転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

24 / 139
コカビー戦まで空気と言ったな!アレは嘘だ!


第二話 白龍皇、来襲です!?

放課後、部室に行くと小猫ちゃんが今朝の聖剣使いの気配の事をリアス部長に報告していた

 

黒歌といい小猫ちゃんといい、仙術使いでその上聖剣の気配となれば悪魔の二人にはより鋭敏に感じ取れるのだろう

 

「そう・・・聖剣使いが二人、ソーナ達に接触したと言うのね。イッキも小猫と同じようにその聖剣の気配を感じたのかしら?」

 

「はい。それと聖剣の気配は今は町中を徒歩で移動中みたいですね・・・流石に行先までは分かりませんが」

 

戦場となるかもしれない場所の下見位はするよな・・・

 

「しかし困ったわね。イッセーの家にあった写真を見てから祐斗は今聖剣の事で頭が一杯のはず、街中でその聖剣使いとバッタリ出くわしでもしたら下手をすればそのまま戦いになりかねないわ」

 

「部長。その木場は何処に居るんですか?」

 

「祐斗先輩は学校をお休みしているそうです」

 

「木場が?」

 

「ええ、此方から連絡を入れても返事も無いし、祐斗も小猫とイッキが居るのは分かっているからか気配を隠してしまっているみたいなのよ」

 

ムッ?確かに祐斗の気配がしない。近くにいれば隠していてもある程度は分かるだろうが今はそれなりに遠くに居るのだろう

 

「部長。木場と聖剣に過去に何があったんですか?昨日から木場の奴、あまりに態度が可笑しいです!軽々しく踏み込んでいい話じゃないって分かってますけど、今は聖剣使いまでこの町に居るんでしょう!?どうか聞かせてください!」

 

「・・・・・・そうね。話しておきましょうか」

 

そうしてリアス部長から語られた祐斗と聖剣の因縁

 

聖剣は悪魔や魔物などを始めとした魔に属する者たちに対して絶大な効力を発揮する事。しかし、聖剣を扱える素質を持つ者は極まれにしか居ないが為に教会が極秘裏に一つの実験計画を打ち立てた事

 

「それが、聖剣計画よ」

 

「聖剣計画・・・なら、木場は聖剣を?」

 

イッセーが問うがリアス部長は首を横に振る

 

「いいえ、その計画では祐斗だけでなく他にも何人もの被験者が居たそうだけど、誰一人として聖剣に適合する事は無かったそうよ・・・そして、彼らが聖剣に適合できないと結論づけた計画の主導者たちは祐斗たちを"不良品"と決めつけて処分する事を決定したの」

 

「そんな!教会がそんな事を!?私が教会に居た頃はそんな話聞いた事も・・・」

 

驚愕を浮かべるアーシアさん。今でも神と教会の教えを大切にしている彼女としてみればとても信じたくはない事なのだろう

 

「当然でしょうね。聖剣、それもエクスカリバーを扱える者を増やす計画ともなればまず間違いなく教会でもトップシークレット。教会が主導で行ったのか一部の狂信者が暴走した結果なのかまでは悪魔の情報網では拾えなかったけど、聖女として活動していたアーシアが知らないのは無理からぬ事よ」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・私が祐斗を見つけた時は既に瀕死の状態だったわ。でも、そんな状態でも彼は強烈な復讐心を持っていたのよ。教会の、人々の為になると信じて辛い実験を共に耐えてきた仲間たちが毒ガスに倒れていく中、どうにか祐斗だけでも助けようと背中を押してくれた彼らの無念を晴らす為にね」

 

「クソ!アーシアの件といい、木場の件といい、教会は余計な事しかしないのかよ!神様って奴は何を考えてんだ!」

 

イッセーが憤りを現すように膝の上を強く叩く

 

「まぁアレだな、神は決して万能でも全能でも無いって事だろう」

 

「・・・どういう意味だよ?」

 

「どういう意味も何もそのままだよ。仮に神がアーシアさんが尊敬する通りの素晴らしい人格の持ち主だったとしても、神の手を逃れる者も神の目の届かない者も居るって事だろうさ。そもそもの話、神が本当に万能なら堕天使なんて生まれてすらいないはずだし・・・」

 

「・・・はい。そのような非道な教会の在り方を主が許すとは思えません」

 

アーシアさんが些か気落ちした様子でいる所にこれ以上教会への不満を口をするのはダメだと思ったのかイッセーも口を噤み、部室にしばしの静寂が訪れる

 

「あらあら、皆さんお揃いですね」

 

そんな静寂を打ち破ったのは意外にも遅れてきた朱乃先輩だった

 

「朱乃、遅かったのね。何かあったの?」

 

「ええ、お客様をお連れしましたので」

 

その言葉に続き外に待機していた二人が挨拶と共に入室してくる

 

「生徒会長と副会長?」

 

「部長に緊急のお話があるそうですわ」

 

「・・・ソーナ。それは貴方たちに今朝接触してきた二人の聖剣使いと関りがあるのかしら?」

 

「知っていたのですか?」

 

ソーナ会長が僅かに眉根を上げる

 

「私もついさっき小猫からの報告を受けた所ですけどね。イッキも感知していたと言うし、間違いは無いでしょう」

 

「二人は仙術使いでしたね、道理で・・・しかし、それなら話が早いです。リアス、教会所属の聖剣使いが貴女との会談を希望しています」

 

「な!?」

 

「え!?」

 

「まぁ!?」

 

これには流石にリアス部長だけでなく皆が驚きを露にする

 

「教会が悪魔に?一体何の冗談よ―――それで?なんて答えたの?」

 

「受けておきました。明日の放課後、この部室に訪れるそうです」

 

「確かに、相当な面倒ごとが起きてるのでしょうし、少しでも情報が欲しい所ではあるわね」

 

「では、確かに伝えましたよ」

 

「ええ、有難うソーナ」

 

そうしてソーナ会長と椿姫副会長は部室を後にした

 

「部長。一体どうして教会関係者がここに来るんでしょうか?」

 

そんなイッセーの疑問にリアス部長も首を横に振りながら「流石に分からないわね」と返す

 

「兎に角、今日は特に契約の予約も入ってないし、明日に備えて早く帰りましょうか―――それとイッキ。貴方は明日は部活はお休みよ」

 

「え゛ぇ!!」

 

この重要そうな場面で蚊帳の外ですか!?

 

「明日は恐らく悪魔と教会の勢力図や政治にすら食い込むような話合いになる可能性があるわ。一人だけ仲間外れにするようで心苦しいのだけど、悪魔にも教会にも所属していない貴方を同席させる訳にはいかないの。分かって頂戴」

 

おぉぉ落ち着け俺!クールになれ!確かにその理屈では俺は同席できない。じゃあ同席できない場合何か不都合があるのか?原作知識も既に15年以上前だから細かい所は曖昧だが、明日の会談は何かあるとすれば確か祐斗が模擬戦で敗ける位のものだったよな?・・・つまり、何の問題も無い?まぁ模擬戦にいちいち出しゃばるのもなんだしな

 

「・・・分かりました。でも良ければ会談の内容で聞かせても大丈夫なところが在れば教えていただけると嬉しいです」

 

「そうね。ダメならダメと伝える事にするわ」

 

「それって暗に期待するなって言ってません?」

 

「ふふ。どうかしら?じゃあ皆、今日は解散よ」

 

リアス部長の号令の下、全員が帰路についた

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後、オカルト研究部には顔を出せない事になっている俺はそのまま帰宅する・・・という訳にもいかないので、図書館で暇を潰しながら会談に模擬戦以上の気配が流れないか気を配る

 

結果としては杞憂だったようで教会の二人は帰っていき、他の皆は旧校舎の方へ戻っていったみたいだ

 

「うん。何事も無かったみたいだし、俺も今日は帰るか」

 

そうして図書館を後にし、学校からの帰り道、不意に正面から夕焼けを背にして歩いてくる男が気にかかった

 

ホストともバンドグループとも取れる出で立ちの祐斗と同レベルの銀髪イケメン・・・あれ?ヴァーリじゃね?白龍皇じゃね?

 

何で此処に!?いや、そうか。アザゼルさんもヴァーリもコカビエルの企みを察知して少し前から駒王町に潜伏してるんだった!

 

ヴァーリがコカビエル戦の終盤まで姿を現さなかったのはコカビエルや赤龍帝を含め、面白い対戦相手が居ないかどうかを観察するためだったし・・・イヤ!それよりもどうする!?此処は一本道で脇道も無し、いくら気配を隠していると言ってもこの距離ですれ違ったら気づかれるんじゃ!?

 

“スタスタスタ”

 

“トコトコトコ”

 

・・・・・・セェェェフ!!気づかれなかった。良かった!そうだよな、ヴァーリクラスに注視されたら流石に気づかれたかもしれないけど、すれ違う一般人一人一人をいちいち観察するほど此奴も暇じゃないよな!良し、さっさと此処を離れよう!

 

 

“ズドドドドドドドドドドド!!”

 

 

ん?なんだこの連続で鳴り響く重低音は?そう思いヴァーリが歩いて行った方に振り向くと

 

 

 

 

 

「ブゥゥゥゥォォォォォラァァァァァァァァァァァァ」

 

 

 

 

一陣の風(ミルたん)が駆け抜けていった・・・ああ、ジョギングコース変えたのかな?

 

頭の片隅で思考していた所でハタと気づく、ヴァーリがメッチャこっち見てる!どうやら彼は過ぎ去っていった風(ミルたん)を目で追ったようで結果として俺と見つめ合う形になったようだ・・・こっち見んな!!

 

「ホゥ、先ほどは気が付かなかったがその身の内に隠した洗練された濃密なオーラ。これは楽しめそうだな」

 

止めてくれぇ!そんな『ニィィ!!』って言う効果音が似合いそうな笑みをこっちに向けないで!

 

「君は・・・確かリアス・グレモリーの所属している部活とかいうグループの一人だったな。この町に潜伏してまだまだ資料が揃っていなかったが君みたいな奴に出会えるとは、偶にはあいつの言う事を聞くのも悪く無い。さて、折角だから手合わせ願おう。コカビエル以外とは戦うのは問題があるが、君は一応一般人だ。どうとでも言い訳は立つからね」

 

はい来たよこの戦闘狂!!ですよねぇ、この世界幹部クラス未満の地位だといくらでも隠蔽や言い訳が立っちゃう世界ですよねww

 

・・・笑えねぇ

 

「こんな町中でお前ほどの力の持ち主が暴れたらそれこそ言い訳が立たないと思うけど?」

 

だから帰ってくれ!切実に!!

 

「それならば心配は要らない。世の中、こんな物もある」

 

そう言いながら丸い装置のような物を二人が立っている場所の間に投げ、それが地面に着いた瞬間魔法陣が展開された

 

「これは!転移魔法陣!?」

 

不味いと思った次の瞬間には景色が切り替わった

 

此処は、駒王学園?いや違う。あの空はライザーと戦った時と同じ、なら此処はレーティングゲームの会場?どうなってるんだ?

 

「ようこそ」

 

「・・・此処はレーティングゲームの会場か?」

 

目の前にいる今となっては無駄にむかつくイケメンフェイスに対して疑問を投げかける

 

「ホゥ、よく分かったな。悪魔の世界で行われるレーティングゲームの会場が次元の狭間に使い捨てられているのは知っているか?先ほど投げた装置は近場にある放置された会場に転移する物だ。俺が今所属している場所では修業のたびに訓練場が壊れてしまうのを何とかしてくれと言われてな―――俺としてはどうでも良かったのだが、俺の保護者を気取る奴がこの装置を作ってくれたのさ。確か今の世の中ではリサイクルとやらが流行っているのだろう?それに乗っかってみたと言っていた」

 

アザゼルさぁぁぁん!?お宅の子供が与えられた玩具を使ってイケナイ遊びをし出しちゃってますよ!?

 

「さっきコカビエルとか言ってただろ?そっちで遊んでくれない?俺みたいなただの人間相手にしてないで」

 

「いや、そっちはまだ手を出す気は無いのでね。俺の宿命のライバル君がどの程度の者なのか、せめてこの目で直接戦う所を見ておきたいのさ」

 

此奴のゴーイングマイウェイっぷりはまさにドラゴン級だな

 

そういう意味ではイッセーも似たようなもんだけど・・・

 

「さて、お喋りはここまでにして、そろそろ始めようか」

 

「俺は戦わなくて済むなら別に朝までお喋りしててもいいんだけど?」

 

本気でそう思う。一対一(サシ)の勝負で白龍皇とバトルとか苛めとしか思えないからな!

 

「そう言うな。折角の一戦なんだ。楽しもうじゃないか」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!』

 

白銀の鎧に蒼いエナジーウィング、やっぱりあの翼のせいでガン〇ム的な感じがビンビンしてくるデザインだ―――ついでにドラゴンのオーラもビンビンしてくる・・・帰りたい

 

だが、愚痴ばかり考えてても状況は好転しない。

 

右歯噛咬(ザリチェ)左歯噛咬(タルウィ)を顕現させて一気に距離を取る

 

ヴァーリの、というより白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の能力は『半減』と『吸収』。そしてその力を行使するには対象に直接触れる必要がある

 

・・・つまり何が言いたいのかと言えば一発でも殴る蹴るの攻撃を受ければその場で敗けが確定するえげつないデバフ押しな能力という事だ。気弾で攻撃しつつ、相手の直接攻撃は右歯噛咬(ザリチェ)左歯噛咬(タルウィ)で何とかするしかないな

 

【一刀修羅】は初手で切るのは下策だ。アレは相手の力を把握したうえで発動して一番の効果を発揮するもの。明らかに不自然なパワーアップを前にしたら普通は距離を取るし、強化技なんて何かしら制限があると考えるのが妥当だろうしね・・・

 

まずは初手!相手は大きめの魔力弾を数発、此方は十数発の気弾を放つ。例え一発でもまともには食らいたく無いレベルの魔力が煉り込まれた攻撃だったが、数は少なかったので余裕を持って避ける事ができた

 

対して彼方は数がある分、数発被弾したようだがドラゴンの鎧に阻まれて殆ど効いていない

 

「どうした?その程度の攻撃では俺のドラゴンの鎧を貫く事などできんぞ?」

 

「そっちこそどうした?あんなトロい攻撃が当たるとでも思ってるのか?」

 

「フッ!いいだろう。ならばキミの期待に応えてやろう」

 

数十発の青白い魔力弾が展開された・・・別に期待した訳じゃないんだけどな

 

そうして始まる弾幕ゲーム(安全装置なし)迫りくる魔力弾をギリギリのところで避けまくる

 

グレイズ!グレイズ!グレイズ!グレイズ!!

 

「フム、回避に関してはキミの方が上らしい、よくもまあ避け続けられるものだ」

 

あれから既に何発か被弾した彼が話しかけてくる

 

「こっちはか弱い人間でね。攻撃一発一発に対する危機感が違うのさ。ましてやそんな御立派な鎧を着てる奴なんかとは特にね!」

 

「ハハハハハ!そういえばあの男も自分の事を「か弱い人間」と言っていたな。どうやらキミとの戦いは思った以上に楽しめそうだ!」

 

あー、既に曹操とはバトッた後ですか。まぁ二人ともバトルジャンキーっぽいし、どっかで戦ってても可笑しくは無いよな

 

「では次だ。その剣が飾りじゃない所を見せてくれよ!」

 

突如として身に纏うオーラを跳ね上げて多少の被弾を無視して突っ込んでくる!

 

此方はそれに対応する為脳のリミッターを解除し、スローモーションの世界に飛び込む

 

ヴァーリの全身の動きに気を配る

 

突き出してきた右腕を内側から掬い上げるように左歯噛咬(タルウィ)で手首の辺りを絡めとり、右歯噛咬(ザリチェ)を左腕の脇下の隙間に差し込みそのまま背負い投げに近い形でヴァーリを遥か遠くへぶん投げる

 

 

 

“ドガァァァン”

 

 

校舎の壁を破壊し埋もれている間に追撃で気弾を叩き込みながら距離を取り、脳のリミッター解除を解く

 

リミッター解除は脳に負担が掛かる技ではあるが今のように小出しに使っていく分にはそこまで影響は出ないからな。白龍皇と近距離でガチバトルとか負けフラグしか立たないので兎に角距離を置いてちまちま削っていくしかない

 

「クックックック!いいぞ!此処まで完璧に攻撃をいなされたのは久しぶりだ。キミの名前を聞いておこうか」

 

「・・・?知ってるんじゃないのか?」

 

さっき資料がどうとか言ってたし・・・

 

「ああ、知っているとも、だが、直接キミの口から聞いておきたいと思ってね」

 

成程。そういう熱いノリなアレですか・・・それなら、こう返すべきだろう

 

「そういう時は、まず自分から名乗るもんだぞ。何処かの誰かさん?」

 

お約束的なセリフを現実に言えた事からちょっと口元が歪んでしまう。向こうからしてみれば不敵な笑みにも見えただろう

 

「それもそうだな。俺の名はヴァーリ。白龍皇、バニシング・ドラゴンだ」

 

「有間一輝、仙術使いだ。以後よろしく出来たらいいな」

 

「フム、ではまず死闘を尽くすとしよう」

 

「まず」じゃねぇよ!「まず」じゃ!!そんな戦いの果てに得られる友情(多分そんなの得られない)とかじゃなくてほのぼの日常系を希望します!!

 

「行くぞ!有間一輝!!」

 

「ああもう!掛かってこい!ヴァーリ!!」

 

 

 

 

 

そうして針の穴に糸を通すような集中力を常に要求される戦いが最低でも数時間は続いた。今の所お互いに大きなダメージは無し、この空間の正確な座標が分からない為隙をついて転移の術で逃げる事も出来ない。ヴァーリも俺がたやすく逃げられないというのが分かっている為か長期戦に付き合っている形だ

 

ずっと向かい合って戦い続けるのではなく、ちょくちょく物陰に身を隠して小休止が挟まる感じなんだが流石に喉が渇いてきた

 

それとリミッター解除無しで避けている魔力弾は流石に全弾避け切るというのは無理だったみたいで、今は体中痣だらけで地味に痛い

 

後、この空間から自力で脱出するのが難しいとなると【一刀修羅】はやはり却下だ。ヴァーリを動けないくらいに痛めつける事が出来ても止めは刺せない、その後すぐ俺もぶっ倒れるので、大怪我のヴァーリと体力ゼロの俺がどっちが先に動けるようになるかというチキンレースになる・・・仲間が居ない時のこの【一刀修羅】の扱い辛さよ!

 

「ハァ・・・ハァ・・・いいね!偶にはこんな風に長引く戦いというのも悪く無い。俺の能力を警戒しているのだろう?懐に入ろうとすると途端に動きが冴えわたるな・・・一体どういうカラクリなのかな?」

 

「お前が二度と俺にケンカを売らないって誓うなら、教えてもいいけど?」

 

「では諦めて自分でその謎を解くとしよう」

 

「なぁ、マジでもう俺たち帰らない?正直腹減ったし、喉渇いたんだけど・・・」

 

軽口を叩くがそれで引き下がるような奴なら最初からこんな苦労はしてないだろう

 

「フム、楽しませてくれた礼だ。そういう事ならこれをやろう」

 

ヴァーリが突然鎧の兜とマスクの部分を収納し、魔法陣からなにやら二つの物体を取り出し片方を此方に投げてくるので受け取り何なのか見てみると

 

"5秒で完全栄養補給!鬼〇薬グレート!!(ゼリー飲料)"

 

鬼人〇グレートかよ!!

 

「それもあの転移装置を作った男が開発した物でな、どうしても食事を素早く取らなければいけない時には重宝している」

 

またアザゼル印かよ!あの人(堕天使)間接的にジワジワと俺の首を絞めてきやがるな!別に喉が渇いたってそういう意味で言ったんじゃねぇんだよ!後、この名称、絶対あの人モ〇ハンやってたな!ヴァーリがゴクゴクと鬼人薬〇レートを飲み干す様子を想像して笑ってたに違いない!

 

““パキッ””

 

““ズゴォォォォ””

 

ボロボロの戦場でお互い向かい合って最低限の警戒は残したまま無言で『鬼〇薬グレート』を飲む野郎二人・・・コレはたから見たらかなりシュールなんじゃ?

 

「では、再開しようか」

 

ああ、またあの絶対に相手に触れてはいけないというイライラ棒じみた戦いが始まるのか・・・

 

そう思った矢先に俺とヴァーリの少し離れた場所で魔法陣が輝き始めた

 

「なに?」

 

ヴァーリが訝しんでるって事は少なくともソイツが此処に来る事を知らなかったって事だよな?ならアザゼルさんか?あの人なら来ても可笑しくはないだろうし、話も通じるだろう

 

そうして魔法陣から現れたのは黒い着物の猫耳美女だった

 

「やぁっと見つけたにゃ、イッキ。それで?今は一体どういう状況なのかしら?」

 

「くr!」

 

・・・っと危ない。姿を見せた以上どれだけ効果があるかは分からないが態々名前まで明かす必要はないだろうしな

 

「あ~、そうだな・・・」

 

1.戦闘狂の白龍皇とバッタリ遭遇

 

2.ケンカを売られてこの空間に引きずり込まれてガチバトル

 

3.黒歌が助けに来た←いまココ

 

「・・・という感じだな」

 

「はぁ全く、ドラゴンってのはどいつもこいつも周りの迷惑考えない奴らばかりにゃ」

 

あっ、やっぱりドラゴンってそういう認識なのね

 

「どうやら彼女はキミの知り合いのようだが、彼女も中々の実力者のようだな。まったく今日は最高の日だ!それでどうする?このまま戦うか?それとも二対一で挑んでくるか?俺はどちらでも構わないぞ。君たち二人掛かりともなれば苦戦は必至だが、だからこそ滾ると言うもの!」

 

逆境はむしろご褒美ですかそうですか、黒歌もウンザリした顔してるし

 

だがまぁ、二対一で援軍が本体を捉える事が難しい黒歌ともなれば覇龍(ジャガーノート・ドライブ)でも使われない限りは勝てるだろう・・・が!此処まで好き勝手やってくれたヴァーリには手痛い一発をくれてやりたい!後、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)が恐い!!

 

良し!ならばアレで行こう!何はともあれ此奴を速攻で絞める!

 

「俺が白龍皇の動きを封じるから後宜しく」

 

黒歌に向かって話しかけ、態とヴァーリに対して隙を見せる。気づかれないように出した隙は少しだけ、でもその隙を突けるレベルなのがコイツなのだ

 

「戦闘中によそ見とは感心しないな。彼女も戦うというのであればこの隙を見逃す程俺もお人好しじゃなくてね」

 

“ズドンッ”

 

「ぐはっ!!」

 

一瞬で間合いを詰めたヴァーリの拳が『ギリギリまで闘気を弱めた』俺の腹に突き刺さる

 

自分自身の気を操る事である程度は痛みを抑える事ができるけど、それを踏まえても痛い!

 

「気を逸らしたキミが悪い。自業自得というものだよ」

 

だが殴られた腹を抱え込み、口から血を流しながらもそれを聞いた俺は顔だけ上を向いて笑みを浮かべる

 

「知らないみたいだから教えてやるよ。自業自得ってのはこういう事を言うんだ!【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】!!」

 

全身に紋様を浮かび上がらせ神器を解放する

 

「ぐはっ!!?」

 

痛いだろ?主に魔力弾による全身の痣に加えて態と大ダメージを負った腹パンの痛みは!特にお前は仙術使いじゃ無いから痛みを緩和も出来ないだろうし、俺から受けたダメージもあるしな!

 

それとヴァーリも今の衝撃で禁手(バランス・ブレイク)が解けたようだ

 

そうして至近距離で腹を抱えて悶絶する野郎二人という絵が完成した

 

「まったく、何をやっているのかにゃ」

 

呆れたような、可愛そうなものを見るような目でこっちに歩いて来た黒歌が俺と黒歌を包み込むサイズの転移魔法陣を展開する

 

「キミも随分好きにやってくれたみたいね」

 

そういって魔法陣の端、ヴァーリの目の前でしゃがみ込みその顔を覗き込む

 

「にゃ!!」

 

“シャッ”

 

「!?〇△□×!!!!」

 

黒歌の『ひっかく』!ヴァーリの顔に縦の5本線が走った。アレは痛い!

 

そしてそんなヴァーリを置き去りにしたまま転移で駒王町に帰ってきた

 

「助かったよ黒歌。白龍皇とタイマン張るとかレイドボスをノーダメクリアする位の鬼畜仕様だから本当に勝てたかどうか自信が持てなかったし・・・」

 

「ふ~ん。「何が起きても何とかする」って言ってたのは誰だったかにゃ~?」

 

「勘弁してくれ。今思えばアレはフラグだったよ・・・」

 

あ・・・ヤベェ、緊張の糸が解けたからか一気に眠気が・・・

 

「後は私に任せておくにゃん♪イッキの両親の方もこっちで軽く暗示をかけておくわね」

 

俺は黒歌の言葉に甘えてその場で意識を手放す事にした

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、全身の、特に腹の鈍痛で目が覚めた

 

なんだか何時もの毛布より寝心地が良いような・・・そう思った所で此処が(黒歌に占拠された)俺のベッドだと気づいた

 

そうか、流石に彼女も怪我人を床に寝かせるなんて事は無かったようだ。そう思い首を横に動かすと黒歌の寝顔がドアップで視界に入ってきた

 

!!おおっとぉ、落ち着け俺。似たような状況は前にもあったはずだ。人間は学習する生き物だし、今回はその二つの枕(おっぱい)に顔を埋めたわけでも無いのだ。クールになれ

 

まず黒歌が同じベッドで寝ているのは分かる。俺を此処に寝かせた所で彼女が態々よそで寝るとは思えないし、というか大分前から「一緒に寝ましょう」という誘いは在ったのだ。ただその場合理性が本能に負けて【夜の一刀修羅】を発動しかねないと思ったので(泣く泣く)却下したが

 

次に体が綺麗になってるのは魔力で浄化してくれたのだろう。ちゃんとお風呂に入って寝たみたいな感じだ

 

最後に全身に巻かれた包帯と昨日と殆ど変わってない怪我の度合い。此処が可笑しい!黒歌ほどの仙術使いが回復してくれたならとっくに回復していても可笑しくないはずなのだが?

 

「うにゃぁぁぁ」

 

疑問に思っていると俺が起きたのを察知したのか黒歌も目を覚ます。至近距離で見る彼女の無防備な挙動に内心ドギマギしながらも疑問に思った所を確認する

 

「おはよう黒歌。早速で悪いんだけど俺の怪我ってどうなってるの?もしかして何か治療に支障があったりした?」

 

「おはようにゃイッキ。怪我を治さなかったのはイッキと後はあの白トカゲへの罰なのにゃ」

 

「へ?」

 

罰?

 

「昨日はイッキの気配がいきなり警戒状態になったと思ったら次の瞬間には消えちゃうし、気配が消えた場所にあった僅かな痕跡から転移先を割り出すのはかなり苦労したのにゃ。だからその間心配を掛けた分の罰———後は、イッキの神器の能力で付けた傷ってイッキ自身がその傷を治さない限り相手も治らないんでしょ?あの白トカゲも何をしても治らないダメージに精々気を揉めばいいのにゃ!」

 

うぅ!心配掛けたと言われると何も言い返せない

 

「でも黒歌、今この町は聖剣絡みの厄介ごともあるから、俺も出来れば怪我は治しておきたいんだけど・・・」

 

「・・・分かってるにゃ。だから今日は学校は休んで自己回復に当てる事。有事が起こりそうなら治してあげるけど、そうでないなら自力で治すにゃ」

 

「了解です」

 

今にして思い返せば態と闘気を弱めて腹パンくらうとか馬鹿やったもんだ。うん、この罰は甘んじて受けよう

 

その後、ちょっと楽しそうな黒歌に看病され、放課の合間に電話を掛けてきたイッセーや小猫ちゃんに心配ないと返事をして丸一日掛けて傷を全快させる事ができた




アザゼルの発明品がジワジワと被害を拡大していくスタイル・・・
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。