転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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前半糖分多めで書いてみましたww


第二話 お客様、来日です!

”コンコン!”

 

「イッキ先輩、入っても良いですか?」

 

「うん。入って良いよ」

 

「失礼します」

 

遊園地に行くことが決まってから一度各自の部屋に戻り軽く外出用の準備をして少しパソコンで調べものをしていると小猫ちゃんがドアを叩いて入室してきた

 

「小猫ちゃんの方はもう準備は出来た?」

 

とは言え大荷物が必要な訳でもないからまだ別れてから数分しか経ってないんだけどね

 

「はい!大丈夫です!・・・何か調べものですか?」

 

そう言いつつパソコンを覗き込んでくる小猫ちゃん

 

「うん。一口に遊園地と言っても何処に行こうかと思ってね。やっぱりメジャーな所で千葉ネズミーランドとかで良いのかな?って軽く調べてた所だよ。小猫ちゃんは興味のある遊園地とかってある?」

 

「それでしたら、最近人気が急上昇している遊園地があるとTVでやっていた所があるのでそこに行きませんか?何でも半年ほど前までは閑古鳥が鳴いていたらしいのですが新しく支配人になった方のプロデュースで一大人気テーマパークになっているんだとか」

 

へぇ!それは凄い!まさしく今を時めく遊園地って訳か

 

「良し!じゃあ、その遊園地にしようか」

 

 

 

 

 

 

あれから小猫ちゃんに遊園地の名前を聞いて場所を調べ、少し横着い気もしたけど近場まで転移で向かって遊園地のゲートを潜る

 

パンフレットだと『魔法の国からやってきた妖精たちが貴方達をもてなし、夢と希望を皆さまにお届けします』というキャッチコピーだったがこの遊園地、少し見渡すだけでも人外が多すぎである

 

本来着ぐるみであるはずのスタッフの人たちとか例外なく人間じゃないんだけど・・・もしかしてアレって本来の姿で仕事してるのか?

 

「イッキ先輩?どうしたんですか?」

 

「いやチョットだけスタッフに面食らってしまっただけだから大丈夫だよ。悪魔な小猫ちゃんに言うのも何だけど、気にならなかったの?」

 

「別に普通じゃないですか?去年のオカルト研究部の文化祭の出し物はお化け屋敷だったのですが、本物の妖怪さん達をリアス部長が雇ってましたから」

 

何やってるのリアス部長!?そしてそうか!去年の文化祭で旧校舎から異様な気配が漂いまくってたのはそれが理由だったのか!?

 

悪魔のオカルト研究部に言うのも何だけど本物の妖怪は表の文化祭で雇ったらダメだろう!

 

最初に目についたのはこのテーマパークの看板キャラクターのお菓子ハウスだ。最初は土産屋の一種なのかとも思ったけどどうにも射的ゲームで厨房を荒らすネズミたちを退治するらしい

 

より高得点をより難易度の高い設定でクリアすると後で景品として貰えるお菓子も豪華な物になるらしく、説明を聞いた小猫ちゃんは迷うことなく最高難易度のイージー<ノーマル<ハードのさらに上、インセイン(狂気)モードを選択していた・・・狂気モードってテーマパークとしてそれは如何なの!?

 

「はい、インセインモードですね!でしたら此方から使用する武器をお選び下さい」

 

“ガコォォォン!!”

 

受付嬢のすぐ後ろに安物水鉄砲みたいなのが壁に掛けてあったのでそれを使うものとばかり思ってたがインセインモードを選んだら壁が反転して様々なゴツイ銃たちが現れた

 

「アサルトライフル型の銃は連続掃射出来る代わりに弾切れが設定されており、その度にリロードモーションが必要とされます。対して拳銃型はリロード無しで撃ち続ける事が出来ますが正確な射撃が必要とされるので玄人好みとされております。なお、銃声と硝煙、反動も再現されておりますので無暗に他人に銃口を向ける事の無いようにお願い申し上げております。それでは何方をお選びになりますか?」

 

・・・・・此処お菓子ハウスだったよね?射的はあくまでも味付けだよね!?なんでそんなに無駄に本格仕様なの!?力の入れ処間違ってない!?

 

結局小猫ちゃんはアサルトライフル型を選び、俺は拳銃型を選んで戦地に赴いて行った

 

「イッキ先輩、豪華景品の為です。全力で挑みましょう」

 

お菓子に目が眩んだ小猫ちゃんが殺る気に満ちている中、近未来的なネズミのアジト(厨房や食糧庫)の至る所からネズミが一瞬だけ飛び出してきて此方に銃で攻撃を仕掛けて来る・・・お前らやられ役じゃないのかよ!?因みに銃と一緒に着せられた防弾チョッキに当たり判定が出るとその分減点されるそうだ

 

挙句の果てにはミサイル搭載のロボットに乗ったネズミも襲ってくる始末

 

小猫ちゃんが小回りを生かしてアサルトライフルで血路を切り開き、俺は後ろから身体操作技術にものを言わせて正確な射撃で撃ち漏らしを撃ち抜いて行く

 

時折走り抜けた後では爆発が起き、火薬と硝煙の匂いに銃声が狭い通路に充満していきやっとゴールにたどり着いた

 

「お・・・終わった・・・ナニコレ?」

 

撃ち漏らしは最初の数匹だけで後は全部ヘッドショットかましてやった・・・始まった瞬間絶対に二人で突破は出来ないと思ってスタートからゴールまで脳も筋肉もリミッター解除で全力疾走したから疲労感が凄まじいし頭もズキズキする

 

流石にインセインモードと嘯くだけの事はあるみたいだ

 

その後出てきた無駄に体幹にぶれの無いマスコットと一緒に記念撮影をして高級お菓子の詰め合わせセットを景品として貰った

 

「御免、小猫ちゃん。ちょっと疲れたから次はそうだな・・・あそこにしない?」

 

俺の眼に留まったのはメルヘンな雰囲気漂うミュージックシアターだ。あそこなら多少は休まるだろう―――音楽はリラックスにも良いって言うしね

 

「はい、では入りましょうか」

 

小猫ちゃんも快諾してくれたので建物の中に入り、奥にあった扉を開ける

 

するとその瞬間に爆音が轟いて来た。どうやら扉も壁も防音仕様だったみたいだ

 

中央に存在するステージではメタルな恰好をした羊のマスコット(人外)とその他の人間がギターやドラムをかき鳴らし、お客さんはそろってヘドバンしていた

 

 

≪アウッ! アウッ! アウッ! アウッ! オゥイェイ ベイベエエエエッ!!≫

 

 

“―――バタン!”

 

「・・・・・・・・・・次に行こうか小猫ちゃん」

 

「イッキ先輩がそう言うなら・・・面白そうだったのに

 

御免、体調万全なら突撃しても良かったけど今の俺にあのノリ(ヘドバン)はキツイわ

 

次に目に入ったのは可愛らしいピンクの猫のような(実際は犬らしい)マスコットが居るとパンフレットに書かれていたフラワーアドベンチャーだ。様々なお花を中心にした植物を見て回る事が出来るらしい

 

「次に行こうか」

 

「はい。イッセー先輩のような凄くイヤらしい気を感じます」

 

よく分からないけど取り敢えずスルーする事にした・・・あそこは多分関わったら業界の闇を覗き込むような場所だと思う

 

そして漸くまともな公演をやってる場所に来た―――地水火風の四人の精霊が物語に合わせて軽い劇とメインの踊りを披露する所らしい

 

「おお~!イッセーがあの精霊たちを見たら狂喜乱舞しそうだな」

 

「む・・・確かに皆さん可愛らしいですね」

 

他の女の子を遠回しに褒めたらちょっと不機嫌になっちゃった小猫ちゃんだけど、俺もあの使い魔の森で出会った水の精霊には思う所があったのでこれくらいの感想は勘弁して欲しいな

 

≪こうして、精霊たちの助けもあり森には平和が訪れたのでした≫

 

そのナレーションと共に舞台上の四人が一斉にキメポーズをとる・・・終始地の精霊がワンテンポ遅れてたけど、まぁアレも一つの味だろう

 

ダンスを見終わった俺達は丁度昼頃だったので食事にした

 

「このコロッケ!衣はサクサクでしつこく無く、中身も一つ一つの素材の味が主張し過ぎず、かと言って隠れ過ぎず調和しています!さらにはあふれ出る肉汁が全ての味を引き立てて絶妙なハーモニーを奏でています!」

 

普段口数の少ない小猫ちゃんの急な食レポ

 

食事自体は普通に美味しいという域を出なかったがパークのオススメメニューだという姫様コロッケは衣から中身まで拘り抜いて作られていたので凄く美味しかった・・・普段口数の少ない小猫ちゃんの急な食レポをかます程だからな

 

因みに何が『姫様』コロッケなのか聞いてみると魔法の国のお姫様お手製なんだとか

 

設定としてはいまいちよく分からない感じだったが美味しかったので良しとしよう

 

昼食を食べ終えて一番最初に赴いたのは恐竜時代を探検しながら学べるプラネットダイナソーという場所にした―――三畳紀(2億5190万年前)から白亜紀(1億4,500万年前から6,600万年前)までの歴史の流れを精巧に作られた恐竜を通して見て回った

 

≪白亜紀の最後、天から降り注いだ巨大隕石により近場の恐竜は全滅・・・その後天高く舞い上げられた粉塵が太陽を覆い尽くし氷河期となった地球で残った恐竜たちは一匹、また一匹と飢餓と寒さに徐々に体力を奪われ、無念の内に倒れていったのでした≫

 

ナレーションが暗いわ!絶滅で終わるのは仕方ないとしても、もっとサラッと流してくれよ!

 

恐竜の絶滅に変な哀愁を抱えながら気分転換に体を動かせる感じのアトラクションとして失われた秘宝を求めて大冒険するトゥームレンジャーに行くと何と敵は海賊、舞台はSAITAMA、求める秘宝はネギみそ煎餅だった・・・もはや意味が分からない

 

「イッキ先輩!気合を入れて行きましょう!」

 

・・・小猫ちゃんは食べ物が景品にあると途端にやる気になるな

 

でも、瞳を輝かせている小猫ちゃんはとっても愛らしいので良しとしますか!

 

「よぉし!掛かって来い海賊共!裏の世界じゃGUNMAに並ぶ魔境とされるSAITAMAでは貴様らなど塵芥に等しいのだと教えてやろう!」

 

武器として渡されたサーベルを手に小猫ちゃんと二人で海賊を退け、七つの海を越えて秘宝を手に入れた・・・ネギみそ煎餅は美味しかったです

 

しょっぱい物を食べたし運動もしたので土偶の経営しているクレープ屋でクレープを買い、次の場所を目指す。あの土偶さん普通に浮遊能力使ってクレープ作ってたけど大丈夫なのかな?

 

クレープを食べ終えた頃に見えてきたのは地球科学の体感シアターだ

 

案内役の地球型のマスコットが人類がいかに地球環境を破壊して来たのかを延々と説教する内容だった。説明ではなく説教って・・・いや、説明だったとしても大概か

 

「おう、そこのカップル。お前らも地球(俺)の為にこの募金箱に募金していけ!一口最低でも2千円は入れろよ―――さっさとしな、後が控えてんだからよ。二人で4千円・・・いや、カップルとかムカつくから5千円は募金しろ!おいテメェら!無視して出て行こうとするんじゃねぇ!1万円入れろおらぁ!!」

 

最後のアレは半分以上カツアゲだったな・・・よくあれで今まで問題になってないものだ

 

そして最後に訪れたのはドラゴンの守るお宝を手に入れろというアドベンチャーだった・・・入口から既にドラゴンのオーラが漂っているのはもはや今更だ

 

そして壁から矢が放たれたり、足元の床が剣山な落とし穴になったりといった明らかに殺傷能力のあるアトラクションを超えて最後の扉を開けるとそこには十数メートル級の赤いドラゴン(本物)が居た

 

「フハハハハ!人知を超越した我の財宝を盗もうとするのは貴様らかぁぁぁ!!」

 

凄いな。本物のドラゴンを雇うとかこのテーマパークが有名になる訳だ

 

「そういえば、グレートレッド以外でちゃんとドラゴンの形をした成龍を見るのは初めてだな」

 

ドライグは籠手だし、ラッセーは子供だからな・・・オーフィスは幼女だしドラゴンの姿をとったとしても多分だけど『竜』ではなく『龍』の姿だと思うしな

 

「私は冥界に合宿に行った時、元六大龍王のタンニーン様とその配下のドラゴンの皆さんにパーティー会場までその背に乗せて行ってもらいました」

 

へぇ!それはまた貴重な体験だったんだな

 

そう思っていると目の前のドラゴンが明らかに動揺し始めた

 

「た・・・たたた・・・タンニーン様とお知り合いなのでございますか!!?」

 

ああ、タンニーンさんは元龍王だからな。その『元』っていうのも別に格落ちしたって訳じゃないし、普通のドラゴンからしてみたら十分畏敬の対象なのだろう

 

「いや、俺は直接会った事は無いな」

 

「私も配下のドラゴンの方の背に乗せてもらっただけで直接言葉を交わした訳ではありません」

 

そう言うと残念なような、それでいて少し"ホッ"としたような様を見せる成龍

 

「ああ、でも赤龍帝のドライグとはそれなりに話したりもするよな」

 

もっとも最近は話すと言っても『おっぱいドラゴン』関連で泣いたり落ち込んだりしてるのを慰める為だったりだけどな

 

「ど・・・・ドライグ様ぁぁぁぁ!?・・・はぅぅ!」

 

ドライグの名前を出すと絶叫の後気絶してしまった。このままではアトラクションを終了できないので仙術で気付けをして起こすと完全に委縮した感じで頭を低くして恭しく財宝(パークの景品)を渡してきた

 

ちょっとこのドラゴン威厳が無さすぎじゃないかな?

 

何だかんだあったけどかなりの数のアトラクションを回ったので時刻は既に夕方だ。回れたとしても精々後一か所だし、何ならこのまま帰ってしまうのも手かと思っていると小猫ちゃんが「イッキ先輩。最後にアレに乗りませんか?」と観覧車を指さしてきた

 

観覧車か、確かに最後の締めとしては定番だな

 

そうして幸い特に待ち時間も無く小猫ちゃんと二人で観覧車に乗り込み席に座る

 

「・・・あの小猫ちゃん。何もこんな時まで俺の膝に座らなくても良いんじゃない?」

 

「此処が一番落ち着くんです。今の私はまだちっこいのでイッキ先輩の邪魔にはなってませんよね?それともやっぱり退いた方が良いですか?」

 

そんな事言われると「退いてくれ」なんて言えない・・・それに例えコレが黒歌やオトナモードな小猫ちゃんだったとしても邪魔だなんては思わないだろう

 

そうして二人で夕焼けの街を見ていると小猫ちゃんが話掛けてきた

 

「あの、イッキ先輩は黒歌姉様とは既にキ・・・キスは、したんですよね?」

 

「グフっ!」

 

小猫ちゃんのいきなりの質問に思わずむせ掛けてしまった

 

「えっと・・・夏休み前の終業式の日に・・・」

 

「唇ですか?他には?」

 

小猫ちゃん何かグイグイ来るな!?何この俺オンリーの暴露大会!?

 

「・・・冥界から帰って来てから黒歌に頬っぺたとか首筋にキスはされました・・・はい」

 

寝る前とか朝起きた時とかに軽めのキスされてます―――こっちは未だに慣れてなくてその度に理性蒸発しかけているのを残る理性を総動員して抑えてます・・・時々『もうゴールしてもイイよね?』って考えが頭を過ぎるけどな

 

・・・御免なさい。嘘つきました『時々』じゃなくて『しょっちゅう』です!

 

膝の上に座っていた小猫ちゃんがそれを聞いて体を横向きに座り直し、後ろの俺の顔を潤んだ瞳で見上げるように振り向いてきた

 

「なら、私も頑張ろうと思います」

 

「ムク!」

 

小猫ちゃんが少し背を伸ばして俺と小猫ちゃんの唇が重なる

 

驚きはしたものの夕暮れの観覧車とか確かにシチュエーションとしては完璧だ

 

小猫ちゃんの小さい体を改めて抱きしめ直す―――心なしか何時もより高い体温を感じながら、お互い自然と目を閉じて十数秒程度のキスを交わし、何方ともなく唇を離した

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

お互い雰囲気に中てられたせいか顔が赤い―――小猫ちゃんは"ぷい!"と体勢も顔も前を向いてしまったが僅かに覗く肌は真っ赤だ

 

そうしてお互い無言のまま観覧車を降り、テーマパークから外に出る

 

「・・・何ていうか、かなりベッタベタなシチュエーションだったけどさ」

 

正直、上手い言葉が見当たらないけど何とか言葉を絞り出す

 

「・・・はい」

 

「嬉しかったよ・・・・・帰ろうか?」

 

「・・・はい♪」

 

二人で人目の付かない所まで移動し、転移で帰宅していった

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん。白音のその様子だとデートは上手くいったみたいね♪後でゆ~っくりと根掘り葉掘り、詳しく聞かせてもらうにゃん♪」

 

玄関の扉を開けると開口一番黒歌に尋問タイムの宣告がなされた

 

「ま・・・まぁそれは置いておいて荷物置いたらイッセーの家に行こうか?今日はお客さんも来る訳だしさ。黒歌はどうする?」

 

強引に話題を逸らすと少なくとも『今は』追及する気は無いのかちゃんと答えてくれた

 

「そうねぇ。何となく面白くなりそうな気がするから行くとするにゃん♪」

 

黒歌が「面白そう」とか何その不安しか感じない予感は!?

 

根拠のない一抹の不安を抱えながらもイッセーの家に行き、中に上がらせてもらう

 

「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ!紅髪の娘っ子も黒髪の娘っ子もデカいのう!それに蒼髪の娘っ子や栗毛の娘っ子も中々のもんじゃわい!」

 

ラフな格好をした眼帯のセクハラ爺さんがそこに居た・・・そういえば今日来るんだっけ

 

セクハラしている神様の後ろには前に少しだけ見た銀髪スーツ姿のロスヴァイセさんとガタイの良い武人気質漂う人も居る―――あの人が朱乃先輩の父親のバラキエルさんだろう

 

朱乃先輩は何時ものニコニコお淑やかオーラを止めて真逆の刺々しい雰囲気を滲ませている

 

その為か他の皆も心なしか空気が固いな―――アーシアさんと並ぶおっとりオーラがゼロどころかマイナスに突き抜けてれば仕方ないのかも知れないけどね

 

そしてセクハラ神のオーディン様は新たに部屋に入って来た俺達に目を向ける

 

「ほう!ほう!ほう!こりゃまた立派なモノを持っとる花魁ガールじゃな!うむうむ!やはり日本に来たなら着物や浴衣は外せんわい」

 

そう宣いながら黒歌の露出多めの胸に釘付けになってるオーディン様・・・もう心の中では『オーディン』と呼び捨てで良い気がしてきた

 

“スッパーン!!”

 

オカルト研究部の色んなおっぱいを吟味していたオーディンにロスヴァイセさんがハリセンを振り下ろす・・・どうせならあのハリセンの素材をスチール製とかにすれば良いのに

 

「もう!オーディン様はもっと北欧の主神としての威厳を持ってください!ましてや他勢力の皆様方の胸を卑猥な目つきで見渡すなどと北欧全体の品位が疑われます!!」

 

ハリセンで叩かれた当の本人は叩かれた頭を擦りながらため息を吐く

 

「全くお主は固いのう。これだけ別嬪さんが揃っておるのに胸の一つも見なければ逆に失礼というものじゃぞ?っと、そう言えばコヤツの事はまだ紹介しておらんかったの。儂のお付きで彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーのロスヴァイセじゃ」

 

酷い紹介を見た。相手が神じゃ無かったら十分訴えられる内容だ

 

ロスヴァイセさんも自らの仕える主神の紹介に半分涙目になってしまっている

 

「き・・・生娘なのは関係無いじゃないですかオーディン様!わ・・・私だって好きで彼氏いない訳じゃないんですよ!?」

 

喰って掛かるロスヴァイセさんだがオーディンは髭を擦りながら諭すように言う

 

「しかしのう、ロスヴァイセや。英雄の恋人の役割も持つヴァルキリーが彼氏の一人も出来んのは問題じゃろう?そんなだからヴァルハラのヴァルキリー部署で職場の隅におったのじゃろ?折角器量は良い上に若いんじゃからもっとがっつかんかい」

 

「そんな事おっしゃられても最近はもう勇者や英雄の魂なんて殆どいないじゃないですかぁ!!そうですよ!どうせ私は仕事が出来ない女ですよ!どうせ私はこの先も一生処女やってくんですよ!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

主神に直接『仕事が出来ない』に等しい事を言われたロスヴァイセさんは泣き崩れて蹲ってしまった。けど確かに今の世の中そもそも戦争が少ないし、銃やミサイルをブっ放す最近の戦争で一騎当千の英雄とかって星5級のレア何だろうな

 

「爺さんが日本に居る間は俺達が護衛する事になっている。俺は最近忙しくてこっちにあまり顔を出せないからバラキエルをサポートに付ける。コイツは正面切っての戦闘なら俺と並ぶほどだからな、適任だろう・・・それはそうと爺さん。来日するのはもっと先の予定じゃ無かったか?偶々バラキエルに任せていた仕事が早めに片付いていたから対応できたが、そうじゃ無かったらまともな人材は派遣出来なかったぞ?神の子を見張る者(グリゴリ)は幹部が少ねぇからな」

 

アザゼル先生が茶を飲みつつ軽く苦言を呈すとオーディンも溜息を吐いた

 

「分かっとるわい。だが、そうも言ってられなくなっての。儂が他の神話体系に接触するのが許せんと喚き散らす輩が何人か居っての。下手な邪魔をされる前にこっちに来る事にしたんじゃよ」

 

「どこの勢力も問題は山積みだな。頼むから『神々の黄昏(ラグナロク)』を勝手に起こさないでくれよ?」

 

「その言葉、そっくり返してやるわい。お主らも和平を結んだばかり、『ハルマゲドン』の危険はまだ十分あるんじゃろうて」

 

オーディンの切り返しにアザゼル先生は小さく「このクソ爺が」とポツリと呟くがそのまま続ける

 

「まぁな、兎に角爺さんにその気が無いなら俺たちはサポートする事に否は無い。さて、とは言え日本の神々との会談までまだ時間はあるからな。爺さん、どっか行きたい所はあるか?」

 

アザゼル先生が訊ねると目を"ピキューン!!"と光らせて「おッパブに行きたいのう!」と意思表示するオーディン。それを聞いたアザゼル先生も嬉しそうに笑う

 

「分かってるじゃねぇか爺さん。実は最近うちの若いもんがVIP用に開いた店があるからそこに招待してやるよ。堕天使の女は良いぞぉ!男好きのする可愛い奴らが多いからなぁ!」

 

「ええのう!ええのう!!しこたま良いおっぱいを提供しておくれよ!」

 

「ああ、折角だから着物も着せてやろうか?帯の端を持って『あ~れ~♡』ってやってみたいだろう?北欧の主神様に俺が和の国日本の文化と伝統ってヤツを教授してやろう!」

 

エロ談義で超盛り上がってる一勢力のトップたち・・・と言うか日本の伝統を堕天使が教授するってそれは如何なんだろう?日本人じゃないとダメとは言わないけどアザゼル先生は悪乗り的な意味でダメな気がする

 

只管笑い声を上げて二人で肩を組みながら既にテンションMAX状態だ

 

「お・・・オーディン様!私も付いて行きます!!」

 

「アザゼルが一緒なら問題あるまい。お主は此処に残っとってもええぞ?」

 

「ダメです!オーディン様は目を離すと何をするか分からないんですから!!」

 

「ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ!はて?よく聞こえんのう。最近耳が遠くてな。アザ坊や、何か良い案は無いかの?」

 

「疲れてるのかも知れないな。そういう時はリラックスに限る!追加にストリップショーも用意してやろう!心労も取れる事間違いなしだ!」

 

完全に遊ばれてるロスヴァイセさん・・・というかストリップショーって心拍数上がってリラックスとは真逆なんじゃないか?

 

この場に居る全員が主神と総督のテンションに付いて行けない中、二人が夜の街に繰り出そうと扉に近づくと廊下の方から足音が近づいて来て"ドバン!!"と盛大に部屋のドアが開かれ、金髪美少女が入って来た

 

「もう!時間通りに来ましたのに何で転移の間に誰一人として居らっしゃらないんですの!?暫く待っても誰も来ないし!———確かにレーティングゲームの時は敵同士でしたが、この対応は余りに酷いですわ!」

 

入って来たのはレイヴェルで、よく見ると少し涙目だ。ヤバい、ガチで忘れてた

 

他の皆も急な神様のサプライズ?お宅訪問でもうすぐ彼女が来る事を失念していたみたいでかなり気まずそうにしている

 

「ご・・・御免なさいねレイヴェル。ちょっと急な来客が在ったものだから」

 

「それとコレとは話が別でしてよ、リアス様!」

 

「う゛ぅ・・・はい・・・」

 

うん。確かにせめて一人案内及び説明役に祐斗でも待機させたら良かった話だからね。リアス部長も内心色々動揺していたのだろう・・・というか全員そろって忘れてたんだから連帯責任で良いんじゃないかな?・・・後で皆で謝る事にしようか

 

「それで?フェニックス家の私に迷惑を掛けた急な来訪者とはいったい誰ですの?せめて一言くらいはその方にも物申したい所ですわ!」

 

すると彼女の目の前にいるラフな格好のお爺さんが名乗り出る

 

「儂じゃよ。来客の予定があったとはすまんかったの・・・しかし、これは・・・ほほう!かなり将来有望そうなおっぱいじゃのう!」

 

いきなりのセクハラ発言にレイヴェルは胸を隠すようにして距離を取る

 

「何ですの貴方は!?初対面のレディにそんな事を言うだなんて常識がなってませんわよ!」

 

オーディンの後ろのロスヴァイセさんが早速北欧の品位が疑われた事に頭を抱えている。いや、コレは疑われたというよりは損なわれたというべきか?そんな中"キッ!"とセクハラ爺(オーディン)を睨みつけていたレイヴェルが何かに気づいたように訝し気な表情に変わる

 

「あら?貴方何処かでお会いした事がございませんか?」

 

必死に記憶を探って"うんうん"と唸っていたレイヴェルだが漸く思い出したのか顔を上げる。恐らく余りにも威厳の欠片も無い姿(短パン+シャツ)だったので記憶と噛み合わなかったのだろう

 

「そうですわ!この間のレーティングゲームの観戦席に居た北欧の主神の・・・・オーディン・・・さま・・・・」

 

そこまで口にした所でダラダラと汗をかき始めるレイヴェルとその様子を見て楽し気なアザゼル先生とオーディン。二人の意地汚い笑顔を見て「え?・・・え?・・・」と混乱冷めやらぬ彼女にオーディンとアザゼル先生が声を掛ける

 

「ん?どうしたんじゃ?儂に物申したいのじゃろう?ほれ、遠慮せずに言ってみい」

 

「そうだぞ~、折角神様から直々のお許しが出たんだ。存分に罵ってやれ」

 

だがそこでロスヴァイセさんが再びハリセンでオーディンをぶっ叩く―――真面目なロスヴァイセさんがアザゼル先生は叩けないだろうからこんな事もあろうかと(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)用意しておいたハリセンで俺がアザゼル先生の頭をぶっ叩く・・・流石に知り合いの女の子が権力全開のパワハラを受けてるのを黙ってみているだけなのは居心地が悪い

 

「もう!オーディン様もお戯れにしても悪質です!そもそも何の連絡も無しに急に押しかけたのは此方なのですよ。少しはご自重なさって下さい!」

 

オーディンはロスヴァイセさんに普通に怒られ、対してアザゼル先生は頭を抱えて蹲っていた

 

「ぐおぉぉぉ!!痛てぇ!何だそのハリセンは!?」

 

「これは和平会談の時にグレイフィアさんがハリセン使ってたのを見て衝動的に作りたくなった、叩かれた痛みを強める呪いの札を束ねた逸品。『痛撃!ハリセン君』です。制作は黒歌にも手伝って貰いました」

 

一枚一枚の効力は大した事無いし、少しオーラを纏えば防げてしまうネタ装備だけどな。それでも不意打ちを喰らえば普通に痛いはずだ。あまり得意でない呪術方面の練習ついでに作ってみました

 

「イッキお前!変なモン作成するのは俺の領分だろうが!・・・それにしても成程、ツッコミ装備か。色んなもん作る度にシェムハザにツッコまれてきたが今度はそっちにも手を出してみるか」

 

あ、ヤバい。ぶっ叩かれた先生は新たな着想に行きついてしまったみたいだ

 

「若いもんと戯れるのは賑やかでええのう。それで、悪魔のお嬢さんは此処には何をしに来たんじゃ?遊びに来たのかのぅ?」

 

「は・・・はい!オーディン様、先ほどは失礼いたしました。私が今回こちらに伺わせて頂いたのは貴族として見聞を広める為に皆さまの仕事ぶりをお手伝いという形で体験させていただきたかったからですわ。将来、冥界の役に立つ為にも必要な事かと思いまして・・・」

 

流石に突然の主神相手に少々委縮してしまっている感じのレイヴェルだが彼女の心意気を聞いてオーディンも満足げに頷いている

 

「若いのに良い心がけじゃわい。それならお主もいっそ儂の護衛についてこんか?神の護衛などそうそう体験できるものじゃないぞ?」

 

「オーディン様!?何を!?」

 

オーディンの発言に驚いたリアス部長が声を上げる

 

「な~に、日本にまで直接乗り込んでくるような馬鹿者なんぞそうそう居るものでは無いし、万一何かが起こったら後ろに下がっておれば良いじゃろう。それにお嬢さんはフェニックス家なんじゃろ?流れ弾程度で死んだりせんじゃろうし、後方から炎弾でも放っておればよいじゃろ。突然押しかけた詫びも含めた提案じゃ」

 

たいそう真面目な顔つきでレイヴェルを見つめるオーディン・・・その視線がレイヴェルの谷間に注がれていなかったら完璧だったんだけどな

 

護衛に一人でも多く花(女の子)が欲しいんですね―――幸か不幸かその不躾な視線に気づかなかったレイヴェルはリアス部長にお伺いを立てる

 

「リアス様、このような機会は二度と無いかも知れません。私としては護衛の任、お手伝いさせていただきたいのですが」

 

「そうね、ウィザードタイプとして優秀なレイヴェルが戦力に加わるのは心強いわ。それに万一不測の事態が起こっても、これだけの戦力が揃っているなら問題なく対処できるでしょう」

 

こうしてリアス部長が思いっきりフラグを建てる事によりレイヴェルが仲間に加わる事となり、今夜はアザゼル先生とロスヴァイセさんがセキュリティのしっかりした建物(堕天使式おッパブ)で過ごす為、本格的な護衛は明日以降という事になり皆、どことなく疲れた表情で解散となった

 

 

 

 

 

 

 

「にゃあ♪先輩♪」

 

後、夜寝る時に黒歌と一緒に小猫ちゃんもベッドに入ってくるようになりました




今章では『最後』のヒロインであるレイヴェルを盛り込んで書きたいと思います。ちなみにレイヴェルはディオドラ戦で出会った時はテレビなどの情報から婚約者の事もあり1ファンでしたが、黒歌の存在を知り、実際に助けられた事も相まってイッキの事を異性として意識し始めたという設定です

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