転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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魔獣騒動編もこれで終わりですね。魔獣騒動直後のOVAのイッセーの追試と温泉旅行は書く気もないのでこれで完全無欠にアニメ分に追いつけました


第五話 処罰と、改心です!

さて、状況を確認しようか

 

俺はつい先ほどまでリアス部長の実家のグレモリー城で黒歌やレイヴェル、あと護衛として一緒に居て下さってたグレイフィアさんにバラキエルさん、炎駒さんと冥界のテレビを見ていた。今は大抵のチャンネルで各地の様子が生中継されてるし、軍部の情報とかはグレイフィアさんやバラキエルさんの方にも情報が入ってる

 

テレビの向こうで『超獣鬼(ジャバウォック)』を悪魔を中心に様々な種族が全力でフルボッコにしていると一際巨大な紅とピンクのオーラに彩られた砲撃が『超獣鬼(ジャバウォック)』の体の中心を穿ち、その後更に強大な砲撃が今度は上半身を完全に消し飛ばしたようだ

 

十中八九イッセーの『おっぱいキャノン』的な攻撃だろう

 

そうしてコレで全ての魔獣が殲滅された事に全員の気が緩んだ瞬間に俺は突然の強制転移と思しきもので街中に転移させられ目の前にはタナトスとプルートが居る・・・ついでに言えばこの周囲一帯に結界が張ってあって逃げるのは非常に難しそうだという事だ―――『拉致監禁・ダメ・絶対』と言ってやりたい

 

いや!と云うかそもそも何でこいつ等は俺を強制召喚出来たんだ!?仮にもグレモリー公爵の家に居たんだから転移封じも含めて結構強固なセキュリティが張ってあったと思うんだけど!?

 

≪驚いていらっしゃるようですね。此方も色々苦労した甲斐があったというものです。この度は貴方の中に居るサマエルを招待状の代わりにして呼び出させて頂きました。元々サマエルは我らが冥府で管理していたもの。それに加えて貴方がタナトス殿にサマエルの毒をタップリと注いで下さったのでそちらを触媒にしてパスを繋ぎ直しました―――本来ならば冥府に直接呼び出せたら良かったのですが薄いパス程度では同じ冥界に呼び出すのが精々でしてね・・・もっと時間を掛ければその限りでも無かったかも知れませんが、貴方があの魔獣たちを早々に処理してしまったのでこれ以上待つ事は出来ないと召喚を強行させて貰いました。いやはや、私とタナトス殿の二人掛かりでやっと召喚出来るとは中々にギリギリのタイミングでしたよ≫

 

サマエルの細い繋がりを神クラス二人が力業で手繰り寄せたって事?

 

死神に熱烈な歓迎を受けるとか欠片も嬉しくねぇよ

 

それに最上級死神が二人とか・・・何方か片方だけならまだしも二人同時とかマジで無いわ

 

「確かプルートとやらはオーフィス狙いじゃ無かったのか?そっちに行けよ」

 

今ならオーフィスの力も安定性を増してるだろうからそのまま返り討ちになっちまえ!

 

≪貴方方がそれを言いますか?―――オーフィスが何処に匿われているのか、ある程度は絞り込めますがグレモリー領、四大魔王領のいずれか、神の子を見張る者(グリゴリ)など、片っ端から攻め入るような真似は流石の私も出来ませんのでね≫

 

≪そこで私がハーデス様に手持無沙汰になっているプルートを一時的に貸して貰ったのだよ。サマエルと違ってオーフィスの回収はそこまで急ぎという訳でもないからな≫

 

プルートの説明にタナトスが補足する・・・丁寧なご説明痛み入りますよ!(半ギレ

 

まぁ今の話の内に会話(・・)は出来た

 

そして次の行動に移そうとする前にこの辺を覆う結界の外にイッセー達がやって来た

 

そうなんだよなぁ、タナトスたちが俺を態々このリリスに召喚したのってこの辺一帯を人質に取って俺の【じばく】を封じる為なんだろうな

 

魔獣たちはただ突き進んで来るだけだったから良かったけど、俺の【じばく】ってぶっちゃけ対策取るのはかなり簡単なんだよな―――どう考えても防衛とかには向いてない力だし

 

いや、そもそも『自爆』にそれを求める方が間違ってるのかも知れんけどさ

 

「イッキ!クソ、この結界、無茶苦茶硬てぇ!」

 

呼びかけと同時に結界を殴りつけたイッセーが弾かれる

 

イッセーで無理なら単純なパワーでの突破は難しいか―――【一刀羅刹】で内側から結界を切り裂いてもこの二人相手にそんな隙を晒したら次の瞬間封印されてお持ち帰りだ

 

仮に俺一人でこの二人と戦って勝てる確率とか考えたくないな・・・まぁゼロって訳じゃないが

 

「皆さん下がって下さい!僕の闇ならあの結界でも侵食して貫けると思います!」

 

ん?アレは蠢く闇を纏った段ボール箱?アレってギャスパーだよな?さっきまで普通の格好でオドオドしてなかった?何でいきなりその恰好でそんなに強気になってるの?

 

そんな疑問を余所に漆黒の段ボール箱は大量の・・・形状からしてミサイルかな?それを展開して結界に撃ち放った

 

威力そのものはイッセーの攻撃の方が上に見えるがさっきギャスパーが『侵食』と言っていたようにあの黒い闇は結界にドンドン浸み込んで最後には人ひとり分軽く入れる程度の穴が開いた

 

「イッキ先輩!穴が塞がらない内に早く!」

 

ギャスパーお前、無駄に頼もしすぎる活躍を見せるな!お前のキャラはどこ行った!?

 

≪おっと、お前を逃がす訳にはいかないのだよ≫

 

だが当然というべきか基本性能で上回るタナトスとついでにプルートが立ち塞がる

 

「なら!乗り込んで叩くまでだ!」

 

結界の修復機能か徐々に塞がりつつあるその穴にイッセーが背中のブーストを吹かして突入しようとしてくる―――だがそのイッセーは途中に割り込んで来た者に弾かれてしまった

 

「悪いな兵藤一誠。此処は俺が行かせて貰う」

 

そうして結界に入って来たのは案の定と云うべきかヴァーリだった

 

≪ほぅ、白龍皇か≫

 

タナトスが何処か歓心しているように言う

 

「ああ、先日ぶりだな。と云っても前の時は出会ったとも言い難いものだったが」

 

≪貴殿はあの時サマエルの呪いに蝕まれていたのだろう?ドラゴンでもある貴殿がもう回復しているとは驚いたぞ≫

 

「呪いの処置はあの時既に済ませてあったのでね。とはいえ中々にキツかった事は否定はしないさ。漸く本調子を取り戻したのは良いが、俺が寝ている間に俺のチームのメンバーは冥府のハーデスに嫌がらせに行かせたし、あの巨大な魔獣たちは俺が戦おうとしても横やりが酷い上に有間一輝が大方片づけてしまったからね。俺の鬱憤を晴らせる相手は曹操かお前たちだけなんだよ。他の英雄派や死神では物足りなくてね。やっと出て来てくれて感謝している」

 

俺も感謝してるぞヴァーリィィィィ!!

 

ぶっちゃけ今はイッセー単体が援軍に来るより遥かに心強いわ!死んだらまぁしょうがないで済ませられるし、何より乳力(ニューパワー)の無いイッセー何てただの赤龍帝だしな!

 

「さて、なら俺もそろそろ援軍を呼びますか」

 

そう言って顕現させた神器で腕を斬り付け、その血を触媒にして黒歌を召喚した

 

良し!絶霧(ディメンション・ロスト)の結界も突き破った使い魔召喚で且つ、この結界が俺を召喚(・ ・)したって処から出るのは難しくとも侵入は何とかなると思ったが案の定で助かった

 

「やぁっと呼び出したのね。さっき通信で呼ぶって言うから身構えてたのに一体何やってたのかにゃ?」

 

毎度おなじみイヅナ通信なら妨害電波も何のそのだったりする。うちのイヅナが優秀過ぎて助かる

 

「悪いな、丁度その時にイッセー達がやって来たり、ヴァーリが参戦を表明したりしててさ―――グレイフィアさん達は?」

 

「今、転移で向かってるはずにゃ。そんなに時間かけなくても来るんじゃにゃい?」

 

≪成程、元々時間を掛ければ結界も壊されるか侵入されるでしょうから手早く済ませるつもりでしたが、こうも早く援軍が来るとは・・・では、これ以上面倒になる前に有間一輝、貴方を確保いたしましょう≫

 

「ふっ、手早く済ませたいのは此方も同じだ。邪魔が入る前に戦おうじゃないか。有間一輝、タナトスは元々お前狙いみたいだからな。お前が殺るといい―――俺はプルートを貰おう」

 

「了解。俺もタナトスに逃げられるのは勘弁だし、お互い速攻で決めようか」

 

≪ファッファッファ!神を相手に尊大な態度を取りおる若造共だ≫

 

≪先ほど、冥府でフェンリルも暴れているとの通信が入りました。神をも殺せるあの牙は脅威です。忌々しい牽制を頂きました。白龍皇にして魔王の血筋という貴方との戦いは私も楽しみたい所ではありますが我々も冥府に帰らなくてはなりません。短い間でしょうが、せめて全力で潰し合いましょう≫

 

プルートの言葉を聞いてとても嬉しそうな雰囲気を醸し出すヴァーリ・・・プルートも何だかんだいってかなりのバトルマニアだよな

 

「同じ二天龍の兵藤一誠は全く新しい力を身に付けようとしている。だが俺は違う。俺は白龍皇としての力を極め、その先に向かう!今此処に、俺だけの『覇龍』を見せてやろう」

 

ヴァーリは全身から白銀のオーラを放ち、詠唱を始める

 

「我、目覚めるは、律の絶対を闇に堕とす白龍皇なり」

 

『極めるは、天龍の高み!』

 

『往くは、白龍の覇道なり!』

 

『我ら、無限を制して夢幻をも喰らう!』

 

ヴァーリの詠唱に続いてヴァーリの鎧の宝玉から恐らくは歴代白龍皇の思念のようなものが高らかにその戦意を告げる

 

「無限の破滅と黎明の夢を穿ちて覇道を往く―――我、無垢なる龍の皇帝と成りて」

 

「「「「「汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従えよう」」」」」

 

『Juggernaut Over Drive!!!!!!!!!!』

 

最後の一節を歴代白龍皇と共に唱え終わったヴァーリ

 

前に見た覇龍(ジャガーノート・ドライブ)は見た目も小型のドラゴンっぽくなっていたが今のヴァーリは白銀の鎧が少しだけ有機的に変化したくらいだ

 

そして何よりも感じ取れる馬鹿みたいなオーラ。恐らく以前の覇龍(ジャガーノート・ドライブ)は暴走を押さえつける必要があったが、今の白銀の鎧はその分のリソースを戦闘力に割り振っているのだろう・・・強くなるはずである

 

「『白銀の(エンピレオ・ジャガー)極覇龍(ノート・オーバードライブ)』歴代所有者を説き伏せた、俺だけの強化形体だ。とくとその身に刻むがいい」

 

それに対してプルートは高速で動き回り、数多のの残像を生み出しながら接近してドス黒いオーラを纏わせた赤い鎌を振るう。だがそれはヴァーリの裏拳一発で粉々に砕かれてしまった

 

≪ック!≫

 

驚愕し、距離を取ろうとするプルートだがそれよりも速くヴァーリのアッパーがプルートの顎に突き刺さり上空に打ち上げられ、ヴァ―リはそちらに右手を向けて掌を握りしめた

 

「圧縮しろ」

 

『Compression Divider!!!!』

 

『Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid Divid!!』

 

プルートがまず縦に半分になり、次に横に半分になる。そしてまた縦、横とタナトスが止める間もなく豆粒以下の大きさに圧縮されていく

 

≪こんな!―――このようなバカげた力が!!≫

 

その言葉を最後にもはや視認すら出来ないサイズにまで圧縮されたプルートは原子の塵と化してこの世から消滅した

 

≪プルート!!?≫

 

おっと、お仲間が何も出来ずに瞬時に殺られたのに動揺するのは分かるけど、それはダメだ

 

「悪いが死ねよ【一刀羅刹】!!」

 

≪!!ッツ≫

 

既に禁手(バランス・ブレイカー)の大剣を持っていた俺はタナトスに斬り付けるが本能で危険を察知したのか僅かに体をずらしたタナトスの左腕を斬り落とすだけに終わった

 

≪ぐうぅぅ!貴様がサマエルを持っているのは危険だ!ハーデス様には悪いがここで貴様を殺し、適当な人間に憑りついたサマエルを回収するとしよう!≫

 

左腕を斬り落とされたタナトスが瞬時に目標を下方修正し、背後に抜けたイッキに振り返りざまに右手に持って手放さなかった大鎌を横一閃に振るう

 

前回の戦いの後、【一刀羅刹】のデータも目を通したので今のイッキが瀕死になっていると分かっていたからである。それでもこの場には白龍皇に猫又も居るので連れ去るのはリスクが高いと判断したのだ。片腕だろうと死に掛けの人間一人殺すのに秒も要らない

 

だが大鎌を振りぬいた先には誰も居なかった

 

≪馬鹿な!≫

 

「残念、下だ。【一刀羅刹・二連】―――『第七秘剣・天照』!!」

 

驚いているタナトスに『第七秘剣』を繰り出す―――この『第七秘剣』を如何するのかは正直迷った。何せ原作の落第騎士では『雷光』という技が本来の『第七秘剣』なのだが技の詳細が一切書かれていないのだ。精々読み取れるのは『超絶速い剣』程度の事で再現しようと思っても術理もなにも在ったものじゃない

 

だが、態々完全再現に拘る必要もないのだ・・・『第五秘剣・断空』もそうだけど『第四秘剣・蜃気楼』もぶっちゃけ別物だしね

 

最初は『終の秘剣・追影』という抜刀術で代用しようかとも思ったが刀身を掴んで力を溜めるあの技は俺の大剣型の神器とは相性が悪い。刃の根本に近い部分を掴んでも余り力は溜まらないからだ

 

そこで思いついたのが落第騎士の主人公の兄が使っていた威力と速度を兼ね備えた剣技である天照だ。体を極限まで捻って関節が元に戻ろうとする力までをも利用して放たれる一撃―――折角なのでこれを少しアレンジしたものを『第七秘剣』として扱う事とした

 

街に被害が出ないようにタナトスの斜め下辺りから上に居るタナトスに狐火を纏った一刀を喰らわせる。仮にも太陽神の名を冠しているなら炎が在っても良いんじゃないかと思ったのだ

 

勿論、伊達や酔狂で狐火を纏わせた訳では無い。『第五秘剣・断空』と同じように解き放たれた斬撃が空気の断層を生み出し、そこに練り込まれた狐火が瞬時に断層に干渉して空気を巻き込んで弾けさせる―――結果、極大の斬撃が炎を滾らせて全てを斬り焼くのだ

 

アレだな。某死神代行漫画の主人公の必殺技の炎バージョンである―――あっちは月でこっちは太陽だけど

 

咄嗟に鎌を盾にしたタナトスだけど鎌ごと一緒に切り裂いて炎の斬撃に呑まれて消滅していき、上空に放たれた斬撃は冥界の空に赤い一文字を刻んだ

 

「ふぅ・・・取り敢えず最上級死神を二人も葬ったんだからこれでハーデスも骸骨の額に在りもしない血管を浮かび上がらせる程度にはブチ切れてくれるかな?」

 

「ククク!俺もお前も神クラスを瞬殺か―――お前と再び戦える日が待ち遠しいよ」

 

「いいや、俺はそんなに自慢できるもんでもないさ。さっきのもプルートがやられた動揺を突いた形だし、そもそもアイテム頼り(・・・・・・)の攻撃でもあったからな」

 

「ふっ、それを気にするような性格でもないだろうに」

 

いやいや!最初の【一刀羅刹】の時に予めフェニックスの涙を含んでおいて【一刀羅刹】の効果が切れたと同時に飲み干して回復。再度黒歌に通信でグレイフィアさんやバラキエルさんの持っていたフェニックスの涙を貰って来た上で渡されてたのをまた口に含んで【一刀羅刹】して回復

 

怪我こそ治ったけどまたそれなりに血が流れたし、そもそもフェニックスの涙一つで豪邸が建つのだ。【一刀羅刹・二連】の短い時間の攻撃に大金溶かし過ぎである

 

気軽に出来るかバカ野郎!経費で落ちなかったら凄い事になるんだぞ!

 

ともあれタナトスにプルートも居なくなった時点でこの辺を覆っていた結界も解除されたので皆も寄って来る。それに丁度グレイフィアさん達も到着したな

 

「すみませんイッキさん。護衛を任されておきながら肝心な時に傍に居れず」

 

「いえいえ!グレイフィアさん達が居なかったら魔獣騒動の時にでももっと直接的に狙われてたと思いますし、フェニックスの涙も役に立ったので大丈夫ですよ」

 

「有間一輝、それに白龍皇か―――全く凄まじい力を秘めているな。今度有間一輝と模擬戦する機会があればその時はレグルスの鎧を着た状態で戦ってみたいものだ」

 

「つーかヴァーリ!テメェ俺の事横からいきなり突き飛ばしやがって!」

 

「なに、ああいうのは早い者勝ちというやつだよ、兵藤一誠。お陰で中々楽しめた」

 

そうしてワイワイやってると"パチパチパチ"と拍手が鳴り響いた

 

皆がそちらを見るとそこに居たのは曹操だった

 

「いやはや、あの魔獣たちに加えてうちの幹部たち、更には最上級死神が二人も倒されるとはね。しかも未だに誰も死んでもいない。キミたちの成長率と生存能力にはもう畏敬の念さえ覚えるよ」

 

「曹操!」

 

英雄派の首魁の登場に皆がそれぞれ身構える

 

「曹操、今頃になって何故出てきた?お前一人で俺達全員を相手取れると思う程自惚れている訳でもあるまい?」

 

「勿論だともヴァーリ。今回、英雄派はかなりの痛手を受けたから組織の再編に少しばかり時間が掛かりそうだ。今回は俺達の敗けだよ―――しかし、折角極上の敵が揃っている好機である事も事実。帰る前に、可能なら誰かの首は獲っておきたい」

 

「可能なら・・・ね。なら仮にこの場の全員でお前を倒そうとしたら?」

 

「その時は仕方ないからさっさと逃げるさ」

 

そう宣う曹操の周りには薄っすらと霧が漂っている。ゲオルクがどうなったのかは知らんが逃走を手助けできる程度ではあるんだな

 

そんな中、イッセーが皆より一歩前へ出る―――俺の仕事は『この後』だし、好都合だ

 

「なら、お前の相手は俺がやらせて貰うぜ。イッキもヴァーリも大暴れしたんだ。俺だって京都の時からやられっぱなしの借りを返したくてよ」

 

「そうか。俺の相手は赤龍帝か―――前回は紅の鎧を出す前に終わらせてしまったからね。今度こそ魅せてくれ。キミの紅を!」

 

「ああ!存分に味わわせてやるぜぇ!」

 

曹操の言葉にイッセーが全身から紅のオーラを噴出させながら応える

 

「我、目覚めるは王の真理を天に掲げし、赤龍帝なり―――無限の希望と不滅の夢を抱いて、王道を往く―――我、紅き龍の王者と成りて、汝を真紅に光り輝く天道へ導こう!」

 

『Cardinal Crimson Full Drive!!!!』

 

イッセーが紅の鎧を身に纏う―――発現させた当初に比べたら多少は安定性が増したよな

 

「よっしゃ!ならチョット勝ってくるわ・・・本当はお前を倒す為に考えた戦術何だけど、出し惜しみ出来ないしな」

 

へぇ?何をもってそう言ってるのか見極めさせて貰おうか・・・ついでに対策施してまだまだ模擬戦で敗けないようにしないとな

 

「『象宝(ハッティラタナ)』」

 

曹操もイッセーの変化を見届けると禁手化(バランス・ブレイク)して七宝の一つの上に乗る

 

「少し場所を移そうか」

 

そういうと曹操は街中の方に飛んでいき、イッセーも後を追って飛ぶ

 

「私達も距離を取りつつ後を追うわよ」

 

リアス部長の指示の下、流れ弾が来ても問題無く対処出来そうな距離を保ちつつ二人の戦いを見守る―――今のところテクニックの不足をイッセーがパワーとスピードで強引に補ってお互いの攻撃がクリーンヒットしてない状態だ

 

もっとも、イッセーは鎧が槍で削れたりはしているけどな

 

するとそこに加えてイッセーの鎧の各所が石になり始めた

 

「これは!?」

 

「メデューサの瞳というのをご存知かな?有間一輝に潰された俺の右目にはそれを埋め込んであってね。焦点を合わせるだけで強力な石化攻撃が出来るこれは中々に使い勝手が良いのさ」

 

イッセーは石化した部分の鎧をパージさせて瞬時に作り直す事で対処しているが遠目にもボロボロと鎧の残骸を落としながらの戦いは消耗が激しそうだ。それにもしも関節部分が石化したら一瞬だろうと動きが鈍る。それは曹操相手じゃ致命的だろう

 

「見るだけでイッセー君の鎧を瞬時に石化させるなんて!あの瞳一つで曹操の七宝の能力にまるで引けを取らない。僕のような生身じゃ対処も難しい!」

 

祐斗が厳しい顔で考察してるな

 

良し!此処は一つイッセーにアドバイスを送ると共に教授してやろう

 

「イッセー!相手の視線と眼球のオーラの増加具合に注目しながら戦えば焦点を合わせる攻撃なんて避けられるぞ~!」

 

「で・き・る・かぁあああ!!俺はお前のような仙術使いでもテクニックタイプでも無いの!そんなアホみたいに繊細な回避方法とかとれる訳ねぇだろうが!!」

 

戦闘中でもキッチリ律儀にツッコミを返してくれるイッセー

 

まぁ今のアドバイスは何方かと云えば祐斗に向けた言葉だったしな

 

祐斗なら今は無理でも将来的にはそういった動きも出来る様になるだろうさ

 

「全く、赤龍帝と戦うのはヒヤヒヤものだな。だがキミたち鎧型の禁手(バランス・ブレイカー)には弱点が有る。パワーの権化である鎧は次に何処で攻撃するのかオーラの流れで逐一分かってしまうのさ」

 

そう言った曹操は強烈なオーラを籠めたイッセーの右のこぶしをワンテンポ早く避けようとする。しかし寸前でイッセーの拳が止まり、引き戻した反動と共に突き出した左腕が曹操の顔面を捉えた

 

「ぐうぅぅぅ!?何故だ!フェイントの兆候など無かったぞ!」

 

「へっ!鎧型の弱点なんてのは今まで散々イッキや白音ちゃんに突かれまくってるんだよ!結局、俺一人じゃオーラを完全にコントロールするのは難しいって事になったけどな。でも、何もこの場で戦ってるのは俺一人じゃないんだ!一瞬だけオーラのコントロールの全権限をドライグに移譲してあたかも本気で右手で殴りかかるかのように見せかけたのさ!人間として耐久値の低いお前じゃオーラの余り籠ってない攻撃でも大ダメージだろう?その右目、潰れちまったんじゃないか?」

 

そう言いつつイッセーが最短で距離を詰めて『戦車』の力で肥大化させた左腕で殴りかかり曹操は槍で真正面から受け止める

 

「動揺が抜け切れてないぜ。またフェイントかもと一瞬考えただろう?今まで受け流してた攻撃を受け止めてるのがその証拠だ!」

 

撃鉄を打ち鳴らして威力を底上げした拳でイッセーは曹操を地面に叩きつける

 

「っぐっはぁ!!」

 

京都の時と似た構図だが、あの時よりもより一層強化された一撃で背中から叩きつけられた曹操はボロボロとなって血を吐き出す

 

「チィ!今ので肋骨が折れた上に左腕も怪しいな。フェニックスの涙で回復したとしても今の俺はキミの云う様に動揺が抜けきっていないだろうから勝つのは難しいかも知れん」

 

曹操はそう言って立ち上がり、聖槍を右腕一本で強く石突きの部分を地面に叩きつけた

 

「ならば、『覇輝(トゥルース・イデア)』だ」

 

曹操が更なる奥の手を出すのを見て観戦してた皆も緊張が跳ねあがる

 

「槍よ、神を射抜く真なる聖槍よ。我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの狭間を抉れ―――汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ!」

 

聖槍の槍先から莫大な量の聖なるオーラが噴き出て天を穿った・・・が、それはそのまま徐々に勢いを無くして最後には聖なるオーラの放出を無くして槍自体のオーラも弱弱しいものとなった

 

「失敗・・・した?いや、コレは違う。発動した結果がコレなのか―――そうか、聖書の神の遺志は俺よりも赤龍帝の方を選んだという事なのか」

 

「如何いう事だ?」

 

イッセーの疑問の声に曹操は溜息を吐きつつ答える

 

「『覇輝(トゥルース・イデア)』は今は亡き聖書の神の遺志が関係する。この槍を持つ者の野望を吸い上げ、相対する者の存在に応じた様々な奇跡を齎す。それは相手を打倒する圧倒的な破壊であったり相手を祝福して心を得られるものであったりと多種多様だ―――しかし、赤龍帝に対するこの槍の答えは『静観』だった。要は俺の野望を叶えるくらいなら赤龍帝の夢の方がまだましとこの槍は判断したんだよ。今後も聖槍が俺の野望を見たいならキミたち全員を退けられるような圧倒的な奇跡を発現させていたはずだからね」

 

「ククク!その槍に嫌われたか。不確定要素の塊とされる今代の赤龍帝を何時までも面白半分に放置するからそうなる。やるならもっと割り切って接するべきだったな」

 

「ヴァーリか、不確定要素というならキミも人の事言えないだろうに・・・しかし悔しいものだな。兵藤一誠も君と一緒に倒したかったのだが」

 

「ふっ、折角二天龍という宿命のライバルなんだ。お前には兵藤一誠はやらんさ」

 

「僕としても親友の彼を渡す気はないかな。彼を倒すのは僕の目標だからね」

 

「俺もだな。何時しかまた、あの試合の時のような最高の殴り合いをしたいものだ―――そして、次はこの俺が勝つ!」

 

戦いが終わったので皆でイッセーと曹操の居る場所に近づいて行き、男衆が会話に加わっている。凄くむさ苦しい―――唯一あの場の熱気を引き上げなかった俺にイッセーが感謝の視線を送って来る・・・流石にバラキエルさんは対象外みたいだけど

 

すると曹操の近くにゲオルクが現れた

 

覇輝(トゥルース・イデア)』が失敗した以上、引き時と判断したんだろう

 

それにしても爆撃機の飛び交う戦場を走り抜けたかのような有様だな

 

「曹操、此処までだ。俺達は多少の計算違いは在れど多くは間違えて居なかった。しかし、此奴らと関わってしまった事だけは唯一にして最大の間違いだったんだ」

 

ゲオルクはそう言いつつ足元に転移魔法陣を展開する

 

「ぬっ!逃がすか!」

 

サイラオーグさんが拳を振りかぶって攻撃するが曹操が聖槍の光を放った事で悪魔の彼の動きが一瞬鈍り、拳が届く直前に曹操達はその場から消えた

 

 

 

[三人称 side]

 

 

「クソ!最後の最後で逃がしちまったか!」

 

イッセーが折角英雄派のリーダーを捕まえる事の出来る機会を逃してしまった事を毒づく

 

「そうね。でも、あれだけやられれば英雄派も暫くは身動きも取れないでしょう。よくやったわ、イッセー。流石は私の眷属よ」

 

「はい、部長!」

 

リアスの言葉にイッセーも気持ちを切り替えて返事をする。確かに逃しはしたものの英雄派の幹部を軒並み倒した事に変わりはないのだ

 

だがリアスはイッセーの『部長』呼びに頬を膨らませる

 

「もう、リアスで良いのに」

 

「いや、でも今はプライベートでもない訳ですし」

 

「そんなの気にしないわよ。公の場以外ならリアスって呼んでくれると嬉しいわ」

 

「は、はい!分かりました、リ・・・リアス」

 

これからは可能な限り『リアス』呼びをする事が決定したイッセーが恥ずかしくも嬉しそうに返事をする

 

「宜しい。じゃあ皆、帰りましょうか・・・あら?イッキは何処かしら?」

 

辺りを見渡したリアスはこの場にさっきまで居たはずのイッキが居ない事に気づき、辺りを見渡し、他のメンバーもイッキの姿を探す

 

「にゃはははは♪イッキならあいつ等の転移に紛れ込んで一緒に跳んでいったわよ?まぁ私も幻術でイッキがあいつ等の後ろからコッソリ近づくのを手伝ったんだけどね」

 

「なっ!如何いう事ですか黒歌姉様!」

 

幾ら相手が弱っていたと云えどイッキ一人を向かわせた事に白音が批難の声を上げる

 

「大丈夫よ。イッキはまだもう一つのフェニックスの涙も持ってるし、イヅナの通信も繋いであるから何か不利になる事が在れば即座に私が召喚するにゃ。男を信じて待つのも良い女の条件よ♪」

 

黒歌は敢えて言わなかった。態々気配と姿を消して消耗している曹操達の背後にまで忍び寄ったイッキが転移を止めるでもなく一緒に転移していった事を

 

『上手くいけば愉しい事になるかも』なぁんて言われたら協力しないとにゃ♪

 

悪戯好きの黒猫はこの先イッキが如何するつもりなのかに想いを馳せるのだった

 

 

[三人称 side out]

 

 

 

 

 

 

ゲオルクの転移で向かった先は紫のラベンダーの咲き誇る場所だった。空が青い事から此処が人間界の何処かである事が窺える

 

「曹操、先ずは回復したら如何だい?」

 

「・・・ああ、そうだなゲオルク」

 

ワンテンポ遅れて返事をした曹操が懐からフェニックスの涙を取り出し―――イッキに奪われた

 

「なんだか英雄派からフェニックスの涙を掏る事が毎度の恒例になりそうだな」

 

そう言いつつ俺は幻術を解除する。転移前の黒歌のサポートがあった時と違って転移後でもこいつ等が気付かなかったとなると消耗もあるだろうけど完全に気を抜いていたみたいだな

 

「な!?有間一輝、貴様は“バギッ!!”」

 

驚いているゲオルクに取り敢えず仙術顔面パンチを繰り出してそのまま頭を引っ掴み、魔法や神器を使えないように仙術で気をかき乱す

 

コイツが動けると会話の一つも出来やしない

 

十分に異能を封じてから曹操の横にゲオルクを投げ捨ててやると曹操も首を横に振る

 

ゲオルク無しでは逃げるのもままならないと分かっているのだろう

 

「この流れで俺に止めを刺しに来るとはね。華々しく戦って勝とうとか思わないのかい?」

 

曹操としても冗談で口にした事なんだろうけど答えてやるか

 

「そういうのは英雄(ヒーロー)の役割だ。俺みたいなただの人間には柄じゃないさ―――そう云えば曹操。お前は京都で『異形を倒すのは何時だって英雄だ』とか言ってたけどこれからはもう一つ覚えておけ―――『英雄に止めを刺すのは何時だって人間だよ』」

 

『倒す』じゃなくて『止めを刺す』ってのがポイントな

 

まぁそもそもこいつ等は『英雄』なんて器じゃないけどね

 

そこまで言ったところで莫大なオーラが接近してくるのを感じ、その気配の持ち主は数秒程度で俺達の前に降り立った

 

アロハシャツにサングラス、ボウズにした頭に首に大きな数珠を下げている巨漢だ

 

「よぉ、悪いがそいつらは俺様が貰うぜ」

 

そこに降り立った神に対して俺は取り敢えず頭を下げる。コイツに会うのも目的の一つだからな

 

「初めまして、帝釈天様。お目に掛かれて光栄です」

 

アロハシャツのヤクザ顔の御尊顔を見ても光栄もクソもないがまぁいいだろう

 

「ああ、お前の事も知ってるぜ。有間一輝―――最近じゃあまり見かけないタイプの人間かもな」

 

如何いう意味で言ってるのかは気になるが「恐縮です」とだけ返しておく

 

「さて、堕天使の総督から聞いていますが曹操達と繋がりのある貴方が潰されて使い物にならなくなった英雄派から『神滅具(ロンギヌス)』を回収するつもりならば私はそれを邪魔するつもりはありません」

 

そこまで言うと曹操とゲオルクがピクリと反応し、帝釈天は面白そうに俺を見る

 

「ですがもし宜しければ代わりに私の話を聞いて頂けないでしょうか?」

 

「いいぜ。言ってみろよ」

 

「いきなり質問で申し訳ないのですが、冥府の神であるハーデスの事を帝釈天様は個人的(・・・)にどう思ってますか?」

 

「ああ、死ねばいいと思ってるぜ」

 

「それは好都合、ではここに居るゲオルクの協力も得て上手くいけばハーデスを合法的に消滅させられるかも知れない話をしたいと思います」

 

そうして俺は取り敢えず頭の中にある作戦を話し、それを隣で聞いていた曹操たちは「有間一輝。キミには神様を敬おうという気持ちはないのかい?」と隙が有れば後ろから聖槍でぶっ刺そうとしていた曹操にそんな事を言われた・・・解せぬ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、総督を更迭されたぁぁぁぁぁ!?」

 

俺達は冥界の騒動から駒王町に帰って来たその日の内に中間テストに追われ、採点待ちをしている時に放課後のオカルト研究部でアザゼル先生が総督を辞めたという話を聞いていた

 

「うるせぇな。仕方ねぇだろ?色んな組織を騙してオーフィスを此処に引き入れたんだから、罰が有って当たり前だ。今の俺の肩書は神の子を見張る者(グリゴリ)の特別技術顧問だな。まぁこの駒王町は離れねぇし、この地の監督役とも云えるが」

 

「総督から、監督」

 

白音が小さく呟く

 

「ま、そういう訳で神の子を見張る者(グリゴリ)の新しい総督にはシェムハザを、副総督にはバラキエルを据えたからよ。平和に近づいた今ならあの堅物二人の方が上手く組織を回していけるさ。これから俺は只管自分の趣味に時間を割けるようにもなって皆万々歳だ!」

 

アザゼル先生の最後のセリフを聞いて皆が皆一様に難しい顔となるが当の本人は口笛を吹いている

 

「そうそう、先日の中級悪魔の試験だが合否が出たぞ。忙しいサーゼクスに代わって俺がお前らに伝える事とする。先ずは木場だ」

 

そう言いながら四通の書類を取り出し、サクサクと皆の合否を発表していく

 

結果は全員合格だ。白音が「合格」と言われた時はレイヴェルが抱き着いてたな

 

そして皆の興奮がある程度落ち着いた所でアザゼル先生が新たな話を切り出した

 

「さて、急な話で悪いが皆には今から冥界に向かって貰う」

 

それを聞いた皆も頭上に?を浮かべているような表情だ

 

「冥界に?私は何も聞いてないのだけど何をしにいくの?」

 

代表してリアス部長が聞くがアザゼル先生が言いにくそうに言葉を発する

 

「あ~、ちょいとお前さんらに是非会いたいという要人が居てな。サーゼクスやミカエルたちもこの件は既に知っているがお忍びでな。お前らに伝えるのもギリギリのタイミングになった訳だ」

 

そうしてアザゼル先生が転移陣を展開して皆にそれに乗るように促す

 

「先生!誰と会うんですか?」

 

「あ~、それは出会ってみてのお楽しみって事にしとけ―――全員乗ったな?じゃあ行くぞ」

 

イッセーの質問を濁して返したアザゼル先生の転移で皆で冥界に転移した

 

 

 

 

 

 

 

転移先はそれなりに広い部屋の中で窓や扉も全て閉じている為此処が冥界のどの辺りなのかは分からない。だが、イッセー達は転移直後から一気に臨戦態勢に移行した

 

「ハーデス!何でテメェがここに居る!!?」

 

イッセーを始め、全員敵意剥き出しだ。それも当然、冥界を無茶苦茶にした先日の騒動の大半は目の前の神が仕組んだ事なのだから転移先にハーデスが居ればこういう反応になるだろう

 

そんな中でハーデスは"ツカツカ"と近づいてこれ以上一歩でも近づけば問答無用で皆が攻撃を仕掛けるであろう間合いの一歩外で立ち止まり

 

 

 

 

「誠に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

渾身の土下座をかました

 

「『ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?』」

 

皆の驚愕の声が部屋に木霊する

 

「ほらほらお前ら。さっきも言ったろ。要人がお前たちに会いたがってるってよ。そこで土下座してるハーデスがその要人だよ」

 

「いやいやいや!この状況を納得できる訳ないじゃないですか―――ハッ!さては先生。コイツは先生が造ったハーデスの偽物ですね!総督の立場から解放されて最初の悪戯にしては質が悪すぎですよ!先生がハーデスを嫌ってるのは知ってますが、態々こんなのを造って楽しいんですか!?」

 

「誰がハーデスの人形なんか頼まれても造るか!そいつは本物のハーデスだよ!」

 

「マジ・・・ですか?」

 

「ああ、マジだ」

 

そんなイッセーとアザゼル先生のやり取りから皆が再びハーデスに視線を移した頃、俺もハーデスに近づいて顔を上げさせる

 

「ハーデス様。質問宜しいですか?」

 

「イッキさん。貴方にも今回多大なご迷惑をお掛け致しました。私で良ければ何でも聞いて頂きたい。守秘義務に抵触するものでない限りはお答えできるでしょう」

 

うっは!気持ち悪りぃ!このハーデス!

 

「座右の銘は?」

 

「一日一善」

 

「好きな言葉は?」

 

「世界平和」

 

「これからの冥府のスローガンは?」

 

「笑顔で働けるホワイトな職場」

 

「・・・好きなアニメは?」

 

「ミルキーシリーズ」

 

うん。ちょっと最後に世界の均衡が崩れそうな言葉を聞いた気がするけど概ね注文通り(・・・・)

 

今回、サマエルに加えてあの映像資料を三大勢力や帝釈天、八坂さんの協力の下、各神話の主力陣の方々に水面下でリークしてハーデスの処罰を決めたのだ

 

流石に全勢力で禁止されているサマエルで次元の守護者のグレートレッドを滅ぼそうとしたり冥界を崩壊させようとしたり、魂を管理する神の役割を放棄して俺をコキュートスに封印しようとしたりしたのが普段から各方面に恨みを買う真似をしていたのも相まって『冥界への罰金と冥府への監視の強化、そして今後は”心を入れ替えて“職務を全うする事』という処罰が下されたのだ

 

最初は会議の場で映像もバラされて不機嫌だったハーデスも結局人間の魂を管理する自分に重い罰を下せずに目の前でアザゼル先生が(演技で)悔しそうな顔をしてるのもニマニマと眺めながらその罰を受け入れたらしい―――勿論、表面上だけでその内また悪さをするだろう事は見て取れたがハーデスが処罰の内容を呑んだ瞬間にその場に居た神仏たちや遠距離通信で会議に参加していた各勢力の者達が一斉にハーデスを拘束、喚くハーデスの“心を入れ替えさせた”のだ

 

これはゲオルクがオーフィスの力を分割して新たなウロボロスを創り出そうとしていた所を見て疑問に思った事なのだが、神の力を割ったり、創ったりといった術式は何処から引っ張って来たものなのかという事だ。そこで思い当たったのが英雄派に力を貸し、死『神』を大量に有するハーデス達だった

 

恐らく原作でハーデスが執拗に弱体化したオーフィスを狙っていたのは英雄派に渡していない術式を利用すれば弱体化したオーフィスを通じてもう一人のオーフィスも操ったりまた一つに纏めたりできると考えたからではないだろうか?最初にグレートレッドを狙っていた所を見るに必ずしもオーフィスである必要は無かったみたいだしね

 

それともう一つ重要なのが原作のもう一人のオーフィスであるリリスは確かヴァーリの祖父が感情・思考を幾らか設定していたという所だ

 

そもそもそれが出来なければオーフィスにしろグレートレッドにしろ支配下に置く事は出来ない。神の力から新たな都合の良い神を生み出す術式

 

ハーデスがこの世界に必要で消滅させる事が出来なくともその心を消し去ってやれば良い。そうして此処に善神・ハーデスが爆誕したのである

 

因みに刑期は数十年という設定だったらしいが善神となったハーデスから出るわ出るわ余罪の数々。ハーデス自身も自分が元に戻ったらまた悪さをするのではないかと心配し、刑期を半永久に変えてくれと申し出る始末・・・勿論そこまで計算しておいたので無事ハーデスの刑期は伸びた

 

因みにこの『心を入れ替えて奉仕する』罰は今後下されることの無い一度限りの鬼札だ

 

何故ってそれは勿論各勢力には後ろ暗い事をしてる奴なんて沢山いるからに決まっている

 

だけど一度しか適用されない罰ならば皆ニッコリだ―――ハーデスも『今は』ニッコリである

 

とまぁそんな感じの事があったと皆に説明するとドン引かれた

 

「イッキ・・・お前絶対人間じゃねぇよ。畜生とか外道とかその類だよ」

 

「何言ってるイッセー?畜生も外道も人間の在り方の一つで種族じゃねぇぞ。つまり俺は人間だ。それにそもそも外道とは言ってくれるな。俺の提案でこの世界に一柱の力ある善神が生まれたんだぞ?それを成した俺は即ち正義だろう」

 

何処ぞの正義の味方の弓兵も言っていたしな―――『正義とは秩序を示す』ってさ

 

秩序維持に一歩近づけたんだからやっぱり俺は正義だ!

 

・・・流石に本気でそう思うほどイカれちゃいないけどね

 

ハーデスと仲良く肩を組んでいる俺の言に皆が更に引いてる中、アザゼル先生が話掛けてきた

 

「ああ、そう言えばイッキ。あの会議でハーデスの処罰とは別にお前の事も議題に上がったんだ」

 

へ?神々の関心をそこまで引くような事有ったっけ?

 

「お前の禁手(バランス・ブレイカー)、今後能力使うの禁止な」

 

「はぁ!?何でですか!?」

 

「何でもなにもねぇだろう。元々サマエルは各勢力が使用を禁止していた程の呪いの塊だぞ。それを『神器になったからこれからは自由に使えます』なんて事になると思ってたのか?最初は神器を封印しようという話も出ていたがそれをすればお前の力も大幅にダウンするからな。禁手(バランス・ブレイカー)までなら良いが兎に角サマエル関連の力は禁止だ。この後神の子を見張る者(グリゴリ)でお前がサマエルの力を使ったらすぐに各勢力に伝わるタイプの発信機を付ける事になる。良かったな。お前が冥界を救う程の功績を出して最上級死神を単身屠るほどの力を見せてなかったら神器の封印程度は強行されてたと思うぞ」

 

嘘でしょ!この後の戦いって邪龍との戦いが増えるんだよ!?言う訳にはいかないけど此処で俺の神器が封印指定されるとか嫌がらせかよ!

 

結局お前ドラゴンでもないタナトスに呪いをちょっと浴びせて終了とか役に立たねぇな!

 

こうして冥界を震撼させた魔獣騒動は無事(?)に幕を閉じたのだった




ハーデスが一番酷い事になると予告しましたが今の活き活きとしてるハーデスは本当に酷い事になったと云えるのでしょうか?(すっとぼけ

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