転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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前話は昼に書き終えたので予約投稿して2話連続UPを目指して頑張りましたがちょっと時間オーバーしちゃいましたww


第三話 後輩は、男の娘です!

旧校舎の一角、KEEP OUT の黄色いテープがコレでもかと張ってある扉の前に俺たち全員が揃っていた

 

「この部屋に部長の最後の『僧侶』が居るんですか?」

 

「ええ。その能力の危険性から、私の力では扱いきれないとして此処に封印されていたの」

 

「でも実は、此処にいる子が部長の眷属の中でも一番の稼ぎ頭なんだよ」

 

「ええ!でも封印されているんですよね!?それで一体どうやって契約を結ぶんですか!?」

 

「うふふ。その子はパソコンを介した変則的な契約を結んでいるのですわ。依頼人の中には私たち悪魔と直接会うのが恐いという方もいらっしゃいますので」

 

「いやそんな恐いなんて言われても・・・」

 

「イッセー・・・考えてもみろ。大半の人たちは悪魔の事はよく知らないんだから『私達は信用と信頼の良い悪魔です!』なんて宣伝したとしてもそれを信じられると思うか?・・・まぁ結局悪魔と契約を結んでるんだから大差ないとも思うけど、どの辺りに心のボーダーラインを引くかは個人個人で異なるからな、そうした人たちには需要があるんだろう」

 

仮にそんな謳い文句の悪魔が居たら逆に恐いわ!

 

「そんなもんか?」

 

そんなもんなんだろ―――そうこうしている間にリアス部長が扉に掛かった封印を大凡解き終わったみたいだ

 

「それでは、封印を解くわよ」

 

すぐ横でイッセーが”ゴクリ”と喉を鳴らす

 

リアス部長が扱いきれず、魔王が封印を指示するほどの存在がどんな恐ろしい姿をしているのかと想像しているのだろう

 

扉に掛かっていた封印が消え去り、ゆっくりと扉が開かれていく

 

 

「いやあああああああああああああ!!」

 

 

扉が半ば開きかけたあたりで甲高い悲鳴が響き渡る

 

部屋の中に入るとそれはもうメルヘンチックな部屋だった

 

机や椅子、クッションなんかはハートの形だったり若しくはそれに準じた装飾があしらわれていたり、部屋に飾ってある服とかもゴスロリだ。逆に乙女感を感じさせないような物などただ一点を除いてこの部屋には無いと言っていいだろう

 

そのただ一点。部屋の中央に鎮座する巨大な棺桶だ・・・多分中で寝返りを打つ事が出来るように設計されている為か本当にデカいな

 

「な・・・何事ですかぁぁぁ!?」

 

「魔王様の許しで封印が解けたのですわ。さぁ、私たちと一緒にこの部屋から出ましょう?」

 

「嫌ですぅぅぅ!この部屋が良いですぅぅぅ!!お外は恐いから出たくないですぅぅぅ!!」

 

朱乃先輩が棺桶の蓋を外し、中に居る人物に優しく語り掛けるが、帰ってきたのは拒絶の声

 

「おお!金髪美少女!くぅぅぅ!やっぱり部長の眷属になって良かったぜ!これで木場以外は全員美少女だ!!部長の眷属最高ぉぉぉ!!」

 

だがそんなイッセーの幻想にリアス部長が無慈悲な現実を突きつける

 

「イッセー、この子は男の子よ」

 

「・・・はい?———っああ!冗談ですか!あはははは!部長もそんな冗談を「イッセー、この子は紛れもなく男の子よ」」

 

「うふふ。女装の趣味が有るのですわ」

 

リアス部長が彼を後ろから優しく抱きしめながら紹介する

 

「この子はギャスパー・ヴラディ。私のもう一人の『僧侶』。悪魔に転生する前は人間と吸血鬼のハーフだったのよ」

 

「吸血鬼!?いやいや、そんな事よりもおいお前!今まで封印されてたんだろ?その女装を一体誰に見せるつもりだったってんだ!?たった一人で女装趣味とかレベル高すぎだろう!?」

 

「ひぃぃ!ぼ・・・僕は女装が趣味とは少し違うんですぅ!可愛いのが好きだからコレを着てるんですぅ!こっちの方が男の制服より可愛いんだもん!」

 

ああ、確かに残酷な程似合ってるよな。普通にヒロインを張れるレベルだ・・・

 

「『もん!』じゃねぇぇぇ!!一瞬でもアーシアとお前のダブル金髪美少女『僧侶』を俺は夢見たんだぞ!俺のこの行き場を無くした想いをどうしてくれるんだ!!」

 

「人の夢と書いて・・・『儚い』」

 

「いや、悪魔なんだし悪魔の夢で『悪夢』でいいんじゃね?」

 

「あはは、小猫ちゃんもイッキ君も容赦ないね」

 

「しかし、いくら何でもコレは恐がり過ぎじゃないか?」

 

「それは、この子が封印されていたのとは別に引きこもりでもあるからなの―――ギャスパー?お願いだから外に出ましょう?」

 

「嫌ですぅぅぅ!人と関わり合いたくないですぅぅぅ!」

 

そんなギャスパーの態度に業を煮やしたイッセーが強めに肩を掴み「ほら、我儘言うな!」と外に連れ出そうとするが、その瞬間彼から神器の力の急激な高まりを感じ取る

 

数舜遅れて部屋の中の時間が停止した―――神器と術式の違いこそあれど確かにこの感覚は黒歌の扱う時間操作と同じ種類の力だ・・・あの黒歌が参曲(まがり)様の修行を受けて漸く扱えるようになった時間操作(停止)を感情の高ぶり程度で発動できるって改めて考えると神器・・・というかこれを創った聖書の神ヤベェな

 

「イッキ先輩。止まってませんよね?」

 

考察していたら後ろから小猫ちゃんから声が掛かった

 

「ああ、御免。大丈夫、動けるよ」

 

小猫ちゃんを見ると猫又状態で全身を仙術の気で覆っている

 

俺と同じく神器が発動する前兆を感じ取り強めのオーラを身に纏う事で時間停止を防いだのだろう

 

ただ・・・何でだろう?以前模擬戦で黒歌の時間停止を食らった時より俺自身の抵抗力が増しているような?———再び考え込んでしまった俺に小猫ちゃんが「どうかしたんですか?」と聞くので素直に答える

 

「何だか気で防ぐまでもなく時間停止が効かなかったような感じがしたからさ。何でだろう?」

 

「それは・・・多分ですけどイッキ先輩の【神性】が高まってるせいじゃないですか?この短期間で大きな変化があるとしたらそれ位しか思い浮かびませんが・・・」

 

「ああ~。成程ね」

 

確かにここ最近ケルベロスにコカビエルにヴァーリと強敵続きだったからな・・・特にヴァーリ!あいつは神滅具(ロンギヌス)所持者なんだから俺の神器が共鳴して力が引きあがったんだよな―――前までは【神性 E+】だったのが今や【神性 D-】飛んで【神性 D】までいってるし・・・【神性 D】って誰が居たっけ?

 

確か神にはヴァーリの『半減』も効きにくいとかあったはずだし、それと似たような物なんだろう

 

さて、考えるのはこれ位にして今はギャスパーだな

 

止まってしまったイッセーの手から逃れて今は部屋の隅で泣いてしまっている

 

「御免なさい。御免なさい!また皆止まっちゃった!僕はどうしてこう何だ!」

 

鳴いて謝り続ける彼の下に小猫ちゃんが歩み寄りしゃがんで声を掛ける

 

「ギャーくん。落ち着いて」

 

「うぅ、小猫ちゃん?・・・アレ?何で小猫ちゃんが動いてるの?」

 

「俺も動けるぞ」

 

「ひぃぃ!小猫ちゃんだけでなく知らない人まで動いてるぅぅぅ!!?」

 

知らない人って・・・まぁその通りなんだけど・・・

 

「あの人はイッキ先輩。部長の眷属じゃないけど、オカルト研究部の一員で私と同じ仙術使い。ギャーくんの力を察知して仙術でその力を防いだの」

 

「初めまして、2年の有間一輝。人間だけど宜しくな」

 

「は・・・初めまして・・・ギャスパー・ヴラディって言います。よろしくお願いします」

 

自己紹介した辺りでギャスパーの感情も落ち着いて来たのか自然と時間が動き出す

 

「あ・・・アレ!?俺は今確かに肩を掴んで・・・って何で3人が部屋の隅に移動してるんだ!?」

 

「はいぃ・・・いきなり消えてしまったように見えました」

 

「ああ、何かされたのは確かだね」

 

詳細を知らない3人が不思議がっていると朱乃先輩から説明が入る

 

「今のはギャスパー君の持つ神器、『停止世界の邪眼(フォービドウン・バロール・ビュー)』。視界に映したものを一定時間停止させることが出来るのですわ」

 

「停止させる対象が強い場合は効果が薄いみたいだけどね。イッキなら防げるかもとは思っていたけれど小猫も防げるようになったのね。成長したわね、私ももっと頑張らないと―――イッキはもうギャスパーと自己紹介はしたのかしら?」

 

「はい。自分は既に・・・」

 

「分かったわ。ギャスパー。まずは新しく私の眷属になった子たちを紹介するわね。イッセー、アーシア、ゼノヴィア」

 

リアス部長に呼ばれた3人が順番に挨拶をする

 

「俺は兵藤一誠!時間を止められるとかってスゲェな!階級は『兵士』。これから宜しくな!!」

 

「初めまして、アーシア・アルジェントと申します。貴方と同じ『僧侶』です。仲良くしてくださいね」

 

「ゼノヴィアだ。先日悪魔になったばかりだが『騎士』をやらせてもらっている。宜しく頼む」

 

「あわわわわ!何だか一気に人が増えてますぅ!ギャ・・・ギャスパー・ヴラディです。宜しくお願いしますぅ。———でも出来れば放っておいてくれると嬉しいですぅぅぅ!」

 

重症だな。味方と分かっていてもここまで恐がるなんてな

 

「この子の力は強力だけど、自分では制御できないみたいなの。だから今まではお兄様の命でこの部屋に封じられていたのよ―――その上、無意識に神器の能力が高まっていくみたいで自然と禁手(バランス・ブレイカー)に至るかも知れないとまで言われているのよ」

 

普通に言ってるけど自然と禁手(バランス・ブレイカー)に至るってそれはそれで規格外だよな

 

「それでね、皆にお願いが有るの。私と朱乃はこれからトップ会談の打ち合わせが有るの。だからその間皆にはギャスパーの事をお願いしたいのよ―――それと祐斗、お兄様が貴方の禁手(バランス・ブレイカー)について詳しく聞きたいそうだから、私達と一緒に来て頂戴」

 

「はい。分かりました」

 

「他の皆もいいかしら?」

 

「はい!任せてください部長!」

 

そうしてリアス部長と朱乃先輩と祐斗は魔法陣で転移していった

 

「張り切ってるなイッセー」

 

「部長のお願いを張り切らない理由なんて無いね!・・・とは言ったもののどうするかな?」

 

ノープランかよ!マジで勢いだけで言ったな!

 

「ならば、まずは私に任せてくれないか?」

 

「ゼノヴィア?なんか案が有るのか?」

 

「うむ。まずはやはり体を動かす事だ。外で走り回る解放感は引きこもりにとって大きな刺激となるだろう―――そういう訳だ。ほら行くぞ!」

 

そう言ってギャスパーの首根っこを引っ掴んで外にズルズルと連れ出して行ってしまった

 

幸いというか、時間は止まらなかったみたいだ

 

 

 

 

 

「いいいやああああああああああああ!!」

 

所変わって旧校舎の裏庭では今、吸血鬼狩りが執行されている

 

「ほらほらどうした!もっと早く逃げなければこのデュランダルの餌食になるぞ!」

 

「びえええん!そんな物で切られたら消滅しちゃいますぅぅぅ!!」

 

ギャスパーの後ろからデュランダルを振り回しながらゼノヴィアが嬉々として追い掛け回し、少し離れた所でその様子を見ながら俺たちは苦笑を溢す

 

「ゼノヴィア・・・楽しそうだな」

 

「ああいうノリがお好きなんでしょう」

 

「でもアレだと引きこもりに加えて運動まで嫌いにならないか?」

 

「・・・ギャーくんは出来る子」

 

小猫ちゃん?かなり適当言ってない?

 

暫く走り回ってからギャスパーは可憐な乙女の仕草でその場にへたり込む

 

「な・・・何でこんな事するんですかぁ?」

 

上気させた頬に瞳に涙を浮かべる様に隣のイッセーがまだ諦め切れないのか「畜生!見た目だけはあんなに可愛いのに!」とこっちはこっちで涙ぐんでいる

 

「健全なる魂は健全なる肉体に宿ると言うからな。そもそも、お前が最初からちゃんと走っていれば私もデュランダルを出したりはしなかったぞ!」

 

うん。多分それ違う。恐らく最初から走ってたとしてもさらに走らせる為にデュランダルを抜いてたと思うぞ

 

そのままへたり込んでいるギャスパーに小猫ちゃんが近づいて行く

 

「ギャーくん。疲れたならコレを食べればすぐに元気になるよ?」

 

その手で差し出したのは吸血鬼の弱点とされるニンニク・・・アレはどっから出したの?何時も生のニンニクを持ち歩いてるのか?

 

「いやあああ!!ニンニクぅぅぅ!小猫ちゃんがイジメるよぉぉぉ!!」

 

ギャスパーが今度は小猫ちゃんに追い回されて悲鳴を上げる中ひょっこりとサジがその場に現れた

 

「お!居たな!どうにも解禁された引きこもり眷属が居るって聞いたから巡回ついでに見に来ちまったぜ!・・・って金髪美少女か!うひょぉぉぉ!可愛いじゃん!!」

 

「女装野郎だけどな」

 

テンションの上がるサジにイッセーが先程自分も突き付けられた真実を告げるとサジはその場で四つん這いになって泣き出してしまった

 

「マジか・・・こんな事が在って良いのか!?何でこんなに世界は残酷なんだ!?」

 

俺がもしサジの立場だったら確かに世界すら恨んだかもな・・・

 

「ん?」

 

そんな時、ふと近くの茂みの方から此方に近づいてくる気配を感じた・・・巧妙に隠されてるな。下手したら気づかなかったかも知れない

 

「っ!皆さん!下がってください!!」

 

小猫ちゃんの上げた緊迫した声に皆が警戒を露にする

 

「おっとっと!バレちまったか。へぇ、悪魔さん方はこんな所でお遊戯かい?」

 

「アザゼル!」

 

イッセーが彼の名を呼ぶ事でその場の全員が目の前の人物の正体を知り、一気に臨戦態勢に入る

 

「止めとけ止めとけ。そこの人間以外じゃ束になっても勝負にすらならんぞ?むしろお前らが足かせになるだろうな。こっちの方から気配を感じたんで散歩ついでに見学に来たんだが、聖魔剣使いは居ねぇのか?」

 

「木場なら居ねぇよ!用がそれならとっとと帰りやがれ!」

 

「そっか。そりゃあ残念だ。だが俺は聖魔剣使い以外にも興味が在ってな・・・お前さんが有間一輝だな?」

 

俺ですか!?別にアザゼルさんに興味を持たれるような事なんて・・・考えてみれば結構あるな。コカビエルとかヴァーリとか・・・

 

「お前さんの持つ神器、『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)』は中々謎が多くてな。過去に存在したという記述だけは有るんだが滅多に世に出ない為かどんな能力なのかも、どんな禁手(バランス・ブレイカー)に至るのかも分かってないんだ。良かったら俺ん所の研究所に来ないか?特別待遇で迎えてやるぜ?」

 

特別待遇(SAN値チェック)ですね。分かります

 

「俺の仲間は渡さねぇぞ!」

 

「イッキ先輩は渡しません!」

 

「はは!こりゃ警戒されたもんだな。別に引き抜こうとかって訳じゃあ無いんだが・・・で?どうなんだ?」

 

「見ての通りですよ。と言うか万一ここで貴方に付いて行って無事に戻ってきたとしても、後で心配掛けた皆に袋叩きにあう未来が見えるんですけど、その辺りの事は保証してくれるんですか?」

 

皆に加えて小猫ちゃんが黒歌に愚痴を溢しでもしたら俺の私生活が死ぬわ!

 

「そいつは流石に保障出来んな。しゃーない、お前さんの事も今は諦めるか―――さて後はそこのヴァンパイア」

 

「ひぃ!」

 

急に声を掛けられたギャスパーが木の後ろに隠れるけど、流石にそれじゃあ下級堕天使の一撃も防げないんじゃないか?

 

「お前さんが持つのは『停止世界の邪眼(フォービドウン・バロール・ビュー)』だな?五感から発動するタイプの神器は持ち主の能力が低いと暴走の可能性が高く、危険なんだ」

 

次にアザゼルさんの視線がサジに移り、堕天使の親玉に見られた事で少なからず委縮してしまう

 

「丁度いい。お前さんの持つそれは『黒い龍脈(アブソーション・ライン)』だな?鍛錬ならそいつをヴァンパイアに接続して余分な力を吸い取ってやれば良い。暴走もしづらいだろう」

 

「コイツにそんな機能が?」

 

サジが興味深そうに自分の神器を見つめる

 

「なんだ知らなかったのか?ったく悪魔って奴は神器持ちの人間を転生のステータスとして扱うクセに神器そのものに興味が無い奴らが多すぎるぜ。そいつは五大龍王の一角、黒邪の龍王『ヴリトラ』の力を宿していてな。力を吸い取ったり、短時間なら自分以外のモノに接続する事もできるんだ―――そうそう、もっと手っ取り早い方法が有るぞ。赤龍帝の血を飲む事だ。ドラゴンってのはその血液にまで力が強く宿っている。ヴァンパイアなんだろ?試してみると良い」

 

そしてそのまま「後は自分たちで何とかしろ」と立ち去って行った

 

「アレが堕天使の総督か・・・何とも掴みどころの無い男だったな」

 

ゼノヴィアがそう言うが確かに終始飄々としてたけど内容だけ振り返ればアドバイスするだけして帰って行ったよな、あの人

 

 

 

 

 

その後、サジも協力しながらギャスパーの神器を制御する特訓を行ったが上手くは行かずに終にはまた自分の部屋に閉じこもってしまった

 

「ギャスパー!出てきて頂戴!無理に外に出そうとした私も悪かったわ!」

 

しかし部屋の中からはギャスパーの泣き声しか返ってこない

 

「すみません部長。大事な会議の最中に呼び出してしまって・・・」

 

「いいえ、貴方たちはギャスパーの為を想って頑張ってくれたのだし、謝る事じゃないわ」

 

「あの、部長。ギャスパーは何で引きこもりになったんですか?正直あの恐がり方は尋常じゃないと思うんですけど」

 

「そうね。確かにそこから話しておかなければいけなかったわね」

 

それからのリアス部長の話を纏めると

 

1.吸血鬼は悪魔以上に血統を重んじる種族である

 

2.ハーフである彼は周囲の大人たちから差別・迫害を受けていた

 

3.神器を無意識に発動させてしまう為、そういった思想に染まり切っていない周囲の子供たちからも大人たちと同様の扱いを受けていた

 

と言った感じだ・・・子供のころからそんな環境で育てば他人が恐くもなるよな

 

「折角お兄様にも封印を解く許可を頂いたというのに・・・これでは『王』失格ね」

 

「部長!大丈夫です!ギャスパーの事は俺に任せてください!折角俺にも初めて出来た後輩男子なんですから、何とかしてみせます!おうイッキ!お前もイヤなんて言わないよな!?」

 

「ここに来てそんな薄情な事言う気は流石にないよ。とことん付き合ってやるさ!」

 

ここで見捨てたりしたら後味悪すぎるしな!

 

「あ、イッキはダメよ」

 

ホワイ!?

 

「何でですかリアス部長!?俺今、結構内心燃えてたんですよ!?」

 

「そうですよ部長!何でイッキがダメ何ですか!?」

 

「御免なさい、言い方が悪かったわね。実は魔王様方が貴方にも聞きたいことが出てきたと仰ってね。祐斗の話もそろそろ区切りがつく頃だったから出来れば貴方も連れてきて欲しいと言われているの・・・人間の貴方には一応拒否する権利も有るけれど、どうする?」

 

まさかの魔王の連名ですか!?やっぱりコカビエル倒したせいかな?

 

「あ~、イッセー。付き合うって言ったばっかで悪いんだがギャスパーの事は任せていいか?トップ会談を間近に控えたこの時期の魔王二人の呼び出しを断る勇気はちょっと無いわ」

 

「いやいや、お前は何も悪くねぇだろ。まぁそういう事ならこっちは任せとけ!・・・逆にお前の方が大変なんじゃないか?魔王様からの質疑応答とか俺なら想像するだけで胃が痛くなるね!」

 

それを言うなよ・・・でもまぁノリの軽い魔王を実際に見た後だからに大丈夫だと思うがな

 

「ふふ、大丈夫よ。そんなに時間は取らせないそうだから―――ではイッセー、私とイッキはもう行くからギャスパーの事はお願いね」

 

「はい!絶対にギャスパーと打ち解けて見せます!」

 

イッセーの返事を聞き俺とリアス部長は打ち合わせ場所に向かう

 

転移していった先は悪魔の管理する高級ホテルで、本来そこの客でなければそのフロアに近づくことも出来ないVIPルームだった。扉の前には両隣にSP(悪魔)まで居る

 

「失礼します」

 

ノックして先に部屋に入ったリアス部長に続いて部屋に入る

 

「よく来てくれたね。急な呼び出しだったのに来てくれて礼を言うよ」

 

「こんばんわ☆ゴメンねぇ♪ビックリしたでしょ?」

 

ホテルの部屋のくせに2階建てとか庶民の俺には意味が分からないんだけど!?もはや屋敷とも言える内装でその中の応接室的な所にサーゼクスさんとセラフォルーさんが座り、机を挟んで祐斗と朱乃先輩が立っていた。机の上には聖魔剣が置かれている

 

「丁度彼との話も終わった所でね。さぁ席に着いてくれたまえ」

 

促されてリアス部長と一緒に魔王さん達の対面に座る

 

「さて、早速だが今からする話に入るに当たってキミに先に謝っておこう。実は我々はコカビエルとの戦いの顛末を聞いてから秘密裡にイッキ君の事を調べさせてもらっていた」

 

「はい」

 

魔王という立場上当然と言えるからな。でも俺も黒歌も暫く警戒していてもそれらしい気配は特に感じなかったんだよな?

 

「キミレベルの仙術使いともなれば下手に探りを入れれば逆に気づかれてしまうからね。間接的にキミの情報を探っていたんだ」

 

「そしたらキミがここ数年、京都でよく目撃されているって分かってね☆そっちから調べてみたらなんと京都を中心に関西を取り仕切る九尾のお姫様の娘さんの婚約者って情報が上がってきたのがついさっきなの☆」

 

そっちかぁぁぁぁ!!そっちから来るか!!婚約者と言うワードにリアス部長達が驚愕してるのが見なくても伝わってくる!

 

「我々も魔王という立場である以上ハッキリと裏は取らなくてはならなくてね。今回の一件に置けるキミの立ち位置と言うものをキミの自身の口から明言してもらいたいのだよ」

 

そりゃ下手したら日本の妖怪とか日本神話まで会談に食い込んでしまいかねないからな

 

「・・・今回の一件はコカビエルが町ごと破壊しようとした所に偶然にも居合わせただけであって、関西の妖怪の意向は一切関わり有りません———まさか降りかかる火の粉を払うなとも友人を助けるなとも言いませんよね?」

 

「はっはっは!安心したまえ。そんな狭量な事は言わないさ―――キミの立ち位置は理解した。トップ会談にあたり今言った事は教会側、堕天使側にも伝える事になるが、構わないね?」

 

悪魔側にもバレてるなら残りの勢力にも多分バレてるだろうしな

 

「はい、問題ありません」

 

「有難う。では、話はこれで終わりだ。有間一輝君、木場祐斗君。二人は退席してくれたまえ」

 

「「失礼します」」

 

祐斗と二人で頭を下げ退室する。そしてそのフロアから出た辺りで祐斗から声が掛かった

 

「それにしても、まさかイッキ君に婚約者がいるとは思わなかったよ。それも九尾の狐と言えば僕でも知ってる大妖怪じゃないか」

 

「九尾の八坂さんには何時も振り回されてるよ・・・娘の九重は素直な子なんだけどな」

 

九重はどうかそのまま真っ直ぐに育って欲しいものだ。黒歌も小猫ちゃんも八坂さんも弄ってくるキャラだから唯一の癒しキャラなんだから・・・

 

話している内にVIPフロアを抜けて転移の術式が使えるようになったので学園に転移して祐斗とギャスパーの部屋に入ると楽しそうに話している二人を見つける

 

「流石だねイッセー君。もうギャスパー君と打ち解けているのかい?」

 

「おう!二人とも話は済んだのか?丁度良かった。実は今オカルト研究部男子チームの連携を考えていたんだ!」

 

「へぇ!それは興味があるね」

 

そしてイッセーは拳を握り熱く語る

 

「まずは俺が溜めた力をギャスパーに譲渡し、時間を止める!そして止まった時間の中で俺は女の子の胸を触り放題だぁ!」

 

「・・・それ、俺たち要るのか?」

 

「・・・うん、僕たちは必要ないよね?」

 

「そんな事はない!まず木場はもしかしたら停止した時間の中でも襲ってくる敵が居るかもしれないからその時はおさわりタイム中の俺を命がけで守ってくれ!そしてイッキは仙術の探知で停止世界の女の子たちの居場所を把握して俺が最大効率でおっぱいを揉みまくれるルートを割り出すんだ!・・・完璧な連携だろう?」

 

ああ、完璧過ぎて文句の付け所『しか』ねぇよ!

 

「イッセー君。僕はあの時、仲間たちの剣となると誓ったけど・・・一度、今後の事を真剣に話し合おうよ」

 

「ハッキリ言ってやれよ。そんな事の為に剣を振るいたくは無いって」

 

「うっせぇ!俺なんか女子と話してるだけで汚れるとか毒が回るとか言われてんだ!こうでもしないと女の子に触れられないんだよぉぉぉ!!」

 

何時もリアス部長やアーシアさんに抱き着かれておいて何を言うかこいつは!

 

「やぁ。仲良く話しているみたいじゃないか」

 

イッセーが泣きながら最低な事を喋ってる間に部室の扉が開いてゼノヴィア、アーシアさん、小猫ちゃんが入ってきた

 

「どうしたんだ皆?家に帰ったはずだよな?」

 

イッセーが疑問を呈す

 

「あの後、やはりイッセーにだけギャスパーの事を任せるのは違うと思ったものでね。何か良い方法は無いか3人で色々と考えたんだ」

 

「ギャーくんも大切な仲間だから、コレ、お土産」

 

投げられたのはニンニク。座っていたギャスパーが驚いて思わず飛び跳ねる・・・と同時にゼノヴィアがギャスパーに紙袋を頭から被せた

 

「アーシアのアイディアなのだが、被り心地はどうだい?」

 

「え?・・・アレ?なんかコレ、落ち着きます」

 

「ギャスパー君がパソコンで契約していると仰ってたので、相手の方とハッキリ顔を合わせなければ大丈夫なのかもと思いまして」

 

「な・・・成程。だけどコレは得も言われぬ威圧感があるな・・・変人的な意味で」

 

「確かにな。でも効果は実証されたんだし・・・ギャスパーの女装と合わせるなら濃いめのベール付きの帽子を被ればいいんじゃね?深窓の令嬢的な感じで」

 

「いやイッキ!なに無駄に的確なアドバイス入れてんだよ!」

 

悪いイッセー、俺も一瞬想像しちまった自分を殴りたくなったわ

 

「皆さん僕なんかの為にここまでしてくれて有難うございますぅ!でも僕この被り物があれば悪魔としても吸血鬼としても1歩前に進める気がします!」

 

そうか、頑張れよ。・・・そうとしか言えんわ




やっとトップ会談ですね色々と駆け引きしないといけません

後オリ主の神器は過去存在したけど記録はろくに残ってないという形にしておきました。でないとアザゼルさんがマジで目の色変えそうだったので・・・

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