転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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レアアイテムをゲットする為に数時間周回してたデータが雷で吹っ飛んだorz

インドラめ!許せん!!


第三話 ゲームと、舞台裏です!

冥界のテレビ局でヒーロー番組の大まかな打ち合わせをしてから帰宅し、今はお昼を食べた後だが俺は自室で一人、イヅナの通信を使ってとある方と連絡を取っていた

 

夏休みにリアス先輩の実家から帰って来て凡そ半月と少し、自分では色々頑張ったつもりだったがまるで進展がなく、そろそろ本気で如何にかしなければならないと思い相談する事にしたのだ

 

「・・・という訳で黒歌が可愛すぎて夜の【一刀修羅】の瞑想が全く身に入らないんです・・・・どうにか出来ませんか?参曲(まがり)様」

 

そう、今の連絡相手は参曲(まがり)様だ。高校に入った辺りで俺もギリギリ最上級悪魔くらいの実力になったし黒歌も三又になったので参曲(まがり)様の下での修行は一旦切り上げになったのだ・・・参曲(まがり)様も決して暇な方では無いからね

 

京都に赴く前に一度だけ黒歌が俺のベッドに入ってきてまるで瞑想が上手くいかなかった事が在ったが、その後すぐに20日以上は時間を空けていたから正直すっかり頭から抜け落ちていたのだ

 

だが家に帰ってから毎日寝る時は俺のベッドに侵入して来るし、抱き着いてくるし、耳をピコピコさせながらスリスリとマーキング?もしてくるし・・・俺が【一刀修羅】を発動させている時は黒歌の存在をより強く感じ取れるのが分かっているからか逆にもっと密着して来るしで大変なのだ

 

効果時間が切れて気絶するように眠らなければ何度俺の理性がプッツンしてたか分からない・・・少なくとも夜の数だけプッツンしてたな

 

後ついでに言えば昼間や部活で小猫ちゃんが引っ付いてくる頻度も上がったしな

 

・・・複数の美少女に俺以上に過激に囲まれながら手を出さないイッセーはもはや神じゃないか?

 

≪惚気の相談は余所でやりな≫

 

おおっとぉ!参曲(まがり)様からの辛辣なお言葉!

 

今まで俺の質問には何だかんだでちゃんと答えてくれた方なのに、これほど袖にされたのは初めてかも知れないな

 

いや確かに馬鹿な質問だとは思うけど、それでも切実何ですよ参曲(まがり)様!

 

参曲(まがり)様に謝りつつも何とかその想いを伝えると深くため息を吐かれた・・・心なしか通信機の役割を担っているイヅナも呆れた表情だ

 

≪猫又の私としてはさっさとあの黒猫を孕ませてしまえと言いたいんだけどね。まぁいい、そりゃアンタが五感も含めて感覚を広げ過ぎてるからだよ≫

 

「あの・・・【一刀修羅】を発動すると一瞬で感覚広がるので制御どころじゃ無いんですけど」

 

≪なら五感を閉じてから発動させな。今のアンタならそれくらいの身体操作はちょっと練習すれば出来るはずさね。感覚をオーラの感知一本に絞っていけばその内魂の気配も多少は判るようになるだろうさ≫

 

成程!先に感覚を閉じるのは盲点だった・・・まぁ普通はそんな事出来ないんだろうけど

 

「分かりました。相談に乗って頂き有難うございました―――早速試していきたいと思います」

 

≪ああ、仙術の道は奥が深いからね。これからも努力を怠るんじゃないよ≫

 

「はい、では失礼します」

 

そうしてイヅナの通信は切れた

 

さて、俺自身の問題はコレで良いとして後はディオドラだよな

 

何故かアイツ対アガレス戦でオーフィスの蛇を使わなかったみたいだし・・・まだ蛇を支給される前だったのか原作の彼よりも若干自制が利いたのか、はたまたただの小物でテロとは無関係なのか

 

取り敢えず3番目の可能性はどうでも良いから切り捨てるとして禍の団(カオス・ブリゲード)のテロが起きるとしてどう動くべきなのか・・・でもレーティングゲームに俺は同行出来ないし、始まると共に会場は絶霧(ディメンション・ロスト)で隔離されるはずだ

 

グレモリー眷属の下に護衛として来たのが主神のオーディンだけだった事を考えれば狙った場所に転移出来るのはオーディン一人だけと思うべきだ・・・ロスヴァイセさんも居なかったしね

 

幾ら実力的に必要無かったのだとしても一人だけで来たのは多分そういう事なんだろう

 

そうなるとテロ行為が起きてからランダム転移でフィールドに入って直接皆の所に救援に行くしかないって訳だ・・・完全に後手に回るな

 

会談の時もそうだったけど厳重な警備を一瞬で無力化するとか厄介ってレベルじゃねぇ

 

ディオドラが『蛇』を使ってないのでゲームが禍の団(カオス・ブリゲード)に狙われているとアザゼル先生達が予見出来てるか分からないし

 

ああもう!原作じゃディオドラが『蛇』を使ったからそこから芋づる式に情報が出てきて各勢力が準備万端で迎え撃ったってのに!『蛇』使っとけよディオドラァァァ!!(逆ギレ)

 

 

 

―――その頃のディオドラ

 

 

「クックック!もうすぐだ!もうすぐアーシアを僕の物に出来る!ああ!あの可憐な顔を泣き顔に変えてその頬を伝う涙を舐めれば極上の味がするんだろうなぁぁぁ!!」

 

“ぐぎゅるるるるるうぅぅぅ”

 

「ヴ!あ・・・アレ?何か急に腹が下って来たな。全く、いい気分に水を差しやがって」

 

腹を抱えてちょっと内股になりながらもトイレに向かい、目的地にたどり着く頃にはかなり青い顔をしていた彼であった

 

 

―――その頃のディオドラ(完)

 

 

 

そうなると問題は最初に大量の敵に囲まれる所とアーシアさんが次元の狭間に跳ばされる所だ

 

もしも急なテロという事でオーディンの救援が遅れたら十分危険だし、何より次元の狭間に跳ばされたアーシアさんが偶然ヴァーリ達に拾われるとかどんな確率だよって話だしな

 

此処は小猫ちゃんに預けてあるイヅナをコッソリと本体のイヅナに代えるか

 

そうすれば敵に囲まれても分身したイヅナと今のグレモリー眷属の殲滅力とを併せれば生き残るのはそう難しくないと思うし、不測の事態に陥った時にイヅナの一体をアーシアさんにくっつければ万一次元の狭間に跳ばされてもイヅナが結界を張り続けられるしな・・・消費されるオーラは俺の持つイヅナから供給してやれば何とかなるだろう

 

う~ん。事前にテロが在るとハッキリしていれば開幕一発ライザーの時にやった『味方の悪魔には耳栓して貰って冒涜的な聖書の朗読作戦』をかましてやれたんだけどな・・・残念だ

 

まぁ何で本体のイヅナを小猫ちゃんに持たせていたのかって聞かれたら困るから救援が間に合うのが一番なんだけど・・・適当に言い訳考えないとなぁ

 

それから数日、イッセー達が対ディオドラ戦に向けて修行していき、遂にゲーム当日が訪れた

 

何でもディオドラが面会謝絶レベルの急な病に罹ったらしく、それでいて施設の整った病院に行くでもなくアスタロト家に籠り切りになってゲームの中止も危ぶまれたと聞いた時は色んな意味でヤキモキしたが・・・黒歌?口笛吹いてましたよ

 

ゲーム開始まであと少し、俺と黒歌にアザゼル先生とイリナさんは先に冥界に跳んでV.I.P用観戦席に居る。立食形式のパーティー会場みたいな感じで空中に複数のスクリーンが浮かんでいて各勢力の要人、それと此処は悪魔の領土なので悪魔の貴族とかが居るしオーディンと思しき人物もサーゼクスさんと一緒に居るし主神が来ているからかセラフォルーさんも緑色の髪の人とスキンヘッドの人も居る・・・一応写真で見た事があるのでアレがアジュカ・ベルゼブブとファルビウム・アスモデウスだな。四大魔王が揃ってるのを見るのは初めてだな

 

良かった。最悪オーディンが居なくて絶霧(ディメンション・ロスト)のせいで会場に入れもしないとかだったら【一刀羅刹】で空間切り裂いて後の事は黒歌とイヅナに全部託すとかも考えてたし

 

健啖家の黒歌は早速テーブルの上の御馳走に突撃して行った・・・小猫ちゃんもよく食べるけど種族特性なのかな?

 

こういった席が普通に用意される辺りアザゼル先生の気づかいとか九重の婚約者の立場とかが有り難いと思ってしまう俺も現金な奴だよな

 

そんな事を思ってると後ろから声を掛けられた

 

「お・・・お久し振りですわね。有間一輝様?」

 

振り向いた先に居たのはレイヴェル・フェニックスだ。彼女も観戦に来ていたらしい

 

紫色の服に腰の辺りに不死鳥の尾羽のような装飾が付いてるのが特徴的だな

 

まさか彼女に話しかけられるとは思わなかったけどライザーとのレーティングゲームでは直接では無いけど戦った訳だし、一応俺も最近冥界で報道されつつあるみたいだから声を掛けるくらいはするかもな

 

でも彼女の事を何と呼べば良いのか・・・一応此処は要人も沢山居る訳だし、『さん』は拙いよね

 

「お久し振りです。レイヴェル嬢―――あれからお変わりありませんか?」

 

うわ!『レイヴェル嬢』とか自分で言っててスゲェ違和感!昔黒歌を『黒歌さん』って呼んだ時みたいだ

 

内心悶えていると彼女から先に提案があった

 

「ちゃんと挨拶を交わした訳でも無いのに私の名前を憶えていて下さったのは嬉しいですわね。ですがイッキ様は出は庶民と聞いております。堅苦しい言葉遣いは慣れないのでありませんか?特別に『レイヴェル』と呼び捨てで呼んでも宜しくてよ?」

 

おお!それは正直助かる。やっぱり素の口調が一番だからな

 

「じゃあレイヴェル。今日は一人なのか?」

 

「ええ、そうですわ―――あの和平会談のテロを潜り抜けたリアス様たちグレモリー眷属は今や冥界の注目の的。若手No.1はサイラオーグ・バアル様と言われていますが知名度ではやはりグレモリー眷属が一番ですからね。気になるのも当然ですわ・・・それと私はあれからお兄様の眷属を辞めて、お母さまの未使用の『僧侶』とトレードしましたの―――まさかレーティングゲームに出場する殿方が、あ・・・あのような卑猥な技を使ってくることも在るだなんて思いませんでしたから・・・もしもアレが公式戦の生中継だったらと、考えるのも恐ろしいですわ。お母さまはゲームしませんし、実質フリーの『僧侶』ですわ」

 

顔を青くさせて微かに"カタカタ"と震えるレイヴェル・・・確かにコレが普通の反応だよな

 

「いや、アレは流石にイッセーくらいしか使わないと言うか・・・」

 

「分かっておりますわ・・・ですが、理解と納得は別物ですのよ―――それに、もしもコレでお兄さまが初めての敗北から奮起してやる気を漲らせたりしていれば私もお兄様を支えようともしましたが・・・実はあの一件以来、自分の部屋に塞ぎ込んでしまいましたの」

 

溜息を吐きながら「やれやれですわ」と首を振るレイヴェル・・・そっか、やっぱりライザーは塞ぎ込んだのか

 

多分今頃『ドラゴン怖い。ドラゴン怖い』とか言って毛布に包まってるのかもな

 

「多分今頃『人間怖い。人間怖い』とか言って毛布に包まってるんですわ」

 

そうそう『人間怖い』って・・・人間?

 

「人間?ドラゴンとかじゃ無くて?」

 

「あら、よく分かりましたわね―――初めの内は自分を直接倒した赤龍帝を恐れてドラゴン関係がダメになったのですが、和平会談でイッキ様がコカビエル、ケルベロス、白龍皇を打ち破ったとの情報が入った辺りからイッキ様及び人間全般がダメになりましたの」

 

「何でそれが俺を怖がることに繋がるんだ?」

 

というか人間全般がダメって人間と契約して利益を得る悪魔としては致命的なんじゃ?

 

「イッキ様はお兄様とリアス様がゲームをする事を決める際、態とお兄様を挑発したのでしょう?それにゲーム開始直後の赤龍帝の力を利用したあの悍ましい作戦を立案なさったのもイッキ様だとか・・・今まで散々下等だと侮ってきた人間に完全に掌の上で踊らされていたのだと知ったお兄様はそのせいで人間そのものがダメになってしまいましたの―――きっとお兄様にはイッキ様が魔王・・・と言うのは悪魔の私たちには似つかわしくありませんわね。そうですね、邪神にでも見えているのでしょう」

 

邪神ってそれ何処のアンリマユ?神器が神器だからそっちに思考が寄っちゃうな

 

「な・・・なら、ライザーは今はドラゴンは大丈夫なのか?」

 

「ええ、幸いと言って良いのかドラゴンに対する恐怖は何処かへ飛んでいったみたいですわ」

 

黒幕の俺が使い魔の赤龍帝を操ってた的な認識になったのだろうか?

 

まぁ人間もドラゴンも両方駄目なのよりはマシ何だろうけど・・・

 

「そうですわ!折角ですし、お近づきの印に此方を差し上げますわ」

 

そう言って彼女が手渡してきたのは黒くて細長いハンコくらいの大きさの入れ物だった

 

気品のある感じで中心にフェニックスの紋章のようなものが刻まれている

 

「コレは?」

 

「それは我が家で製造しているフェニックスの涙ですわ―――こういった席では友好を深めたい上級悪魔へのお土産として喜ばれる物なので幾つか持ち歩いていますの・・・イッキ様は人間である以上、どうしても悪魔よりは傷付きやすいですからね。有り難く頂戴なさって下さいな」

 

おお、フェニックスの涙か!

 

お値段幾らなのか聞きたいような聞きたくないような感じがするな!

 

それにアーシアさんが居ると云っても少しでも回復手段は多い方が良いし、此処は彼女の云う通りに有り難く頂戴しよう

 

「有難うレイヴェル。大事に使わせて貰うよ・・・所でそのイッキ『様』って言うのは何とかならない?」

 

折角彼女からは名前呼びを許してもらえたんだし、出来れば年下の女の子に『様』付けで呼ばれるのは回避したいとも思うんだが

 

「いいえ!コレは大切な事なのです!」

 

"ズイ"っと顔を近づけて力説するレイヴェル・・・何がそんなに掻き立てるの?

 

「いいですかイッキ様。私はフェニックス家の、つまりは貴族の家の娘。ですが私自身は当主として領地を切り盛りしている訳でも兄たちのように働いている訳でもありません―――子供だからと云われればそれまでですが、だからこそ近い歳でありながらその身一つで九尾の姫の婚約者という立場を獲得し、和平に関しても多大な貢献という『実績』を積んだイッキ様を敬うのは至極当然のことですの!お分かり頂けましたか!?」

 

お・・・おう・・・そうですね・・・

 

若干彼女の勢いに押されて仰け反っていると皿に料理を盛りつけた黒歌が近づいて来た

 

「ほらほらイッキ。喋るのも良いけど料理も美味しいわよ。貴族社会もこういう処だけは評価してあげても良いわね・・・というかその子は誰なのかにゃ?」

 

「ん?ああ、そうか。黒歌は初めてだったな。この子はレイヴェル・フェニックス。リアス部長とゲームをしたライザー・フェニックスの妹だよ・・・一応ゲームにも参加してたんだけどな」

 

黒歌は結果だけ伝えてゲームの映像とかは見てないからな。知らないのも無理はない

 

「レイヴェル、こっちは黒歌。リアスさんの『戦車』である塔城小猫の実の姉だよ」

 

「後はイッキの恋人でもあるにゃん♪」

 

・・・それは牽制ですか黒歌さん?

 

「こ・・・恋人!?ですがイッキ様には婚約者がいらっしゃるのですよね?・・・第二婦人という事なのでしょうか?」

 

そこで浮気とかじゃなくて直ぐに第二婦人なんて言葉が出る辺りは彼女もやっぱり貴族なんだな

 

「ん~、対外的にはそうなるのかにゃ?まぁイッキは恋人に優劣付けられるような精神してないから私は特に気にしないけど・・・一応イッキの最初の恋人は私よ?」

 

「そうなのですね・・・まぁ不誠実を働いてないというのなら許して差し上げますわ!」

 

何か許された・・・いやこれで『不潔ですわ!』とか言われるよりは良いんだけどね?

 

そこでサーゼクスさんから会場の人たちに向けて声が掛かった

 

「皆様、もう直ぐゲーム開始の時間となります。今宵は全組みが一度は戦った後の初のレーティングゲーム。彼ら若い芽が勝利、または敗北を何処まで己の糧とする事が出来ているのか、その成長も含めてお楽しみください」

 

会場の各所に設置された空中スクリーンにゲーム開始のカウントダウンが表示される

 

そしてそれがゼロになった瞬間、会場の壇上の後ろの壁が爆発した

 

「何事だ!?」

 

「分かりません!これは・・・転移遮断、および外部との通信途絶!このパーティー会場とレーティングゲームの会場を正体不明の霧が覆い尽くしているとの事です!」

 

警備の人たちが慌ただしく動いている中で破壊された壁の穴から数十の悪魔たちが侵入してきた

 

「忌々しき偽りの魔王、そして和平などという世迷言に踊らされた下賤な他の神話体系の者どもよ、我らは真なる魔王様方に忠誠を誓いし者なり。真なる魔王の名の下に貴様らには此処で死んでいただく」

 

先頭に立った悪魔が宣戦布告を叩きつけて来た

 

「旧魔王派による大規模テロか・・・まっ、その内来るとは思ってたがな」

 

「そうか、シャルバとクルゼレイが動いたのか・・・出来れば話し合いで解決したかったのだが」

 

サーゼクスさんの言葉に先ほど宣戦布告してきた悪魔が嘲笑しながら語り掛けて来る

 

「愚かな、我らの間に話し合いの余地などない―――そんな貴様にはこんな趣向も用意してあるぞ?ゲームの会場を見ろ!」

 

その言葉と共にスクリーンに映し出されていた映像では丁度ディオドラにアーシアさんが捕まり、イッセー達が多数の悪魔に囲まれている所だった

 

「・・・あの愚弟が。どうやら手引きしたのはアイツのようだな」

 

「その通り、お陰でスムーズに計画を進められた。身内にすら見捨てられるのが貴様らが魔王としてふさわしくない事の証左なのだよ!―――サーゼクス、貴様は精々そこで大切な妹がなぶり殺しになる所を眺めているのだな・・・もっとも、その前に死ななければだが!」

 

その言葉と共に旧魔王派の悪魔たちが会場全体に向けて大量の魔力弾をばら撒いた

 

咄嗟に展開に着いて行けてなかったレイヴェルをお姫様抱っこで安全圏に退避する

 

警護の人たちは各要人の傍で結界を張り、その要人自身も結界を張れる為、第一波による人的被害は無いようだった

 

「あ・・・有難うございますイッキ様。って何で感動に打ち震えてますの?」

 

「ああ、御免。お姫様抱っこってコレが正しい在り方だよなって思っちゃって・・・今まで男にされたり女の子にされたりしてたモンだからさ」

 

小猫ちゃんも祐斗も揃って首を傾げるんだから困っちゃったんだよ!小猫ちゃんは十中八九揶揄ってたんだろうけど、佑斗とか完全にド天然であの反応だったしな!

 

「そ・・・そうですの・・・それはまた難儀な人生を送っていらっしゃるんですのね」

 

レイヴェルが呆れたような、それでいて何処か憐れみを含んだ視線を向けて来る

 

そりゃあ黒歌も小猫ちゃんも九重も頼めばお姫様抱っこくらい了承してくれるだろうけど、それは何か違う気がするしな

 

さて、無駄話は此処までにしよう

 

「黒歌、一先ずサーゼクスさん達の所に行くぞ」

 

「ん、無理やりにでもあのフィールドに転送してもらうにゃん!」

 

それから3人で降り注ぐ魔力弾の雨を掻い潜ってサーゼクスさん達の張っている結界の下に辿り着きその中に入れて貰う

 

「君たち、無事でよかった」

 

「サーゼクス様、今はそれよりリアスさん達の事を・・・結界には入れませんか?」

 

結界内には他の勢力の要人も居たので『様』呼びに気を付けながら問いかける。絶霧(ディメンション・ロスト)の結界は出来れば力押し以外の方法で突破したい

 

「結界は今、アジュカが解析を行っている・・・アジュカ、どうだ?」

 

サーゼクスさんが緑髪に緑のマントを羽織った男の人に声を掛ける

 

「ふむ、まだ解析に少し掛かりそうだ。流石は転移と結界を司る神滅具(ロンギヌス)といった所か。結界内に入る所までは解析できたが転送先を指定するアルゴリズムが絶えず変化している・・・これらを逆算しなければ何処に出るか判らんぞ」

 

それを聞いたサーゼクスさんは苦虫を噛み潰したような表情を見せる

 

スクリーンではリアス部長たちを散々挑発したディオドラがアーシアさんを連れて転移で消えていく所だった―――恐らく後1分も在れば戦闘が始まるだろう

 

「ふうむ、そういう事なら儂が行ってやろう。折角ゲームを楽しみに来たのに若いもんが理不尽に潰される様など見たくは無いしの。儂一人くらいなら術の隙間を抜ければ辿り着けるじゃろ」

 

左目に眼帯をした髭の長いお爺さん・・・北欧の主神オーディンが救援に向かうと告げるが傍に居た銀髪美人がそれに異を唱える

 

「そんな!オーディン様お一人が敵陣の只中に赴かれるなど!お付きとして容認できません!」

 

「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ!ではなロスヴァイセ、お主は適当にあの悪魔どもでも消し去っておるがいい」

 

「ちょ!オーディン様ぁぁぁぁ!?ああもう!本当に行っちゃった―――これ後で始末書だけで済むんですか!?首になったりしませんかオーディン様ぁぁぁ!!?」

 

笑いながら画面の向こうに転移して行ったオーディンに対し彼女、ロスヴァイセさんがその場で崩れ落ちる―――今のやり取りで彼女に責任がいくのか・・・厳しいな北欧業界

 

だが画面の向こうでは北欧の主神の登場にさらに多くの敵が送り込まれていた

 

『ほれ、あの娘っ子を助けに行くんじゃろ?そのオーラがお主達を守ってくれる。とっとと行かぬか。儂がついて行けばあの大量の蝙蝠共まで一緒に引き連れて行ってしまうからの。爺は此処でハッスルしとるでの』

 

そうか、ならやっぱり俺達も救援に向かうべきだな

 

「ではサーゼクス様、俺と黒歌も救援に向かっても宜しいでしょうか?オーディン様が敵の殆どを引き付けているとはいえ、その内別動隊も彼らにぶつけられるでしょうし」

 

「それは有り難いが先も言ったように今はフィールドにランダムで転移する。かなり広大に設定された空間だが大丈夫かい?」

 

「はい。俺と黒歌の探知範囲なら程無く見つけ出せると思います」

 

実際は小猫ちゃんに持たせたイヅナの気配を辿れば良いんだけどね

 

「分かった。アジュカ!頼むよ」

 

「ああ」

 

直ぐに俺と黒歌の足元に転移魔法陣が展開される・・・なんか色々とごちゃごちゃしてる魔法陣だな。恐らく絶霧(ディメンション・ロスト)を抜ける為の計算式とか何だろうけど

 

「イッキ君。黒歌君。リアスたちを頼んだよ」

 

「はい!」

 

「まっ、白音を助けるついでに助けてあげるにゃん」

 

そうして俺たちはフィールドの中に転移していった

 

 

 

[サーゼクス side]

 

イッキ君と黒歌君がフィールド内に転移して行った

 

彼には何時も迷惑を掛けてばかりで申し訳なく思う

 

「そう難しい顔すんなよサーゼクス。オーディンの爺の露払いに加えてあの二人が行ったならよっぽどの事が無い限り問題無いだろう。それにお前の妹たちだってそんな簡単にやられるタマか?」

 

そうだな。リアスとその眷属たちを鍛えたアザゼルがこう言うんだ。兄として信頼し、魔王として責務を果たさねばな

 

すると今回招いた要人の一人、ラフなシャツにサングラスをした大柄な男が声を掛けてきた

 

「よぉ、優しい魔王に正義の堕天使。最近の悪魔のパーティーってのは過激な催しをするんだな。中々スパイスが効いてて面白いぜ」

 

「これはこれは帝釈天殿、本日はこのような事になってしまい大変申し訳ない。この埋め合わせは後日させて頂こう」

 

結界の外で未だに大量の魔力弾が弾ける中気さくな態度で話しかけてきたのは須弥山の神。『天帝』、『インドラ』とも呼ばれる世界有数の強者の神だ

 

「いいや、埋め合わせってんなら今欲しいな。俺みたいに戦いたいのに地位も実力も高い奴は中々暴れられる機会ってのが少なくてよ―――ここで警備の奴らに守られてる奴らにも似たようなのが居るんじゃねぇか?魔王の手前大人しくしてるんだろうが、思いっきり力をぶつけたくてウズウズしてると思うぜ?」

 

戦闘狂とされる性格は相も変わらずの様子だな。仮にも同胞の悪魔を憂さ晴らしに殲滅したいというのには思う所があるが、これも魔王として彼らのテロ行為を未然に防げなかった我らの過失だ

 

「分かりました。ただし、ご自分から戦いを要求される以上、怪我などについては責任を負いかねますが宜しいのですね?」

 

「ハッ!俺があの程度の雑魚相手に怪我なんざしねぇって分かって言ってるだろ?」

 

彼がそう言って"ニッ"と笑うと同時に会場、否、建物全体を奇妙な感覚が襲った

 

「ああ?」

 

「これは・・・」

 

「ふむ、どうやらレーティングゲームの会場に建物ごと転移させられたようだな。こちらの転移は未だ封じられているがリアス・グレモリー達の居る場所とは正反対のようだ。理由については・・・どうやら語るまでも無いらしい」

 

アジュカがそう言いつつ会場全体を包み込む結界を張ると同時に建物全体が爆散した

 

そして地面に降り立った我らを大量の旧魔王派の悪魔たちが取り囲んでいる

 

成程、相手の準備が整ったので物量で此方を押しつぶすつもりか

 

「雑魚供が、ケンカを売る相手を間違えたな。おうお前ら!サーゼクスが自己責任なら戦ってもイイとよ!俺は早速やらせて貰うぜぇぇぇ!」

 

帝釈天殿が会場に居た他勢力の実力者たちに発破を掛け右腕を引き絞る

 

「消し飛べ!ヴァジュラ!!」

 

振るわれた腕に沿って極大の雷撃が放たれ延長線上に居た悪魔たちが一瞬で塵と化す

 

「はっはぁぁぁ!どうしたどうした!もっと骨のある奴は居ねえのかぁぁぁ!!」

 

帝釈天殿に触発された要人の中でも戦闘に長けた者たちもそれぞれが強力な攻撃を繰り出していく

 

先程オーディン殿に置いて行かれてしまった戦乙女(ヴァルキリー)の彼女も「ひ~ん!何でこんな事にぃぃぃ!!?」と泣きながら大量の魔法陣から魔力弾を打ち放っている

 

「さて、我々魔王も動かなければな―――自己責任とは言ったが万が一が在っては困るし戦えない者も居る。セラフォルーとファルビウムは此処で専守防衛に努めてくれ。アジュカは引き続き結界の解析を、私は敵の殲滅に移ろう」

 

「うん☆私もそれでいいと思うわ♪ファルビーの防御の魔力も私の氷の魔力も守るのに向いてるからね☆」

 

「そうだね~。皆張り切ってるから此処が一番やる事少なくて楽そうだし、頑張って来てよ」

 

「俺もサーゼクスと一緒に前線に出る事にするぜ。教え子の大事な試合を邪魔されたんだ。プチっと潰してきてやるよ」

 

「ははは!アザゼルも先生役が随分と板についてきたみたいじゃないか」

 

そうだ、私も大切な妹の試合を穢されて内心ではかなり怒ってるのが自分でも判る

 

「では皆、健闘を祈るよ」

 

そうしてそれぞれが自分の戦場に向かっていった

 

 

[サーゼクス side out]




流石にレーティングゲームとなるとイッキは一歩出遅れてしまいますねww
イヅナの本体を小猫に持たせたのも主人公は一応ちゃんと対策は講じてますよというアピールみたいなものでしたし・・・取り敢えず次回はvsシャルバになります

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