「貴様、その身に神器を宿しているな?この地を管理する悪魔たちが戻ってきた時に下僕にされても面倒だ。ここで死んでもらおう。恨むのなら神と悪魔を恨むことだ」
目の前の男がそういった途端に世界がズレた感じがした
おそらくは認識阻害の結界の類なのだろう。・・・この中であれば多少派手に暴れても問題ないという訳だ、くそったれめ!
今俺達が居るのはグラウンドだから遮蔽物もないし、背中を見せたら後ろから刺されること請け合いだ
仙術で感知が出来るからって油断してた!感知できても別に
ハ〇ター〇ンターのクロロさんも言っていたではないか―――『凝』を怠るなと!
完全にこっちの油断が招いた事態だ・・・とりあえず少しでも時間を稼ごうと思い、目の前の男に話しかける事にする
「何の用でしょうかお兄さん。神とか悪魔とか・・・宗教の勧誘ですか?」
「・・・いいや勧誘ではない。どちらかと言えば解放だ。貴様には忌々しい我らが父の作った玩具がその魂にへばりついている。崇めてもいない神に押し付けられた物など不要だろう?ゆえに貴様の魂を堕天使という至高の種族である我が直々に解放してやろうというのだ。存分に我を賛美してもよいのだぞ?」
そう言いながら男はこれ見よがしに黒い翼を広げてきた
どうやらおしゃべりで且つ自分に酔っている奴のようだ
天使が堕天する理由は色々あるけどこいつはアザゼルさんのようにおっぱいつついて堕天したんじゃなくて高慢が原因で堕天したんだろう・・・
俺は今の間に仙術で辺りを探知してみたがあまり状況は芳しくはないな
結界は半径100mほどでその内側は感知できるのだが外側にはうまく力が働かないのである
フィルターを通して外を見るようでコイツ以外の堕天使が結界の内側にいないのは分かるが外側のどのあたりにいるのかが感じ取れないのだ
事前に感じ取っていた堕天使の気配は三つ、目の前の奴を倒して結界が解けたらすぐに気配を消して(自然の気に近くなるよう自分の気を調整して)距離をとることができたらベストだろう
そうと決めたらすぐに行動だ。相手はいつ光の槍を投げつけてくるか判らないのだから
「ふっっっ!!」
今の自分の最速で闘気を練り上げ、真正面から距離を詰めて顕現させた神器の右歯噛咬(ザリチェ)で渾身の力で斬りつける
“ギィン!”
光の槍で先手を防がれた!天を仰いでまで自己陶酔してやがったくせに!!
攻撃を防がれた上にその反動を利用して距離を取られ、上空に避難されてしまった。とはいえノーダメージではなかったようで奇形の剣であることが幸いし、槍で防がれたところ以外の刃は届いていたようだ。奴は斬られた左腕を右腕で押さえながら憤怒の形相でこちらを見ている
「キッサマァァァッァぁぁぁ!!下等種族の分際でこの俺様に傷を付けるなど許されるとでも思っているのか!このクッソガキがぁぁぁぁぁ!!ぶっ殺してやるぞぉぉぉ!!!!」
よほどお気に召さなかったようで瞬間沸騰している。・・・電気ポットにでも転職すればいいのにと頭の片隅で考えてしまうのはこれも一種の現実逃避なのだろうか?
幸い初めて『人型』に対して刃を振るったことに対する動揺は今のところ感じない
むしろ頭が熱く感じているのはアドレナリンでも分泌されてるのだろう。精神的に動けなくなるということは避けられ、手傷も負わせたが状況は最初よりも悪くなったといえる。何しろ攻撃が届かないのだ。気弾などを習得していない自分では割と詰みに近く、このままでは光の槍で一方的になぶられて終わってしまう
「どうしようか、【一刀修羅】はできれば使いたくないんだが・・・」
つい言葉が漏れてしまう
事実として【一刀修羅】を使えば敵がコイツ『一人』であれば問題ない。攻撃を見切って今度は逃げられないように背中にでも強化されたジャンプで張り付き、首を掻っ切ってやれば終わりだ。【一刀修羅】ならそれができる。しかし、後が続かない。・・・そこで異変を察知した残りの堕天使がやってきたら
『1.死んだ同胞 2.近くにいる満身創痍の神器持ちの男』これら二つを関連付けて答えを出しなさいとなる訳だ・・・俺が堕天使ならとりあえずぶっ殺すね!!!
クソッ!今まで何かと役に立って重宝してきた【一刀修羅】が実戦になった瞬間一気にダメな子になった!!
落ち着け!自分の手札を今一度確認しろ!
【特典その1.一刀修羅】この場は勝てるが追撃されたら死ぬ
【特典その2.
【特典その3.じばく】おそらく【一刀修羅】以上に動けなくなり、爆発の範囲は未確認なのでうまく巻き込める保障無し
!!!Fuck You!!!どうしろってんだよ!!もう殆ど詰みじゃねぇか!
「なにをぶつくさと言っている!!さっさと死ねぇぇぇぇっ!!!」
「うおっと!」
脳のリミッターを外しているから攻撃は遅いので避けることはできるが、コレも長くは続かない。脳に負担がいくから使い続けるとドンドンと頭痛がひどくなっていくのだ。それで動きが止まれば結局いい的だ!
チッ!バカみたいに光の槍を投げてきやがって、羨ましい!こちとら武器は二本だけなんだぞ!手放したら槍を受け流すことができなくなるし、だからと云って全てを避けるのは難しい。某赤い弓兵さんや原作のイケメン王子みたいに武器を複製して使い捨てることができるなら兎も角、俺の武器はこの2本だけなんだから
・・・いや待てよ?
確かに普通武器は投げたらそこまでだ。グングニルやゲイボルグのように投げた後で手元に戻ってくるといった能力は
相手の堕天使も投げた槍を再利用しているわけでもなく使い捨て方式だ
しかし、【
そこまで思考したところで左肩を光の槍が貫いた
「あ゛っ!?あ゛ぐぅぅぅぅぅっ!!」
熱い、熱い、熱い、熱い、熱い!痛いんじゃなくて熱い!!
「フゥワハハハハ!ようやく当たったか!!だがまだ終わりではないぞ!!!」
光の槍が漸く当たった事で上機嫌になった奴は少しのタメをつくり右手の先に5本の槍を生み出してそのまま投げつけてきた
なんとか4本は躱したが残りの1本が今度は右足の太ももを深く切り裂き、俺はその場で四つん這いになってしまった
「クックックック!いい姿だなぁ、そうだ、俺様に対し貴様ら下等種族はそうやってこうべを垂れている姿がもっとも似合うのだ。もっともその程度ではまだ許さん!貴様の犯した罪の重さをじっくりとその体に刻み付けてやらねばなぁ」
ああ畜生!俺のバカ野郎!!少し光明が見えたくらいで集中切らして一気に追い込まれてるじゃねぇか!!
【一刀修羅】を使っておけば良かったのか?いや、答えは分からないままだ。それにここで仮に【一刀修羅】を使っても手札を2枚失うことになる
【
幸か不幸かそれなりのダメージは受けたんだ、ここは意地でも【
一話で決着つくかと思ったけど最後まで書いてたら夜が明けそうだったので今のぶんだけ上げることにしました。