会進行能力の高さは有難い

 

〔ああ、その通りだ。元堕天使の頭目よ―――私はあの戦争を見て識ったのだよ。比喩でも何でもない。本物の『この世すべての悪』というものを〕

 

アンラ・マンユ神はオーラで出来た体の目の部分を細めて感慨深い顔となる・・・意外と表情豊かに表現出来るんだな

 

〔アレを識ってしまった以上は恥ずかしくてもう『この世すべての悪』だなどと名乗れんよ〕

 

いえ、全然名乗って貰って結構です。まぁけれども確かにFate時空のアンリ・マユは『悪』という概念そのものの結晶みたいな存在だったから間違ってはいないんだろうけどさ

 

「成程な。圧倒的格の違いを魅せ付けられた事で偽物と本物の立場を入れ替えようとした訳だな」

 

あれですか?偽物が本物に敵わない道理は無いってやつですか?

 

「アンラ・マンユさま」

 

〔有間一輝殿。どうか私の事は呼び捨てて下さいますよう〕

 

一応俺の問題なので質問しようと名前を呼んだら(うやうや)しい態度を取られた。やり難いなぁ、この悪神さまは!・・・もう砕けた口調で良いか

 

「では失礼して・・・アンラ・マンユ。俺は別に『この世すべての悪』を扱う事は出来るけど、俺個人としては戦争やら憎悪やら悲鳴よりも平和でほのぼのとした日常の方が好みだ。仮にアンタを臣下にしたならその方針に従って貰う事になるぞ?それにゾロアスター教の悪の陣営がやんちゃをしたら直接臣下にしたのがアンラ・マンユ一人でも主人になった俺にまで迷惑が掛かるからアンラ・マンユの配下の手綱も握った上で世界に向けてそこら辺の関係をハッキリと宣言して貰う必要が有る・・・俺は別にゾロアスター教の最高神の地位なんて欲しくはないからな」

 

君臨すれども統治せず。人間に首を垂れて部下と他の神話の神様達との板挟みで色々苦労するだろうという話だ―――ぶっちゃけアンラ・マンユ神になんのメリットも無いはずだし、これで諦めてお帰り願えないかな

 

〔問題在りません。私は貴方様の敵対者にはナチュラルに外道にもなり得る所にも惹かれておりますので、その程度ならば苦労の内にも入りません〕

 

・・・俺は今貶されているのか?それとも褒められてるのか?

 

俺が思案していると隣に座って話を聞いていたアザゼル先生が耳元に囁いてくる

 

『おいイッキ。お前マジでコイツを臣下にするつもりは無ぇだろうな?』

 

『流石にこの場で返事はしませんよ。どう考えても最低でも八坂さんには相談しないといけないでしょう』

 

一神話体系の半分が俺の下に着くとか幾ら何でも俺の一存で決めて良いレベルを超えている

 

『いやいや、コイツは仮にも悪の神なんだぞ?胡散臭さじゃ正直堕天使の親玉張ってた俺よりも上だろう。普通は第一声で「NO」と突き返しても可笑しくないぞ』

 

俺に取り入るふりをして何か厄介ごとを企んでるって話かな?

 

『う~ん。でもこのアンラ・マンユって俺に対して特に悪意を向けてきてないんですよね。この至近距離なら心理部分でもその程度は判別出来ますし、嘘は吐いてないはずですよ?』

 

確かにデカい話だけどそうなれば後はメリットとデメリットの話でしかないと思うんだよね

 

『・・・お前なに自然と悪意を司るレベルで扱いだしてんだよ?神かお前は?』

 

『人間に決まってるじゃないですか!』

 

アザゼル先生の冗談にツッコミを返した後、取り敢えずアンラ・マンユには一考した上で後日返答すると言い含めてお帰り頂いた。如何やらイッセーの方も似たような感じで上級悪魔に為った後に返答する事にしたようだ・・・因みにボーヴァ曰く為りたいのは『臣下』であって『眷属』ではないとの事

 

如何やらイッセーが眷属を女の子で囲んでハーレム王に為りたいという野望を知っていたらしい・・・まぁイッセーもインタビューとかそれなりに受けてるから情報は流布されてるもんな

 

「それにしても臣下か。眷属悪魔って事ならそれこそ俺自身の経験を元にしてチラシ配りから初めて人間と契約を結んでいくって流れになるんだろうけど、臣下って何をやらせたら良いんだ?」

 

「そうね。彼はイッセーのドラゴンとしての強さに憧れを抱いているみたいだけど、冥界では『破壊のボーヴァ』の蔑称で知られる程の荒くれ者よ。あの様子ならイッセーの言う事には従いそうだけど、臣下に置くにしてもお試し期間を設けるにしても即座にフォローが利く内容の仕事を振り分ける必要は有るでしょうね」

 

彼自身がイッセーとの出会いを機に変わろうとしてるのだとしても、仕事中にうっかりやんちゃ坊主の側面が出てしまうかも知れないって感じか

 

「う~ん。だからと言ってあの巨体で給仕ってのも変だし、ボディーガードとかも学生がメインの今の俺だと殆ど必要無いからな~・・・ドラゴンっぽく門番をってのも俺とイッキの家には最強の無限の龍神(セコム)が既に居るしな」

 

半分に割れててもアポプスやアジ・ダハーカより一回りか二回りは強そうだもんね・・・自宅警備員にしてはレベルが高過ぎだとは思う。二人合わせてレベル∞とか贅沢過ぎだろう

 

"うんうん"と頭を捻って唸っているイッセーの隣で俺はと言えば深くため息を吐く

 

「イッセーはまだ良いじゃねぇか。俺とか下手したら一つの神話勢力の半分が下に付きそうなんだけど・・・リアス先輩。今度サーゼクスさん相手に相談できる機会とか設ける事とか出来ませんか?アザゼル先生や八坂さんを始めとして知り合いのトップ陣には出来るだけ話を聞いて貰いたいくらいの案件なんですけど」

 

あの場では『臣下に為っても責任は取りません』とは言ったけど実際それがどれだけ通じるかって言ったら微妙だし、俺も裏の社会の政治的な駆け引きとかはまだまだ知らない事が多いからな

 

「ヤベェ・・・イッキの話のスケールが違い過ぎて付いて行けねぇよ」

 

俺だってしたくてしてる訳じゃねぇよ!

 

「そういう話なら私よりもアザゼルから話を繋いで貰った方が良いわね。お兄様が『ルシファー』を継いだ魔王である以上は一貴族の次期当主でしかない私があんまりプライベートなお願いをする訳にもいかないわ」

 

ああ、そう言えばそうでしたね・・・いかんな。まだ思考回路が痺れてるみたいだ

 

「なぁ、それって普通に断るって訳にはいかねぇのか?」

 

「一度断ってそれで万事丸く収まるならそうするんだけどな。幾らお忍びつっても勘のいい神様とかならアンラ・マンユが動いた事に気付いているだろうし、これからあの神様が〔私が『この世すべての悪』を名乗るなど烏滸がましい〕とか発言するようになったら外堀から埋められて行きそうだし・・・割と詰んでる気がするんだよな」

 

あの時の臣下の礼に熱の籠った視線からして絶対に一度断った程度で諦めないと思うんだよな

 

本当に俺って悪意の無い相手とか苦手だわ。潰して終わりに成らねぇんだもん

 

そんなこんなでブルーな気持ちを抱えたまま帰宅して先ずはという事で八坂さんに通信を繋いだのだが返って来た言葉は「別に構わないのではないかの」との事だった

 

≪元々イッキ殿はあの戦争で世界に対して圧倒的な『個』の力を示したじゃろう?じゃが、その力に見合ったイッキ殿と直接繋がる組織としての力が足りて無かったと言える。イッキ殿は三大勢力に所属している訳ではないし、『D×D』は良くも悪くも混成部隊じゃ。ならば京都はと聞かれても私の支配領域は一島国の関西一円と勢力としては乏しいからの≫

 

要するに今のままだと分かり易い箔と云うか権威付けが足りてないから俺を如何にかする為に搦め手でテロってくる奴らが出て来そうだから『組織』を味方につけろって事になるのか

 

京都なんかは霊脈の力が有るから防衛に徹すれば勢力以上の力を出せるんだろうけど、その場合俺や家族が今すぐ京都に引っ越してずっと引きこもる事が前提に為っちゃいそうだもんな。流石にそれは御免だわ

 

≪うむ。私としてはぬらりひょん殿と盃を交わしたり、神在月にでも出雲の地でこの国の神々との渡りでも付けられればと思っておったのだがの、神を臣下に出来たなら此方の方はそんなに急ぐ必要も無いじゃろうな・・・寧ろイッキ殿はこのまま世界の悪神・邪神を次々と配下に加えて行って神々の方から挨拶に足を運ぶ流れにしても面白そうじゃのう。そちらの方が最終的には面倒は少なくて済むかも知れんぞ?悪の神々を束ねる者。目指せ、邪神王じゃ!≫

 

「目指しませんよそんなけったいな役職!邪神だ邪神だって呼ばれてる現状もなんだか納得いかないのに邪神王って八坂さんは俺に如何なって欲しいんですか!?」

 

≪む?じゃから邪神王じゃろ?それとも悪神王の方が良かったかの?私としては邪神王の方が語呂が良くて好みなのじゃが・・・≫

 

小首を傾げる八坂さんは絶対に内心爆笑してやがる!畜生、相談する相手を間違えたかな?

 

だが後日他のトップ陣にも話してみると「おう、やれやれ。そっちの方が面白そうだ」とか「イッキさんが彼らのトップに立てば神話間での争い程度であれば十分抑止力となりそうですし、それも良いかも知れませんね」とか「ふむ・・・仮にイッキくんが最終的に悪神たちを束ねたなら魔王はどう動くべきだろうか?」とかそんな役に立たない意見ばっかりだった

 

そうだよね!貴方方からしたら胡散臭い各神話の悪の陣営とか仮にでもトップに知り合いの俺が付いた方が色々都合が良いよね!(半ギレ

 

邪神王は兎も角としてアンラ・マンユ個人を配下として扱う程度は別に良いんじゃね?というお偉いさん方の有難い助言に悶々としながらもイッセーの上級悪魔昇格の日がやって来た

 

式には何時ものメンバー以外に一般枠としてイッセーの御両親も招待されている

 

俺の両親の場合は白音が上級悪魔に昇格する時に冥界入りになるのかな?流石に息子の友達の式に参加ってのも変な話だから良いんだけどさ

 

先ずは冥界のグレモリーのお城に入って全員が正装に着替えて暫く待機。その間イッセーとリアス先輩はこのお城の式場で本番の動きの最終確認。その後は列車で冥界の首都リリスまで移動してそこで儀式の本番となる訳だ

 

「おお!」

 

儀式の主役はイッセーな訳だけど俺としては着飾った黒歌達の姿を拝める方が先に来る重要案件だったりするんだけどね。俺達って基本客席で見てるだけだしさ

 

彼女達がグレモリー家の方で用意されたドレスを身に纏っているのは目の保養になるし、最近のトップ陣の人達に揶揄われた俺のささくれ立った俺の心を解してくれる

 

・・・まぁ綺麗というだけなら他の女性陣もそうなんだけど、ギャスパーにも普通にドレスが用意されている辺りはグレモリー家の使用人達の認識の度合いが窺えるというものだ

 

因みにだが俺も祐斗も髪型はオールバックに整えられてしまったのだがイッセーはいつも通りだったんだよな。ただ仕立ててくれた人達の言によれば首都リリスの式場でイッセーもオールバックに変わるらしい・・・オールバックが今の冥界の若い層では流行ってるのだとか

 

俺はそんな感じだけど黒歌は何時もの和装ではなくて濃い紺色のドレス姿で髪型もサイドポニーとなっている

 

白音は黒歌とは対照的な薄い水色のドレスで軽く半デコになる感じに片側の額の辺りの髪の毛が編み込んである

 

レイヴェルは黄緑色のドレスで後ろでアップに纏めているのはレイヴェルのお母さんに近いかな?式の場という事も有ってかもう少し編み込まれている感じだ

 

う~む。三人の何時もと違ったこの姿を見られたならもう帰っても良い気がしてきた

 

「うぉいイッキ!流石にそれは酷すぎだろ!俺の一誠一大の晴れ舞台なんだぞ!?」

 

後ろから戻って来たイッセーからツッコミが被せられた

 

「おうイッセー。最終確認はもう良いのか?」

 

「サラッと流すんじゃねぇよ!まぁこれ以上はな。後は本番の緊張感に打ち勝てるかどうかだよ」

 

そればっかりは練習できないからな。手のひらに『人』って書いて呑み込んでみるか?

 

「皆、準備できてるわね。そろそろ列車に移動しましょうか」

 

イッセーに続いて部屋に入って来たリアス先輩の言葉で何時ものメンバーとイッセーとリアス先輩の御両親が列車に乗り込む

 

アザゼル先生は今回は堕天使の要人枠なので別途で式場に向かってるらしい

 

城から列車までの短い間に記者の方々の無数のフラッシュに「兵藤一誠様!今の正直なお気持ちは!?」とか「眷属のご予定はどれ程埋まっているのでしょうか!?」とか色々質問が飛び交っていたけど総スルーして列車に乗り込んだ

 

・・・首都に到着するまでの間にグレモリー家が新しく商品化する予定だという「おっぱいドラゴン牛乳」を試飲させて貰ったけど、普通に美味しいのがなんとも言えなかったがな

 

列車から降りたら再びフラッシュと質問の嵐の中を突破してリムジンに乗り込み警備車両に囲まれながら交通整備された道路を走っていく・・・サーゼクスさん達今回の儀式にお金かけすぎでしょう。絶対に他の上級悪魔の昇格の儀式ってこんなに大仰じゃないよね?

 

一応リムジンはグレモリー眷属が乗るのとその他の俺達が乗るので2台用意されていたので白音とは別々だ

 

今は黒歌がリムジンの中に設置されている冷蔵庫からワインを引っ張っている。自由だなコイツも

 

「黒歌。式場はそんなに遠くないんだからワインじゃなくてそっちのノンアルコールのシャンパンにしとけって」

 

流石に酒の匂いを漂わせている訳にもいかんだろう

 

「むぅぅ。そんなの用意してる方が悪いのにゃ」

 

「はっはっは!それは確かにその通りですな。ではそちらのモノはお土産の一つとしてお持ちください」

 

黒歌がふくれっ面になるとジオティクスさんが豪快に笑う

 

「と云うか黒歌さんはそんなにお酒を飲まれるような方でしたか?」

 

「別に有れば飲むけど無ければ飲まないって感じね。それでも折角目の前にただ酒が有るなら飲んじゃうにゃん♪」

 

う~む。詰まりはジュースもお酒も特に変わらないってタイプか?まぁお酒が大好きなのよりはそんな感じに気楽な付き合いの方がもしかしたら良いのかもな

 

「そう言えばイッキくん。『おっぱいドラゴン』の敵役のキミが今度闇の儀式を超えて邪人から邪神になる訳だが、キミが闇の組織の一幹部というのも可笑しいという意見が強まっててね。どうせなら組織のボスを討ち取って正式にキミをラスボスとした第二期に突入しようという案が有るのだが、どうだろうか?」

 

おいぃぃぃっ!その意見を出したのってアザゼル先生辺りじゃねぇだろうな!?闇の頂点に立てとかって時期的にピンポイント過ぎて疑っちまうぞ

 

如何でも良い事で微妙に疑心暗鬼になりつつも程なくして式場に到着し、イッセーとリアス先輩と別れて俺達は儀式が良く見える特等席の一つに案内される

 

別の場所にはシトリー眷属やサイラオーグさんやこっそりと気配を薄れさせてるヴァーリとかも居るな。アザゼル先生もVIP席だ

 

そしてイッセー達の準備が整ったのかファンファーレが会場に鳴り響き巨大な門から入場して来るイッセーとリアス先輩の二人を会場の皆が立ち上がって拍手で出迎える

 

壇上にはサーゼクスさんを始めとしてアジュカさんにセラフォルーさんにファルビウムさんと四大魔王が勢ぞろいだ・・・やり過ぎじゃね?と思わなくもない

 

二人が壇上の椅子に座ると次は祝福の歌が披露されるらしい

 

「将来の息子にもなる彼の為にも冥界随一のオペラ歌手にオファーを掛けていたのです。彼女ならば間違いなく素晴らしい歌声でイッセーくんの新たな門出を祝ってくれるでしょう」

 

直ぐ近くからジオティクスさんがイッセーの御両親にそんな事を告げているのが聞こえてきた

 

そうして壇上に現れた歌手の方がマイクスタンドの前に立つ

 

そしてゆっくりと息を吸うとそれこそマイク無しでも会場に響き渡りそうな美声を披露し始める

 

『と~あるぅ国のぉ、隅っこにぃ、おおおおっぱい大好きぃ、ドラゴォン住んでいるゥゥゥッ♪』

 

新喜劇なら漏れなく全員が"ズコーッ!!"と倒れる事請け合いだ

 

ジオティクスさんは満足そうに頷いて目尻に感動の涙まで見て取れるけどなんで『おっぱいドラゴンの歌』を選曲したのか小一時間程問い詰めたいよ!

 

ほら!リアス先輩とかドレスのスカート握り締めてるしアザゼル先生とか既に腹筋が崩壊してるのか丸くなった背中しか見えねぇぞ!

 

『スウィッチ姫のぉ、おっぱぁぁぁいはぁ、とっても素ぅ敵だぁアアアッ♪』

 

オペラ歌手の女性もよくこの仕事を引き受けたな・・・いやまぁ冥界だし実はノリノリで歌ってるのかも知れないけど、そうじゃ無かった場合は権力で押し切られたって事だよね?どっちも嫌だけどせめて前者であって欲しい

 

そうして会場を混沌の渦に陥れた曲が終わり司会の方は何事も無かったかのように次に移る

 

サーゼクスさんが上級悪魔の承認証をイッセーに渡し、次にリアス先輩が自身の前に跪いたイッセーの頭に王冠を被せ、最後に悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の製作者であるアジュカさんが祭壇に手を翳すと上空から黒い石碑が降りてきた

 

「さぁ、新たな『王』兵藤一誠。石碑に手を」

 

促されたイッセーが石碑にオーラを籠めた手で触れると石碑が紅く輝き、次第に収まっていった

 

「キミなら、必ずこれを手に出来ると信じていたよ」

 

最後にイッセーがサーゼクスさんから悪魔の駒(イーヴィル・ピース)が納まっているであろう小箱を手渡され、二人が退場した事で上級悪魔昇格の儀式が無事終了したのだった

 

因みに翌日リアス先輩に「あっ、そう言えばアーシアとゼノヴィアは駒をトレードしてイッセーの眷属になったから」と告げられた時はビックリもしたけどな

 

まぁ眷属間でのトレードなら私生活には大した影響も出ないだろうし、良いのかも知れないけど

 

リアス先輩達の卒業式は既に明日に控えているので部活をするのもアレという事で普通に授業の終わりに解散をして今は白音とレイヴェルと一緒に軽くショッピングをしてから帰宅している

 

あまり時間の取れない俺達はこういうプチデートも大切だからな

 

まぁクリフォトも居なくなったならこれからはもう少しプライベートな時間も確保出来るか

 

「それにしてもイッセーにも早速眷属が出来たならそのまま『王』として悪魔の仕事をしていく事になるのかな?」

 

「リアス元部長の眷属もイッセー先輩が入って来るまでは3人だったから、多分そうです」

 

そりゃ3人も2人も大して変わらないわな

 

「そうですわね。今の時期にこの駒王町以外をイッセーさんにいきなり任せるのも問題が有りますし、リアス様の縄張りの一部を分譲するという形になるのではないかと思いますわ」

 

皆駒王町住まいだもんな。いきなり変わり過ぎても困惑するだけか

 

そんな事を思いながら帰宅していると俺達の進行方向に夕陽を背にしたゴスロリの世紀末覇者が歩いて来た

 

「にょ?そこに居るのはイーたんだにょ。久しぶりに会えて嬉しいんだにょ♪」

 

「お、お久し振りですミルたんさん」

 

気付かなかったぞ!感知タイプの俺でも視界に映るまで存在を認識出来なかった!

 

「そっちの白い髪の悪魔さんは一度会ったんだにょ。金髪の悪魔さんとは初めましてだにょ」

 

ああ~、白音はレイナーレの時に一度出会ったっけ?

 

白音は以前と同じように全力で俺の後ろに隠れているし、レイヴェルは表情が且つて見た事がないレベルで引き攣ってるけどな

 

「えっとミルたんさん。以前に引き渡した彼ら(はぐれエクソシスト10名)はその後どうなりましたか?」

 

彼らがあの後ミルキーに目覚めたのは知ってるけど、あれから時間も経ってる現在の状態はどうなっているのだろうか?

 

「にょ!ミルたん達はミルたんのお友達とウンディーネさんとも一緒に色んな場所で困ってる人を助ける為に活動してるんだにょ!この間は精霊さん達がいっぱい居る世界で悪いアンドロイドさん達が暴れているみたいだったから一緒に戦ったんだにょ☆ミルキーの力はまた一つの世界を平和に導いたんだにょ♪」

 

・・・へぇ、それはまた可哀そうな奴らも居たもんだ。精霊と機械生命体(アンドロイド)の世界というのに凄い既視感を感じるけど、世界は沢山有るんだし多分勘違いだろう

 

ミルたんと別れた後は異世界の事への思考を放棄して過ごし、そのまま床に就いたのだった

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