[木場 side]
ジークフリートを倒した(?)僕は急いでリアス部長達の居る場所に合流する為、翼を広げて空を飛ぶ。まだ連続した爆発音が聞こえるので戦いは終わっていないようだ
それにジークフリートが使用していた『
あの薬でどれほど戦闘力が引き上がるか体験した僕が前線に立たないと場合によっては初撃で命だって落としかねない。それほどの代物だ
程なくして辿り着いた場所は高層ビルの建ち並ぶ所で広い道路が在り、シトリー眷属とグレモリー眷属が大型バスを守るように配置していた
よく見ればバスの車輪は外れていて中に居るのは幼い子供たちが大半だ。恐らく幼稚園のバスのようなものが何らかの形で戦禍に巻き込まれてしまったのだろう
「遅れてすみません」
「祐斗!無事で良かったわ!ジークフリートは倒せたのかしら?」
当たり前の事だけど中々答えずらい事を第一声に聞かれてしまった。ジークフリートの持っていたフェニックスの涙は取り上げた上に一応縛っておいたし、そもそも詳しく語ろうと思ったら簡潔に纏められる自信がないから後で報告書で提出しよう
面倒を後回しにした僕はリアス部長に返事をする
「はい。ただ思った以上に苦戦しました。英雄派は神器の力を大幅に強化する薬を持っているようです。此方ではまだ使われていないようですが・・・いえ、そもそも今誰が戦ってるんですか?」
そうだ。この場には何時も一番に敵に向かって突撃していくイッセー君が居る
シトリー眷属も何人かダメージを負った様子はあったが既にアーシアさんの力で回復は済んでるみたいだし、眷属も全員揃ってる。この場に居ないのは・・・ギャスパー君か!
いや、彼が一人で戦ってるなんて在り得ないだろう。きっと蝙蝠に変身して周囲に逃げ遅れた人が居ないか物理的に捜索してるに違いない
白音ちゃんの仙術の探知も瀕死の状態で生命力が弱まってる時やテロリストから隠れる為の結界を張ってる場合は流石に精度が落ちるらしいしね
そう結論づけてるとビルの影から巨漢の男が吹き飛ばされて地面に激突し、それを追う様に一人の女性が現れ、別の場所にはゲオルクも霧の転移でやって来た
地面に倒れたのは英雄派の幹部のヘラクレスだ。既に
そうか、この一帯に響いていた爆音の主な発生源は彼のようだね
「クソっ、ジャンヌ!テメェ裏切りやがって!!」
「そうね。仮にも仲間だったんだし、それについては謝っておくわ」
ヘラクレスと同じ幹部のジャンヌ!?何故彼女が同じ英雄派に牙を剥いているんだ!?
ジャンヌは背後に京都で遠目に見た時よりも力強いオーラを纏った聖剣で出来たドラゴンを従え、右手に剣、左手にアレは本か?それを抱えている。聖女の魂を引き継いだという彼女なら教会の戦士たちのように聖書を武器として扱う事も可能なのだろう
しかし、本当に何故彼女が?そう思っているとサジ君が状況を説明してくれた
「初めは俺達が護送していたバスに大量のミサイルが飛んできて、それを皮切りに英雄派との戦闘に入ったんだ。だけど・・・その・・・会長が敵の幹部のジャンヌ・ダルクをとある手段で買収して、その忠誠を確かめる意味も込めてあのジャンヌって人に一人で戦わせてるんだ」
買収!?買収だって!?少なくとも英雄派の連中がお金で釣られるとは思えないけど一体何を差し出したって言うんだ?
疑問に思っているとジャンヌがテンション高く独白し始めた
「ああ!我が主様!駒王学園の裏のルートで僅か5冊しか刷られなかったという伝説の聖典!―――『
ハ・・・
ジャンヌが左手に持っていた本を掻き抱くようにしてるからアレは聖書とかじゃなくてその『
丁度今彼女が動いてないので悪魔の視力で目を凝らしてよく見てみると如何やら薄めの本を2冊抱えていたらしい事が窺える―――片方には末尾に『
そして何故椿姫先輩はさっきから顔を真っ赤にしているんだい?
「彼女が今抱えている本の作者は椿姫なのです・・・京都での戦いについては私も報告書を読ませて貰いました。その中であのジャンヌという者が駒王学園の漫研を主体として流通させていた創作物たちに強い興味を抱いていたと分かったので何時か役に立つ可能性も考慮し、(BL本の)裏ルートに通じている人物を洗い出し、一番レア且つ人気の高い作品は何かと
「会長・・・『コレが欲しければ仲間になりなさい!今なら作者であるここに居る椿姫の直筆サインも付いてきます』って言ったらあのジャンヌってヤツ、速攻で隣に居た仲間を吹き飛ばして副会長の前で片膝ついて忠誠誓ったんだよ・・・見惚れる程の忠義心を感じたぜ。しかもそれから明らかにあのジャンヌの神器の力が跳ねあがったんだ。会長が言うには神器の力の源である強い心・・・信仰心を手に入れたのが原因だって話だ」
そ・・・そうなのか。椿姫先輩はテロリストの心さえ入れ替える程の書物を執筆出来るだけの文才も有しているんだね。グレモリー眷属とシトリー眷属の『王』と『女王』は皆文武両道だよね
「それだけ心に響く本だと云うのなら今度僕も見せて貰おうかな?」
そう言うと椿姫先輩が今まで見た事無いくらいに狼狽えだした
「だ、だ、だ、ダメです木場きゅん!」
きゅん?噛んだのかな?
「あ・・・あの本はですね。とても特定の読者層の趣向に合わせた本となってまして木場君が見ても楽しめないだろうと言いますか・・・見ないで欲しいと言いますか・・・」
普段のキリっとした感じと正反対のしどろもどろした様子の彼女を見て僕は察した。成程、自分の作品を身近な人物に見られるのが恥ずかしいという話なんだね。それだと無理に見るのは止した方が良さそうだね。残念だけど諦める事にしようか
そう伝えると彼女は心底ホッとした様子を見せた
だがそんな彼女に此方に向かってきているヘラクレスのミサイルを全て迎撃しながら追い詰めているジャンヌが大声で話しに割り込んで来た
「
「な、な、な、な、な、何を言ってるのですかジャンヌさん!」
椿姫先輩が先程とは比較にならないくらいに動揺している。図星だったのかな?でも椿姫先輩が僕に攻められたい?ああ、そういう事か
「椿姫先輩。僕で宜しければ模擬戦には何時でも付き合いますよ」
「えっ、あのっ、木場君。今のは違くて・・・模擬戦?」
まだ動揺してたのか僕の言葉が聞こえて無かったみたいなのでもう一度提案する事にする
「ええ、模擬戦です。僕に攻められたいと云うのは詰まり、僕と特訓がしたいという事ですよね?薙刀を使った堅実な守りを得意とし、神器の能力もカウンタータイプの椿姫先輩が聖魔剣や騎士団、それにスピードも相まって全方位から細かい攻撃を仕掛けられる僕との模擬戦で力を高めたいと思うのは自然な事だと思いますし、僕自身もカウンター使いとの特訓は望むところです。一緒に頑張りましょう!」
そこまで言うと椿姫先輩は今度は顔を両手で覆ってその場にへたり込んでしまった
「つ、椿姫先輩?」
咄嗟に声を掛けようとするがシトリー眷属唯一の一年生の仁村さんが瞬時に僕と彼女の間に両手を広げて立ち塞がった
「ダメですよ木場きゅんパイセン!」
木場きゅんパイセン!?そんな呼ばれ方は初めてだ!
「これ以上木場きゅんパイセンが副会長にそんな無垢でつぶらで穢れの無い視線を向けたら副会長が罪悪感で潰れちゃいます!」
仁村さん。キミは一体何を言っているのか僕には理解できないよ!
「そうか・・・副会長って隠れMだったんだな。こりゃ意外だぜ」
イッセー君が後ろで小さくボソボソと何かを言っていたけど少し聞き逃しちゃったな
椿姫先輩はもう目を瞑って耳を塞いで"イヤイヤ"と形容出来そうな感じに頭を振ってるんだけど、もう普段の凛とした彼女のイメージが崩壊しちゃってるよ
そんなに僕は変な事を言っちゃったのかな?
「ねぇソーナ。流石にアレは椿姫が可哀そうじゃないの?」
「いえ、リアス。アレは椿姫への罰でもあるのです。個人でああいう物を書く分には私も何も言いませんが、椿姫は生徒会副会長の立場でありながら取りしまるべきものを流通させたのですから」
「あらあら、そう言われてはフォローの仕様も在りませんわねぇ」
よく解らないけど、如何やら椿姫先輩へのフォローは叶いそうにないみたいだ
心苦しいが僕に出来る事はもう無さそうなので戦場に意識を戻す
「ッチィ!クソッたれが!そんな薄い本如きで此処まで力を引き上げるなんて納得いかねぇ。もうこうなったら出し惜しみは無しに叩き潰してやるぜ!」
ボロボロになっていたヘラクレスは懐からフェニックスの涙を取り出して怪我と体力を回復し、更には
「いくぜぇ!『
顔中に血管の浮かび上がったヘラクレスの全身から生えていたミサイルの突起も変形していく
変化が終わった時にそこに居たのは全身トゲトゲのロボットスーツのような恰好をしたヘラクレスだった。視界を遮りたくない為か顔だけは出しているのだが半面、首から下が3回り以上は大きくなっているのでかなり不格好になっている
恐らくアレで防御力を向上させ、更に体の面積を増やした事で全身に設置したミサイルの数、連射性が向上しているのだろう・・・いや、ジークフリートの戦闘力の引き上がり方からみてミサイルの威力も上昇していると考えるべきだろう
「部長!アレは英雄派がシャルバ・ベルゼブブの血液から創り出したという神器の強化薬です!能力を把握するまでは回避と防御に専念して下さい!」
「そう・・・英雄派はそんな研究までしていたのね。目的の為に必要と在らばどんな悍ましい事にも手を出して結果を求める―――人間は時として悪魔より強欲だわ」
リアス部長が目を細め、他の皆も防御や迎撃の構えを取る。今はヘラクレスはジャンヌと戦ってるけど流れ弾一つでも十分に危険だ
「無駄よ。貴方がソレを使うと云うのなら私も同じく強化すれば済む話だもの」
今度はジャンヌがポケットから
「お待ちなさい。貴女が真に今後、私達(椿姫)の下に来るというのであればそのような邪法で生み出された物を使用する事は許しません」
「でも!アレはそんな精神論で如何にかなるような安っぽい強化薬じゃないのよ!」
確かにあの薬の力を知っている僕には彼女の言いたいことは分かる。しかし、ソーナ会長の言い分は至極もっともだ―――まだ彼女を全面的に信用する事は出来ないが僕とイッセー君が挟撃するような形で戦闘に参加するのが一番無難な選択だろう
「では報酬を追加しましょう。貴女が単独で彼に勝てたなら椿姫には新作を書いて貰います」
「会長!?」
「やります!!そういう訳だからヘラクレス!さっさと倒れて貰うわよ!」
椿姫先輩の驚愕を余所にソーナ会長とジャンヌの間に取引は成立したようで彼女の操るドラゴンがより一層力強いオーラを迸らせてヘラクレスに突貫していく
その直ぐ後を追うジャンヌは何処か崩れた表情で「ぐふふふ♡」とか言ってるけど何だか今のキミはスケベな事を考えてるイッセー君に近しいものを感じるよ
「人間の欲望に付け込み契約を結ぶ。悪魔の基本的な活動の一つです。解りましたか、皆さん?」
「『は~い♪』」
「おおぅ、シトリー家次期当主直々の悪魔の仕事の実地研修・・・流石ソーナ会長。どんな事も無駄にしないぜ」
僕たちの護衛しているバスの子供たちの元気の良い返事を聞いてるとコレで良いのか?とも思えて来るけど多分子供たちの緊張を解す意味も在るんだろうね
でもそんな僕たちの様子を余所に向こうでは早くも決着が付きそうになっていた
ジャンヌの神器で形作られたドラゴンは殆ど原型を留めておらず、彼女自身もボロボロだ
単純な実力ではジャンヌに軍配が上がっていたようだけど、やはりあの薬で跳ね上がったヘラクレスを制する程の実力差では無かったか
だがジャンヌはダメージで膝を震わせながらも立ち上がり、神器のドラゴンも修復させていく
「まだやんのか?ジャンヌ。薬も使わねぇテメェがこの俺様に勝てる訳ねぇだろうが」
「そうね。でも、強大な敵に立ち向かって奇跡を起こしてこその英雄でしょう?私はジャンヌ・ダルクの魂を引き継ぐ者!前世の私は聖書の神の為に戦ったみたいだけど、そんなのは私には関係無かった。でも今日!私は今世において仕えるべき主を見出したのよ!此処で無様な敗北は見せられない!!私の忠誠(大好きなBL本)の為にも私は今の貴方を打倒す!!」
何という強い想いだ!彼女の気迫が遠くに居る僕にまで響いてくるみたいだよ
そうか、英雄ジャンヌ・ダルクは仕えるべき主を定めてこそ真の力を発揮するタイプの人だったんだね。そんな彼女が今世で主と認めたのが椿姫先輩だったと・・・彼女はテロリストだし、戦いが終わってから直ぐにとはいかないだろうけど、もしかしたら将来椿姫先輩が上級悪魔まで昇格したら眷属か、そうでなくとも臣下には加わるかも知れないね
「・・・さっきから祐斗先輩が微妙にズレた感想を抱いてる気がします」
「良いのよ白音。別に祐斗が知る必要の無い事柄だから、あのままそっとしておきましょう」
だが、立ち上がったジャンヌは既に満身創痍である事に変わりはない。如何するつもりだ?
「・・・そうよ。私の『
ジャンヌが気合を入れると修復した聖剣のドラゴンの左右に更に二体のドラゴンが現れた!
一体だけでもかなりの威圧感を放っていたのにそれを三体同時に生み出すとは・・・あのドラゴン一体形作るのに聖剣が数百本分は必要だと考えると三体同時ともなれば恐らく千本前後の聖剣を常に運用しているようなモノだろう。当然、消耗は激しいだろうし完全に短期決戦仕様だね
「けっ、そんなラジコンドラゴンが少し増えたからって如何だって言うんだ!こちとら全身に増設されたミサイルの数は三倍程度じゃ収まんねぇんだよ!物量でこの俺に勝てると思うな!」
ヘラクレスはそう叫ぶと全身のミサイルを一斉に撃ち出してジャンヌのドラゴンを全て破壊してしまった。ジャンヌはドラゴンを巧みに犠牲にするように動かしたらしく、追加のダメージは多くないようだ。しかし、オーラの消耗はやはり激しいらしく既に肩で息をしている
だがヘラクレスのセリフを聞いた彼女は何処か自嘲するように口元に笑みを浮かばせた
「ふふふ、私って馬鹿ね、ヘラクレス」
「あ゛?」
「元々私の『
彼女のドラゴンが今度は一つに集約されて今までより体格の一回り以上は大きい三つ首のドラゴンがそこに生まれた!
「合体だ~!」
「凄~い!ドラゴンって合体するんだ~!」
子供たちも大はしゃぎだ
「ねぇねぇおっぱいドラゴ~ン!」
「ん?どうした、お嬢ちゃん?」
瞳をキラキラさせていた子供たちの内の一人の女の子がイッセー君に声を掛ける
「ドラゴンが合体するならおっぱいドラゴンも誰かと合体するの~?私、ダークネスナイト・ファングとの合体を見てみた~い♪」
「え!いや、それはチョット・・・」
鎧越しでもイッセー君の声が強張ったのが解るけど如何したんだろう?要するに僕とイッセー君のコラボ技を見たいって事だよね?
「? 如何したんだいイッセーくん。良い案じゃないか。新しい(戦闘の可能性の)扉を開く為にも早速今度合体(技)をしてみようか」
「カハッ!!」
「キャー!副会長が倒れたー!」
「このままじゃ副会長が尊死しちゃう!」
「誰かあの天然ホモ発言機を止めろー!」
何だか急にシトリー眷属側が騒がしくなったみたいだけど特に流れ弾が来た訳でもないみたいだし、問題無いはずだ
「『
「上等だぁぁぁぁぁ!!」
彼女の三頭龍がヘラクレスに向かって高速で飛翔する
ヘラクレスが迎撃に撃ち出したミサイル群を三つ首のブレスで正面から迫るモノを撃ち落としていき、六枚羽となった翼で衝撃波を繰り出して側面から回り込んでくるミサイルも誘爆させてゆく
しかし、距離が縮まる程にヘラクレスの弾幕が厚くなる為にどんどんと被弾していき、三つの首も二つまでがもげてしまう
だが、最後の一押しで近距離まで割り込んだドラゴンがヘラクレスの胸部の装甲を噛み砕いた
“ッドガァァァァァァン!!”
盛大な爆発が起き、爆炎から逃れるようにヘラクレスが出てくる
「へ!ざまぁねぇな!爆発反応装甲ってヤツさ。頼みの綱のドラゴンもこれで全部の頭を吹っ飛ばしてやった・・・ぜ!?」
ヘラクレスが最後まで言い切る前にジャンヌが一本の聖剣をヘラクレスの壊れた装甲の部分に突き立てていた―――ヘラクレスの側からは見えてなかっただろうけど僕たちからは彼女があのドラゴンを突撃させる直前に背中の部分に人ひとり入れる程度のスペースを開けてそこに乗り込む様子が見えていた
「油断。アンタの最大の弱点だからよく覚えておく事ね」
彼女はドラゴンが破壊される事も織り込んでヘラクレスの油断する一瞬を狙いすましたんだ。もっとも、ミサイルで壊されたドラゴンの破片と爆炎で全身に切り傷と火傷を負っているみたいだけど、この勝負は文句なしに彼女の勝利だ
・・・さて、そろそろ僕もジャンヌとヘラクレスの戦いの観戦という『現実逃避』はこの辺りにして
そう、この場には元々ジークフリートと一緒に
そんな英雄派でもリーダーの曹操に次ぐポジションと云っても過言ではないはずの、神器の力だけでなく自身の魔法も卓越した技量を持った彼が今・・・ギャスパー君(?)にさっきから防戦一方で只管蹂躙され続けているのだ
「あの、部長・・・」
「あら?何かしら祐斗?」
「あの空を飛んでいる黒いオーラを纏ったミサイルと機関銃とレーザービームを乱射している段ボール箱はギャスパー君何ですよね?」
「・・・そうよ」
やはりそうか!出来れば勘違いであって欲しかった!
「ック!我が霧も魔法も侵食されて貫かれる。一体何だと云うのだ、そのドス黒いオーラは!?そして何故段ボール箱に入っているのだ!?」
ゲオルクが今まさに自分を襲っている理不尽な光景の元凶に問いかける
「ふっふっふ!よくぞ聞いてくれましたね!僕は
うん。確かにそういう面は在るだろうね。オーラの出力や、特に神器の力とかは精神力が大きく左右するからね。イッセー君の
「僕の内気な部分を直ぐに改善するのは難しいと言われましたが、同時に打開策もサハリエルさんは提示してくれたんです!僕自身、何で気付かなかったのかと思いました・・・僕は人と話す際、紙袋を被っていれば落ち着けるんです!そして段ボール箱は僕のもう一つのホームグラウンド!サハリエルさんは僕に段ボール箱に入ったまま戦えば新しい扉を開けるんじゃないかと提案してくれて、ついでにと段ボール箱に各種武装も取り付けてくれたんです!」
何をやってるの!?ギャスパー君の潜在能力を引き出す為に彼自身が落ち着ける状態で力を振るわせてみるというのはまだ理解出来るけど、ミサイルとかは絶対にサハリエルさんの趣味だよね!?
「結果。僕は今までにない魔力、神器の数値を叩き出しました。でも、それだけでは終わらずに僕は闇を身に纏う力を得たんです。多分コレが僕が
ああ、あの何時も弱気だったギャスパー君が自ら神を名乗る程に自信と力を付けて来るだなんて、本当に成長したんだね・・・そう思う様にしよう
多分深く考えたら思考の迷路にドン詰まると思うからさ
「
「このままではジリ貧で押し切られる!この場は退くしかないか!」
ギャスパー君が段ボール箱を中心にコレでもかと云うほどの兵器群を展開させる。アレはもうさっきまでのヘラクレスと同等かそれ以上の数が有る!
不利と悟ったゲオルクが足元に転移魔法陣を展開させようとするが魔法陣が構築される途中でその動きを停止させてしまった
「馬鹿な!我が魔法を停止させただと!?
ゲオルクの魔法だけを停止させた!?それ程までに繊細な操作を可能とするなんて・・・そうか、ギャスパー君。キミはついに神器の力を我が物としたんだね
「これで終わりです!『
「ぐあぁァァァ!?馬鹿なぁぁぁぁぁぁ!!」
ああ!ギャスパー君がアザゼル先生が聞いたら喜びそうな技名を人前で叫びながら攻撃するなんて―――この戦いが終わったらサハリエルさんだけでなく、アザゼル先生も混じってギャスパー君に更なる武装・改造を施しそうで、もはや恐ろしいよ!
そうしてゲオルクはギャスパー君の力の影響なのか漆黒に彩られた爆炎の中に消えていった
「闇の炎に抱かれて消えて下さい」
ギャスパー君が痛々しいキメ台詞を放つ。色んな意味でキマッてるね
「・・・なぁ木場」
「何だい、イッセー君?」
「ギャー助は一体何処に向かって進化しようとしてるんだろうな?」
「・・・『段ボールヴァンパイア神・オルタ』なんじゃないかい?」
他に如何言えば良いのだろうか?
「ともあれ、コレでこの場の敵勢力は全員無力化しましたね。ジャンヌ、貴女に関しては一度拘束させて貰いますが仮に天界側が貴女の身柄を預かるとしても可能な限り便宜(BL本提出)を図る事を約束しましょう」
ソーナ会長はそう言いつつジャンヌを魔力の縄で拘束していき、ジャンヌ自身も特に抵抗する事なく捕まった。取り敢えず目先の脅威は過ぎ去ったかな
「リアス、私たちはこの子たちの護送任務に戻ります。今は転移ゲートが何処も詰まっている為にバスで移動していましたが、英雄派の幹部に子供たちのバスが壊されたと云えば転移の許可も下りるでしょう。いえ、降ろさせます」
「分かったわソーナ。なら私達の相手は
リアス部長が大通りの先を見つめるとそこには既にあの超巨大魔獣『
時間的にもうそろそろベルゼブブ様の対抗術式が現場にも届いている頃だろうから僕たちも向かうとしよう。少なくともイッセー君の派手な攻撃は確実にあの魔獣相手に相性は良いだろうからね
そうして僕たちはシトリー眷属と別れて魔獣の近くに向かって行くと途中でサイラオーグさんとレグルスに出会った
「サイラオーグ!貴方も来ていたのね!」
「うむ。冥界の危機と在らば呆けている訳にもいかんからな。先ほどまで俺と眷属たちはこの街で暴れている旧魔王派の残党の相手をしていた所だ。一通り片付いたので細かい事はクイーシャに指揮を任せて俺はアレの相手をしようと思ってな。アレが街に踏み入ればそれだけで被害は甚大だ」
「そうね。急ぎましょう!」
僕たちが戦闘区域に辿り着いた時には既に激しい戦闘が始まっていた
如何やらベルゼブブ様の編み出したという対抗術式は既に効果を発揮しているみたいで遠距離攻撃部隊の放つ攻撃は魔獣の表面を傷つけている・・・ただ、余りにも再生が速い為中々ダメージを与えているようには見えないけど対抗術式無しでは『
万物の事象を数式として操ると言われるベルゼブブ様が数日掛けて対抗術式を編み出したのにイッキ君の【じばく】は『特性だから』であの堅い防御を半ば突破出来るんだから・・・いや、あの技が耐久値の半減という事は魔獣を覆う結界だけでなく、魔獣自身の肉体の耐久値も半減していると見るべきか。ハハ、僕なら掠っただけで死にそうだよ
「如何やら『
冥界でも最強と名高いサーゼクス様の眷属。今はグレイフィア様と炎駒様がイッキ君の護衛で居ないけど、残りのメンバーも強力だ
サーゼクス様の眷属には僕の師匠を含めて近距離戦で真価を発揮する方々も居る上に下手に一般兵などが近くに居れば攻撃の余波だけで死にかねないから彼らだけで戦っているのだろう
生み出される小型の魔獣(美女)達も僕の師匠は剣士であると同時に体内に大量の妖魔を飼っているからそちらの対処も問題無いみたいだしね
そしてそれ以外の此処に集まっている各勢力の援軍たちが主に胸から上を狙って遠距離の飽和攻撃を仕掛けているようだ―――魔獣の大きさが大きさだからフレンドリーファイアをそこまで気にしなくていいみたいだね
「ぬぅ・・・これでは俺は思っていたような援護は出来んな。流石にサーゼクス様の眷属が連携して戦っている場所に下手に割り込む訳にはいかんだろう」
サイラオーグさんがそういうけど僕も同じかな。聖魔剣では精々中距離程度までしか威力を維持できない。あれだけ魔獣と距離があると届く頃には半減しているだろう
でもそれは聖魔剣での話だ。僕は皆と合流する途中に亜空間に仕舞ってあったグラムを取り出す
「う゛っ、木場。何だその剣は?」
取り出した瞬間、魔剣から漏れ出る龍殺しの呪いとも云えるオーラにイッセー君が思わず一歩引いてしまった
「これはジークフリートの持っていたグラムだよ。他の魔剣も含めて如何やら僕の事を新しい主と定めたらしくてね」
「マジか!お前たった一戦俺達から離れていただけでどんだけパワーアップして帰って来てんだよ!カーッ、これじゃ模擬戦で益々油断できねぇな!お前相手に油断した事なんて無いけどさ」
ははは、イッセー君にそう言って貰えるのは光栄だね
しかしこのグラムならば斬撃のオーラをあの魔獣に叩きつける事も出来るはずだ
「成程、斬撃を飛ばす一撃か。ならば俺も性に合わんなどと言ってられんな。レグルス!」
「はっ!」
サイラオーグさんがレグルスに声を掛けると彼はライオンの姿から変化する。鎧の姿になると思ったんだけど如何やら違ったみたいで巨大なバトルアックスに変化して地面に突き刺さった。それをサイラオーグさんは抜き取る
「元々レグルスは獅子の姿以外にもこのバトルアックスの姿で所有者に振るわれるモノだ。一振りで大地を割るこの戦斧ならば大気も割れる道理!」
いや!その理論は無理があるんじゃないかなぁ?まぁ彼ならばそんなのは関係無しに斬撃を飛ばしてくれるだろうから良いんだけどね?
「よし!それじゃあ作戦通りに進めましょうか!リアス、朱乃さん、アーシア、ゼノヴィア、宜しくお願いします!爆炎で常にあの魔獣の姿がほとんど見えない今なら消し飛ばせますんで!」
「うむ!任せろイッセー!」
「あらあら、うふふ♪ゼノヴィアちゃんには負けてられませんわ」
「わ、私もイッセーさんのお力になりますぅ!」
「皆、最初に突かれるのは私の役目だからね!」
我さきにとまろび出される女性陣の胸たち。皆さんこういうのに抵抗がなくなり過ぎじゃないですか!今はもう目を背けたけど普通に最初は視界に入ってしまったよ
「おお!兵藤一誠が彼女達の胸を突くのか!リアスの胸だけでもあれ程のパワーを引き出す赤龍帝ならば確かにあの魔獣にも致命傷を与えられるかも知れんな!」
「ええ!サイラオーグさん。俺今物凄く感動しています!俺が皆のお乳を突くまでの間、時間稼ぎをお願いして良いですか」
「うむ!引き受けた!さぁ木場祐斗よ。俺と一緒に兵藤一誠が仲間の乳房で強くなるのを手助けしようではないか!」
間違っていない!間違っていないからこそハッキリとストレートにそう言われると全身の力が抜けていく感じがしますよ!
そうしてイッセー君とイッセー君に胸を突かれるメンバー以外は各部隊から繰り出される魔力弾に自分の攻撃を混ぜていく
僕やサイラオーグさんの斬撃もちゃんと魔獣に届いたみたいでそこそこの範囲を切り裂いている
「いやんっ♡」
「ぁはん♡」
「んっ♡」
「はぅん♡」
後ろから女性陣の声がハッキリと聞こえて来る・・・今は悪魔の聴覚が恨めしいよ
取り敢えず部長、副部長、ゼノヴィア、アーシアさんの順番だったとだけ言っておこうか
「来た来た来た来たぁぁぁ!!」
後ろからイッセー君の興奮した声と莫大なオーラの迸りを感じる
準備が整ったみたいなので後ろを振り向くと紅のオーラにどこかピンク色っぽいオーラ(
彼は両肩の砲門を魔獣に向けて凶悪なほどのオーラを収束させていく
「イッセー、ルシファー眷属には極大砲撃が向かうと連絡を入れたわ!何時でも良いわよ!」
「了解です!いっくぜぇぇぇ!『ドラゴンおっぱいブラスター!!』」
「酷いネーミングセンスです。サイテーですね、イッセー先輩」
白音ちゃんのツッコミと同時にイッセー君の
「やったか!?」
「イッセー先輩!コカビエルの時に学ばなかったんですか!それはフラグです!」
白音ちゃんはそういうけど今の一撃を見た後だと流石に倒せたと思ってしまう。でも、如何やら確かにそれはフラグというものだったらしい
爆煙が晴れるとそこには胸から腹に掛けて巨大な穴を開けてなお倒れない魔獣が居た
しかもその穴も徐々に再生してきているようだ
「何を呆けている!あの穴を塞がせるな!遠距離攻撃で再生を阻害しろ!」
一早く立ち直ったサイラオーグさんが攻撃を仕掛け、他の場所に居た悪魔や堕天使、妖怪やヴァルキリーの援軍も彼の攻撃を見て弾幕を張るのを再開した
「クソ!今の一撃でもダメだなんて!」
イッセー君が悔しがっている。自慢の
そんな中、魔法のフルバーストを放っていたロスヴァイセさんが静かに溢す
「・・・如何やら、私も覚悟を決める必要があるみたいですね。イリナさん、貴女もです」
「へぅ!私?如何いう意味なのロスヴァイセさん?」
「当然、私達もイッセー君に胸を差し出すという意味です。さっきの一撃があの魔獣に大ダメージを与えたのは事実。そして未だに回復しきっていない今なら追加で先程の攻撃を上回る一撃を放てばあの魔獣も倒せるでしょう。この場でイッセー君に
そうか!4人の
・・・大分僕も頭がイカレてきた気がするのはグレモリー眷属でいる限りは宿命かも知れないね
「ロスヴァイセ。貴女がそんな提案をするだなんてね」
「冥界の危機ですから・・・それを私の羞恥心一つで何とか出来るならやらない訳にはいかないでしょう。恥ずかしいですが、どうせ私は独り身ですしね。フフ、フフフフフ!」
ロスヴァイセさんが自虐ネタで本気で落ち込みだしてしまった!ま、まぁ彼女は美人で優秀なのだから例え放って置いたとしても求婚者とか現れそうだけどね・・・多分
「わ・・・分かったわ!コレはエッチな事じゃなくて冥界を救う為に必要な事!そう思えば私も堕天しないと思うから皆と一緒に胸を突かれる事にするわ!」
「なぁにぃぃぃぃ!?マジですか!マジで半神の戦乙女と天使のおっぱいも追加で突かせて貰えるんですか!?レア度で言ったら☆5クラスだよ!いや、それはリアスたちも一緒なんだけど!」
イッセー君が大変に興奮する中、今度はロスヴァイセさんとイリナさんを加えて皆が胸をイッセー君に差し出す事になった
「あん♡」
「っく♡」
「はぅ♡」
「あっ♡」
「きゃ♡」
「ぅう♡」
今度は部長、ゼノヴィア、アーシアさん、副部長、イリナさん、ロスヴァイセさんの順に声が聞こえて来た―――頼むからコレで終わりにして欲しい
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!今度こそ終わりだ!『ドラゴンおっぱいフルブラスター!!!』」
イッセー君の一撃は魔獣の腰から上を完全に吹き飛ばし、如何やらその何処かに核のようなモノがあったのか残りの下半身も塵と消えていった
それを見て皆が漸く緊張を解く。これでやっと全ての魔獣が倒されたからね
だけどその時、強大なプレッシャーが僕たちを襲った。この感覚は死神のモノ!それに感知タイプでもない僕にも分かる―――これはあのタナトスとプルートの気配だ!
このタイミングで出て来るとは如何いうつもりだ?
「ッ!!死神と一緒にイッキ先輩の気配が在ります!」
何!?イッキ君は今グレモリー領でグレイフィア様を筆頭に手練れの方々と一緒に居るはず。如何やって連れ出して来たと言うんだ!?
「此処から遠くないわね。皆、直ぐに向かうわよ!」
部長の号令の下僕たちはそれほど離れていない場所から感じる気配の下へ全速力で飛んでいった
[木場 side out]
イッキが居ないので引き続き木場視点でした。彼もツッコミばかりなのも悪いと思ったので今回の前半部分はボケに回ってもらいましたww