『白音モード』はまた別に出せたらと思ってます。
はぐれ悪魔を倒した次の日の早朝、家の近くの公園で日課のランニング及び各種体操を行っていると見知った気配が二つ近づいて来た
「イッセー、次はこの公園で柔軟や腕立てなどをやって貰うわ。一通り熟したら貴方の家までまたランニングで戻るわよ」
「は・・・はぃ~!」
やはりこの二人だったか。早朝特訓で使ってた公園って此処だったんだな
「アレ!?イッキ!お前も特訓してたのか!?」
「あら、おはようイッキ、貴方もこの時間に特訓を?」
此方に気づいた二人が声をかけてくる
「はい、今までは基本放課後に特訓してたんですがオカ研に入ってからは朝にやるようになりました。・・・部室で運動を始める訳にもいきませんしね」
今まで朝は柔軟や瞑想と言った比較的負荷の低い物を中心にしてたけどそうも言ってられなくなったしな
そう説明するとリアス部長が特訓のお誘いを掛けてきた
「そうだったの。折角だし一緒にやりましょうか」
「はい!」
やはり一人でやるより気心の知れた相手と一緒の方が楽しいもんだしね
「イッキ・・・お前本当に人間か?何で悪魔になった俺よりも体力あるんだよ・・・」
一緒に運動してから暫く、イッセーが信じられないものを見るように見てくる
悪魔になって基礎能力は飛躍的に向上してるはずなのに負ければそうも思うか
「一応こっちは小学生に上がる前から運動は続けてたんだよ。悪魔になったと言っても、本格的に運動をし始めて数十分の奴に負けてられるかってんだ」
いくら基本性能が上の悪魔と言ってもアッサリ追い抜かれたら泣きたくなるわ!こちとら十年以上は運動してるんだからな!
「うへぇ、お前そんなに運動してたのかよ!?つーか放課後の付き合いがイマイチ悪かったのって特訓してたからなんだな・・・」
「・・・悪かったな、付き合いが悪くて」
「いや!非難してる訳じゃねぇよ」
「イッセー!負けてられないわね!これは予定よりも厳しくいく必要があるわね!」
おお!リアス部長が燃えている!
「か・・・勘弁してください・・・」
そしてイッセーは項垂れた・・・まぁ頑張れ!
[イッセー side]
あ゛あ゛~、ここ数日の朝の特訓が滅茶苦茶きつい!何だよ全力ダッシュ&ジョギングの組み合わせって?何でもHIIT(高強度インターバルトレーニング)とか言うらしいけど、イッキの訓練メニューを聞いた部長が早速取り入れて公園までの行き帰りはそれで行う事になった・・・死ぬわ!正直舐めてたわあのキツさ!
というかアレを毎日20kmと他の運動もやってるというイッキは絶対に同じ人類じゃねぇ・・・今の俺は悪魔だったか
・・・アーシアの件については堕天使たちの独断で動いてる線が濃厚らしく、あと少しでハッキリしそうなんだとか
そうと確定したらリアス部長の管理する駒王町で勝手をやってる堕天使を問題なく倒す事ができるらしい・・・アーシア、その時が来たら絶対に助けるからな!
悪魔の仕事に関しては進展は無しで今だ契約の一つも取れていない。昨日も自分を『ミルたん』と名乗る世紀末覇者とミルキーとやらのアニメを一緒に見て終わってしまった
そして今日、もう日は沈んで人間のイッキは既に帰宅しているが悪魔の活動としてどうやら小猫ちゃんにまた依頼が重複して入ってしまったらしく、片方を俺が受け持つ事になった。今日こそは部長の期待に応えて見せるぜ!
予約された時間となり、魔法陣で転移したが
「こんちは~!グレモリー眷属の悪魔のモノですけど~」
しばらく待っても返事が無い・・・どうしようと思いながらも玄関の戸に手を掛けると
”ガチャッ”
「うわ!扉開いてんじゃん!不用心だな・・・」
このまま帰る訳にもいかないと「お邪魔しますよ~?」と声を掛けつつ家の中に入る
基本的にどの部屋にも照明が灯っていないようだが廊下の奥の部屋から蝋燭の灯りが漏れているのが分かる
「まったく、雰囲気作っちゃって・・・」
苦笑しながらもその部屋に入り「ちわ~っす。グレモリー眷属の悪魔ですけど~」と、中に入った瞬間足元にあった何かヌルッとした液体を踏んでしまった
「うわ!何だコレ!?」
暗くても悪魔と為った今の俺には床に落ちていたモノが昼間のようによく見える
赤い液体のようでかなりの量が床に広がっている。そしてその元を辿っていくとそこには全身をズタズタに切り裂かれた男の人が壁に此方に背を向けながら十字架のように打ち付けられていた
よく見れば背中には刻まれた傷で何か文字が書いてあるようだ
「う゛ぶっ!」
あまりの凄惨さに直ぐに耐えられなくなって吐き出しそうになるのを何とか堪える。夕飯喰ってたら絶対に吐いてたな・・・
「な・・・なんだよコレは!?」
戦慄していると後ろから陽気な声が聞こえてきた
「『悪い子にはお仕置きよ』って聖なるお方のお言葉を借りてみました~!」
ソファーに座っていた白い髪の男がそう言いながら此方を向きつつ立ち上がる。そしてそのまま他人を小馬鹿にしたような態度で話しかけてきた。
「んん~?これはこれは、あ~くま君ではあ~りませんか~。俺の名はフリード・セルゼン、とある悪魔祓いの組織に所属する末端で~ございます!」
悪魔祓い?確かによく見れば着ている服は神父服のようだ―――だけど
「お前がコレをやったのか?悪魔だってこんな事やらねぇぞ!」
激しく問い詰めるがこのフリードとか云う神父は意にも介した様子がない
「いやだってソイツ、悪魔を呼び出す常習犯だったみたいですし?エンドですよ!エンド!だから殺して上げたんです~!」
ダメだ・・・此奴とは出会ったばかりだが、絶対に此奴とは相いれない!
「そして君も悪魔みたいですし~!今からこの素敵な剣をお前のハートにおっ立てて、このイカす銃でそのドタマをぶち抜いて必殺☆必中フォーリンラブ!しちゃいます~!」
ヤバい!コイツが武器を取り出した事もそうだけどコイツのイカれた思考回路に俺の中の危機感が最大限の警報を鳴らした
「
『Boost!!』
「おお!?何々?やっちゃう?抵抗しちゃう?いいね~!その方が俺も気分が乗りますからな~」
そのまま「ひゃっほぉう!」と奇声を上げながら光の剣で切りつけてきたので辛くも避ける
「バッキューン!」
回避先を読まれたのか奴の銃で足を撃ち抜かれた!何だコレ!?内側から焼けるような痛みがするし、その痛みがどんどん全身に広がってくる!
「エクソシスト謹製!
剣だけでなくあの銃も光の武器なのか!光は悪魔にとって忌避すべき猛毒だって部長が言ってたけどここまでだなんて!?
『Boost!!』
・・・アレ?打たれた足は痛いけど焼けるような痛みは幾分かましになった?
『当然だ。悪魔にとって光は猛毒だが、悪魔としての力が高ければ高いほど抵抗力も高まるのも道理。だが光は中和できても撃たれた傷は治らん。さっさと逃げるか、戦うならば時間を稼いで相棒の力を高める事に専念した方がいい』
疑問に感じていると左腕に宿ったドライグが俺にだけ聞こえる脳内に響く声で説明してくれた
成程ね。でもこのイカレ神父は到底俺を逃がしてくれそうにない
「だったら、戦うしかねぇだろ!」
『Boost!!』
よし!さっきよりも痛みが引いた。このまま・・・そう思った時、
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「あん?」
「えっ!?」
何処か聞き覚えのある声が部屋に響き渡った
俺もフリードも思わずそっちに目を向けると惨殺死体となった男の人を信じられない様子で凝視しているアーシアがここに居た―――何で彼女がこんな所に!!
「おんやぁ~?助手のアーシアちゃん。もう結界は張り終えたのかな~?」
助手だって!?アーシアは本当に堕天使の一味だったのか!?でも何で彼女が!?
「フ・・・フリード神父・・・これは一体・・・?」
「おやおや。アーシアちゃんはこの手の死体を見るのは初めてでしたかな~?悪魔に魅入られたダメ人間を罰して上げるのが俺たちのお仕事なんですよ☆」
「そ・・・そんな・・・!」
悲痛な声を上げた所でアーシアの瞳が俺を捉え、その瞳が見開かれる
「イ・・・イッセーさん・・・?」
「アーシア・・・」
信じられないものを見るように此方を見ているアーシア・・・俺もこんな形で再会したくは無かったよ・・・
「おっほ~!もしかして君たち知り合い!?悪魔とシスターの禁断の恋ってやつですか~!?やめてよ、そんな鳥肌オッ立つような事!君の事は傷つけないようにって堕天使の姉さんに言われてるけど、思わずぶっ殺したくなっちゃうからさ!」
「悪魔?・・・イッセーさんが?」
「イエス!YES!な~んだ気付いて無かったのか。そのと~り!そこの彼はクソ以下のクソ蟲!あ~くま君ですよ!」
楽しそうに笑いながらフリードは続ける
「残念ながら我々人間と悪魔は相容れません☆それに俺たち、堕天使の庇護を受けなきゃ生きていけない半端者じゃ~あ~りませんか~」
フリードは兎も角、アーシアが?
「ん~さてさて☆そろそろこの悪魔くんを解体する作業に戻るとしますかねぇ?」
フリードが再び此方に向かって光の剣を構えてくる。今の話の間に何度か倍化したから光のダメージは殆ど無い。撃たれた足はまだガクガク言ってるが今なら多分撃たれても目とかに当たらない限りは大丈夫だろう
そして俺もフリードに向かって拳を構えようとしたらアーシアが俺を庇う形で両手を広げて立ちふさがった
「マジですか。アーシアちゃん、自分が今何してるのか分かってるの?」
「おやめください。フリード神父!悪魔にだって良い人はいます!悪魔という理由だけで殺そうとするなんて間違っています!」
「はぁっ!?いねぇよバ~カ!悪魔にいい奴なんてよ!あいつらは殺しても殺しても湧いて出てくる蛆虫みてぇなクソなんだよ!さっさとそこを退きやがれ!!」
「退きません!何度だって言います!悪魔にだっていい人はいます!」
アーシアが強い口調で言うと途端にフリードの顔から表情が抜け落ちた
「・・・あっそ、傷つけんなって言われてたけどもう我慢できねぇ、死ななきゃいいだろ・・・」
そう言ってフリードは手にした光の剣でアーシアを切りつける
”ガキンッ!!”
「テメェ!今何しようとしやがった?」
アーシアの後ろから彼女を右腕で抱き寄せつつ、左手の籠手で光の剣を受け止めてフリードに問いかける
だいぶ力が溜まっていたから今の一撃にも反応する事ができた。ドライグ様様だな
今すぐにでも此奴の面をぶん殴ってやりたい所だが今はアーシアの安全が最優先だ
アーシアを抱えて距離を取り、彼女を後ろに庇う・・・再びにらみ合う形になった所で部屋の一角に魔法陣が展開され、そこから木場が剣を手に現れた
「イッセー君、助けに来たよ」
「木場!」
「あらあら、大変な状況ですわね」
「エクソシスト・・・」
朱乃さんと小猫ちゃんも続けて出て来て最後に部長も転移してきた
「御免なさいねイッセー、まさか依頼主の所にはぐれエクソシストが居るなんて・・・それで?その子が例のアーシアという子で合ってるのかしら?」
「部長・・・はい、この子がアーシアです・・・」
俺がそう答えるとフリードが話に割って入ってきた
「ひょぉう!悪魔の団体ご到着!なになに?もしかしてお宅らうちのアーシアちゃんを誑かそうって言うの?ノンノン☆そんな事許しませんの事よ」
フリードが全体を見渡せる位置に移動しながら言葉を続ける
コイツは終始ふざけた感じだが戦闘においてはかなり場慣れしてるみたいだな
「ほら、アーシアちゃんもそんなクソ蟲からさっさと離れてこっちにきなちゃい☆教会から追放されて、今度は堕天使を裏切って悪魔に着こうって言うの?君がそんなに尻の軽い女だったなんてね~お兄さんショック!!」
この数に囲まれながらもフザケた調子は崩さない。しかし、
「教会から追放?」
つい聞き返してしまった
こんなに優しい子が追放された?彼女が何か悪い事をするとは微塵も思えない。そうして疑問に思ったのが伝ったのかフリードが一層楽しそうに笑みを歪めた
「おお!聞いちゃう?いいよいいよ話してあげるよ☆俺様も最初に聞いた時は笑いが止まらなかったからね~!!」
そうしてフリードは語り始めた
幼いころに癒しの力に目覚め、多くの人を癒し、救い、聖女として崇められた少女がいた事
ある時傷ついた悪魔を敵であるにも拘わらず癒し、それが切っ掛けで掌を返したように教会の者から異端として追放された事
「クククククっ!神様って無責任だと思わない?『汝、汝の敵を愛せよ』、な~んて言葉もある割には彼女を教会から追放して知らん顔決め込むんだからさ~」
そう言ってまたフリードは笑い始める・・・なんだソレは・・・?そんな事があっていいのか?アーシアの方を振り向くと彼女も俯いてしまっている
他の部員の皆も不機嫌そうな顔を隠してない
「さてさてさ~て!キミ、イッセー君とか言ったっけ?さっきはなかなか良い表情を見せてくれたねぇ。それだけでもご飯3杯はイケちゃう☆でもって!メインディッシュにキミの悲鳴を聞かせてちょ~だい☆」
どっちが悪魔か分からない邪悪で下品な笑みを浮かべたフリードが斬り掛かって来たのを見てアーシアの過去とフリードの態度に俺の怒りが爆発する
「ふっざけんなよ!このクソ野郎!」
『Explosion!!』
ドライグの新しい掛け声と共に全身に力が満ちる
今まで何処か不安定だった力が一気に安定した―――これならイケる!
フリードが剣を振りぬくよりも速く、俺の拳が奴の顔面を捉えて吹き飛ばす
遠くの家具に突っ込んで埋もれたようだが、うめき声は聞こえるから死んじゃいないだろう・・・一瞬身を引いたようにも感じたし
「っぐ!」
フリードを倒して気が抜けたからか撃たれた足の痛みが一気にぶり返してきた
「イッセーさん!足を怪我されてるんですか!?」
アーシアが俺の足の怪我に気が付いて、手から癒しのオーラを発し、足に当ててくる・・・凄いな、貫通していたはずだけど数秒で治ってしまった
『ああ、これほどの回復力は裏の世界でも中々お目にかかれないぞ』
ドライグが驚くほどの回復力って事か
「有難う。アーシア、もう大丈夫だ。」
「はい、イッセーさんが無事で良かったですぅ」
そう言って笑顔を向けてくれる・・・畜生!神様とやらは何でこの子を助けてあげないんだよ!
内心憤ってると小猫ちゃんが不意に顔を上げ「堕天使の気配が近づいてます」と言った
ここに来て増援か!
「仕方ないわね。皆、一度戻るわよ」
床に魔法陣を展開した部長がそう言った
「まって下さい、部長!それならアーシアも一緒に!」
「残念だけどそれは無理よ。この魔法陣は私の眷属しか転移出来ないの―――それに経緯はどうあれその子は今は堕天使の組織の一員よ。重要そうな位置にいる彼女を堕天使たちもあんまり無体な扱いはしないでしょう」
「でも!そこのフリードとか言う神父はアーシアを切りつけようとしたんですよ!」
部長に抗議していると後ろから魔法陣の方に押し出されてしまった。慌てて振り向くとアーシアが俺を心配させまいとしているのだろう―――少し無理した笑顔で「大丈夫です」と言ってきた
「フリード神父も仰ってました。堕天使の方たちに『私を傷つけるな』と言われていると・・・」
「だから大丈夫です」と彼女は言ったが、そんなの!
「アーシアァァァァァ!!」
床の魔法陣の輝きが一層強くなり、咄嗟にアーシアの元に駆け寄ろうとしたが、一瞬転移の方が早く彼女の涙を浮かべた笑顔を最後に部室へと転移してしまった
「今すぐ、アーシアを助けに行かせてください!」
部室に転移した後、必死に部長に頼み込むが逆に怒られてしまう
「ダメよ!前にも言ったでしょう?下手をしたら戦争にだって繋がり兼ねないのよ!どうして分かってくれないの!?」
そうだ。本当は頭の中では分かっている―――今言ってるのは後先の事を考えてない我が儘だって事ぐらいは・・・
それに、部長が俺の事を本気で心配してくれているのが伝わってくる―――この人にこれ以上迷惑を掛ける訳にはいかないだろう
『すみません、部長』そう心の中で謝りながら「なら、俺を眷属から外してください。俺一人でも、助けに行きます!」そう宣言する
「あなたは!・・・」
部長が激昂しかけた時、部室の扉が開いてイッキが入ってきた
おいおい、何で学校に居るんだよ?今は夜8時回ってるし、お前は家に帰ったはずだろう?これには部長も虚を突かれたみたいで「イッキ!?何故あなたが此処に?」と問い詰める
「イッセーが
そうだったのか・・・そう言えば小猫ちゃんも堕天使の気配にいち早く気づいていたし仙術ってすごいんだな
そう思っていると部室の奥から朱乃さんが歩いてきた
「あらあら皆さん、堕天使の件ですがちょうど今、裏が取れましたよ」
「そう、それで?どうだったのかしら?」
「黒ですわね。あの堕天使たちはこの地で独断で何やら企んでいるみたいですわ」
「分かったわ。そう言う事なら、遠慮なく潰せると言う訳ね」
「部長!」
「イッセー、私も彼女の話を聞いて内心穏やかと言う訳でも無かったのよ?さぁ皆!一緒に行きましょうか!目指すは教会!好き勝手やっている不逞の輩を退治しにいくわよ!!」
「「「「「はい!」」」」」
待ってろよ!アーシア!直ぐに助けに行くからな!
[イッセー side out]