転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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サブタイどうするか悩みました


第9章 放課後のラグナロク
第一話 デートと、デートです!


『フハハハハ!ついに貴様の最後の時が訪れたぞ!乳龍帝よ!』

 

俺達は今、イッセーの家の所謂シアタールームで特撮ヒーロー番組を鑑賞している

 

タイトルは『乳龍帝・おっぱいドラゴン』・・・おっぱい押しと云う点に目を瞑ってさえいれば確かに話が細かい所まで作り込んであると思う

 

画面の向こうのイッセー(顔をCGで加工した役者さん)が丁度禁手(バランス・ブレイカー)となって悪の怪人と相対している所だ

 

「冥界で報道されるようになってからすぐに人気を博しているそうです・・・聞いた話によれば視聴率は50%を超えているんだとか」

 

小猫ちゃんが俺の膝に座って猫耳と尻尾をピコピコさせながら言う・・・流石に毎回膝の上に乗られていると恥ずかしい感情も幾分か慣れてきたので今は割り切っている

 

因みにお腹に手を回して少し強めに"ギュッ"とされるのがお好みだそうで、逆に黒歌は抱き着かれるのよりも自分から抱き着く方が良いそうだ・・・この猫又姉妹可愛過ぎである

 

「50%越えってマジで!?いや~、人気になるのは嬉しいんだけど『おっぱいドラゴン』ってのが流石にチョット複雑だよ」

 

「まぁサーゼクスさんやアザゼル先生の話じゃ今まで冥界に娯楽と呼べるものは殆ど無かったらしいし、テレビ番組の内容なんて多分だけど政治か普通のニュースかレーティングゲームの三つくらいだったんじゃないか?そう考えれば新しいエンターテインメントが大人気になっても可笑しくないと思うけど・・・」

 

それに『マジカル☆レヴィアたん』とかと違ってある意味時事ネタとも云えるしな

 

それにしても物語の主人公たる乳龍帝の名前が『イッセー・グレモリー』ってのがグレモリー家の人たちのある種の期待を表しているような気がするな・・・婿的な意味で

 

「この玩具もよく出来ているじゃないか。もしもこれを等身大にしたら本物のイッセーが横に並んでも分からないかも知れないな」

 

「はい、とってもそっくりですぅ!」

 

ゼノヴィアがグッズ販売されているイッセーの赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)のフィギュアを色んな角度から観察しながら感想を溢しアーシアさんが同意する

 

レーティングゲームで駒王学園を丸ごと再現する悪魔の技術からすれば寸分たがわぬフィギュアを作る程度の事は何でもないのだろう・・・この再現度で子供向け価格だからな

 

それと『乳龍帝・おっぱいドラゴン』のグッズ販売と同時についにピー(チチ)も満を持して販売を開始したらしい

 

ただ、生産できるのがイッセーの使い魔たる竜子だけなので圧倒的に数が不足し既に需要が跳ねあがってるようで、テロで値段が高騰した今のフェニックスの涙並みのお値段設定になってるらしい

 

フェニックスの涙とレーティングゲームで戦後に成りあがったとされるフェニックス家の財源に近いとかすさまじいな・・・まぁシトリー家との共同開発だから収入は単純計算で半分だし、フェニックスの涙のように何度も使う事を前提とした代物ではないが十分すぎるほどの利益が既に出ているとの事

 

得られる胸の大きさもDカップからHカップまでの間で選ぶことが出来るそうで、既に悪魔の貴族の奥様方から注文が殺到しており他にも噂を聞きつけた同盟を結んだ他勢力のお偉いさんもピー(チチ)を求めているようだ

 

数年は先の事になるかも知れないが、ある程度騒ぎが収まったら一般の悪魔にも手にする機会が訪れるように一般参加のクイズ番組などの商品として稀になら出していくという話もあるようだ

 

『世界を巨乳に! 乳&ピース!!』の理念はこうして形となったのだ・・・まぁあのはぐれ悪魔は「Eカップ以下は認めない!!」とか言いそうだけどね

 

とはいえコレで世界はおっぱい革命期(レボリューション)の時代に突入していったのだ

 

この前冥界に竜子の様子を見に行ったイッセー曰く24時間フル稼働で触手で色んなおっぱいから(にゅう)パワーを吸いまくってるらしく、ドラゴンの顔の部分なんか満面の笑みでツヤッツヤしてたみたいで一瞬その場で滅ぼしてやろうかと思ったと泣きつかれてしまったけどな

 

何でも気付かない内に「我、目覚めるは・・・」と口にした時点でドライグに強制的に意識を引き戻されたようだ・・・さりげにグレモリー領の崩壊の危機だったのかもしれん

 

「そういえばリアス部長。ソーナ会長はもうピー(チチ)を食べられたんですか?」

 

ふと気になったのでリアス部長に尋ねると首を横に振った

 

「いいえ、学園生活の中でいきなり胸が大きくなると不自然だから所謂『大学デビュー』するつもりだと言っていたわ。胸の大きさも自分の雰囲気に合いそうなDカップか自分の願望(りそう)を優先したDカップ以上にするか悩んでいるみたいね」

 

そこで悩むという事はソーナ会長の胸のサイズは・・・いや、これ以上は考えるのはよそう。多分これ以上掘り下げて考えたら次に学園で顔を合わせたら気づかれる予感しかしない

 

話している間にも物語は進み、乳龍帝がピンチに陥ったら登場したスイッチ姫へのパイタッチでパワーアップの下りでリアス部長がアザゼル先生にハリセンでどついたりしていた―――やっぱり名称はスイッチ姫になったんだな・・・これが因果か

 

「そういや今度の日曜、例のフェニックス家のお嬢さんが来るんだっけな?リアス」

 

へ?レイヴェルが?何しに?

 

「レイヴェルって確かあの焼き鳥野郎の妹でしたよね?」

 

「ええ、どうにもあの子、少しでも冥界の役に立てるように今の内から色んな仕事を体験したいらしくてね。手始めに三大勢力の和平の結ばれたこの駒王町に来てみたいそうなの」

 

「それって俺達グレモリー眷属の仕事を見学したいって感じなんですか?」

 

「いいえ、そもそも彼女はフェニックス家の息女でライザーの眷属でもあったのだから私達の基本的な活動を通して得るものは少ないでしょう」

 

そりゃそうだよな。上級悪魔であるはずのレイヴェルなら眷属としての活動の知識だけならリアス部長か、最低でも朱乃先輩にも引けは取らないだろう

 

「ああ、だから主に裏方方面だな。この町を管理するのはグレモリー眷属と次いでシトリー眷属がメインだが、他にも色々な天使・堕天使・悪魔のスタッフが細かい所を請け負ってる―――将来上に立つ者として下の者の仕事ぶりを肌で感じるというのは悪い事じゃないさ」

 

ああ~、そう言えば確か最初は『おっぱいドラゴン』の仕事の手伝いとかしていたんだっけか?でもイッセーが出合い頭に全裸にひん剥いたから『おっぱいドラゴン』からはちょっと距離を置いてる感じかな?

 

それでも此処に来たいってのはやっぱりこの町が今を時めく重要拠点だからか

 

「あの~、すみません部長。今度の日曜と言うと俺、朱乃さんとデートの約束しちゃってたんですけど、やっぱりソッチを優先しないとダメですか?」

 

「イッセー君!あの時の約束、ちゃんと覚えていてくれたのね!」

 

イッセーのデートの言葉に朱乃先輩が輝かんばかりの笑顔を向ける

 

「そりゃあ忘れませんよ!あの時は小猫ちゃんに促されてその場の勢いで言いましたけど、朱乃先輩との約束を反故にするような真似はしたくありません!・・・あ、でも俺なんかが朱乃さんのデートの相手としてつり合うかどうか」

 

「うふふ♪気にする事ありませんわ。私はイッセー君とだからこそデートをしたいのですから」

 

「「むぅぅぅぅ!!」」

 

二人のやり取りを見てリアス部長とアーシアさんは可愛らしく頬を膨らませてるな

 

ゼノヴィアは「うむ!やはりその場の勢いが大事なのだな」とか言ってたからまた近いうちにイッセーに突貫をかますのだろう・・・何時もの事か

 

「はぁ・・・約束を無碍にしろとまでは言えないわね。幸いと言って良いのか、レイヴェルが此処を訪れるのは夜になってからだから夕方までには帰るようにしなさい」

 

「はい!」

 

夜?悪魔のスタッフが本格的に動くとしたら夜がメインとなるからそれに合わせた感じかな?

 

「うふふ♪ええ、分かりましたわリアス」

 

取り敢えず朱乃先輩はその後、終始上機嫌でした

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、修学旅行の班決めで俺、イッセー、松田、元浜の何時ものメンバーで組み、そこに桐生さん、アーシアさん、ゼノヴィア、イリナさんも一緒に行動する事が決まった

 

「そう、そういえば2年生はそろそろ修学旅行の時期だったわね。イッセーとイッキは中学生の時も修学旅行先は京都だったのよね?今回はどう回るつもりなのか決めてるの?」

 

放課後の部室で皆でお茶を飲みながら旅行で行く京都の事が話題となっていた

 

「はい部長!俺とイッキ以外にも松田と元浜も一緒のメンバーだったのでアーシア達の為にも有名処を押さえつつ前は行けなかった隠れた名所とかも見て回ろうと思います!」

 

「そうなのね・・・はぁ、私も修学旅行で2回京都に行けたら良かったのに―――二人が羨ましいわ。全部見て回るには時間が足りなかったからね」

 

「うふふ♪去年はリアスが目に付くところ全てに顔を出していたせいで最後の二条城を回れなくなって最後に地団太踏んでいましたわね」

 

「もう!朱乃!それを言わないでよね!」

 

そんな二大お姉様のじゃれ合いを見ているとイッセーがふと思い出したように確認してきた

 

「なぁイッキ。中学の時の修学旅行でお前が最終日に京都の知り合いの家に泊まったって悪魔に為った今なら変だと分かるんだが・・・もしかして何か在ったのか?あ!それとも九重の家に泊まったって意味か?」

 

おや?3年越しに暗示の効果が薄れたか

 

「両方正解だ。あの時、偶然京都の事件に巻き込まれてその結果初めて九重の住んでる屋敷に行ったからな・・・いやぁ思い返すとあの時が一番重傷を負ったかも知れないガチバトルだったよ」

 

殆ど【一刀羅刹】の反動だったけど、あそこで使わないと死んでたしな

 

「マジか!イッキが重傷とかってどんなヤベェ事件だったんだよ!?」

 

「いやいやイッセー、俺もあの時は精々上級悪魔くらいの実力だったからな・・・相手は当時既に最上級悪魔クラスの黒歌を一発KOするような奴だったし、魔王クラスは間違いなくあったから自分でもよく生き延びたと思ってるよ」

 

今の俺なら【一刀修羅】で互角の戦いくらいは出来そうかな?

 

「ううむ。日本の魔都と呼ばれる京都はそれほどまでに混沌に満ちた場所だったのか。これは気合を入れて修学旅行に臨まなければいけないな」

 

「その通りだよゼノヴィア。上級悪魔くらいの戦闘力は京都に赴く際の最低基準だと覚えておくといいぞ」

 

京都で英雄派と戦う可能性は高いからゼノヴィアの勘違いをあえて加速させる事にしよう

 

「いやいや、待て待てイッキ!俺達が行くのは普通の修学旅行だから!」

 

「はぁ?俺たちが中学の時に行ったのも普通の修学旅行だっただろ?」

 

「いやそうなんだけどさぁ!!」

 

何でもないような顔をして軽くイッセーを揶揄ってると全員の持つ携帯が一斉に鳴り響いた

 

これは此処の所頻発している禍の団(カオス・ブリゲード)関連の厄介ごとがあった際の着信音だな。オカルト研究部の皆が鋭い目つきとなっている中俺は駒王町全体を探知する

 

「今回は最低でも人間が5人。後は何時もの魔物ですね。」

 

「全く、これで何回目かしらね?皆、気を引き締めて行きましょう」

 

『はい!』

 

 

 

 

 

丁度太陽が沈み切った頃、町はずれのおあつらえ向けの廃工場でオカルト研究部と4人の人間が対峙していた。彼らの後ろには倒すと塵のように消える魔物が100体以上控えている

 

禍の団(カオス・ブリゲード)、英雄派ね?私はこの町の管理を任されているリアス・グレモリーよ。一応聞いておくけど一体何の御用かしら?」

 

「これはこれは魔王の妹君。我らの目的は悪魔などという人の世を蝕む害獣を殺し尽くし、この町を解放する事にある。無論、悪魔に手を貸すそこの天使や人間も同じく裏切り者として断罪してやろう!」

 

こいつ等からすれば悪魔は明確な『敵』で俺やイリナさんは『裏切り者』らしい

 

どうやらしっかりと教育が行き届いているみたいで全くもって嫌になるな

 

「敵は4人・・・ね。皆、気を付けなさい」

 

リアス部長の此処で言う気を付けなさいは俺の探知した敵が5人だから伏兵が潜んでいるという意味だ。皆もそれに了承の意を示した所で敵が掌から白い炎を出して開戦となったが敵の一人が"ズイッ!"と前に出る

 

「ハ!悪魔なんて全員この俺様が一人で軽く蹴散らしてやるよ!よく見とけよ!俺様の神器の能力は手に持った石を・・・」

 

“ザシュ!”

 

祐斗に速攻で沈められたな・・・まぁ中には自分の力を過信する奴も居る訳だ

 

俺は今回は中衛で小猫ちゃんの隣で仙術の気弾による援護射撃がメインだ―――俺一人で終わらせたら皆の経験にならないという事でよっぽどの事でもない限りは一歩引いたスタイルで戦ってる

 

因みに黒歌は今回は此処には居ない・・・自由人の彼女は何時も部活に顔を出す訳でも無いしね

 

そうして敵の影使いをリアス部長の指示の下イッセーと祐斗が倒した辺りで外から小猫ちゃんが一人の気絶した男の襟首を掴んで引きずって来た

 

「馬鹿な!猫又が二人だと!?まさかコレがジャパニーズNINJAのBUNSHINだと言うのか!?」

 

最初に祐斗に沈められた奴が痛みも忘れたように叫ぶ。うん・・・外国人目線ですね。というか驚愕というよりも興奮してない?

 

取り敢えずお役目を終えた俺の隣に居た小猫ちゃんの幻影が消えていく

 

俺の仙術で幻影を作り出し、あたかも小猫ちゃんが仙術で攻撃してるように見せかけて本物っぽく演出していたのだ。まだまだ練度は低いけど英雄派の構成員程度なら騙せるし俺にとっても練習になるからちょくちょくこういう手は使わせてもらっている

 

相手に情報が漏れてるはずだからあまり派手なデータは渡さないように気を付けないといけないのが面倒なんだけどね

 

「FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

そいつがBUNSHINを見た興奮からか奇声を発した所で"ゴゴゴゴゴゴ!"と地面が揺れ動き、同時に神器使いの足元に転移魔法陣が展開され、そのまま消え去って行った事で戦闘は終了となった―――アレ?こんなんだっけ?まぁ多少の違いはあるか

 

すると残りの英雄派も転移し、魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)であろう影の魔物も居なくなったはずの廃工場の奥から足音が聞こえてきた

 

気配も何も感じなかったけど一体だれだ?

 

そして工場の影から出てきたのは黒髪龍神美少女様だった・・・って!オーフィスかよ!?

 

「な!オーフィス!?彼女が何で此処に!?」

 

驚愕している皆の心の声をリアス部長が代弁する中、オーフィスはそのまま普通に近づいてくる。皆も臨戦態勢になってはいるが先に手を出すのは拙いと分かっている為か誰も攻撃を仕掛けようとはしなかった

 

皆の緊張が最高に高まり誰もが額から汗を流している中オーフィスはゆっくりと両腕を広げた

 

「我。服、選んでもらった・・・変じゃない?」

 

ああ・・・うん。彼女の服は以前着ていた黒のドレスの変態的な部分を無くした『これぞ貴族のドレス!』って感じの仕上がりになっていた―――アーサーの妹はいい仕事したみたいだ

 

オーフィスの目線も心なしか俺の方を向いてるみたいだし、何より皆はまだフリーズ中だから俺が返答するべきだろう・・・何も知らなければそういう反応にもなるよな

 

「うん。似合ってると思うぞ。アーサーの妹さんと買い物に行ったのか?」

 

「そう・・・アレから我、毎日ルフェイに違う服を着せられてる」

 

そういうと一瞬黒いオーラに包まれたかと思うと今度は大きなバッテンマークの付いた黒のインナーにスカート、そして明るい紫の上着を着た姿に変わった

 

アレだな。『我、パンツ、穿いてない』の格好だ―――という事はもしかしてそのスカートの下は・・・いやいや!見た目だけとはいえ幼女のスカートの中身を真剣に考察したら人として大事なナニカを失ってしまう!

 

「現代風衣装か、そっちは表の世界に行くとき用に見繕ってくれたのかな?そっちも似合ってると思うぞ」

 

それにしても無限の龍神様が着せ替え人形と化しているのか・・・ルフェイさんがツヤッツヤした笑顔でオーフィスの服を選んでいる姿が容易に想像できるみたいだ

 

そしてオーフィスは服装に直接苦言を呈した俺に合格点を貰った為かそのまま一瞬で消えていった

 

「・・・なぁイッキ。アレが本当にテロリストの親玉の邪悪なドラゴンなのか?」

 

オーフィスが居なくなった事で漸く再起動を果たしたイッセーが訊ねてきた

 

「どうだろうな?会談の時にヴァーリも言ってたけど世界や覇権に興味はないみたいだし禍の団(カオス・ブリゲード)の連中がオーフィスの名前を使って勝手に暴れてるって感じもするけどな」

 

権威を笠に着て勝手な言い分で一方的に暴力を振るう・・・最初期のゼノヴィアのようだな。まぁ禍の団(カオス・ブリゲード)の方がはた迷惑の度合いが違うけど

 

取り敢えずこの町にオーフィスが現れたという事を報告しない訳にもいかないのでその日は解散していった・・・今頃リアス部長や朱乃先輩が『無限の龍神のプチファッションショーが在った』と上に提出する報告書を作成している事だろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、イッセーと朱乃先輩のデートの控えた土曜日。リアス部長とアーシアさんは普通にしてるように見えて何処か落ち着きが無かったがそれはそれとして今日もオカルト研究部の特訓がある

 

俺の家の地下のトレーニングルームとイッセーの家の地下のトレーニングルームが別々だと面倒だという意見もあり、今はパネル操作一つで二つの疑似空間を一つに纏める事ができるようになった

 

疑似空間を形作る構成力や余剰エネルギーを回すことでこれからインフレしていくであろうオカルト研究部の破壊力にもかなり耐えられる仕様になっているらしい

 

今は一通りの基礎訓練が終わって小猫ちゃんとイッセーが模擬戦中だ

 

イッセーは赤龍帝の鎧を身に纏い、小猫ちゃんはそのパワーに対応する為に大人モードで戦っている。後は少しでもその強化状態に慣れる為でもあるかな

 

イッセーの放つドラゴンショットを最小限の体捌きで避けて距離を詰める小猫ちゃんだがイッセーも接近戦は望むところなのか真っ直ぐに距離を詰める

 

イッセーの右のストレートを円を描くような動作で避けつつ突き出された右腕の手首の辺りを掴み背中のジェットで突進してきていたイッセーの力のベクトルをやや下に向ける

 

完璧に相手の動きを掴めないと出来ない芸当だろう―――ただし一瞬の交錯ではパワー馬鹿の赤龍帝の進行方向を少しずらすのが精一杯だが、その先が文字通り足元の地面であれば話は別だ

 

実際にイッセーは今物凄い勢いで地面に激突して地面をその身で削ったり跳ねたりしながらはるか遠くへぶっ飛んでいる・・・鎧があるから直接的なダメージはそれほどでも無いと思うけど天地も認識できないくらいに跳ねまわりながら全身に衝撃が走ってる事だろうな

 

そしてイッセーが立ち上がるよりも早く、追撃として放たれた二つの白い炎を纏った火車を兜の部分に左右から挟み込むようにブチ当てて完全に衝撃が内部に浸透したイッセーが倒されて模擬戦は小猫ちゃんの勝ちとなった

 

「あ~、イッキも小猫ちゃんも接近戦に持ち込んでも一発も入らねぇ!イッキは兎も角、小猫ちゃんはパワーとスピードだけならそこまで大きな違いは無いはずだよな?幻術も無しに体術だけで翻弄されると少し凹むぜ」

 

「イッセー先輩の体術はそれなりにキレがあると思います・・・その理由が女子生徒の着替えを覗く為にイッキ先輩に毎日のように叩き伏せられていたのが原因というのには思う所がありますが」

 

アーシアさんに軽く治療を受けていたイッセーに小猫ちゃんが意見を述べる

 

「なら、小猫ちゃんは何であんなに簡単に俺の攻撃を紙一重で避けられるんだ?まるで俺の次の動きが全部分かってるみたいな錯覚に陥るんだけど・・・」

 

「そりゃ、事実その通りだからだよ」

 

「はい、コレはおそらく私達が仙術使いだからこそ感じ取れる赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の弱点だと思います」

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の弱点?興味があるわね。眷属を率いる『王』として是非知っておきたいわ」

 

イッセーの弱点という話に興味をそそられたみたいでリアス部長も会話に加わって来る

 

休憩中の他の皆もこっちを向いてるな

 

神器(セイクリッド・ギア)は想いが強いほど力を増す特性がある。そしてイッセーの禁手(バランス・ブレイク)は強大な力の塊を全身に纏うタイプだ」

 

「だから、イッセー先輩が行動に移る直前にオーラの流れから次の手が読めてしまうんです」

 

原作の曹操もオーラの流れが弱点とか言ってたけど仙術使いとして対峙してみればそのことがよく判る。ましてやイッセーはかなり素直な性格だからそれも相まってるんだろうな

 

「マジで!?」

 

「残念ながらマジだよ。ある程度の仙術使いとか何らかの形でオーラを感知できる奴ならイッセーの攻撃は全部テレフォンパンチだ。右手で殴りかかろうとしながら左足にオーラが集中していればフェイントやる気なんだってバレバレだからな」

 

「うわぁぁぁ!どうりで幾ら虚を突こうとしても対応される訳だよ!何か対策とか無いのか?」

 

「う~ん。それ自体は赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)である限り消すのは難しいと思うから地道に地力を上げて先読みしても対応できない速度で攻めるか、広範囲を吹き飛ばすかじゃないか?折角力の塊とされる赤龍帝の力があるんだから『力こそパワー!!』で突き進むのも手だと思うぞ?」

 

仙術を覚えてオーラの流れを自覚して制御するって方法もあるけど時間が掛かり過ぎるし、何よりイッセーが仙術に手を出したら世界の邪念を吸い込んで性犯罪者になる未来しか見えん・・・今でさえ限りなくブラックに近いグレーなんだから

 

「そうね、対策も重要だけど地力を伸ばすのも同じくらい大切よ。力の差が大きければ多少の相性の良し悪しは覆せるものね・・・まぁこんな事を言えば脳筋みたいだから考える事を止めたらダメよ?イッセー」

 

「はい部長!練習しつつ色々考えてみます!」

 

イッセーの元気の良い返事を一つの合図としてそれぞれがまたトレーニングに戻って行った

 

 

 

 

 

そうして来る日曜日。今日はイッセーと朱乃先輩のデートの日で二人が態々別々に待ち合わせ場所に赴いたのをリアス部長とアーシアさん、ゼノヴィアとイリナさんが帽子にサングラスとマスクの出で立ちで付いて行った・・・アーシアさんの金髪はまだしもリアス部長の紅髪とかゼノヴィアの蒼い髪とか目立つ事この上ないからせめて魔力で髪の色を変えるとかすればいいのに

 

俺?俺や小猫ちゃんと後黒歌は尾行を見送っただけで付いては行ってないですよ?流石にデートの邪魔をする気はないしね

 

「黒歌や小猫ちゃんは今日は何か予定とかあるのか?」

 

「私は特に無いかにゃ~。白音は?」

 

「私もコレと言った用事は無いですね・・・でも・・・その・・・」

 

特にやる事も無かったので二人に話を振ると二人とも予定は無いとの事だったが小猫ちゃんが急に口ごもり始めた・・・はて?何かあるのかな?

 

「にゃ?どうしたの白音?何かあるのかにゃ?」

 

暫く何を言おうか言うまいか悩んでいた小猫ちゃんだったが黒歌にも軽く促されて漸く意を決したのか、顔を上げてこちらを見つめてきた

 

「イッキ先輩!私達もデートに行きませんか?」

 

な!?コレはまた真っ直ぐなお願いだな。イッセーと朱乃先輩のデートを完全に意識してるだろ

 

「ふ~ん。良いんじゃないの?行ってきなさいよ白音」

 

「あ!で・・・でも、もしアレなら黒歌姉様も一緒に3人で・・・」

 

「私の事は気にする事無いわよ。折角奥手な白音が勇気を出してイッキをデートに誘ったのに私が付いて行ったら野暮天にゃ・・・まっ、3人のデートも楽しそうだけどそれはまたの機会にするにゃん♪」

 

ふ~む。確かにそういえば黒歌や小猫ちゃんと普通の買い物とかなら何度もあるけど明確にデートと位置付けて何処かに行った事は無かったな―――コレも良い機会というやつだろう

 

「良し!じゃあ遊びに・・・いや、デートに行こうか、小猫ちゃん」

 

「はい!有難うございます、イッキ先輩!」

 

「あ!でもなぁ・・・」

 

そう言って悩み始める俺に小猫ちゃんの瞳が不安げに揺れる

 

「その・・・やっぱり駄目でしょうか?」

 

「御免御免、そうじゃなくてさ、何処に行くべきかって思ってね。今まで町中を巡るだけなら結構一緒に歩いたりもしたし、ショッピングとかだとイッセー達のデートとバッティングを気にしないといけないからね」

 

気配探知で出会わないようにするのは可能だがそんな方向に意識を割くのはちょっと遠慮したい

 

「では、定番ですが遊園地に行きませんか?大型連休でもないなら人混みもそこそこでしょうし」

 

それはいい案だな。王道ってのはそれだけ需要があるって事だし、今日はレイヴェルが来るみたいだから夕方には帰る必要があるけど、そこはちょっと転移を使わせてもらおう

 

そうして急遽小猫ちゃんとの遊園地デートが決定したのだった




次回のデートの部分は少しネタに走ろうと思います

因みにオーフィスは皆のマスコット枠です。ヒロインではありません

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