転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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近場のブックオフの前を久しぶりに通ったら『コロナ対策で30分以上の立ち読み禁止』となってました・・・まぁ潰れてなかったので良しとしましょうww


第五話 服装、秘話です?

[アザゼル side]

 

「ブワッハッハッハッハッハ!!」

 

ヤベェ!仮にも戦闘中だってのに腹が痛てぇ!!

 

戦場で笑いこけている俺をテロリストの悪魔が後ろから襲ってくるのを左腕のロケットパンチで吹き飛ばしているとサーゼクスが呆れたように声を掛けてきた

 

「アザゼル、もう少し真面目にできないものか?」

 

「いやぁ、そうは言うがよサーゼクス。あの高飛車シャルバの文字通りの転落っぷりは永久保存版だろう?旧魔王派のやつらは現魔王の妹のリアスの殺られる様を見せつける為にあえてゲームの中継を切らなかったみたいだが・・・ククク!むしろ奴らの方が動揺してるぜ?明らかにさっきより動きが鈍くなってやがる」

 

まっ、上司のあんな無様な姿を見せつけられたらな―――それにしても酷いなアレは・・・イッキの奴は所謂『王道』は歩めないタイプかもな

 

アレだけの強さが在りながら普段からイマイチ自己評価が低い為か実戦では『勝利』を第一に考えるタイプだ。どちらかと言えば『覇道』タイプだな・・・いや、むしろ『外道』か?もしもアイツがレーティングゲームに出場するようなら一部にコアなファンが出来るかもな

 

そんな事を思っていると俺達の前に一人の男が舞い降りた――此奴は確か・・・

 

「クルゼレイ、既に旧魔王派の悪魔たちは神々の力も在ってほとんどが消滅している。それにシャルバが倒されたのも知ってるだろう?投降する気は無いのかい?」

 

「黙れ!我ら真の血統を『旧』などと呼び、我らの魔王の座を奪った貴様に下る気などない!この場で貴様を殺した後、貴様の妹とあの人間も殺して盟友シャルバを救い出してみせよう!」

 

あ~あ、ダメだこりゃ。完全に思考が固まってやがる

 

そもそもお前らが魔王の座に座れなかったのは自分たちの力不足が原因だろうに・・・実力主義を訴える悪魔の世界で何時まで血筋に傾倒してんだか

 

「そうか・・・残念だ。ならば私は魔王として今の冥界を脅かす者を排除する」

 

サーゼクスが手を掲げる奴の体をすっぽり覆う滅びの魔力が現れ奴の体が次々と崩壊していく

 

「ば・・・馬鹿な!オーフィスの力をもって最強となった私がこんなにも容易く!・・・ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」

 

ハ!あの程度で最強とは妄想力だけは一級品だったな

 

すると俺が手に持っていた堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)の宝玉が反応を示した―――そして次の瞬間俺たちの近くに以前にも感じた事のある気配が現れる

 

「ほう、まさかお前さん自身が出張って来るとはな」

 

今回の作戦はコイツにとってそれほど重要なのか?それとも何か他に目的でもあるのか?

 

「アザゼル、久しい」

 

現れたのは無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)、オーフィスだ

 

世界に関心の無いはずのこいつが何故今頃になって出てきたのか聞くとあっさりと教えてくれた

 

此処に来たのはただの見学で最終的な目的は生まれ故郷の次元の狭間に帰りたいとの事だった

 

此奴のホームシックが世界を巻き込んだ争いに発展してるとは最強を冠する龍神様はスケールが違うぜ・・・今次元の狭間を飛び続けてるオーフィスを追い出したグレートレッドも次元の狭間は広大なんだから仲良く2匹で漂ってりゃいいモノを・・・ま、縄張り意識の強いドラゴンにそんな事を言ったところで無駄だろうがな

 

ともあれ此奴が旧魔王派の手助けに来た訳じゃないってのは僥倖だったな

 

俺やサーゼクスを含めた四大魔王に各神話体系の神仏がちょくちょく集まっちゃいるが、もしもコイツがその気なら鎧袖一触に蹴散らされていた所だ

 

すると不意に空の方を向くとそのまま何も言わずに消え去ってしまった―――俺の眼を持ってしても影すら追えないとはね。全く嫌になるぜ

 

「アザゼル、オーフィスが何処へ向かったか分かるか?」

 

「んん、そうだな・・・どうなんだ、ファーブニル?」

 

手元にあった宝玉に話しかけると一つの座標を送って来た―――コレはイッキやイッセー達のいる所か・・・まぁ今更オーフィスが態々あいつらを直接どうこうしようとするとは思えないがな

 

「ふむ。確かに同意見だが無視する訳にもいくまい?幸いこの周辺一帯の敵はほぼ殲滅し終えているし少し前にアジュカが結界の解析・解除をしたとの連絡があった。既に結界の外に居た警備の者たちも旧魔王派の者達を逃がさないように包囲網を敷きつつ討伐に加わってくれている。転移も通常通り使えるようになったし此処は彼らに任せて我らはリアスたちの下に向かうとしよう」

 

「そんじゃまぁ、行くとしますかね?」

 

何つっても俺はあいつ等の顧問だしな

 

俺達の足元に転移魔法陣を展開し、オカルト研究部の下に転移して行った

 

 

[アザゼル side out]

 

 

 

 

 

俺達はあれから城を出て取り敢えず近場に居るオーディン様と合流しようという方針になった

 

もう既に粗方の敵を片付け終わってるみたいだから邪魔にもならないだろうし特に他に行くべき場所も無かったからだ

 

そうして今は俺がシャルバを、イッセーがディオドラを簀巻きにした魔力縄を持って引きずって向かっている所だ・・・初めシャルバを拘束してそのままオーディン様の所に行こうとしたら黒歌から「ねぇ、この壁にめり込んでるお坊ちゃんはほっといて良いのかにゃ?」と言われてそこでようやく皆がディオドラの存在を思い出したのだ

 

最後に駆けつけた俺と黒歌は兎も角、直接戦ってたイッセー達がディオドラの存在を完璧に忘れて『・・・・・あ!』と揃って反応した時には少しだけ哀れみを感じてしまったが・・・よっぽどアーシアさんが消えかかってしまっていたという事が彼らの中で衝撃的だったんだろうな

 

「・・・それで最後に木場が『騎士』二人を倒してディオドラの所に向かったんだ」

 

今はイッセーから軽くどんな事が在ったのか聞いている所だ。イッセー達の戦いは中継されていたはずだが俺と黒歌はスクリーンのある場所には居なかったからな

 

「ん?祐斗が『騎士』二人と戦ったのか?」

 

「ああ、そうだけど何かおかしかったか?」

 

「いや、何でもない。勘違いだから気にしないでくれ」

 

「?」

 

アレ?フリードの奴は居なかったのか?ああ、でも確かにフリードが聖剣の因子を取り出されて教会から追い出されたのは数日前の話だもんな。居なくても不思議じゃないのか・・・まぁフリードの事だしその内出て来るだろう。いや、来てほしい訳じゃないけど

 

そんな事を思っていると丁度俺たちの目の前の空間に切れ目が出来てそこから眼鏡を掛けた紳士服の優男系イケメンが現れた

 

「おや?まさかピンポイントで貴方方の居る場所に出るとは・・・もしやすると赤い龍と白い龍の持つ波動が無意識の内に惹かれ合ったのかも知れませんね?」

 

そう言って未だに開いたままの空間の亀裂を向き話し掛ける

 

「ふっ、それも一つの因果だと思えば俺は面白いと思うぞ?アーサー」

 

亀裂から出てきたのはヴァーリだ。そしてそのすぐ後ろには美猴も居る

 

「な!?ヴァーリ、テメェが何で此処に!旧魔王派とやらのテロに加担しに来たのか!?」

 

「安心するがいい、兵藤一誠。俺は今日のテロには無関係だし手を貸すつもりもない・・・ある探し物をしていてな。そろそろこの空間に現れそうだったから立ち寄っただけだ。そこのシャルバ・ベルゼブブをどうこうするつもりも無いさ」

 

ヴァーリがそう言うと彼の後ろに居た美猴が"ヒョイ"とシャルバの方を覗き込む

 

「うっひゃぁぁぁ!それにしてもヒデェなありゃ!前歯全部折れてるし鼻骨とか絶対粉砕してるぜ!鼻が殆ど顔面に埋まってるじゃねぇか」

 

まぁ確かに美猴の言うようにモザイク案件ではあるな

 

少なくともお茶の間のお子様にはあまり見せられない光景だ

 

「探し物?・・・って何だよ?」

 

「ふむ・・・そろそろだな。空を見ろ、兵藤一誠」

 

その言葉と共にゲームフィールドの遥か上空の空間が歪み始め”バチバチ”とまるで放電現象のような様を見せながら全長100mは在る巨大な赤いドラゴンの姿が現れた

 

「赤い龍と呼ばれる存在は2匹居る。1匹はキミの中に居る赤龍帝ドライグ。そしてもう1匹は黙示録に記されし『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド。『真龍』、『ドラゴン・オブ・ドラゴン(D×D)』とも称されし最強の更に上、無敵とされる存在だ―――俺は何時かあのグレートレッドを倒して『真なる白龍神皇』になる・・・赤の最上位が居るのにライバルである白が一歩手前止まりでは格好がつかないだろう?」

 

そんな理由で神にケンカ売るなよな―――これだから戦闘狂は始末に負えんな

 

「グレートレッド、久しい」

 

すると突然岩の上に腰かけている少女が現れた

 

自分でもそれなりに感知の性能は上がってると思ってたが実際こうも何も感じないと自信無くすな・・・相手が相手だから仕方ないんだろうけどさ

 

「誰だ!?」

 

「・・・何の気配も感じなかったです」

 

只管グレートレッドを見つめて反応を示さない彼女の代わりにヴァーリが答える

 

「オーフィス、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)だ」

 

目の前に居るのが禍の団(カオス・ブリゲード)のトップだと知った皆は驚愕の表情だ・・・まぁ見た目は幼女だしね

 

でも、俺としてはそんな事よりもずっと気になる事があるんだよなぁ

 

「我は、何時しか必ず静寂を手にする」

 

そう言って手をピストルの形にしてグレートレッドを撃つ仕草をする彼女

 

「ほぉ、グレートレッドを見るのは久しぶりだな・・・成程、さっき見学と言ってたのは旧魔王派の事では無くアイツを見に来ていたのか」

 

後ろから声がしたので皆で振り向くとアザゼル先生とサーゼクスさんが歩いて来ていた

 

「お・・・お兄様!?観戦席も襲撃にあったと聞きましたがそちらはもう宜しいのですか?」

 

「ああ、大丈夫だよリアス。旧魔王派の殆どは瓦解したよ―――今は包囲網を敷きつつ残りを片付けている所だ」

 

「ん・・・それもまた一つの結果」

 

オーフィスが此方側に正面から向き直り何でもないように告げる

 

「旧魔王派が居なくなった以上、禍の団(カオス・ブリゲード)で大きな戦力は後はヴァーリチームと英雄派くらいのものか?」

 

「英雄派?」

 

「ああ、そうだ。神器所有者や英雄の子孫何かを中心にした派閥さ」

 

「な・・・何つぅ奴らがテロリストになってるんですか!!?」

 

英雄派の来歴をしって驚きの声を上げるイッセー・・・何だけどもうイイよね!?誰もツッコまないなら俺がツッコんでもイイよね!!

 

俺は一人前に出て彼女・・・オーフィスの前に立つ

 

「初めまして。俺は有間一輝・・・早速だけど一つ質問させてもらって良いか?」

 

「お・・・おいイッキ!何やってんだよ!?」

 

「イッキ先輩!危険です!!」

 

心配してくれてるけどゴメン!どうしても前々から聞いてみたかったんだ!

 

オーフィスも「ん・・・何?」と質問を了承してくれたから遠慮なく聞こう!

 

「その服スゲェ変だぞ?どうしてそれをチョイスしたんだ?」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

いや皆揃って無言になるなよ!

 

だってどう見ても可笑しいだろこの格好!!

 

後ろから見る分には黒の格調高いドレスのようだけど、正面向いた瞬間に変態だぞ!?

 

穿いてるのはかぼちゃパンツにしか見えないし、腹は紐が二本結んでるだけで何より胸が乳首の部分にバッテンシールだけって何をどう迷走したらソコに行きつくんだよ!?

 

質問した当のオーフィスはと言えば何か考え込むように下を向いてるし・・・少しすると彼女はうつ向いていた顔を上げた―――ただし視線は俺ではなく別の方を向いていた

 

「・・・アザゼル。我の格好は・・・変?」

 

どうやら昔からの知り合いに意見を求めたようだ

 

「お・・・俺に聞くのか!ま・・・まぁそうだな。世間一般の常識に則るなら変だと思うぞ?―――てか俺も気になって来た。どうしてその服だったんだ?」

 

「・・・我、久しぶりに人前に出たから人里で最初に目に着いた服屋に入ったらこの服が売ってた・・・【一押し新商品】と書いてあったから我、コレにした」

 

それ絶対如何わしい店の一押しィィィ!!

 

でもそうか!服の良し悪しの分からない人のオシャレの最終奥義『あのマネキンの服一式下さい』を実行してしまったのか!・・・入った店が最悪だったみたいだけど

 

この服のデザイナーもまさか龍神様が着ているとは思うまい!

 

「ヴァーリィィィ!!女の子の服をコーディネートできる知り合いは居ないのか!?」

 

具体的にはルフェイとかルフェイとかルフェイとか!!

 

「ふむ、そういう事でしたら私の妹を紹介いたしましょう。妹は普通の感性をしていますし・・・それでよろしいでしょうか?」

 

アーサーがオーフィスに向き直りながら確認を取ると無表情のまま"コクン"と首を縦に振った

 

「・・・黒歌姉様。イッキ先輩は何であんなに必死なんですか?」

 

「それはね白音。多分健全系エロス信者のイッキにはあのフルオープン痴女スタイルがどうしても許せなかったんだと思うにゃ」

 

そこの猫又姉妹!聞こえてるからね!?———ちょっと否定できないけど・・・

 

「・・・我は帰る」

 

「お・・・オーフィス?そんな引っ張らなくても私h・・・」

 

一言だけ言葉を残しアーサーを連れて瞬時に居なくなったオーフィス・・・アーサーの妹に話を通す為に連れて行ったようだが、あの様子なら今日明日中にはまともな格好になっている事だろう

 

一人満足しながらもサーゼクスさんにディオドラとシャルバを引き渡し一先ず事件は終了となった

 

 

 

 

 

 

後日、駒王学園の体育祭がやって来た

 

土曜だからか俺の両親やイッセーの両親も同じ場所で風呂敷を広げて応援したり、カメラを構えて撮影したりしている

 

イッセーの両親とうちの両親は豪邸に住み、尚且つ美少女達と共同で住んでいるという共通点を持つお隣さん同士と言う事もあって仲が良い・・・確かに話を合わせられる相手なんて普通居ないし話題は尽きないだろうな

 

黒歌も今日は前に買った現代風衣装で同じ場所で小猫ちゃんの応援だ

 

丁度今一年生のパン喰い競争で小猫ちゃんとギャスパーがパンに噛り付こうとしている所だ・・・ギャスパーがブルマ姿なのはもはや何も言うまい

 

「畜生!一年に転入して来た金髪美少女にしか見えないギャスパーがアレで男だなんて!!元浜!お前のスカウターが壊れていて欲しいとあそこまで願った事は無かったぞ!」

 

「言うな松田、虚しくなる・・・それより俺は黒歌さんが本当に小猫ちゃん(マイエンジェル)の姉でこのままいくと小猫ちゃん(マイエンジェル)がイッキの義妹になりかねないと言うのがショックなんだ!」

 

俺達は今は次の出場競技までに時間が在るので生徒用の席でだべってる所だ

 

いやまぁ義妹にはならないと思うぞ元浜?・・・ぶっちゃけ嫁になりそう何だけどそれを言葉にしたら元浜が怒りから人間とは別のナニカに変貌しそうだから言わないけどさ

 

結局パン喰い競争は小猫ちゃんが一位通過し他の場所で行われていた短距離走では2年の部ではゼノヴィアとイリナさんが、3年の部ではリアス部長と朱乃先輩にソーナ会長と椿姫副会長がデッドヒートを繰り広げていた

 

「さてと、そろそろ出番が近いし行ってくる」

 

「おう!イッキは確かスプーンリレーだったっか?負けんじゃねぇぞ」

 

「誰に言ってるんだよイッセー」

 

自分で言うのも何だけど身体操作で俺の右に出る奴はこの場には居ないぞ?態々手加減するような理由も無いしキッチリと一位を盗ってクラスのポイントに貢献してやるよ

 

そうして待機場所で支給されたスプーンとピンポン玉を持つ

 

軽いから跳ねて落ちやすいし、なんなら強風が吹くだけでも落ちかねないこのピンポン玉を落とさないようにゴールに届けなければならない競技だ

 

当然ピンポン玉を落としてしまった場合は落とした場所まで戻って走り直しとなる

 

「イッキィィィ!もしも負けたら罰ゲームだからね~♪」

 

「イッキ先輩、頑張って下さい!」

 

遠くの方から黒歌や小猫ちゃんの声援も聞こえる。まぁ他にもオカルト研究部の皆も基本的に誰かが競技に出ていれば声援を送って来るから先ほど走り終えていたリアス部長たちの声も聞こえるんだけどね

 

そうしてもう直ぐ出番という所で後ろから肩を叩かれ、振り向くとそこにはイリナさんが居た

 

「ねぇねぇ有間君。ちょっとそのスプーン貸してくれない?」

 

「んぁ?どうしたんだ?」

 

そう言いながら半ば無意識にスプーンを手渡すと「やった!ゴールしたらすぐに返すわね」とレースに使うスプーンを持ったまま走って行ってしまった・・・って!えええええええ!!何?何がどうなってるの!?

 

突然の出来事に驚愕してるとイリナさんがスプーンを持つ手と反対の手に一枚の紙を持ち、そこに一瞬【スプーン】と書いてあるのが見えた

 

そういえばイリナさんは借り物レースに出場してるんだった!いやでもまさか目についたとしても普通俺から借りる?天然か!・・・そういえば天然だったわあの娘!!

 

そりゃ確かに此処日本のお昼のお弁当は基本箸だろうからスプーンを持ってる人を探すのは難易度高いんだろうけどさ!・・・もしくは家庭科実習室に突撃・・・は無理か。ああいう場所って基本鍵掛かってるだろうし・・・・

 

だが混乱冷めやらぬままに出番が来てしまった

 

「んん?イッキ、お前スプーンはどうしたんだ?」

 

基本テントで寛いでいたが偶々スタートの合図を鳴らす楽な役としてこっちに来ていたアザゼル先生に質問される・・・今の俺はピンポン玉だけ持ってる状態だからな

 

「その・・・イリナさんに借り物レースで持っていかれました」

 

「はぁ~ん。成程な。だがその為にこっちの競技を遅らせる訳にもいかんだろう。イッキ、お前はスタート位置で待機して他の奴らがゴールするまでにイリナの奴がスプーンを返しに来たらスタートしていいぞ」

 

ぐぅぅぅ!元はと言えば俺が何も考えずにイリナさんにスプーンを貸したのが原因だから何も言い返せない!そんな俺を余所にしてアザゼル先生が無情にも競技を進めて行く

 

「ほらほら、さっさと位置に着け。今ならライバルが一人減ってお得だぞ?」

 

「おっしゃ!」

 

「ヒャッホイ!」

 

「先生。クラウチング完了!何時でもスタート出来ます!!」

 

促すなよ先生!そして俺と一緒に走る予定だったお前らも嬉々として配置に着くな!

 

イリナさ~ん!カムバァァァァァック!!

 

内心焦っているとアザゼル先生は無情にもスターターピストルを上に向けた

 

「そんじゃいくぞ~。よ~い・・・“パンッ!!”」

 

鳴り響くスプーンリレー開始の合図。4人同時スタートで俺以外の3人が無慈悲にも走り出していく―――イリナさんの方を見れば丁度一位でゴールし終わった所だった。『やったぁ!』とか喜んでないでそのスプーン返してくれ!返却期限ついさっき切れちゃった所だから!

 

遠くに居たイリナさんが俺と目が合ってスプーンを手に走り寄って来る・・・でも先にスタートした奴らは既にゴールまでの距離を半分に詰めているからもはや一秒すら惜しい!!

 

「イリナさ~ん!!そのスプーンぶん投げてぇぇぇ!!」

 

皆の声援やら各競技で賑わってる中だが天使の彼女の耳には十分声が届くはずだ

 

一瞬キョトンとした彼女だが俺の状況を察したのか『あ!イっけない☆』といった感じにすぐさまスプーンを投げ渡してくれた

 

模擬戦では天使の光力を束ねた槍を投げて遠距離攻撃もするイリナさんは常人ならば目にも映らぬ速度でスプーンを一直線に投げてきた

 

一般人に直撃したら突き刺さるレベルの速度だ・・・フォークじゃないよ?スプーンがだよ?

 

何もそこまでの全力投擲を望んだ訳じゃ無かったが結果的に早く受け取れたから良しとしよう

 

俺はピンポン玉をスプーンに乗せずに(・・・・)スプーンをマジックでスプーン曲げをする人が持つかのように縦に持ち、宙に放り投げたピンポン玉を横向きでキャッチして爆走する

 

前に走る際に前面から掛かる風圧を使ってピンポン玉をスプーンの窪みに押しとどめてもう直ぐゴールしそうな先頭に追いすがらんとしていった

 

繊細な動作でピンポン玉の軸を動かさずに細かく調整し、果ては筋肉のリミッターすら外して猛追だ!―――反則じゃないかって?いやいや、リミッター解除技は仙術の類ではなく、あくまでも身体操作の延長線上に在る技術だから体育祭で使う事に何一つ違反は無いんだよ!

 

「な!バカな!?このままじゃ追い付か・・・いや!追い抜かれるぞ!?」

 

俺の一つ前を走っていた奴が偶然全力疾走する俺の存在に気づき声を上げる

 

「嘘だろ!さっきまでスタート地点に居たはずだぞ!?」

 

先頭を走ってた奴もその声に反応して思わず後ろを振り向いた。仙術抜きだろうとこちとら幼少期から鍛えてるんだ。そう簡単に負けてたまるかよぉぉぉ!!

 

「クッ!だが此処であの我らが駒王学園のマスコットである小猫ちゃんやあまつさえ最近その存在が露になった小猫ちゃんのお姉さんからの応援なんて貰ってた有間一輝は兵藤一誠ほどでは無いが我らの敵だ!せめてこんな時くらいは叩き潰してやる!先頭はそのままお前にくれてやる!」

 

「ああ!此処は俺達に任せて先に行け!!」

 

「お前ら・・・分かった!その犠牲、その覚悟は無駄にはしない!!」

 

謎の熱い友情を展開して暫定2位と暫定3位が暫定1位をゴールに送り出し、自分たちは振り向いて俺の進路を体当たり気味に塞ぎに来る・・・お前らレースはどうしたんだよレースは!?

 

大きく迂回している時間は無い!ただでさえ出遅れたのだから足を止めたら負けだ!

 

俺は姿勢を低くして突っ込むと相手もそれに合わせて受け止める為に体勢を低く保った

 

「此処だ!」

 

ギリギリ相手に当たるか当たらないかの低空飛行で前方宙返りを決め、可能な限りロスを少なくしてゴールを目指す

 

「届けぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

・・・・・結果から言えば2位でした

 

いやでも借り物を早急に渡したお陰でイリナさんはレースで1位だった訳だし、俺も2位なら十分すぎるほどクラスのポイントに貢献してるよな?

 

自分で自分を何とか納得させ午前の部が終了したので俺とイッセーの両親に黒歌も居る場所にお昼を食べにオカルト研究部の面々で向かうと黒歌から「罰ゲーム決定ね♪」と笑顔で言われてしまったけど・・・

 

まぁ黒歌もあそこで俺が負けるとは思ってなかったみたいで罰ゲームの内容は考えておくからまた今度という事になった・・・小猫ちゃんと同じ健啖家の黒歌の事だからまた何処か美味しいお店で奢る事になるのかな?

 

そうして体育祭も終わり皆で椅子とかテントとかその他もろもろを協力して片づけている中、夕暮れの体育館の裏でイッセーとアーシアさんの陰が見えたが取り敢えず気にしない事にした

 

どうせアーシアさんが輝くヒロインパワーを発揮しているのだろう

 

片づけもひと段落した所でグラウンドの少し高台の所で殆ど沈んだ夕陽を見て思う

 

・・・神々の黄昏(ラグナロク)が始まる

 

 

 

 

 

 

「うわ!何俺中二病な雰囲気出してるんだよ!恥ずかし!!」

 

後で悶える事になった俺だった・・・




どうしてオーフィスが原作であんな恰好なのか自分なりに考えてみましたw

最後のイッキはあれですね男子高校生の日常の『今日は、風が煌めいてやがるな』みたいな気の迷いですww

後さらっと流されがちな体育祭の方もちょっとだけ力入れて書いてみました

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