転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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水着はOVAとトレーディングカードを基本にしました


番外編 海です!釣りです!花火です!!

冥界から帰って来てから数日、夏休み明けまで指折り数えられるくらいにはなった。どうにもアレからアーシアさん宛てにディオドラからのプレゼントが毎日届いてるようだが今のところはまだお坊ちゃんが舞い上がってるだけと認識されているらしい、でもコレ、この先もずっと続けば悪質なストーカーを成敗するという名目で処罰できないかな?・・・流石に無理か

 

今の俺達は夏休み中は皆何だかんだで修業漬けだったので夏らしい思い出作りとしてグレモリー家の所有するプライベートビーチに来ている・・・無人島らしいのでプライベートアイランドか?

 

冥界には大きな湖は在るけれど海の類は無いらしいので人間界の海だ。夏と言えば海と山と夏祭り辺りが基本だが皆山には散々籠ってたみたいだし既にお盆は過ぎてるから、めぼしいお祭りの類は終わってしまっているので消去法で海に来ているという訳だ

 

そして今、女性陣が俺達男子の前で上着の類を取り払い、この間のプールの時に着ていたのとは違う水着を披露している

 

最初に水着を披露したアーシアさんは水色の・・・アレはビキニタイプと言っていいのかな?布面積が多いが清楚な感じと水色の清涼感がアーシアさんにマッチしている

 

同じ教会出身のゼノヴィアは競泳水着だ。前回祐斗との水泳対決で僅差で負けていたのでおそらくリベンジマッチを意識しているのだろう

 

次に朱乃先輩は緑色のビキニタイプなのだがこれまた布面積が異様に少ない!殆ど大事なところとその周辺が少し隠れているくらいだ!次にいこう!次に!

 

次に上着を脱いだのは我らがオカルト研究部のリアス部長なのだが・・・ハッキリと言おう。アレは痴女だろう!?かつて黒歌と小猫ちゃんと一緒に水着を買いに行った時に黒歌が突き付けてきたあのスリングショットの紐水着だ。布面積で言えば朱乃先輩よりも多いのかも知れないが色んな所が際ど過ぎである

 

まぁ朱乃先輩とリアス部長に関しては二人のターゲットはイッセーだからアレで正解なのだろう。実際イッセーは鼻血垂れ流しながら鼻の下伸ばしてるし・・・

 

俺?俺はまぁアレだ。魅力的かと聞かれると困ってしまう。趣味でないと言ってもコレで彼女の黒歌が着ていたらまた違った感想を持ったのかも知れないがifの話をしても仕方ないだろう

 

お次は黒歌だ。前に買った緑の南国風の水着ではなく、赤色を基本としたハイビスカスの花柄の水着だ。ビキニタイプだが淵が水色の薄い赤のシースルーの布を体に巻いている。こっちもハイビスカス柄だ。黒歌は水着は南国をモチーフにしたものが好みなのかも知れない

 

隠れてるような隠れてないような感じが俺のチラリストとしての好みにグッとくる!流石黒歌、分かっていらっしゃる

 

それから小猫ちゃんも新しい水着だ。青色のビキニタイプで下は白と青の縞模様のスカートを履いていてとっても愛らしさが強調されている

 

そして最後(・・)に白いスク水を着ている九重だ。泳ぐのには邪魔なのだろう、尻尾はしまってあるようだ。何故九重が一緒に海に来ているのかについては今朝まで遡る

 

 

 

 

▽―――今朝―――

 

 

“ピンポ~ン!!”

 

家のチャイムが押されて玄関を開けると九重とそのお付きの狐のお姉さんが二人立っていた

 

「来たぞ!イッキよ!」

 

「ああ、いらっしゃい。歓迎するぞ」

 

挨拶もそこそこに九重を家に上げ(お付きの方々は一礼して帰って行った)リビングに案内する。今日は夏休み中だがそれは俺達学生の話。両親にとっては普通に平日なので既に家には居ない

 

変わりにそこに居るのは黒歌と小猫ちゃん以外にオカルト研究部の面々が居た

 

九重とは先日別れたばかりだが折角の長期休暇だし、後伸ばしにする意味も無いので前に言った「俺の家に来るか?」を実行に移したのだ

 

しかしこの駒王町は仮にも三大勢力の和平の地で九重は西日本の重鎮の娘だ。リアス部長に話を通すと快諾してくれたが同時にオカルト研究部の皆にも九重が来る事が広まり、折角だから皆でお出迎えしましょうとなったのだ

 

「お主達がイッキの友人たちなのじゃな!私は京都の表と裏の妖怪を束ねる者。八坂の娘の九重と申す。今日は私の為にも集まって頂き、感謝するのじゃ!」

 

九重の元気いっぱいの挨拶に皆はそれぞれ微笑ましいモノを見るような表情だ

 

「ええ、私がこの駒王町を管理しているリアス・グレモリーよ。九重さん、貴女の来訪を私達も歓迎するわ」

 

此処は俺の家だけど俺と九重同士の挨拶など今更なのでリアス部長が代表で挨拶を返す

 

「丁寧な挨拶、痛み入るが九重で良いのじゃ。今日は遊びに来たのでな」

 

「なら、そうさせて貰うわね」

 

それから皆順番に挨拶を交わしていく

 

「小猫殿、こうして直接会うのは初めてじゃのう!黒歌殿の恩赦の件は聞いたのじゃ。私も嬉しく思うぞ!」

 

「ん、有難う。私も会えて嬉しい」

 

九重の無邪気な笑顔と祝いの言葉に小猫ちゃんも満足げな表情だ

 

だがそこで小猫ちゃんは"ぴくんッ"と一つの気配に反応を示した

 

「ではコレで一通りの挨拶は終わったわね。此処で着替えてからグレモリー所有の無人島へ転移で向かいましょう」

 

「むぅ?それは良いのじゃが、そちらの方は紹介してくれんのかのう?」

 

「え?」

 

全員分の紹介は終わったはずと思っていたリアス部長や他の皆が疑問を顔に浮かべると後ろから揶揄うような声が掛けられた

 

「何だ何だ。結局俺の気配に気づけたのは小猫だけか?冥界の修行で力を付けたと言ってもまだまだのようだな」

 

声を掛けてきたのはアザゼル先生だ。俺と黒歌も気づいていたがカウントはされないらしい

 

「な?何処から入って来たの!?」

 

「うん?普通に玄関からだが?それでも気付かなかったお前らが悪い。もしもコレが実戦ならその隙は致命的だぞ?」

 

一見小馬鹿にしたような忠告に何も反論出来なかったのか皆は悔しそうにしている

 

「さて、初めましてだな。俺はアザゼル、堕天使どもの頭をやってる」

 

「おお!お主がそうか!イッキの話にも出ておったぞ」

 

「へぇ。コイツは俺の事を何て言ってたんだ?」

 

「うむ。信頼は出来ても信用は出来なさそうな変人と言っておったのじゃ!」

 

九重~!!素直なのは良い事だけど本人にそう言う事言うのは止めて!!

 

「・・・成程な。おいイッキ、2学期が始まったら授業の小難しい問題をお前に集中して当ててやるからな?覚悟しておけよ?」

 

「うわぁ!地味にジワジワとくる嫌がらせ!微妙に職権乱用してるし!!」

 

絶対この人俺専用の問題自作してくるぞ!ちょっとの予習じゃ意味ないような感じの!

 

「アザゼル先生。今日はどうしたんですか?」

 

気持ちを切り替えて用事を尋ねると直ぐに答えは返って来た

 

「な~に、イッキの将来の嫁さんの姿を見ておきたいってのともう一つ、西日本の重鎮の娘が来るんだから万が一があっちゃ困るだろ?護衛も兼ねてんのさ」

 

いや護衛ってアンタ。寧ろ堕天使の総督の先生の方が護衛される立場でしょうに

 

「アザゼル。私の眷属に加えてイッキと黒歌まで居るのよ?いくら何でも過剰でしょうに・・・護衛と言いつつ仕事をサボりに来たんじゃないの?」

 

「お!よく分かったな。今頃副総督のシェムハザが俺の分の書類も片づけてくれてるだろうよ」

 

暴露するの早!隠す気ゼロですか・・・そしてシェムハザさん、ご愁傷様です

 

そうして九重に一通り俺の家の案内をしてから男性陣は俺の部屋で、女性陣は小猫ちゃんの部屋で着替えてから朱乃先輩の転移魔法で無人島に転移していったのだ

 

 

そんな訳で今、女性陣たちのそれぞれの水着姿を俺とイッセーが褒めているのだが・・・ギャスパーは何故そっちサイドに居るんだよ!ワンピースタイプの水着に頭に大きめのリボンを付けてうさ耳のようにも見える。何とも可愛らしいバニーさんですな!(半ギレ

 

因みに俺とイッセーは前回と同じ普通の海パンで祐斗はブーメランパンツ、アザゼル先生はアロハシャツに短パン系の水着だ

 

泳ぐ前に皆でビーチパラソルやらシートやらまったりと寛げるスペースを確保したり、浮き輪やバナナボートなどに足踏み式空気入れで空気を入れていく。コレって地味に大変なんだよな・・・仙術や魔力を使えば一瞬だがそういうのは風情が無いので禁止だ

 

「よ~し九重。浮き輪が膨らんだぞ」

 

俺は今足でバナナボートに空気を入れながら浮き輪の方は普通に息を吹き込んで膨らませていた

 

「うむ!有難うなのじゃ!」

 

「うげ!イッキお前もう空気入れたのか?俺なんてこのビーチボールに半分くらいしか空気入ってないってのによ・・・」

 

「鍛えてるからな。肺活量にも自信はあるんだよ」

 

【一刀修羅】瞑想で限界まで深呼吸とかしてるからな

 

「へぇ、イッキ君はそんな所まで鍛えているのかい?」

 

ビーチチェアの用意や近くの木にハンモックを取り付けていた祐斗が会話に加わる

 

「ああ、人間の体はパワーを出すには酸素が要るからな。地味な変化ではあるけれど、それでも確かに力の上昇に繋がるし、鍛えない理由は無いよ」

 

それに戦闘中とかでもどうしても息を止めないといけない時とかってあるからな・・・俺の場合主に黒歌との模擬戦で毒霧(麻痺毒や睡眠毒等)ばら撒かれた時とかだけど

 

「成程、勉強になるね。それなら僕もこれからの訓練のメニューに加えていこうかな?」

 

「ああ、良いと思うぞ。少なくとも損はしねぇよ」

 

他愛のない事を喋りながら準備を終え、軽く体を伸ばしてから先ずは海に入る。ビーチバレーとか釣りとかサーフィンとか海の楽しみ方は色々あるけれどやっぱり一泳ぎしてからだろう

 

「木場!あそこに見える岩場まで何方が早くたどり着けるか勝負だ!今度は負けんぞ!」

 

「望むところだよゼノヴィア。今回も僕が勝たせてもらうけどね」

 

さっそくリベンジマッチを挑むゼノヴィアだが祐斗も静かな闘志を燃やして受けて立つようだ

 

他にリアス部長に朱乃先輩、イッセーとアーシアさんにギャスパーは浅瀬でビーチボールで遊び、小猫ちゃんと九重は浮き輪で軽く泳ぎながら談笑、アザゼル先生はサーフィン・・・何だけど何アレ?なんか何故か付いてる噴射口らしき所からウォータージェットを出して様々なトリックを決めてるんだけど―――ちょっと楽しそう!

 

最後に俺と黒歌は素潜りだ。透明度の高い海の中で少し深い所まで行けば沢山の魚が泳いでいるのが見える。そういえばリアス部長は無人島としか言ってなかったけど此処はそもそも日本なのか?・・・まぁどうでもいいか

 

素潜りついでにバーベキュー用の食材であるサザエやらエビやらを採っていく。肉とかは流石に別途で用意してあるが海の幸はどうせなら新鮮なのを使おうという事だったからな。捕まえた伊勢海老なんかは逃げないように且つ鮮度が落ちないように仙術で意識を絶ち、籠に入れていくと直ぐに満杯になった

 

「ぷはっ!いっぱい採れたにゃ~♪魚の方は釣りをするんだったかにゃ?」

 

「ああ、折角だし男子陣で釣り競争しようって話になったからな。バーベキューだから焼き物系は十分だし、刺身とかその辺りにするつもりだけど」

 

「ふふ♪楽しみにしておくにゃ♪」

 

それから釣り勝負が始まるまでの間、小猫ちゃんと九重に合流してバナナボートに乗ったり、黒歌が魔力で作った縄をアザゼル先生のサーフボードの後ろにカウボーイの投げ縄の如く引っ付けて高速移動したりして過ごした

 

 

 

 

 

 

暫く遊んだ後、今は近くの磯で軽く上着を羽織ってアザゼル先生からの説明を受けている

 

「よ~し、お前ら。今から昼までの60分の間に何匹魚を釣り上げる事が出来るかを競うぞ?基本は数を重視してトップが同数だった場合は一番デカい魚(重量基準)の大きさで優劣をつける。何か質問はあるか?」

 

「ハイハイ、先生!トップを獲ったら何かご褒美とか貰えるんですか?」

 

「良い質問だ。優勝者にはこの一万円分の商品券をくれてやろう」

 

商品券って・・・いや確かに男子だけの参加でたかがお遊びの釣り勝負としては破格なのかな?イッセーの話だとリアス部長のお父さんのジオティクスさんはイッセーにお土産にお城を贈ろうとしたらしいし、そんなレベルの商品が用意されたら流石に委縮してしまうからな

 

「イッセーさん、頑張って下さい!」

 

「イッキ!どうせならトップを獲ってやるのじゃ!」

 

女性陣は疲れを癒す意味も含めてトロピカルジュースを飲みながら観戦モードだ。だがそこでアザゼル先生が取り出した釣り竿に目を引かれた

 

「あの・・・アザゼル先生。俺達の安っぽい釣り竿と違って先生のは随分と高級そうですね?」

 

「ふふん!よくぞ聞いてくれた。この竿は『イン〇ッサG-V』!磯釣りとしては最高級のロッドの一つだ。ロッドだけでなくリールもルアーもラインも全部最高峰のモノを用意した!う~ん、そんな安竿とはグリップの握り心地からして違うぜ」

 

大人気ねぇこの人!欠片もこっちに勝ちを譲る気ゼロじゃん!完全に突き放す気じゃん!

 

「・・・九重、アレがダメな大人の例よ。あんな風にはならないように気を付けるのにゃ」

 

何か向こうでは黒歌がお姉さんキャラとして九重に教育を施してるし、立派な反面教師ですね。アザゼル先生!

 

「何だ、分かってねぇな。遊びを楽しむ一番のコツってのは全力で取り組む事なんだぜ」

 

へぇ?言うじゃないですか先生―――ならこっちも全力でお相手致しましょう

 

「リアス部長。開始の合図をお願いします!釣りというのは道具の性能だけでなく技術(テクニック)も重要だと魅せつけてやりますよ!イッセー、祐斗、ギャスパー。お前らも気張れよ」

 

「へへ、そうだよな。部長が見てんだもんな!オカルト研究部部員として負けられねぇよ!」

 

その意気だイッセー。顧問なんてぶっ飛ばせ!

 

「そういう事なら僕も頑張らないとね。さっきはゼノヴィアとの水泳対決で負けちゃったから、ここでは勝たせてもらうよ」

 

爽やかな笑みを浮かべてるけどちょっと圧が籠ってるな。ゼノヴィアに負けたのが多少なりとも悔しいらしい・・・当のゼノヴィアは晴れやかな笑顔だ

 

「ぼ・・・僕も頑張りますぅ!ちょうど新作のゲームが欲しかったので!」

 

完全に商品券に釣られたなギャスパー・・・ある意味でお前は始まる前から負けてるよ

 

それぞれが配置に付き海に糸を垂らすと早速アザゼル先生の元にアタリが来たようだ

 

「お!来た来た・・・何だカサゴか。まぁいい、その内デカいのも釣れるだろ」

 

「ちぃ!先生は早速釣り上げてんのか。木場そっちは如何だ?」

 

「あはは、イッセー君。まだ釣り始めたばかりだよ?こういう勝負に焦りは禁物さ」

 

「ふふん!そんな事言っても道具の差は埋められないんだよ。こっちはもう2匹目が掛かったぞ?俺ばっかり釣り上げるせいでお前らが丸坊主(成果無し)になっちまうかもな」

 

「ぐぬぅぅぅ!!」

 

イッセーが露骨に悔しがる中で俺の方を見ていた九重が嬉しそうな声を上げる

 

「おお!イッキはもう3匹目を釣り上げたぞ!このままトップを獲ってやるのじゃ!」

 

「何ぃ!おいイッキ、何でそんな安物使ってるお前が俺の先をいってるんだ!?しかも、どれも俺の釣ったのよりも大きいじゃねぇか!?」

 

此方に来て籠の中を覗いたアザゼル先生が信じられないといった感じに詰め寄ってくる

 

「ほぉ?高級なロッドを態々用意したアザゼル先生は安竿以下だと?もしかして先生が下手くそなだけなのでは?」

 

ドヤ顔を浮かべて挑発すると「上等じゃねぇか。すぐにそのドヤ顔を吠え面に変えてやるよ」と意気込んで自分の持ち場に戻っていった

 

「ふふふふ、4匹目フィーッシュ!!アザゼル先生、別にこの磯の魚を獲りつくしてしまっても構わないのでしょう?」

 

丁度3匹目を釣り上げたアザゼル先生に聞こえるように某赤い弓兵なセリフを吐くと彼も爛々と瞳を燃やして再び竿を振っていた―――アザゼル先生、俺が仙術使いだという事を失念しているな?海の中の魚の大きさや位置、どの方向を向いているかまで完璧に把握できるんだよ!

 

「スゲェ、あの二人。何であんなに釣れるんだよ?」

 

「あはは、確かに何かもう二人だけの世界で勝負してるね」

 

「イッキ先輩もアザゼル先生もお二人とも凄いですぅ!あ!僕にもアタリが来ました・・・って何ですかこの魚は!気持ち悪いですぅぅぅ!」

 

「何だコレ?赤くて細長いし、三分の一は口だぞ?」

 

「あらあら、うふふ。ギャスパー君やりましたわね。それはアカヤガラと云われる高級魚ですわ。旬の時期ではありませんが十分美味しいと思いますわよ?」

 

そんなやり取りが行われる中30分ほど経過し勝負は後半戦、現在俺がトップで19匹、次点でアザゼル先生の16匹、その後に祐斗の6匹、ギャスパーの5匹、イッセーの3匹と続く、コレは三人が下手というよりは俺とアザゼル先生が抜きんでているのだろう、一匹辺り2分かかってないからね・・・というか仙術使ってる俺は兎も角アザゼル先生上手いな!さっきは挑発として下手なんていったけど道具一つであそこまで入れ食い状態に出来るとは!

 

「く!このままじゃこの俺が負けちまう!こうなったら秘密兵器だ!」

 

そう言ってアザゼル先生は金色に輝く新たなルアーを取り出し改めて竿を垂らすと15秒とかからずにアタリがついた。いくら何でもルアー一つでここまで変わるモノか!?

 

「はっはっはぁ!コレは俺の開発した人工神器『堕落する釣り人(ダウンフォール・フィッシャーマン)』だ!このルアーさえ在ればテクニックなんて必要ねぇ!ルアー自体から魚の好む匂いと飢餓感を刺激する匂いを強烈に発することにより例え満腹の魚しか居なくとも我先にと喰い付いてくるのさ!」

 

神器まで持ち出して来やがったよこの人!マジでお構いなしだな!しかも内容がさり気にエゲツないし。でも良いヒントをくれたな。語らなければ逆転も有り得ただろうに

 

俺の方も今までと少し釣り方を変えていく・・・そして残り3分、俺とアザゼル先生は現在51匹と47匹でその差はむしろ広がっていた。女性陣たちは皆が俺を応援してくれるし、イッセー達も横目で見ながら「先生に負けんなよ」と声援を送ってくれる

 

「クソッ!何で逆転出来ねぇんだ!?おいイッキ、お前一体何をした!?」

 

「別に?ただ疑似餌から生餌に変えただけですよ?」

 

「それだけでそんなに喰い付く訳ねぇだろうが!」

 

「それが喰い付くんですよ。ただしちょっと仙術で生命力を爆上げしてはいますがね」

 

そう言いつつウネウネと動く生餌を先生に見せつける。これにより魚たちは本能で美味しいエサを察知して喰い付いてくるのだ

 

「・・・おいちょっと待て、何でそんなちっこいのが牛一頭みたいな生命力を発してるんだよ?全力込めすぎだろう!?」

 

「楽しむコツは全力を出す事だって言ったのはアザゼル先生じゃないですか。俺は先生の教えを忠実に守ってるだけですよ?良い生徒でしょ?」

 

そこでリアス部長から残り一分との声が聞こえた。これならばもう何もしなくとも俺の勝利は決まったな。そう思いつつ余裕を持って釣り糸を垂らすとアザゼル先生から地の底から響くような声が聞こえてきた

 

「良いだろう。イッキ、俺がお前に大人の世界の厳しさと汚さってやつを教えてやるよ。俺は先生だからな!バランス・ブレイクゥゥゥゥゥ!」

 

アザゼル先生が手に持ったルアーを天高く掲げて叫ぶとルアーが枝分かれしたように合計7つに増えた。なんだそれ!?

 

禁手(バランス・ブレイカー)堕落した釣り人の(ダウンフォール・フィッシャー・)略奪者達(プレデターズ)』、所謂サビキ型ってやつだよ」

 

そして残り10秒、俺は逆転負けを喫し海岸に勝者の高笑いが響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらほら、何時まで不貞腐れてるのかにゃ」

 

「イッキ先輩、元気出して下さい」

 

バーベキューの肉を食べてると黒歌と小猫ちゃんから声が掛けられた。どうやら自分でも気づかないうちにしかめっ面をしていたらしい

 

当の優勝者であるアザゼル先生は食べたカニの甲羅を裏返して炙り、日本酒を入れて甲羅酒を楽しんでいる。勝利の美酒にしてはシャレているのがまたムカつく!

 

「しかし、あそこまで白熱した釣り勝負になるとは思わなかったのじゃ。手に汗握る実に熱い戦いであったぞ」

 

「でも結局勝てなかったよ。九重も応援してくれたのにな・・・」

 

皆は奮闘を称えてくれたけどアザゼル先生がドヤ顔を見せつけて来るからなかなか気持ちの切り替えが出来なかったがこれ以上うじうじしても仕方がない。それだけ真剣に取り組めたと思うようにしよう

 

因みに全部は当然食べられないので大部分は海にリリースしたが・・・

 

午後はクルーザーに乗って(運転:アザゼル)沖の方で景色を楽しむ―――そして、此処からは超常の存在ゆえの楽しみ方なのだろう、黒歌が海の中に魔力で巨大な気泡を造り俺達全員でその水中観覧車のような中に入り海の中を移動していく。全方位型水族館だ・・・因みに俺は仙術で気泡に掛かる水圧を軽減させる役割だ。黒歌一人でも問題ないが全部任せるのも悪いと思ったので手伝っている

 

「うおぉぉぉ!すっげぇ!こんなの普通じゃまず見れないぜ!」

 

「はい!お魚さん達が沢山居ますぅ!とっても綺麗です!」

 

「・・・美味しそうです」

 

小猫ちゃんお昼あんなに食べてたのにまだ食欲の籠った目で見るの!?

 

でも基本的に皆、瞳を輝かせているし水中遊泳は正解だったかな?

 

頭上に揺らめく海面から差し込む不規則な光に照らされた海の中は実際かなり幻想的だ。釣りだけでは分からない魚群や俺やアザゼル先生の釣った魚よりも大きな魚とか岩場の穴から顔だけ覗かせているウツボとかを堪能して廻って行った

 

一通り海で遊んで時刻は既に夕方、アザゼル先生が屋台まで用意して海鮮焼きそばを麺を練る所から作り、それに皆で舌鼓を打つ

 

チョイ悪風イケメンオジサンな先生はハチマキ姿すらも似合ってるな

 

「うんめぇ!先生、焼きそば捏ねる所から作るとかまた本格的ですね!」

 

「弾力性と粘性率、破断強度・・・全てのバランスが絶妙にマッチしていますね」

 

「悔しいけど小猫の云う通りよ。このソバの幅も均一で見事な黄金律だわ―――流石は堕天使の総督ね。その秘めた叡智・・・侮れないわ」

 

リアス部長?それはボケ何ですか?本気で言ってるんですか?

 

「・・・のうイッキ。三大勢力というのは麺に一家言ある者達なのか?」

 

ほらこうして勘違いする人が現れる!———その後何とか九重の誤解を解き、水平線に夕陽が落ちて薄暗くなった辺りで本日最後のイベントとして花火を楽しむ事となった

 

「いや~、やっぱりこういう普通の花火が一番だよな」

 

手元で"シュウシュウ パチパチ"と音を立てるごく普通の花火を見て俺は感慨深い気持ちになっていたが九重が恐る恐る声を掛けて来る

 

「う・・・うむ。だがアレは放って置いても良いのかの?」

 

「そうねぇ、ねずみ花火くらいなら可愛いモノだけどアレは遠慮するにゃ」

 

「イッセー先輩、ファイトです」

 

「どわぁぁぁぁぁ!何で俺を追いかけて来るんだよこの花火(?)は!!」

 

俺達がごく普通の手持ち花火を楽しんでいる中イッセーは赤い火花で彩られたドラゴン花火に追い掛け回されている・・・当然アザゼル印だ

 

「はっはっは!冥界での修行を思い出すだろ?イッセーとタンニーンの修行にこいつ等は興味を持ってたみたいだしよ、ちょっと再現してみたんだ」

 

「止めてくださいよ!俺ドラゴンに追い回されるの軽くトラウマ物なんですからね!?」

 

イッセーが文句を言うがドラゴン花火は口を大きく開けてブレス(花火)を吐き出す

 

「因みにそいつはドラゴンのオーラを感知して追尾する仕組みになっているからな。お前が危ないだけの安全仕様だ」

 

「それ俺の知ってる安全と違うぅぅぅ!!」

 

「イッセー君、今助けますわ!」

 

朱乃先輩が花火に雷撃を放って核を壊そうしたが次の瞬間ドラゴンが5匹に増えた

 

「なにぃぃぃ!?」

 

「そいつは攻撃を加えると数倍に増える仕組みなんだよ。もっとも、持続時間は短くなるがね」

 

「なら、私の消滅の魔力で元から消し去ってあげる!!」

 

リアス部長が特大の消滅の魔力を放ち、辺りが轟音に包まれる

 

煙の奥から現れたのは更に10倍には増えたドラゴンたちだった―――ここまでくると普通にうるさいので俺たちは結界を張って眺めている・・・所詮は花火だしね

 

「消滅の魔力は効かないぞ。この間シトリー眷属が『反転』を使っただろ?リアスの魔力を解析して対リアス用に特化させた『反転』だ。生半可な威力じゃ返されるだけだぞ?」

 

ああ~、そう言えばシトリー VS グレモリーの試合でシトリー眷属が色々な人工神器の試験運用も兼ねて色んな能力を扱ってましたね

 

そうして始まる無駄に神の子を見張る者(グリゴリ)の技術の詰まった花火の乱舞に俺達も眩しさから目を細める―――微かにイッセーの絶叫が聞こえるが無視して大丈夫だろう(適当)

 

「おお~、文字通り花火の中に居るんだな俺達・・・九重、今日は楽しかったか?」

 

「うむ!楽しかったぞ。イッキの友人の皆も面白い者たちばかりじゃったし、また遊びに来たいのじゃ!」

 

「何時でも来いよ、俺も皆も歓迎してくれるさ・・・まぁその前に駒王学園の修学旅行はまた京都だからな。むしろ俺たちが九重の方に行く感じだろ」

 

「そうじゃな。良かったらその時観光案内をしてやろう。有名処だけでなく隠れた名店まで私に任せておけばよい!」

 

「ああ、一緒に行動できるかは分からないけど、少なくとも何処かで時間を見つけてそっちにも顔を出すよ。八坂さんにも宜しく伝えておいてくれ」

 

「うむ♪」

 

結界の外ではイッセーが禁手(バランス・ブレイカー)となり、ドラゴンショットの乱れ撃ちを天高く放ち、花火を核ごと破壊し尽くす光景を本日の締めとして俺達の夏休みは過ぎていった




アザゼルさんなら神器ぐらい持ち出すと思う

終盤ちょっと駆け足気味でしたね

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