最初に思ったことは目が痛いということだ。目を細めても少しの光がまるでスポットライトを覗き込むような感じがした
次に思ったのは赤ん坊の泣き声がどこか遠くから聞こえる気がするということ
すぐに自分が泣いているのだと気づいた
よかった、前世の記憶の影響で生まれたときに無表情で親に心配されるというような事はなかったようだ
感情に左右されずにこの赤ちゃんボディは勝手に泣いてくれるみたいだ
そして少しすると毛布で包まれて母親らしき人に抱かれる。まだよく目が見えないので至近距離でも顔がぼやけているが笑っていることは分かる
そして次には男の人に抱かれた。この人が父親なのだろう、こちらも笑ってくれているようだ
色々と話しかけてくれているようだがまだ耳も上手く機能していないのと、そもそも自分の泣き声がうるさくてよく聞き取れないまま眠くなり、そのまま眠ることとなった
どうやらこの世界での自分の名前は『有間一輝≪ありまいっき≫』と言うらしい
名前は親が何度もイッキと呼んでくれたし、抱っこ紐で外に出かけたときなんかはご近所さんが親のことを有間さんと呼んでいるので苗字も判明した
ちなみに漢字については玄関先で話しているときに表札に書いてあったのでそこから判明した
【一刀修羅】の使い手である黒鉄一輝から一輝、有間は・・・アンリ・マユから取られてるのか?
まぁキラキラネームという訳でもないし気にせずにいこう
兄弟姉妹は今のところ居ないようだ
オムツやハイスクールDxDの代名詞たるおっぱい(母親の)については語るのは控えよう・・・ただ一言、複雑だったとだけ
さて次に転生特典について確認したいのだがまず【じばく】は論外だ。赤ちゃんが突然爆発したなんていったら両親がショック死しかねない。というか大人ならともかく赤ん坊の身で瀕死になったらそのままあの世に舞い戻ることになる可能性大だ
次に【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】の確認だ。幸い原作で神器を発現させる方法については書かれていたし覚えてもいる
左手を掲げておろし、自分のもっとも強いもののイメージを作る!!
「あうんあ~(螺旋丸)!!」
異論は認める!確かに威力などではいろんな作品の中では弱いほうだろう!!
しかし、俺にとって中二病発症時代にイメージトレーニングを何よりも積んだのは螺旋丸だったのだから反論は認めない!!
単純な威力じゃない!当人にとってカッコいいかどうかだ!!
”カッ!!!”
一瞬光輝いてから俺の両手に歪な刃が握られていた
『右歯噛咬(ザリチェ)』と『左歯噛咬(タルウィ)』、Fateのアンリ・マユの持つ奇形の双剣である―――紅葉の葉のように見えなくもない・・・と思う
赤ん坊では持ち上げることもできないが能力については頭に、いや魂に?使い方が流れ込んできたので神器は消しておいた
あっ、もちろん検証は両親の目が少なからず離れたときにやってます
さて最後に【一刀修羅】だがこれは両親が寝た後にベビーベッドの毛布にくるまって試すしかないだろう
昼間にやったらぐったりしてるのがバレてしまうからな
という訳で夜。いよいよ【一刀修羅】を試そうと思います!いやー長かった。この赤ちゃんボディ速攻で夢の国に旅立ってしまうからこれで実は十数度目のチャレンジなのよ!
だがなんとか今日という日を迎え、両親は寝ている!いざ、【一刀修羅】!!
瞬間、すごい力が湧き上がってくるのを感じた。さすがに動き回ることはできない、というかやったらいけないが今ならベビーベッドの柵を一足飛びで飛び越えれそうだ
さらに全身の感覚も鋭敏化しているのが解る。時計の針も暗闇の中でもよく見えるし秒針がひとつ進むのがやたらと遅い!!主観だと10秒以上は経ってるだろう
眼を閉じて耳を澄ませば心臓の鼓動やさらには血流の音も聞こえてくる
ヤバいこれはすごい!恐れるものなどなにも無い!!もう、なにも怖くない!!!!
・・・ぷすんっ
・・・っあ?あれ?なんか体が・・だるくて・・意識が遠の・・・く・・
朝、まだ体がだるかった。赤ちゃんライフ万歳、これで学校とか仕事とか行きたくないわ
さて、あれからひと月ほどたって何度か夜の【一刀修羅】(比喩ではなく)を発動させた
理由?あの全能感が忘れられz・・・・ゲフンッゲフンッ!!
ではなくあの鋭敏化された感覚の中で瞑想でもすれば何か掴めそうな感じがしたからだ
そう!即ち仙術の習得である
仙術は世界の気と一体化して自他の生命エネルギーを操る術である
探知能力及び隠密能力に優れ、生命体が相手なら相手の気を乱して猛毒を流し込むに等しいダメージを与えることもできる
物理的な攻撃力に乏しいとされるが気を操り闘気を身に纏えば物理面も補える優れものだ
本来、仙術⇒闘気の順に覚えるのを筋肉に全てをささげた結果、闘気だけを習得したサイラオーグ・バアルのような例もあるが・・・
だがそれだけの利点に見合った欠点もある
世界に漂う邪気を取り込み暴走してしまう可能性があるのだ
おそらく相手が憎いとか、倒した相手を必要以上にいたぶりたいなどの感情が増幅されるのだろう
つまりは世界に満ちる気のうち邪気だけをより分けて操らないといけないのだ
落ち着いて瞑想でもしながらなら兎も角、戦闘中にそれをしなければならない上に目の前にあるより強くなれる手段に手を出さない精神力も必要となる
良い気と邪気、単純に考えても両方取り込めば出力2倍だしな・・・
少しだけなら大丈夫、あと少しだけ取り込もう。あと一回だけ取り込もう・・・と、なんか麻薬みたいだな
うん、上手い事仙術を覚えることができても一度だって邪気には手を出さないでおこう
前世でも一度でも手を出したら抑えが効かないだろうとタバコとかにも手は出さなかったしいけるだろう(楽観)
【一刀修羅】を発動し、明鏡止水の心を意識して呼吸と一緒に気を体の隅々まで取り込むイメージで深呼吸を続けていく
両親は一般人みたいだし、そもそもこの世界でも仙術の使い手は少ないようなので師を見つけることも難しいだろう
この修行のやり方で本当にあっているのか疑念はあるが、その疑念すらも払しょくできるように努力していこうと思う
あれからミルクと睡眠と瞑想を繰り返し早くも半年が過ぎた
その間の成果としてはおすわりとハイハイをマスターし、つかまり立ちはもう少しハイハイの練度を上げてから挑戦していこうと思っている。あと離乳食になりました
え?仙術はどうしたって?成果無しですよ悪いですか!?まだ半年でやり方も手探りなんだからそんなもんでしょう!
だが他にやることのない(できない)赤ちゃんライフ、このまま続けていくしかないんですよ
時は流れて1歳になり、ついに!ついに!!二本足で立つことができました!
え?仙術ですか?ふっふっふっ!
こちらもなんと気の流れを感じ取ることができるようになりました
まだ感じ取れるのはせいぜい半径3メートルくらいが限界だけど、慣れ親しんだ気である両親の気であれば家の中くらいであればどこにいるのか判るようになりました
いやー、こういうファンタジーな力を身に着けられるとテンション上がりますね♪とりあえずこの探知能力を中心に鍛えていきたいと思います
6歳になりました。なに?時間が経つのが早いって?
いや、お分かりいただけると思うが小さい子には基本親が付きそうもの。地味な修行しかできんのですよ
【じばく】は論外だし右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)みたいな禍々しい刃物を振り回す訳にもいかないし
というか将来的な話だけど右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)の扱い方とかどこで習えっていうんだよ?
普通に剣道習ってなんとかなるとも思えないし・・・ハァ、やっぱりほぼ独学になるのかな?
インターネットの動画でバトルナイフの扱い方あたりを参考にしていくしかないのか?
まぁ【じばく】と【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】に関しては今後の課題として仙術の方はと云えば気配察知に重点を置いて修行したから範囲も精度もかなり上がっている
半径で50メートル前後とハン〇ーハンターのカイトさん並みの範囲を探れるようになったし、昔はそこに誰かがいるのがわかる程度だったのもどういう動きをしているのかとか、気配の強弱なども感じ取れるようになった
そして、だからこそ気付いてしまったこともあるのだ・・・家の近くのアパートに覇王が住んでいることに・・・
最初にその気配を感じ取ったときは冷や汗が止まらなかった
いきなり体調を崩したと思った母親に病院に連れていかれたほどだ(あながち間違いではないが)
家に帰ってからもギリギリ探知の網に引っかかる距離にいる覇王の気配をじっくりと探ってみた
あれだな―――多分この覇王は富士山を5秒で更地にできると思う
ここ駒王町(ちゃんと駒王町でした)に住んでいるそれこそ小国を数分で滅ぼせそうな圧倒的なオーラの持ち主・・・
多分あの人なんだろうな。ハイスクールDxD屈指のバグキャラ、『ミル☆たん』さん!
孫悟空の末裔と魔王の血筋の白龍皇の背後を自然と取り、魔王少女様の魔法(魔力)をはねのける一般人もとい逸般人!
見てみたいような見てみたくないような・・・いや、ミルキーのアニメがすでに放送されているのは知ってたけど
しかしまだ二作目だったはず、この短期間ですでに魔法(物理)を習得していたとは驚きだ。
これ原作始まるまでにはもっと強くなってるんじゃね?勝手に魔王級かもう少し上だと思ってたけど現時点でこれってことは・・・ミルたん原作時には超越者クラスはあったんじゃ?もしかしたらそれ以上、全盛期の二天龍やクロウ・クルワッハと闘りあえたり?
・・・ミルたんならやってくれそうだな
しかし、会うとしてもどうする?
ミルたん(暫定)からしてみれば俺は出会ったこともない近所の子供だ
偶然を装っての接触しかないか?ミルたんは魔法の力を手に入れるために日々トレーニングを行っているのだろう
おそらくランニングなどで外に出る一定周期のタイミングがあるはず
その時間を仙術探知で把握して自分もランニングを始めるとか?そろそろ基礎体力をつける練習もしていきたいし、丁度いいのかもしれない
・・・・・・・・・あれっ?これ下手したらストーカー行為じゃね?
誰が?⇒俺が
誰に?⇒ミルたんに
「いやいや待て待て、大丈夫だちょっと一度挨拶を交わす程度のことだ!」
それにそのあとは時間をずらすなりランニングのルートを変更するなりしたらミルたんとエンカウントすることもないだろう!!
ミルたんヒロインルートなんて断じて認めねぇ!!!!
大丈夫、俺にもミルたんにもそっちのケは無いんだから
ちょっと原作キャラと出会うだけ、そうだ!アイドルに会いに行くようなもんだ!!(錯乱)
よし!そうと決まればいつもの仙術探知の修行にプラスして家にいる時間、出かける時間をメモっておこう!(ストーカー行為)
それから仙術探知の鍛錬をしつつ1週間ほどミルたん(暫定)の気配を追ってみたが、午前と午後の6時にランニングに行くようだ・・・多分
なぜ多分なのかって?アパートの前でストレッチをしたと思ったら次の瞬間には索敵範囲から居なくなっているからだ
いや、居なくなる瞬間自動車並みの速さで動いてるのは感じ取れるから多分アレがあの人のランニングなのだろう
もうね、この世界に来てから、もとい来る前から色々ツッコミを入れてきた気がするけれど段々疲れてきた・・・
時速60kmは軽く超えてたと思うから、ランニングはいつも30分ほどで帰ってくるけどあなたその間にフルマラソン走ってますよね?
そして両親にランニングしたいと説得。説得内容?「幼稚園の友達がやってるっていってたから」と「なんかカッコイイから」で押し通しました
いや子供が自分から運動をしたいというのを両親としては反対する理由も特に無かっただろうから要望はあっさり通ったけど
まぁ近くに在る大きめの公園兼グラウンドのトラックを走る事と、少なくとも初めのうちは親が付きそう事という条件は付いたがそれはしょうがないだろう
むしろその条件でよく許可が出たと思ったくらいだ
こちらで生まれてから自然と我が儘も特に言わないし、幼稚園でも主にケンカの仲裁をしたりしていたからか「一輝なら大丈夫だろう」ということになったようだ
いざランニング当日となったが今から覇王とエンカウントすると思うと変に緊張してきた
あっ、ちなみに今は午後5時で運動終わりにさりげなくミルたんの前を通過するつもりです
子供が午後6時を超えて外にいるのも変だし、体裁も悪いですし、あと母親も夕飯の仕込み等をしなければいけないですしね
というわけでやってきました駒王公園!駒王町の名を冠するだけあって立派です
グラウンドと遊具などがある公園が隣接した感じ?
家にいたときも柔軟くらいはしていたし、【一刀修羅】の深呼吸瞑想も続けていたからか基礎体力はともかく肺活量の強化と体中の筋肉やら血流やらを常に感じ取れるようにはなっている
感じ取れるということはコントロールもできるということ!
そのうち落第騎士原作でもあったように心臓すらも制御下におけるかも知れないな
実際に【一刀修羅】を用いなくても脳のリミッターを外していわゆる『火事場の底力』を意図して出せるようにはなっているし
・・・なんだか仙術のコントロールよりも変な方向で成果が上がってきている気がするのは気のせいだろうか?
「よし!走るか!」
ストレッチの後、いざランニング!
しかしランニングといっても折角なのでちゃんと体力が付くようにしていきたいと思う
なのでここでも某落第騎士さんを参考にしよう
彼は毎日20km全力疾走とジョギングの組み合わせで走ることがメニューのひとつであった
やったことがある人はご理解いただけるとは思うが滅茶苦茶キツいのだ。俺も前世の体育の授業で体験・・・という意味だったのだろうが一度だけやらされた事がある
素人であれば50mダッシュ+ジョギングを3・4回も繰り返したら大いに息が乱れ、足がパンパンになること請け合いである
・・・20kmとか狂ってやがる
まぁ当然今日初めて尚且つ今年の春からランドセル装備の俺がそこまで出来ないので今の自分の限界がどのあたりなのか知るところから始めるとしようか
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
「いっくん、大丈夫?」
「はぁ・・・はぁ・・・だいじょう・・・ぶはぁぁ・・・はぁ・・」
いや、息こそ乱れているが精神的にはまだまだ大丈夫ではあるのだ
毎夜行っている【一刀修羅】の方が疲労感が上というのもあるのだろう
あと意外だったのは全力ダッシュを連続で30回も出来てしまったことだな
なぜかとも思ったがやはりこれも【一刀修羅】の影響なのでは?と思う
【一刀修羅】の最中は基本的に動いてはいないが【一刀修羅】中は常に『全力』なのである
それ相応に体全体に負荷がかかっていて当然だ
いわば『
さて、自分の体力についての考察はこの辺にしていよいよ本日のメインイベントがやって来た
ただ今の時刻は午後5時55分・・・うん、キリがいいな
家までは子供の足で徒歩3分ほどだ。辿り着く頃にはちょうどストレッチでもしていることだろう
多くの期待感と一抹の不安感を胸に抱きながら家路につく。仙術にてアパートの前に居ることは既に感知済み!
そしてついにその姿を視界に捉えることに成功した!
ライフルさえもはじき返しそうな分厚い胸板、決して折れない巨木を彷彿させる手足、ビームさえ撃てそうな鋭い眼光、はち切れんばかりのゴスロリ服
それらを見て最初に思ったのはアニメのミルたんの着ていたゴスロリ服とはまた別なんだなということだった
・・・うん、まだこの時代のミルキー2作目だもんね、そういうこともあるさ!!
これも一種の現実逃避なのかもしれない・・・一瞬母さんの方から「ヒッ!!」と聞こえた気もするが、心の中で母さんに謝りながら
「こ・・・・こんばんは~、今から運動ですか?」と声をかけた
というかミルたん・・・トレーニング(魔法の)中もミルたんなんだな
「にょ?こんばんはにょ、ミルたんはこれからファンタジーな力を手に入れるために頑張るところだにょ」
アンタの存在がもうファンタジーだよ!
「そ・・・そうですか、頑張ってくださいね・・・・」
「にょ!!信じていれば精霊さんたちはきっとミルたんの心に応えてくれるんだにょ!!!」
いや、精霊さんと意思疎通する前に逃げられると思う
「応援ありがとにょ!!行ってくるんだにょ!!!」
「ブゥゥゥゥォォォォォラァァァァァァァァァァァァ」
・・・あっという間に見えなくなった。あれがミルたんクオリティなのか(遠い目)
因みに家に帰ってから「挨拶は大事だけど、ああいうあからさまに怪しい人にはあまり声をかけないように」と叱られた
まぁたしかに知らない人からすれば怪しさ核兵器クラスだからな、いや物理でもそのレベルだったっけあの人は
ともあれこうして初めての原作キャラとの会合は果たせた
親が付き添う間はミルたんとエンカウントしないように運動して帰宅するタイミングを調整すればいいだろう・・・
何故か以降、ちょくちょく軽い挨拶は交わすようになった
適当にキャラを動かしてただけなんだがどうしてこうなった?
先々の展開は作者にも不明です