レイナーレ達を倒してから十日ほど経った
その間にアーシアさんがイッセーの家にホームステイしたり駒王学園に転入してきたり、イッセーと一緒にチラシ配りをしたりしていたある日の放課後
「チラシ配りは卒業・・・ですか?」
「ええ、イッセーにも言ったけどチラシ配りは本来使い魔の仕事なの。他にも調査や追跡などにも有用よ、そこで新人の二人にはそろそろ使い魔を手に入れて貰おうと思ってね」
そういえば原作のイッセーはここでは使い魔を手に入れられなかったみたいだけどチラシ配りはどうしてたんだろうか?やっぱり部長たちの使い魔が代行してたのかな?
「使い魔と言っても・・・具体的にどんな奴が居るんですか?」
イッセーの質問に対し、皆がそれぞれの使い魔を紹介する
「コレが私の使い魔よ」
リアス部長の使い魔はクレーンゲームで手に入りそうなデフォルメされた蝙蝠だった
「あらあら、私のはこの子ですわ」
緑色の小鬼が床の魔法陣に召喚された
「・・・シロです」
小猫ちゃんも何時の間にか白い子猫を抱いている
「僕のは・・・」
祐斗が紹介しようとした所でイッセーが「ああ、お前のはいいから」と紹介を断ったが祐斗も「つれないな」と苦笑しつつ肩に小鳥を止まらせていた
これで全部だと思っていると学生服の内側に吊るしてあった竹筒が"カタカタ"と暴れ出す・・・お前も紹介して欲しい訳ね
竹筒の蓋を開けると中から細長く黄色い影が飛び出し首の辺りに巻き付く
「管狐のイヅナだ」
「イッキまで使い魔が居るのかよ!?」
「イッセー、裏の世界の住人は大抵使い魔を持っているものなのよ」
「あのー、それで使い魔さん達というのは何処で手に入れれば良いのでしょうか?」
アーシアさんの疑問にリアス部長が「ああ、それはね」と続けようとした時、扉がノックされた
朱乃先輩が返事をし、部室の扉が開かれ生徒会長及びその役員が入室してきた
「失礼します」
先頭に会長の支取蒼那先輩が、それに続いて女子6名と男子1名が入室する
「生徒会メンバーお揃いで、どうしたの?」
「お互いに下僕も増えた事ですし、一度挨拶をと思いましてね」
「え!?下僕って事はまさか!?」
部長と会長の会話にイッセーも察したのか驚いているのに対し、朱乃先輩から説明が入る
「このお方は上級悪魔、シトリー家の次期当主であらせられるソーナ・シトリー様ですわ。生徒会の方々は皆、ソーナ会長の眷属ですのよ」
「この学園に他に悪魔が!?まさかそれ以外にも!?」
「いいや、イッセー、この学園に通う悪魔はこの場に居るので全てだぞ」
本当はギャスパーも居るんだろうけど、かなりキツイ封印を施された部屋に居るからか気配が分からんのだよな・・・一度試しに「ガッチリと封印されているあの部屋って何ですか?」とリアス部長に聞いてみた事もあったけどはぐらかされちゃったし・・・
「・・・リアス、彼が前に言っていた?」
「ええ、下僕では無いけれど裏の事情を知っていてオカルト研究部に入った有間一輝よ。そしてこの二人が私の新しい眷属『兵士』の兵藤一誠と『僧侶』のアーシア・アルジェントよ」
「新しく私の『兵士』となった二年の
ソーナ会長に紹介されたサジが前に出てくる
「初めまして。この度、ソーナ・シトリー様の『兵士』となりました2年の
「おお!同級生でしかも同じ『兵士』か!俺は兵藤一誠だ。よろしくな!」
イッセーが嬉しそうに自己紹介をするがサジはあからさまに溜息を吐く
「俺としては変態三人組の一人のお前と同じなんてのは酷くプライドが傷つくんだけどな」
「何~!?折角、人が友好的に挨拶してんのに随分とけんか腰だなぁ!」
「おっ!闘るか?俺は駒4つ消費の『兵士』だぜ。同じ新人同士だってんなら俺が負ける道理はねぇよ!」
「はっ!それを言うなら俺は駒8つの『兵士』だぜ!」
「はぁ!?駒8つ!?嘘つくんじゃねぇよ!お前のような変態がよ!」
「変態は関係無いだろうが!!」
二人の口喧嘩にソーナ会長が待ったを掛ける
「サジ、お止めなさい。今日は挨拶に来たと言ったはずですよ。兵藤君も御免なさいね、宜しければこれから仲良くしてやってください」
美人の会長に少し困ったように笑いかけられながらそう言われたイッセーも「い・・・いえ、自分もつい反発してしまいましたし・・・」と一気に勢いを無くす
「あの私、アーシア・アルジェントと言います。宜しくお願いします!」
次にアーシアさんが差し出した手をサジは両手で掴み「勿論だよ!此方こそ宜しくね!アーシアさん!」とニヤケ面で返事をする
「有間一輝だ。宜しく」
俺が手を差し出したからサジもアーシアさんの手を名残惜しそうに手放しながらも「ああ、宜しくな」と普通に握手してくれた・・・目の奥では『手を出すのが20秒早ぇえよ。もっと
だが!俺はキミに会いたかったのだよ!サジ君!
「じゃあサジ、早速だが生徒会の男子メンバーのキミに頼みがある」
「頼み?」
いきなりだからかキョトンとしてるな・・・
「校内の風紀を乱す変態三人組を何とかしてくれ!今までは生徒会は女子しか居なかったから頼みづらかったけど男子が居るというなら是非もない!・・・という訳で頑張ってくれ!」
「はぁ!?何で俺がそんな事を!」
「ほら、お前生徒会じゃん。それに変態共の覗き行為などを追っかけまわすのって時々無性に虚しくなるんだよ・・・」
何処か遠くを見つめながらそう言う
「それにほら・・・あれだ。イッセーは悪魔だし?か弱い人間の俺が頑張るより同じ悪魔のサジの方がいいかなって!」
「何がか弱いだ!悪魔になった俺を変わらずにぶっ飛ばしてるお前が言うな!!」
いいんだよ!あの曹操ですら言ってたんだから、人間は弱っちいんだって!
「有間君、申し訳ありませんがサジを出向かせる訳にはいきません。」
まさかの生徒会長からのストップが掛かった!?
「生徒会でも例の三人組の事は時々議題には上がっていました。ですが、軽業師とも言える動きで何時どこで行われるか分からない覗き行為を止められる人材が今の生徒会に居ないのです。初めは貴方を生徒会に迎えるという意見もありましたが、生徒会の仕事をしつつ彼らを抑えるのは不可能であるとの結論が出まして・・・」
マジですか!シトリー眷属からのオファーが掛かる所だったの!?と言うか殆ど未遂とは言え『殆ど』だからか生徒会の議題にも上がってたんですね!
「サジィィィ!!今から仙術を極めてみる気はないか!?俺がお前を魔改造してやるぞ!」
「魔改造と言われて誰がやるか!!」
なんだよ。グリゴリ怪人よりはマシだと思うんだけどな・・・
「そういう訳なので女子生徒の平穏の為にも今しばらく頑張って頂けませんか?」
畜生!丸投げされた!
「・・・おい、イッセー、当事者としての意見は無いのか?」
「愚問だな。俺が!否!俺たちが!覗きをやめる事などない!!」
お前、生徒会長の目の前でよく胸を張れるな・・・
「イ・・・イッセーさんが女の子の着替えを見たいなら私が脱ぎますぅぅぅぅ」
「なぁにぃ!!イッセー貴様、金髪美少女にそんな事を要求してるのか!?どれだけエロで鬼畜なんだ貴様はぁぁぁ!」
かなり混沌としてきたな
「そっちも大変ね。ソーナ」
「ええ、そちらも、リアス」
イッセーとサジはその後それぞれの主にシバかれて一旦沈黙
生徒会メンバーとの顔合わせは無事?に終了した
▽
生徒会メンバーと別れてから程無く俺たちは何処かの森の中に転移してきた
「ここは使い魔の森と言われている場所よ。使い魔にするのに適した生物が多く生息しているの」
ここが使い魔の森・・・新人悪魔は一度正式ルートで登録しなければ基本的に冥界に行けないって事はここは人間界の何処かなんだろうか?・・・特別保護区域的な?
疑問に思っていると頭上から声を掛けられた
「ゲットだぜぃ!」
「っひぅぅぅ!」
「誰だ!!」
イッセーは辺りを見渡し、アーシアさんはイッセーの後ろに隠れてしまった
「俺様はマダラタウンのザトゥージ。使い魔マスターに俺はなるんだぜぃ!」
木の枝に立っている使い魔マスターその人!・・・どう見てもそこいらに居るラフな格好のオッサンである。俺がもしポ〇モンファンだったら物申してたんだろうか?
「ザトゥージさん、お久し振りです。今日は事前に連絡した通り、新しく眷属にした此方の二人の使い魔を見繕うのを手伝っていただきたいのです」
イッセーとアーシアさんの肩に部長が手を置く
「あの・・・此方の方は誰なんですか?」
「うふふ。彼はザトゥージさんと言いまして、使い魔に関するプロフェッショナルなのですわ」
「今日は彼の意見を参考にしつつ、二人に合った使い魔を手に入れようという訳」
イッセーの質問に先輩二人が答える
「さ~て!お二人はどんな使い魔をご所望なんだぜぃ?強いの?速いの?それとも毒持ちとか?」
「はい!可愛くってエッチな事も許容してくれる子がいいです!」
欲望だだ漏れだな。此奴のそういう願望を素直に吐露できるのは凄いと思うよ・・・見習いたくは無いけど
「これだから素人はダメなんだぜぃ。使い魔は主人の足りない所を補えるのが理想、外見なんて二の次なんだぜぃ!」
ザトゥージさんは呆れたように言うがアーシアさんが「私も可愛い使い魔がいいです」と言うとコロッと意見を変えた・・・それで良いのか使い魔マスター
最初の転移先から少し歩いた先にある湖でザトゥージさんが立ち止まる。
「この湖にはウンディーネという水の精霊が住み着いてるんだぜぃ」
「おお!ウンディーネ!」
イッセーが瞳を輝かせているが恐らくこの後現れるのは・・・
そして直ぐに湖が光だし、筋肉の鎧を纏ったウンディーネが現れた
「良かったな少年!アレはレア度が高い!打撃に秀でたウンディーネも悪くないんだぜぃ」
「悪いよ!どう見ても水浴びに来た格闘家じゃねぇか!!」
可愛く儚げな乙女を想像していたであろうイッセーが涙ながらに訴える
俺もあんなウンディーネは見たく無かったが他にも気になる事がある
「あの・・・ザトゥージさん。ザトゥージさんはあのウンディーネを可愛いと思ったんですか?」
「・・・?。当然だぜぃ?使い魔マスターを目指す俺っちは全ての使い魔が可愛いんだぜぃ!」
「・・・そうですか」
素晴らしい博愛精神だけどアレか?ポケ〇ンならゴー〇キーやルージュ〇とかを可愛がるみたいな感じか?
結局ウンディーネを使い魔にするのは諦めて一行は森の奥に進む
「待った。上を見てみるんだぜぃ」
皆で上を見ると枝の上に蒼いぬいぐるみのようなドラゴンがいた
「アレは
「うわぁ!可愛らしいですぅ!」
「ドラゴンか!俺もドラゴンな訳だしあいつを使い魔にしてやるぜ!」
イッセーが意気込んで前に出た所で後ろの女性陣から悲鳴が聞こえた
「何だ!?」
『Boost!!』
おお!イッセーが素早く臨戦態勢に入っている。やっぱり実戦を経ると成長するもんだな
しかしコレは!?頭上から緑色のスライムが落ちてきて皆の服を溶かし出した。
俺や小猫ちゃんの仙術の探知にも引っ掛からなかったのは何故だと思い、目の前のスライムをよくよく観察してみると、どうやら生物と言うよりも半ば自然そのものみたいな感じだ
「ぐはっ!」
「ぐえっ!」
俺とイッセーが二人そろって小猫ちゃんの拳で殴り飛ばされた!
「スケベ死すべし」
違うんだって小猫ちゃん!俺はあくまでスライムの分析をしてただけでその際、偶々視界に肌色成分が多く映っただけなんだって!・・・だから俺は悪くない!悪いのはイッセーという事でお願いします!
「此奴は女性の衣服を主食とするスライムなんだぜぃ。大抵は女性の体液を狙う触手と一緒に行動するんだが今回はこいつ等だけみたいだぜぃ」
ザトゥージさんはそう説明しながらもスライムが目に張り付いてて視界が塞がっているようだ・・・鼻血が垂れてるから多分見たんだとは思うが
祐斗も同じく視界が塞がってるらしく、少し離れた場所で適当に剣を振り回している・・・危ないなコイツ!
そうこうしている内にリアス部長たちがスライムの拘束を解き、朱乃先輩の雷撃が広範囲のスライムを焼いて炭にする
「待ってください朱乃さん!部長!俺、このスライムを使い魔にします!俺と此奴が・・・スラ太郎と出会ったのは、もはや運命なんです!」
「イッセー、もっと良い使い魔を見つける事にしなさい・・・朱乃!」
「はい部長!」
イッセーの懇願虚しく朱乃先輩が残るスライムに雷撃を浴びせようとする
「ダメだ、スラ太郎!俺は・・・俺はお前を失いたくないんだぁぁぁぁぁ!!」
『Doragon Booster Second Revelation!!』
イッセーの力が跳ねあがり
驚いて一瞬動きが止まった朱乃先輩が雷撃を放つよりも早くイッセーが吼える
「
『Transfer!!』
緑色の光がスライムを包み込み、直後にその場に雷撃が放たれるが、スライムは健在だった
「はっはぁぁぁ!やったぜ!俺の高めた力を雷の耐性に変換してスラ太郎に送り込んだ!もう朱乃さんの雷は効きませんよ!!」
“バシュン!!”
・・・あ、リアス部長の消滅の魔力で残りが消え去った
「スラ太郎ぉぉぉぉぉぉ!!」
イッセーの慟哭が森に響き渡る
『こんなマヌケなレベルアップをした宿主は初めてだ・・・』
ドライグの呆れた声も聞こえてくる
因みに
結局イッセーはスラ太郎との涙の別れのショックから立ち直れず、その日は使い魔ゲットには至らなかった
「畜生!いつか皆をアッ!と驚かす凄い使い魔をゲットしてやるからな!」
「・・・どんな奴だ?」
「エロいのだ!!」
また消し飛ばされるのがオチだと思うんだけどな・・・
やっとライザー編です