転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第二話 修行、そして開幕の一撃です!

翌日、俺たちは修行のためにグレモリー家が所有する別荘に向かって山を登っていた

 

山の麓辺りまでは転移してきたが山登りの修行とやっぱり登山を転移で済ませてしまうのは風情が無いという事で地道に歩いて登っているのだ

 

周辺一帯は既に都会の喧騒を忘れさせてくれる大自然に包まれていて、今は道の途中にある湧き水を飲んでいる

 

「あ゛あぁぁ!やっぱりこういった場所で飲む水は普段の何倍も美味しいですね」

 

「うふふ、そうですわね。イッセー君も早くいらっしゃいな。美味しいですわよ」

 

今だ坂の下で汗だくになりながら山を登っているイッセーは「はい~!」と精一杯の返事をする

 

今回は原作で小猫ちゃんが背負っていた荷物を俺が代行して、男子達が全員の荷物を受け持っている状態だ

 

一歩一歩踏締めるように前進するイッセーの隣を麓のコンビニで軽く買い物をした祐斗が悠々と追い抜いていく

 

その光景にアーシアさんが「私も荷物を持った方が・・・」と言うがリアス部長が「必要ないわ」と切って捨てる―――頑張れよイッセー、応援程度ならしてやらんでも無いからさ

 

 

 

 

 

数十分後、ようやくグレモリー家の別荘に到着したが・・・デカい!湖畔に建てられた気品ある洋館。どう考えても7人じゃ使い切れない大きさだ

 

「デ・・・デケェェェェ!」

 

「うわー!綺麗ですぅ!」

 

イッセーとアーシアさんも驚いてるな

 

「ここがグレモリー家の所有する別荘よ。中に入って着替えたら早速修行を始めましょうか」

 

「直ぐに修行!俺もう此処に来るだけでヘトヘト何ですけど!?」

 

「弱音を吐かないの。修行はもっと厳しいのだからね」

 

「もっと!?そんなぁ!」

 

項垂れるイッセーを後にして一行は別荘の中に入っていった

 

山盛りの荷物を仕分けしてから男女で別々の寝室に入ってジャージに着替える。季節はほぼ夏だが山の上という事もあって長袖である

 

この洋館の大きさならそれぞれ個室という手もあるのだろうが、親睦をより深める意味合いも有ってか全員同じ部屋だ

 

着替え終わってから別荘の外に出て皆と合流し、手始めにイッセーと祐斗が木刀で手合わせをする事になった

 

「いくぞ!木場ぁぁぁぁ!」

 

イッセーは真っすぐ突っ込んでいって剣を振り回すが全て祐斗に軽く受け流されている

 

まぁイッセーは学校の授業位でしか剣を握ってないはずだし、仕方ない部分はあるのだろうが殆ど腕の力だけで無理やり振り回しているような感じだ

 

「そうじゃない!剣士を相手取る時でも剣だけじゃなく、全体を見るんだ。でないと・・・」

 

祐斗が即座に足払いを掛けてイッセーを転ばせて眼前に木刀を突き付ける

 

「こんな風にやられちゃうからね」

 

「ま・・・参った。」

 

一旦決着が付いたのでイッセーに代わるように祐斗の前に出る

 

「アレ?イッキ君は自前の木刀があるって言ってなかったっけ?何も持ってないようだけど?」

 

「ん?ああ、ちゃんと持ってるよ。さぁ来い!『星砕き』!」

 

空中に梵字を仙術の気で描き一本の木刀を顕現させる

 

アニメの黒歌が梵字を描いていたシーンがあったけど、どうやらアレは仙術の領分だったようで今のは【タラーク】と呼ばれる『蔵』の意味を内包する字でちょっとした荷物を『だいじなもの』として仕舞ってあったのだ

 

梵字も仙術の一種と言う事で簡単な物といくつか便利そうな物は教えてもらっていたりする

 

「・・・『洞爺湖』って書いてあるみたいだけど?」

 

「フッ!これは俺が洞爺湖の仙人から譲り受けた我が相棒!その真の名が『星砕き』と言うだけさ。此奴の力はその身をもって味わうといい!」

 

祐斗に向かって木刀を突き付けて渾身のドヤ顔を見せる。今の俺はさぞかし自信に満ちているように見えるだろう

 

「ッツ!君が仙術を扱い、妖怪にも伝手があるのは知っていたけれど、まさか仙人にまで知り合いが居るとはね」

 

皆と一緒に観戦に回っていたイッセーが「それタダのお土産屋の木刀じゃねぇか!」と言ってるのが聞こえるが、幸い驚愕していた祐斗は気が付かなかったみたいだ

 

これでも一応右歯噛咬(ザリチェ)左歯噛咬(タルウィ)の素振り以外にもこの『洞爺湖』の素振りはメニューに加えてたんだよ!

 

「行くぞ祐斗ぉぉぉ!」

 

流石にそのまま叩き付けたらポッキリと折れてしまうので、木刀にも気を巡らし大上段からの唐竹割りを見舞う

 

分かり易い一撃をまずは様子を見ようとした祐斗が防御では無く回避を選択したのでそのまま地面に向かって振り下ろした

 

“ドッゴォォォン!!”

 

轟音と粉塵が舞い20m級のクレーターが出来上がる。昔は必殺技の【じばく】を使ってこの威力だった事を考えると成長したものだ

 

サイラオーグ・バアルよりも長く、彼並みの修行はしたと自負しているからコレぐらいはね

 

回避した先の地面も陥没した影響も相まって、倒れてしまっていた祐斗に近づき木刀を突き付ける

 

「はははっ、降参だよ。それにしても凄まじい力だね『星砕き』と言うのは・・・」

 

・・・うん!取り合えず祐斗にはこのまま『星砕き』の真相は黙っておくか!

 

「イッキ、貴方こんなに強かったのね」

 

「それなりの力をリアス部長に見せておかないと『敵に囲まれた瞬間強制リタイア』なんて事にもなるかなと思ったのでパフォーマンスを含めて・・・」

 

「・・・分かったわ。必要以上に心配するのは止めておくわね」

 

そう言うと深くため息を吐いた

 

「おいおいおい!地形変わってんじゃねぇか!お前本当に人間かよ!?後イッキ、その木刀っておみy「シャラップ!!」」

 

イッセーが余計な事(真実)を言おうとしたので途中で言葉を遮る

 

「いいかイッセー、コレは『洞爺湖の仙人』から貰った木刀であってお前が見るのは初めてだ!そう言う事なんだ!分かったか!」

 

「お・・・おぅ」

 

「ならば良し!」

 

折角だからこの設定を貫いてやろう!

 

「イッキ先輩、また暴走してます・・・」

 

はっはっは!遊び心は重要だよ小猫ちゃん!

 

 

 

 

あれから各自修行に打ち込む中、何度か闘気の出力を抑えて純粋な剣技で祐斗やイッセーと闘ったのだが祐斗には勝てなかった

 

剣筋では勝っているし脳のリミッターを解除する技を使えば勝てるだろうが、やはり今まで練習相手が全く居なかったのが響いてるようだ・・・小猫ちゃんは徒手空拳だし参曲(まがり)様や黒歌も遠距離タイプだったからな

 

その点祐斗は一説では新選組最強とも謳われる『沖田総司』を師に持つだけあるようだ―――型や技同士の繋ぎが上手い

 

我流でしかも練習相手が居ないとやはり限界があるな・・・Fateの佐々木小次郎?あんな暇つぶしで次元を捻じ曲げる人と一緒にしないでくれ

 

その後イッセーとアーシアさんは別荘の中で朱乃先輩から魔力の扱いについて指導を受けている―――その間に俺と小猫ちゃんが体術の練習で、リアス部長も眷属最強の小猫ちゃんと俺との戦闘力を把握しておきたいみたいで見学している・・・『王』の一番の役割は指揮官だからね

 

しかし、あくまで体術の練習なので身体強化のみ、気弾や相手の気を乱すといった攻撃は無しだ

 

消耗の大きい『猫又モードレベル2』も修行を始めたばかりの今は使えないので通常モードの小猫ちゃんとの組手だ―――組手と言っても既に此処一帯は紛争地帯みたいになってしまっているが

 

暫く戦っているとリアス部長からストップが掛かった

 

「小猫!イッキ!一旦戻って昼食にしましょうか、朱乃からもうすぐ出来上がると連絡が来たわ」

 

「はい!」

 

「・・・お昼」

 

朱乃先輩の料理か!お茶やちょっとしたお菓子なら食べた事があるけど、本格的な料理をいただくのは初めてだな

 

別荘に戻り皆で昼食を食べる。朱乃先輩の料理は和食でどの料理もそれなりに凝った作りをしているようだ・・・魔力で下ごしらえすれば時間も節約できるのかな?

 

「美味しい!どれもとても美味しいですよ朱乃先輩!」

 

「確かに!朱乃さんは絶対に良いお嫁さんになれますよ!」

 

「うぅぅ!私もイッセーさんに喜んでもらえるようにもっとお料理を頑張らないといけません」

 

「あらあら、でしたらアーシアちゃん。今度私と一緒にお料理いたしましょうか?アーシアちゃんはイッセー君のお母さまからお料理を習っているようですが、私からも別の視点でアドバイスできる事があると思いますわよ?」

 

「いいんですか!?是非お願いします!」

 

微笑ましいとも言える光景を見ながらも昼食を食べ終わり、各員其々の基礎修行や模擬戦に戻っていき日が暮れた所でその日の修行は打ち止めとなった

 

晩飯はイッセーとアーシアさんが魔力のコントロールの修行も兼ねて作り、コレでもかという程のマッシュポテトやポテトスープ、ポテトサラダが出された

 

イッセー、やはりポテトを魔力でひん剥きやがったな・・・

 

「イッセー、今日一日修行をしてみてどうだったかしら?」

 

「・・・はい。俺が一番弱かったです」

 

リアス部長の問いかけにイッセーが気落ちしたように答える・・・と云うか物理的にガックリと肩が落ち込んでいるな

 

「そうね、それは確かだけど貴方の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)やアーシアの聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)も勿論貴重な戦力よ。敵と遭遇した時に逃げるか、もしくは味方が到着するまで耐え忍ぶ位の力はこの合宿中に付けて欲しいの」

 

「りょ・・・了解っす」

 

「はいぃ」

 

「さて!食事が終わったらお風呂にしましょうか。此処は露天風呂でとっても気持ちがいいのよ」

 

おお!あれだけテンコ盛りだったポテトたちがもう殆ど無くなってる!まぁ大半は小猫ちゃんが食べたみたいだけど・・・よく胃に入るな

 

「露天風呂ぉ!?それはまさか・・・こ・・・混浴ですか!?」

 

「混浴じゃないわよ。でも、イッセーは私たちと一緒に入りたいの?私は構わないけど朱乃はどうかしら?」

 

「うふふ。一度殿方の背中を流してみたいですわね」

 

イッセーがもはや『ふぉぉぉぉぉ!』と奇声を発してるな

 

「アーシアもイッセーとなら構わないでしょ?」

 

アーシアさんも顔を赤らめながらも小さく頷き、イッセーのテンションが最高潮に昇り詰める

 

「小猫はどうかしら?」

 

「嫌です」

 

その一言で一気に撃沈したな

 

「なら、イッキとはどうかしら?小猫は中々気を許してるみたいだけど?」

 

「・・・ダメです―――私は三番目なので

 

なにかボソッと聞こえた気もするが全員ちゃんと聞こえなかったようで結局男子と女子で其々に露天風呂に入る事になった

 

 

 

 

 

「はぁ!・・・はぁ!・・・はぁ!・・・はぁ!・・・はぁ!・・・はぁ!・・・」

 

風呂に入ってからイッセーの奴は分厚い壁を凝視しながら息を荒げている。恐らくその先にある女子風呂(アヴァロン)を覗こうと必死なのだろう

 

「イッセー君、そんな事をして一体何になるって言うんだい?」

 

「黙ってろイケメン!これも大事な修行の内だ!」

 

「イッセー君、透視能力でも身に着けたいのかな?」

 

「覚えれば戦略の幅がグッと広がる能力ではあるけど、イッセーに覚えさせたらダメな力だろ」

 

此奴がそんな能力を身に付けたら魔力を完全に封じるか目を潰すくらいしないと覗きを阻止できないぞ

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!頑張れ俺の煩悩ぅぅぅぉぉぉぉぉ!」

 

一生やってろと言いたい所だがコイツの場合3日も続けたら恐らく習得してしまうのだろうな

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

 

―――その頃の女子風呂

 

 

「ふぅ、癒されますわねぇ」

 

「これで一日の疲れが取れれば良いのだけれど・・・」

 

「取れますわよぉ」

 

駒王学園の二大お姉様と称される二人はたわわに実った果実を二つ、合計四つの果実を湯に浮かべながら談笑している

 

それを横目に見ながら教会の元シスターは視線を下に落として溜息を吐いた

 

「大丈夫です。アーシア先輩もきっと大きくなりますから・・・」

 

「小猫ちゃんはその・・・気にならないんですか?」

 

「私は絶対に(・・・)大きくなるので気になりません」

 

昔は気にしただろうが未来の自分を垣間見た猫又娘は心に大きなゆとりを持つに至ったのだ

 

「はぅぅ!私もそれだけの自信を持てるように頑張りますぅ!牛乳を沢山飲みますぅ!」

 

 

―――その頃の女子風呂 【完】

 

 

 

 

修行五日目、今までは基礎修行と模擬戦を繰り返すような形で鍛錬に励んでいる

 

アーシアさんもそろそろ簡単な障壁を張ったりできるように練習を始める予定で、イッセーも夜中にアーシアさんのところに出向いているみたいだからあの必殺技の練習でもしているのだろう

 

そして今日は午後の修行を早めに切り上げて体を休めると共に悪魔社会の講義をリアス部長が行っている

 

「・・・これが悪魔が人間を転生させる最大の理由よ」

 

リアス部長はそこで一旦息を吐いた

 

「私の方からは此処までにしておきましょうか。折角此処にはアーシアも居るのだし、彼女の話も聞きたいわ」

 

「は・・・はいぃ!」

 

アーシアさんは事前に話を聞いていたみたいで聖水と聖書を持ち皆の前で講義を始める

 

ライザー戦と言えばやっぱり聖水を赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で強化してぶっかけるシーンが印象的だよな。フェニックスには仙術が有効とはよく聞くけれど本当にその通りなのかは実際に試してみるまでは分からないし、もしもの時のために俺も聖水や十字架を持っておいた方が良いか?

 

でもなぁ、相手はドラゴンの鱗にも傷を付ける業火を身にまとっているから人間の俺では闘気を纏ってもサイラオーグほどの防御力は期待できないから出来るだけ接近はしたく無いんだよな

 

アーシアさんが聖書の一節を読もうとして頭痛を繰り返しているのを見ながら考える。やっぱり強者と闘う人間と言えば曹操が思い浮かぶ。外道な立ち回りではあったが弱点を突くという一点は共感できる

 

ルールに則った方法でならそういうのもありだろうし、何かいい方法はないかと思っていると一つ思い当たる事があった

 

原作ではその戦法こそ存在していたが結局使われなかったものが一つ・・・なら別に俺が使ってもいいよね?

 

「あの、リアス部長。ライザーとの戦いで一つ作戦を思いついたのですが」

 

「あら?何かしらイッキ?話して頂戴」

 

「はい!この作戦の実行時にはイッセーと朱乃先輩、あと下準備にはアーシアさんの力を借りたいんです。その方法ですが・・・」

 

そして一通りの説明が終わった時、全員が大なり小なり苦い顔をしていた

 

「イッキ・・・お前は悪魔か?」

 

「何言ってんだ?悪魔はお前だろう?」

 

ん?このやり取り前にもしなかったっけ?

 

「人間の心にこそ本当の悪魔は住むのかもね・・・」

 

「聞いてるだけでも酷い作戦だよ。とても悪魔には思いつかない作戦だね」

 

「鬼畜」

 

「あらあら、何だか想像するだけで、どうなるのか楽しくなりますわね」

 

何だか皆辛辣だな・・・朱乃先輩は肯定派か?でもいう程酷くはないと思うんだよな

 

はぐれ神父は使わないかもしれないけど普通の神父は使ってると思うし・・・

 

「皆、そうは言いますけどこの試合でもし負けたらリアス部長があのライザーのお嫁に行くんですよ?なら勝つための最善手を打ちたいじゃないですか」

 

「ああ、そうだったな。部長!別にルール違反じゃ無いんですよね?なら俺はやりたいです!もしも採用しないで結果負けたりしたら悔やんでも悔やみきれません!」

 

イッセーの言葉に少し瞑目していたリアス部長だったが「分かったわ。私も幾つか作戦のパターンは考えていたけど修正する必要があるかしら」と了承の意を示してくれた

 

それから期日が来るまでにイッセーが赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)で高めた魔力砲で山の山頂ではなく、山の大半を吹き飛ばしたりといった成果を披露したりしながらも修行は無事に終わり決戦の日がやってきた

 

 

 

 

 

決戦当日の夜の11時過ぎ。オカルト研究部のメンバーは思い思いの方法でリラックスしながら試合の時間が来るのを待っていた

 

そして11時半の少し前、グレイフィアさんが転移陣で現れる

 

「皆様、お揃いですね。準備のほどは宜しいでしょうか」

 

「ええ、何時でも行けるわ。グレイフィア」

 

「では時間になりましたら此方の魔法陣から戦闘用フィールドに転送されます。そしてこの戦いはグレモリー家、フェニックス家の御当主様方の他に魔王ルシファー様もご覧になられます」

 

「そう・・・お兄様も」

 

「ええっ!お兄様ぁぁぁ!?」

 

リアス部長の呟きにイッセーが驚きの声を上げ祐斗からリアス部長の兄こそが死んだ先代魔王ルシファーの名を受け継いだ現魔王の一人であると説明が入る

 

そう・・・この試合は魔王が見る。俺という人間が敵対者に容赦しないと言った印象を抱かせる事が出来れば今後の布石の一つになるかもしれない・・・ってそうじゃん!この試合魔王や貴族の当主も見るんだった!

 

「あ・・・あの!グレイフィアさん・・・いや・・・様?」

 

「さん付けで構いませんよ。それで、何か問題でも御座いましたか?」

 

「はい。大問題が・・・」

 

「イッキ!一体何があると言うの!?」

 

俺の硬い声にリアス部長やほかの皆も不安げな表情だ

 

「リアス部長、俺たちの最初の作戦をグレイフィアさんに伝えるべきだと思うんです。だってこの試合、魔王様方『悪魔が観戦』するんですよ!」

 

「ッ!!そうだったわね。危ない所だったわ・・・」

 

そしてグレイフィアさんに俺達の開幕の作戦を伝えた所なんとも言えない表情はされたが「分かりました。それについては私の方で対策を講じておきます」と言われ、グレイフィアさんは転移していった

 

その後すぐ時間となり、俺たちは転移陣でバトルフィールドに転移した

 

 

 

 

転移した先は一見何も変わらないように見える何時もの部室だ。イッセーも「転送失敗か?」と首を傾げていると校内アナウンスが走った

 

 

≪皆様、この度、フェニックス家とグレモリー家の試合に置いて、審判役を仰せつかったグレモリー家の使用人、グレイフィアでございます。今回のバトルフィールドはリアス・グレモリー様方の通う駒王学園のレプリカを用意させていただきました。≫

 

「レプリカ?」と驚くイッセーにリアス部長が窓を開けるように促し、開け放たれた窓からは緑の空とオーロラが見えた

 

「これがレプリカって悪魔の技術はどんだけ凄まじいんだよ!」

 

まぁ同意だな。やってる事って殆ど天地創造の域だもんな

 

≪両陣営、転移された先が『本陣』でございます。リアス様の本陣は旧校舎オカルト研究部部室。ライザー様の本陣は新校舎校長室。『兵士』の方はプロモーションを行う際、相手本陣の周囲まで赴いてください。作戦時間及び本陣の防衛ラインを築くための時間は30分、深夜0時と共に戦闘開始のチャイムを鳴らせて頂きます。それでは作戦時間です≫

 

それからはおおよそ事前の打ち合わせ通り、『特殊な能力を付加した魔力の通信機』を耳に着けて祐斗と小猫ちゃん、朱乃先輩が旧校舎周辺にトラップや結界を設置していく

 

イッセーはその間にリアス部長の膝枕・・・もとい悪魔の駒(イーヴィル・ピース)の封印をもう少し解いてもらい、皆が戻ってきた所で再びアナウンスが流れた

 

≪それでは開始の時刻となりましたのでゲームスタートです≫

 

その言葉と共に学校のチャイムが鳴り響く

 

作戦開始だ。速攻で決めるぞ!

 

「行くぞイッセー!」

 

「応!来いドライグ!」

 

『Boost!!』

 

「朱乃!」

 

「はい部長!私は屋上で待機しておりますわ」

 

「皆、相手は不死のフェニックス家の中でも有望視されているライザー・フェニックス。でも戦う以上は負けるなんて許されないわ!遠慮も容赦もなく、叩き潰して上げましょう!」

 

リアス部長が檄を飛ばす中、直ぐにその時は訪れた

 

「来た!行くぞイッキ!赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

 

イッセーが自分の力を限界まで引き上げ俺に譲渡する

 

『Transfer!!』

 

「朱乃先輩!」

 

俺の中のとある力(・・・・)が増大したのを感じ取った俺は魔力インカム越しに屋上に赴いた朱乃先輩に確認を取ると楽し気な声が返ってきた

 

≪うふふ、感度良好♪学校中に響き渡りますわよ≫

 

「では、始めます」

 

俺の口元に魔法陣が展開された。そして効果を確かめる為にリアス部長を見る

 

「大丈夫、何も聞こえないわ(・・・・・・・・)

 

良し!じゃあやりますか!

 

朱乃先輩が新旧校舎の上空に展開した巨大な魔法陣からとある効果を強化した俺の声が響き渡る

 

 

 

 

≪私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が目の届かぬ者は一人もいない≫

 

≪打ち砕かれよ。

  敗れた者、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。

  休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる≫

 

≪装うなかれ。

  許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を≫

 

≪休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。

  永遠の命は、死の中でこそ与えられる。

  ――――許しはここに。受肉した私が誓う≫

 

≪―――”この魂に憐みを”≫

 

 

 

 

リアス部長にサインを送り、朱乃先輩に拡声と耳栓の魔法を解除してもらう

 

≪・・・ライザー・フェニックス様の『兵士』8名、『騎士』2名、『僧侶』1名、『戦車』2名リタイア≫




やっちまったぜww

後ゲーム開始前に作戦時間を設けました。アニメを見てて思ったんですけど新校舎と旧校舎の距離だと悪魔の足なら十数秒で衝突しかねないですし、部室で木場が『地図持ってきました』とやってる内に相手の『兵士』全員突撃してプロモーションとか余裕に見えたので

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