転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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スレイプニル(レベル100)
たたかう ▷ ⓵たいあたり  ⓶でんこうせっか
          
       ⓷とっしん   ⓸すてみタックル



決戦だから文字数ちょっと多くなりましたww


第六話 神との、総力戦です!

各メンバーが会談の始まる時間までリラックス出来る状態で過ごして調子を整え、ついに辺りが暗くなってきたところでアザゼル先生がメンバーに声を掛ける

 

「時間だな・・・俺からお前らに言える事は二つだ!一つは絶対にこの会談を成功させるという事、そしてもう一つは全員生きて帰って来い!———安心しろ、例えアーシアやフェニックスの涙でも治療出来ないレベルの怪我を負ったとしても生きてさえいればその時は俺が改造(なお)してやるからな!はははははは!!」

 

その場にいる全員の視線がアザゼル先生の左腕に集まる

 

だってこの人見せつけるように左腕変形させてるんだもん!

 

場を和ませるというよりはむしろ退路を断たれた気分だよ!!

 

・・・勝つにしても絶対に五体満足で勝とう。多分今、皆の心は一つになってるぞ

 

 

 

 

 

あれから俺たちは移動して今は都内の高級高層ビルの屋上でシトリー眷属以外は待機中だ

 

シトリー眷属は周囲のビルに散らばって俺達を戦場に送る大規模転移術式を何時でも発動できるようにしてもらっている・・・サジはやっぱりと云うか遅刻中だ。後、アザゼル先生も会談に出席する立場なので此処には居ないが代わりと言っては何だけどタンニーンさんが居るので前回と比べて戦力が減っている訳じゃない

 

それに、ヴァーリチームも待機中だ

 

「時間ね。会談が始まったわ」

 

リアス部長が時計を確認して告げ、それを聞いた皆の緊張の度合いが僅かに上昇した

 

直後にほんの僅かな転移の兆しを感知する

 

「皆、疫病神様のご来場みたいだ」

 

「小細工無しとはな―――恐れ入るよ」

 

俺とヴァーリの言葉に全員の警戒度が一気に最高レベルまで高まり、"バチッバチィ!"とこの周辺一帯に張ってあった結界を押しのけてロキとフェンリルとスレイプニルが正面から強引に領域内に侵入してきた

 

「目標視認、作戦開始」

 

バラキエルさんが通信でシトリー眷属に合図を出し、事前に仕込んであった大規模転移を即座に発動させ、会談の行われているビルを中心に周囲一帯が眩く光る

 

そして次の瞬間にはロキと俺たちは多少派手に戦っても問題無い場所として使われていない古い採石場跡に転移した―――本当ならロキ達の転移場所を結界の中に設定して黒歌の毒霧を濃厚散布とかも考えたんだけど恐らくフェンリルならどれだけ強固な結界も一瞬で喰い破るから無駄に警戒させるだけに終わる可能性が高いと言う事で却下となった。黒歌は神様相手でも一吸いで十分なダメージを与えられる毒を何時か絶対作ってやると物騒な意気込みを見せていたけどな

 

「・・・抵抗しなかったわね。余裕のつもりなのかしら?」

 

大人しく一緒に転移されたロキの様子が気に入らないのか険のある顔でリアス部長が問う

 

それに対してロキは手を後ろ手に組んだ状態で淡々と答えた

 

「必要が感じられなかっただけの事だ。どうせ何重にも術式を重ねてあったのだろう?ならば今此処で主戦力の貴様らを叩き潰し、その後ゆっくりとあの会場に戻るとしよう」

 

この場にオーディンも居ないのなら自分たちの勝利は揺ぎ無いと思っているのだろう。いっそ小馬鹿にしてるような笑みさえ浮かべているな

 

「そんな真似させねぇよ!いくぜ!昇格(プロモーション)『女王』!———禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!』

 

「ふっ、では俺もいくとするか―――禁手化(バランス・ブレイク)!!」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!』

 

地上最強と謳われた二天龍の鎧を纏った二人が空中に居るロキに突貫していく

 

「これは素晴らしい!!赤と白がこのロキを倒す為に共闘するなど神々の黄昏(ラグナロク)の前座としては極上だ!フェンリル!スレイプニル!暫しの間手を出すな、二天龍を味わってみたい!」

 

2匹に下がるよう言った後、笑いながら無数の魔法を撃ち放っていくロキに対してヴァーリは一先ず様子見なのか遠距離から魔力と数日で覚えたという北欧の魔法を織り交ぜて攻撃していき、イッセーは攻撃の半分はヴァーリに向いていて弾幕の薄い今の内に一気に接近戦に持ち込む

 

「アンタの障壁、物理に弱いんだってな!ただ殴るだけなら俺にだって出来るぜ!」

 

遂に直接手が届く位置まで潜り込んだイッセーの放った拳をロキは余裕を持って障壁で防ぐ

 

”ガキンッ!!”

 

「・・・へ?」

 

普通に障壁を破れると思っていたイッセーは拳が弾かれた事に気の抜けた声を漏らす

 

「この障壁は先日指摘された物理攻撃にのみ特化させた代物だ。もっとも、弱点と言われただけあって出来栄えは余り芳しくは無いが赤龍帝の拳を防ぐ程度は出来るようだな・・・これならばあの人間の方が強かったぞ?まだまだその力を使いこなしていないと見える」

 

「ッツ!!ああそうだよ!俺はまだ模擬戦で一度もイッキには勝ったことは無いけどな!俺の力を舐め過ぎだぜ神様よぉぉぉ!!」

 

そう言ってイッセーが再び拳を振り上げ右ストレートを放つ

 

ロキはそれをただの虚勢の一撃と思ったのか同じように障壁を展開する

 

『Divide!!』

 

イッセーの拳が障壁に当たった瞬間に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)からは本来在り得ないはずの音声が響き渡り、耐久値を半減させられた障壁をイッセーの拳が突き破りロキを殴り飛ばす

 

「がっはぁ!?何故貴様が白龍皇の力を扱えると云うのだ!?在り得ない!いや、仮にそれが在ると仮定しても、どれだけの代償を払うと思っているのだ!?」

 

ロキがイッセーの右腕が白く変わっているのを見て驚愕している

 

「ああ、今回は運が悪かったな。この力を発動させるのに14回不発させちまったから大体500年は寿命が縮まっちまったよ」

 

一発殴るために一瞬で寿命をそれだけ消費したと何でもないように語るイッセーをロキは得体の知れないモノを見るかのように見ている・・・まぁ一度発動すれば解くまでは効果は持続するし、何より失った寿命は割合簡単に補填できるという事情を知らなければ体に爆弾巻いて特効してくるテロリスト並みにイカれた奴と認識されても可笑しくないからな

 

だが、思わずイッセーを凝視してしまったロキの隙をヴァーリが攻撃しない理由は無い

 

「くくく!白龍皇の力を扱う赤龍帝など後にも先にも兵藤一誠のみだろうな。だが良いのか?余りに隙だらけだから、かなり大きい一撃を用意させてもらったよ」

 

ロキの頭上に巨大な魔法陣が展開されて光の柱と表現できる極太のレーザーのような魔法が放たれ、イッセーに意識が盗られて対処の遅れたロキがそのまま光の柱に飲み込まれる

 

降り注ぐ光が止んだ時に出てきたロキは着ている服はボロボロで深手は無いものの全身に軽傷を負った姿だった。大したダメージじゃ無いようにも見えるがロキの着ている服は神のモノだから色々と防御の術式が仕込んであっただろうし全身に負った怪我も相まって攻撃はかなり通りやすくなったはずだ

 

「白龍皇か・・・如何やら私に対抗する為に北欧の魔術を覚えてきたらしいな。まさか数日でここまでの魔法を使いこなすとは素晴らしい限りだ」

 

「お褒め頂き光栄と言っておこう。しかし、一々興味のある対象に意識を割きすぎるようではオーディンの事を悪し様に言う資格は無いと思うが?」

 

ヴァーリの言う通りだな。何と言うかロキは強いと云ってもスペックだよりな感じだ

 

レベルだけ強いけどプレイヤースキルが伴ってない操作キャラのような・・・だから今も上空からミョルニルを手に落下してきているイッセーに漸く気づいた所だしな

 

「な!?それはまさかミョルニルか!?」

 

巨大化させて振り回すのがやっとのイッセーでも落下の勢いを味方に付ければ細かい取り回しは関係無いと踏んだのかヴァーリとロキが話している間に真上に死角から回り込んだ打ち下ろす一撃だ

 

「いくぜ!ドライグ!!」

 

『Transfer!!』

 

増大させた力を流し込み、ミョルニルは一層巨大化する

 

「うぉぉぉぉぉ!!出ろ!神の雷ぃぃぃぃぃぃ!!」

 

天から降り注ぐ雷撃のようにミョルニルを持ったイッセーは一直線に落ちて・・・ハンマーでただ普通に地面を砕いて終わった

 

いや、爆音轟くスゲェ威力ではあるんだけど肝心の雷は出なかった

 

ハンマーもロキはギリギリ躱してたしな―――これで極大の神の雷が伴っていれば多少避けた所で関係なく当たっていただろうに

 

「はっ!?何で何も出ないんだよ!?」

 

「ふはははは!残念だがミョルニルは心の清い者にしか扱えん代物だ。小賢しくも赤龍帝の力で無理やり扱おうとしていたみたいだが、そもそも静電気ほどの雷も纏っていないミョルニルの力を引き上げた所で雷など出るはずが無かろう?」

 

ああ~、アスカロンは聖なるオーラがそのまま聖剣の力そのものみたいな感じだけど普段の状態から帯電してる訳でもないミョルニルはダメか

 

火の無い場所に油だけ注いだ感じ?———そら燃えないわな

 

「いやはや、確かに油断が過ぎたようだ。もしも貴様らの中にミョルニルを扱える者が居て、そのものがその槌を振るっていたら我は負けていたかも知れん―――フェンリル!そしてスレイプニルよ!狩りの時間だ。奴らを皆殺しにしろ!!」

 

”クオォォォォォォォォン!!”

 

”ヒヒィィィィィィィィン!!”

 

ロキの指令を受けて傍観していた2匹が此方に向かってくる―――イッセーとヴァーリがロキを普通に倒してくれたら良かったけどやはりそう上手くは事が運んだりはしないか

 

対して俺達も二手に分かれる

 

片方に黒歌とロスヴァイセさんでもう片方にイッセーとヴァーリ以外の全員だ。フェンリルとスレイプニルも戦力差から普通にフェンリルが此方側でスレイプニルが黒歌側に分かれてくれた

 

スレイプニルは黒歌の幻術とロスヴァイセさんの派手さ重視の魔法の連撃で注意を引きつける

 

「朱乃!」

 

「はい、部長!」

 

此方は朝になって昨日までよりかなり刺々しい雰囲気が収まっていた朱乃先輩が異空間に仕舞ってあったグレイプニルを展開してその鎖が意思を持ったようにフェンリルに群がっていく

 

「フハハハハ!無駄だ。グレイプニルの対策などとうの昔に施してあるわ!」

 

今度は二天龍から意識を逸らさずにロキが笑い声を上げるがダークエルフにより強化されたグレイプニルは問題なくフェンリルを拘束した

 

そしてロキが余計な事をしない内に俺はフェンリルに正面から突撃する

 

「また自慢の顎を蹴り飛ばしてやるぜ、フェンリルちゃんよぉ!!」

 

フェンリルは普通にこちらの言葉は理解できるから今の挑発で危険な色をした双眸が俺を射抜く

 

幾らグレイプニルで体の動きを拘束されているとは云え口にまで鎖が巻いてある訳じゃない

 

そうじゃないと牙で鎖が破壊されるかも知れないからな

 

だからそんなフェンリルに真正面から突貫すれば首と口以外動かないフェンリルは俺を噛み殺そうとする以外の選択肢は無いんだ

 

そして射程圏に入った俺をフェンリルが大きく開けた口をそのまま閉じようとした瞬間、俺とスレイプニルの位置が逆転した

 

”ガブゥウウウウ!!”

 

フェンリルの神をも砕く必殺の牙がスレイプニルの頑丈な体をも貫き、夥しい血液が流れる

 

フェンリルも自分が今噛んでいるのが味方だと気づいて慌てて牙を引き抜き放り投げた

 

一瞬で瀕死に陥ったスレイプニルを後衛組が手早く拘束してアーシアさんが致命傷だけは回復する―――アーシアさんとしては全回復させてあげたいだろうけど此処は我慢してもらう

 

「どうだフェンリル?兄弟の血の味は美味かったか?」

 

何にせよ上手くいったな

 

ロスヴァイセさんが俺が噛まれる一瞬前にスレイプニルと位置を交換する転移魔法を使う

 

魔力だと転移の際には相手にマーキングしないと転移出来ない

 

投降したはぐれ悪魔などを朱乃先輩が冥界に送る時もマーキングしてたし、レイナーレの時もグレモリーの魔法陣で転移する時はリアス部長が俺にマーキングを施してくれたからこそ一緒に転移できたからな

 

今回シトリー眷属の使った大規模転移も空間そのものに事前に仕込んであったからだ

 

だが魔法による転移は少し違う。勿論マーキングが在った方がやり易いみたいだが計算式である魔法は極論、座標計算さえしっかりしていれば問題なく転移出来る

 

俺には事前にマーキングを仕込んでもらい、逆に印を付けようとしてもオーラで弾いてしまうスレイプニルは黒歌の時間加速を使って一瞬で動き回るスレイプニルの居る座標そのものを計算式に組み込んで転移させて貰ったのだ

 

「スレイプニル!?貴様、身内殺しを誘発するなどそれでも血の通った人間か!?」

 

悪神の云うセリフじゃないな・・・と言うか別にこの程度なら悪魔でもやってる事だろうに

 

それとスレイプニルを勝手に殺してやるなよ。まだ生きてるって

 

「いいだろう!もはや出し惜しみは無しだ!出でよ!スコル、ハティ、ミドガルズオルムよ!」

 

ロキの左右と下の空間が歪み、左右からは小さめのフェンリルが現れてロキの下の地面からは10匹のこれまた小さめのミドガルズオルムが現れた

 

「スコルとハティは正真正銘フェンリルの子!スペックは落ちるが牙は健在だ!そしてミドガルズオルムのレプリカも用意したぞ・・・もっとも、怠け癖を無くして作成したらかなり弱くなってしまったがね―――怠惰である事が強さに繋がるとは我が息子ながらよく分からん」

 

「おいおいおいおい!フェンリルの子供に龍王のレプリカ!?暗殺とかって生ぬるいもんじゃ無ぇ!マジでコイツ戦争を仕掛けて来てやがる!」

 

一気に増えた敵側の戦力にイッセーを始め、全員が戦慄している

 

俺?まだグレイプニルで動けないフェンリルの背中に乗って只管仙術で少しでも気を乱しながら殴り続けてますが何か?折角マウント取れる状態なんだから攻撃しないとか嘘だろう

 

『きゃうん!きゃうぅぅぅぅぅん!!』

 

「人間貴様こっちを見ろぉぉぉ!!先ずは驚く所だろうがぁぁぁぁ!!」

 

ロキが叫びながらスコルとハティ、そして量産型ミドガルズオルムを嗾けて来る

 

「ふん!俺の前で龍王のレプリカを持ち出すとはけしからんな!お前たち!後ろのレプリカたちは俺が引き受けよう!直ぐにでも消し炭にしてくれるわ!!」

 

粗悪な贋作が気に入らないタンニーンさんが上空から回り込んで眼下に居るミドガルズオルムたちに向かって極大の火炎を吐き出す

 

量産型の一体に直撃して暫くもがき苦しんだ後で宣言通り消し炭になった

 

「もう一発!」

 

タンニーンさんが更に炎を吐き出すが、残り9匹のミドガルズオルムたちが一斉に炎を吐き出す事でタンニーンさんの炎を相殺してしまう

 

「猪口才な!群れねば戦えぬ龍王などと!!」

 

あの様子だとまだ殲滅までに少し掛かりそうだな

 

その間にスコルとハティが駆けて来る

 

初手にバラキエルさんが向かってくる2匹に対して極大の雷光を放つが当の2匹は軽やかにその攻撃を躱して距離を詰めて来た

 

「ぬぅ!迅いな!」

 

バラキエルさんが更に攻撃を加えようとした所で隣にサラマンダー・富田さんが並び立つ

 

「援護しよう!―――河童忍法!水乱波!!」

 

サラマンダー・富田さんが口から大量の水を大瀑布の如き勢いで広範囲に吐き出し、バラキエルさんの雷光が通電して逃げ場を失った2匹に襲い掛かる

 

おお、連携技か!凄いなサラマンダー・富田さん!!

 

「NINPOU!?サラマンダー・富田さん、まさか貴方伝説のNINJAだったの!?」

 

リアス部長が戦場という事も忘れる勢いで瞳を輝かせてサラマンダー・富田さんに問いかける

 

「ははは!リアス姫。残念ながら俺はまだ師に免許皆伝は貰っていないので自ら胸を張ってNINJAとは名乗れないんだよ・・・しかし、NINJAは居る。情報通の俺ですら偶然微かな手がかりを入手できたからこそ辿り着き、頼み込んで弟子にしてもらったのだよ!」

 

ええ~、現代日本にマジでまだ忍者が居るの?

 

そんな俺の思いを余所にそれぞれが反応を示していく

 

「知っている!知っているぞ!NINJAとは確か日本一強い戦士の称号だろう?」

 

ゼノヴィアよ、せめてそこは侍とかにしてくれないか?忍者は裏方が基本だから

 

「違うわゼノヴィア!NINJAは日本を陰から操った歴史の真の支配者の事よ!」

 

うん。裏方とは言ったけどそこまでの影響力は求めてないよイリナさん!もしかしてイリナさんって陰謀論とかが好きな人だったりする?

 

「NINJAさんは海外でも活躍されていると聞いた事があります・・・確か亀の甲羅を背負ったミュータントでしたっけ?まさにサラマンダー・富田さんの事なんですね!」

 

アーシアさんそれタートルズゥゥゥ!!いやでも確かに言われてみれば河童っぽいな!

 

教会トリオが間違った忍者知識をさらけ出している中、サラマンダー・富田さんは全身ずぶ濡れで雷撃を喰らい少しだけ怯んだスコルとハティの間を走り抜ける

 

「河童忍法!底なし沼!!」

 

水と地面を媒体にした忍術(妖術)で泥沼を生み出して2匹の足を止め、彼はそのままタンニーンさんのいる所まで跳躍した

 

「元龍王、特大のブレスを放ってくれ!俺が合わせる!」

 

「む?河童は水の妖怪のはず。先ほどの『水乱波』とやらでは俺の炎と相殺してしまうぞ?」

 

そうだよな。炎の龍王と水の河童は決してタッグを組むのに向いてはいないはずだ

 

「フッ!俺をただの水吐きトカゲと思って貰っちゃ困るぜ?『サラマンダー』の名が伊達や酔狂の類じゃないってことを魅せてやるさ!」

 

サラマンダー・富田さんのニヒルな笑いにタンニーンさんもまた笑みを返す

 

「面白い!足を引っ張るなよ!」

 

タンニーンさんが思いっきり息を吸い込み特大の炎を吐き出すと同時にサラマンダー・富田さんも口から水流を吐き出す

 

「河童忍法!蝦蟇油流弾!!」

 

吐き出されたのは液体ではあるものの大量の油だった。それがタンニーンさんの炎と混じり合い量産型ミドガルズオルムたちの居る場所を灼熱地獄へと変える・・・って云うかさっきからサラマンダー・富田さんのサポート力がヤバいんだけど!後『蝦蟇』ってカエルじゃん!水吐き『トカゲ』って言ってなかった!?

 

「アレがNINPOUを習ったサラマンダー・富田さんの実力なのね。冥界の戦力強化のためにも是非ともこの戦いが終わったら彼の師というNINJAを紹介してもらわなくてはいけないわね!」

 

「アレがNINJA。冥界では魔力も魔法も凌駕する超能力集団として伝っていましたが正直眉唾物だと思っていましたわ。私もKATONのJUTSUとやらを教えてもらうべきでしょうか?」

 

教会トリオに引き続き純血の悪魔の二人も思考が変な方向にぶっ飛んでいらっしゃる

 

レイヴェルも別に火遁の術なんて覚えなくてもフェニックスの炎は十分強力だよ!?

 

というか忍術って本来逃走用のちょっとした攪乱とか悪路走破とかが基本であって決して印を結んで大規模破壊をもたらすモノじゃないからね!?

 

ツッコミを入れていると量産型ミドガルズオルムを片付けて反転して此方に戻って来るタンニーンさんとサラマンダー・富田さんよりも早くぬかるみから脱出したスコルとハティが一直線に俺の居る場所に向かってきた

 

どっちがスコルでどっちがハティか知らないが片方の爪がフェンリルの背に居た俺に振るわれ、もう片方が牙でグレイプニルの拘束を外してしまった

 

・・・って!皆、忍者に注目し過ぎぃぃぃ!!結局フェンリル攻撃してたの俺だけじゃん!子フェンリルの動き見逃してたじゃん!!

 

皆もちょっとばつが悪そうに視線を逸らさないで!

 

「グルゥゥゥゥゥゥ・・・」

 

そんな中先程よりも圧倒的な殺意を湛えた重低音の唸り声が聞こえてきた

 

フェンリルの方を向くと同時に最大級に危機を感じてその場を跳び退くが胸から腹の辺りまでに深く3本の線が走った。良く見えなかったけど一瞬で近づいて来たフェンリルの爪の攻撃を受けたのだろう。殆ど勘頼りの回避だったけど圧倒的に格上のはずのフェンリルの攻撃を素の状態で避けれたのは気を乱して多少は動きが鈍っていたお陰かな?

 

痛覚の感度を下げておいたお陰で痛みに呻く前に支給されていたフェニックスの涙を取り出して怪我に掛ける事で失血も最小限で済んだはずだ

 

もっとも数の少ないフェニックスの涙は一人一つ持ってるだけ何だけどな

 

ロキの襲来があった日からレイヴェルも暇を見つけて実家に転移で戻って涙の作成を手伝ったみたいだけど追加分はシトリー眷属が持つ事になったし・・・あっちはディフェンスとは云えアーシアさんのような明確な回復要因が居ないからな―――別動隊が送り込まれる可能性も視野に入れるならシトリー眷属に回復アイテム無しとはいかないだろう・・・レイヴェルが居なかったらマジでそうなってたかも知れないけどな。コネクション万歳だ

 

子フェンリルの片方はヴァーリチームが受け持ち、もう片方の子フェンリルと親フェンリルは俺達全員との混戦状態に入った・・・んだけど

 

「何でこのフェンリルさっきから執拗に俺ばっかり追いかけて来るんだよぉぉぉ!!」

 

タンニーンさんの炎とか横合いから放たれても黒歌やロスヴァイセさんの魔力・魔法弾がぶつかっても意にも介さず只管に俺を狙ってくるんだけどこのワンワン!!

 

さっきからリミッター解除全開で避けに徹してるけど生きた心地がしない!

 

うわ!今牙が鼻先掠めた!タンニーンさんのブレスで僅かに横に逸れてなかったら噛まれてた!

 

まぁ最大戦力であるフェンリルが無理やり俺だけ狙ってるから手が空いた他の皆の攻撃もよく当たるから状況的には美味しいのかも知れないけど!(俺以外!)

 

何か俺キミに怒られるような事した!?ちょっと顎が外れるほど蹴り飛ばして、容姿にダメ出しして、兄だか弟だかのお馬さんを口の中に放り込んで、動けないのを良い事に鳴き喚こうと殴り続けただけだって!しかも苛めじゃなくてあくまでも戦闘行動だぞ?・・・・・うん。俺がフェンリルの立場なら一も二も無く殺すかも知れん

 

完全に敵視取っちゃったよ。少しヘイトを稼ぎ過ぎたかな?

 

だが幾ら何でも伝説の魔物の本気の攻撃を避け続ける事は出来なかったみたいで発動し続けていたリミッター解除技の頭痛で一瞬動きが鈍った所を狙われ、巨大な牙で噛み付かれてしまった

 

「ガッ!グゥゥゥ!!」

 

噛まれる瞬間、牙の喰い込む場所に合わせて一点集中防御を試みたけど殆ど体を貫通してしまった・・・まぁ牙って別に一本じゃないから複数個所に闘気を分散したんだけどこれなら何処か一か所に絞った方がダメージは少なかったかもな

 

「ぐぶ!がっはぁ!」

 

ヤバい、内臓が傷ついてるから盛大に血を吐いた!胴体を噛まれてるけど肉体の強度を全力で上げてなかったら次の瞬間には泣き別れる!

 

「イッキを放すにゃワン公!!」

 

「イッキ先輩!今助けます!!」

 

黒歌が火車を展開して小猫ちゃんもそれに続く

 

「私も援護しますわ!」

 

「犬畜生が調子に乗るな!!」

 

レイヴェルが炎の翼から炎の竜巻を叩きつけ、タンニーンさんがブレスを吐き出す

 

一応全部フェンリルの胴体に当たってるけど殆ど真横で燃え盛る炎の四重奏でマジで俺まで燃え尽きそうなんだけど!

 

しかし、それでもフェンリルは俺を放さない・・・というか炎の熱さに歯を食いしばってない!?胴体からミチミチ、ブチブチとか聞こえて来るからこのままだと直ぐに死ぬ!

 

「【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】!!」

 

「!!? ギャワン!!」

 

流石のフェンリルも予想しない場所からの胴体に複数の大穴が開く痛みには驚いたのか牙が外れて俺は地面に放り出される

 

折角フェンリルに大ダメージを与えたと云ってもすぐに傷を治さないと俺が死ぬからさっさと回復して貰わないといけない

 

放り出された先の一番近くに居たレイヴェルが空中で俺をキャッチしてくれる

 

「小猫さん!涙はまだ持っていますか!?」

 

後衛且つ不死のフェニックスという事でレイヴェル自身はフェニックスの涙を持っていなかったので同じく近くに居た小猫ちゃんに声を掛けるが小猫ちゃんは首を横に振る

 

「私の分はさっき使ってしまいました」

 

丁度そこでアーシアさんの遠距離回復が届くがチーム全体を絶えず回復していて回復役として一番離れた場所に居るアーシアさんの治療速度は余り芳しくない。それでも後10秒も在れば大方の傷が治りそうな所は流石の一言だがそれまでにどんどんと血が流れ出てしまう

 

「なら、私の分を使うにゃん!」

 

幻術で翻弄しながら遠距離攻撃が主体だった黒歌はまだ大きな怪我は受けてなかったので懐からフェニックスの涙を取り出して此方に駆け寄って来るがその前に俺と近くに居たレイヴェルと小猫ちゃんを覆う三角錐の結界が何重にも張り巡らされた

 

「フハハハハハ!!人間!やはり貴様が一番危険な存在のようだな!貴様だけはこの場で殺し、一時退却するとしよう!まだ腹に穴が開いたその状態のまま放置すれば人間の貴様はすぐに失血死だ!やはり脆弱な肉体こそが人間の弱点なのだよ!」

 

ロキの張った結界のせいでアーシアさんの治癒の力も此方に届かない!

 

当のロキは此方に強固な結界を張って力のリソースを割いているから二天龍の攻撃を受けやすくなっているみたいだが意地でも結界を解かないつもりのようだ

 

「イッキ先輩!ダメです!死んだら!!」

 

小猫ちゃんが仙術で少しでも失血を抑えようとしてくれるが未だに拳くらいの大きさの穴が開いているから効果が薄い。こと回復力に関してはアーシアさんが異常なのだ

 

小猫ちゃんと違って他者の回復手段を持たないレイヴェルはオロオロするばかりだ。己の無力さからか瞳からぽろぽろと涙が落ちて俺に掛かるが回復薬としてのフェニックスの涙は確かかなり複雑な儀式を必要とするはずだから俺の傷が治ったりはしない

 

あ・・・ヤバい・・・かなり意識が朦朧とし始めた。でもこのまま意識を落としたらなけなしの仙術の自己治癒の効果も無くなるから瞼を閉じたら次の瞬間には死んでしまう

 

とはいえ瞼を閉じて5秒後に死ぬか頑張って起きて1分後くらいに死ぬかだが諦めるなんて選択肢は無い!今の俺には黒歌たちが居るんだから生き足掻く理由はそれで十分だ!

 

すると霞んだ視界の中で此方を覗き込んでいたレイヴェルが決心したような顔に変わった

 

「小猫さん。そのまま治療を続けてください。イッキ様は私が治しますわ!」

 

そう言ってレイヴェルが俺の上半身を出来るだけ体に負担が掛からないようにゆっくりと抱き上げてそのまま声を掛けて来る

 

「イッキ様。これからする事は治療行為であると同時にかなり一方的な宣言になります。まだ出会ってから短いですがイッキ様となら問題ないと思うのです」

 

正直既に頭がボンヤリとしているがレイヴェルが意を決して息を深く吸うのが見えた

 

「イッキ様!!私をイッキ様のお嫁さんにして下さい!!」

 

「『え!?そこで逆プロポーズしちゃうの!?』」

 

皆の心が一つになってツッコミを入れる中、何故かいきなり戦場のど真ん中で愛を叫んだレイヴェルが口づけしてきた!

 

もう訳分からないよ!頭がちゃんと働いてなかったけど流石にこんな事されたら少しは意識が覚醒してくる。でも本当に何やってるの?レイヴェルさん!?

 

レイヴェルは顔を真っ赤にして服が血で汚れるのも構わず抱きしめて来る

 

緊張からか彼女の心臓がバクバク鳴ってるのが丸わかりだ!

 

そんな多分レイヴェル以外状況が掴めてない中で先程まで泣いていたレイヴェルの瞳から新たに涙が滴り落ちて俺の体に掛かると煙を上げながら瞬時に複数の穴が開いていた怪我が塞がって行った

 

キスしたまま目線を下に向けて怪我が治った事を確認したレイヴェルが口を離す

 

「・・・・・ええと・・・その・・・」

 

暫く顔を赤くしながら口ごもっていた彼女は一気に捲し立てるように理由を説明してきた

 

「イッキ様!イッキ様はフェニックスの涙がどのように製造されているかご存知ですか!?商品として作り出されるフェニックスの涙はあまり詳しくは言えませんが複雑な儀式を何重にも施したうえで自分の為でも誰かの為でも無い『無垢なる涙』を材料としていますの!しかし!しかしですよイッキ様!何事にも例外は在るのです!いえ、むしろ商品としての涙の方が例外に当たるのかも知れませんわね!我らフェニックス家の者の涙は『もっとも親しい者』への想いの籠った涙であればその相手に対してのみ癒しの力が働きますの。大体そういった『実例』が全くなかったのだとしたら最初にフェニックスの涙を作成した者はとんだ変人という事になってしまいますわ!」

 

いやまぁ確かにそうだね。何の情報も無しに自分の流した涙を本気で回復薬として研究した人が居るとしたらもはや変人通り越して狂人だよ

 

そして成程、あのお嫁さん発言とキスは感情を高ぶらせる為に必要な行為だった訳だ

 

それともう一つ。俺は別にそこまで鈍感ではないと思ってる。此処でもし鈍感系主人公とかだったら『俺の怪我の為に自己暗示をかけてまで俺を治療してくれたのか』とか思うのかも知れないが大して好きでもない相手を治療行為目的で『もっとも親しい者』認定とか出来ないだろう・・・最初にレイヴェルの涙が掛かった時には回復しなかったけど下地は十分在ったという事になる

 

でも俺には既に黒歌に小猫ちゃんに九重が居る訳だし・・・アレ?でも確か黒歌と付き合い始めた時に『増やすとしても後一人』って言ってたような・・・いやいやいや!何妥協点探ろうとしてるの俺!?落ち着け!クールになれ俺!働かない頭を何とか平静にしようと頑張っていると純情ガールのレイヴェルは初めてのキス&逆プロポーズで『こんらん』しているのか所謂グルグルお目眼になりながら更に捲し立てる

 

「イッキ様が黒歌さんと京都の婚約者が既に居るという事は存じております。ですが私は黒歌さんともまだお会いしたことはありませんが九尾の姫の方とも仲良くしていきたいですわ!どうかイッキ様が許されるなら私を第『3』婦人として・・・」

 

そこまで言った所で今まで静観・・・というか俺と同じく頭が付いて来ていなかったらしい小猫ちゃんが会話にも物理的にも割って入る

 

「ぽっと出が何を言うんですかこの焼き鳥娘!イッキ先輩の『3番目』は前から私の指定席何です!譲るつもりはありません!」

 

「貴女が『3番目』ですか?私は黒歌さんは恋人で九尾の姫が婚約者と窺ってますが小猫さんも正式にイッキ様と付き合っていますの?」

 

その問いに小猫ちゃんは胸を張って答える

 

「一緒に遊園地でデートしましたし、それにキスもしました!!」

 

「では告白は?将来を誓い合うような言葉は交わしましたの?」

 

レイヴェルの追及に小猫ちゃんは言葉が詰まる・・・そう言えば黒歌には『好き』と言ったけど小猫ちゃんには言ってなかった気がする。観覧車でのキスの後も嬉しかったと殆ど肯定の言葉は言ったけど多分今あの両者の間ではカウントされない項目だと勘が告げる

 

「おや?その様子では告白もまだですのね?なら、早い者勝ちという言葉もありますから私こそが『3番目』という事で宜しいのでしょうか?」

 

「勢いで告白した焼き鳥娘には言われたくない!そのまま燃え尽きてしまえばいい!デートもキスもカウントできない鳥頭に負けるつもりはない!」

 

「んま~、口の減らない猫又娘ですね!」

 

両者の背後に小鳥と小猫のシャドウが見える。ただし劇画タッチで無駄に迫力のある絵だけど!にしても二人とも本当に水と油だね!いや、それとも同族嫌悪か?だからこそ一度仲良くなればすんなりお互いのスペースに溶け込むのかも知れないな

 

二人が言い争っている中で俺達3人を取り囲んでいたロキの結界が消え去った

 

俺が回復してしまった以上は結界を張り続ける意味が無いと判断したのだろう

 

「ちぃ!あのまま大人しく死んでおれば良いものを、何処までもしぶとい人間め!しかし貴様が回復したらフェンリルの傷も癒えたな。恐らく傷を共有する呪いの類か?相手の足を引っ張るだけの実に意地汚い能力だな!」

 

そりゃあ元々足止めとしては中々優秀とされている能力だからな。でもロキの言ったようにフェンリルの傷も治ってしまった(噛み傷限定)———俺はもう失血で体に力が入らないし、どうするべきかと思っていると起き上がったフェンリルも足をもつれさせた

 

そうか!さっきまで俺と同じくダバダバと血を流していた上に今までの皆の攻撃のダメージが蓄積されて足にきたんだな!

 

・・・俺よりボロボロのはずなのにフラフラしてるだけでまだ戦えそうって所には生物としてのスペックの差を感じる所だけどな

 

此方の様子を見たヴァーリが好機ととったのか反転して覇の呪文を唱えながら突撃してきた

 

「我、目覚めるは 覇の理に全てを奪われし二天龍なり 無限を妬み、夢幻を想う 我、白き龍の覇道を極め 汝を無垢の極限へと誘おう!覇龍(ジャガーノート・ドライブ)!!」

 

会談の時にも見た小型ドラゴンの姿となって暴力的なオーラを周囲にまき散らすヴァーリがフェンリルを背中から押し潰し地面に叩きつけて拘束する

 

「サラマンダー・富田!俺とフェンリルを予定の場所に転移させろ!」

 

「やれやれ、俺は運び屋って訳じゃないんだがな―――河童忍法!通り抜け忍び池!!」

 

フェンリルとヴァーリの足元に出現した水たまりがその水面に此処ではないどこか別の場所を映し出し"チャポン!"という音と共に池に沈んで姿を消した

 

「ヴァーリ!あいつ勝手な真似を!!」

 

イッセーが憤ってるがずば抜けて強いフェンリルが居なくなるのは正直助かる

 

あのままだったらもう一度フェンリルに襲われていたかも知れないしな

 

「おのれ白龍皇!ここまでされて何もしないまま引き下がれるか!」

 

ロキが叫ぶと上空高く舞い上がり戦場全てを包み込む大きさの魔法陣を展開した

 

さっきまでは二天龍を相手取っていたから大技が出せなかったのだろうがヴァーリが居ない今なら使えると踏んだみたいでイッセーに殴られつつも術式を完成させる

 

「スコル!そしてハティよ!この際誰でも構わん!隙を見せた奴から喰らっていけ!」

 

天空魔法陣から様々な属性の魔法が雨あられと降り注いでくる。一発一発の威力は程々だけど攻撃が終わる気配がしない。攻撃範囲と持続性に焦点を当てた魔法なのだろう

 

皆が上空に対して防御壁を展開して身動きが取れない中でスコルとハティは魔法の雨の中を多少の被弾を無視して動き回る

 

この状況でまともに動けるのは黒歌とタンニーンさんとバラキエルさんとヴァーリチームくらいだ。黒歌は消耗してしまって動けない俺を守るために小猫ちゃんとレイヴェルを含めて結界を張ってくれている

 

子フェンリルの片方はヴァーリチームが対処してるみたいだ

 

アーサーが手にした聖剣を上空を切り裂くように振るうと空間がぱっくりと割れて魔法の雨はその穴に吸い込まれていき、一時的な安全地帯でサラマンダー・富田さんが子フェンリルの足元をぬかるみに変えて足を止める

 

「聖王剣コールブランドは空間をも切り裂きます。ですから少し応用すればこんな事も」

 

アーサーが聖剣を地面に突き刺すと子フェンリルの腹の下あたりに剣先が突き出してきた

 

そしてそのまま地面を斬ると上空に広がってる空間の穴と同じ種類の穴が開く

 

”ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!”

 

恐らく上空の空間の穴と繋げたのだろう。吸い込まれた魔法が地面の下から子フェンリルの腹を滅多打ちにする。いくら威力が低めと云っても無防備な腹に連続でジャブをくらい続けるのは少しずつ痛みがひどくなっていくことだろう

 

下からの突き上げをくらっている所に如意棒を巨大化させた美猴が上から叩き付けまくる

 

上下の衝撃に挟まれた子フェンリルは苦しそうだ

 

「ではまず視界を奪っていきましょうか」

 

アーサーが聖剣を横に一閃して両目を潰す

 

「狼ですからね。お次はよく利きそうなその鼻も」

 

今度は縦に一閃して鼻を切り裂く

 

「最後に危険なその牙も・・・神殺しの牙が頑丈だと云うのであれば根本を絶ちましょう」

 

アーサーはそう言って牙の根本の歯茎の辺りを聖剣で空間ごと一本一本削っていく

 

うわ!実際見ると超痛そう!

 

「・・・エゲツないです」

 

「流石はイッキ様と同じ人間ですわね」

 

レイヴェルさん?そのセリフは如何いう意味ですか?

 

ともあれ片方の子フェンリルは問題ないとしてもう片方はと云えばタンニーンさんやバラキエルさんのブレスや雷光を無視して動いている・・・既にかなりのダメージを蓄積させているはずだがロキの『誰でも良いから倒せ』という指示を実行するのにその二人を相手取るのは非効率だと思ったのだろう

 

そして二人の攻撃を振り切った先で一番近くに居た未だに降り注ぐ魔法を防ぐのに手いっぱいで身動きの取れない朱乃先輩に目を付けた

 

「え!?きゃあああああ!!」

 

あわや朱乃先輩が噛み付かれる寸前に娘の危機にいち早く反応したバラキエルさんが間に入って神殺しの牙をその身で受ける

 

「引っ込んでろこの犬っころ!!」

 

直後に追いついたイッセーが子フェンリルを殴り飛ばしてバラキエルさんから牙が外れ、すかさずゼノヴィア、祐斗、イリナさんの教会出身組に守られていたアーシアさんの癒しの光がバラキエルさんの傷を治していく

 

「な・・・何で・・・」

 

「・・・お前まで・・・失う訳にはいかない」

 

泣きそうになっている朱乃先輩にイッセーが近づくと突然"ビシィッ!!"と朱乃先輩に指を突きつけるイッセー。此処からじゃよく見えないけど多分正確には朱乃先輩の胸を指してるんだろうな

 

「お前・・・何者だ!?」

 

突然好きな男の子にそんな事を言われた朱乃先輩は困惑した表情だ

 

そんな中で暫く固まっていたイッセーだがイッセーが殴り飛ばした子フェンリルが他の者を襲わないように肉弾戦で立ちまわっていたタンニーンさんに声を掛ける

 

「お・・・おっさん!大変だ!」

 

「何だ兵藤一誠!何が起きたと云うのだ!?」

 

「乳神様って何処の神話体系の神様だ!?」

 

イッセーの場違いの叫びに皆の動きが止まる・・・あ、ロキの魔法の雨も止んだ

 

そっかー、やっぱり乳神チャンネル受信したか・・・いやでも待てよ?もしも此処で異世界の事が露呈しなかったら英雄派を片付けたらそこで物語ほぼ終了じゃね?良し!何とか気を逸らさねば!

 

そしてタンニーンさんが何かを叫ぶ前になけなしの体力を振り絞ってタンニーンさんの代わりに俺がイッセーの疑問に答える

 

「イッセー!乳神様は日本神話の神様だぞ!!」

 

嘘ではない。前にちょっと魔が差して調べたのだが北海道に社を持つ神様だそうだ

 

「なにぃぃぃぃ!!?日本にはそんな素敵な神様が居たのか!?」

 

「そうだ!お前もおっぱいドラゴンだって言うんだったらもうちょっと造詣を深めろ!お前は熱意ばかりが先行し過ぎて視野が狭い所がある!!」

 

房中術を知らなかった所とかがそれにあたる事柄だろう・・・学校とかじゃこういうエロネタ系は喋らないけどこの場に居る女性陣は基本エロに寛容だから別に構わないよね?

 

いや、俺を両側から支えてくれてる小猫ちゃんとレイヴェルは鋭い目つき何だけど・・・

 

「ああイッキ、やっぱりお前は最高の親友だよ。普段はエロトークに参加しないけど時折誰よりも深い、本質を突くような意見を言ってくれるよな!」

 

そんな風に思われてたのか俺・・・全然嬉しくねぇ

 

だがこのまま乳神=日本神話という図式を成り立たせてしまえば良いと思っていると朱乃先輩のおっぱいから直接声が響いて来た

 

≪ち・・・違います!私は乳神様に使える精霊!そして乳神さまは此処ではない異世k≫

 

「イッセー!!日本の神様たる乳神の加護を得ようとはやはりお前も悪魔に転生したと云っても日本人なんだよな!これからは日本の神々をもっと敬うようにしろよ!」

 

異世界とか言わせねぇよ!って云うか乳語翻訳(パイリンガル)じゃないと声が聞こえないんじゃなかったっけ?朱乃先輩のおっぱいを全体通信にするようにチャンネル合わせて来やがったのか!

 

≪だから違います!私の主の乳神は異世k≫

 

「ああ、俺悪魔だけど頭痛に悩まされても日本の乳神様に祈りを捧げてもいいかなって・・・」

 

『≪異・世・界・の!乳神様ですよぉぉぉぉぉ!!≫』

 

朱乃先輩のおっぱいだけでなく、その場にいた全女性陣のおっぱいから叫び声が聞こえてきた

 

コイツ!この場に存在する全てのおっぱい(スピーカー)をジャックしやがった!!

 

≪ハァ・・・ハァ・・・良いですかおっぱいドラゴン?貴方がこの娘のおっぱいを救った時、乳神様は貴方に加護を授けてくれるでしょう≫

 

そうして恐らくイッセーと朱乃先輩とバラキエルさんに乳の精霊の4人にしか分からない遣り取りの後で朱乃先輩がバラキエルさんに縋りつくように泣き始めてバラキエルさんはそんな朱乃先輩の頭を優しくなでる

 

”ゴアァァァァァァァァァァァァァァァ!!”

 

突如としてイッセーから極大のオーラが吹き渡り、ミョルニルが神々しい光を放ち始める

 

これが乳神の加護か、凄まじいな!ミョルニルとかもはや要らないんじゃね?

 

≪おっぱいドラゴンよ貴方はこの娘のおっぱいを救いました。それが乳神様の加護の力です・・・それにしても凄いですね。乳神様の話では今、この世界では乳力(ニューパワー)が加速度的に増えつつあると言っていましたがコレほどとは・・・世界を隔てた上でも乳神様の力も徐々に増していってますし、邪神たちを打倒する日は遠くないのかも知れません≫

 

え!?マジで!?ピー(チチ)の齎したおっぱい革命期(レボリューション)は異世界の戦局すらも変えつつある訳!?

 

「予想外の事が起こり過ぎたな。それに赤龍帝の身に纏うオーラは危険だ。此処は大人しく引くとしよう。しかし!必ず再びお前たちを滅ぼしに現れるぞ!」

 

遂に諦めたのか捨て台詞を残して立ち去ろうとするロキを囲うように漆黒の炎が吹き荒れた

 

「ぐ!何だこの黒い炎は!?纏わり付いてくるだと!?」

 

よく見れば子フェンリルも炎に囲まれているようだ

 

そして空中から巨大な東洋型の龍が落っこちてきた

 

「あれは!?ヴリトラだと!復活したと言うのか!?」

 

同じ龍王のタンニーンさんが正体を看破して驚いている

 

それからヴリトラに変身したサジがロキと子フェンリルを相手を弱らせる効果も在るという炎で拘束して皆の一斉攻撃が降り注ぐ

 

「ロキィィィィィ!!」

 

黄金に光輝くミョルニルを手にしたイッセーがロキに突貫し、ロキは迎撃の魔術を放つが加護を受けたイッセーは無傷で弾幕を突き進んでいく

 

「くぅ!よし!邪炎が外れたな!さらばだ!」

 

イッセーから距離を取りつつ転移魔法を展開させようとするロキに極大の雷光が降り注ぐ

 

朱乃先輩とバラキエルさんの親子の雷光だがロキは寸でで転移魔法を構築している手とは反対側の手で結界を張り、防御した

 

「ふははは!油断はしないぞ!今回の戦いではそれを学ばせてもらった!」

 

ああ、そうかい!でも油断は無くとも隙は出来るもんだ!例えば間近で落雷なんてあれば視覚も聴覚も普通には働かないだろう

 

”ガギンッ!!”

 

ロキの展開していた雷光を防ぐ魔法陣に右歯噛咬(ザリチェ)が突き刺さる

 

小猫ちゃんに回復して貰った分も合わせて【一刀羅刹】で渾身の一投を中てたのだ―――もっとも殆ど体力が残ってない状態での【一刀羅刹】だから強化率も大したことはないが、だからこそ内側から破裂するようなことも無い・・・と言うか本来の【一刀羅刹】分も血を流したら死ぬ

 

僅かに障壁に突き刺さった程度だがそこから雷光が通電して直ぐ近くのロキに伝播する

 

「があぁぁぁぁ!?」

 

感電したロキが一瞬動きを止め、さらにサジの邪炎が復活する。そしてその隙にイッセーがロキをミョルニルの射程圏に収めた

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇ!俺式ミョルニルゥゥゥ!!」

 

視界の全てを真っ白に塗りつぶす雷撃が降り注いで光が収まった時、殆ど裸族みたいな身なりで全身火傷を負ったロキが煙を上げながら倒れていた

 

子フェンリルたちもほぼ同時に倒されたみたいだ・・・しかし異世界の事は結局バレちゃったけどそれは仕方がないと割り切ろう

 

ヴァーリチームは既に居なくなってるし、動ける者は戦後処理をして動けない者はアーシアさんや小猫ちゃんが治療に回っている

 

俺は黒歌が仙術で体力を回復してくれているけどそもそもとして血が足りてないから効果が薄いと云うか一定以上回復しない感じだ

 

「なぁギャスパー・・・今の俺血に飢えてるんだけど輸血パックとか持ってない?」

 

修復作業で偶々近くに居たギャスパーに声を掛ける

 

「ひぃぃぃぃん!!なんかイッキ先輩が吸血鬼の僕よりも吸血鬼らしい事言ってますぅぅぅ!!ぼ・・・僕は持ってません!血生臭いの嫌いなので戦闘用にイッセー先輩の血をちょっと持ってるだけ何ですぅぅぅ!!ダメなヴァンパイアで御免なさいぃぃぃ!!」

 

うん。知ってた。ちょっと揶揄っただけ何だけどいい反応してくれるよな

 

するとイッセーがバラキエルさんに肩を貸して此方に運んできた―――バラキエルさんも大量に失血してたからこちらで休息となったのだろう。フラフラとした足取りのサジも一緒に休息組らしい。龍王形態のお陰で魔力が欠片も残ってないみたいだ

 

「乳、いや、兵藤一誠」

 

バラキエルさんがイッセーに語り掛ける

 

「キミは娘の事が好きなのか?」

 

「はい、大好きですよ!」

 

イッセーが笑顔で答えるとバラキエルさんは小さく笑った

 

「そうか」

 

「それと俺、乳何て食べませんよ?」

 

「・・・そうか、当然だな」

 

共通の話題があったのか変な遣り取りをして今度は二人して苦笑する中、皆の怪我を一通り治し終わったアーシアさんが箱を持って此方に駆け寄ってきた

 

「怪我の治療で私にできる事は終わりました。私はこれから戦場を修復しに行きますがイッセーさんは先に此方を召し上がってください。先ほど転移で届きましたから」

 

にっこり笑うアーシアさんは箱を開けると六つのおっぱい(ピー(チチ))が入っていた

 

それを見たイッセーとバラキエルさんは"ピシリ"と固まる

 

白龍皇の力を発動するのに500年分の寿命を削ったからな

 

一応万が一を考えて失った寿命分+ピー(チチ)一個食べる決りになってるからな

 

「・・・・・兵藤一誠・・・キミはやはり乳を食べるのだな!娘の胸も果実のように齧り付くつもりだろう!?ぬぅぅぅん!やはり許せん!おっぱいドラゴンめぇぇぇ!!」

 

そうしてイッセーとバラキエルさんだけ第二ラウンドを開始していたが助けに入る人は誰も居なかったのであった

 

 

 

 

 

[Boss side]

 

 

≪通信報告ですまないなアザゼル。今回も身内が世話になったようだ≫

 

≪気にするなよサーゼクス。第一俺は決戦の場には居なかったんだしな。現場に居たあいつらが一丸となって勝ち取った勝利だよ≫

 

≪ロキはイッセー君が止めを刺したと聞いたが・・・≫

 

≪ああ、だが今回の一件はイベント盛りだくさんだったぜ?異世界の乳神って何だよって話だし―――そうそう!あのフェニックス家のお嬢さんは戦場で逆プロポーズしたらしいじゃねぇか≫

 

≪イッキ君との結婚なら私は賛成だよ。———彼が人間という事で文句を言う輩は多いと思うが、幸いフェニックス家は悪魔には珍しく子供が多いからね。決定的な問題にはならないさ・・・資料を見る限りでも今回の戦いで一番活躍したのは彼ではないのかね?≫

 

≪そうだな。インパクトはロキに止めを刺したイッセーの方が上に見えるがMVPが誰かと云えばイッキだろう。あいつが居なかったら何人か死んでたかもしれん。———つってもいつもながら酷い内容だけどな。スレイプニルをフェンリルに喰わせるとか最初に聞いた時はそんな事を平然と提案するアイツに内心戦慄したぜ?あいつマジでガキかよってな。仲間の攻撃で倒すとか情愛の深いグレモリー眷属には急所を抉るような作戦だぜ。良かったな、アイツが敵じゃなくて≫

 

≪初めて彼に出会った時も言ったのだが、イッキ君がリアスたちの友というのは本当に心強いよ。しかし、いつの時代も我々がもっとも恐れるべきなのは人間なのかも知れないな≫

 

≪英雄派の奴らか・・・アイツらも大概だよな。自分たちのテロリストという立場を最大限活用して下種な実験を繰り返してやがる。あ~、やだやだ。何か逆に明るいニュースとかは無いのか?≫

 

≪そうだな。幸か不幸か連日のテロの影響でリアスの眷属の功績が溜まっている。近いうちにイッセー君。祐斗君。朱乃君。小猫君は中級悪魔に昇格するかも知れない≫

 

≪そっか。良いんじゃねぇか?上級悪魔ともなれば一気に権限と同時にやるべき事も増えるが、中級までならイッセーでも詰め込めば何とかなるだろう・・・だが、このままだと直ぐに上級悪魔って事になっちまうぜ?≫

 

≪うむ。出来れば上級悪魔には最低でも5年ほどは時間を掛けたいが実際はもっと早くなるだろう。中級昇格の話が固まったら上級悪魔としての在り方を考えるように伝えなくてはな≫

 

≪そっか・・・まっ、いい話が聞けたよ。またなサーゼクス≫

 

≪ああ、それでは失礼するよアザゼル≫

 

 

[Boss side out]

 

 

 

 

 

後日、俺の部屋でロキとの戦いが在った日は流石に俺がグロッキーだったので後回しにされていた問題に直面していた

 

今、この部屋に居るのは俺と黒歌、小猫ちゃんとレイヴェル、後九重に通信を繋いだイヅナだ

 

今回は音声通信ではなく立体映像も含めたものとなっている・・・九重の映像の後ろにチラチラと見覚えのある狐耳が見える気がするが恐らく気のせいだろう

 

今一瞬目が合って凄く楽しそうに見えたのもきっと気のせいだ

 

そんな中で黒歌が最初に口を開く

 

「私はイッキにあと一人くらい恋人が増えても良いって前にも言ったし、その娘が大して表裏が無い性格だってのもここ数日で理解してるから特に反対する理由はないにゃん。後はイッキの気持ち次第かしら?」

 

≪私はまだレイヴェル殿を評価できるほど知ってはおらんからの。黒歌殿の言う通りイッキの気持ちが大事ではないかの?だがイッキがモテるのは仕方がないとは思うがやはりこれ以上増やして欲しくは無いの。数が増えればどうしても一人一人の時間が減っていまうからの・・・レイヴェル殿を受け入れると云うのであれば同時にこれで最後として欲しいのじゃ!≫

 

黒歌と九重は肯定的な意見だ。隣に居るレイヴェルが凄く期待の籠った眼差しを此方に向けて来るが小猫ちゃんは不機嫌顔だ

 

「一つだけ条件が在ります―――『3番目』の座は譲りません!」

 

小猫ちゃんが条件を突きつけるが元々後発と思っていたのかレイヴェルはその条件はアッサリと飲んだ。まぁ無理難題っていう訳でも無いからな

 

「あら、そう言う事なら宜しいですわよ。元々こういう場合は正妻や他の妻の方々を立てなさいと教わっていますし・・・ですが、やはり最後に決めるのはイッキ様ですわ。望まぬ結婚を押し付ける気などありませんもの。答えをお聞かせ願えますか?」

 

真っ直ぐと此方を見つめるレイヴェルだけどよく見れば微かに体が震えている

 

此処で俺に断られたらという考えが頭を過ぎっているのだろう

 

確かにまだ出会ってから日は浅いけどそんな事を言えば九重なんて出会って五分で婚約者だ

 

逆に俺から断る理由はと云えば正直何も思いつかない―――あえて言うなら俺の覚悟か、一途で健気で献身的で可愛い自分を慕ってくれる女の子を幸せにする為に生きられますか?という問いだ

 

普通こういうのはお嫁さん同士の不和とかがネックになるんだろうけど、全員が肯定してくれるんなら男として覚悟を決めないと嘘だろう!

 

「レイヴェル。これから先、俺と一緒に歩んでくれるか?」

 

本当ならストレートに『妻になってくれ!』くらい言えたらカッコよかったのかも知れないがまだ黒歌たちにその手のストレート発言をしていない今だとこれ位が丁度いいはずだ

 

それでも十分過ぎるほど臭いセリフに今更ながら恥ずかしさが込みあがって来る

 

「はい!不束者ですが宜しくお願い致しますわ!イッキ様!」

 

まぁこの笑顔が見られたんだから良しとしよう

 

 

 

 

 

次の日の放課後、オーディンに日本に置いて行かれたロスヴァイセさんがリアス部長の『戦車』になったと紹介された。イッセーの家でグレモリー眷属転生のパンフレットを元にロスヴァイセさんを説得するリアス部長は完全に保険屋のお姉さんだったとイッセーは語った




はい、今話でレイヴェルが正式にヒロインしましたね。出遅れている分インパクトを大事にしたつもりですw

ロキをイッセーとイッキのどっちが倒すか迷ったんですが異世界ネタを盛り込む為には乳神召喚してもらわないといけないので今回はイッセーに倒してもらいましたw

決戦まるまる盛り込んで書いたのでサラマンダー・富田のNINPOUとかイッキの外道プレイとか逆プロポーズとかピーチチの影響力とかアザゼルも言っていたようにネタの宝庫でしたねww

次回はレイヴェル繋がりでライザーもそろそろ復活させたいですがドラゴンの山で修業という訳にもいかないのでどうしましょうか?兎に角番外編にはなる予定ですww

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