転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第三話 英雄派、現れます!

修学旅行三日目。今日はホテルを出てからすぐに観光地に行かずに京都駅の前に居た

 

「なぁ、イッセー、イッキ。待ち合わせしてるって一体誰が来るんだ?・・・ハ!?中学の時は黒歌さんが居たよな!?まさか今回も彼女が一緒に京都を巡ってくれるのか!?」

 

「マ・ジ・か!松田よ。黒歌さんに出会ったら是非とも『妹さんを僕に下s「フンッ!」」

 

変な事を口走ろうとした元浜を地面に沈める―――誰がテメェに白音をやるか!

 

そうして大体何時もの通りに戯れてると九重がやって来た

 

「私が最後か、待たせてしまったかの?」

 

「いや、俺達も今来た所だよ。それに待ち合わせ時間まではまだ少し在るし、問題無いさ」

 

普段の狐の耳と尻尾は隠してよく着ている巫女服だ―――昨日の似非陰陽師の五芒星とは違い、ちゃんと着ている人物の守護の効果の在る五芒星を始めとした術式が盛り込まれている逸品だ

 

「悪いな。大変な時にさ」

 

「何の、元々お主らの家に遊びに行った時に観光案内を申し出たのは私じゃ。約束を反故にしては後で母上に叱られてしまうからの」

 

俺とイッセーがそれぞれ話していると九重こそが待ち人だったと知った3人が近寄って来る

 

「何だお前ら、京都でこんなちっこい子ナンパしたのか?」

 

「おお!小猫ちゃん・・・いや、今は白音ちゃんだったか。ともあれ勝るとも劣らないレベルの美少女!将来が楽しみ・・・ハァハァ、いや、むしろ今の段階で―――ゴフゥッ!!?」

 

地に沈めたはずがロリコン魂で復活してきた元浜を再度大地と接吻させていると桐生さんが辛抱堪らんとばかりに九重に抱き着いた

 

「うわぁぁぁ!何この子可愛いぃぃぃ!!兵藤・・・いえ、京都の知り合いって事は有間君の知り合いかしら?紹介してよ」

 

抱き着いたまま頬をスリスリさせる桐生さんだが流石に九重も過剰なスキンシップに引き気味だ

 

「は・・・離せ!馴れ馴れしいぞ小娘め!」

 

「ん~!お姫様口調で粋がる何てキャラも完璧じゃないのぉ!」

 

変な所に感動したのか更に暴走しかける桐生さんを取り敢えず引き離す

 

「この子は九重。お察しの通り俺の知り合いだな。一応前に一度駒王町にも来てオカルト研究部のメンバーとも顔見知りだ―――それと九重は京都の古き良き名家のお姫様だからあんまり過激な事はしないようにな」

 

「お姫様って・・・ガチ?」

 

「ガチだ」

 

桐生さんの質問に速攻で答えると詰め寄られて手を取られた

 

「有間君・・・有難う!貴方が友達で良かったわ!」

 

何か有り難られた。彼女には本物のお姫様という情報はむしろ興奮を煽るものだったらしい・・・失敗したかな?

 

そして桐生さんは兎も角、元浜(ロリコン)と九重の間をさり気にブロックする形で歩きながら駅で嵐山方面に赴き、そこから更に天龍寺へと向かう

 

世界遺産の庭園を見たり天龍寺の代名詞ともいえる天井一杯に描かれた龍の絵などを九重が解説を入れながら案内してくれた

 

「ほぁぁぁ!細長い東洋のドラゴンだな。ヴリトラやミドガルズオルムもこのタイプだったっけ」

 

『そうだな。タンニーンも含めた六大龍王では後は『玉龍(ウーロン)』もこのタイプだ』

 

そう言えば六大龍王って丁度西洋タイプと東洋タイプが半々何だな・・・今は五大龍王だけど

 

それから竹林や人力車など古都を満喫出来るコースを回り、昼食に九重オススメの湯豆腐屋で腹ごしらえをする・・・湯豆腐だけだと物足りないかも知れないが観光ついでの食べ歩きも視野に入れるならあんまり腹いっぱいにはしない方が良いだろう

 

すると隣の席にアザゼル先生とロスヴァイセ先生がやって来た

 

「お!奇遇だな。お前らも此処で飯か?」

 

そう言いながら席に座り湯豆腐や天ぷら、油揚げと日本酒などを頼んでいく先生

 

「貴方も何を頼んでいるのですか!?生徒の見ている横で教師が堂々と昼間からお酒を注文する何てそれでも教育者ですか!?」

 

「固い事言うなよ。適度な息抜きってのは必要だぜ?何だったらお前も如何だ?嵐山方面を調査して気が張ってるだろう。酒の力でリラックスだ」

 

教師としてはダメダメな理論を展開している内に先に日本酒だけが届いたのでアザゼル先生は「来た来た♪」と酒を杯に注いでいくがロスヴァイセ先生もそれを阻止しようとしている

 

「ダメです!もういっそ貴方が飲むくらいなら私が飲みます!!」

 

遂に強引にアザゼル先生から酒を奪い取ったロスヴァイセ先生の手から今度は俺が酒を奪い取る

 

「いや、ロスヴァイセ先生も飲んだらダメでしょう。後、先生って確か19歳でしたよね?北欧(裏)じゃどうだったか知りませんが日本じゃお酒は成人してからですよ・・・という訳でこのお酒は俺が頂きますね」

 

別にお酒が好きという訳でも無いがロスヴァイセ先生が飲むよりはマシだろう

 

「いやいや、待て待て!何でイッキが成人してる事になってるんだよ!?お前だって17だろ!?先生よりも若いからアウトだって!」

 

「イッセー。妖怪の世界では13歳で成人扱いだから多分大丈夫だ!」

 

「なんの根拠にもなってねぇぇぇぇ!!」

 

俺が適当ほざいているとイッセーのツッコミが響き渡る中イリナさんが九重に質問している

 

「(ねぇねぇ九重ちゃん。妖怪が13歳で成人扱いって本当?)」

 

「(昔はそういう風習も在ったそうじゃが今は違うぞ?人間の世界でも昔は元服などで15辺りで成人だったのと同じじゃ)」

 

九重もそういう事律儀に答えなくてもイイから!

 

「何で妖怪何だ?」

 

「さぁ?分からん」

 

松田と元浜が疑問に思ってる中、再びロスヴァイセ先生がコッソリと魔法を使ってまでお酒を奪い取り有無を言わさず強引に一気飲みしてしまった

 

あ~、ダメだったか。杯を呷ったロスヴァイセ先生の瞳が一瞬で"デロン"としたものに変わる

 

「だいたいれふね。わたしはもうおさけのめるんれふよ。まえのしょくばではオーディンのくそじじいにつきあっておさけをのむのなんれひょっちゅうでしたからね。アザゼルふぇんふぇいもそうですが有間くんもときどきふざけすぎなんれふよ!有間くんはふだんはちゃんとしれるんれすからさいごまでマジメにするべきなんれふ!アザゼルふぇんふぇいはおふざけがおおふります!まるでオーディンのじじいみたいじゃないれふか!そうれふよ!あのじじいにつきあってたらかれしなんてできるわけないじゃないれふかぁぁぁ!うあぁぁぁぁぁぁん!!」

 

泣き出してしまったロスヴァイセ先生の姿に皆が引きながらもアザゼル先生に後を託してその場を去る事となった

 

「・・・お酒の力とは恐ろしいものじゃな。母上がお酒を飲んでもああは為らぬぞ。『酒癖が悪い』とは正にああいう事を指しているのじゃな」

 

ロスヴァイセ先生が九重の教育に一役買っている中、渡月橋に辿り着いた

 

「ねぇ知ってる?この橋って渡り切るまでは後ろを振り向いたらいけないらしいよ?何でも今まで授かった知恵が全部消えちゃうんだって・・・エロ馬鹿三人組は特に振り返ったら終わりね。性欲だけが残った害獣にしかならないわ―――ああ、後振り返ったら男女が別れるって話も・・・」

 

桐生さんがそこまで言った所でアーシアさんがイッセーの腕に抱き着く

 

「絶対に振り返りません!イッセーさんも振り返っちゃダメですよ!」

 

「気にせんでも良いと思うのじゃがの。知恵は兎も角、男女の話は噂程度の話なのじゃから」

 

「そう言いつつ裾を握りしめて来るのは何で?」

 

「・・・今までは気にして無かったが、相手が居るとやはり気になるものなのじゃ」

 

そういうものかね?取り敢えずは俺も振り返らないでおこう

 

そして橋の中間辺りまで歩いた時、一瞬で周囲一帯に霧が発生して"ぬるっ"とした違和感が俺達を包み込んだ

 

「この感覚はまさか!?」

 

「ああ、今のは私にも分かったぞ。ディオドラ・アスタロトの時にアーシアを捕らえていたあの装置から発していたのと同じ感覚だ!」

 

イッセーとゼノヴィアを筆頭に皆が臨戦態勢になって周囲の様子を窺っていると高速で接近する二つの見知った気配が在った

 

「お前ら、無事か!」

 

「皆!大丈夫!?この霧は絶霧(ディメンション・ロスト)の霧だね」

 

アザゼル先生が堕天使の翼を広げて空から、祐斗が建物の屋根を跳び越えながら合流した

 

「周辺住民は綺麗サッパリと居なくなってるみたいだな。恐らくこの場所は悪魔のレーティングゲームの技術を流用して創り出された疑似空間だろう・・・予兆無しで大規模転移とは、これだから神滅具(ロンギヌス)は敵に回したくないんだ」

 

「先生。ロスヴァイセさんは如何したんですか?」

 

「あ~、酔っぱらって寝こけちまったから置いて来た。一応強力な結界を複数施しておいたから心配はないはずだ」

 

すると前方に発生していた霧に複数の気配が急に現れるのを感じた

 

そして霧の奥から人影が歩いてきて段々とその姿を顕わにする

 

「初めましてアザゼル総督。そして有間一輝にグレモリー眷属の諸君!」

 

学生服の上に漢服を着た大学生くらいの男が長い槍を肩に担ぎながら挨拶してくる。呼ばれなかったイリナさんが「え?私は天使何だけどグレモリー眷属枠で良いのかしら?」とか言ってるけど今はそういうの後にして!

 

イリナさんが天然を発揮してる中でもアザゼル先生は目を険しくしている

 

「全員。あいつの持ってる槍に気を付けろ。アレは最強の神滅具(ロンギヌス)神滅具(ロンギヌス)の代名詞ともなった神をも貫く槍。黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)だ」

 

アザゼル先生の言葉に皆が驚愕してる中、アーシアさんは只管にその槍を見つめている

 

「アレがイエス様を貫いたと云われる伝説の槍・・・」

 

そこまで言った所でアザゼル先生がアーシアさんの視界を遮る

 

「アーシア。イリナ。ゼノヴィア。信仰のある者はあの槍を直視するな!アレは聖杯、聖釘、聖骸布、聖十字架に並ぶ聖遺物(レリック)の一つだ。心を持っていかれるぞ」

 

言われたゼノヴィアとイリナさんがイッセーと祐斗に肩を揺らされる事で正気に戻って男の持つ聖槍から視線を外す

 

「それで、お前が噂の英雄派を仕切っている男か?」

 

問われた男は槍で肩をトントンと叩きながらも答える

 

「曹操を名乗っている―――三国志で有名な曹操の子孫だ。一応ね」

 

「母上を攫ったのはお主達じゃな?母上を返せ!」

 

「これはこれは狐のお姫様。お母上には我々の実験にお付き合い頂く予定でしてね。今すぐにお返しする訳にはいかないんですよ」

 

九重が一歩前へ出てきつく問いかけるが曹操は何でもないように答えるだけだった

 

「しかし、その前に噂のグレモリー眷属とその仲間たちと一度手合わせ願いたくてね。此処に参った次第です。俺の派閥は血の気の多いのが集まってるものでね」

 

「手合わせは構わん。だが代わりに貴様ら全員とっ捕まえて九尾の御大将は返してもらうぞ」

 

アザゼル先生の言葉の下、双方の陣営の戦意が高まる

 

「では始めましょうか。レオナルド。対悪魔用のアンチモンスターを頼む」

 

曹操の言葉に促されて出てきた小学生かギリギリ中学生くらいの男の子が地面に手を翳すと周囲に影が広がり、そこから最近の駒王町への襲撃で見慣れたモンスターたちが現れた

 

それを見たアザゼル先生が激しく毒づく

 

「ッツ!!あれは魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)!いかなる魔獣をも創り出す事が出来る神滅具(ロンギヌス)!―――これで上位神滅具(ロンギヌス)4つの内、魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)、 絶霧(ディメンション・ロスト)、 黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の3つがテロリストの手の内かよ!」

 

「マジですか!なら最後の一つもアイツらが持ってたり何てしませんよね?」

 

「それは無いから安心しとけ。最後の一つは今は天界側が所有しているからな―――とはいえ厄介な事に変わりはないがな」

 

「俺としては黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)なんかよりも絶霧(ディメンション・ロスト)の方が面倒臭いですけどね。力押しで破れそうな他の二つより余程脅威ですよ」

 

黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)には『奇跡を起こす』何てチート級能力も在る訳だがどうしても曹操が持ってると失敗するイメージの方が先行してしまうんだよな

 

「あらら、他の皆さんは俺の槍を警戒しているのにやはりキミだけは少し視点が違うようだね。人間ならではの感覚なのかも知れないな―――だが、仮にも最強とされた俺の槍をあまり舐めないで貰いたい。同じ人間として挨拶代わりに受け取っておくれ」

 

曹操は徐に聖槍の先端を此方に向けると勢いよく槍が伸びてきた。如意棒かよ

 

その一撃を俺は指一本で受け止める

 

「何!?」

 

曹操が・・・というよりはこの場の全員が驚いているけど勿論カラクリは在るんだよな。一つは槍が伸びる事を俺が知っていた事。次に曹操が本気で攻撃した訳じゃ無かった事。最後に闘気の一点集中防御だ

 

硬気功と合わせて全身に巡る闘気を指先一つに集める。来ると分かってる一撃なら脳のリミッター解除も併せて見切るのは難しくない―――指の第一関節の面積と体全身の面積の違いがそのまま俺の指先の闘気の強化率に変わるからな

 

槍に込められたオーラの量から判断して防げると思ったので相手に精神的な揺さぶりを掛ける意味でも避けるのではなく防がせてもらった

 

まぁ余裕を持って指一本で防いだと云うよりはむしろ指一本でないと逆に防げなかったという方が的確なのかも知れないがそんな事を態々教えてやる必要も無いからね

 

曹操本人は兎も角、後ろで見ている他の下っ端の英雄派の構成員の間では動揺が広がるはずだからコレで少しでも今後の連携が取りづらくなってくれたら御の字だ

 

「神をも貫く槍ね・・・前に神をも貫く牙には普通にやられたけど、もしかして使用者が弱すぎるんじゃないか?」

 

取り敢えず煽る。ここぞとばかりに煽らせてもらう

 

ぶっちゃけ本気の槍を繰り出されたら防ぐのは無理だと思うけどムキにならないでくれよ?

 

曹操は槍を元の長さに戻すと深く息を吐いた

 

「いけないな。此処で感情に任せて戦うのはリーダーとしてやってはいけない事だろう―――ではレオナルド。始めてくれ」

 

曹操の合図と共に生み出されたモンスター達が一斉に光の攻撃を放ってくるのをアザゼル先生が前方に障壁を展開して受け止める

 

「レオナルドは相手の弱点を突くアンチモンスターの創造に特化した才能を持っている。例えば悪魔なら光は猛毒といった感じにね」

 

曹操が語るけど少しアンチモンスターについて気になったので質問をぶつけてみる

 

「悪魔は分かり易いけど、なら天使は如何なんだ?」

 

質問した瞬間。確かにアンチモンスターのオーラが揺らいだ

 

どうやら持ち主のレオナルドに動揺が走ったみたいだ・・・何で?

 

訝しんでいると曹操は語りだす

 

「天使の弱点も悪魔同様明白だ。際どい格好をした様々なタイプの美女・美少女の姿のモンスターを召喚して魅惑のポーズで戦えば天使たちはまともに応戦出来なくなる。レオナルドにはその為に英雄派の男性諸君から秘蔵の本やDVDを回収し研究してもらったのさ!」

 

ば・・・馬鹿だ!馬鹿が居る!当のレオナルドは真っ赤にした顔をフードで隠してその場に蹲ってしまった!純情ボーイに何て研究押し付けてんだ!

 

「なぁにぃぃぃ!?各勢力に魔獣たちが送り込まれている事は知っていたが、天使の陣営はそんな羨ましい状況になっていたのか!?畜生、ミカエルの奴はそんな事一言も言ってなかったぞ!絶対後で抗議してやる!!」

 

アザゼル先生が怒り心頭といった様子だがそれは何に対する抗議なんですか!

 

「そんな!?何て素敵な神滅具(ロンギヌス)の使い方だ!これが・・・英雄派か!」

 

イッセーも変に真面目に戦慄するな!内容は最悪だからな!

 

ともあれツッコミだけで防戦一方という訳にもいかないのでそれぞれが動き出す

 

ゼノヴィアはイッセーからアスカロンを借りて祐斗と二人でアンチモンスターに向かって突撃して行き、アザゼル先生もファーブニルの黄金の鎧を纏って曹操を相手取る―――2人は戦いながら遠くに移動して行った・・・この場で戦うのは双方にとって問題だと感じたからだろう

 

それを見届け俺も動こうとした所でイッセーの声が響き渡る

 

「木場、聞こえるか!お前の能力で光を喰う剣を創って俺とアーシアとゼノヴィアに渡してくれ!万が一の場合の盾替わりにする!ゼノヴィアはアーシアと九重の護衛!イッキとイリナは前衛を頼む―――アーシア。代理承認カードだ。『僧侶』に昇格(プロモーション)する!」

 

おお!イッセーがちゃんと頭を使おうとしてる所を見ると感慨深いものがあるな・・・さて、俺も指示には文句は無いが一応イヅナを九重とアーシアさんの方へ飛ばして分身させ、360度警戒する形を取る

 

ウィザードタイプの居ない今、剣士のゼノヴィアだけじゃまだ心許無いからな

 

取り敢えず俺はアンチモンスターを神器で切り伏せる・・・のでは無く、ぶん回して英雄派の居る場所や他のアンチモンスターに直接投げつける

 

倒してもどうせすぐ補充されるだろうから無力化に重点を置こう

 

ブンブンぶん投げている為か後方に待機していた英雄派の構成員も逃げまどっているみたいだ

 

このアンチモンスターは光を撃ち放つ事にリソースを割いているのか動きが鈍いので簡単にぶん投げる事が出来る―――一応レオナルドにも投げつけたが直前で霧によって防がれてしまったので構成員が出来るだけバラバラになる感じに投げつける

 

既に何人か下敷きになったみたいだな。態々アンチモンスター何て狙わずに生身の人間の弱い奴らから狙っていかないとな

 

アンチモンスターと違って死んだら復活はしないしね

 

そうしていると俺の周囲だけ穴が開いたようにアンチモンスターが居なくなり、祐斗とかが戦ってる奴に近づいて投げようとすると霧散して別の場所に生み出されるようになってしまった

 

警戒されたみたいだけど何人か仕留めたから良しとするか

 

「流石だね有間一輝。弱い者から優先的に狙う何てやはりキミは僕たちに通ずるものが在る・・・どうだい?良かったらキミも禍の団(カオス・ブリゲード)に入らないかい?歓迎するよ」

 

腰に複数の魔剣を吊り下げた白髪の男が勧誘してくる

 

「悪いがテロリズムに興味はないし、やってる事は外道のクセに英雄を名乗るなんて中二病全開の恥ずかしい勘違い集団には入りたくないな」

 

「あっはっは!それを指摘されると痛いなぁ。でも大半の構成員は真面目に正義してるつもりなんだよ?まぁ僕たちがそういう方向に意識を誘導した所はあるけどね」

 

そう言って笑う男だがゼノヴィアが何かに気づいたようで声を上げる

 

「何処かで見た顔だと思ったがやはりそうか。気を付けろ!その男は教会のあらゆる派閥でもトップクラスの剣の使い手とされた男だ。複数の魔剣を操るという、確か二つ名は魔帝(カオス・エッジ)のジーク」

 

「そうだよ。今は禍の団(カオス・ブリゲード)に所属している。英雄シグルドの末裔で仲間はジークフリートと呼ぶよ。好きな方で呼んでくれたまえ」

 

するとジークフリートの後ろから祐斗が猛然と斬りかかる

 

「剣士相手なら僕が!!」

 

ジークフリートは素早く抜刀して受け止める

 

「魔帝剣グラム。魔剣最強のこの剣ならば聖魔剣とて砕けない」

 

「なら!」

 

祐斗はもう一本剣を生み出し2刀流となる。剣の質で勝てないなら手数で勝負という事だな

 

だがその攻撃も同じく2刀流となる事で受け止める

 

「魔剣ノートゥング。北欧に伝わる伝説の魔剣さ」

 

一々解説してくれるジークフリートだがまだ祐斗の攻撃は終わってない

 

足元や空中に魔法陣を展開して全方位から聖魔剣で突き刺そうとする

 

だが周囲の聖魔剣はジークフリートの振るった三本目の魔剣が竜巻状のオーラを纏って、破砕機でも振り回したかのようにオーラの暴風を巻き起こして全て粉砕してしまった

 

「危ない危ない。これは魔剣バルムンク。同じく北欧の魔剣だよ」

 

それを見た皆は魔剣の力よりもジークフリートの肩の辺りから生えている3本目の腕の方に注目している―――銀の鱗を纏った異形の腕だ

 

「ああコレかい?これは龍の手(トゥワイス・クリティカル)だよ。本来はそこの赤龍帝と同じように籠手の形何だけど僕のは亜種みたいでね。見ての通り腕が生えてきたのさ!」

 

ジークフリートは言い終えると共に祐斗に対して攻勢に出る

 

同士たちの聖剣の因子を取り込んだ祐斗はジークフリート相手でも互角に切り結ぶ

 

「へぇ、思った以上にやるものだね。なら此方もギアを上げよう」

 

途端にジークフリートの動きが鋭さを増し、どんどんと押し込まれてしまった

 

龍の手(トゥワイス・クリティカル)の能力は所有者の力を2倍にする―――赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)とは比べ物にならないくらいに弱いけど僕には十分な力さ」

 

「木場!私も加勢する!有間、悪いが剣士としてやらせて貰うぞ!」

 

「私だって剣士何だから気になっちゃうのよね!」

 

ゼノヴィアとイリナさんが祐斗の加勢に向かったので九重とアーシアさんの護衛ポジションに俺が代わりに入る・・・一応俺も剣は使うんだけど、彼らのように剣士の誇り的なものは持ってないから別に良いんだけどね

 

しょうがないのでイッセーと一緒に気弾でアンチモンスターの力の流れをかき乱してモンスターとしての形を維持できなくさせて倒していると、曹操とアザゼル先生が嵐山の方を景色をぶっ壊しながら戻って来た

 

「おやおや、少し戦ってる間にうちの構成員が何人か殺られてしまったかな?大半は重傷以上になる前にゲオルクが離脱させたみたいだけど・・・まぁ少し手間だがまた補充すれば良い」

 

「曹操!お前ら英雄派の動く理由は何だ!」

 

アザゼル先生が英雄派の動機を問いただすと曹操は槍を少し下げて天空を見上げる

 

「堕天使の総督殿。俺達の活動理由はシンプルだ―――人間として何処までやれるのか、それが知りたいのですよ。悪魔、ドラゴン、堕天使、妖怪、その他諸々。超常の存在を斃してきたのは何時だって英雄と勇者だ。伝説として語り継がれる存在に人間のままでどれだけ近づけるのか、或いは超えられるのか・・・そこに挑戦したいんですよ」

 

曹操の主張を聞いたアザゼル先生は「少し違うがヴァーリと似たタイプかよ」と毒づいていた

 

そうして再び二人が激突しそうになった時、周囲が揺れ動き川の底からせり上がるかのように巨大なゴーレム的なものが出現した

 

「デケェェェ!!?何だありゃ!?」

 

「ゴグマゴグ!古の神の創り出した破壊兵器―――次元の狭間に放棄されその全てが機能停止していたはずだが―――何で此処に!?」

 

イッセーとアザゼル先生が驚いているとそのゴグマゴグの近くに魔法陣が展開され、箒に乗ったまさしく魔法使いといった風貌の金髪で髪の毛をクルンと巻いた女の子が現れた

 

「はじめまして。私はルフェイ・ペンドラゴン。ヴァーリチームに所属する魔法使いです♪以前は兄のアーサーがお世話になりました。以後、お見知りおきを♪———それで早速何ですけど私実は『おっぱいドラゴン』のファンでして、良かったら握手して下さい!」

 

笑顔全開でイッセーに近づき握手を求めるルフェイの雰囲気に押されたのかイッセーも「あ、ども」とだけ返事をして握手に応じる

 

「やったー!有難うございます♪後、折角なので一緒に写真を撮っても良いですか!確か異空間にオーフィス様の写真集を作るために買ったカメラが在ったはず何ですが・・・あ!在りました♪それでえっと・・・」

 

高そうなカメラを引っ張り出した彼女は少し困ったように周囲を見渡す

 

「あ!曹操さん。ちょっとこのカメラで撮影お願いします!」

 

これまた笑顔全開で曹操にカメラを手渡し(押し付け)、イッセーの横に並んでカメラに向かってVサインを作る―――イッセーも「ほらほら、ピースですよ、ピース!」と促されて二人でカメラに向かってVサインだ

 

「ええと・・・はい、チーズ」

 

”パシャ!!”

 

「有難うございます曹操さん。『おっぱいドラゴン』さん!では私は帰りますね♪」

 

そう言って魔法陣を展開してそのまま転移して行ってしまった

 

ゴグマゴグはただ突っ立っているが気のせいか哀愁が漂っている

 

「曹操、アレは何だったんだ?」

 

「俺に聞くなよ赤龍帝・・・確かなのはキミのファンという事だろう」

 

すると三度魔法陣が展開して先ほど居なくなったルフェイが戻ってきた

 

「すみません!つい浮かれて用件を忘れてました!ヴァーリ様からの伝言があります―――『邪魔だけはするなと言ったはずだ』・・・だそうです♪曹操さん。うちのチームに監視者を送った罰ですよ!」

 

先程ルフェイに置いてけぼりを喰らったゴグマゴグが巨大な両手をハンマーのように曹操の居る場所に振り下ろすが曹操はそれを避けてレオナルドたちの居る場所まで後退する

 

するとさらに一人この場にやって来る人物が居た

 

「あ~もう、人が気持ちよく寝てる所にドッカン、バッタン、チュドンてうるさいんれふよぉぉぉ!!いいれふよ、皆纏めて吹き飛ばしてわらしはせいじゃくをてにふるんれふよ!」

 

酔っぱらった状態のロスヴァイセ先生がアザゼル先生の結界を破壊したのかこの場に覚束ない足取りでやって来て微妙にオーフィスっぽい事を言いながら魔法のフルバーストをかます事で無茶苦茶な破壊音と粉塵が辺りに広がっていく

 

「乱入が過ぎるな。だが、祭りの始まりとしては上々だろう。さて、我々は今夜、京都と九尾の力を使って二条城で大きな実験をする予定だ。是非、我々の祭りに参加してくれたまえ!」

 

その言葉と共に周囲を徐々に濃い霧が覆い始める

 

「お前ら、空間が元に戻るぞ!武装を解除しておけ」

 

先生の忠告の数秒後、俺達は元いた場所に戻って来ていた

 

どれだけ追い詰めたとしても簡単に取り逃がしてしまうのは本当に厄介だ

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になって関係者は全員、俺とイッセーの部屋に集まって作戦会議だ

 

因みに俺は今仙術でロスヴァイセ先生の肝機能をフル回転させて少しでもアルコールが抜けるように頑張りながら聞いています

 

「では作戦を伝える。現在二条城の周囲に悪魔、堕天使、妖怪による大包囲網を敷いている。シトリー眷属はディフェンス担当だ。このホテルを守れ。相手は一般人相手でもいざとなれば巻き込む事に躊躇しないだろう」

 

『はい!』

 

「オフェンスはグレモリー眷属とイッキにイリナだ。悪いが俺はセラフォルーと一緒に全体の指揮を執らなきゃならん―――駒王町のリアスたちにも応援を頼もうとしたんだが、どうやらグレモリー領で旧魔王派の残党によるテロが在ったらしくしてな。黒歌も妹に付き添った為に来るのは難しいそうだ」

 

「な!?大丈夫なんですか!?」

 

「心配すんな。計画的なものでも無くて敵の戦力も大した事ないそうだからな。正直言って、こっちよりもよっぽど安全だよ。因みにレイヴェルは実家でフェニックスの涙の製造を手伝ってるみたいでな。此方もすぐに手は空きそうに無いとの事だ」

 

そっか、回復手段の限られるこの世界ではフェニックスの涙の生産の方が全体的に見て効率が良かったりするだろうからな・・・それに今回は聖槍が相手だし、フェニックスの不死身も期待できないからな

 

今後を考えるとレイヴェル自身にも強くなって貰った方が良いんだけど、取り敢えず今は後回しにして作戦の方に耳を傾けよう

 

「今分かってる情報では京都全体の気脈の流れに異常が生じてその力は二条城に向かってるらしい・・・奴さん達がそれで何を狙ってるのかは分からんが、何であろうと阻止するのみだ。最後に一つ、神滅具(ロンギヌス)を複数相手にするにあたって各地でテロリスト共を叩き潰して回ってるプロフェッショナルを呼んでおいた。第一目標は八坂姫の救出。どうしてもそれが難しそうなら助っ人が来るまで敵の計画を遅延させる時間稼ぎだ」

 

「あの・・・先生の言い分だと俺達全員よりも強いんですか?その助っ人って?」

 

イッセーが聞くとアザゼル先生はニヤリと笑った

 

「ま、凄いのが来るって事だけは覚えておけ。それとサジ、お前はオフェンス側に付け、龍王の力は必要になるかも知れん」

 

「わ・・・分かりました!」

 

「よし、全員生きて帰って来いよ。家に帰るまでが修学旅行だ。良いな!」

 

『はい!』

 

 

 

 

 

 

 

それから作戦開始までの僅かな時間にイッセーがアザゼル先生に連日の痴漢騒動を引き起こした原因とみられるピンク色の宝玉を手渡され、後で大規模な隠蔽工作をしなければならないと面倒な事案にロスヴァイセ先生が頭を抱えたりしてる内に時間となったのでオフェンス組が京都駅に向かう

 

すると駅の影から九重が現れ走り寄って来た

 

「イッキ!私も連れて行ってくれ!私も母上を救いたいしコレでも母上の娘、多少は気脈に干渉する術も習っておる。何かの役に立つはずじゃ!」

 

「おいおいおい九重!気持ちは分かるけどセラフォルー様やアザゼル先生に待機してるように言われただろ?———どうするんだイッキ?」

 

九重の扱いという事でイッセーが俺に意見を求めて来る

 

「九重。八坂さんは必ず救い出す。その上で一緒に来たいなら俺が九重を守るよ・・・ただし!後で八坂さんから懇々と説教される覚悟はしておくように!」

 

まぁその時は俺も一緒に怒られそうだけどそこは諦めよう

 

「うむ!・・・すまぬのじゃ、如何しても自分が抑えきれなくなってしまっての」

 

やはり罪悪感を感じているのか落ち込んだ様子を見せる九重だけど11歳でこういうのを割り切れ何て言わないさ・・・将来のお嫁さんの為に骨を折るくらいの事はしないとな

 

流石に恥ずかしいから口には出さずに九重の頭を撫でてやってると周囲に霧が展開して風景が切り替わった・・・予兆無しの転移は心臓に悪いから本当にやめて欲しい

 

一緒に居るのは九重で他の皆の姿は無い

 

「イッキ、また霧使いによる転移かの?」

 

不安なのか九重が俺に抱き着きながら聞いてくる

 

「そうみたいだな。俺達を分断したいみたいだけど取り敢えず今居るのはどの辺りだ?」

 

どうにも此処は何処かの路地裏のような場所らしい。流石の九重も路地裏の景色だけでは場所が分からないみたいなのでシンボルとなるものを探しに表通りに向かうと途中のビルとビルの間に分かり易い目印が見えた・・・のだが九重と一緒に無言でそれを見つめてしまう

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

そうしてるとイッセーから携帯電話がかかってきた

 

≪イッキ、そっちは無事か?九重は一緒に居るのか?≫

 

「ああ、九重は一緒で他には誰も居ないな。そっちは如何だ?」

 

≪俺はアーシアと一緒に京都駅の地下鉄ホームに居る。木場とロスヴァイセさんにサジは京都御所でイリナとゼノヴィアには今木場の方から連絡を入れてる・・・最終的には二条城に集合するとしてイッキは今何所に居るんだ?≫

 

「俺たちは今・・・タワーの前に居るな」

 

≪タワーって言うと京都タワーか!それなら俺達の居る場所と近いし、一旦合流してから一緒に「東京タワーだ」・・・はい?≫

 

聞き返すなよ・・・虚しくなるからさ

 

俺と九重はビルの隙間から遠くに見える日本一分かり易いシンボルの一つを見据えながらもう一度だけイッセーに現実を突きつける

 

「俺と九重が目にしているのは東京タワーだ・・・此処は東京だよ」

 

≪なぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃ!!?≫

 

電話の向こうで叫ぶイッセーの声を聞きながら天を仰ぐ

 

畜生!やっぱり霧使いが一番嫌いだ!

 

八坂さん救出作戦はこうして出だしからリングアウトして始まったのだった




曹操は構成員のバイブルを取り上げた

レオナルドのエロ知識が5上がった・羞恥心が5上がった

曹操の求心力が15下がった


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