転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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筆が乗ったので頑張って書きました!


第四話 試合、開始です!

グレモリー眷属とサイラオーグ眷属との試合の当日、俺と黒歌にレイヴェルにイリナさんは試合が行われるアグレアスに来ていた

 

イッセー達は報道陣に顔見せとかもしなければならない為、別ルートで俺達の居るホテルに向かってる処だろう―――試合会場でもあるアグレアス・ドームの隣の高層高級ホテルなのだが俺達も関係者として入れて貰っているのだ

 

「それにしても空中に浮かぶ巨大都市とかまたロマンのある設計だよな。別に此処って最初から土地が浮いていた訳じゃ無いんだよな?」

 

「ええ、このアグレアスは初代四大魔王様方の今は失われた技術で創られた都市であると伝えられていますわ。現ベルゼブブ様が長年解析を行っているそうですが、まだ秘密の全てを解き明かせてはいないのだとか」

 

「冥界は地の底である事が一つの象徴とも云えるからこの『空中都市』って結構意味深よねぇ。あ!でもでも、空中都市っていうなら天界なんて全部そうよ!」

 

「にゃはは、天国がその辺の土地と地続きだったら名前詐欺にゃ」

 

するとホテルに備え付けられている大型テレビから生中継の映像が流れてきた

 

≪ご覧ください!魔王ルシファー様の妹君にしてグレモリー公爵家の次期当主でもあらせられるリアス・グレモリー様がご自身の眷属を引き連れてたった今このアグレアスに到着いたしました!ああっとぉ!更には今回グレモリーチームのアドバイザーを務めているとの情報の入っている堕天使の総督、アザゼル様もご一緒です!これから彼らは試合が始まるまでの間は会場となるアグレアス・ドームの隣のホテルで最後の調整を行うとの事!試合開始まであと7時間を切っております!今夜の一戦は決して見逃せない戦いとなるでしょう!試合の内容も当然の事ながら、おっぱいドラゴンはスイッチ姫の胸をぶちゅうううっと吸うのか!?以上、現場からお伝えしました≫

 

うわ、途中までマジメなリポートだったのに最後の最後で台無しになったな

 

リムジンに乗り込んだリアス部長が最後に一瞬顔を手で覆う仕草が見られたし、多分その手の報道陣の質問が幾つか飛び交っていたのだろう

 

「取り敢えず、すぐにでも此処に到着するだろうから出迎えに行きますか・・・黒歌、リアス部長を揶揄うのはマジで勘弁してくれよ?」

 

「にゃはは♪確かにホテルの中だろうと滅びの魔力をぶっ放してきそうにゃ」

 

それからホテルのロビーに移動すると程無くして皆がやって来た

 

そうしてボーイの人の案内でグレモリー眷属用の軽い運動も休息も出来る特別ルームに案内される

 

その途中で前方から黒いフードを着た骸骨の仮面集団を引き連れた法衣姿の骸骨が歩いて来た

 

隣のイッセーとか驚いてるけど、正直骸骨が歩いてるくらいなら妖怪で見慣れているんだよな

 

ただ、心臓が妙な圧力で負荷が掛かってるようなこの威圧感は確かに気持ち悪い

 

俺だから分かるが魂の部分に奴の発するオーラが肉体とか素通りして干渉してくる感じだ

 

ふぅむ。大分俺も魂感知能力が上昇してきたかもな

 

と、そこでアザゼル先生が目の前で立ち止まった骸骨に話しかける

 

「これはこれは、冥界の下層こと冥府に住まう死を司る神、ハーデス殿。悪魔や堕天使を何よりも嫌う貴方が冥界まで昇って来るとは思いませんでしたよ」

 

「ファファファ!言うてくれるわい。何、最近カラスやコウモリの羽音が五月蠅くての。視察に来たのじゃよ―――出来る事なら戸締りしたいところじゃ」

 

完全に見下して馬鹿にしている感じに対応するハーデス神・・・やっぱコイツがハーデスか

 

「骸骨爺ぃ、ギリシャ神話ではアンタだけは未だに和平に反対のようだな?」

 

「ならば如何する?この老骨もロキのように葬るか?」

 

その一言と共にハーデスの周りの死神(グリムリッパー)の殺気が通路に充満する

 

僅かに手元を上げているのは死神の鎌、デスサイズを取り出す予備動作か?

 

「ゼウスやポセイドン程じゃなくても寛容さを身に付けろっつってんだよ。折角スッカスカの身の上何だ―――筋肉の代わりに優しさを、肌の代わり礼節でも貼り付けたらどうだ?」

 

「儂が身に纏うのは人間の魂と後はこの法衣だけで十分じゃ」

 

二人が完全にいがみ合って空気が重いけど、今この場で一番可哀そうなのは案内役のボーイさんかもな―――さっきからガクガク震えてるし

 

すると埒が明かないと判断したのかハーデスの視線?が今度は俺を向いた

 

え?何で?そこは赤龍帝のイッセーじゃないの?

 

「お主か、儂のケルベロスを切り刻んでくれた人間と云うのはの」

 

ケルベロス(原種)の事かぁぁぁ!!そうですね!お宅のペットのワンちゃんは全ての首を斬り落として胴体も四分割にさせて頂きましたよ!

 

「はい、申し訳ございません・・・ですが、次からはペットは放し飼いにはなさらない方が宜しいかと―――よそ様の庭(人間界)に勝手に赴いて吼えまくるようでは番犬どころか駄犬以下ですよ?躾くらいはちゃんとして頂きたい」

 

ペットの管理も碌に出来ないのかあ゛あ゛ぁん?という思いを少しだけオブラートに包んで伝えておいた・・・ちょっと中身がはみ出してる気もするけど、この神様は敬う必要のない神様だから問題ないだろう

 

「中々生意気な人間のようじゃの・・・どうじゃ?お主儂らの神話に来ぬか?最近は神々に従順な魂ばかりじゃからの。多少は反骨精神を持っとる奴の方がイジメがいも在るというものじゃ」

 

骸骨に虐められて喜ぶような特殊ドM性癖は持ってねぇよ!

 

「まぁ良い。今夜の試合は見させてもらおう―――精々死なぬようにな・・・今宵はお主達の魂を刈り取りに来た訳では無いのでの」

 

そう言って配下の死神たちを引き連れて過ぎ去っていった

 

「北欧時代のヴァルキリーの先輩から話だけは伺ってましたが、あの魂を直接掴まれているような感覚は慣れそうにありませんね」

 

「先生、あの神様は悪神何ですか?」

 

イッセーの問いにアザゼル先生は難しい顔で答える

 

「さてどうかな?アイツの周囲には黒い噂が絶えないんだよ。だが、決定的な証拠は掴ませないし、人間の魂の管理はキッチリとやってる神だ・・・要するに他の神話体系が大嫌いなんだよ。仮に悪事の証拠を掴んでも人間にとっては必要な神だからおいそれと封印したり消滅させたりする事も出来んのだ」

 

「成程、仕事は真面目にやってる上に代わりが利かないから重い罰は下せないって事ですか」

 

それを分かってるからこそ悪質な悪戯をやりまくってるんだな

 

その上で証拠隠滅も余念は無いと

 

「ああ、出来ればロキみたいに封印してやりてぇ神様だよ」

 

 

 

 

 

 

その後、同じくギリシャ神話の主神のゼウス様やポセイドン様という暑苦しい筋肉神様コンビやタンニーンさんにオーディンとも出会って(ロスヴァイセさんが鬼の形相で追いかけてた)から漸く用意された部屋に付いて一息つけるようになった

 

今は皆思い思いの方法でリラックスしたり体を温めたりしている

 

イッセーはジョギングしていたり祐斗はゆったりと剣筋を確かめるように素振りしていたり、逆に今はゆったりした時間を過ごしたいのか(流石に時間が迫れば最低限体は解すと思うが)リアス部長は本を読んでたり、アーシアさんとか使い魔のラッセーと戯れたりしてるな

 

そうしている中で俺はと云えばアザゼル先生に呼び出されていた

 

「それで話というのは何なんですか?」

 

「ああ、実はまだ確定している情報という訳じゃないのだが現状、これ以上の情報は出てきそうにないんでな。折角アイツに出会った訳だしお前さんには伝えておこうと思ってよ・・・例の『龍喰者(ドラゴン・イーター)』についてだ。重ねて言うがまだ確定情報じゃない。それでもお前さんに伝えるのはお前がそういう情報を知っても無難に動けそうだからだ・・・まだまだリアスたちは実戦における精神的な割り切りってのにはケツの青い部分があるからな。黒歌に伝えるか如何かの判断はお前に任せるから取り敢えず聞け」

 

おお!アザゼル先生にそういう評価を貰えるとはかなり嬉しいものが在るな!黒歌には・・・ぶっちゃけ俺の中でほぼ確定情報だから伝えておこう

 

「お前さん、『サマエル』の名は知っているか?」

 

「確か、アダムとイブに知恵の実を食べるよう唆した蛇でしたっけ?」

 

他には海を割った事で有名なモーセを天国に連れて行こうとして杖で殴られて失明して神様に心配されるでもなく怒られたとか・・・うん、俺ならグレるわ

 

「そう、その事が原因で『サマエル』は聖書の神の怒りや憎しみなどの負の感情を一身に受ける事になる。その本質は蛇やドラゴンを嫌う極大のドラゴンスレイヤーという呪いとして顕現した―――英雄派は魔帝剣グラムを持ち、グレートレッドと同格のオーフィスを目にしているにも関わらず効果を見込めると考えている程の代物となると俺の知りうる限りでは他に存在しない」

 

まぁ実際『サマエル』ってヤバいよな

 

グレートレッドやオーフィスと同格とされるトライヘキサを各神話の主力陣営が1万年は掛けないと倒しきれないとされているのに原作ではオーフィスを数分で力の殆どを分割したし・・・消滅させる事を目的としても10分も在ればオーフィス消滅してたんじゃないか?

 

そう考えると弱点特効の恐ろしさったらないぜ

 

「それでだ。その『サマエル』は今、ハーデスの管理する冥府こと地獄の最下層のコキュートスに封印されている・・・だがあの骸骨爺なら俺達の和平への嫌がらせだけにコキュートスの封印を解くという可能性も無くはないって話だ―――一応、ミカエルやサーゼクスにもこの可能性は示唆したがアイツらも信じられないって反応だったぜ。正直言えば俺もそうさ。それくらいには『サマエル』って存在は各勢力間においても禁忌とされてきた代物だからな。出来れば勘違いであって欲しいものだよ」

 

溜息を吐くアザゼル先生だけど、もしかして半分くらいは俺に愚痴を溢す為に話してませんか?

 

でも実際明確な証拠も無しだと幾らでもしらばっくれるのが政治とも云えるんだよなぁ

 

「ん~、根本的な解決にはならないですけどアザゼル先生。こういうのって作れませんか?」

 

だからちょっとした思い付きでアイテムの作成を提案する

 

すると割と乗り気な反応が返って来た

 

「ふむ。確かにお前らはバカみたいに事件に遭遇してるからな。上手くいけば多少の意趣返し程度にはなるだろう。『サマエル』ってのは本来取り扱っちゃいけないレベルの劇薬なんだからな―――良し分かった。作っといてやるよ。他にも思いついた事が在れば言ってくれよ?アイツ相手に受け手に回ってるだけじゃ何時か取返しの付かないレベルの爆弾を仕込まれるからな」

 

今回は『サマエル』でしたけどね・・・と云うかもしもグレートレッドが死んで悪い方向に世界が崩れて皆死んじゃったなんて状況になってたらハーデスの奴どうするつもりだったんだろう?

 

それとも世界が無くなる事なんて無いって高を括ってたとか?・・・火薬庫で火遊びしても自分だけは大丈夫とか思ってるタイプか・・・うわ!マジで滅べよ!

 

そうしてハーデスの事を話し合った後は皆の所に戻って軽い組手に付き合ったり白音を膝の上に乗せて仙術で気を整えながら雑談したりして過ごし、試合開始の時刻が近づいて来た

 

「ふふ~ん!私達はおっぱいドラゴンのファンたちの居る席のチケットが貰えたからそこで皆の事を応援させて貰うわね!何と私!応援団長にも任命されたから旗も持って盛り上げるわよ♪」

 

俺達はグレモリー家からチケットを貰っているので観客席の最前列が指定席だ

 

イリナさんがとっても張り切ってる中で俺はイッセーに語り掛ける

 

「イッセー、サイラオーグさんもその眷属も色んな意味で強敵だ―――ハッキリ言って戦いの終盤ではこの場に居る何人かは倒されていると思う・・・お前はまだ『心は熱く、頭は冷静に』何て器用な事は出来ないだろうからアドバイスを一つ言っとくぞ」

 

「仲間がやられるとかすっげぇヤな事言うな・・・でも、確かに冷静じゃいられないかも知れないな。それで?アドバイスってのは?」

 

「単純だよ。サイラオーグさんは互いに誇りを掛けて戦って、その上でも感じてしまうお前の理不尽な怒りも真っ正面から受け入れてくれる人だ―――全ての感情はサイラオーグさんだけにぶつけろ・・・それだけで良い」

 

原作のクイーシャさんとの闘いとかがそうだろう・・・誇りを掛けて闘って、その上で殺してしまったとかなら兎も角、怒りの捌け口として殺してしまったとかだと後で絶対後悔してたはずだ

 

「そうだな。分かったよ。俺はただ全力でサイラオーグさんをぶん殴るだけで良いんだな?」

 

「ああ、シンプルだろう?」

 

「了解だ・・・なんだか完全にサイラオーグさんにおんぶに抱っこみたいな感じでカッコ悪いけど、もしも自分が抑えられそうに無かったらお前のアドバイスを思い出すよ」

 

ああ、それで良い

 

お前は力を向ける相手さえ間違わなければ『おっぱいドラゴン』でいられるはずだからな

 

「イッキ先輩、お願いがあるんですが・・・」

 

俺達の会話が終わったのを見計らったのか今度は白音が話しかけてきた

 

「ん?如何した?」

 

「この試合に勝てたら先輩の方からキス・・・して貰っても良いですか?」

 

顔を赤らめて上目使いの白音が可愛すぎてヤバいんですけど!何この可愛さにステータス極振りしたような存在!何時もの黒歌のエロい攻めとは別方向で俺の理性を剥がしに来てるんだけど!

 

「あらあら、白音ちゃんも随分と大胆になりましたわねぇ♪」

 

「ええ、でもこのままでは白音に水をあけられてしまうわ。先輩として先ずは同じ土俵に立つ為にも絶対にこの試合で勝たないといけないわね―――良い雰囲気になってそのまま勢いで・・・」

 

ちょっとリアス部長が肉食獣の雰囲気醸し出してませんか?

 

まぁいい、今は放っておこう・・・どうせ何も起こらんと思うし

 

「むぅ、私も何かイッキ様に褒めてもらえるシチュエーションが欲しいですわね」

 

「まっ、今回は白音に譲りましょうか―――レイヴェルは雰囲気とかを重視するタイプかにゃん?私は気の向くままに襲っちゃうけど♪」

 

「はい。ですが日常の中で自然と交わされるキスというのも憧れますわ・・・ただ、黒歌さんはもう少しだけイッキ様に迫るのを手加減して頂いた方が宜しいのではないかと・・・イッキ様が時折オーラのコントロールがブレる程に理性が跳びかけてますから」

 

うん。レイヴェルにモロバレするレベルでマジで生殺し状態です

 

寝る時とかレイヴェルや白音は俺を気遣ってなのか頬にキスくらいで済ませてくれるけど、黒歌は首筋に舌を這わせたり耳を甘噛みしてきたりと俺の理性を溶かしに来てる・・・以前手加減してると言ってたように割とすぐに止めてはくれるんだけど理性が残ってる内に【一刀修羅】で意識の強制シャットダウンだ

 

・・・というか後輩達にそんな風に気遣われている時点で俺はかなり限界だと思う

 

でも今回は白音にとっても正式に付き合ってから初めてのレーティングゲームの大舞台だ

 

ちゃんとその願いは叶えてやりたい

 

「分かったよ―――なら、もしも負けたら如何する?その時もキスする?」

 

慰めのキス的な意味で・・・うわ!セリフだけ見ると凄くキザっぽい!

 

「要りません。その方が気合が入るので・・・ただ、頭くらいは撫でてくれると嬉しいです」

 

了解。心を籠めて撫でさせていただきますよ

 

 

 

 

 

 

 

遂にその時がやって来た

 

今、俺達の居るアグレアス・ドームは観客で完全に埋まっている

 

俺達の座る席は『おっぱいドラゴン』のファンの子供たちが関連グッズの帽子や玩具を手に取って興奮した面持ちだ―――イリナさんは気合が入るからと教会の例の戦闘服で会場入りしようとしていたが取り敢えず胸元に在った十字架は仕舞ってもらった・・・危うく体調不良者が続出するところだったぜ

 

≪会場にお集まりの皆さま!長らくお待たせいたしました。いよいよ世紀の一戦が始まります!まず最初に東口ゲートから入場するのはサイラオーグ・バアルチームです!!≫

 

「「「「「「わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!!」」」」」」

 

会場のボルテージが一気に爆発し、叫び声という形で広大なドームを満たした

 

サイラオーグさん達が入場し終わり、実況も次に移る

 

≪続いて西口ゲートより、リアス・グレモリーチームの入場です!!≫

 

先程の歓声に負けないレベルの大音量が響き渡る

 

この『おっぱいドラゴン』ファンの席では子供たちを中心にした『おっぱいドラゴ~ン!』とか『スイッチ姫~!』とか『ずむずむいや~ん!』とかの声を中心に聞こえて来る

 

子供たちの奥方様たちは『ダークネスナイト・ファング様~♡』とかグレモリーチームは眷属一人一人の知名度が高い事が窺えるな

 

そうして司会進行・実況役に元72柱の一角、ナウド・ガミジン、審判(アービター)役に転生悪魔にして最上級悪魔のリュディガー・ローゼンクロイツ、特別ゲストの解説役にアザゼル先生とレーティングゲームのトップに君臨するディハウザー・ベリアルが紹介された

 

それから発表されたゲームのルールは『ダイス・フィギュア』だ

 

実況のガミジンさんがルールの説明をしていく

 

≪ご存じでない方の為に改めて『ダイス・フィギュア』のルールをご説明させて頂きます。使用されるダイスは通常の六面ダイス。それを両陣営の『王』が振り、出た目の合計数字により、試合に出せる選手が決まるのです―――これは人間界におけるチェスの駒価値というものが反映されております!『兵士』の駒価値は1、『騎士』と『僧侶』は3、『戦車』は5、『女王』は9となっており、例えば出た目の合計が8だった場合はその駒価値を超えない範囲であれば選手を出すことが出来るのです。『騎士』ならば2人まで出せますし、『戦車』と『騎士』または『戦車』と『僧侶』なども合計が8となるので出場させることが可能です。なお転生する際に複数の駒を消費された眷属の方は消費した分だけの駒価値となりますのでご注意下さい。『おっぱいドラゴン』こと赤龍帝の兵藤一誠選手は転生に『兵士』の駒を8つ使われたとの事なので駒価値は8となる訳です≫

 

「ん~、もしも俺がイッセーと同じように何も知らずにいたら駒価値ってどの程度だったんだろう?優秀な神器を持ってるサジが4だろ?俺の神器は基本ハズレ枠だし、2・・・とかか?」

 

「イッキ、【一刀修羅】と【じばく】を加味するのを忘れてるにゃ・・・まぁその二つも鍛え上げなきゃハズレ枠だし、3か精々行っても4とかじゃないかにゃ?」

 

「今のイッキ様は『戦車』二つでも転生できるか怪しいですがね。もっとも、『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の駒価値は転生する本人の資質や実力以外にも主となる悪魔の資質・実力により変動しますのでその辺りは結構曖昧な部分があるんですのよ?それに例えば資質だけ見れば1程度でも『女王』の駒で転生させれば対外的には駒価値は9になりますわ―――少し極端な例でしたが趣味で眷属を作る上級悪魔ならそういう事も起こり得ますわ」

 

そっか、レーティングゲームに興味ない悪魔とかならそんなのもあり得るのか

 

≪なお、合計数字以下の選手が両陣営ないし片方の陣営に居ない場合はダイスの振り直しとなります。そして出場選手は連続してバトルに出る事は出来ない処もこのゲームの胆となりますね≫

 

それが出来ればアーシアさんと白音の回復で誰が相手でも一定の成果を出せる祐斗が潰れるまで連続出場!とかも評価を気にしなければ出来るもんな

 

≪レーティングゲームの基本ルールに則り、『王』が獲られた時点でゲーム終了となりますが、その『王』の駒価値は事前の審査委員会の評価によって決定しております―――さあそれでは発表いたしましょう!リアス・グレモリー選手とサイラオーグ・バアル選手の駒価値はこのようになりました!≫

 

会場の各所にある巨大スクリーンにはリアス部長とサイラオーグさんが画面を二分するように映し出されてその下の方に大きくそれぞれの数字が表示された

 

≪おおぉぉっとぉぉ!リアス・グレモリー選手が『8』、サイラオーグ・バアル選手が『12』となりましたぁぁぁ!サイラオーグ選手の方が高評価ですが逆に言えば最大の数値が出ない限りは出場できないという事になります!両陣営がそれを踏まえてどんな采配をするのかに期待が寄せられます!———さあ、それではいよいよレーティングゲームを開始いたします!『王』の方は専用の台に赴きダイスをお取りください!≫

 

二人の『王』がお互いに視線を逸らさずに台の前に歩いて行き、ダイスを手にした

 

≪それでは第一試合の選手を決定いたします!ダイス・シュート!!≫

 

そうして出た合計数字は3だった

 

「これは・・・木場様一択となりますわね」

 

「まぁ『僧侶』は完全にサポート特化だからな」

 

「ゼノヴィアっちも単独で戦えるけどゆっちーの方が安定してるからにゃ~」

 

「う~ん。元相棒としてフォローしたいけどフォロー出来ない」

 

あはは、まぁエクスカリバーの能力を使いこなせてない今の彼女じゃね

 

というか『ゆっちー』何だ・・・黒歌ってあだ名付けるの好きだよね

 

それから5分間の作戦タイムを経てバトルフィールドに現れたのは祐斗と馬に乗った甲冑騎士、『騎士』のベルーガ・フールカスさんだった

 

この間俺とサイラオーグさんの着ぐるみファイトを見て『力強くも美しい光景』とかほざいていたのは地味にこの人だったりもする

 

お互いに『騎士』というよりは騎士として名乗りを上げ、審判の号令の下戦いが始まったが祐斗はベルーガさんの愛馬の『青ざめた馬(ペイル・ホース)』の速度をすら上回り、徐々に刃が掠めていく

 

聖剣としての特性も持つ聖魔剣で斬られた彼は浅いとは云え傷口から煙を上げていた

 

このままでは放って置いてもリタイアになると踏んだベルーガさんが大量の実態のある分身を生み出して祐斗に迫るが少しの打ち合いで本物を見破った祐斗が分身を切り払って本体に斬り込み、そこで勝負は決した

 

「まっ♪私にイッキに白音と周囲に三人も幻術を織り交ぜて戦う人が居れば自然と感覚も研ぎ澄まされるわよねぇ」

 

「黒歌の幻術は完成度高すぎて祐斗が見破った事は無いけどな」

 

続く第二試合のダイスの合計数値は10でグレモリーチームは白音とロスヴァイセさんの『戦車』コンビでバアルチームは『騎士』のリーバン・クロセルさんに『戦車』のガンドマ・バラムさんの二人が出場だ

 

試合が始まってから白音は終始バラムさんを圧倒し、ロスヴァイセさんは視界を媒体にする重力の神器と氷の魔法で動きを封じられたものの、光を上手く使った転移魔法でクロセルさんの視界を鈍らせつつ自分とバラムさんの居場所を交換してすかさず魔法のフルバーストを放ち、相手二人を吹き飛ばす

 

だがリタイアしかけながらもクロセルさんが重力で二人を拘束し、全身ボロボロのバラムさんが叩きつけるような攻撃を放つ

 

≪まだです!≫

 

闘気を全開にして身体能力を引き上げた白音がロスヴァイセさんを連れてその場から脱出した

 

≪それは此方も同じ事!お返しするぜ、お嬢さん!!≫

 

攻撃を避けて着地した二人の目の前に再びバラムさんが急遽現れてリタイアの光に包まれながらロスヴァイセさんを最後の力で殴り飛ばしてしまった

 

恐らく見ている視点を基点として発動する神器に予め転移の術式を連動できるように仕込んでいたのだろう―――重力で捉えて次の瞬間にはバラムさんの攻撃が決まるように・・・最初にロスヴァイセさんに仕掛けた時は白音にフルボッコにされてる最中だったから無理だったみたいだけどな

 

いや~、クロセルさん技巧派だわ

 

ともあれコレでロスヴァイセさんはリタイアとなってしまった

 

バアルチームも二人ともリタイアだけどな

 

―――で、お次の出た目は8だったがこれまた酷かった

 

誰が出場するかは相手チームに分からないように作戦タイム中は結界が張られるのだがその前にサイラオーグさんが『僧侶』のコリアナ・アンドレアルフスさんを出すと宣言した

 

これには観客も実況も騒めいた

 

≪おおっとぉ!?これは出場選手の予告宣言でしょうか?サイラオーグ選手、その理由は?≫

 

「兵藤一誠のスケベ技に対抗できる術を彼女が持っていると言ったら『おっぱいドラゴン』はどう答える?」

 

その挑発にイッセーが受けて立ち、宣言通りに転移先のフィールドで二人は対峙する

 

京都の一件を経て10秒程で禁手(バランス・ブレイカー)となったイッセーを相手にデキる金髪グラマーOL的なコリアナさんはストリップショーを開始した!

 

「み・・・見ちゃいけませんわイッキ様!」

 

まぁ俺の場合はレイヴェルが後ろから両手で俺の視界を塞ぎに来たので見れないのだが、レイヴェルに半ば抱き着かれている状況なのは役得と云えるのかな?

 

≪ご覧ください!コリアナ選手の魅惑のポーズとストリップショーにより会場の男性客が無言で見つめております!アザゼル総督、コリアナ選手の作戦は確かに兵藤一誠選手の動きを完全に封じておりますが、この後どうやって勝つつもりなのでしょうか?≫

 

≪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・≫

 

解説しろよ!アザゼル先生!

 

≪え~、アザゼル総督はただいま大変お忙しいようなのでバアルチームのコーチを務めたというディハウザー・ベリアル様にお聞きします。アレにはどういった意味が在るのでしょうか?・・・いえ、意味など無くとも大変素晴らしい光景なのですが≫

 

≪はい。コリアナ選手のストリップショーには所作の一つ一つに魔法の術式が込められております。アレを集中して見れば見る程に術式が複雑に絡まって行き、最後には文字通りに金縛りを受けるでしょう。彼らの実力差では普通ならすぐに解けてしまう魔法もイッセー選手から進んで魔法に掛かりにいく事で簡単には抜け出せないようにするのです≫

 

≪なんと恐ろしい術式でしょうかぁぁぁ!!?男心を弄ぶ!コリアナ選手、まさに魔性の女であります!これは『おっぱいドラゴン』、破れてしまうのかぁぁぁ!!≫

 

あ!そんな術式仕込んであったんだ。成程、魔法自体は最初に発動させておけば乳語翻訳(パイリンガル)を受けてもどの順番で脱ぐかの方に意識が向くから最後まで気づかれないと

 

スゲェ馬鹿々々しいようでその実、計算され尽くした戦略だったんだな!

 

だが最後にイッセーの≪そこはブラジャーからのパンツでしょうがぁぁぁ!!≫の叫び声と共に爆音が響き、イッセーの勝利のアナウンスが告げられた

 

「イッキ様、もう見ても大丈夫ですわよ」

 

レイヴェルも手を放してくれたけど実況で大体伝わってるんだけどね

 

いよいよ中盤とも云える第四試合はダイスの出目は再び8でゼノヴィアとギャスパーの二人に対し、向こうは『戦車』のラードラ・ブネさんと『僧侶』のミスティータ・サブノックさんだ

 

見た目はひょろ長いおっさんと男の娘だな

 

なんとこの試合って男の娘同士の戦いでもある訳だ!・・・だから何だって話だが

 

そうして始まった試合だが最初にラードラさんがドラゴンの姿に変身し、ゼノヴィアがデュランダル砲を撃とうとした処でミスティータさんが神器の呪いでゼノヴィアの聖剣を扱う力を封じてしまった

 

ゼノヴィアを蝙蝠に変身したギャスパーが岩陰に隠して解呪の儀式を行い、単身で時間稼ぎにドラゴンに立ち向かい、先日イッセー達が俺にも教えてくれた『オカルト研究部男子訓戒』を口にしてどれほどの大怪我でも意識だけは繋ぎ止め、呪いが解けたゼノヴィアをリタイアするその瞬間までサポートする事で勝利が決まった

 

「もしかしなくてもこの試合のMVPはギャスパーなのかもな」

 

「はい、もう断言しても良いと思いますわ」

 

「あのギャスパー君があそこまで漢を見せるなんてね。私、いろんな意味で涙が出て来ちゃった」

 

「にゃははは♪この試合が終わったら早く元気になれるように白音と一緒に特製ニンニク料理のフルコースを御馳走しようかにゃ?」

 

いや、止め刺して如何するよ

 

まぁ試合中は厳しい表情をしてた黒歌だからそんな悪戯はしないと信じたい・・・しないよね?

 

グレモリーチームがギャスパーの試合を見て厳しくもより一層覚悟の決まった表情をする中、次に出た目は9だった

 

作戦タイムが終わり、フィールドに転送されたのはお互いの『女王』という『女王』対決

 

試合が始まってからフィールドを飛び回りながら炎や氷、風、水、通常の魔力弾と至る場所で魔力が弾けた。ここまでは互角だが朱乃さんが更に魔法を併用し始めて手数を増やす事でクイーシャさんに防御越しとは云え何発か被弾させた

 

≪ッツ!魔法を扱うという情報は無かったわね!≫

 

≪ええ、当然ですわ。私もつい最近習い始めたばかりですから手数が2倍とは言えませんけれど―――なので、私が優位に立てるうちに押し切らせて頂きます!雷光よ!≫

 

得意の雷光を魔法と一緒に広範囲に撃ち放ち、勝負を決めようとする朱乃先輩だがクイーシャさんがアバドン特有の魔力である(ホール)をデータに無いレベルで広げて、全身を包み込む事により大規模攻撃を無力化した

 

そして朱乃先輩の周囲に(ホール)を複数展開させ、光の属性だけを抜き出してカウンターを行い、朱乃先輩の防御を貫通してリタイアとなった

 

「にゃは~、ロセっちに防御の魔法を習えなかったのが響いちゃったわね」

 

「黒歌は魔法を教えなかったのか?防御の魔法も使えるだろう?」

 

「最初に覚えたのが北欧の術式だったからね。最初から複数の術式に手を伸ばすのは初心者には良くないから長期的な成長を考慮して断念したにゃ」

 

って事はリアス部長もパワーファイターが魔法で更にパワーを伸ばした形でこの試合に臨む事になったのか・・・・ロスヴァイセさん、怪我の治療はもう終わって病室で観戦してると思うけど、今頃頭抱えてるかも知れないな

 

朱乃先輩が倒され、再び振られたダイスの映像に会場が活気づいた

 

≪あああああ!ついにこの数字が出てしまいました!出た目の合計は12!これはつまりサイラオーグ選手が出場できるという事です!≫

 

実況に応えるようにサイラオーグさんは上着を取り払い、結界で中が見えなくなる前に転移場所に立つ―――隠すものなど何もないという事なのだろう

 

そうして時間となりフィールドに転送されたのはサイラオーグさんと白音、祐斗、ゼノヴィアの3人だった。それを見てサイラオーグさんは笑みを深める

 

≪リアスの案か?———成程、どうやら『王』としてまた一歩成長したようだな≫

 

≪ただでは死にません。最高の状態で貴方を赤龍帝に送り届ける!≫

 

≪あと言っておくが負けるつもりなど無いからな!≫

 

≪少しでも油断すれば、そこで試合終了(ゲーム・オーバー)だと思って下さい!≫

 

3人がそれぞれの闘志をサイラオーグさんに叩きつける

 

≪素晴らしい!お前たちは何処まで俺を高まらせてくれる!≫

 

前口上は終わりと判断したのか審判(アービター)役のリュディガー・ローゼンクロイツが静かに手を上げ、両チームの選手がそれぞれ構える

 

≪それでは第六試合、開始してください!≫

 

振り下ろされた掌と共に試合開始のブザーが鳴り響いた!




今回は試合は基本ダイジェスト版に近い形で書きましたがチラホラと違いが見られる感じですね

流石にサイラオーグとの戦いとかはちゃんと書きたかったので次回に持ち越しです・・・でも試合内容どうしよう?まぁ思いつくままに書いていきましょう!

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