転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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最初に比べたらイッキもキャラが少しずつ掘り下がってきたと思うww


第三話 宣戦、布告です!

朝、目が覚めると左右から抱き着かれている感覚が有った。左を見ると何時もの黒歌の綺麗な寝顔があり、反対側を見ると昨日から一緒に寝るようになった小猫ちゃんのあどけない寝顔が在る

 

一応これと同じ状況は前にも在ったな。確かコカビエルと戦った後に小猫ちゃんが仙術の治療の為に一緒のベッドに居たんだっけ―――あの時は一人用ベッドに無理やり三人が入っていたから狭かったけど、今のベッドは特注なのかキングサイズよりも一回り大きいから余裕たっぷりだ

 

こうも無駄に大きいと引っ越す前の一人用ベッドが逆に恋しく・・・は、ならないな。中学生時代からずっと基本的に床に毛布で包まってたから未練何て残ってない

 

考察もそこそこに黒歌を起こさないようにベッドから抜け出そうとした所で今まで右手でゆっくり黒歌を引き剥がしていたその右手も小猫ちゃんが拘束中だという事に気が付いた

 

不味い!朝から黒歌がベッドの上で首筋とかに舌を這わせてきたりすると理性が吹っ飛ぶし【一刀修羅】にも朝から頼れないから黒歌より早く起きる術を体得したのにこれでは抜け出せない!

 

せめてベッドの上という脳内がピンクに染まり易い環境からだけでも脱出しないと何時か押し倒す!時々『何で俺、こんなに頑張ってるんだろう?』って考えてる俺は、こういうなけなしの努力を怠ったら多分一月も持たずに押し倒してしまう!

 

そして何とか脱出しようと身をよじっているとさっきまで寝てたはずの黒歌と目が合った

 

「にゃん♪おはよう、イッキ♪」

 

綺麗な黄金の瞳が此方を覗き込んでくる・・・ただし捕食者の瞳だ

 

「最近はイッキが夜に【一刀修羅】やってる間にくっついても反応しなくなってちょっとつまらなかったけど、成程ね。白音が居るからベッドから抜け出せなかったのかにゃ?私としてはイッキが高校卒業までなんて約束忘れて早く襲い掛かって欲しいんだけどにゃ~♪———今までは少しだけ手加減して上げてたけど、もっと本気で攻めて上げようかしら?」

 

手加減!?アレで!?毎日脳内神経焼き切れそうだったんだけど!?

 

「だって、最初の日以外口と口でキスして無かったでしょ?たぁっぷりと舌を絡めてお互いの匂いを混ぜ合うのよ。他にも色々・・・そして最後に一つになるの。後は精魂尽き果てるまで持久戦にゃ。興味ないかにゃ?」

 

意図して出しているであろう甘い声を耳元で囁きながら"ツツツ"と黒歌の掌が俺の太ももをゆっくりと昇って来る。興味が無いかどうかだって?んなモン在るに決まっているじゃないか!?もしも年頃の男子で黒歌の誘惑を素で「興味ない」なんて言える奴が居たらそいつはホモかゲイか同性愛者に違いない!!

 

 

―――何処かの秘境にて

 

 

「ハックション!!」

 

「おう、どうしたヴァーリ?風邪かい?」

 

「いや、美猴。問題無い。ただのクシャミだ」

 

「もしかしたら誰かが噂でもしてんのかもよ?」

 

「フ!それが俺を倒す為の算段だというのなら歓迎だ。楽しい戦いになるといいな」

 

「あ~らら。戦闘狂さんは今日も絶好調だねぃ」

 

 

―――何処かの秘境にて(完)

 

 

俺に覆いかぶさって来た黒歌が寝ている間に着崩れた白い装束から肌色を惜しげもなく覗かせながら目を細めてゆっくりと口を近づけて来る

 

いや、キスは嬉しいよ!好きな女の子とキスするとか男冥利に尽きる案件の一つだけどさっきの黒歌のセリフを聞いた後だと喰われる未来しか見えない!!

 

何!?昨日の小猫ちゃんはイッセーと朱乃先輩のデートに触発されてたけど、今度は黒歌は俺と小猫ちゃんのデートに触発されたりしたの!?

 

「・・・・・二人とも、朝から何してるんですか?」

 

あと少しで唇が重なり合う所ですぐ隣から小猫ちゃんの少しだけ不機嫌そうな声が聞こえてきた

 

ナイス!小猫ちゃん!前に黒歌とのキスの寸前で小猫ちゃんが部屋に入って来た時は少し残念な気持ちもあったけど、今この時はグッジョブだよ!!じゃないと喰われてた!多分の俺の中の理性のタガも外れてた!!

 

「うふふ、イッキと一つになって子種を貰おうかと思っただけにゃん♪白音だって同じ猫魈(ねこしょう)として他種族の雄を誘惑する事に興味あるでしょ?白音はまだ体が出来上がってないからもしも子供が出来たら最悪母子ともに死んじゃうから見学に留めておくにゃん♪」

 

「い・・・いやです!黒歌姉様とイッキ先輩がその・・・ごにょごにょ・・・するのを見ているだけ何て!私だってちゃんとやれます!覚悟は出来てますから!!」

 

や~めて~!俺を挟んでそんな応酬聞かされたらそれだけで一杯一杯だから!

 

何とか此処は強引にでも話題を逸らさないとダメだ!

 

「二人とも?そろそろ朝練の時間だk・・・」

 

「イッキはちょっと黙ってるにゃ!」

 

「イッキ先輩はちょっと黙っててください!」

 

「・・・はい」

 

3秒で撃沈しました

 

「大体白音?さっきも言ったけどもしも子供が出来たらどうするの?命の危険もあるし学校の事もあるでしょう?白音が学校生活を大切にしてるのは私も分かってるわよ?」

 

「それは・・・でも、私の体が大きくなるのはまだ2~3年はかかります。その間ずっとおあずけ何てイヤです!」

 

小猫ちゃん!?黒歌に影響されてエロエロ思考になってない!?エロエロな小猫ちゃんとか良いか悪いかで言ったら控えめに表現しても最高だけどさ!

 

駄目だ!何か昨日からずっと連鎖反応で猫又姉妹がグイグイ迫って来る!

 

「う~ん。白音の気持ちは分かるけど感情論で許可を出す訳にも・・・大体白音はまだ発情期も来ていないでしょう?やっぱりまだ・・・」

 

そこまで口にした所で何かを考えるようにして押し黙る黒歌

 

「うん。どう考えてもまだ白音が子供を作るのはまだ早いにゃ。私も子作りは暫く我慢して上げるから白音もそれで今は納得しなさい」

 

黒歌が身を引いた!?小猫ちゃんも黒歌の物わかりの良さに驚いているけどまぁ大切な妹の為なんだと思えばそう可笑しくはないよね?

 

小猫ちゃんも取り敢えず矛を治めてくれた所で黒歌が唇が軽く触れあうだけのキスをしてきた!

 

「ふふ♪今日はこれくらいで勘弁して上げるにゃん♪」

 

「姉様だけズルいです!私も先輩とキスします!」

 

黒歌とは反対側から小猫ちゃんが恥ずかしさから顔を赤くしながらキスしてきた!

 

ナニコレ?こんなに幸せで良いの!?

 

その時、小猫ちゃんの方を向いていた俺は黒歌の何時もの悪戯っ子の笑みには気づけなかった

 

 

 

 

 

 

他人に見られたら嫉妬から集団で撲殺されそうな姉妹ケンカに巻き込まれてから数日、オカルト研究部と黒歌にアザゼル先生にバラキエルさんとレイヴェルはオーディンの護衛として日本各地を飛び回っていた

 

因みに俺と黒歌は八坂さんの妖怪サイドから要請を受けた形になる。日本の神々、神話体系と妖怪はかなり密接に絡み合ってるからな―――日本の神と妖怪は必ずしも仲が良いという訳では無いけど神社、仏閣を大量に抱える京都を支配する八坂さんと反目し合ってるなんて事はないみたいだ

 

流石はクリスマスを祝って(聖書)除夜の鐘を突いて(仏教)初詣にお参りに行く(日本神道)日本人たちの神様方は妖怪にも寛容らしい

 

でも確かに思えば北欧神話やギリシャ神話とかは聖書と色々ごった煮になってる部分が多いけど、長く鎖国してた島国の日本神話は、伝承そのものにはそこまでの被害を被った訳では無いからかも知れないな

 

ともあれ巨大な八本足の軍馬、スレイプニルに牽かれる馬車で観光に付き合わされていたのだが、その大半がキャバクラやおッパブなどで待合室で待機していた為か皆の不満も溜まってるようだ―――イッセーは「クソ!俺だっておっぱい触りたいのに!」とかぶつくさ言って負のオーラをたれ流してたし、黒歌も仕事として割のいい給金じゃなかったらすっぽかして家に帰ってたかも知れない・・・まぁ一番不真面目な態度という事に変わりないけどな

 

お手伝いのレイヴェルも「神様に対する認識を改めなくてはなりませんわね」と待合室とかで愚痴っていたし、それを聞いたロスヴァイセさんが必死にまともな性格をした神々も北欧には居ると北欧神話をフォローしていた・・・北欧の主神についてのフォローはされていなかったが些細な事だろう

 

今、俺と黒歌はスレイプニルの馬車の御者台に居た。誰が移動中の馬車の周囲を守るかはその時々によって違うけど俺は人間で空は飛べないので外に居る時は基本的にこの位置に居る

 

始めは空中を踏みしめてランニング感覚でついて行ったりもしたのだが、皆が翼で跳んでいる中一人だけせっせと走っているのはいざという時の体力温存も含めて良くないという事でこの場所になった

 

流石に翼で飛んでる人たちに比べたら消耗するからな

 

御者台と言っても神馬のスレイプニルは頭も良いので手綱を引く必要はまるでないが

 

因みにイッセーも外にいる場合は此処に座っている

 

悪魔の翼でまだまともに飛行出来ないらしい・・・前に練習風景を見せてもらったけど今の所素人がラジコンヘリを操縦してるかのような挙動だ。墜落待ったなしである

 

黒歌?彼女は態々自分で飛ばなくても良いなら飛ばないだけである。御者台に座ったり、馬車の屋根の上に寝っ転がったりしています

 

外には他に祐斗、ゼノヴィア、イリナさん、あとバラキエルさんが空を飛んで護衛中だ

 

「あ~、俺も何か長距離飛行できるような術なりアイテムなり手に入れないとダメかな」

 

同じ仙術使いであろう美猴の持つ筋斗雲とか乗り心地もよさそう何だけど、流石にくれと言って貰える類のやつじゃないしな

 

「仙術だと空間操作の応用の重力操作を使えば飛ぶことは出来るけどイッキがそれを覚えるのはもう少し先かにゃ?まっ♪最悪走ればいいだけだし、転移の術式もあるんだから優先順位は低めで良いんじゃないかにゃ?」

 

すると話を聞いていたゼノヴィアと祐斗、イリナさんが会話に加わって来た

 

「ふふふ、私達よりはるかに強い有間でも苦手なものは在るという事か」

 

「はは、そうだね。でも、黒歌さんも言ったように重要な項目とは言い難いんじゃないかな?」

 

「有間君がもしも翼が欲しいと言うのなら私からミカエル様に話を通して上げるわ!妖怪側との調整も必要だろうけど、有間君。妖怪側と天界側の仕事を掛け持ちしてみる気は無い?」

 

イリナさん、サラッと勧誘するなよ

 

「悪いけどその必要性をまるで感じないからイリナさんの提案は却下で・・・というか正直俺が仮に天使に転生したら次の日にはアザゼル先生やバラキエルさんと同じ黒い翼になってる可能性が高いと思うぞ?」

 

黒歌の誘惑の前では多分脳内の妄想だけで堕ちると思う

 

イリナさんが「そんな!?有間君がそれほど罪深い業を抱えているだなんて!これは友達兼天使として彼の懺悔を聞き入れ、正しき道へ導けとの主とミカエル様のご意思なんだわ!」と変な方向に気合を入れてるけど、そういうのは俺よりもイッセーにどうぞ。あっちの方が重症だから!

 

「お前たち、私語はするなとは言わんが程々にしておくように・・・それと有間一輝、もしもの時はアザゼル共々歓迎しよう」

 

バラキエルさんまでちょっとお茶目な一面見せなくてもいいよ!?

 

だがそこで悪意あるオーラが転移して来るのを感じた

 

「警戒態勢!」

 

警告を発すると共に一応付いていた手綱を引き馬車を停車させ、空中に立つ

 

他の皆もそれぞれ武器を取り出した辺りで丁度目の前に一人の男が転移し終わった所だ

 

白を基本としたローブ姿で銀髪、額に大きな青い宝石のアクセサリーを付けている。髪の毛は重力を無視して蛇のように長い・・・海外版ぬらりひょんか?

 

剥げてはいないけどさ

 

「初めまして諸君。私は北欧の悪神のロキという者だ」

 

ロキの名に皆の警戒の度合いが跳ねあがる中、馬車から出てきたアザゼル先生が目の前の悪神に警戒度MAXながらに声を掛ける

 

「これはこれは北欧の神ロキ殿。まさか貴方までもこの国に観光に訪れていたとは思いませんでした。この馬車にはあなた方の主神、オーディン殿が乗っておられる。ご挨拶に伺ったのだとしても出来れば事前にアポを取っていただきたい」

 

オーディンもアポなし突撃訪問だったからね。アザゼル先生としては軽い皮肉も入ってるのだろう

 

「堕天使の総督か、出来れば他の神話体系の者と接触はしたく無かったのだがな―――私が此処に来たのはオーディンに事の真意を尋ねるためだ。主神自ら他神話との和議に及ぼうなどと――――これでは我ら北欧の悲願である神々の黄昏(ラグナロク)が迎えられないではないか!!・・・この行いが最終的に神々の黄昏(ラグナロク)に結びつくと云うのであれば不満はあれど此処は引いても良い。答えをお聞かせ願おうかオーディン!」

 

指を突きつけ、生半可な返答は許さぬとばかりに意気込むロキ

 

馬車からロスヴァイセさんを引き連れて魔法陣を足場に空中に出てきたオーディンはそれを見て深いため息を吐いた。イッセーやリアス部長たちも一緒に飛び出て警戒している

 

「全く、他の神話を毛嫌いしとるお主たちなら儂が北欧に戻るまでは大人しくしとると思っとったんじゃがの。当てが外れたわい―――ロキよ、儂はの、今更神々の黄昏(ラグナロク)なんぞに興味はない。大体神々の黄昏(ラグナロク)を迎えたとしてその先に何が在る?予言に記された戦争を予定調和に再現した所で得られるものなんぞ何もないわ。そのような事よりサーゼクスやアザゼルと喋ってる方が万倍楽しいわい。仮にも儂は『知』欲しさに自殺も厭わん馬鹿者じゃからの、前々から世界に視野を広げたいとは思っておったわ」

 

三大勢力が和平を結んだのは良い切っ掛けだったと笑うオーディンに対してロキは射殺すような目で睨みつけ、威圧感を倍増させる

 

「認識した。なんと愚かな―――では此処で貴様ら全員を殺し、神々の黄昏(ラグナロク)の幕開けとしよう!今此処に!私は宣戦を布告する!!」

 

”ドッガァァァァァン!!”

 

ロキの宣言と共に聖なるオーラの波動が襲い掛かり爆発を引き起こす

 

どうやらゼノヴィアが開幕速攻で仕掛けたようだが煙の中からは無傷の状態のロキが出てきた

 

「先手必勝だと思ったのだが、どうやら有間のように一撃で倒すとはいかなかったようだ・・・何がダメだったんだろう?」

 

可愛らしく小首を傾げるなよ・・・でも採点するならそうだな

 

「まず、デュランダルの波動を撃つときにオーラが抑えきれてないから正面から相対していたら相手が感知タイプでなくとも奇襲のメリットが無い。次に『すべてを断ち切る』デュランダルのオーラが相手に当たった瞬間『爆発』してる時点で『斬撃』という形にオーラを押し込められてない。つまりは構成力が弱い。後は単純にパワー不足かな?」

 

うん!軽く考えただけでも結構出て来たな!

 

そう思っているとゼノヴィアが"ズーン"と表現できそうな感じに項垂れてしまった

 

「ふっ、ふふふ!ここまでダメ出しされるとは思わなかったな・・・」

 

「イッキお前、もうちょっと時と場合を考えようぜ!ゼノヴィアが使い物にならなくなっちまうだろ!?どうするんだよ、空中で体育座りし始めたぞ!!」

 

え~、疑問に答えただけなんだけどな。しょうがない

 

「あ~、ゼノヴィア。課題が沢山あるって事はそれだけ強くなる余地が在るって事だから帰って来てくれ!特訓にも付き合うからさ・・・主にイッセーが!」

 

「いや、何でそこで俺なんだよ!?」

 

「ゼノヴィアだってイッセー相手の方がモチベーション上がるだろ?」

 

好きな男の子との楽しい運動の時間だと思えばさ

 

「そうだな・・・パワーの底上げを目指すなら力の塊たる赤龍帝との鍛錬の方が実力の向上に繋がりそうだ。イッセー、私と付き合ってくれるか?」

 

「ああ!幾らでも付き合ってやるから今は目の前の敵に集中してくれ!」

 

「フフ!そうか、イッセーは私と付き合ってくれるのだな!良し!この戦いが終わったら早速そこいらの茂みにでも隠れて子作りだ!」

 

「そっちじゃねぇぇぇ!何処から話がすり替わったんだよ!?」

 

イッセーのツッコミが炸裂する中、ロキの声が響く

 

「茶番はその辺りで良いだろう」

 

その言葉に再び皆にピリピリとしたものが走る中、ロキが俺達全員を見渡す

 

「ふむ。堕天使の総督に幹部、そこそこの実力の悪魔が沢山と天使に人間に赤龍帝か―――護衛としては些か過剰なのではないかね?オーディン」

 

「お主のような特大の大バカ者が来よったんじゃ。結果オーライというやつじゃよ」

 

「ロキ様!今此処で引けば罰則はあれどもまだ大事にならずに済みます!主神に異を唱えたいなら然るべき公正な場で発言して下さい!」

 

「ふん!一介の戦乙女(ヴァルキリー)如きが神々の会話に口を挟むな。もう戦いは始まっているのだよ!」

 

そう言って掌を此方に向け、オーラを集めて放とうとするロキの攻撃を危険と判断したのか既に『女王』に昇格(プロモーション)した上に禁手(バランス・ブレイカー)となっていたイッセーが突貫するが間に合わずに魔法弾が放たれた

 

「こなくそ!」

 

『Boost!! Boost!! Boost!!Boost!! Boost!! Boost!! Boost!!』

 

『Transfer!!』

 

イッセーの高めた力を魔力に一点集中させ放たれたドラゴンショットとロキの攻撃がぶつかり合い盛大な爆発を起こす。イッセーとしては強力な一撃だったんだろうけどロキからしてみたらグミ撃ちの一つみたいなもんなんだろうな

 

煙が晴れた瞬間にアザゼル先生とバラキエルさんの攻撃が放たれたがロキは全身を包み込む防御の魔法陣で爆発の中からまたしても無傷で現れる

 

戦いが始まってから爆発ばっかだな

 

「クソ!先生とバラキエルさんの攻撃でもあの壁は破れないのかよ!?」

 

戦慄しているみたいだから此処は一つ俺が模範解答を見せてやるか

 

「イッセー!俺に力を譲渡しろ!俺がお前に対魔法(アンチ・マジック)の手本を見せてやる!」

 

「おう!分かった!」

 

イッセーが瞬時に反応して赤龍帝の力を譲渡してくれたので力が引きあがる。神様相手ならこれくらいの保険は掛けておきたいからな

 

「人間風情が神に挑むとはな。その不敬に罰を下してやる!」

 

先程の魔法攻撃をまさしくグミ撃ちのごとく大量に放ってきたロキだが手数の膨大さで言えば黒歌との模擬戦を重ねた俺にはイージーモードだ!・・・向こうも本気じゃないんだろうけどさ

 

弾幕を掻い潜ってクロスレンジまで割り込むと前面に盾のように魔法陣を展開してきた

 

俺はそれを全力で拳を握り、殴り壊して奥に居るロキの顔面にヒットさせる

 

とはいえ障壁で勢いが削がれたから大したダメージにはならないだろうけどな

 

「って!それただのパンチじゃねぇかぁぁぁ!?しかも何でそれで障壁を破れるんだよ!?」

 

「イッセー、魔術に対抗するのに必要なのは圧倒的な物理攻撃だ!魔法使いタイプは物理に弱いのは世の常識だろう?・・・まぁ真面目に答えるなら着弾すれば攻撃が拡散する炎や雷、爆発とかより固めた拳の一点突破の方が障壁を破壊しやすいんだよ」

 

「な・・・成程。一瞬お前が馬鹿になっちまったのかと思ったぞ」

 

失敬な、どこぞの研究者も物理攻撃こそが対魔法(アンチ・マジック)だと言っていたぞ!———まだ出会った事は無いけどな!

 

「人間ごときに一撃貰うとはな。オーディンの護衛に着くだけの事はあるという事か。ならば私も一つ貴様に教授してやろう!人間の弱点というモノをな!」

 

そう言うと北欧の魔術を俺を囲うように大量に出現させ、先程とは比較にならない程に大量に撃ち放って来るロキ!しかも単純なショットだけでなく追尾型、隠密型、ランダム軌道、花火型と兎に角大量に放ってくる!流石に術式が豊富だな!

 

体捌きで避けるにしても逃げ場ゼロでは避け切れないので全身に何発か貰ってしまいつつ何とかその場から離脱した。だが大してダメージを受けてない俺の様子を見てロキが声を荒げる

 

「馬鹿な!貴様は人間だ!幾ら強力な闘気を身に纏った所で元が貧弱な人間の体では軽い攻撃でも防ぎきれるはずがない!せめて貴様が今身に纏っている数倍のオーラが必要なはずだぞ!?」

 

「さて、何でだろうな?種も仕掛けもあるマジックだけど種明かしする気はないぞ?」

 

今の俺が無事なのは京都で貰ったあの丸薬、金丹もとい『きんのたま』の副次効果さ!

 

『きんのたま』は不変なるものである金の性質を体に取り込み不老の肉体を得る丸薬!あの丸薬を呑んでから俺は仙術で自然エネルギーの金属に対する新和性がアップしたから多めにその気を取り入れる事で生身でありながら全身鎧のような防御法も得たんだよ!そこに闘気の一点集中防御も合わせれば倍プッシュだ

 

つまりはアレだな。どこぞの海賊漫画の『鉄塊』もしくは『武装色』とか現実で言うなら中国拳法とかで聞く『硬気功』や『鉄腕功』の上位版って所だ!まぁ流石にイッセーのドラゴンの鎧に比べたら鎧の質は劣るけどそこは闘気のコントロールでカバーだ

 

「そうか!うちのアルマロスの提唱するアンチ・マジック。肉体による物理攻撃と物理防御こそ至高という研究成果は神が相手でも有効なのか!あいつが聞いたら喜ぶだろうな!」

 

アザゼル先生がとっても楽しそうにしている中、ロスヴァイセさんは項垂れている

 

「何だか、北欧式に限らず魔法そのものを否定された気分です」

 

いや~そんな事言われても確か原作でもこの時点のイッセーが拳を叩きつけただけでロキの障壁を打ち破るシーンがあったはずだから、あながち間違ってないと思うんですよね

 

実際殴り壊す事が出来た訳だし―――そう思っているとバラキエルさんがロキより上空に飛び、魔法陣から巨大な鎖付き鉄球を取り出した―――モーニングスターの一種か、バラキエルさんはあんな武器も使うんだな

 

「ぬぅん!ならば私も彼に倣おうではないか!」

 

そう言って鍛え抜かれた体で鉄球を振り回し、ついでに雷光を纏わせてロキに叩きつける

 

ロキも障壁で防ごうとするがやはり物理に弱いのか砕け散り、鉄球の衝撃と付与された雷撃を喰らって堪らず距離を取る

 

「ハ!どうした悪神様よぉ!うちのバラキエルが磔にされて毎夜打ち付けられながら改良された特性鉄球は体の芯に響くだろう?バラキエルも出張先で自分を打ち据える為の鉄球がこんな形で役に立つとはな。流石は堕天使の幹部だ!その趣味一つが神をも冒涜するぜ!」

 

バラキエルさんのドM体質をアザゼル先生が暴露して皆が一様に微妙にバラキエルさんから距離を取る中、ロキも感想を溢す

 

「ふむ。確かに尋常ではない想いの籠った一撃だった。堕天使の幹部よ。貴殿があの鉄球にどれだけ心血を注いできたのかが伝わって来るようだ」

 

「う・・・うむ・・・」

 

バラキエルさんが答えに窮している。娘もいるこの場所で性癖暴露されてどう言い訳しようか考えているのだろう。朱乃先輩は「最低ですね」と口にしつつちょっとだけ興味の視線が瞳の奥に見え隠れしているから親子の和解がなったならそう遠くない内に仲睦まじい親子のコミュニケーションが見られる事だろう

 

「よもや敵を打倒す為に自らを犠牲にして武器の改良を重ねているとはな。戦場で痛みによって動きが鈍る事を防ぐ為に耐性を付ける意味も在るのだろう?その貴殿の戦士としての心意気は敵ながら評価しようではないか!」

 

「うむ!戦いとは常に準備を怠らず、自らを鍛え上げて望むもの!私は武人として当然の事をしているまでだ!決して趣味の類ではない!!」

 

ロキの好意的な解釈に乗っかったバラキエルさんだけど、この場においてはロキにしか効果が無い言い訳だ。実際距離を置いた皆が今度は白けた視線を向けているし

 

「成程、一筋縄ではいかぬようだ!ならば呼ぶとしよう!我が愛しき息子を!」

 

ロキが両手を広げると魔法陣が展開され、そこから10m級の巨大な狼が姿を現した

 

全身の灰色と背中の白の体毛をした狼で肩の辺りからは角が生えている

 

正直、ロキとは比べ物にならない威圧感だ。殺気を向けるロキよりもただそこに居るだけの狼の方がよっぽど強い『圧』を放っている

 

アザゼル先生が「全員距離を取れ!あれは最悪の魔獣の一体。フェンリルだ!」と叫ぶ中俺は俺で思った事を口にした

 

「可愛くないし、カッコよくも無い!チェンジ!!」

 

”ビシッ!”と指を突きつけるとフェンリルも含めて皆ちょっと脱力した感じだ

 

「お前!最初に見た感想がそれかよ!ケルベロスの時も似たような事してなかったか!?あの時はペットにしたいとか言ってたけどよ!何!?あいつはダメなの!?」

 

詰め寄って来てマスクを態々収納して問いかけて来るイッセーだけどこれは譲れない!

 

「だってよく見ろよイッセー!あの肩にとって付けたような角を!無いわ~、実に無いわ~。今気づいたけど多分俺は肩パッドとか許せないタイプだわ」

 

「いきなり変な内面に気づくんじゃねぇよ!あと一応言っておくけどアレは角なの!決してバブル時代の人たちが血迷ったスタイルの肩パッドじゃないの!許して上げて!ほら!あの狼さっきからしきりに肩の角の事を気にし始めてるから!アイデンティティーを否定しないで上げて!!」

 

するとロキとフェンリルも何やらやり取りとしている

 

「くぅぅぅん!」

 

「何?この戦いが終わったら何とか肩の角を無くして欲しい?案ずるな我が息子よ。あの人間の美意識が可笑しいだけなのだからな。貴様をデザインした私の美的センスは完璧だ!美の女神フレイヤも私の作品を前にしたら傅くだろうよ!フハハハハハ!!」

 

そう宣うロキの全身をフェンリルが見据えるが真っ白な全身、額の無駄に大きい宝石、蛇の抜け殻のような髪型を順番に見たフェンリルががっくりと肩を落とした

 

多分何を言っても無駄だと思ったのだろう

 

こうしてちょっとグタついた所はあるものの、戦いは本格的に動き出していった




久々に銀魂読んでたら肩パッドネタが目に付いたので適当に盛り込んで書いてみましたw

ロキやフェンリルのデザインはアニメ版です

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