転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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前にこのサイトのマイページのボタンを押したら全く別の人のマイページに跳びました。慌ててもう一度押したら元に戻りましたが今思えばアレってどんな奇跡的な確率で回線が混線したんだろう?


第四話 対策、会議です!

空中に立つロキだけでなくフェンリルもその視線に殺気を籠め始めた事により、この場に居る全員が一歩距離を取る。よく見れば何人かは冷や汗を流しているようだ―――その様子を見てロキは楽しそうに笑みを浮かべた

 

「どうやら本能で理解出来てるようだな。このフェンリルは神をも殺す牙を持っている。今貴様らの前には死が立っているに等しいのだよ!だが、私としてはグダグダと戦うつもりは無い。いかに私とフェンリルと言えど貴様ら全員に加えてオーディンがグングニルを抜けば負ける可能性は十分にあるからな。主神殿の力を私は決して過小評価はしない」

 

そこは油断してくれよ!まぁオーディンは戦神としての側面もあるからフェンリル相手でもある程度は戦えるのかもな・・・状況がそれを許すかは別だけど、ロキがオーディンを殺す意思がある以上は最終的にオーディンとの戦闘も視野に入れるのは当然か

 

「先ほどそこの聖剣使いが言っていたな『先手必勝』だと。だがそれは如何いう形にせよ相手の虚を突かなかければ意味は無い。そう!例えばこんな風にな!さあ、もう一体(・ ・ ・ ・)の愛しき我が息子よ!オーディンを我が前に連れて来い!!」

 

”ヒヒィィィィィィィィィィン!!”

 

そう言ってロキの掌から怪しい光が放たれると、突如として俺たちの後ろから何かが外れるような音と一緒に馬の嘶きが聞こえてきた

 

そこに居たのはオーディンの乗る馬車を牽いていた八本足の馬。スレイプニルだ!

 

スレイプニルは理性の灯ってない瞳で俺達が動くよりも先に神馬の名に恥じない神速で動き、オーディンの首根っこを口で銜えて一瞬でロキとフェンリルの前にオーディンを放り投げ、自身は俺達の前に立ちふさがった

 

当のオーディンはロキが発動させた拘束術式でこれでもかと雁字搦めにされていた

 

オーディンの方が魔術の腕が上でもあれでは簡単に抜け出せないだろう

 

「ぐぅぅ!!してやられたわい。お主が儂に息子のスレイプニルを献上した時、何か支配の術式を仕込んでおったな?儂のミーミルの泉から得られた魔術の知識でも気づけなんだとは、どんな手を使いよった?」

 

「この期に及んでまだ知識欲が疼くか、呆れたものだ。何、私とて魔術で完全に主神殿を出し抜けるとは思っていない。その口ぶりからすれば可笑しな魔術が掛かってないか調べたのだろう?だが、時として高度な術を扱う者は原始的な手法に気づかぬものだ―――方法は至極単純!生まれたばかりの息子の頭蓋骨を取り出し、内側に直接手彫りで術式を刻み込んだだけの事!私が特定のオーラを放たなければ何の効力も発揮せず、手彫りであるが故に魔術の残滓も感知できなかっただろう?貴方が正しく神々の黄昏(ラグナロク)を行うのであれば必要無かったのだが・・・いやはや保険というのは掛けておくものだ」

 

えっぐ!生まれたばかりの赤ん坊の頭蓋骨切り取って裏面をゴリゴリ削ったって?というか狼や馬が息子って神様ってよく分からんな

 

「ふん!そのような真似をしておいたよくもぬけぬけと『愛しき息子』なんて臆面も無くほざけたものじゃわい!悪戯っ子も度が過ぎておるぞ!」

 

「お忘れですかオーディン?私は悪神ですよ?どうやら貴方は新たな『知』を求めるよりもその耄碌を何とかした方が良いようですな・・・さて、予言では貴方はフェンリルにかみ殺されるとされている。多少順序は狂ったが神々の黄昏(ラグナロク)の幕開けには相応しい!フェンリルよ!我らが主神でその腹を満たすがいい!!」

 

ロキの言葉を受け、フェンリルの双眸がオーディンを射抜く

 

「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

アザゼル先生の絶叫にも近い叫びで皆が一斉にオーディンに噛み付こうとするフェンリルに遠距離攻撃を嵐のように仕掛けていくが間に立ったスレイプニルが神速で動き回って攻撃を撃ち落としていき、取りこぼしもロキの張った障壁で防がれていく。よしんば何発か当たった所でフェンリルは止まらないだろう

 

「フハハハハハ!さらばだオーディン!!」

 

”ドバギャン!!”

 

ついにフェンリルの神殺しの牙がオーディンを喰い殺そうとした所で辺り一帯を吹き飛ばすような怪音が響き渡った

 

赤く尾を引く流星のような物体がスレイプニルに反応も許さずフェンリルの下顎辺りに突き刺さり、当のフェンリルは錐揉み回転しながら遥か彼方まで吹き飛ばされる

 

「フェンリル!?・・・チィ!また貴様か!人間ごときが!」

 

ロキが忌々しい視線をこっちに向けて来るけど正直答える余裕は無い

 

フェンリルをライダーキックよろしく蹴り飛ばすのに【一刀羅刹】を発動させたので全身ボロボロで立つ事もままならない・・・と言うかもう直ぐ墜落する

 

噴き出る血と高速移動で赤い彗星と化したからな。もっとも、速度は3倍どころじゃ無かったけど

 

こんな死にかけの状態で敵の前に立つなんて危険何てレベルじゃないけど、次の手は既に打ってある!俺の右手には先日のイッセー達のレーティングゲームの折にレイヴェルから渡されたフェニックスの涙の小瓶が握られているからコレを振りかけてさっさと治療だ!早くしないとロキが立ち直って殺しに掛かってくるからな!

 

ふん!・・・ふぅおぉぉぉぉ!!?

 

!! しまった!体力ゼロ+余すところ無い大怪我でまるで力が入らずに瓶の蓋が開かない!?

 

ヤバい!コレ、死ぬ!!全力込めてるはずなのに腕がぷるっぷる震えるだけだ!

 

「む!それは確かフェニックスの涙か?そうはさせん!フェンリルを蹴り飛ばすなど、貴様は危険な存在だ!今此処で死ぬが良い!!」

 

瀕死の人間一人相手に過剰過ぎるオーラを手に集め、至近距離から魔法弾を放ってくるロキ

 

直後、何かが壊れるような音と共に直撃した(・・・・)魔法弾は盛大な爆発を起こした

 

「イッキ!」

 

「イッキ先輩!」

 

「イッキ様!」

 

イッセー、小猫ちゃん、レイヴェルを筆頭に皆が叫ぶ声が聞こえる中、無傷(・・)の俺が爆煙から現れてその場から距離を取る

 

今のはマジで死ぬかと思った!ギリギリ避けた(・・・)攻撃もすぐ後ろで爆発するし、あの血まみれの状態の俺が避ける事すら可能性に入れて殺しに来てやがったのか?

 

「有難う、黒歌!助かった!」

 

あの場の誰にも気づかれないように『小瓶を壊すだけの威力』の魔力弾を隠蔽を施して放ってくれた黒歌の機転には本気で感謝しないとな。流石にアレなら感知は難しいだろう

 

「全く、【一刀羅刹】だったっけ?その事を知らなかったら私も咄嗟に対応出来なかったかも知れないわよ?と言うか敵の目の前で『涙』の小瓶を開ける力も残ってないって諸刃の剣過ぎるにゃ」

 

まぁ確かに味方がいきなりスプラッタな状態に早変わりすれば何事かと思うよな

 

「チィ!今のは威力重視の一撃だったのだぞ!?無傷などあり得ない!」

 

「別に?ただギリギリ避ける事が出来ただけさ」

 

「何?ならば一体何に当たったというのだ!?」

 

は?いや、だから当たってないって・・・そう思っていると怒気とも呆れとも言えないような声音で後ろから声を掛けられた

 

「儂じゃよ」

 

訝しんでいるロキに対して俺の後ろ辺りから極大のオーラ砲が放たれて目の前の悪神を吹き飛ばした!思わずそちらに目をやるとそこにはボロボロの姿のオーディンが立っていた

 

「全く、お主は儂の護衛なんじゃろ?何拘束されて動けない儂を置いて攻撃を避けとるんじゃ・・・まぁ先のロキの攻撃で拘束が緩んで抜け出せたんじゃがの」

 

・・・あ、ヤッベ!完全に忘れてた!そうだよな!フェンリルに喰われる直前のオーディンを庇った上でロキの攻撃を全力回避とかしたら動けないオーディンに当たるに決まってるよな!

 

「っく!オーディンの拘束が切れたか!フェンリルよ!何をしている!?早く戻ってきてこの二人を噛み砕け!」

 

その言葉と共に遥か彼方の地上に落ちていたらしきフェンリルが跳び上がり、ロキの横に降り立つ

 

「きゅ・・・・・きゅうぅぅぅぅ!!」

 

「何?顎が外れてコレでは噛めないだと?」

 

「きゅうぅぅぅ!きゅうぅぅぅ!!くぅぅぅん!!」

 

「角に加えて牙のアイデンティティーまで否定された。北欧の外の世界がこんなに恐ろしいものだったとは思ってなかった。もう帰らせて欲しい?」

 

フェンリルは"コクコク"と頭を縦に振って意を示す

 

「ええい!情けない事を言うな!外れた顎何て私がはめ込んでやろう!」

 

そう言ってフェンリルの下顎の部分をグイグイと押し込むロキだが元々神狼の顎だからか中々動かなかった。暫く格闘していたが業を煮やしたのか今まで律儀に二人を身を挺して攻撃から守っていたスレイプニルに助けを求める

 

「スレイプニルよ!大きな衝撃を与えれば何とかなるかも知れん!フェンリルの顎を突き上げるように『たいあたり』、イヤ!『とっしん』だ!!」

 

「はぎゃ!?———ギャワオォォォォン!!」

 

ロキに操られているスレイプニルは一切の躊躇無くフェンリルの外れた顎に突撃をかました

 

「フハハハハハ!漸くその顎がハマったようだな!さぁ!続きをしようではないか!!」

 

笑っているロキの後ろで凄い形相でフェンリルが睨みつけているけどね・・・多分この戦いが終わって仮にロキ達が勝ったとしてもその時点で食い殺されるんじゃないか?

 

そんな事を思っていると俺達よりも更に上空から声が降って来た

 

「どうやら思った以上に楽しい事になっているようだな。俺も混ぜては貰えないか?」

 

一部見知らぬ奴も居るけどヴァーリとその仲間たちがいた

 

「白龍皇か!流石にこのままでは戦えんな。今は引くとしよう―――しかし!この国の神々との会談の日、私は再び貴様らの前に立ち塞がろう!さらばだ!!」

 

転移魔法陣を展開してそのままロキ達は消えていった

 

だけど皆はヴァーリ達が居るから警戒を解いていない

 

そんな中、一番ヴァーリと親しいアザゼル先生が声を掛ける

 

「ヴァーリ、何をしに現れた?戦闘狂のお前の事だ。ロキと戦いたいとでも言うつもりか?」

 

「残念ながらロキ単体ならば兎も角、フェンリルやスレイプニルまで一緒に敵に回すとなると俺たちだけでは戦力が足らんな・・・だが、お前たちと手を組めば話は別だ」

 

『!!!!!!』

 

皆がヴァーリの提案に驚いている

 

「今回の一件、俺達は共闘しても良いと言っている」

 

だが、皆が驚きの余り声も出ない様を見せている中で小猫ちゃんだけは別の方を向いていた

 

「サラマンダー・富田さん!?生きていたんですね!!」

 

小猫ちゃんはヴァーリ、美猴、アーサーと一緒に現れた甲羅、嘴、頭の皿という極めて特徴的な姿の妖怪である河童に話しかけていた・・・って言うかサラマンダー・富田!?富田は兎も角サラマンダーって火トカゲな精霊の名前だよね!?水棲の妖怪の名前に何故付けたし!?カエルとトカゲは両生類と爬虫類で似ているようで根本から違う生物だからね!?

 

「まさか彼がヴァーリたちと行動を共にしているだなんてね。でも、サラマンダー・富田さん程の実力者の手を借りられれば心強いのも事実だわ」

 

リアス部長が神妙な様子で呟き、オカルト研究部の初期メンバーがそれぞれ続く

 

「ええ、まさかサラマンダー・富田さんとまたお会いできるとは思っていませんでした・・・ある日突然私達の前から居なくなってしまいましたからね」

 

「あの夏の日の『河川敷頂上決戦』は今でも鮮明に思い出せるよ。サラマンダー・富田さんはあの時も小猫ちゃんと・・・」

 

「さ・・・サラマンダー・富田さんは小猫ちゃんの友達ですぅぅぅ!あの日も二人は一緒に『尻子玉ラプソディー』を口ずさみながら小猫ちゃんはサラマンダー・富田さんを河川敷に送り出していたんですぅ!!」

 

サラマンダー・富田、サラマンダー・富田うるせぇぇぇぇぇぇぇ!!どいつもこいつもサラマンダー・富田の名前連呼しやがって!そんなに名前連呼しなくても十分脳内に刻まれるインパクト抜群の名前だよ!!

 

「つーか何!?『尻子玉ラプソディー』って!?そんな頓珍漢なラプソディー聞いた事ねぇよ!」

 

知らねぇ!『河川敷頂上決戦』なんてものも知らねぇ!!そりゃあ小猫ちゃんはあんまり自分語りするタイプじゃないし、数年前から小猫ちゃんの動向を探ってた黒歌だって365日、常に監視してた訳じゃないんだろうけどさ!そんな特大のイベント見逃してたの!?

 

驚愕に彩られる中、小猫ちゃんとサングラスをした河童、サラマンダー・富田の会話は続いて行く

 

「突然居なくなって心配掛けたみたいだな。実家のきゅうり農家の親父が皿の病気になって急遽呼び戻されちまってよ。それはさておき小猫ちゃん。噂のお姉さんとは和解出来たみたいだな。最後に会った時は『好きな男の一人でも出来れば大人の女性になれる』って言ったけど、どうだい?彼氏の一人でも出来たかい?」

 

「はい♪今は一緒に暮らしてもいるんですよ?」

 

小猫ちゃんがはにかむような笑顔を浮かべながらもサラマンダー・富田に報告する

 

ぐっは!今のはヤバい!小猫ちゃん笑顔が直接俺に向けられた訳でもないのに乙女な笑顔の破壊力がヤバい!悶死するわ!!

 

「そうか・・・あの小さなレディが何時の間にか立派な女性に成長していたんだな。ああ、畜生!汗で目が霞やがる!」

 

天を仰いで目元から零れ落ちそうになる本人曰く『汗』とやらを拭っていた河童に小猫ちゃんは質問をぶつける

 

「でも、サラマンダー・富田さんは何で彼・・・白龍皇と一緒に居るんですか?さっきは実家に呼び戻されたって言ってましたよね?」

 

その小猫ちゃんの質問に答えたのはヴァーリだった

 

「塔城小猫、それは俺達が彼を雇ったからさ―――契約料は毎日新鮮で且つ出来の良いきゅうりを200本・・・一年更新で契約を結ばせてもらったよ。きゅうりの半分は実家に送って父親には療養してもらっているみたいだ」

 

毎日きゅうり200本!?きゅうりなんて大体3本100円くらいだよね!?日給6600円くらいじゃん!?滅茶苦茶安っすいな!

 

そんな風に思っていたが如何やらそうでもないらしく、美猴が疲れたように補足してくる

 

「安いと思うだろ?初めは俺っち達もそう思ったんだけどよ。この河童のきゅうりに対する情熱を俺っち達は見くびり過ぎていたんだよ」

 

げんなりと項垂れる美猴に続いてアーサーも困った顔をした

 

「ええ、彼のきゅうりの選考基準はとても高くてですね。お陰でヴァーリチームは全員がきゅうりソムリエとなってしまいました・・・妹がきゅうりの自動選別魔法を1週間ほぼ不眠不休で仕上げてくれなければ私たちは今もきゅうりと格闘していたでしょう」

 

光の角度の関係でメガネの奥は見えないけどアーサーが此処ではない何処か遠くを見ているのは嫌という程伝わって来る

 

「ああ、だけどアーサーの妹が一番大変だったのかもな。あの河童が付きっ切りで『きゅうり選別魔法』にダメ出しし続けてたからな・・・大きさ、重さ、長さ、鮮度、水分、青臭さ、シャキッと感、甘み、苦み、手触り、色、形、一つとして同じきゅうりは無いからそれら全てを総合的に分析して選別する魔法を創らされたルフェイには同情と共に感謝の念が絶えないぜぃ。最後の方とかルフェイの奴、完全に目が据わってたからな」

 

「ええ、オーフィスを抱っこしながらの作業でなければキレていたかも知れません」

 

うわぁ!全然安上がりじゃないわ!その様子だと『きゅうりを選定する為の1000の項目』とかありそう!後ルフェイちゃん、オーフィスを癒しのぬいぐるみ扱いしてない!?

 

ルフェイの膝の上にオーフィスを乗せてるとか想像すると癒し空間が広がってるみたいだけど、片方はドヨンとした目で連日の不眠でクマを作ってると思うと居た堪れないよ!

 

「はぁ、流石にサーゼクスやミカエルに話を通さずにお前たちの申し出を受ける訳にもいかん。取り敢えず今日の所は見逃してやるから一旦帰れ。ロキ達を前にして白龍皇様のチームと戦うなんてナンセンスだからな」

 

「フ!先に言っておくが申し出を断るようならお前たちとロキとの戦いには勝手に介入させてもらうぞ。三つ巴のバトルロイヤルも楽しそうだからな」

 

ヴァーリはそう言い残してチームの者たちを引き連れて帰って行き、それを黙って見送った小猫ちゃんにリアス部長が優しく肩に手を掛ける

 

「小猫。厳しい事を云うようだけど今の彼はテロリストよ・・・もう、彼と一緒にラップを奏でたあの頃には戻れないわ」

 

「分かっています・・・サラマンダー・富田さん。次にもし貴方とテロリストとして敵対した時にはその皿をかち割らせていただきます。覚悟しておいて下さい!」

 

小猫ちゃんは悲壮とも云える決意を決めていたけど皿をかち割るっていまいちシリアスになり切れないセリフだな・・・河童にとって皿は生命線何だろうけどさ

 

 

 

 

 

翌日、イッセーの家にヴァーリチームやシトリー眷属も含めて全員が集まっていた

 

リアス部長なんかは最後まで異議を唱えていたが魔王であるサーゼクスさんの許可も在るとアザゼル先生が告げるとしぶしぶながらも最終的には了承する事になった

 

「さてヴァーリ、お前さんの事だから昨日ロキと戦いたいと言った事自体には嘘は無いんだろう。だが、利も見る事が出来るお前が戦い以外に何もしないとも思えない・・・何を企んでる?」

 

開口一番アザゼル先生がヴァーリに問い詰めるがヴァーリ自身は軽く肩を竦めるだけだった

 

「別に何も企んじゃいないさ・・・と仮に言った所で意味が無いのだろう?精々好きに監視でもしておけば良い。もっとも、後ろから刺そうと言うのであれば此方も容赦しないがね」

 

数秒程にらみ合っていた両者だが、先に折れたのはアザゼル先生だ

 

「はぁ、まぁ既にサーゼクスやミカエルとも好きに動かれるよりは行動を共にした方が良いと結論は出ているからな―――ロキは兎も角フェンリルだけは始末に負えん。戦力をえり好みしてる余裕は無いからな」

 

アザゼル先生がヤレヤレと首を振ったあたりで地下のトレーニングルームの一角に転移魔法陣が現れ、そこから巨大なドラゴンが転移してきた

 

「タンニーンのおっさん!来てくれたのか!?」

 

イッセーが嬉しそうにドラゴンに声を掛ける

 

「うむ。先日ぶりだな兵藤一誠。今回は神が相手らしいな。サーゼクス殿からお前たちを手助けしてやって欲しいと頼まれたのだ」

 

「スゲェ!おっさんが一緒に戦ってくれるだなんてコレほど心強い事も無いぜ!」

 

「丁度いい所に来たなタンニーン。今からロキ対策の会議を始める予定だったんだ―――後、話してる間に龍門(ドラゴン・ゲート)の準備も進めるからよ」

 

アザゼル先生はそう言いつつ手元に魔法陣を浮かべて何やら操作すると少し離れた地面に少しずつ特殊な魔法陣が刻まれ始めた

 

「成程、ミドガルズオルムを呼ぶのだな?だがアイツが呼びかけに応えるかどうか・・・」

 

「此処にゃ二天龍に龍王が3匹も居るんだ。流石に大丈夫だろ」

 

「二天龍・・・成程、今回は白龍皇も居るのだったな。言っておくが俺は兵藤一誠のように甘くは無い。もしも妙な真似をすれば一切の躊躇なく貴様を噛み砕くぞ」

 

軽い脅しを掛けられたヴァーリは苦笑するだけだった

 

「さ~て、最初に確認しておきたいんだがイッキ。昨日お前がフェンリルを蹴り飛ばしたアレは何だ?まぁ会談の時にも似たようなのを使ってたから大体察しは付くがな」

 

此処にはヴァーリ達も居るけど既に切った手札の情報なら晒してもいいか

 

「アレは【一刀修羅】の応用技の【一刀羅刹】ですね。お察しの通り1秒に全力を籠めて動くだけの単純な能力ですよ。ただし、肉体が負荷に耐え切れずに死にかけますけどね・・・そう言えばまだお礼を言ってなかったな。レイヴェルのくれたフェニックスの涙で命拾いしたよ。有難う」

 

もっとも、小瓶の蓋が開けられないなんて醜態も晒したけど

 

「い・・・いえ!イッキ様のお役に立てたなら何よりですわ!元より禍の団(カオス・ブリゲード)によるテロが横行するなか、フェニックスの涙の製造・供給は我が家の義務と言っても過言ではありませんもの。もっとも、この場にそのテロリストが居る事は今でも不満ですが・・・」

 

そう言って半ばジト目でヴァーリたちに目を向けるレイヴェルだけどそこは諦めてもらおう

 

「まぁ予想通りだな。フェンリルにすら大ダメージを与える事が出来ると言ってもあの様子からすればその【一刀羅刹】とやらを作戦に組み込む訳にもいかんだろう。【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】とやらも同様だ」

 

「アザゼル先生!【じばく】はどうですか!?」

 

「却下だ馬鹿野郎!お前にはこの間【じばく】の補助具を渡しただろう?一体どれだけの範囲に影響が及ぶと思ってやがる」

 

そう!実はディオドラとの一件が終わった辺りでアザゼル先生が俺の【じばく】の補助具を渡してくれたのだ。耳にシンプルなピアスのように装着する事が出来るタイプで普段は俺から漏れ出る僅かな余剰オーラで一般人には見えないようになってるから校則違反にもならない

 

ボタンを押すように触りながらオーラを流し込むと変形してドラグ・ソボールに登場するスカウターみたいな形状になり、爆発が影響を及ぼす範囲が地図付きで表示されたりとかレーダーに分かる分だけの敵味方の有無なんかが表示されたりする・・・完全に製作者の趣味が盛り込まれた一品だ――朝と夜に俺の最大オーラ許容量を測定してそれから俺の【じばく】の範囲を割り出すらしい

 

最初に付けた時コスプレつって爆笑されたしな・・・まぁ後で取り敢えず殴ったけど

 

爆発範囲?駒王町と周辺都市くらいなら余裕で消し飛びますが?

 

魔王の一撃が地平線の先まで吹き飛ばすと考えれば威力200%の全エネルギー消費技の効果範囲などお察ししろという話な訳で・・・コカビエルがあの時全力防御していなければマジでヤバかったかも知れん

 

「つーかイッキ、お前の技は一々リスクが高すぎるんだよ・・・他の二つは兎も角、【じばく】はお前が強くなればなるほど加速度的に使いづらくなるとか舐めてんのか?」

 

ヒデェ言いようだな!反論しにくいけど!!

 

「そこを何とかするのが研究者でしょうが!ほら、前にヴァーリに渡したっていう次元の狭間の放棄された空間に転移するヤツで敵と一緒に転移して【じばく】したら自動的に俺だけ元の場所に転移し直す道具とか作れないんですか?」

 

「放棄された壊れかけの空間でお前が【じばく】なんぞしたら爆心地のお前は次の瞬間次元の狭間に放り出されるかも知れんぞ?HPゼロで次元の狭間を一瞬でも漂ってみたいか?」

 

うん・・・却下で!

 

「ともあれ先ずは相手の情報を知るところから始めるべきだろう・・・丁度今龍門(ドラゴン・ゲート)の準備も出来たからな。イッセー!それにサジ!ちょっとこっちに来て魔法陣の上に立て。それだけで良いからよ」

 

「はい」

 

「は・・・はい!俺もですか!?」

 

イッセーとサジが返事をするがあまり大事に慣れてないサジが狼狽えているな

 

「サジ、お前はヴリトラを宿してるだろうが。触媒としては十分機能するからな」

 

「しょ・・・触媒扱いですか・・・」

 

そうして皆が魔法陣の上に立ち、用意された魔法陣が、イッセーが赤、ヴァ―リが白、サジが黒、タンニーンさんが紫、人工神器を持ったアザゼル先生の場所が金色に光った

 

暫く待ってると徐々に立体映像が前面の空間に映し出されていく

 

そして蜷局を巻いた巨大なドラゴンの姿が映し出された

 

おお!東洋タイプのドラゴンだ!日本人だからか、ちょっとテンション上がるな!

 

サジの中に居るヴリトラも東洋タイプみたいだけどまだサジは覚醒前だしな

 

それぞれがそれぞれの驚きを持って目の前に映し出されたドラゴンを見つめる中、音声も繋がったのか重低音が周囲に響き始める

 

「ぐごごごごごごご・・・・むにゃむにゃ・・・・ぐごごごごごごごごご・・・・」

 

どう見ても熟睡中です―――それを見たタンニーンさんも呆れている

 

「案の定寝ているな。どうにもコイツとは馬が合わん―――おい、ミドガルズオルム!起きろ!」

 

タンニーンさんが寝ている彼を起こそうと声を掛ける

 

「ぐごごごごごごご・・・・むにゃむにゃ・・・・ぐごごごごごごごごご・・・・」

 

《ミドガルズオルムは ぐうぐう ねむっている》

 

「何時まで寝ている!俺達が呼んでも気づきもしないのでは終末が訪れても気づかないで眠ったままになるぞ!さっさと起きんか!!」

 

「ぐごごごごごごご・・・・むにゃむにゃ・・・・ぐごごごごごごごごご・・・・」

 

《ミドガルズオルムは ぐうぐう ねむっている》

 

それを見たタンニーンさんが怒りマークを額に浮かべ、立体映像相手だから遠慮なくブレスを放ち、空間に爆音が響き渡った

 

《ミドガルズオルムは 目を 覚ました》

 

「ん~?あれ~?タンニーンじゃないか、久しぶりだね~。それにドライグとアルビオンにファーブニルとヴリトラも居る・・・何だい?世界の終末なのかい?」

 

凄まじく間延びした声でミドガルズオルムが質問するがタンニーンさんは首を横に振る

 

「いや、まだ終末ではない。お前の父と兄弟の事について聞きたいが為にこの場にお前の意識のみを呼び寄せたのだ」

 

「ぐごごごごごごご・・・・むにゃむにゃ・・・・ぐごごごごごごごごご・・・・」

 

《ミドガルズオルムは ぐうぐう ねむっている》

 

「それはもういいわ!戯けぇぇぇ!さっさと起きろぉぉぉ!!」

 

生真面目なタンニーンさんのツッコミ(ブレス)が再び放たれ、話し合いは幸先の悪いスタートを切ったのであった




途中顎の外れたフェンリルとロキが普通に話してるようでしたが実際は「顎が外れた」も「あふぉははふれた」みたいな発音になってますwwどうでも良い設定ですがww

ヴァーリチームで黒歌が抜けた穴をどうしようかと思ったのですがフリーで且つ黒歌並みの実力者って事でサラマンダー・富田さんにお越しいただきましたww

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