春休みも終わりが近づきぶっちゃけ明日には新学期が始まるという今日この日に俺たちはとある無人島に釣りをしにやって来ていた
「よぉし!今日は魚を取る日だ。釣りで分からない事があれば遠慮せずに聞いてくれ」
「カサゴなんかはよく釣れる代わりにトゲに毒が有るから気を付けるようにな」
イッセーの父親と俺の父親がフィッシングベストにキャップも着用しながら竿を高く掲げている
「お腹が空いたらこっちにおにぎりや飲み物も用意してますからね~」
「広めのテント(屋根だけ)に椅子も用意してますから悪魔や吸血鬼の体質で体が怠くなった時も安心してくださいね」
岩場から少し離れた平地スペースでは俺とイッセーの母親組が休憩スペース及び補給物資の配給を行ってくれるらしい
「我、テント、立てる」
「たてる、たてる」
関係者ばかりの無人島という事もあってオーフィスとリリスもご来訪して母親組を手伝ってる
それにしてもお隣さん且つ話題にも事欠かないからか本当に両家の親たちの交流も深まったよな
「ったく、父さんも年甲斐も無くはしゃいじゃってさ」
「いいじゃねぇかイッセー。俺の両親も月まで行った時とか滅っ茶はしゃいでたぞ?」
「イッキのソレはまるで参考にならねぇよ!宇宙まで飛び出したら誰だってテンションMAXになるわッ!!」
釣り針にエサ付けてる時に耳元で喚くなよ。危ないだろうが
「フッ、月か。有間一輝、月の裏側には何も無かったと言っていたが月の中心・・・内部構造まで調べたのか?月には裏側か、もしくはその内部に知られざる古代文明の遺跡が眠っているというのが通説だ」
するとイッセーを挟んでその向こう側で釣り竿のラインの調子を見ていた銀髪イケメンことヴァーリが話しかけてきた
実は今日はオカルト研究部以外にもヴァーリチーム他数名がこの無人島に釣り糸を垂らしに来ているのだ。最初は何時ものメンバーだけのはずだったのが、あれよあれよの内に話が広がって集まれるヤツは集まる運びとなったのだ
俺はヴァーリチームの面々に視線を移す
少し離れた場所ではルフェイが釣り針にエサの虫を付けられずに涙目になって兄のアーサーが苦笑しながら代わりに付けてやってたりフェンリルが
因みに人魚魚人2匹はエラ呼吸の為か既に死にそうになりながら踊っているな
彼の新曲らしい『河童だって回転しない寿司屋で働きてぇ』の観客は白音だけだ
河童と寿司を安直に繋げて安く見られる世間の常識に対する反骨精神をハードボイルドに歌い上げた内容のようだ
「最高です!こんなところでサラマンダー・富田さんの新譜を独り占め出来るなんてっ!!」
既に虫の息になっているバックダンサーに見向きもしないで白音が感動の涙を流している
「・・・ヴァーリのチームでまともなのはルフェイとアーサーだけかよ」
「いやイッキは現実を直視しろよ!カオスな状況の中に白音ちゃんが普通に混ざりこんでるじゃねぇか!!」
「良いんだよ。白音は可愛いからそれだけで何も問題は無い。それ以外は些事だ」
「松田や元浜が言い出しそうな事を言うな!」
うるっせぇ!頭空っぽの理論武装でもしないとやってらんねぇんだよ!分かれやっ!!
俺とイッセーが顔を突き合わせて威嚇し合っているとサイラオーグさんが難しい顔で唸りながら質問してきた
「むぅ・・・俺も釣りは初めてなのだがこのルアーというのはこれ程種類が有るのか。どれを使うのが正解なのだ?」
サイラオーグさんは俺たちの間で釣りに行く話が持ち上がった時に偶々『D×D』としての模擬戦をしにやって来ていたので「時間が合えば一緒にどうですか?」と誘ったのだ。様々な色と形のルアーを前にしてどれを選んだらいいのか判らないらしい
「そうですね。色に関しては気にしなくても良いですが今の海の魚の分布だと中層くらいに集まってるみたいなので少し浮力の小さいこの辺りのルアーを使うのが良いと思いますよ」
本来なら狙う魚の特性や長年の経験を頼りに正解のルアーや釣りポイントを選ぶものなのだろうが、今日は釣りの道へ進むための集まりではなくて楽しむための日なので少しずっこいが仙術で魚の気配を感知して良さげなルアーを紹介する
「そうか。感謝する、有間一輝」
サイラオーグさんがそう言っていそいそと準備を進める
筋骨隆々で傷だらけその大きな手で小さなルアーをカチャカチャと取り付けている様子はどこか可笑しい感じがするな
「おい有間一輝。俺様も態々誘ったならこの辺りで一番の大物が釣れるポイントとエサをさっさと見繕え!」
そう、実はこの場にはライザーも誘っていたりする
なぜライザーかって?基本『D×D』のメンバーって忙しい場合が多いし、その点ライザーはレーティングゲームのプロプレイヤー以外の仕事はしてないから誘いやすかったんだよね
最初に誘った時は≪なぜ俺様がそんなトロ臭い遊びに参加しなければならないのだ≫と拒否ってたが「釣れる自信が無いの?」と煽ったら≪そんな訳あるか!誰よりもデカイのを釣り上げてやるわ!≫と喰いついてきたのだ・・・ッフ、ちょろい
それにしても思いっきり俺の仙術を当てにしてる辺りは処置無しだな
仕方ないので一番頑丈で太っい針に異空間から取り出したリンゴをぶっ刺して適当な方向を指さす
「ほら、あっちの一番高い岩場から思いっきり竿を振れば大物が掛かるはずだ。ただしこの辺のヌシクラスだろうから丸一日粘る必要は有るかもな」
「おい。釣りの餌にリンゴ丸々一個などと聞いたことが無いぞ。ふざけてるのか貴様ァアア!!」
ライザーが俺の胸倉を掴み上げて吊るしてきたので落ち着かせるように肩を叩く
「ライザーは人間界に疎いから知らなかったのも無理はないけどな。釣り餌に果物を使ってこそ超大物が釣れるんだよ。ただの魚だってヌシクラスともなれば皆グルメなのは釣り師たちの間では秘匿された常識だぜ?」
ライザーの目をまっすぐに覗き込んでさも当然のように言う
人間ってのは不思議なものでハチャメチャな理論でも力強く告げられたらそれだけでそれを本当の事だと錯覚してしまう生き物だ。まぁライザーは悪魔だけど精神構造は人間とほぼ同一だからな
「そうだよな。釣り初心者のライザーは知らなくても当然の事だったよな。仕方ない、仕方ない」
「―――っ知ってるわ!今のはお前の知識を少し試してやっただけだ!見ていろ、貴様ら全員が度肝を抜く特大の大物を釣り上げてきてやるからな!!」
加えて軽く煽りを入れてやればこの通りだ
肩を怒らせて俺の指定した岩場に向かっていくライザーをひらひらと手を振って見送る。リンゴを丸呑みに出来るような超大物が釣れると良いな
「・・・イッキ。ライザーを揶揄い過ぎじゃねぇか?なんだよ「秘匿された常識」って矛盾してんじゃねぇか」
「別に、邪龍戦役が終わってから毎日のようにフェニックスの涙の製造に追われて暴れられない事の愚痴を聞かされ続けた私怨なんて込めてないぞ?」
こっちはこっちでテロリストの鎮圧で忙しかったのにライザーがスッキリ暴れられるこっちの状況の方が良いって愚痴ってくるんだぜ?いやまぁ確かに日がな一日特殊な魔法陣の上で心を無にして家族皆で涙を流してる状況よりは良いのかもしれないけどさ
事情を知らない人たちからして見ればかなりアレな光景だよな
「はっはっは!なに、心配いるまい。我がバアルのリンゴならばクジラも喰いつくだろう」
「いやいや、サイラオーグさん。それだとライザーの方が逆にクジラの餌になっちゃいそうなんですが・・・と言うかその前に竿が折れますって」
サイラオーグさんの天然にイッセーからのツッコミが入る
「そこは大丈夫だろう。ライザーもあれで優秀な上級悪魔なんだから竿やラインを魔力で強化してクジラ相手でもやり合えるようにする事は出来るはずだぞ?」
平均的な上級悪魔くらいの魔力でも山頂を吹っ飛ばす程度の力は有るんだしさ
「あんた等どんだけライザーをクジラと戦わせたいんだよッ!!」
「でも海獣と不死鳥の世紀の一戦と言えばちょっと見てみたくないか?」
え?レイヴェル?レイヴェルにそんな真似させる訳がないだろう?頭大丈夫か?
「お前の頭が大丈夫じゃねぇええええ!!」
なんかイッセーが頭を抱えて虚空に向かって叫んでいる
そんな中、他の参加者の様子も見渡してみる
「去年の夏にイッセー達の釣りの様子を見て実は内心ウズウズしてたのよね。朱乃、今日は付き合ってもらうわよ」
「あらあら、うふふ♪そんな闘志の宿った瞳で見つめてきたら私だって負けられませんわねぇ―――そうですわ。折角なら今夜のイッセーくんの隣で寝る権利を賭けません事?そしてそのまま朝までしっぽり・・・うふふふふふ♡」
「聞こえてるわよ朱乃!イッセーの初めては私が貰うんだから貴女なんかに渡さないわっ!」
「あらあら、そのセリフ。勝負に負けた後でも言えるかどうか見ものですわねぇ」
二大お姉さま方は二人だけの頂上決戦を行うつもりのようだ。まぁどうせ釣った魚が同数になって魔力合戦の果てに有耶無耶になる未来が見えるけど、止める理由もないな
「ゼノヴィア!どちらがより多く釣り上げるか勝負しましょう!」
「望むところだイリナっ!」
「はうぅ!お二人とも待ってくださぁぁあいっ!!」
イリナさんとゼノヴィアは邪念ゼロの釣り勝負の為に良い感じの釣りポイントを探してダッシュして行き、アーシアさんが各種荷物を持って必死に後を追っている。聖剣コンビは相方よりも先に釣るという事しか頭に無くてガチで釣り竿しか持ってない有様だ。エサを現地調達してキャッチアンドリリースで数えるつもりだったのだろうか?―――いや、何も考えてなかったんだろうけど
と云うかアーシアさんも色んな荷物を持って走ってる辺り悪魔に転生した当初よりなんだかんだで基礎体力もアップしてるよな
「うふふふ♪ずっとお城の中だったから釣りをするなんて考えた事も無かったわ」
「あっ!ヴァレリー。釣り針を扱うのは危ないからそこは僕がやるよ!」
ハーフヴァンパイアの二人はデイライトウォーカーと言えども悪魔で吸血鬼と二重の意味で太陽に弱いギャスパーとまだ病み上がりとも云えるヴァレリーのコンビなので、日除けの麦わら帽子を被って木陰の有るスポットを見つけてそこで釣りを楽しむつもりのようだ
因みにヴァレリーはアポプスから取り戻した聖杯はちゃんと体内で安定しているようで、もう出掛けるのに聖杯の欠片のペンダントも特殊な結界も必要としないようだ
「私は素潜りして楽しんできます」
ロスヴァイセさんはダイビングスーツに銛という恰好だ。去年の夏に俺と黒歌も海に潜って海の幸を捕まえたけどあれは素手で且つ海老とか貝とかがターゲットだったからな
「釣りなんて生まれて初めてですわ」
「私もサバイバルで魚が欲しかったら水辺に雷落として採ってたからにゃ~。めんどいから今回もそうしようかにゃ?」
「それでは他の方々の釣りも台無しになってしまいますし、ロスヴァイセ様が感電死しますわよ!絶対に止めて下さいな!」
黒歌が物騒な事を口走ってレイヴェルが咎めている
黒歌よ。それは遊びじゃなくてただの漁だから
「トスカ、これが海だよ」
「わぁ!お水がこんなに沢山!」
佑斗とトスカさんの二人はスゲェほのぼのした雰囲気で癒されるわ
最後にチラリともう一度だけ白音の方に視線を向ける
「今日の俺様の熱いソウルはまだまだ続くぜっ!―――河が何時か海へ繋がるように
「キャァアアアアアッ♪」
・・・白音が「キャァアアアアアッ♪」とか叫んでるの初めて聞いたわ
うん。アイドル的なアレとは云え仮にも自分の彼女が他の男性に釘付け状態な訳だけど、欠片も嫉妬とかの感情は浮かんでこないな。幾ら何でもあの空間はあまりにも異次元過ぎた・・・てかバックダンサーの魚もうご臨終してない?サラマンダー・富田も白音も気にしてないみたいだけどさ
そんなこんなで一部異空間が展開されながらも皆がそれぞれ釣りに移っていく
俺とイッセーにヴァーリとサイラオーグさんの四人はお互いの邪魔にならない程度の距離しか空けずに手頃な場所で竿を振る。話したい事が有ったので自然とこの布陣になった感じだ
とは言え先ずは適当な
「釣りかぁ・・・ヴァーリは世界中旅してて野宿も多いんだろ?さっきも釣り竿弄るのも手際良かったし、やっぱ魚釣ったりするのか?」
「ふっ、そうだな。釣りは
旅のお供って言うか指名手配犯のお供とした訳ね。
「そういやサイラオーグさんは釣りは初めてっぽかったみたいだけど、今までは武者修行で山に籠って自給自足の生活とかした事無かったんですか?」
「俺か?当然有るぞ。冥界のイノシシや熊などとはよく取っ組み合いをしたものだ―――釣りをした事が無かったのは川を泳ぐ魚を直接追いかけて素手で捕まえる方が食料の調達と修行を両立出来て効率が良かったからだな。最も、最初の内はイノシシに轢かれたり、日が暮れるまで魚を追い回して結局捕まえる事が出来なかったりで散々な目には遭ったがな」
俺は俺でサイラオーグさんならサバイバル的な訓練で釣りくらいはした無かったのかと思い質問したが何ともサイラオーグさんらしいと言えばらしい答えが返ってきた。己が身一つでサバイバルって原始人でも石槍くらい使うぞ
まぁ今の彼なら拳一発水面に叩き付ければ衝撃波で周囲の魚が気絶して浮いてくるとは思うけど
「・・・あと、約三週間後か」
ヴァーリがどこか感慨深いと言った面持ちで今日一番の話題を切り出す
「・・・ああ、そうだな」
「うむ」
イッセーとサイラオーグさんもそれを聞いて何処か海の彼方に視線を向ける
「お!
「イッキィイイイッ!!空気読めよお前ぇえええ!!」
仕方ないじゃん。ヒットしたんだから釣らないとさ―――空気を読まなかったのは俺じゃねぇ!
「『キリッ!』じゃねぇよ!・・・はぁ、はぁ、まぁいい。それで三週間後のレーティングゲームの開催式の事だな」
イッセーが話題の軌道修正を行ってくれた。ありがたやありがたや
「ああ、強者との戦いを求めてきた俺にとっては公式に世界中の神々を含めた強者との試合に挑めるなんてのはまたと無い機会だ。丁度初代孫悟空からかの三弟子の子孫たちを預かっているからな。彼らも加えて大会には参加するさ。既に登録は済ませてあるし、現時点で参加を表明しているチームには神々も多い。今から待ち遠しくてワクワクしてしまうね」
「大会の参加者では神々の参戦がメディアでは大きく取り上げられているようだが我々『D×D』からの出場者も負けておらん。天界の
そうだ。最初にこの場に集まっていたのはイッセー以外全員が大会における『王』なのだ・・・ライザーはどっか行っちゃったけど、一応彼も眷属と共に『王』として登録を済ませている
唯一イッセーだけがまだ登録してないのだ。大会登録期間は一ヵ月でまだ一週間程度しか経ってない訳だが
「それなんだよなぁ。正直言えば迷ってるんだよ。俺も上級悪魔としての『王』には成り立てで眷属も二人しか居ねぇし、俺の夢の一つが最強の『兵士』となってリアスをゲーム王者にするってのだったから『兵士』として参加するか『王』として参加するか、どっちが良いのかなってさ」
人数不足という現実的な問題に加えてイッセー自身も『王』となったから独立してやってみたいと云う思いで『兵士』か『王』かで板挟みになってるんだな
「フッ、俺はキミがちゃんと参戦するならば文句は無いさ。リアス・グレモリーの下で戦うキミも自分だけのチームを率いるキミも、どちらも最高の強敵となり得そうだ」
「そうだな。神々も多く参戦する大会だ。正直絶対にお前たちと戦えるとは言えん。しかしあの激動の日々を共に戦い、高め合ってきた戦友たちが同じ大会に参加すればそれだけでも心の底から滾るというものだ」
ヴァーリとサイラオーグさんは参加するなら何でもいいというスタイルか
なら俺はイッセーと同じく確定の参加メンバーが黒歌とレイヴェルの二人しか居なかった(白音は確定では無かった)『王』としての助言でもしますかね?
「イッセー。自分だけのチームを作るのが難しいと思ってるみたいだけど、今のお前は大会のチームと上級悪魔としての眷属をごっちゃにして考えてないか?一生ものの眷属を決めようって話じゃないんだからもっと気楽に思いついた相手にオファーを掛けろよ。お前が積極的にメンバー集めをし始めたとなれば直ぐに噂も広まるだろうから意外な知り合いが接触してくるとも思うぞ?まっ、それもそろそろ動き出さないと手遅れになるだろうけどな」
リアス先輩だってイッセー、ゼノヴィア、アーシアさんが参加するかしないかでメンバー構成をかなり変更しなければならない。『兵士』にしても『王』にしてもあと2~3日以内には決めた方が良いだろう
「カァアアアッ。流石その日の内に参加登録したイッキは違うぜ。一体どんなメンバーを集めたんだよ?」
「それはお楽しみってやつだよ。てか仮にもライバルに下手に情報渡すかってんだ」
他の参加チームが対策を立てる時間なんてのは一秒でも削れる方が良いに決まってるからな
イッセーの悩みに軽くアドバイスを入れながらもその後も釣りを楽しんでいく
まぁここで言う『悩み』とは結局イッセーのチームメンバーをどう集めるのが良いかって話だから、なんだかんだ言ってイッセーは今回の大会で『王』として自分のチームを率いて戦う気持ちが強いのかもな
そんな風に雑談していると島の何処かで雷光と滅びの魔力がぶつかり合うような音が聞こえた
リアス先輩と朱乃先輩が予想通りに直接対決を始めたみたいで俺たちの意識も外に向く
「フハハハハ!どうだイリナ、去年のアザゼル先生の『
「むむむぅ!だったらこっちは素潜り漁よ。さぁ八白!海の中に顔を突っ込んで直接魚を採ってきて!今のあなたなら呼吸は必要ないでしょう!」
『キュイッ!!?』
別の場所ではゼノヴィアが
―――中々に混沌としてきたな
そんな喧噪を背景に予定の時間まで釣りを楽しんでいざ帰ろうと皆が集合場所に集まると最後に遠くからライザーが戻ってきた
「ハーッハッハッハッハ!どうだ貴様ら、俺はこの近海の王を激闘の末ついに釣り上げたぞ!」
彼が背中に背負っていたのは巨大な鮭だ。ただし先ほどサラマンダー・富田のバックダンサーとしてその使命を命と共に全うした魚に人間のような手足だけが付いた存在ではなくもう少し人間寄りの外見をした
「これが鮭たちの王。キング・サーモンだ!」
激闘・・・と云うのにガチンコバトルも含まれていたのかサケの魚人は全身を不死鳥の業火でこんがりと上手に焼かれてしまったようで、俺たちの鼻腔に非常に質の良い油の乗った美味しそうな香りが漂ってくる。ただ見た目が最悪なので食欲は欠片も湧いてこない
「キ、キング・サーモンと呼ぶな。俺様の名前はサーモン・キングだ・・・ガクッ」
キング・サーモン改めサーモン・キングはそれだけ言うとまた気絶してしまった
皆の顔が引き攣る中、最終的にアーシアさんが最低限の治療を行ってからキャッチアンドリリース的に海に解放する事になったのだった
「どうだ有間一輝。初めてでありながら近海の王すらも釣り上げる俺様に義兄としての尊敬の眼差しを向ける事を許してやっても良いんだぞ?」
なにを期待してるんだ、なにを!
「ワーッ、スゴイデス、アニウエ、ブラボーッ!」
「ハーッハッハッハッハッハ!そうだろう。そうだろう!」
俺が褒めるとライザーは上機嫌となりそのまま冥界に帰っていった
「全く、お兄様ったら一体なにをしでかしているのか。恥ずかしいったらないですわ」
「ははっ、まぁライザーもなんだかんだで俺とレイヴェルが将来結婚する事を認めてるって発言でもあったし、今回は許してやろうぜ」
本日の夕食は釣った魚を焼いたり刺身にしたり煮たりして魚料理のオンパレードだ
大食漢の黒歌と白音を有する我が家ならばこの程度は問題ない
「はぐはぐっ、でもあの鮭。間違いなく今までの人生の中でも最高級の一匹だったのに逃がすなんて勿体無かったです」
白音はアレを食べる気有ったの!?
「―――流石にアレは私も勘弁にゃ」
思わず視線が白音と同じ
その事に安堵しつつ夕飯やお風呂などを済ませて自室で寛ぐ。白音とレイヴェルは新学期に向けて授業内容を思い出す為に軽く勉強をしているようだ・・・う~む。マジメだ
「それを言うならイッキだってレーティングゲームの形式や特殊ルールの資料を読み込んでるんだから十分マジメだと思うけどにゃ」
俺が机の上に冥界のレーティングゲームの資料を並べている様子を黒歌が椅子に座っている俺の首に後ろから抱き着きながら言う・・・本当に抱き着いてくるの好きだよね
「まぁ俺も『王』として登録した以上は最低限の知識は必要だからな。とはいえ今の時期から根を詰めても仕方ないし、今日はこの辺りにしておくか」
俺は抱き着いてる黒歌をやんわりと外して回転椅子を反転させて黒歌に向き合うと彼女の腰を掴んで黒歌も同じように反転させて白音やレイヴェルによくやってるように膝の上に座らせる
「にゃん?イッキからこういう事するのも珍しいわね?」
「まぁ偶には良いかと思ってさ。ベッドの上だとこうして穏やかな感じに抱き合う事って余り無いしな」
「にゃはは♪房中術を駆使してイッキは絶倫に為れるからね。それに若い男女が同じ場所で大人しく眠れる訳なんて無いにゃ♪」
黒歌は俺に背を向けた状態から体をずらして横抱きに近い形に座り直す
「でも確かに偶にはこういうひと時も良いかもね♪初心な恋人みたいな距離感もイッキとなら飽きそうにないにゃ」
俺と黒歌は少しだけお互いの顔を見つめるとそのままキスをする
それから暫く黒歌を膝の上に乗せたままイチャついていると白音とレイヴェルが部屋に入ってきた
「むぅ!黒歌姉さまにもイッキ先輩の膝の上というポジションを譲るつもりはありませんよ」
「白音の次は私もですわよ!今日からイッキ様に"ギュッ"とハグされたまま甘々恋人プレイはローテーション制の日課にする事を進言致しますわ!」
そんな二人の様子に俺と黒歌は軽く笑ってから皆で寝るためにベッドに潜る
・・・今日の白音とレイヴェルは何時もより少し積極的だったのは気のせいではないだろう
「それじゃあこれからも宜しくお願いするよ」
「はい」
「にゃん♪」
「勿論ですわ」
改めて眠りにつく前にこの日常をこれからも共に過ごす約束をするのだった
この先の俺の識らない
―――なにせこの世界は『ハイスクールD×D』なのだから
イッキの国際大会のメンバー
「チーム・ラスボス」
・『王』―――有間一輝
・『女王』―――サーゼクス・ルシファー
・『戦車』―――塔城白音
・『戦車』―――アザゼル
・『騎士』―――ハーデス(駒2つ消費)
・『僧侶』―――塔城黒歌
・『僧侶』―――レイヴェル・フェニックス
・『兵士』―――アンラ・マンユ(駒8つ消費)
アンラ・マンユは臣下だから出ろと言い、ハーデスはタナトスやプルートをけしかけた迷惑料として、アザゼルとサーゼクスは隔離結界の事を一つの貸しとして勧誘した