転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第五話 部長が、鳴ります!

リアス部長とイッセーがギャスパーの救出の為に転移して行った直後、会議室に魔法陣が現れた

 

「あの魔法陣は確か・・・レヴィアタンの紋章!!」

 

祐斗が魔法陣の紋章を読み取るがアーシアさんが疑問を溢す

 

「レヴィアタン・・・ですか?それは会長さんのお姉さんの?」

 

「いいえ違いますわアーシアちゃん。あの紋章は先代魔王の『レヴィアタン』の家系の物ですの」

 

朱乃先輩の注釈が入った直後、魔法陣から一人の女性が現れる

 

褐色の肌でメガネを掛けていて中々際どいタイプのドレスを着ている

 

「ご機嫌ようサーゼクスにセラフォルー。それと天使と堕天使の長よ―――貴方方には今此処で滅んでいただきます」

 

挨拶もそこそこに手にした杖で俺たちを新校舎ごと吹き飛ばす爆炎を放ってきた

 

「最大勢力のトップが揃って防御結界とは、何とも見苦しい!」

 

サーゼクスさん、ミカエルさん、アザゼルさんの張った俺たち全員を包み込む結界を見て完全に小馬鹿にした様子の女性に対しセラフォルーさんが声を掛ける

 

「カテレアちゃん☆いきなりどうしてこんな事を!?」

 

「セラフォルー!私から『レヴィアタン』の座を奪っておきながらよくも平然と私に声を掛けられますね!・・・なに、単に我々は貴方方が会談で出した答えと逆の結論に至ったのです。神の死を取り繕うだけの世界、この腐敗した世界を破壊し、大いなる変革をもたらすのです!———特にセラフォルー!貴女が穢した『レヴィアタン』の名を私が貴女を殺し、新たな『レヴィアタン』となる事で払拭して見せましょう!!」

 

実力不足を棚に上げて魔王の座を奪われたと確信している彼女が、特にセラフォルーさんに憎悪の瞳を向けながらも世界の変革を謳う

 

「カテレアちゃん☆何でそんなに怒ってるの!?私、魔王の職務はちゃんとやってるよ!?」

 

「惚けるんじゃありません!テレビのチャンネルを切り替えている時に貴女がふざけた格好をして『マジカル☆レヴィアたん』なんてモノが画面に映った時の衝撃を!貴女が理解できるはずが無い!!あの日から、レヴィアタンの使用人も領民も微妙に視線を逸らして来るのですよ!!———この屈辱はもはや貴女を亡き者にする事でしか晴らされないのです!!」

 

いえ、多分もう手遅れだと思います

 

「成程な、お前さんに関しちゃ大分私情が混じってたが、お前さんらの目的はサーゼクスたちだけで無く、世界そのモノって訳だ―――しかし腐敗だの変革だの、理由としたらカビの生えたチープな代物だ。そういうのは真っ先にやられる敵役のセリフだぜ?」

 

「私達の崇高なる使命を愚弄するか!」

 

「ああ愚弄するね・・・サーゼクス、ミカエル、ここは俺が闘るが構わねぇな?」

 

サーゼクスさんはアザゼルさんの確認に一瞬視線をそちらに向けた後、カテレアに対して最後通告を突きつける

 

「カテレア・レヴィアタン、下るつもりは無いのだな?」

 

「ええ、サーゼクス。貴方は良き魔王でしたが・・・残念ながら最高の魔王とは言えなかった!」

 

返ってきたのは明確なる拒絶と闘争の意思

 

「そうか・・・残念だ」

 

アザゼルさんとカテレアは濃密なオーラを纏いながら上空に飛び立つ

 

「旧魔王『レヴィアタン』の末裔、終末の怪物の一匹。相手としては悪くない―――いっちょハルマゲドンとしゃれ込もうか?」

 

「堕天使の総督如きが!!」

 

そうして空中でぶつかり合う二人だが、カテレアはパワーこそある方だけど攻撃が雑だな―――アザゼルさんとかポケットに片手突っ込んで余裕で相手してるし

 

「あの様子ならアザゼルの方は大丈夫だろう。後はあのゲートから湧いて出て来る魔法使いの排除だな。敵を全滅させるまで何時までも消耗戦をする訳にもいくまい。グレイフィア、あのゲートの解析及び解除を頼めるかい?」

 

「はい。お任せ下さいサーゼクス様」

 

サーゼクスさんの命を受けて早速手元に魔法陣を展開するグレイフィアさん。そしてそこにソーナ会長が進言する

 

「では、我々はその間に外の敵の殲滅に入ります。ゲートが閉じた後も敵の残党は排除しなければなりませんし、魔王様方に簡単に前線に出て頂く訳にも参りませんので」

 

「うむ。シトリー嬢の言う通りだな―――では皆には外の敵の相手を頼むとしよう」

 

「はい。では行きますよ皆さん―――アルジェントさんは此処に残って頂けますか?仮に大きな怪我をした時でもこの結界の中でなら安全に治療が受けられますので」

 

「は・・・はい!」

 

ソーナ会長が臨時で指揮を執り、おおよその方針を決める

 

「では、行きますよ皆さん!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

皆がそれに気合を入れた返事を返し、いざ!結界の外に飛び出そうとする

 

「あ、ゴメン。俺は此処(結界)に残るわ」

 

その言葉に若干つんのめった皆・・・何だろう。心なしか意気込んでいた皆からの視線が痛い

 

「それは何故ですか有間君?今更貴方が理由も無くそんな事を言うとは思いませんが・・・簡潔に説明をお願いします」

 

良かった。ちゃんと理由を聞いてくれた

 

「俺は今イヅナと気を同調させています―――実はこれが結構繊細な作業でして、戦闘と併用するとイヅナを介して皆さんと警護の人たちに付与した【神性】が解けてしまうかも知れません。戦闘中、敵の目の前で固まってしまうリスクが在るんですが・・・俺も戦いますか?」

 

マラソンしながら計算問題解き続けろって感じだからな

 

「いえ、そういう事情でしたら有間君はこちらに残って下さい」

 

そうして今度こそ皆は結界を飛び出し、外の敵を切り伏せ、焼き払っていく―――暫く戦っていた所で旧校舎の方からリアス部長たちが、体育館の方から小猫ちゃんがほぼ同時に合流した

 

イッセーと小猫ちゃんはそのまま戦闘に入り、リアス部長とギャスパーは結界の中に入って事情を窺っている

 

「・・・分かりました。では、私も敵の殲滅に入ります。———お兄様、ギャスパーの事をよろしくお願い致します」

 

だがそこでグレイフィアさんから言葉が掛かった

 

「サーゼクス様、たった今ゲートの解析が完了致しました―――ですがコレは・・・どうやらギャスパー・ヴラディの時間停止空間と連動している模様です。ゲートのみを破壊するのは少々時間が掛かるかと」

 

停止空間が広がってる限り、例えゲートを破壊しても直ぐに元に戻ってしまう訳か

 

「そ・・・それなら僕がこの停止空間を打ち破ってみせます!まださっきイッセー先輩の血を取り込んだ時の感覚は残ってるんです!今の僕なら出来るはずです、やらせてください!リアス部長!!」

 

リアス部長に振り向き、しっかりと視線を合わせて『やる』と主張するギャスパー

 

「ギャスパー・・・やれるのね?」

 

「はい!!」

 

力強い返事と共にギャスパーの瞳が輝く

 

「絶対に成功させる!僕だって・・・僕だって『漢』なんだぁぁぁぁ!!」

 

ギャスパーが叫ぶと同時に停止空間が解除され、ゲートもまた一緒に解除された

 

「よくやったわ!ギャスパー!!」

 

神器を制御してふらついていたギャスパーをリアス部長が抱きしめる

 

「では、私も敵の残党の始末に向かいます」

 

「俺も参戦します。もう此処に留まる理由も無いですから」

 

リアス部長がギャスパーをアーシアさんに預け、俺も停止していた皆に憑依させていたイヅナを敵の殲滅に向ける。魔法使いに一対一では勝てなくとも小隊を組んで対処すれば普通に勝てるからな

 

するとどうやら俺たちの様子を見ていた上空の二人の戦いも佳境に入るようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「下の方はそろそろ決着が付きそうだな。それに、お前さんじゃ俺にゃ勝てねぇよ」

 

確かに今までカテレアの攻撃は全てアザゼルにいなされていた―――だがそれにも関わらずカテレアはまだ余裕の様を崩さない

 

「私の力をこの程度だと見くびって貰っては困りますね。良いでしょう!まずは貴方に魅せて上げましょう!真なる魔王『レヴィアタン』の力を!!」

 

大仰に叫び、左手から出した魔法陣から黒い蛇が飛び出しカテレアの全身に絡みつく

 

直後にカテレアのオーラが一気に高まった―――単純なオーラの量だけで言えばアザゼルにも匹敵するだろう

 

「蛇・・・か。予想通りと言えばそうなんだが、まぁ確信が持てただけでも良しとするか」

 

そう言いながら懐を弄り、柄に紫の宝玉の付いた一本の短槍を取り出す

 

「見たいもんは見れたし、これ以上ちんたら戦う理由も無いからな。コイツでケリを付けさせてもらうぜ」

 

「それは?」

 

「コイツは俺の開発した人工神器の傑作、『堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)』。まだまだ完成と言うにはほど遠いがな―――そしてコイツが・・・禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

手に持つ短槍からドラゴンのオーラが迸り、次の瞬間にはアザゼルの全身を黄金の鎧が包み込んだ

 

禁手(バランス・ブレイカー)。『堕天龍(ダウン・フォール・ドラゴン・)の鎧(アナザー・アーマー)』———もっとも、一回ぽっきりの使い捨て方式だがな」

 

明らかに強化された自分よりも強いオーラを纏うアザゼルに思わずたじろいでしまうカテレア

 

「さぁ、来いよ。それとも恐くなったか?」

 

「・・・ッ!舐めるなぁぁぁ!!」

 

左手で手招きして挑発するアザゼルに対してカテレアは瞬時に怒りを表し、先ほどの恐怖など忘れて正面から突っ込んでいく

 

だがそんな隙の大きな突進を律儀に受けてやる必要のないアザゼルは手にした光の槍でカウンター気味に深く切り裂いた―――それだけでも重傷だが、悪魔である彼女は光によって全身を蝕まれていく

 

「ぐぅぅぅ!!このままでは終わりません!せめて貴様を道連れに!三大勢力の一角を屠れればこの身が滅びようとも意味がありましょう!!」

 

狂気に染まった目でアザゼルを睨みその手を無数の触手状に変えてアザゼルの左腕に絡みつく

 

「なんだ自爆か?ゴメン被りたいね。対価としちゃ安すぎる!」

 

相変わらずの軽い口調のまま右手に持った光の槍で躊躇なく左腕を切り落とし、体勢が崩れたカテレアにそのまま持っていた槍を投げつける

 

「お前なんざぁ・・・精々が腕一本がいいとこだよ」

 

強力な光の攻撃を受けたカテレアはそのまま塵となって消えていった

 

アザゼルは気にした風でもなく鎧姿を解き、切り落とした腕の断面を魔法陣で止血しながらも禁手(バランス・ブレイク)に使った紫の宝玉を手に取り口づけをして呟く

 

「まだ改良の余地が在るな。もう少し俺に付き合って貰うぜ?龍王ファーブニル」

 

 

 

 

 

 

 

上空でアザゼルさんがカテレアとの決着を付けてから程無く、増援の無くなった魔法使いの残党も全滅させた・・・が、決着がついたと油断していたアザゼルさんに背後から強力な魔力弾が叩き込まれ、地面に叩き落されてしまう

 

「痛たたたた・・・俺もヤキが回っちまったかな?この状況で反旗かよ?ヴァーリ?」

 

「悪いなアザゼル。和平よりもこっちの方が面白そうなんだ」

 

「まったく、俺はお前に『世界の害になるような存在には為るな』と言ったはずなんだがな―――さてと、なら一つお前に聞いときたい事がある」

 

アザゼルさんは堕天使の翼を広げ、ヴァーリと同じ位置に浮かび上がり問いかける

 

「ん?」

 

「うちの副総督のシェムハザが裏の世界の不穏分子を束ねている存在を察知してな・・・組織の名前は『禍の団(カオス・ブリゲード)』と言ったか?んで、その纏め役がウロボロス・ドラゴン『オーフィス』」

 

「『オーフィス』!まさか!!」

 

リアス部長が驚愕の声を上げ、それに反応したイッセーが聞き覚えの無い名について問いかける

 

「部長、オーフィスってのは?」

 

「無限の龍神。この世が生まれる前から存在していると云われる神も恐れたとされる最強のドラゴンよ」

 

「確かに俺はオーフィスと組んだ・・・だが俺もアイツも世界だの変革だのに興味は無くてね。力を目当てに連中が勝手にくっついて来ただけさ」

 

「成程な、俺はてっきりカテレアと仲良くつるんだのかと思ったぜ―――お互い、魔王の座を奪われた者同士でな」

 

アザゼルさんの『魔王の座を奪われた』という言葉にその場の皆が反応する

 

「俺の名はヴァーリ・『ルシファー』。俺は死んだ先代魔王ルシファーの孫である父と人間の母の間に生まれた混血(ハーフ)なんだ」

 

自らの出自を明かし、4対の悪魔の翼と1対のドラゴンの翼の計10枚の翼を展開するヴァーリに皆が息を呑む

 

「魔王の血縁でありながら、人間の血も混じっている為に偶然にも白龍皇を宿す事が出来たか・・・全くもって冗談みたいな存在だよ、お前は―――こいつは過去・現在・未来を通じて最強の白龍皇に為るだろうさ」

 

アザゼルさんの呆れたような軽口を余所に、ヴァ―リはイッセーに語り掛ける

 

「兵藤一誠、運命とは皮肉だとは思わないか?」

 

「なに!?」

 

「俺は魔王の血筋であり、ドラゴンの力も宿した最強の存在。対してキミはただの人間———キミの先祖も調べたが6代遡っても人外や魔法使いなどの血は全く入っていない・・・つまり、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)以外何も無い。悪魔に転生するまでのキミは余りにも普通の高校生だった。加えて、悪魔に転生してなお歴代でも最弱と言われる素質の持ち主だと聞いた時は思わず笑いが出たよ。神器はライバル同士だというのに、宿主たる俺たちには天と地以上の開きがあるのだからね」

 

「それが一体どうしたってんだ!?」

 

完全に見下されたイッセーが声を荒げ、ヴァ―リはそんな彼に良い事を思いついたばかりに一つの提案をする

 

「だから、こう言う設定はどうだろうか?俺がキミの両親を殺して、キミは復讐者となるんだ。そうすればキミも多少は重厚な運命に身を委ねられるだろう?———そうだ!折角だからキミの目の前で両親は殺そう。強い感情の波が有れば、もしかしたらその場で禁手(バランス・ブレイカー)に至れるかも知れないからね」

 

ヴァーリの余りに自分本位な提案を聞いてアーシアさんが「そ・・・そんな酷い事を」を声を漏らし、直後にイッセーの怒りの声が響き渡る

 

「ぶっ殺すぞクソ野郎!何で俺の両親がテメェの訳分かんねぇ理屈で殺されなくちゃならねぇんだよぉぉぉ!!」

 

『Boost!!』

 

イッセーの怒りに呼応して今まで以上に濃いドラゴンのオーラを発しながらヴァーリに突っ込んでいくが今の彼に敵うはずもなく普通に殴り飛ばされてしまった

 

「ぐぁああ!!」

 

『無謀だぞ相棒!ただでさえ実力差が在るのだ!禁手(バランス・ブレイカー)に為らなければ相手にもならんぞ!』

 

「ああ、アイツは俺なんかよりずっと強いんだろうけどよ!だからって、そんな理由でここで引ける訳ねぇだろぉが!!」

 

両親を殺すと言われ、絶対に退かないという意思を込めてイッセーが吼える

 

その覚悟を感じ取ったのかドライグがイッセーに提案を出す

 

『フ!もしも相棒にその覚悟が在るのなら俺が手を貸してやらん事もない―――相棒の体を俺に対価として差し出せば疑似的に相棒を禁手(バランス・ブレイカー)に至らせる事も可能だ・・・もっとも今の相棒が奴とまともに渡り合おうとすれば、体の大半以上がドラゴンに変貌してしまうだろうがな』

 

「上等!どうせ俺は最弱なんだ。それでアイツをぶっ飛ばせるならやってやるさ!!」

 

いやいやいやいや!!待て待て待て待て!!何意気込んでんの!?

 

今までは黙って成り行きを見ていたが流石に体の大半を対価にするのは黙って見てられない!

 

咄嗟にイッセーの傍に駆け寄り、声を掛ける

 

「ちょっと待てイッセー!おい、ヴァーリ!イッセーが強くなるんだったらそれで満足なんだよな?だったら暫くそこで待ってろ!!俺が直ぐにコイツを禁手化(バランス・ブレイク)させてやるからよ!!」

 

「何だよイッキ?俺を禁手化(バランス・ブレイク)させるって?そんな方法があるのか?」

 

『相棒の言う通りだ。禁手(バランス・ブレイカー)に至るには本来、劇的な感情の変化が必要だ。そんなものはそうホイホイと用意できるはずもあるまい?』

 

しまったぁぁぁ!!イッセーを止める為につい勢いのまま声を掛けたけど、コレどうしよう!?

 

イッセーの禁手化(バランス・ブレイク)の方法って『アレ』だよな!?え?何?俺が言わなきゃダメなの!?でもここまで来たら引くに引けないし・・・良いよ!分かったよ!導いてやるよ!!

 

「・・・イッセー。思い出せ!お前が一番最初に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に目覚めた時の事を!俺はお前に何てアドバイスした?」

 

「!!   俺の一番の想いは・・・おっぱいだって・・・」

 

「そうだ!それだけじゃない!お前が使い魔の森でギフトの力に目覚めた時も、ライザーとの戦いでパワーアップした時も!お前の心を占めていたのは一体なんだ!!お前が禁手(バランス・ブレイカー)に至るとしたら、その感情は怒りや憎しみによるモノなのか!?」

 

そうじゃないだろう?ドライグは赤龍帝だがイッセーはどっちかと言えば乳龍帝だろう!?

 

「いや!違う!俺の可能性をこじ開けてきたのは何時だっておっぱいへの想いだ!!」

 

「ならば戦場を見渡してみろ!お前を頂きに導く存在は、そこに居る!!」

 

俺の言葉を受けてイッセーの瞳にスケベ根性の炎が灯る・・・なんだろう?一応目論見通りに事が進んだはずなのに、何だかちょっと死にたくなってきた―――こんな大衆の面前(戦闘中)で何を言ってるんだ俺、否、俺たちは・・・

 

遠くから小猫ちゃんの「サイテーです」という声が聞こえてくるのは幻聴だと信じたい

 

「部長ぉぉぉ!!」

 

「ひえ!な・・・何かしらイッセー?」

 

イッセーの激しい剣幕にリアス部長が思わず後ずさる

 

「部長のお乳を突かせてください!!」

 

戦場の全てにもよく通る声量でイッセーの想い(スケベ根性)が放たれる

 

「な・・・何言ってるのよイッセー!?それに、こんな皆の前でそれをしろって言うの!?」

 

確かに・・・警護の人たちも居るから全部で70人くらいは居るんだよな

 

「俺が新しいステージに足を踏み出すには、部長のお乳が必要なんです!!」

 

「な・・・あ・・・あうあ・・・・」

 

イッセーの熱意に押されながらも流石にそんな悪目立ちはしたくないのであろうリアス部長が狼狽える―――もはや言葉にもならないみたいで両目がぐるぐる回ってるようだ

 

「リアス。ここでその頼みを聞いて上げなければ、彼は大きな代償を払う事になってしまうよ」

 

「私の払う代償(羞恥心)はどうなるのですか!?・・・もう!分かったわよ!でも、コレでもしもダメだったらいくら貴方でも許さないわよイッセー!!」

 

リアス部長の隣に居たサーゼクスさんが思考が定まってなかった彼女を諭し、リアス部長はやけくそ気味に叫ぶ

 

「大丈夫です!必ずヤリ遂げて魅せます!!」

 

『おい相棒!?本当にそれでいいのか!?そんな事で至るだなんて前代未聞だぞ!?』

 

ドライグのツッコミ虚しくリアス部長は戦場のド真ん中でその胸をさらけ出す

 

突然現れた美女のおっぱいにもはや戦場が一体となって無言でリアス部長の胸を凝視する

 

因みに天使の方々は何名か翼を白黒に点滅させていた・・・成程、アレが堕天の兆候か

 

「おいアルビオン。兵藤一誠はいったい何をしようとしているんだ?リアス・グレモリーが彼に対して乳房をさらけ出しているみたいだが・・・何かの儀式か?」

 

『知らん―――というより知りたくも無い』

 

今まで律儀に成り行きを見守ってきた白龍皇コンビからも困惑と拒絶の声がするが、そんな中でイッセーは重大な事に気づいたようだ

 

「!!   部長!右の乳首と左の乳首!どっちを押したら良いですか!?」

 

「し・・・知らないわよ!どっちでもいいから早く終わらせて!!」

 

「いえ!コレは重要な事です部長!適当に決めたら、もしかしたらその気の迷いが禁手(バランス・ブレイカー)に至るかどうかの分岐点になるかも知れません!しっかり答えてください!さぁ!オススメは!?」

 

無駄に漢らしい眼差しで最低な事を問い詰めるイッセーにリアス部長が「ばかぁ」と答えに窮しているとサーゼクスさんからのアドバイスが入った

 

「イッセー君、キミの先達として私が助言してあげよう―――右手と左手、何故腕は2本在るのだと思う?こういう時に両方突く為に在るのだよ!私もよくグレイフィアの胸を両方突いて鳴かせているものだ!!」

 

 

ッドバゴォォォォォォン!!

 

 

サーゼクスさんのアドバイス(赤裸々な私生活の暴露)にグレイフィアさんは顔を真っ赤にしながら手に持った巨大ハリセンからは考えられない爆音を響かせ、サーゼクスさんの頭を全力スイングで吹き飛ばす・・・あの威力、上級悪魔くらいなら即死だったぞ?現にサーゼクスさんは頭からダラダラと血を流してピクピクと地面に突っ伏してるし・・・

 

そんな惨状の中でもイッセーは呆然としながら自分の両手を見つめている

 

「両方・・・だと?この2本の腕にそんな意味が在ったなんて・・・流石は魔王様、思考レベルが遥か上を行ってるぜ」

 

そして"キッ!!"っと顔を引き締め、リアス部長に向き直る

 

「部長!今度こそいけます!!」

 

「何時まで待たせるの!?早くなさい!!」

 

ずっと胸をさらけ出したままだったリアス部長に急かされる中で、イッセーはゆっくりとその指を近づけていき、その淡いピンク色の二つの島を乳白色の海にズムズムと沈めていく・・・そして、その時は訪れた

 

「ぃやん♡」

 

瞬間、今までとは明らかに一線を画す、莫大な赤いオーラがイッセーの全身を包み込んだ

 

「この感覚は!僕が禁手(バランス・ブレイカー)に至った時と同じ!?」

 

「サイテーです。いやらしい赤龍帝だなんて・・・」

 

「あらあら、それでもリアスの胸でイッセー君が強くなるというのは少し妬けてしまいますわね」

 

「むぅぅぅぅ!!」

 

「そんな卑猥な手段で至れるなんて尊敬しますぅぅぅ!!」

 

『本当に至るとは思わなかったぞ相棒。だがそれにしても酷い!俺もそろそろ泣くぞ?』

 

皆が思い思いの感想を溢す中、イッセーは空中のヴァーリを睨みつける

 

「待たせたなヴァーリ!これが俺の禁手(バランス・ブレイク)!!赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイル・メイル)だ!!」

 

その言葉と共にイッセーを包んでいたオーラがさらに輝き、次の瞬間にはヴァーリの鎧とよく似たデザインの龍の鎧を身に着ける・・・色以外に違いといえばヴァーリのようなエナジーウィング状ではなく、まさしく竜の翼といった感じがする所だろうか?

 

「ふむ。何が起きたのかはよく分からんが本当にこの場で禁手(バランス・ブレイカー)に至るとはな。全く楽しませてくれる!」

 

『ドライグよ・・・お前・・・』

 

『何も言ってくれるなアルビオン・・・俺の今回の宿主は徹頭徹尾こういう奴なのだ・・・』

 

ヴァーリに関しては『何だか知らんが!兎に角良し!』と納得したようで、二天龍はドライグの方がその話題には触れて欲しくないようだった・・・アザゼルさん?ちょっと前から腹筋崩壊してますよ?

 

因みにミカエルさんは先ほど翼を点滅させていた天使たちをリアス部長が『鳴る』前に気絶させたみたいでした・・・良かった。どうやら新たな堕天使誕生とはならなかったみたいだ

 

それから始まるイッセーとヴァーリの今代二天龍の激突———しかし、いくら正当な禁手(バランス・ブレイク)をしたと言っても宿主たちの実力差が埋まった訳でもなく、直ぐにイッセーは追い詰められてしまう

 

だがイッセーが機転を利かしてヴァーリにギフトの力を用いる事で神器の誤作動を誘発し、動きが止まった所にアスカロンのオーラを込めた一撃が叩き込まれた

 

鎧を破壊され、何より龍殺しの聖剣たるアスカロンの一撃は悪魔でドラゴンなヴァーリにはよく響いたようだ―――だが吐血しながらも嬉しそうに鎧を修復して立ち上がる彼を見て、このままでは勝てないと悟ったイッセーがヴァーリの鎧を破壊した時に落ちた宝玉を拾い無謀な賭けに出る

 

「バニシング・ドラゴン、ヴァーリ!貰うぜ!テメェの力を!!」

 

気合と共に手にした宝玉を自らの右腕の宝玉に叩き込みその力を取り込む

 

暫く体の中で暴れ狂う力の奔流に絶叫を上げていたイッセーだったが遂には鎧の右腕部分が白龍皇の鎧のそれに変化した

 

『Vanishing Dragon power is taken!!』

 

『馬鹿な!!?こんな事はあり得ない!!』

 

目の前で起こった摂理に反する現象にアルビオンが否定の声を上げるが、逆にヴァーリは心底楽しそうな笑い声を上げる

 

「フハハハハハハ!面白い!その覚悟に敬意を表し、俺も本気を出そう!!」

 

その翼を大きく広げたヴァーリが新たな技を繰り出す

 

『Half Dimension!!』

 

見れば周囲の景色がどんどんと歪んで小さくなっていくようだ

 

超常の力に耐性を持たない学園の校舎などを筆頭に歪みが大きくなっていく

 

「何をしやがった!?」

 

「次元を歪ませています。このままでは非常に危険です!!」

 

突如として始まったヴァーリの全体攻撃にミカエルさんが危機を示す

 

「まともじゃ無いわ!?」

 

「まともじゃねぇのさ。ドラゴンを宿すような奴ってのは何処かな・・・物は試しだ、俺も有間一輝に倣ってもう一方のまともじゃねぇ所突いてみるか―――おい赤龍帝、兵藤一誠!お前にも分かるように解説してやる。ヴァーリのあの力は周囲のモノを半分にしていく・・・つまりだ、リアス・グレモリーのバストも半分に成っちまうぞ?」

 

アザゼルさんの説明を受けて鎧を着ていてもハッキリ伝わってくる程に衝撃が走っているイッセーだったが段々とワナワナと全身を震えさせていく

 

「ふっざけんなぁぁぁ!!」

 

『Boost!!』

 

「部長のおっぱいを半分にするだと!?」

 

『Boost!!』

 

「許さない!!」

 

『Boost!!』

 

「テメェだけは!!」

 

『Boost!!』

 

「許さないヴァーリィィィィィィィ!!」

 

『Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Booooooooost!!』

 

今までの家族を標的にされる事への怒りとか仲間への想いとかが何だったのかと問い掛けたくなる程の圧倒的な力をまき散らしイッセーがヴァーリを攻撃する

 

「ぐはぁ!?何だ今のスピードと威力は!?」

 

驚愕するヴァーリを余所にしてイッセーの猛追が続く

 

「テメェを野放しにしといたら!部長だけでなく、皆のおっぱいまで半分になっちまう!!」

 

遂にヴァーリを完全に捉えたイッセーがその想いを込めた連撃を叩き込む

 

「コレは、部長のおっぱいの分!!」

 

『Divide!!』

 

イッセーの右ストレートで先程ヴァーリから奪った半減の力が彼を襲う

 

「コレは、朱乃さんのおっぱいの分!!」

 

強烈な頭突きをかましてお互いのフェイスの部分が砕けて顔が露になる

 

「ゼノヴィアのおっぱいの分!!」

 

晒された顔面を左のフックが捉える

 

「成長中のアーシアのおっぱいの分!!」

 

膝蹴りが腹部に叩き込まれ衝撃で鎧に罅が入る

 

「そしてコレは、将来素敵に成長する小猫ちゃんのロリおっぱいの分だぁぁぁ!!」

 

『Transfer!!』

 

最後の一撃を繰り出す為にイッセーが再びアスカロンに力を譲渡し、渾身の左を叩き込んだ

 

「ぐっはぁぁぁ!!?」

 

堪らず倒れ込んだヴァーリだったが若干震えながらも立ち上がる

 

「面白い!面白過ぎる!!彼になら、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)を魅せるだけの価値がありそうだな!!」

 

『自重しろヴァーリ。先ほどのドラゴンスレイヤーの力がまだ響いている。この場でそれは良い選択ではない』

 

「俺はこの戦いをもっと楽しみたいんだアルビオン!」

 

『よせ!ヴァーリ!』

 

アルビオンの制止の言葉も聞かずに覇の呪文を唱え始める

 

イッセーは身がまえているが俺は内心無事に終わりそうだと胸を撫で下ろす―――そろそろ美猴が来る頃だろう

 

「我、目覚めるは 覇の理に全てを奪われし二天龍なり」

 

『ヴァーリ!!我が力に翻弄されるのがお前の本懐か!?』

 

「無限を妬み、夢幻を想う 我、白き龍の覇道を極め」

 

アレ?お猿さん?早く来てくれません?

 

「汝を無垢の極限へと誘おう!覇龍(ジャガーノート・ドライブ)!!」

 

唱え切っちゃったよコイツ!?

 




黒歌がこちらに居る以上、冥界合宿のヘルキャットでイッセーが禁手に至る理由が無いのでココで至って貰いました

次回はvs覇龍ですね。ヴァーリが原作で「人間」に覇龍を使ったのが曹操と幾瀬だけだったので次回はオリ主にも戦って貰います



☆ボツ案

「セラフォルー!私からレヴィアタンの座を奪っておきながらよくもぬけぬけと!!」

「何をそんなに怒って・・・ハ!?もしかしてカテレアちゃんも『レヴィアたん』に出演したかったの?」

「!!?」←自分でも気づかなかった心の内に気づいた


一ヵ月後、冥界テレビにて

「「魔法少女!ふたりはレヴィアたん☆始まるよ♡」」

レヴィアタン領の住人一同『ぶぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』




収集付かなくなりそうなのでやめましたww

お猿さん?遅刻中ですが何か?

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