サイラオーグさんの『ゆるキャラ』の修行に付き合う破目になって先ずは着替える事になった
まぁ被り物程度なら問題ないだろう・・・と、思っていた時期も在ったな(遠い目)
被り物は良い。だが『ゆるキャラ』というのは当然服も用意されているのだがそっちが問題だった
背中の部分に小ぶりの可愛らしい悪魔の翼があり、所謂オーバーオールというスーパーマ〇オの着ている服の短パンバージョン(インナー無し)だったのだ・・・そう、インナー無し故に背中の部分とかほぼ丸見えである。他にもサイラオーグさんの鍛え抜かれた腕や足の盛り上がった筋肉が何とも言えない威圧感を放っている
『ゆるキャラ』ってさぁ、誰が演じても見た目の違いが出ないように極力肌の露出を抑えた格好が普通だと思うんだけど俺の認識が間違っていたのかなぁ?・・・取り敢えず全てが終わったらミスラさんにその辺りの事を伝えておこう
と云うか目の前の気合を入れてるサイラオーグさんと同じ格好をしていると考えると早くも気が滅入って来た・・・このまま脱力系『ゆるキャラ』になれそうな感じだ
「えっと、サイラオーグさん。この『バップルくん』は喋るキャラなんですか?それか鳴き声とか設定されてるんですか?」
一番ノーマルな笑顔の被り物をしたサイラオーグさん(バップルくん)にニヒルな笑顔の被り物をした俺(バップルくん)が問いかける
一応引き受けた以上はちゃんとアドバイスできそうな所はしていきたい・・・でないとこの筋肉盛り盛りのある意味半裸のキャラクターが近い将来バアル領を駆け回る事になりかねない
後日俺のアドバイスを訊いたミスラさんがギチギチの短パンをギチギチ半歩手前のクォーターサイズに変更してくれた・・・その露出への捨てきれない拘りはなんなんだ?
「む?『ゆるキャラ』とはそういった処まで設定が必要なのか?」
「ええ、勿論です。『ゆるキャラ』を誰が演じてもそのキャラの中身、性格がある程度は一致しないと子供たちも如何接して良いか困るでしょうからね。外見だけでなく性格や特技などを設定しておくと良いでしょう」
「うむ!考えておこう!では早速だが移動しようか。俺達の修行場へ案内するぞ」
移動か・・・出来れば俺もうこの『バップルくん』を脱ぎたいんだけどな―――まぁ修行場という事なら人目に付くような事も無いか
半ば諦めながらミスラさんすら伴って魔法陣で転移するとリアス部長が貰ったあの練習場と同じ造りの空間に跳ばされ、そこではサイラオーグさんの眷属の皆さんが修行中だった
嘘だろ!出来れば他人には会いたく無かったのに!それにサイラオーグさんの眷属とは以前テレビ局でチラッと顔を合わせたけど、もしかしてコレが正式な挨拶になるの!?
ミスラさんと二人の『バップルくん』の登場に皆が手を止めて近寄って来る
「ミスラ様!このような場所までお越し下さるとは・・・あの、ひょっとしてサイラオーグ様とイッキ様・・・ですか?」
「うむ。有間一輝に『ゆるキャラ』を教えてもらう事になってな。これから殴り合う所だ」
サイラオーグさんは両腕を組んだ状態で頷きながら答える
というか殴り合うって俺聞いてませんよ!
クイーシャさんが何とも言えない目でこっちを見て来るけど俺は視線を横に向けて哀愁を醸し出すので精一杯だったが、彼女は何となく察してくれたようで憐憫の籠った瞳を向けてくれた
常識人枠は貴女でしたか(ただしツッコミには期待出来ない)
そうして俺は『バップルくん』のままサイラオーグさんの眷属たちと挨拶を交わし、その後はフィールドの中央で二人の『バップルくん』が可視化できる白い闘気を纏って対峙する事となった
此処まで来ると逆に俺の心は既に凪いだ状態だった・・・今なら悟りを開けるかもしれん
「・・・取り敢えず腕を組んで仁王立ちするのは止めましょうか」
そんな二の腕を持つ人が仁王立ちとかしちゃいけません!威圧感半端ないから!
「む?・・・そ・・・そうか、所作の一つ一つにまで気を配る必要が在るとは『ゆるキャラ』の道は思っていた以上に厳しいのだな」
そうして改めて構え合った俺達だけど、コレで一体何を伝えたら良いんだ?
少なくとも『ゆるキャラ』に戦闘力は必要ないはずだが・・・まぁ戦いの中でこそ見えて来るものってのも在るだろうさ・・・多分
それに目の前の『バップルくん』からは闘気と一緒にウキウキとした気配が漂って来てるから無下にしたくないし・・・敵が相手なら叩き潰せば終わりなのに・・・何だろう?俺って実は善意のある相手の方が苦手なのかも知れんな
「良し!では行くぞっ『バップルくん』よ!」
サイラオーグさんは気合の入った踏み込みで足元を破壊し、最短最速で右ストレートを放ってくる
到底『ゆるキャラ』が放っていい威力では無く、俺が避けた先の100メートル近くの地面は衝撃波で抉れてしまっている
「サイラオーグさん。いえ、『バップルくん』!早速ですがレッスン1です。貴方は今『ゆるキャラ』なんですからセリフもゆるく!『良し!では行くぞっ』じゃなくて『良~し♪いっくぞ~♪』くらいは己を殺して"ゆるさ"を出さないとダメです!」
そう言うと彼は動揺しながらも素直に指示には従ってくれた
「ょ・・・よーし!いっくぞっ!」
「声が小さい!腹から声を出せとは言いません!拡声器を通すように遠くまで響く声を意識するように!後セリフの最後は『っ!』じゃなくて『♪』な感じでテンション高めを意識!」
「良ーし♪いっくぞ♪」
「いい感じです!まだ声が固いですけど後はそれを力を抜いて言えるようにしましょう!」
なお、此処まで会話しつつ戦ってる
俺自身、大分可笑しなテンションになってるが、こうでもしないと『ゆるキャラ』同士で殴り合うという今の状況を(精神的に)乗り切れないと思うのだ
「次!レッスン2!体術の在り方!ヒーローならば敵の攻撃を受け止めて反撃でもいいですけど『ゆるキャラ』は本来戦う存在じゃありません!どうしてもという時は観客を魅せるようなアクロバティックな動きを意識して避けるのに主眼を置いてください!サイラオーグさんなら大抵の攻撃は効かないでしょうけど、もしも子供が『ゆるキャラ』が殴られているような場面を目撃したらどう感じると思いますか?」
サイラオーグさんの鋭い蹴りをバク転しながら躱し、問いかける。続く連続パンチもスウェーとステップでヒラヒラと回避していく・・・勿論余裕はないけど、あたかも簡単に避けている風に繕う
「そうか、『ゆるキャラ』は非暴力の象徴であると言いたいのだな?可能な限り、傷つくような事があってはならないのだと!」
「そこまで分かってるならレッスン3です!敵を制圧したい時でも傷を負わせないで気絶を狙う!さっきから何度か顔面パンチが飛んできますけど『ゆるキャラ』が顔面パンチとか論外です!」
「何!?」
「顔はすぐに傷つくから痛々しく変形し易い上に鼻や口から血が流れ易い。俺達の手にはめた『バップルくん』の白い手袋を見てください・・・それを血で赤く濡らして子供たちの頭を撫でてやれると思いますか?それにサイラオーグさんが全力で腹を殴れば相手は血反吐を吐き、『バップルくん』の顔面に掛かるかも知れません。顔面血だらけで子供たちと目線を合わせても怖がらせる事は無いと言えますか!―――だからこそ、手加減が必要なんですよ」
相手の力量を見極めて血反吐を吐かない程度に抑える手加減がね!
それから結局ほぼ一日、サイラオーグさんと闘い続ける事になった
俺もサイラオーグさんもスタミナには自信がある方なのでお昼やミスラさんがおやつ時に焼いてきてくれたアップルパイを食べてる間以外は大体殴り合っていた
時々我に返りそうになるのをねじ伏せて、二人の『バップル君』が時に地上で、時に空中で闘気で白く輝きながら戦い続けたのだった
環境設定で夕陽が差し込む中、お互いの攻撃を捌き、躱しながら演武にして演舞のように闘い続ける二人を見続けたサイラオーグ眷属は最後には『力強くも美しい光景だ』とか大分頭がイカレてしまったみたいだけどな
一応俺も折角の闘いなので先日話題に上がった俺の『攻撃力の無さ』を現時点で限定的にだが埋められそうな考えが在ったのでその練習もコッソリと行っていたりする
そうして今は汗を流してから用意された夕食を食べている所だ
「まさか今日一日お前と殴り合える事になろうとはな・・・このような事は初めての経験だ。それに戦いの中で俺自身、体術に改善の余地が在る事を知れた。同じだけの力でありながら結局、俺の着ていた『バップルくん』しかボロボロにならなかったからな・・・俺はバアル領の顔にもなるはずの『バップルくん』を守ってやる事が出来なかったのだ。これからは時々、『バップルくん』の格好となって眷属たちと模擬戦でもするか―――良い回避訓練になりそうだ!」
・・・うん。サイラオーグ眷属の皆さん。これから時々『バップルくん』が訓練に突撃していくと思うけど強く生きてくれ
その後家に帰ってから俺は黒歌たちに寧ろ俺から抱き着きに行った
一日中『バップルくん』と殴り合って疲弊していた俺の精神には癒しが必要だったのだ
「にゃはは、イッキがこんなになって帰って来るだなんてね・・・何が在ったのかにゃ?」
「流石は大王家・・・という事なのでしょうか?」
「魔窟?」
なお、それから暫くの間お土産に貰ったリンゴを見ると『バップルくん』が殴りかかって来る光景が頭をチラつくようになり、余り美味しく食べられなかった
[イッセー side]
俺達グレモリー眷属は今、俺の家のミーティングルームに集まっていた
これからサイラオーグさんとのレーティングゲームに向けた話し合いをするところだ
はぁ、それにしても冥界の朝刊が俺の予想よりも更に酷い見出しになっているとは思わなかったぜ
「白音ちゃん。イッキ君はもうバアル領に向かったのかな?」
「はい、今日の夜には戻るそうです」
まだ全員は揃ってなかったので木場が白音ちゃんに近場の話題を振った
そう、イッキの奴実は今サイラオーグさんのバアル領に居るんだよな
ヒーローショーで出会った時なんかも仲良さそうだったし、聞いた話によると俺が初めてサーゼクス様に『おっぱいドラゴン』の企画を聞いたあの日、俺達が取材を受けている時に一緒にお茶までしていたらしい・・・まぁサイラオーグさんはとても好感が持てる人なので気持ちは分かるがな
俺もサイラオーグさんとのレーティングゲームが終わったら一度じっくりと話し合ってみたいものだぜ。イッキの奴は遊びに行くついでに殴り合ってくるとか言ってたけど、アイツも大分感性が可笑しなことになってる気がする・・・少なくとも今の俺は模擬戦なら兎も角、サイラオーグさんと雑談ついでに殴り合えるとは思えない―――あの二人の練習は俺の全力に匹敵しそうだ
とはいえ、それは修学旅行前の話でドライグの本来のオーラを発現させた今の俺なら正面から殴り合うスタイルのサイラオーグさん相手でも十分戦えると思う
それでも『トリアイナ』をキッチリ決めなければ勝てると言えないんだけどな
因みにこの場には黒歌さんとイリナにレイヴェルは居ない・・・あくまでもグレモリー眷属としてのミーティングだからな
プロプレイヤーであった黒歌さんやレイヴェルの意見は参考になりそうだけど、最初からそういうのに頼ったりしてたらいけないと思うんだ
今回はアザゼル先生がグレモリー眷属のアドバイザーになったそうだけど、そういう公式に認められてる役職はまた別だしな
「うぅ、僕の周りの男子の皆さんは凄い方ばかりで気落ちしちゃいそうです。僕は部長から『
う~む。赤龍帝の俺より潜在能力が有るかも知れないと言われているギャスパーだけど、確かに今の所はそれらしい力は見た事無いんだよな
コイツも順調に力を伸ばしていってはいるけど自信が持てないのかも知れない
「よぉし!ギャスパー!そんなお前にオカルト研究部男子訓戒を授けよう!訓戒その1!『男は女の子を守るべし!』ほら、復唱しろ!」
「お・・・男は女の子を守るべし!」
「次だ!訓戒その2!『男はどんな時でも立ち上がる事!』」
「お・・・男はどんな時でも立ち上がる事!」
「訓戒その3!『何が起きても決して諦めるな!』」
「何が起きても決して諦めるな!」
「よく言えたぞギャスパー!俺達にとって一番大事なのは能力じゃない!諦めないど根性だ!俺は京都でそれを学んだつもりだ―――俺たちはまだまだ弱いからな。現時点で勝てない敵ってのは沢山居る。けどな!諦めなければソイツに噛み傷を残すくらいは出来るんだ。そうすれば後は仲間たちがそのたった一つの勝機から勝利を引き寄せてくれるんだぜ?」
「は、はいぃ!僕、試合では最後まで絶対に諦めません!相手に噛み付いて、な・・・生臭いのも我慢して血も飲み干してやりますぅ!」
おう!流石はハーフでもヴァンパイアだ。とっても
「良いね、その訓戒。僕も胸に刻んでおこうかな?後でイッキ君にも伝えておかないとね」
「そうだな。仲間外れにしたら後が恐そうだ」
絶対ウルトラハードモードな模擬戦とか仕掛けて来るぞアイツ
そうして雑談していると部長と朱乃さんにアザゼル先生が入って来た
「皆、揃ってるわね。それじゃあミーティングを始めましょうか」
それぞれが席に着き、サイラオーグさんの眷属の最新のデータが書かれた資料を手渡される
こういう情報は随時更新しておかないとダメだからな
相手の能力が解れば対策を立てられるんだから・・・まぁそれは向こうも同じな訳だが
「さて、最初に伝えておく。お前らのアドバイザーに俺が付いたように、サイラオーグの所にもアドバイザーが付いた。なんと例の
「ディハウザー・ベリアルッ!!」
それを聞いた途端に部長が険しい表情となった・・・当然か。ディハウザー・ベリアルは何でも長年レーティングゲームのトップに君臨し続けているという絶対王者
部長の夢がレーティングゲームの覇者になる事なら倒すべき最大の敵であると同時に、恐らくは部長にとって尊敬すべき人物のはずだ
その心中は中々複雑なものが在るのかも知れない
「お前らはデビュー前の悪魔としては既に破格と言っていい。お前らがプロのレーティングゲームに参加すればそれこそ数年以内にはディハウザー・ベリアルとタイトルを掛けて戦う機会も訪れるかも知れん。意識するのは良いが今はサイラオーグとの試合についてだな―――あいつ等はお前らやシトリー眷属と同じく、悪魔では珍しい修行をするタイプだ。前回のグラシャラボラスとの試合で手の内を見せ切ってない奴も居るし、仮に手札を全て晒していたとしてもお前らと戦う時には新技の一つや二つ開発しているかも知れん・・・が、お前ら修学旅行前にサイラオーグの全力の戦闘を見る事が出来たんだろう?その時より極端に強化される可能性は低いと見て良いだろう。イッキに感謝しておけよ?」
「ええ、イッキとの闘いを見ていなかったらサイラオーグが自らに枷を付けてるなんて思わなかったでしょうね。彼のオーラが爆発的に高まったのを見て正直震えたわよ・・・まぁイッキはそんなサイラオーグを倒しちゃった訳だけど―――ねぇアザゼル。少し話がズレるけど、イッキって人間ではどの位強いの?彼以上の人間を少なくとも私は知らないのだけど」
あ!それは俺も気になってたんだよな。ちょっと前までアニメや伝承の中だけの存在と思っていた悪魔とかドラゴンとか、果ては神々とかも居る中でイッキの奴普通に混じって戦ってるんだから
ヴァーリの所にもアーサーってのが居るし、英雄派の奴らだって強敵ばかりだったからな
模擬戦で毎回叩き潰されてる事も相まって俺の中で『人間=弱い』って図式がいまいち成り立た無いんだよね―――イッキを含めてあいつ等が例外だってのは頭では理解出来るんだけどさ
「そうだな、俺の知る中でアイツに匹敵しそうなのは英雄派のリーダーの曹操と俺の処の『
あらら、『最強』にはなれても『最高』にはなれないってか?でも確かにイッキの【一刀修羅】とか詳細を知っていれば全力で時間稼ぎをするだろうからな―――逃げるのは・・・『真・騎士』でも追い付かれそうだ
転移術式も・・・転移する前に斬り伏せられそうだな
時間一杯隠れる・・・仙術使いのイッキ相手に?
強固な守り・・・防御に特化した神々レベルじゃないと突破されるんじゃないか?
此方が複数いれば散り散りに逃げる事も出来るかも知れないけど、一対一だとイッキから逃げられる気がしねぇ・・・『
「ただまぁイッキはお前らと一緒で未だに成長途中だ。最終的に何処まで強くなるのかは俺も興味がある―――つぅか斬撃を空中に『置く』って何だよ?斬撃を飛ばす奴なら幾らでも居るが、そんなのは初めて聞いたぞ。これでも長年生きてるんだがな」
マジか!アザゼル先生でも知らないレベルのトンデモ剣技だったんだな、アレ
いや、確かに俺も一応アスカロンを使ってるけど斬撃を『置く』とか正直理解が追い付かんわ
「確かに、初めてイッキ君と手合わせした時から綺麗な剣筋だとは思っていたけどまさかそんな現象を起こせる領域にあるなんてね。能力を僕に合わせた状態で剣を競ったのもちゃんと勝てたのは最初の内だけだったし・・・この上なく基礎はしっかりしてたから少しの経験で体術や剣術は一足飛びに伸びていくんだろうね」
「確かに、有間の強さは積み重ねの上に成り立っている。その典型なのかもな・・・私はそんな器用な斬撃を放てる気はしないから、取り敢えず空間を切り裂く位を目標にしようか」
『騎士』組はイッキの剣に思う処があるようだ
と云うかゼノヴィア。凄い事言ってるようで、その実脳筋発言だよな?それ?
「・・・そう言えばディオドラ・アスタロトの時、最悪【一刀羅刹】で空間を真っ二つにするつもりだったと言っていました」
そうか・・・アイツは俺の『真・僧侶』の砲撃でも空間を歪ませるのがせいぜいだった
白音ちゃんの発言にちょっと遠い目になり掛けるが、そこでアザゼル先生が"パンパン"と手を叩いて俺たちの意識を集める
「イッキの事はその辺にしとけ。では改めてミーティングを始めるぞ―――まず新しい情報としてはサイラオーグ唯一の『兵士』だが、どうやら駒を6つか7つ消費したらしい」
おっとっと!意識を切り替えないとな
そうして対サイラオーグ眷属の話合いは続いて行ったのだった
ミーティングも終わってそれぞれの休日を過ごし、夕方にもう一度トレーニングを行ってから夜には悪魔としてのお仕事を終えて眠るのには程よい疲れを感じつつもベッドで横になってると部長が入って来た!俺は何時も部長とアーシアと一緒に寝ているのだ!
しかもそれに加えて朱乃さんやゼノヴィア、果てはイリナまで日によっては突撃してくる・・・まぁだからこそお互いにいがみ合って俺のベッドの上で女の子たちが火花を散らしているのは見ていて心臓に悪いんだけどな
とは云え険悪という訳じゃないので俺も強くは言わないようにしている
多分アレはじゃれ合いの延長だと思うんだ・・・男だったら無駄に拳で小突き合うような感じかな?女子の方はちょっと見ててハラハラするけどね。特に部長と朱乃さんは普通に魔力弾が飛び交ったりするから死の気配ってやつを感じるぜ
アーシアはまだ来ていないけど、ゼノヴィアやイリナを含めた教会トリオはよく一緒に居るから話し込んでいるのだろう
そんな事を考えているとスケスケのネグリジェ姿の部長がベッドに入ってきて早速とばかりに俺の頭を掴んでその豊満なお胸に引き込んで来たぁぁぁ!!俺の顔面が部長の素敵なおっぱいに埋没していくぅぅぅ!!
「ねぇイッセー、イッキがレイヴェルと一緒にフェニックス家に行ったのは知ってる?」
「い、いえ・・・初めて知りましたけど、何しに行ったんですか?」
ひょっとしてライザーにまた何かあったのか?人間恐怖症とやらが再発してイッキがもう一度ライザーを叩き潰しに行ったとか?・・・今度こそ再生出来ないくらいに潰されそうだな
「いいえ違うわ。ロキの時にレイヴェルがイッキに逆プロポーズしたでしょう?当然その情報はフェニックス家の方々に伝わってね。後回しにするのも印象が悪いだろうからとレイヴェルの御両親に挨拶に行ったみたいなのよ」
マジか!あの後どうなったのか知らなかったけど、黒歌さんに白音ちゃん、更には将来美少女確定ともいえる九重まで居るのに更にレイヴェルも貰うってか!?・・・いや、確かに告白の後でレイヴェルがイッキの家に住み始めたのを見て薄々感じてはいたけどさ!畜生!何でハーレム王を夢に掲げる俺よりもイッキの方がハーレム王に近づいて行ってるんだよ!?
強さか!強さが足りてないのか!?俺の夢の一つに最強の『兵士』になるってのが在るけど、既に最強の『人間』の候補には入れるとアザゼル先生からお墨付きを貰ったイッキにはまだ届かないのか!?確かに模擬戦じゃ未だに黒星続きだけどさぁ!
「イッセーも同じ男の子なんだからもう少し積極的になっても良いと思うのよ」
「せ・・・積極的・・・ですか?」
むしろ俺、ある意味積極的過ぎて学園の女子から総スカンを喰らってる身なんですが・・・
「ねぇ・・・イッセーは私の事を如何思ってるの?」
「は・・はい!尊敬もしていますし、とっても大切な人です!」
「なら、イッセーは私と・・・如何なりたいの?」
部長が俺の瞳を覗き込むがそこには不安や期待が綯い交ぜになったような色が浮かんでいた
俺が部長と如何なりたいのか―――先ず、この先も部長の『兵士』として付き添っていきたいと思う。将来的には上級悪魔となって独り立ちはするつもりだけど部長の『兵士』である事を止めるつもりはない!
でも、それだとある意味現状のままとも云える
ハーレム王を目指す者として俺は部長とつまりはその、彼氏彼女の男女の仲になりたいと思う
部長は眷属をとても大切にする人だから例えば一緒のベッドで寝るのも木場やギャスパー相手なら拒んだりしないと思う―――だけど俺に対してはスケスケの服で抱き着いて来たり、一緒にお風呂にも入ったり、キスも何度かしているのだ。そのキスも額や頬じゃ無くて(それも在るけど)口と口のキスだ
実は初めてライザーとゲームで戦って家で気絶から目覚めた後、部長から初めて口と口のキスをして貰ったのだが部長はそれを『ファーストキス』だと言っていた
その事からも悪魔の文化でも口でするキスは特別な意味合いが有ると考えるべきだろう
でも俺は部長につり合うだけの存在なのか?俺と部長じゃ身分違いも良い所だし・・・いや、それを言い訳には出来ないか
何せイッキも俺と同じ一般人だし、レイヴェルや九重とも身分の違いで言えば天と地だろう
結局俺はフラれるのが恐いからなぁなぁで過ごしているのか?・・・ちょっと違うかな?当然もしも俺の勘違いでフラれたなんて考えると今後が気不味過ぎて吐き気がするけど、一番の理由は俺が俺に自信が持てないからなんだろう
京都では新しい力に目覚めて曹操をぶっ飛ばしたけど、結局倒しきる事は出来なかったし、そもそもアレはアイツが油断しきってたところに一発当てただけで本気を引き出せてもいなかった・・・話しぶりからして
なら、今度のレーティングゲームは丁度いい機会なのかも知れん
若手悪魔最強であり、あれほど誠実で人の良いサイラオーグさんを倒す事が出来たなら
「部長。その答えですけど、サイラオーグさんとのレーティングゲームが終わるまで待ってもらって良いですか?彼に勝って、気持ち良く伝えたいんです」
そう言うと部長は目を見開いて驚き、俺の言葉の裏の想いを受け取ったのか(そうだと信じたい)「ええ、待ってるわ」と嬉しそうな笑みを浮かべてくれた
「ああ、でもそうなると―――もしも負けてしまったら保留になっちゃうのかしら?」
う゛っ!!確かに負ける可能性は十分に在る・・・勿論負けるつもりなんて無しに全力で勝ちに行くけど負けてしまったらまたなぁなぁで過ごすのか?それは流石に誠実さに欠ける気がする
「ま・・・負けたとしても伝えます・・・約束します・・・だから、勝ちましょう!」
「うふふ、そうね♪勝ちたい理由がまた一つ増えたわね♪」
そう言って部長は俺の上に覆い被さるようにしてキスしようとして来るぅぅぅ!?
ああ!部長の胸の谷間やぷっくらとした瑞々しい唇が迫って来るぅぅぅ!!
“ガチャ!!”
「あらあら、リアスばっかりズルいですわ。イッセー君を胸で包み込むのは私の役目ですのに」
朱乃さん!?そんな素敵なお役目何時出来たんですか!?
「はぅぅ!なら私は体全体を使ってイッセーさんに引っ付きますぅ!イッセーさんは胸だけじゃ無くて女性の体ならどこでも好きですよね!?」
全身で引っ付く!?アーシアは本当に時々大胆な発言をするよね!そして俺は当然胸だけでなく、女性のスベスベで柔らかい体は大好きです!
「おお!見ろイリナ。女が男に覆い被さるという光景は中々に妖艶な感じがするものなのだな・・・成程、これが女性悪魔の持つべき男を虜にする技なのかも知れん―――実際、あの体勢からは容易に抜け出せないからな。相手が抵抗するなら最後は女子力(物理)で押さえつけようという腹なのだろう」
「あわわわわ!リアスさんったら大胆!此処は天使として悪魔の所業というものを実地で検証してレポートに纏める必要があるわね!」
聖剣使いコンビはいっつも何処かズレたご意見を発してくれるよな!?というかイリナ!その纏めたレポートを何処に提出するつもりだよ!ミカエルさんか!?
心の中でツッコんでいると部長は苦笑しながら離れてしまった
「これじゃあ台無しね―――ゲームも近いし、今日は皆で寝ましょうか」
皆でですか!?確かに6人ならベッドにも収まる人数ですけど、それでも結構狭くなりますよ!?
それでも結局全員で寝る事になったのだが、翌朝ロスヴァイセさんにその事が知られて怒られる事となった・・・何だよ、イッキだって女の子と一緒のベッドで寝てるみたいじゃないか
「あちらはちゃんと付き合っていますし、不純な事もしていません・・・京都で彼の
あっ、はい
確かにアレは手を出していないと確信できるレベルだったわ
イッキの置かれた状況に羨ましさと同時に憐憫も感じ、静かに心の中で手を合わせる俺だった
[イッセー side out]
イッセーですがレイナーレのトラウマが無い分原作よりも少し前向きになっています