転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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今章はマジでイッキの出番が出しにくいですwwカオスブリゲードの横やりとかはヴァーリが気合を入れて防ぐと原作でも言ってたので、せめて少し違う視点を入れたいですね


第11章 学園祭のライオンハート
第一話 準備と、課題です!


修学旅行から帰って来て後日、俺達は冥界に来ていた

 

今居るのは冥界の旧首都であるルシファードのコンサートホールである

 

そこには特設ステージが設けられており、子供を中心に親御さんやその他の悪魔まで幅広い客層が席を埋め尽くしてステージの上に声援を送っていた

 

「「「おっぱいドラゴン頑張って~!!」」」

 

「「「負けるなおっぱいドラゴ~ン!!」」」

 

子供たちの声援を受けて立ち上がるおっぱいドラゴンだが立ち塞がる『二人』の敵を前にして劣勢を強いられているようだ。そしてそのうちの片方が声を掛けて来る

 

太く逞しいアスリートのような鍛え抜かれた肉体にライオンの特徴を盛り込んだ衣装を着たサイラオーグ・バアルが立っていた。なお、ステージ上の名前はライオン・キングだ

 

「おっぱいドラゴンよ。貴様に滅ぼされた我が領土に住まう領民たちの無念を今此処で晴らさせて貰おうか!此処が貴様の死地と知れ!」

 

おっぱいドラゴンにそんな声を掛けるライオン・キングの更に後ろには浅黒い肌色をした(魔力で着色した)全身に青白い不気味な紋様を浮かび上がらせた有間一輝が居る

 

服装も赤いバンダナや紋様を良く見せる為か少し露出の多めな格好となっておりFateの世界のアンリ・マユに近い姿となっている・・・おっぱいドラゴンのデザイナーには変な電波を受信している人でも居るのかも知れないが真相は謎のままである

 

因みに彼の『おっぱいドラゴン』における設定は邪人、オール・エヴィル(この世全ての悪)でダークネスナイト・ファングの所属する悪の組織の幹部であり、ライバルとしての側面も持つダークネスナイト・ファングと違って完全な悪者設定である

 

子供たち相手なら明確な悪役もまた必要として、基本は裏で暗躍して時折表に出て来て悪意を振りまく敵役だ―――今回は人望の厚い若き領主のライオン・キングが町を離れている隙に破壊の限りを尽くし、その場所におっぱいドラゴンの痕跡をこれ見よがしに残したのだ

 

そうして戻って来た領土で目の前の惨状に嘆く彼に正義のおっぱいドラゴンが実は人助けの報酬に金品などを無理やり強奪したり、ばれないように各地で暴れたりしている裏の顔を持つと言葉巧みに傷心しているライオン・キングに吹き込んで二人がぶつかるように画策したのである・・・まさに外道!もはや悪鬼の所業だった

 

脚本家は人間の彼にどうなって欲しいのだろう?真相は本人のみぞ知る処だ

 

ついでに言えば同じく幹部のダークネスナイト・ファングとは騎士としての在り方を持つ彼とは折り合いが合わず、おっぱいドラゴン2期では味方となったダークネスナイト・ファングとおっぱいドラゴンが暗黒の秘術で邪人から邪神になったオール・エヴィルとの長きにわたる戦いを展開するのだがそれはまた未来の話である

 

だがそんなピンチのおっぱいドラゴンを助けに紅髪の姫が現れた!

 

「来たわよ、おっぱいドラゴン!そしてライオン・キング、貴方に会わせたい人が居るの!!」

 

現れたリアス・グレモリーことヒロインのスイッチ姫は傍らにもう一人連れていた

 

それを見たライオン・キングは驚愕に彩られる

 

「お前はメイドのクイーシャ!?何故ここに!?」

 

サイラオーグ眷属の『女王』である金髪をポニーテールに近い形にして衣装のメイド服を着せられたクイーシャ・アバドンである

 

今回はチョイ役の村人A的な立ち位置の為、特別な称号は無しで登場だ

 

「ライオン・キング様!領地を襲ったのはおっぱいドラゴンではありません!ライオン・キング様の後ろに居るその男が全てを演出していたのです・・・私は町の外れに買い出しに出ていた時に偶然にもその男がおっぱいドラゴンの鎧の中から現れたのを目撃したのです!」

 

「チィ!見られていたとはな。もっと人目の付かない場所で着替えるべきだったか」

 

「何だと!では俺はこの者にみすみす騙されていたと云うのか!・・・すまない、おっぱいドラゴン。もしもお前が許してくれるならこの邪悪なる存在、オール・エヴィルを打倒すのに協力させてくれないか?」

 

「ええ、勿論です!さぁ皆!いくぞぉぉぉ!!」

 

おっぱいドラゴンが立ち上がり観客の方を向いて両手の人差し指を前に突き出すポーズを取る

 

「ずむずむいや~ん!」

 

「「「「「ずむずむいや~ん!」」」」」

 

観客の子供たちがおっぱいドラゴンの掛け声を復唱し、おっぱいドラゴンは内側に仕込んだライトで発光現象を引き起こしているスイッチ姫のおっぱいを突く・・・ふりをする

 

おっぱいドラゴンの宝玉が光り輝き(演出・ドライグ)パワーアップを果たしたおっぱいドラゴンはライオン・キングと共にオール・エヴィルに立ち向かう

 

しかし、二人の雄姿を前にしてオール・エヴィルはまだ余裕の表情を崩さない

 

「クククククク!こんな事も在ろうかと策は二重に仕込んであるのだよ!見るが良い!」

 

彼が指を鳴らすとスクリーンに映像が投射された

 

そこに映っていたのは殺されてしまったと思っていた領民たちの姿だ

 

縛られており、彼らの周囲にはオール・エヴィルの配下の者達が剣を携えている

 

「皆!?おのれ俺の領民をどうするつもりだ!」

 

気炎を発するライオン・キングを嘲笑しながらもオール・エヴィルは得意気に語る

 

「決まっているだろう?人質だよ。さぁお優しい若き領主様とおっぱいドラゴンは彼らを見捨てられるかな?助けにいこうにも彼らが何処に居るのかすら分からないだろう?ライオン・キングよ、領民を殺されたくなくばおっぱいドラゴンと戦え!おっと、おっぱいドラゴンも下手に抵抗すれば一人ずつ領民を始末していくように命令を下していくぞ?」

 

彼は手元にトランシーバーのような無線機を取り出し弄びながら脅す

 

会場の子供たちは「卑怯者~!」「正々堂々戦え~!」などの言葉を浴びせていく

 

オール・エヴィルはその子供たちの声を受けて「フハハハハ!!お前たちが俺様に向ける悪意が気持ちいいぞぉぉぉ!!」と実は結構ノリノリである

 

こういうのは寧ろ吹っ切れた演技の方が恥ずかしくないのである

 

普段の自分からかけ離れた挙動を取る事で『これは自分じゃない』と自己暗示を掛け易いのだ

 

だが彼の天下は長くは続かなかった

 

≪ぐぎゃ!!≫

 

≪ギャアアアアアア!!≫

 

人質の居る場所を映したスクリーンから叫び声が聞こえ、彼らが慌てて映像を見ると倒れ伏す悪の手下たちと無駄に格好よく剣を納刀している木場祐斗ことダークネスナイト・ファングが居た

 

今回は映像先からの特殊な出演の為、オール・エヴィルの部下が撮ってるはずの映像なのに無駄に色んな方向からズームして恰好良さを際立たせているのはご愛敬である

 

≪オール・エヴィル。人質を取るのは良い。しかし、関係無い者を数多く巻き込む貴方のやり方には美学が感じられない―――今回は邪魔させて貰うよ≫

 

「「「「「キャアアアア!!ダークネスナイト・ファング様ぁぁぁ♡」」」」」

 

会場のお母さま方も何時もと少し違った演出に興奮気味だ・・・割と何時もの事だが

 

「ダークネスナイト・ファング!貴様は何処までも俺様をイラつかせてくれるな!」

 

だが怒りに駆られた彼はまだ気づいていなかった・・・人質が解放された事で二人のヒーローもまた楔から解放されてしまった事に

 

「どうやらこれで思う存分お前を打倒せるようだな、さあ行こうか!おっぱいドラゴン!!———ライオンパーンチ!!」

 

「ええ!覚悟して貰うぜ、オール・エヴィル!!———ドラゴンキーック!!」

 

二人の必殺技を受けたオール・エヴィルは遥か彼方に飛ばされていった

 

残念ながらオール・エヴィルには最後に逃げられてしまったが、おっぱいドラゴンとライオン・キングは見事、巨悪を退ける事に成功したのだった

 

 

 

 

 

ショーが終わって控室で俺とイッセーにサイラオーグさんが汗を拭っている―――体力的な面は兎も角、あまり慣れない事をすると妙に疲れるんだよね

 

因みに祐斗は白音の演じるヘルキャットのクイズショーに付き添っている

 

ダークネスナイト・ファングのファンのお母さま方を相手に本人が一度もステージに顔を見せないというのは後で文句が多そうなのでもう少し頑張って貰ってる処だ

 

裏方ではレイヴェルにも手伝って貰っている。俺や白音が居るならと付いてきてくれた感じだ・・・黒歌?ステージの上で悪ノリ出来る役でもないと来ないだろうな

 

「ククク!ヒーローショーなど初めてだったが、最後に子供たちがおっぱいドラゴンと共に俺の事も応援してくれたのはとても良いものだった。何時もとはまた違う気合の入ったパンチが打てた気がしたぞ!」

 

「いや、サイラオーグさん。それは気のせいじゃ無いですよ?俺が相殺して無かったらステージの大半は拳の余波で吹き飛んでましたからね?」

 

ステージのセットは決して強固な造りになってる訳じゃないので同質同量の攻撃をぶつけるという繊細な作業が必要だったんですよ?今回は上手くやれたけど次回も同じことが出来るかと言われたら自信が持てないですからね!?

 

イッセーも「どっひゃー!!」とか叫びながら避けてたし・・・アレ絶対涙目だったはずだ

 

「それにしてもまさかサイラオーグさんとレーティングゲームで戦うよりも早くヒーローショーで戦ったり共闘したりするとは思いませんでしたよ」

 

「それは俺も同じだ―――だが、悪くはないだろう?それとも俺が味方役では不服か?」

 

「いえいえ!そんな事ありませんよ!サイラオーグさんとこうして共演出来るなんて光栄の限りです!・・・敵役として対峙してた時はプレッシャーで冷や汗が止まりませんでしたけど」

 

そう言って拭ったはずの汗をもう一度流し始めるイッセー

 

まぁ確かにイッセーは割と本気で避けてたよな。声援ブーストが掛かってなかった時だからまだ手加減された拳だったけど、直撃すれば鎧に罅くらいは入ってたかも知れんし、ステージの外まで吹っ飛んでたかもな

 

そんな見ている側も演じる側もかなりハラハラする公演も終わり、スタッフの方々を始めとした関係者さん達の前でサイラオーグさんと仲良さげな様を演じたり、(演じる必要は無かったかも知れないが少しオーバーにした)握手会など一通りのスケジュールを消化して後は着替えて帰ろうという辺りで通路の先からイッセーとリアス部長が歩いて来て、折角なので近くの控室で少し談笑する事となった

 

「そうか、サイン会のチケットの時間が分からず列に並ぶ事すら出来なかった子供が居たのか・・・人間界の文化を取り入れ始めたばかりでその辺りの情報がキチンと行き渡ってない部分も在ったのだな」

 

「ええ、もっと告知や宣伝に力を入れなければならないわね。チラシやラジオ、テレビなど力を入れられる処はまだまだ在るわ。おっぱいドラゴンの収益も伸びてきているし、売り上げの一部をそっちに回すよう打診しなければいけないわね」

 

「広告塔とかが在っても良いかも知れませんね。おっぱいドラゴンの情報を随時更新出来るように電子掲示板で軽く映像が流れるようにしたりとか―――冥界にその手の物はまだ少ないでしょうから目立つんじゃないですかね?」

 

「俺もつい周りに誰も居ないからってその子にサインと握手をしてしまいました・・・後悔してる訳では無いですけど少し軽率な行動だったと反省しています」

 

公演自体は成功と言えるものではあったが、やはりそれでも思う所が在るのか頭を悩ませたり次回に向けた改善点を考えたりしていると控室の扉が開いて二人の女性と一人の子供が入って来た

 

「リアス姉様、サイラオーグ兄様、イッセー兄様、イッキさん!公演、とても楽しかったです!」

 

最初に元気よく声を掛けてきた紅髪の男の子はミリキャスだ

 

そしてリアス部長とサイラオーグさんはミリキャスと一緒にこの場に来た二人女性の内、片方の登場に驚きの仕草を見せる

 

「ミリキャス、それにお母さまとミスラおば様まで!」

 

「母上!お越しになられているとは!まだ安静になさっていた方が良いのでは?」

 

「心配しなくとも体に異変は見受けられないと先日も医者の方に言われたでしょう?それにずっとベッドの上で体力が落ちていたのだから、寧ろこうして出歩いて体を慣らす方が健康にも良いわ・・・初めての方もいらっしゃいますね。私はミスラ・バアル。サイラオーグの母です。以後お見知りおきを」

 

流石にこの場では治療薬の一件を口に出す訳にもいかないのでそれを除いた挨拶をしてくれた

 

「は・・・はい!自分はリアス・グレモリー様の『兵士』の兵藤一誠と申します!此方こそよろしくお願いし致します!」

 

「初めまして、有間一輝です。平民の身で恐縮ですがサイラオーグ様とは仲良くさせて頂いております。以後、宜しくさせて頂ければ幸いです」

 

こういう時に挨拶する場合、俺の身分って結構微妙何だよね

 

周囲に居る人たちはそういうの気にしない場合が大半だけどさ

 

「ふふふ、今はプライベートですから楽にしてくれて構いませんよ。息子の友人にまで貴族として接したら肩が凝ってしまうわ」

 

一応初対面の貴族相手なのでお堅く挨拶をしたが楽にして良いとされたので多少崩していこう

 

「それでは人目の無い時などはミスラさんとお呼びしますね。改めて宜しくお願いします」

 

「あら、切り替えが早い事は良い事です。息子共々仲良くして下さいね」

 

俺とイッセーにそれぞれ握手をしてからミスラさんはサイラオーグさんに向き直る

 

「さて、サイラオーグ。ヒーローショーは盛り上がっていましたね。子供たちに夢を与える・・・とても良い事です」

 

「はい、母上!全身全霊で与えられた役を「ですが!」」

 

サイラオーグさんの言葉を途中で遮って強い語気で言う

 

「全力で取り組む事と物理的に全力を出す事は違います!一誠さんに繰り出していた攻撃も並みの悪魔なら吹き飛んでいたでしょうし、最後のパンチは一輝さんが上手く防いでいなかったらパニックになって子供たちに夢を与える処か泣き出していたでしょう。正直見ていて冷や冷やしました―――手を抜くなと言ってるのではありません。手加減を覚えなさい」

 

サイラオーグさんは叱られて項垂れてしまった

 

「そ・・・そんな・・・俺が子供たちの夢を壊す処だったのか?これでは次期当主への道は遠い・・・そうだ!手加減の修行の為に山籠もりしなくては!」

 

何か最後の方に変な方向に気合を入れ始めた気がしないでもないけど放っておくか

 

ミスラさんが監督してくれる事だと思うからね

 

それに冷や汗を掻いたのは俺も一緒だし・・・ミスラさん、もっと言ってやって下さい!

 

内心でミスラさんを微妙に応援していると隣は隣でヴェネラナさんがリアス部長に苦言を呈しているみたいだった

 

「リアス、一誠さんとの仲はその後如何なのですか?彼や一輝さんを見ていれば分かるように強い殿方には多くの女性が惹かれるものです。一輝さんは女性陣のパワーバランスが上手く纏まっているようですが一誠さんの周りの女性は押しが強い方ばかりなのでしょう?ちゃんと貴女が全体の手綱を握らなければいけませんよ。デートくらいは既に済ませたのでしょうね?それか殿方の方からのキスでも構いませんが―――夏季休暇が終わってから進展は無いのですか?」

 

「それはその・・・忙しくてそんな暇が無かったと言いますか・・・」

 

リアス部長がボソボソと言い訳するとヴェネラナさんは更に視線を鋭くする

 

「そこでそんな言い訳をするようではいけませんね。彼にも問題が無いとは言いませんが、将来共に歩む者を導くのも大事な役目です。少々教育が足りてないのでは無くて?押しが強いのは私に似ていると思っていましたが、如何やら認識を改める必要がありそうですね」

 

リアス部長、もはやフルボッコである

 

俺とイッセーの目の前で大王家と公爵家の次期当主が揃って母親に説教されている

 

やり手の母親相手では流石の二人も頭が上がらないみたいだ

 

そしてイッセー。普通に眺めてるけどヴェネラナさんの説教の何割かはお前への愚痴でも在るんだぞ?・・・と云うかグレモリー家には俺の周囲の女の子事情がそれとなく伝ってる感じがするのが凄いな。そりゃ駒王町のスタッフとかから幾らでも話は聞けるだろうし、リアス部長にも話題を振れるだろうからな

 

二人の母親が一通り説教を終えて満足したのか此方に向き直る

 

「あらあら、御免なさいね。一誠さんや一輝さん相手だと気負う必要が無いと、ついつい家と一緒の対応をしてしまって・・・これからもリアスの事を宜しくお願いしますね」

 

「サイラオーグも、この間お二人と闘った時の事を楽しそうに語っていましたよ―――リアスさんとはレーティングゲームも近いですから今すぐにという訳にはいかないでしょうけど、何時かバアル領にも遊びに来て下さいね」

 

お!さり気なく話題を振られたな。問題無いか一瞬視線だけをリアス部長に送ると注視しないと分からない程度の頷きが返って来た

 

「でしたら俺はゲームに参加はしませんので一度伺ってみても良いですか?バアル産のリンゴは本当に美味しかったですし、サイラオーグさんともまた模擬戦もしてみたいですからね」

 

近接で殴り合えるのは俺にとっても良い修行にもなるしね

 

仲間内だけの模擬戦では悪い意味で慣れてしまう処もあるしな

 

「ええ、歓迎致しますよ」

 

「うむ。まさかお前とこんなにも早く再戦出来る機会が訪れようとはな・・・いかんな、もう戦意が抑えられそうにない。帰ったら早めに日程を調節するとしよう。今から楽しみだ!」

 

そうして最後にミリキャスが「ゲーム、お二人とも応援させて頂きます!!」との言葉を最後に別れの挨拶をして三人は帰って行き、俺達も着替えて皆と合流してからそれぞれ帰路についた

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺達オカルト研究部に駒王学園に転校してきたレイヴェルが入部した

 

白音やギャスパーが一緒のクラスなので特に心配しなかったが、ギャスパー曰く、白音が転校生の宿命として質問攻めにされるレイヴェルとクラスメイトの間に入ってフォローしていたらしい

 

まぁレイヴェルは冥界の学校に通ってたらしいから未だしも、白音は裏の事情も知った上での同性且つ同年代の友達というのは初めてだから積極的に関わってる気がするな

 

今は文化祭に向けたオカルト研究部の出し物の準備をしている処だ

 

因みに出し物は喫茶店、占い、お化け屋敷、オカルト研究の成果のまとめ(表向き)など、取り敢えずやれることは全部やるという欲張り企画となった

 

これは準備も文化祭当日も大変そうだ

 

イッセーと祐斗は今裏庭でノコギリで材木を切り出して、女性陣は服などの装飾の裁縫作業で俺とギャスパーはイッセー達が切り出した材木にペンキで色を塗っている

 

すると部室に買い物袋を手にした黒歌(制服姿)が入って来た

 

この格好の方が騒がれないからと言ってたが絶対楽しんでるな

 

女の子の何時もと違った格好は新鮮で良い・・・控え目に言って最高である

 

「ほ~ら、足りないって言ってたペンキとか色々買ってきてあげたわよ~」

 

「ええ、有難う黒歌。そっちに置いておいてくれる?」

 

「了解にゃ♪」

 

文化祭の準備だが学生ではない黒歌が直接手伝うのは何か違うという事でこういった買い出しとか適当にお茶を用意したりとか、間接的に手伝って貰っている・・・昔の彼女なら「面倒だからパ~ス!頑張ってにゃ~♪」とか言いそうだけど仲間内相手なら多少は自分から関わってきてくれるようになったな

 

テーブルの上に買ってきた物を置いて、ついでにそこからお菓子の類を取り出して食べてるのは黒歌らしいけどね

 

え?ペンキとかって女性が持つには重いんじゃないかって?黒歌は悪魔だし、ウィザードタイプとはいえ基礎トレはちゃんとしてるし白音とも組手もしてるから近接戦でも普通に戦えるよ?・・・流石に本領のウィザード戦法よりは劣るけどな

 

少々脱線した事を考えてると手は動かしていても何処か上の空なリアス部長が居た

 

「リアスお姉様?お裁縫中に考え事は危ないですよ?」

 

それに気づいたアーシアさんが声を掛けると「ああ、御免なさいね。有難う、アーシア」と少し困った顔で返事を返す

 

「あらあら、部長がそこまで思い悩む何て、サイラオーグ様とのゲームが近いせいかしら?」

 

「ええ、やっぱり如何しても気になってしまってね。ディオドラ・アスタロトなんかとは比較にならない強敵だもの・・・京都でイッセーが目覚めさせた力というのは私はまだ見てないけど、イッキから見て如何?サイラオーグに通じそうかしら?」

 

「そうですね。直撃すれば大ダメージって処ですか・・・ただ、一つ一つの形態がかなり癖が強いので初見でなければ避けられるかも知れません。サイラオーグさん相手ならまだしも、テクニックタイプ相手だと厳しいですね。正面からだと曹操みたいなのにはもう通じないでしょう」

 

「曹操・・・英雄派のリーダーね。アザゼルとも斬り結んだらしいし、イッキもそうだけど相手にするのが恐い限りだわ。イッセーの新技、イッキにはもう通用しないんじゃなくて?」

 

「あはははは、まぁその辺りはまたイッセーと模擬戦する時にでも見ていて下さい・・・ただ、イッセーの『真・僧侶』とか広範囲に影響を及ぼす技ですから流石に家の地下で試すのは問題何ですよね」

 

強固な結界ではあるがイッセーが強くなるにつれ、万が一壊れたりしたら地上の俺とイッセーの家が跡形もなく消し飛んでしまうからこそ、まだ模擬戦で新形態のイッセーとは闘えてないんだし

 

「それについては大丈夫よ。実は連日のテロを阻止している報酬にグレモリー領の無人エリアに特別な練習用のフィールドを造って頂いたの・・・プロのレーティングゲームのプレイヤーの上位陣はそういうのを持ってたりするのだけど、まさかデビュー前に貰えるとは思わなかったわ。あそこなら万が一結界が壊れても周囲の被害は最小限で済むからイッセーの力も存分に試していけるわよ―――ねぇ、もしかしてイッセーは単純な攻撃力なら貴方を上回ったんじゃない?」

 

「破壊力という意味でならそうですね。ただオーラを一点に集中させて貫くような攻撃範囲を絞りに絞った貫通力では負けませんよ?」

 

「・・・指先一つに全オーラを集中させるの何て私には無理だったわ」

 

苦笑しながらそう言うって事は試したんですね

 

確かにアレは全身にオーラを巡らせるという通常の全力を遥かに上回る力を制御しろって感じだから案外難しいんだろうな。俺は幼い頃から【一刀修羅】で本来の自分以上の力を身に纏う感覚に慣れてたから割とすんなり出来たけどな

 

「破壊力の無さは俺の欠点ですからね。どうにかしないといけません」

 

そう言った途端に部屋中の視線が俺に向いて来た。え?何この何とも言えない圧力!?

 

「貴方、サイラオーグと同じようにイッセーの鎧を余波だけで破壊できる癖にまだ破壊力が足りないって言うの?正直、欠点とはとても思えないのだけど」

 

「そんな事はありませんよ・・・そうですね。俺とサイラオーグさんの模擬戦ですけど俺と彼、どっちがより強い闘気を発しているように見えましたか?」

 

「それは・・・イッキの方が力強く感じたけど」

 

「はい、でもあの時全身にオーラを纏った状態同士での俺とサイラオーグさんの拳の威力にそれほど差はありませんでした。その理由は・・・ギャスパー、ちょっと良いか?」

 

「へぅ!?な・・・何ですか、イッキ先輩?」

 

ギャスパーはいきなり会話の矛先が自分に向けられてビックリしてるな

 

そんな彼を部室の真ん中に在るテーブルを挟んで座るように促す

 

「ギャスパー。いっちょ俺と腕相撲しようか!」

 

「はぇぇぇぇ!!?いきなり過ぎて訳が分かりませんよ!それに僕が腕相撲でイッキ先輩に勝てるはず無いじゃないですか~!!僕、拳で衝撃波とか出せませんよ!?」

 

「いいから、いいから!」

 

「ん、ギャー君も男の子なら腕相撲を断っちゃダメ」

 

「白音の言う通りね。腕相撲・・・それは漢の聖域(サンクチュアリ)よ!」

 

「あらあら、うふふ♪なら私が開始の合図をいたしますわ」

 

「ふえぇぇぇん!何で皆さんそんなに腕相撲でテンション上げてるんですかぁぁぁ!?」

 

ギャスパーが絶望している中で俺とギャスパーが手を合わせ、朱乃先輩の開始の合図を待つ

 

「それでは・・・始め!」

 

”ゴンッ!!”

 

朱乃先輩の気合の入った声とほぼ同時に決着はついた

 

「痛ってぇぇぇ!!」

 

「しょ・・・勝者!ギャスパー君!」

 

この結果には皆驚いた表情だ

 

「イッキ、これは如何いう事?貴方手を抜いたの?」

 

リアス部長が聞いて来るので仙術で叩きつけられた手の甲を治療しながらも答える

 

「いえ、全力でしたよ?ただし闘気を一切纏わないで人間としての素の筋力だけで闘いましたけど・・・リアス部長、人間は異能を使わなければこんなもの何ですよ。肉体を鍛えれば皆が皆サイラオーグさんみたいに闘気を纏える訳じゃないですし・・・大体それが出来るなら人間界のオリンピック選手とか化け物の見本市になってしまいますからね――――少し話がズレましたね。要は幾ら闘気で強化しようと素が弱過ぎるからどうしても攻撃力が伸び悩むって話です。仙術の気弾も破壊力には乏しいですしね」

 

「で・・・でもそれならイッキ先輩の闘気を気弾みたいな感じに放つ事は出来ないんですか?それなら破壊力のある遠距離技にはなると思うんですけど」

 

確かにギャスパーの言うように、それが出来れば戦術にも幅が出る。先日の曹操との戦いで彼の眼を潰した時の追い打ちの気弾も槍で弾くのが難しくなるはずだから、崩れた体勢をさらに崩してから仙術をぶち込めたはずだ

 

だが、そんなギャスパーの疑問に答えたのは黒歌だった

 

「ん~、それは難しいのよね。闘気ってのはそれ単体だと肉体から切り離すと直ぐに霧散してしまうのにゃ。私や白音なら妖気や魔力と混ぜ合わせる事で闘気弾とも云えるのを作れるけど純粋な人間のイッキには無理なのよね~。五大宗家の百鬼(なきり)とかは龍脈から借りた莫大な闘気で遠距離技もこなすようだけど、アレも契約してる黄龍の龍の気と混ぜ合わせてるからこそのモノだしね」

 

仙術使いが直接的な攻撃力に乏しいとされているのはこの辺りが原因なのかもな

 

悪魔とか神とかは基本は生まれ持った魔力とか権能とかを研鑽する場合が殆どだろうし、人間が仙術を覚えてもそうとう頑張らないと肉体の強化はそこそこだし、遠距離技でも派手な威力は出せないからな・・・勿論、索敵とか色々優秀な面もあるけど、物理攻撃力が足りてないという事実に変わりはないからね

 

「・・・イッキがその辺りを克服した時が恐いわね。遠近・攻守・サポートと本当に隙が無くなってしまうわ。今まではイッキの気弾は全力で障壁を張れば防げていたけど、そうなったら今の私達の障壁じゃ防ぎきれないわ」

 

「イッキ様を倒すには、純粋に実力で上回る必要が在りますわね・・・もっとも、切り札を考慮しなければの話になりますが」

 

「まぁともあれ今はサイラオーグさんとの試合についてですね。彼のバトルスタイルを真似た状態で模擬戦をする程度で良ければ付き合いますよ」

 

「うふふ、お願いね。じゃあ皆!心置きなく修行に入れるように準備を進めて行きましょう!文化祭もレーティングゲームも、全力で取り組むわよ!」

 

『はい!』

 

そうして皆がそれぞれの作業に戻って行った・・・なお、ドライグは心労が祟ってカウンセラーが付いたようだがそれは文化祭とは関係ないので割合しておく

 

・・・一応慰めの言葉は掛けておいた




おっぱいドラゴンのストーリーを掘り下げまくって一話まるまる使う事も考えたんですが、掘り下げるほどにオール・エヴィルが鬼畜外道になってしまってガチで子供が泣きそうだったので止めましたww

前書きに書いた違う視点としてバアル領に遊びに(?)行く感じにしましたww

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