転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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次回辺りで最終回ですかねぇ


第十八話 卒業式と、サプライズです!

よく晴れたこの日。リアス先輩達の卒業式の日がやって来た

 

流石に今日は合同の模擬戦とかは無しになったので運動は軽いジョギングなどで体が怠けない程度に抑えて、余った時間は自室で負荷の軽い新技を試していた

 

俺の『器』に周囲から少しずつ邪気を集めていく様子が気になったのか黒歌が近づいてくる。白音とレイヴェルは母さんの朝食作りを手伝ってるな

 

「うにゃ~?そんなにゆっくり邪気を取り込んで何してるのかにゃ?それに集めた邪気も何時も程嫌な感じもしないわね。邪気の性質が変わってるのかにゃ?」

 

流石に自分の部屋で全力で邪気を集めてる訳じゃないし周囲への影響も極力出ないように身の内に留めてるんだけど黒歌程の術師に至近距離で探られたら違和感を感じ取れちゃうか

 

「ああ、今『この世すべての悪』を選別して取り込めないかなって実験してるんだよ」

 

そう返すと黒歌は"コテン"と首を傾げた―――可愛い

 

「如何いう意味よ?」

 

「いや、俺の扱う『この世すべての悪』ってありとあらゆる相手に分け隔てなく凶悪な呪いをプレゼントする能力な訳だけど」

 

「・・・改めて聴くと酷い能力にゃ」

 

説明の途中に茶々入れないでくれませんかねぇ?―――俺は気を取り直して説明を再開する

 

「・・・逆に言えば無駄も多いんじゃないかって思ってさ。例えば天使にこの力を使う時に悪魔とか堕天使へ向ける悪意をぶつけても『こうかはいまひとつ』なんだよな。だけどもし世界に漂う悪意から天使に対する悪意を取捨選択して俺の『器』に取り込めるだけ取り込めたならドラゴン特効のサマエルの呪いの別バージョンを生み出せるんじゃないかってさ」

 

サマエルの呪いは確かに凶悪ではあるがアザゼル先生とかタナトスとかドラゴン以外の相手に使用しても精々体調不良になる程度だ。他にも全盛期のオーフィスに邪神モードの『この世すべての悪』をぶつけたとしてもオーラ量では圧倒的に劣るサマエルの呪いの方がダメージは上だろう

 

流石に世界に漂う邪気も無限じゃないから邪気を選別していたらサマエル級の呪いに成長させるのに時間は掛かりそうだけどな

 

黒歌が先程集めている邪気に何時も程の拒否感を感じないと言ったのも悪意に指向性が持たされていたからだ―――因みに悪意は下手な影響が出ないように小石に対する悪意とかって如何でも良いのを選択しておいた。今、俺の下には小石ですっ転んだり誰かが蹴った小石が偶々クリーンヒットした人とかの恨みが集まってる訳だ・・・マジでどうでも良いな

 

「ふ~ん。時間さえ掛ければ聖書の神の在り得ないとされる禁忌の呪いに匹敵しうるものを敵対者に合わせて調合出来るって訳ね・・・一体どんな相手を想定してるのかにゃ?」

 

「まぁ備えあれば患いなしって言うだろ?」

 

黒歌の質問は少しはぐらかして答えるがこれは『E×E(エヴィー・エトウルデ)』の機械生命体とかみたいな一つの種族単位が攻めてきた場合の切り札に為り得ると考えた為だ

 

ミルたんとその仲間達に蹂躙されたような気がしなくもないが、そうだと決まった訳でも無いしもしかしたらかの世界の精霊たちが敵対するかも知れない

 

原作の今後の展開とか知らない以上は打てる方策は全部打っておきたいのだ―――臆病で結構。予防線は何重にも張るのが基本である

 

「必要だからって主神が存在を掛けた禁術クラスのモノをホイホイ用意出来るイッキも大概にゃ」

 

「まだ実験段階だし色々欠点も多い能力なんだけどな・・・俺達『D×D』みたいな混成部隊相手だと意味ないし、特定の悪意のチャージに時間が掛かる上に力を使えば直ぐに補充する事も出来ないから短期決戦だと回数制限付くんだよな。この能力を当てたい本命に辿り着くまでは下手に戦えないから戦争規模だと割と味方必須な力かもな」

 

サマエル級の呪いを再現できそうと言っても呪いが内側から滾々(こんこん)と湧き出るサマエルと違って周囲の悪意を搔き集めて濃縮しないといけないから下位互換な能力なんだよね。その代わり対象がドラゴンだけに縛られない訳だけどさ

 

「・・・朝っぱらから何を物騒な話をしているんですか?」

 

黒歌と話し込んでいると白音が部屋に入って来た。如何やら俺と黒歌の会話は悪魔の耳なら廊下にまで届いていたらしい

 

「まぁ良いです。イッキ先輩の邪悪が突き抜けるのは何時もの事なので・・・」

 

白音が息を吐きながら独り言ちるけどそれって一体如何いう認識!?

 

「朝食の用意が出来ましたので二人とも降りてきて下さい」

 

「やった♪朝ご飯にゃ♪ん~、この香りは味噌汁にサンマね!」

 

食べる事が大好きな黒歌はその言葉にスキップ混じりに扉まで移動して宙に漂う匂いを嗅ぐ

 

「はい。後は冷やっこにだし巻き卵にキュウリの漬物ですね。キュウリの漬物はサラマンダー・富田さんに頂きました」

 

ああ、うん・・・多分凄く美味しいんだろうな

 

そう思いつつ俺も修行を取りやめて食卓に向かい家族全員で席に着く

 

そうして無駄に良い意味で素材の味の際立つキュウリの漬物を含めた朝食を食べ進めていると俺と黒歌に白音の感知タイプ組がふと視線を外に向ける

 

「あら、どうかされまして?」

 

「ああ、なんかイッセーとリアス先輩に朱乃先輩がもう登校してるみたいでさ」

 

普段だって別にギリギリに登校してる訳ではないのに今日はそこから更に40~50分位は早い

 

「あら、それはきっと今日が最後だから感慨深くなってしまったのね」

 

「私にも覚えが有るぞ。学園で過ごす最後の日となると妙に落ち着かなくてな。普段と違う事をしたくなったりもするものだ」

 

両親も昔を思い出しているのかリアス先輩達の行動に理解を示す

 

リアス先輩達ならお世話になった教室の窓ふきとか部室で紅茶を一杯とかやってそうだな

 

「私の場合は男友達と一緒に購買のパンを根こそぎ買い尽くしたっけな」

 

他学生に迷惑掛けてんなよダメ親父!

 

「はっはっは!卒業式の日に購買を利用する奴なんて居ないさ。直ぐ近くにコンビニだって有ったしな・・・今考えるとよくあの日まで開店していたな?」

 

ホントにね!店開いても採算合わないだろうに―――学園の購買とかって売上制なのかな?日当制な気もするけど、どうなんだろう? 

 

「―――ですが少し水臭いです。最後に部室に行くというなら部員も一緒の方が良いと思います。あそこはもう皆の思い出の場所なんですから」

 

白音が少しふくれっ面で拗ねると携帯電話にアーシアさんからの通話が届いた

 

如何やら向こうの家でもイッセー達が居なくなった事に気が付いたようでそれならばいっその事卒業式前に新旧オカルト部員の最後の部活動をしようという話だった

 

俺としても異論は無かったし白音なんかはアーシアさんの会話が漏れ聞こえていた為に俺の通話の横でギャスパーの方に連絡を入れていた。祐斗もギャスパーと同じ部屋に住んでるので同時に祐斗にも伝わった事だろう

 

そうして俺達は急いで朝食の残りを片付けてから学園へ向かう。因みに黒歌は「オカルト研究部の集いなんでしょ?私もそこに突っ込む程野暮じゃないにゃ―――まっ、スイッチ達の卒業式自体はルフェイでも誘って見に行くわよ」との事だった

 

俺とイッセーの家に住んでいて部員じゃないのは黒歌とルフェイとオーフィスとリリスだからな

 

流石に無限の龍神姉妹を結構人外や異能者の居る駒王学園でしかもその親御さんも集まる卒業式という場に連れて行くのは問題だから龍神姉妹は今回はお留守番だ

 

そうして家を出ると丁度アーシアさん達も出てきたところみたいで皆で一緒に小走りにならない程度の早歩きで学園に向かう

 

俺たちが学園の正門に辿り着くとそこではソーナ先輩と椿姫先輩が箒で掃き掃除をしていた

 

「あら、おはようございます。貴方達も早くに来たのですね」

 

その言葉によくよく周囲を見渡すと他のシトリー眷属も掃除を手伝ってるらしい

 

「最初は私と椿姫だけだったのですけどね。どこから嗅ぎつけたのか他の子達もやって来てくれたのですよ。その様子では貴方達も似たような状況だったようですね」

 

正門で俺達と軽い挨拶を交わしたソーナ先輩はそう言って可笑しそうに笑った

 

オカルト研究部も生徒会も示し合わせたように同じ行動をしてるのが面白かったらしい

 

「リアス達も軽く学園を廻った後なので今頃は旧校舎に付いている頃でしょう。早く行って上げなさいな」

 

ソーナ会長の朗らかな笑顔に見送られて旧校舎の部室に辿り着くとイリナさんが勢いよく扉を開けて部屋の中に入って行く

 

「もう!リアスさんに朱乃さんにイッセーくんまで私達に内緒で先に登校してるんだから!」

 

「全くだ。思い付きの行動だとしても今更遠慮するような間柄でもあるまい?」

 

イリナさんの言葉にゼノヴィアも続く

 

「ではリアス部長(・・)本日の活動は如何いたしますか?」

 

祐斗が敢えてリアス先輩を部長と呼ぶとリアス先輩も嬉しそうな微笑を浮かべる。久しぶりに正面から『部長』と呼ばれたのが良かったのだろう・・・そう云えば俺やイッセーたちが部活に入った時も『先輩』ではなく『部長』と呼ぶようにと拘りを見せていたな

 

「そうね。掃除も行き届いてるみたいだし、皆で色んな昔話にでも花を咲かせましょうか―――朱乃、お茶を淹れてくれる?」

 

「あらあら、うふふ♪畏まりましたわ部長」

 

二人が部活を引退してから基本的には給仕はレイヴェルが引き継いだのだが今回は朱乃先輩もとい朱乃副部長にお任せする事になった

 

「~♪♬」

 

朱乃さんが鼻歌混じりに上機嫌で紅茶を淹れていると部室に更に銀髪美女ことロスヴァイセさんが入って来る

 

「皆さんが集まっていると聞きましたよ!顧問の私をのけ者にしないで下さい!」

 

よく見ると少しだけ涙目だ。別に忘れた訳じゃないですよ?

 

「いや~、だってロスヴァイセさん先生じゃないですか。寧ろここに来て良かったんですか?」

 

教師となれば普通に仕事が有るだろうし真面目な彼女にサボってこっちに来てとは流石に言えなかったのだが―――するとロスヴァイセさんは胸を張って答えてくれた

 

「そこは大丈夫です。アザゼル先生が「ここは俺に任せて先に行け」と言って下さったのでお任せしてきました。普段サボってばかりのあの人もこんな日くらいは配慮をしてくれたみたいです」

 

うん。そのセリフだけど後ろを見ながらもう一度言って欲しいな

 

俺達の視線がロスヴァイセさんから微妙に逸れているのに気が付いたのか後ろを振り返るとそこにはロスヴァイセさんの分も仕事をしてるはずのアザゼル先生がニヤニヤしながら立っていた

 

「なぁ!?ななななな何で此処に居るんですか!?」

 

「そりゃあ「先に行け」っつったんだから後で追い付くって意味だろうよ。心配しなくても俺とロスヴァイセの代わりとして俺達の受け答えパターンを記録した高性能擬態ロボを置いておいたから短時間ならボロは出ないはずだ―――第一俺達職員だって卒業式当日にそんなに確認事項が在る訳でも無いだろうがよ?」

 

そう言ってアザゼル先生もソファーに"ドカッ"と腰かける

 

まぁ神の子を見張る者(グリゴリ)の無駄にSFに傾いた謎技術ならア〇モくんもビックリのロボットも造れるだろうけど、先生なら軽く暗示を掛けるだけで何とか出来ちゃいますよね?仕事を完全に放り出す形だとロスヴァイセさんが拒否しそうだから最低限仕事も出来る身代わりを置いたんだろうけど、絶対性能テストとか諸々兼ねてるよね?

 

 

~駒王学園職員室にて~

 

「いやぁ、とうとうこの日が来ましたねぇ。ロスヴァイセ先生としては教師として巣立つ生徒を送り出すのは初めてになりますかね?」

 

「そっだすな。おらさ今日っちゅう日が来て欲しかったような来て欲しく無かったかのような変な気持ちだべさ」

 

「ロ・・・ロスヴァイセ先生・・・ひょっとして緊張してらっしゃいますか?」

 

「い、いんや!そんなことさ無ぇだべ!」

 

「・・・自分で気づいて無いのか。と云うかロスヴァイセ先生って緊張すると方言になるとはなボソッ

 

「?そんなにわたすの顔見てなんか有りましたか?―――っは!?もすかすで化粧が剥がれちまってたり!!?」

 

「いえいえ!ロスヴァイセ先生は今日も変わらずお美しい限りですよ。粗野な男視点で申し訳ないが化粧も可笑しなところは見当たりません。で・・では私はこれで失礼致します。良い式となると良いですね。ははははははは!」

 

緊張状態のロスヴァイセは無意識に方言が出るという無駄に凝った再現性を誇るロボットだが癖の設定の数値を微妙に間違えたロボが職員室で方言を連発してしまう事となる

 

本人(ロボ)が気づいて無いという事で他の教師から暫く生暖かい目で見られるロスヴァイセの未来が決定した

 

~駒王学園職員室にて(完)~

 

 

「!・・・何でしょう。今、何かが決定的に崩れたような気がするのですが?」

 

ロスヴァイセさんがよく分からない独り言を呟いてるけど、特に変な気配は感じなかったから多分気のせいだと思うんだけどな

 

「ったく、肩の力の抜き方を覚えろって前にも言ったろ。何時も無駄に肩ひじ張ってるからそんな有りもしねぇ不安が襲って来たりするんだぜ?―――だらけろ、だらけろ」

 

「アザゼル先生は怠けすぎなんですよ!全く、なんで授業内容もよく脱線すると聞く貴方の担当する生徒はそれでも成績が良いんですか・・・」

 

「そりゃ遊び盛りのガキ共に一時間も延々と教科書の内容を語り聞かせても集中力が持つわけねぇだろう?ちょくちょく面白い小話を挟んで俺の話に集中出来る心理状態を形作ってやれば勉強が苦手な奴らでも自然と頭に入るもんだ。これでもお前らとは経験が違うんだよ、経験がな」

 

アザゼル先生に軽くあしらわれてロスヴァイセさんが悔し気に"ぐぬぬ!"状態になっている

 

まぁでも確かにアザゼル先生の授業って何時どこで面白いエピソードやトリビアがねじ込まれるか分からないから自然とワクワクとした心持ちで残りの授業も聴く事になるからな

 

そしてそれだけの話のネタが有るのも先生の言うように経験の為せる業なのだろう

 

本当にこの人って総合的なスペックだけは無駄に高いんだよな

 

「まっ、そんな俺でも表の人間の学園の教師をやるのも旅立っていく生徒を見送るのも流石に初めてだからな。これでも結構感慨深くは思ってるんだぜ?」

 

アザゼル先生の視線がほんの一瞬だけ俺を捉える

 

実はトライヘキサ戦の戦後処理が一段落した時にアザゼル先生とサーゼクスさんにミカエルさんという三大勢力のトップ及び元トップにオフレコ情報としてコッソリと各神話体系のトップ陣の秘密の作戦である『隔離結界に自分達ごとトライヘキサを封じて最悪一万年頑張る作戦』を教えて貰った上で感謝の言葉を貰ったのだ・・・実は知っていたなんて野暮な事は無しとしてね

 

流石にそんな面子がホイホイ集まれる訳でもないからサーゼクスさんとミカエルさんは通信だったが、兎に角アザゼル先生達はトライヘキサ復活の時期がより正確に識れた当初は卒業式に出席する事は無理だろうと思っていたらしい―――まさか俺が世界を滅ぼせるだけの攻撃を何百発とトライヘキサにほぼノーリスクで叩き込めるとは考えなかったようだ・・・当たり前か

 

それからは時間ギリギリまで今のメンバーで行える最後の部活動である雑談大会を行った・・・途中から男子メンバーの恥ずかしい過去話に移行して俺とイッセーと祐斗とギャスパーは生贄となってしまったが本日のメインであるリアス先輩と朱乃先輩が笑顔だったのでチャラという事にしよう

 

そうして刻限となり俺達は一度教室に戻ってから式場である体育館に移動する

 

1~2学年の生徒及び保護者の方々が次々と入って来て用意された椅子に座るのだが俺達が入った時には既にリアス先輩のお父さんのジオティクスさんとサーゼクスさんにセラフォルーさんにバラキエルさんという親バカ兄バカ姉バカ組が最前列の一番いい席で対戦車バズーカのようなカメラを入念にお手入れしてるようだ・・・恐らくそれぞれの家や組織の最新鋭の物を用意したのだろう。夏休み前の授業参観の時に持ち込まれたというカメラよりも高性能なんだろうな

 

他にはリアス先輩のお母さんであるヴェネラナさんにグレイフィアさんにその息子のミリキャス。黒歌とルフェイになんとサイラオーグさんとライザーも並んで座っている

 

まぁライザーはサイラオーグさんとよくスパーリングする仲になったみたいだからな

 

う~む。授業参観の時よりも保護者組の戦力がエグイ事になっているな。あの人達が臨戦態勢に入ったらそれだけで駒王学園どころか駒王町そのものが崩壊しそうだ。一応この町は無駄に強固な結界が張り巡らされてるからそんな事にはならないだろうけどさ

 

保護者席の一部から異様なオーラが立ち昇るのを無視しながら暫く待つとついに音楽と共に卒業生が入場してきた―――バラキエルさんとか入場行進の段階で号泣してその様子をチラリと見た朱乃先輩が恥ずかしそうにしているのが判ったくらいだ

 

保護者バカ組が涙でぼやけた視界の中でもカメラの操作だけは一ミリのズレも妥協しないでいるのが鬼気迫るような気配から伝わって来る

 

卒業証書授与式を終えると在校生代表として生徒会長であるゼノヴィアが送辞を行い卒業生代表であるソーナ先輩が答辞でもって応える

 

次ぎに国家斉唱と校歌斉唱。最後に卒業ソングとして『仰げば尊し』を謳うのを〆として卒業生が体育館から退場するのを見送る

 

式を終えた3年生たちは校門の付近で抱き合う者、笑い合う者、胴上げする者、意を決して校門の境界線を踏み越える者と色々だ

 

リアス先輩達が校門を潜る前に保護者組と話したりしてるのを俺達現オカルト研究部メンバーなどは校門から丁度出た場所で彼女達が来るのを先回りして待っている

 

リアス先輩達が明確に学園から巣立つその時だからこそのサプライズが有ったからだ

 

校門という学園の敷地の最後の一線を跨いで駒王学園生徒の肩書を全うしたリアス先輩と朱乃先輩を先ずは「ご卒業おめでとうございます」といった感じにそれぞれが祝いの言葉で出迎える

 

「ええ、有難う皆。嬉しいわ」

 

「あらあら、うふふ♪有難うございますわ・・・それにしてもあの部室には悪魔の仕事でまだ通うというのに、こうしてたった一歩学園から出ただけで随分と遠くに感じますわねぇ」

 

嬉しさと一抹の寂しさのようなものを()い交ぜにしたような表情を浮かべる二人の前に白音と祐斗とギャスパーの三人が緊張した面持ちで立つ

 

「あ・・・あの・・・」

 

普段の祐斗からは見られないようなキョドった態度だ

 

「改めて、ご卒業おめでとうございます。それで・・・卒業されてオカルト研究部からも完全に引退されましたので・・・えっと・・・」

 

顔を真っ赤にした三人の中で祐斗が代表して喋るけど完全にどもっている。祐斗ファンが見たら鼻血を吹き出すこと請け合いだ

 

「もう、どうしたの?白音やギャスパーまで目が泳いでるし、言いたいことが有るならハッキリ言わないと・・・」

 

そんな三人の様子に苦笑したリアス先輩が続きを促すと三人はおずおずとしながらも小さな声でその『言いたいこと』を口にする

 

「―――リアス姉さん」

 

「リ、リアス姉様」

 

「リ、リ、リアスお姉ちゃん!」

 

「―――え?」

 

愛しい眷属の三人に『姉』と呼ばれたリアス先輩は思考が停止してしまったのか呆けた表情で完全に固まってしまった

 

「部長や元部長と呼ぶよりはそちらの方が合っている気がしまして・・・」

 

「『リアス様』やイッキ先輩のように『リアス先輩』とここで呼んでしまうと次の大学のご卒業までそれで固定されてしまいそうで・・・」

 

「こ、これでも前々から『家族』としてそう呼んでみたかったんですぅ!」

 

今まで祐斗達はリアス先輩の事を元部長と呼んでいたが卒業式を終えた今はもうその呼び方は出来ないから祐斗達としても節目というか良い機会だったのだ

 

それを聞いたリアス先輩はポロポロと涙を零すと両手で顔を覆ってしまった

 

その様子に三人はオロオロと慌てだす。てんぱってるせいでリアス先輩の涙の意味にすら気づいて無いようだ

 

「へ、変でしたか?失礼でしたか!?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

「す、すみませんですぅ!」

 

それを聞いたリアス先輩は顔をフルフルと横に振って涙を拭いながら顔を上げる

 

「違うの・・・これは嬉しくって・・・もう、まさか校門を潜ったら卒業式よりも感動することを言われるなんて思わなかったわ」

 

それからテンション上げ上げとなったリアス先輩が何度か三人にお姉ちゃん呼びをリクエストしてまだまだ気恥ずかしさが抜けない祐斗達がそう呼ぶ度に小躍りするレベルで舞い上がっていた

 

そこに二大お姉様の片割れでもある朱乃先輩が自分もお姉ちゃんと呼ばれたいと言うがギャスパーの「今回はリアスお姉ちゃん呼びする心の準備で精一杯でしたぁぁぁ!!」という叫びでお流れとなった。とは言え三人とも朱乃先輩の事を姉と呼ぶ事自体はほぼ確約されたようなものなので朱乃先輩も笑いながら許してくれたようだ。朱乃先輩としては何時呼んでくれるように為るのか期待が膨らむ感じだろう

 

その後イッセーがリアス先輩を連れて物陰の方でプロポーズしてたり、遠くでは匙がソーナ会長と花戒さんと二村さんの三人を前に顔を赤くしてなにかを伝えたりしていた

 

イッセーの方はサイラオーグさんとのレーティングゲームが終わった時に「好きだ」と伝えていたのが今回は「結婚してくれ」にランクアップしてたし、匙の方が多分アイツもハーレムルートに入ったかな?四人全員がモジモジとしている様子から察するに悪い結果じゃなさそうだしね

 

卒業式に中てられて皆青春しているようだ

 

イッセーもプロポーズまで言えたなら他のイッセーラヴァーズへの告白もあと少しだろう・・・つぅかここまで来て告白しなかったら殴り倒すわマジで

 

今日という日の一大イベントを無事に終えた俺たちは新鮮な気持ちで帰路に付く

 

最後にそれぞれの家の前で一旦別れる前にリアス先輩にこっそりと胸ポケットにしまってた神の子を見張るもの(グリゴリ)製のペン型カメラを取り出してみせる

 

「リアス先輩。実は例の高性能カメラで『祐斗、白音、ギャスパーの初めての「リアスお姉ちゃん」呼び大作戦』を録画しておいたんですが」

 

「言い値で買うわ!」

 

超喰いつかれた

 

うん。やっぱりリアス先輩ってジオティクスさんの娘でサーゼクスさんの妹だわ

 

なんだかんだで今日はグレモリー家の方々の『家族』の絆を感じ取れた一日でもあったのだった

 

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