転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第二話 オカルト研究部、入部します!

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)・・・ですか?コレって確か龍の手(トゥワイス・クリティカル)って名前じゃなかったんですか?あと神滅具(ロンギヌス)って?」

 

いきなり知らない単語を列挙されながら驚かれた為かイッセーも混乱している。

 

「ああ、御免なさいね、余りにも衝撃的だったものだから―――神器には極めれば神や魔王ですら打ち倒せるとされている特別な物が全部で13個存在しているの。それらを指して神滅具(ロンギヌス)と呼んでいるのよ」

 

神滅具(ロンギヌス)・・・」

 

「籠手が発動した時、ウェルシュ・ドラゴンと言ったわ。それが指し示すものは地上最強と謳われた二天龍の片割れ、赤龍帝ドライグの事よ。そしてその赤龍帝の力と魂を宿したそれこそが神滅具(ロンギヌス)の一つ、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)よ―――正直、私も驚いているわ」

 

その説明を聴いてイッセーはマジマジと左腕の赤い籠手を見つめる

 

「これが龍の手(トゥワイス・クリティカル)じゃないとしたら、コイツの能力って何なんですか?」

 

「そうね・・・私が説明してもいいんだけど・・・」

 

リアス先輩が此方に目線を向け、「イッキに説明をお願いできるかしら?」と言ってきた

 

「え!?何でですか!?」

 

何でいきなり!?

 

「あなたを此処に連れてきた理由の一つにあなたが裏の世界の事情にどの程度精通しているのか確かめる意味合いがあると言ったでしょう?私がイッセーに全て説明してしまっては、その後で『全部知ってました』と言われたらそこまでじゃない」

 

まぁ一理あるか・・・

 

「勿論神滅具(ロンギヌス)の詳細を知らなくても不思議という程ではないし、その時は適当に裏の事で知ってる事を話してくれればいいわ。深く聞くつもりは無いし・・・さわりだけで構わないわ」

 

「いえ、大丈夫です。イッセー、よく聞けよ、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の能力は主に二つだ。一つは所有者の能力を十秒ごとに倍化していく事、2倍→4倍→8倍→16倍って感じだな。もう一つはその倍化した力を何か別のモノに譲渡する力だ」

 

「別のモノって例えば?」

 

「それこそ色々だ。人物だったり、武器だったりだな―――詳細は俺も(この世界では)聞いた事は無いから詳しく知りたいならその籠手に宿るドラゴンに直接聞くのがいいと思うぞ」

 

「え!?コイツ喋れんの!?」

 

心底驚いている感じだな・・・

 

「リアス先輩もさっき言ってただろ?『赤龍帝の力と魂を宿した』って神器には魔獣や幻獣を宿した物もあってそういうのは喋ることができる物もあるんだ」

 

「へぇ~、よし!赤龍帝さんよ、話を聞かせてくれよ!」

 

そうしてイッセーは早速赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に語り掛ける。ドラゴンと喋れると聞いたからか心なしかワクワクした表情だ

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・お~い?聞いてる?」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・もしも~し」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「おいイッキ!喋れるんじゃなかったのかよ!うんともすんとも言わねぇぞ!」

 

あ~流石にそこまでは無理だったか・・・

 

「多分だが赤龍帝の魂がまだ眠ったまま何だろう―――イッセーが強くなるなり赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を使いこなせるようになれば自然と目覚めると思うぞ?」

 

「・・・それって詰まりは俺が弱いからか?」

 

「身も蓋も無い事を言えばそうだな」

 

「マジですか・・・」

 

龍の手(トゥワイス・クリティカル)の能力の詳細を聴いた時以上にうなだれてるな・・・

 

「リアス先輩、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の説明は以上となりますが、今ので大丈夫でしたか?」

 

「ええ、問題ないわ。むしろ私よりも詳しいんじゃないかしら?何処で知ったのか聞いてもいいかしら?」

 

まぁそうなるよな・・・しかし隠す程の事でもないか

 

「自分は何処かに所属している訳では無いのですが、妖怪の方に少し伝手がありまして、仙術の修行を付けてくれた方に一通りの概要は教えて頂いたんです」

 

参曲(まがり)様が『仮にも私の教え子があんまりにも無知なのは許さないよ』と有り難い授業をしてくれたのだ―――修行中にも拘らず・・・

 

「あなた、妖怪に伝手があったのね」

 

「はい、出会いは偶然でしたが・・・生まれは一般人なので」

 

「なるほど、あなたの事は一先ず分かったわ。なら最後の話をしましょうか」

 

「「最後?」」

 

俺とイッセーの声が重なる

 

「イッセー、あなたが私を呼び出した例の魔法陣の書かれたカードになんて書いてあったか覚えてるかしら?」

 

「えっと確か、『あなたの願いを叶えます』と書いてありました」

 

「その通りよ、私達悪魔は人間の願いを叶えるの。でもね当然無償で叶える訳では無いのよ。願いを叶えるにはそれに見合った対価が必要だわ」

 

それを聞いたイッセーが顔を青くする

 

「あの・・・悪魔の対価と言うと命とか?」

 

「命を助けた対価に命を貰ったら本末転倒じゃない」

 

リアス先輩はそう言ってクスクスと笑った。それを聞いたイッセーは一瞬ホッとした様子だったがそれもつかの間。なにかに思い至ったのかさっき以上に顔を青くする

 

「あの、俺たいしてお小遣いも貯めこんで無くて・・・いや、そもそも命を救ってもらった対価がお小遣い程度で賄えるとも思えないのですが・・・お・・・俺、頑張って働きますので両親に借金を押し付けたりするような事だけはどうか!」

 

そう言って土下座するがリアス先輩は静かに首を横に振る

 

「別にそんな事を要求するつもりなんて無いわ」

 

「え?」

 

「とは言え、軽いもので無いのも事実。イッセーあなた、悪魔になってみる気はない?」

 

懐から紅い兵士(ポーン)の駒を取り出しつつそう口にした

 

「それはどういう意味ですか?って言うか悪魔ってなれるもん何ですか!?」

 

「ええ、このチェスの駒は私のような上級悪魔が持つ悪魔の駒(イーヴィルピース)と呼ばれる物でね、これを用いる事で他種族を悪魔に転生させる事ができるの」

 

「転生?」

 

「そう、つまりあなたはこのリアス・グレモリーの下僕、眷属悪魔として生まれ変わるの。此処に居る朱乃や祐斗、小猫も私の眷属なのよ」

 

「皆が!?」

 

イッセーは驚きながら3人を見渡している。種族が変わるってリアス先輩は軽く言ってるけど、実際凄い事だからな

 

「勿論悪魔に転生するという事は少なからず今日のような戦闘に出向いてもらう必要も出てくるわ―――でも、神器を持っているあなたはまた何時今日みたいに襲われるか分からない。私の下僕となれば私が直接守ってあげられるわ。後は寿命が延びるというのもあるわね、悪魔は一万年は生きるの・・・どうかしら?」

 

「一万年ですか!?・・・因みにですが、断った場合はどうなるんですかね?」

 

「安心して、その時は出来るだけ条件のいい仕事先を斡旋してあげるから。真面目に働けば苦しい人生にはならないはずよ」

 

そう言ってリアス先輩はニッコリとほほ笑んだ―――チョットあの笑顔が怖いな・・・凄くいい話のはずなんだが

 

「・・・イッキ、この話どう思う?第三者のお前の意見が聞きたい」

 

アレ?イッセーならリアス先輩の下で働けるという事なら飛びつくと思ったけんだけど・・・まぁ知らない間に悪魔になってた原作と違って『人間辞めますか』という選択肢に躊躇なく飛びついたりはしないか・・・

 

「そうだな、結論から言えば受けてもいいと思うぞ」

 

「なんでだ?」

 

「理由は二つだな。一つはリアス先輩の実家である『グレモリー家』の影響力、つまりは後ろ盾だな。グレモリー家ってのは悪魔の貴族の中でも名門だから、お前が例え神滅具(ロンギヌス)という特大の力を持っていたと知れ渡ったとしてもちょっかいを出すことも難しいという事」

 

「成程、二つ目は?」

 

「そうだな、イッセーは今回リアス先輩の下僕にならないかと誘われてるけど、主となるリアス先輩や眷属の皆と直接話してみてどう感じた?リアス先輩は一般的に人間が悪魔に抱くイメージのような鬼畜外道に見えたか?その下僕の皆は虐げられているように感じたか?」

 

「いや、そんな事は無い!!」

 

「なら、それが理由だ」

 

するとイッセーは少し天を仰いで息を吐きリアス先輩を正面から見据える

 

「リアス先輩!俺!先輩の悪魔になります!」

 

「ええ、宜しくね、イッセー」

 

 

 

 

 

 

部室の少し拓けた所の床に魔法陣が輝きその中心にイッセーが立ち、期待と不安が入り混じったような表情をしている

 

「イッセー、もっとリラックスしてもいいのよ?転生するのは一瞬だし別に痛みを伴ったりもしないから」

 

リアス先輩がそう言うが当の本人はと言えば―――

 

「は・・・はい!」

 

ガッチガチに緊張しているな・・・まぁこれはしょうがないか

 

「じゃあイッセー、両手を出して」

 

「はい!どうぞ!!」

 

緊張し過ぎだイッセー、そしてリアス先輩が差し出された掌の上に『兵士』の駒を一つ置く、少しして二つ目、三つ目と駒を置いていき、最後の八つ目を置いた時に悪魔の駒(イーヴィルピース)が淡い光を放った

 

「流石は神滅具(ロンギヌス)ね。『兵士』の駒を全て消費する事になるなんて、一瞬転生できないんじゃないかと焦っちゃったわ」

 

うん、俺も焦りました、でも何でだ?原作でもギリギリだったはずだが―――そう思いながらも儀式は続く

 

イッセーは魔法陣の真ん中に立ったままで対してリアス先輩は魔法陣の外、イッセーの正面に立ち詠唱をする

 

「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、兵藤一誠よ。我が下僕悪魔と成れ。汝、我が『兵士』として新たな生に歓喜せよ!」

 

すると『兵士』の駒が光りながら空中に浮かびあがりイッセーの胸に吸い込まれていき、光が収まった直後

 

“バサッ!”

 

おお!悪魔の翼か!ぶっちゃけ禁手(バランス・ブレイカー)で飛んでばかりいるからほとんど出番が無いんだよな

 

「うぉ!翼が」

 

「フフッ無事に転生できたみたいね。これから宜しくね、イッセー」

 

「はい!よろしくお願いします、リアス先輩!!」

 

そうして元気よく挨拶した所でイッセーの顔が歪んだ

 

「ぐっ!?なん・・・だコレ!?」

 

イッセーの突然の変化にその場の全員が驚きをあらわす

 

「イッセー!どうしたの!?」

 

「リアス先輩、なんか体全体が内側から軋んでるように痛いんですが・・・」

 

イッセーがそのまま膝を付く、どういう事だ!?

 

「リアス先輩!俺が仙術でイッセーの体を診ます!」

 

そう言いつつイッセーの額に手を当て気の流れを精査していく―――直ぐに原因は見つかった。成程、確かにそんな設定もあったか・・・

 

「リアス先輩!どうやらイッセーの体が駒八つ分の力に耐えられてないみたいです・・・この感じからして4つほど封印を施せば何とかなると思います!」

 

「分かったわ。皆、少し離れて!」

 

イッセーをリアス先輩に預けつつ全員で距離をとる。そしてリアス先輩が掌に魔法陣を浮かび上がらせてイッセーの胸に押し当てる。少々風が室内に吹き荒れたがそれもすぐに収まっていった

 

「・・・これでもう大丈夫なはずよ。イッセー、体の調子はどう?」

 

問われたイッセーが至近距離でリアス先輩に見つめられて顔を赤くしながらも"パタパタ"と体の各所を触って調子を確認していく

 

「は、はい、もう大丈夫です」

 

「そう、よかったわ!イッセー!」

 

リアス先輩がイッセーを胸に抱く―――ここからじゃ見えないけど絶対にだらしない顔してるんだろうな

 

それにしても、確かに原作のイッセーはリアス先輩に駒の力を封印されていた

 

『兵士』の駒は一つでも当然『女王』へのプロモーションが可能なはずだが最初は『戦車』がせいぜいだったほどだ

 

最初のうちは転生したばかりで『女王』になれない的な事を言ってたがアレって多分嘘だよな

 

悪魔になって朝からの修行を行いライザー戦に向けた集中特訓、その上で封印を解いてようやく『女王』になれるってどれだけガチガチの封印をしてたんだって話だし・・・

 

流石は才能という一点では歴代最弱の宿主。原作より強くなってるとは言え元が低すぎるからか駒価値八つを超えるには至らなかったようだな―――良かった、こんな物語序盤で主人公が人間のまま借金返済ルートとか笑えないぞ

 

そうこうしている内にイッセーも起き上がり体に異常が無い事をアピールしている

 

リアス先輩が微笑ましそうにイッセーを見た後、此方に目線を向けた

 

「イッキ、有難う。あなたのお陰よ」

 

「おうそうだな。ありがとよ!イッキ!」

 

「いえ、多分アレならリアス先輩でも直ぐに原因は分かったと思いますよ?むしろ出しゃばってしまったかもしれません」

 

「そんな事は無いわ、助けようという意思が重要だし、必要無かったなんて結果論よ」

 

結果論・・・まぁ確かにそうなのかな?

 

「ねぇ、もし良かったらイッキも私の下僕にならないかしら?今回の件といい、仙術使いのあなたの力は是非とも欲しい所だわ・・・」

 

勧誘か・・・まぁそう来る可能性は高いと思ってたし、グレモリー眷属かもしくはシトリー眷属になるというのは何度も考えた事はある―――転生したてなら『はい!』と答えていたと思うが今は事情が異なる

 

「すみませんが、遠慮させていただきます」

 

「そう・・・理由を聞いてもいいかしら?」

 

「はい、詳しく言う事はできないのですが今俺はとある案件を抱えてまして、その問題に取り組むには人間である方が何かと都合がいいからです―――他にも理由はありますが、一番の理由はそれですね」

 

「・・・悪魔ではダメなのかしら?」

 

「ダメとまでは言いませんが、少しでも勝算は上げておきたいので・・・」

 

そういうと少し残念そうにしながらも引いてくれた

 

「そういう事なら仕方ないわね。明確な目標を持ってる人の邪魔になるような真似は本意じゃないもの―――でも、その問題が解決した時、その気があるなら声をかけてね」

 

「予約ですか?そこまで評価していただけるのは嬉しいですね」

 

「その時までに私の眷属の枠が埋まっていなければね」

 

そう言ってウィンクする―――現実にウィンクがサマになる人って初めて見た・・・悪魔だったか

 

「さて!今日の所はこれ位にして解散しようと思うけどイッセーはコレを書いて明日の放課後持ってきなさい」

 

そう言ってイッセーに一枚の紙を渡す

 

「これは、入部届?」

 

「その通り、私が悪魔の活動の拠点としているこのオカルト研究部に入って貰うわ。眷属になった以上コレは強制よ―――それで、イッキはどうする?折角知り合ったんだし、オカルト研究部の表の活動を一緒にやってみない?」

 

「オカルト研究って何をやってるんですか?」

 

何だったっけ?

 

「基本的には未確認生命体やUFOなどを調査してその調査報告を展示したりしているの、河童にインタビューしたり、ネッシーを探しにネス湖に直接赴いたりといった感じね。暇なときはお茶やお菓子を楽しんでるわ」

 

「入ります!」

 

迷う必要などない!

 

「なら、あなたもコレを書いてイッセーと一緒に明日持ってきなさい」

 

そして俺も入部届を受け取りその日は解散となった。




そんなこんなで悪魔にはなりませんでした。寿命の問題は追々に・・・
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