翌日、イッセーは朱乃先輩に連れられて神社に行きその後、迎えに行ったリアス部長も含めて3人で部室に戻ってきた
「うふふふ♡」
朱乃先輩をその腕に引っ付けて・・・あの様子からして朱乃先輩とのフラグを完全な物としたようだ。この一級フラグ建築士め!
「朱乃、もう行くわよ!イッセーから離れなさい!」
「あらあら、残念ですわぁ。またねイッセー君。今度は二人っきりになりたいですわね」
中々離れようとしない朱乃先輩をリアス部長が引っぺがし、最後の会談の打ち合わせに向かっていった―――新たなライバルにリアス部長の嫉妬の炎が揺らめいてるな
「むぅぅぅぅ!!」
「痛たたたた!アーシア!何で俺は抓られてるの!?」
うん。ここにもう一人嫉妬する人が居たな。アーシアさんが可愛らしく頬を膨らませている
「う~む。アーシアは何を怒ってたんだろう?あ!そうだ!イッキ、木場、ゼノヴィア。お前らに見て欲しい物があるんだよ!」
見て欲しいもの?
「コレなんだけど。来い!『アスカロン』!」
『Brade!!』
イッセーが
「『アスカロン』だと!?かの聖ジョージが扱ったとされる
「実は今日朱乃さんに連れられて行った先で天使長のミカエルさんに出会ってな。そこでこの剣を貰ったんだよ―――何でも過去に一度三大勢力が手を結んだ切っ掛けとなった二天龍の俺への願掛けとか言ってたな」
願掛けって・・・考えてみればまだトップ会談前だってのに豪胆だな。もし和平とならなかったら聖剣がそのまま悪魔の手に堕ちるってのに・・・
「それで俺も折角こんなの貰ったんだし、これからは剣術の鍛錬も増やしていきたいと思ったからよ。剣を扱うお前らに相談しておきたくてな」
そういう事か。でも俺の場合はな・・・
「俺の剣って形状がアレだし、完全に我流だから指導は無理だな・・・模擬戦なら付き合うぞ」
「フム。私は前に教会の他の剣士に戦い方を聞かれた時『斬れる距離まで近づいて斬れ!』と言った事ならあるな。後は只管素振りと実戦あるのみだ!」
イッセーが何とも言えないといった顔で此方を見てくる———悪いな指導の役には立ちそうにない
「・・・あはは、基礎なら僕が教えて上げられるよ」
「木場!良かった!まともな剣士が一人は居た!!」
悪かったな。まともじゃなくて・・・と言うか俺は兎も角ゼノヴィアはそれは如何なんだ?仮にも教会で正式に指導を受けたんだよな?
その後は今日もギャスパーの神器の特訓を行った
ギャスパーが制御を誤って全体時間停止を発動させた時に思い付きの実験を手伝って貰ったりしてその日は過ぎていった
トップ会談当日、オカルト研究部員の内ギャスパーと小猫ちゃんは留守番となった
「御免なさいねギャスパー。まだ力を制御できていない貴方がもし神器を発動させてしまったら大変な事になるわ。今日の所は此処で私達の帰りを待っていて頂戴・・・小猫、ギャスパーと一緒に居てあげてね」
「はい、部長。ギャーくん、お菓子も沢山用意したから」
そう言って小猫ちゃんは机の下から明らかにそこに収まるレベルじゃない大きさのお菓子が山のように積まれて入っている段ボールを机の上に置く
あのお菓子は9割小猫ちゃんが食べるんだろうな・・・そして如何やって仕舞ってたんだアレ?
「ギャスパー。紙袋もここに置いとくからな。寂しくなったら何時でも被れ!」
「はい!有難うございますイッセー先輩!」
それで良いのかギャスパー?
「それでは、行くわよ皆!」
リアス部長が声を掛け、全員で新校舎の会議室に向かって歩いて行く
既にこの学園には侵入も脱出も阻む三大勢力の共同結界が張られていた―――お互いがお互いの術式を監視できる為、手を抜けば直ぐに分かるという訳だ
『サボったら即糾弾するぞオラァン!』という結界担当者の熱意が伝わるようだな
それとは別に各勢力それぞれ20人程が思いっきり臨戦態勢で新校舎の上空で警護をしている
殺気半歩手前のギスギスした感情をぶつけ合ってるみたいだ
そしてそんな威圧が方々で飛び交う居心地の悪い空気にイッセーやアーシアさんがソワソワしたりしながらも俺たちは無事に会議室に到着し、代表のリアス部長が扉をノックする
「失礼します」
中に入ると今回のトップ会談の為に持ち込んだであろう豪華な円卓と椅子が部屋の中央にあり、そこには既にサーゼクスさんとセラフォルーさんにアザゼルさん、後は初めて見るけどミカエルさんが座っており、それぞれの後ろにグレイフィアさんにヴァーリ、イリナさんが控えている・・・こう言ったら失礼だけどイリナさんだけレベルが低いな
まぁミカエルさんは既にイッセーにアスカロンも渡してるみたいだし、彼としては自分から和平を切り出すつもりだったのかもな
そして壁際にはソーナ会長と椿姫副会長が立っており、俺たちもそこに並ぶ
「紹介しよう。私の妹とその眷属たちにその友人だ。先日のコカビエルの一件では彼女達が前線で活躍してくれた」
「お疲れ様でした。教会代表としてお礼を申し上げます」
「悪かったな。うちのもんが迷惑を掛けた」
アザゼル総督の頬杖を突いて此方に視線すら向けずに出る謝罪の言葉にイッセーを筆頭に皆が不満の表情を浮かべている
「では、会議を始める前に此処に居る全員は秘匿事項である『神の不在』を認知しているものとする。異論のある者は?」
サーゼクスさんの言葉に当然と言うべきか誰も口を挟まない
「よろしい。では会議を始めよう」
そうしてトップ会談の幕がゆっくりと開かれた
「・・・以上が私、リアス・グレモリーとその眷属が関与した事件の全容です」
「私ソーナ・シトリーも彼女の説明に偽りが無い事を証言いたします」
「ご苦労。下がってくれ」
リアス部長とソーナ会長から事件のあらましが語られ会談が本格的に動いていく
「それでは、今の報告を受けて堕天使総督殿の意見を伺いたい」
「意見も何もコカビエルの奴が勝手にやった事だからな。だから白龍皇に頼んで最悪の事態が起こらないように陰で動いて貰ってたのさ・・・まぁその前にそっちの有間一輝が片づけちまったんだがね」
「コカビエルが戦争を起こそうとしていた事自体はあずかり知らぬ事だと?」
「ああ、俺は今更戦争になんざ興味はねぇんだよ。今の報告にも有ったろ?コカビエルがさんざっぱら俺の事をこき下ろしていたってよ」
「不満分子って事ね」
「ハッ!不満分子なんざ何処の勢力でも一緒だろ?悪魔も教会も、きな臭え噂なんざ耳を塞いでても聞こえてくるぜ?」
「それは今回の一件とは関係の無い事だ」
「だろうな―――だからもう回りくどい事は無しだ・・・とっとと和平を結ぼうぜ」
その言葉にイッセーたちは驚きを示すが他の三大勢力のトップたちはどうあれ和平という流れになる事自体は決めていた為か静かなものだ
「ええ、和平を否定する気はありません。神も魔王も既に居ないのですから・・・」
「『神が居ない』か・・・昔ならその言葉だけで堕ちてたぜ?さて、サーゼクスたちは和平は賛成か?それとも反対なのかな?」
「これ以上今の危うい均衡のままでは、遠からず我らは共倒れとなるだろう。我々も和平に賛同しよう」
「そいつは結構。問題は三すくみの外側に居ながら世界を動かせる程の存在である二天龍。お前らの意見を聞きたい―――先ずはヴァーリ、お前からだ」
「俺は強い奴と戦いたい、それだけだ」
「心配するな。戦争が無くても強い奴なんてわんさか居るさ―――次はお前だ兵藤一誠」
「うえぇ!そんな小難しい事いきなり言われても・・・」
トップ会談で自分の意見を求められると思ってなかったイッセーが面白いほどに慌て始める
「なら、お前さんにも分かり易く伝えてやろう―――和平が成れば毎日子作りだ!」
「はぇ?」
予想外かつ簡潔過ぎる事を言われたイッセーがまた止まってしまう
「戦争が終われば、数の少ない俺たちの次に目指すところは種の繁栄。すなわち子作り!だが逆に戦争ともなればそんな暇も無く戦場に送り出される事だろう・・・それで?どうなんだ赤龍帝。和平か・・・それとも戦争か」
「是非とも和平でお願いします!俺は部長とエッチがしたいです!!和平最高!!」
世界の行く末を左右しかねないトップ会談でそんな事叫ぶとはお前は本当に大物だよイッセー。見習いたくはないけどね。リアス部長が顔を真っ赤に染めてるし、これ他の人が議事録読んだ時とかどんな反応するんだろう?
「イッセー君?此処にはサーゼクス様も居られるんだよ?」
「あ゛!」
当のサーゼクスさんは笑いを堪え切れないみたいで机に半ば突っ伏してしまっている
「じゃあ次の議題ね☆今まで小競り合いは数あれど、コカビエルが起こしたのは特に危険性が高かったの☆だから今回の一件を収めた功労者には褒賞を出す事にしたのよ☆」
「それに該当するのは3名―――兵藤一誠君。木場祐斗君。有間一輝君の3名だ。理由としてはまずイッセー君は事件の全容が見えない中でも自らの危険を顧みずに聖剣の破壊を申し出た仲間を想うその実行力と、戦いでは赤龍帝の力で常に全体をサポートしてくれた事が上げられる」
「もっともドライグ君の褒賞は一足先にミカエルちゃんが渡しちゃったんだけどね☆流石にそれに加えて私達からも出したら過剰になっちゃうから我慢してね☆」
セラフォルーさんにウィンク付きでそう言われたイッセーは「は、はい!」と返事をする。そりゃ伝説の聖剣の価値が低い訳がないか
「次に祐斗君だが、
サーゼクスさんに問われた祐斗は少し考えた後、ミカエルさんの方に向き直った
「ご存知でしょうが僕は聖剣計画の生き残りです。今後二度とあのような非人道的な実験が行われないように組織の引き締めをお願いします―――その為ならば僕の聖魔剣のデータをそちらに渡しても良いと考えています」
「分かりました。確かに聖魔剣のデータがあれば・・・聖剣だけが絶対の武器で無くなればあのような無謀な実験の抑えとなるでしょう。貴方の聖魔剣に誓い、尽力すると約束しましょう」
「有難うございます。ミカエル様」
頭を下げる祐斗にイッセーが「やったな!」と肩を組む
最後にサーゼクスさんが此方を向く
「では最後にイッキ君。キミの希望は?」
その言葉に一度深く息を吐き、サーゼクスさんを見つめ返す。もしもこれで失敗したら逃亡生活かも知れないな。京都にも迷惑は掛けたくは無いし・・・
「恩赦をお願いします」
「・・・恩赦?それは一体誰の事だい?」
流石に俺の要求が予想外だったのか若干困惑しながらも問い掛けてくる
「はい。リアス・グレモリーの眷属、塔城小猫の実の姉であるSS級はぐれ悪魔、黒歌の恩赦をお願いします」
・・・さて、ここからが正念場だな
「ちょっと待てよイッキ!黒歌ってあの黒歌さんの事か?それが小猫ちゃんのお姉さん!?」
「イッキ!それはどういう事!?説明しなさい!!」
イッセーは兎も角リアス部長も冷静さを欠いてるな。自分の眷属である小猫ちゃんが絡む事なんだから当然といえば当然なんだけど
「ふむ。私も詳しく聞きたいね。流石に事情も聴かずに恩赦を出す事は出来ない」
サーゼクスさんの言う事はもっともなので先ずは黒歌から聞いた当時の状況を説明する
ナベリウス家で眷属及びその親類縁者が非道な実験を受けていた事や黒歌が眷属入りする時に結んだ『妹には手を出さない』という契約を破り、小猫ちゃんに無理やり力を使わせる事を画策していた事などだ
「そも契約を重んじる悪魔が一方的に契約を破棄し、家族に手を出すというのは悪魔側の失態です・・・昔の貴族制なら『貴い血』の為ならばそれ以外の血などいくら流そうとも許されるなんて時代もあったみたいですが、サーゼクス様、セラフォルー様、お二人はどちらの側ですか?」
この場で重要なのは黒歌が言った事が本当に有ったのかどうかかも知れないが、ぶっちゃけ無実の証拠と言える物なんてないから先ずは反対しにくい所から攻めさせてもらいますかね
「・・・私も『貴族だから』で許されるような事は在ってはならないと思っている」
でしょうね。だからこそ貴方は魔王になったはずですし・・・
「だが、今の話には証拠と言えるものが無い。その辺りの事はどう考えているのかね?」
「確かに証拠は無いですね。ですがそれはそちらも同じでしょう?ナベリウス家の不正が無かったという証拠も無い・・・いえ、無さ過ぎたんじゃないですか?」
この切り返しにはサーゼクスさんも眉を上げる
「小猫ちゃんをグレモリー家が引き取る際、ナベリウス家の事件は調べましたか?当時、ナベリウス家がレーティングゲームに出場する時は突き抜けて優秀だった黒歌以外の眷属は薬や実験の後遺症でやつれてボロボロだったはずです。実際黒歌も眷属のしわ寄せがよく自分の所に来たと言っていましたからね。レーティングゲームなら記録映像が残っているはずです。それを専門家に見せればある程度の証拠にはなるはずですよ?」
流石にレーティングゲームの公式記録までは手が回ってないだろう
「では、ナベリウス家に特にめぼしい資料が無いとされていたのは・・・」
「それだけ見られたら不味い実験内容が有ったと考えるべきでしょうね。だからこそ証拠を消した―――捜索される前に消したのか、捜索隊こそが息の掛かった者たちだったのかまでは分かりませんが、仮に後者ならナベリウス家以外も関わっている可能性が高くなりますね」
具体的には元祖ルシファーに仕えてた悪徳研究者のネビロス家とかね
「ふむ。確かにその可能性は無いとは言えないね」
「俺から言える事は以上です」
暫く考えを纏めていたサーゼクスさんが此方を向く
「流石に今すぐに結論を出す事は出来ない。当時のレーティングゲームの様子の解析を秘密裡に行いそれ次第で恩赦の有無を決めよう」
「それでは追加で、もしも恩赦が成らなかったらこの会談で黒歌の名前が出た事は忘れると誓って下さいますか?」
万が一の時の保険は掛けておきたいしな
「分かった、そうしよう。セラフォルーも構わないかな?」
「うん☆私も大丈夫!」
しかしそんな二人の返答に茶々を入れる人物が居た
「だが良いのかい?有間一輝。その黒歌って奴はどういう経緯にせよ今は犯罪者なんだろう?お前さんの頼みなんて無視してこっそり討伐隊が組まれるかも知れないぜ?」
意地の悪い質問だけど、そんな事は無いって分かって言ってるだろこの人・・・凄くニヤニヤしているし
「先ほど和平をなすと決まりました。そんな中で三大勢力のトップの決めた功労者の一人の願い事をそんな形で破れば天使・堕天使に付け入る隙を与えますし、仮にそうなったら黒歌と一緒に逃避行しながら色んな神話体系の関係者に三大勢力は信用ならないと大声で宣伝して回る事にでもしますよ―――三大勢力が和平を結んだとなれば他の勢力も無視できない。戦争回避の為にも和平交渉を続けていくつもりでしょう?そんな中で俺たちが騒ぎ立てるというのはとっても面倒くさいと思いますよ?」
だからこそトップが集うこの場で恩赦の話を持ち出したのだし・・・もしも先日呼び出された時に褒賞の話が出ていたら「会談までには決めておく」と先延ばしにしていただろう
そう答えるとアザゼルさんは心なしか詰まらなさそうな面持ちだ・・・狼狽える様子が見たかったんですね
「ったく詰まんねぇ野郎だな」
・・・真正面から言われちゃったよ―――いいだろう、ならば少し脇道に逸れてくれる!
「因みにソーナ会長。逃亡する時はイッセーの使い魔、竜子を拉致って行きますね」
「お姉様!絶対に恩赦を成功させて下さい」
メガネをクイっとかけ直しながら圧を込めたソーナ会長の声が響き渡る
「お前、イッキ!俺の竜子を!ソーナ会長のおっぱいを人質に取る気か!」
「酷いわイッキ!最近漸くソーナが私の胸を恐い目で見なくなってきたのに!そんな事をすればソーナが
「・・・お二人とも、後でお話があります」
「大丈夫よソーナちゃん☆ソーナちゃんのお胸なら、例えどんな大きさでもお姉ちゃんが愛して上げるんだから☆」
「
チラッとアザゼルさんの方を見ると爆笑していた。やっぱりDxDにはこういうノリが必要だよな
「まぁそう心配しないでくれたまえ、私やセラフォルーもこれでも魔王だ。その上当時のナベリウス家の不審な状況に加え、キミの功績を合わせれば何とかなるだろう」
「有難うございます」
取り敢えずはこんな所だろうか?そう思っていると今度はミカエルさんからの提案がなされた
「しかし彼は今回の一件では一番の功労者です。追加で褒賞を出しても良いのでは?」
「ったく、ミカエル。お前さんのお人好しは神が居なくなっても変わらねぇな。少しは俺にもその優しさを分けて欲しいもんだよ・・・やっぱいいわ。俺に優しいお前とか鳥肌が立つわ!」
顔を青くさせて"ブルリ"と背筋を震わすアザゼルさん・・・凄い拒否反応出てるな
しかし追加報酬ね・・・そこら辺は何も考えて無かったな。流石は和平後のアザゼルさんに「天界のバックアップ体制は超が付くお人好し」と言われる組織の長だわ
何かないかと周囲を見渡しているとその中の一人に目が留まる―――思い付きだけどコレでいいか
「アザゼル総督。フリード・セルゼンは今どうしていますか?」
「あ?フリード?お前があの神父に何の用が有るんだよ?まぁ答えると今は俺の所の
良かった。まだ手元に置いてたか
「はい。フリードには祐斗の同志から抜き取った聖剣の因子が三つ入っています。天界側と協力して因子を抜き取り、彼に返して上げてください」
すると祐斗の方から息を呑むような音が聞こえてきた
「そういう話でしたら喜んで協力しましょう。アザゼルも良いですね?」
「分かったよ。・・・つっても俺はそのフリードの奴を引き渡すだけだがな」
「イッキ君・・・有難う」
「気にすんな・・・今のは本当にただの思い付きだからな」
だがそこでここ最近何度も味わった神器の力の高まりを感じ取った
停止の力がこの部屋だけでなく学園全土を覆いつくしている
小猫ちゃんがギャスパーの護衛に付いている以上テロは起こってもギャスパーの神器が利用される事はないと思っていたんだけど、今はどういう状況だ?
取り敢えず朱乃先輩にアーシアさん、ソーナ会長と椿姫副会長以外は動けるみたいだな
いや、やはりと言うべきか外の警護の人たちも軒並み止まっているな
「さて、時代の節目には何時だって反乱が起きるもんだ。この状況もその一環だろう。上位の力を持った俺たちは兎も角、そっちの連中は聖剣が力を防いだみたいだな。兵藤一誠は赤龍帝の力、リアス・グレモリーは停止の瞬間そいつに触れていたからだな」
「停止能力を持ったものは滅多に居ない。ギャスパー君は敵の手に堕ちたと見るべきだろう」
「そんな!小猫ちゃんだって居たんですよ!?そんな簡単にギャスパーが利用されるなんて!」
「赤龍帝の疑問の答えはアレだろう・・・外を見てみろよ」
イッセーの、と言うより俺たちの疑問に答えたのは窓際に移動していたアザゼルさんだった
言われて外を見てみると学園を薄っすらと霧のようなものが覆っているのが見えた
「厄介なモンが敵に回ったみたいだな―――あの霧は
ここで
そしてその『次』とは上空に現れた巨大な転移魔法陣だ
あそこから直ぐにでもはぐれ魔法使いたちがわんさかと出て来るに違いない―――だが、上空の魔法陣が展開されたのと同時に学園に充満していた霧が晴れていった
「ん?『
確かに、あのプライドの塊(笑)の旧魔王派なら必要以上に『人間(下等種族)』が活躍するのなんて許せないって事なのかな?
だがそこで上空の魔法陣から多数のはぐれ魔法使い達が湧いて出てきた
小猫ちゃんが居るからギャスパーは大丈夫だとは思っていたけど、やっぱりこういう時の為に対策を立てなかった訳じゃ無いんだ―――昨日、ギャスパーの時間停止に対して色々試したからな
「イヅナ!!」
俺のオーラに守られて無事だったイヅナが飛び出し、そのまま一気に分身して本体のイヅナは仙術で俺のオーラと同調させる―――ここで重要なのは俺のオーラ『を』合わせるのではなく、俺のオーラ『に』合わせる事だ
そうする事でイヅナに一時的に俺のオーラ、【神性】を付与できるのだ
更にはイヅナは基本的に全てが同一個体、最大数まで分身したイヅナ達にも同じく【神性】が反映される事となる
そしてイヅナ達は止まってしまっている人たち全員の下に飛び立ち憑依する
本来は自分よりも力の強い相手には同意が必要だが時間停止と言う無意識の抵抗すらも無い今なら憑依が可能だ―――そして止まってしまっていた警護の人たちを【神性】の恩恵で再び動かす
彼らもいきなり目の前に魔法使いたちが現れた事に驚いたみたいだが、魔法使いたちもまたいきなり時間停止が解けた彼らに驚きそのまま乱戦に入っていった
「取り敢えずはこんな所ですね。混乱しているであろう彼らに状況の説明をお願いします」
「大丈夫。今、全体通信で軽く状況を伝えたよ」
「私の所もです」
「俺の所もだ。成程、味方が止まってしまったなら、また動かしてやれば良いって事か」
もう連絡済みだった・・・流石に切り替えが早いな
≪部長!聞こえますか?≫
そして朱乃先輩たちに軽く説明がなされる中、リアス部長の下に小猫ちゃんからの通信が入った
リアス部長も直ぐに情報共有の為に通信を全員に聞こえるようにする
「小猫!無事だったのね!?貴女は今どこに居るの!?」
≪私は今、体育館で魔法使いの集団と交戦中です。部室に霧が立ち込めてきたと思ったら急にこちらに飛ばされました。霧が晴れたと同時に通信が回復したので今連絡をいれた所です≫
「体育館ね。小猫の方に援軍は必要かしら?」
≪魔法使いは数は多いですが、大した事はありません。それよりもギャーくんが!≫
「ええ、分かっているわ。ギャスパーの事はこちらに任せて貴女は新校舎の方に合流して頂戴」
≪・・・分かりました。ギャーくんの事をお願いします≫
そうして通信は切れた
「部長。小猫ちゃんは・・・」
「通信しながら戦っていたくらいだから小猫の方は問題ないでしょう。今はギャスパーが優先よ」
「確かに、ギャスパー君の力が徐々に増していってるようだ。このままでは我々とて止まりかねん。それに、それ程の力を無理やり引き出されればギャスパー君自身もどうなってしまうか」
「なら!早くギャスパーを助けに行かないと!」
「リアス部長、ギャスパーは恐らくオカルト研究部に居ると思います。小猫ちゃんを引き離したならギャスパー自身は移動させる必要無いですし、それに部室にはどうにも結界が重ね掛けされている気配が有ります。お陰でギャスパーの気配は感じないですけど、あそこまで堅牢にしているなら間違いないでしょう。ただ、あの結界を破壊できる規模の攻撃を加えたら中に居るギャスパー諸共吹き飛びかねませんね」
せめて部屋の中のどの辺りに居るのかが分かれば、そこ以外を結界ごと壊せば良いんだろうけど消滅の魔力で扉を消し飛ばした余波でギャスパーの体の一部が抉れるとかシャレにならんしな・・・
「それなら大丈夫よ。部室には私の未使用の『戦車』の駒が保管されてるの」
「成程『キャスリング』か。それならば直接結界の中にも転移が可能だが、リアス一人を行かせるのは危険だな。私の魔力を使いたまえ、力業だがもう一人くらいは一緒に転移させられるだろう」
『キャスリング』
チェスにおいて『王』の駒と『戦車』の駒を一手で互いの位置を入れ替える特殊ギミックだ
敵の張った結界の中じゃ普通の転移は封じられてるだろうから部室に描かれてる魔法陣に転移とかは出来ないけど、持ち主とおそらくは魂レベルで強い繋がりを持つ
「サーゼクス様!それなら俺に行かせて下さい!部長の事は俺が絶対に守ってみせます!」
サーゼクスさんの提案に誰よりも早く反応したイッセーが同行を願い出る
「分かった。リアスの事をよろしく頼むよイッセー君」
「話は決まったみたいだな。あのヴァンパイアの小僧はその二人に任せるとして、外の連中の相手もせにゃならん。相手の数が多いから警護の奴らだけじゃ防戦で手一杯みたいだしな・・・つー訳でヴァーリ。どうせ退屈してたんだろ?ちょっくら外で暴れてこい。白龍皇が出れば戦況もこっちに傾くだろうしな」
「・・・ふっ、了解」
そうして
「サーゼクス様、魔法陣の用意が整いました」
どうやら今の間にグレイフィアさんが特殊な転移魔法陣を用意し終えたみたいだ
「おっと!兵藤一誠。コイツを持っていきな―――このリングをあのヴァンパイアの小僧に付ければ神器の力を抑えられるはずだ」
そうしてリングを手渡されたイッセーとリアス部長が魔法陣に乗り込む
「転移すれば即戦闘になるだろう。気を付けて行ってきまえ」
「「はい!」」
そうして転移して行った二人・・・アレ?イッセーの
上げるだけ上げといて使い道の無かった【神性】を此処で使ってみました。
悪魔に【神性】って大丈夫なのかというのも【神性】自体は神の『システム』とは関係ないから問題ないと・・・ただオーディンと一緒に居てもイッセーたちがダメージを受ける訳じゃないのと同じ感じですね
黒歌の恩赦についてオリ主には頑張って貰いましたが当の黒歌も小猫もその場にいないという罠www