転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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二話連続投稿です 一話前からお読みください


第三話 魔法使いと、禁術です!

あれから吸血鬼の領地に行くという事でリアス部長と朱乃先輩とアザゼル先生は少しだけ打ち合わせするというので残りのメンバーは一足先に家なり支部なりの拠点に戻る事になった

 

もう夜も遅いし明日も朝練が在るのでさっさと眠るべきなのだが、やはり今回の吸血鬼及び会談の内容が気になるみたいなので少しだけ話をしている

 

「いや~、それにしても気に喰わない連中だったにゃ~」

 

「私も純血の吸血鬼の方とお会いしたのはコレが初めてですが、心底自分達さえ良ければ良いという姿勢は理解し難いものが有りましたわ。アレで交渉の席に着くというのですからなおの事です」

 

「いっそギャー君の幼馴染だけ秘密裡に連れ出したいくらいです・・・流石に無理でしょうが」

 

「白音の案を採用するなら、お会いしたことは無いけどぬらりひょんの力が要るだろうな。黒歌の伝手で何とかならない?」

 

「無理無理!私あの方に頭が上がらないのよ。そんな事頼める訳ないにゃ!」

 

まぁそうだろうね。借りが有る訳でもないし、そもそも一大組織の頭目を借りれるだけの借りって土蜘蛛10匹ぐらいは倒さないと無理じゃね?皆が皆アザゼル先生みたいにフットワークが軽い訳でも無いしな・・・と云うかアザゼル先生の身軽さは異常か

 

「まっ♪でも最後にイッキがあいつ等に一手仕返ししたのは良かったけどね♪最後に真っ青な顔で部屋に戻って来た時なんか笑いを堪えるのに必死だったにゃ」

 

「それでもアレは本当に嫌がらせの域を出ないものだよ。流石に伝手も無い上に吸血鬼の根城が分からなければ事前に潜入捜査や仕込みとかも出来ないしさ」

 

「合理性だけでなくそれぞれの種族から個人の感情まで絡めて考えなくてはならないのですから政治というものは本当に難しいですわ」

 

「合理性に基づいて協議出来れば理想的だけど、それは無理」

 

確かに、公私混同しないで滅私奉公する政治家とかウルトラレアも良い処だし、例え居たとしても少数の意見は通りにくいのがまた政治なんだよなぁ

 

本格的に政治に関わった事は無い俺でも面倒だと感じるんだから相当だ

 

「ともあれギャスパーの手伝いが出来るように吸血鬼側から譲歩を引き出すとアザゼル先生も言っている訳だし、今の俺達に出来る最善は結局修行して力を付ける事だろうな。呼び出された時に手伝いという名の蹂躙をしてさっさとギャスパーの幼馴染を掻っ攫う事が出来ればベスト何だけど」

 

「まっ、そうよねぇ。折角小難しい事はアザゼルっちが請け負ってくれるって言うんだから、これ以上頭捻って考えたくないにゃ~」

 

そう言って枕に顔を埋める黒歌に後輩二人はジト目を向けている

 

「全く、黒歌さんは頭の回転は速いのにそうやってスグに怠けるんですから」

 

「ゼノヴィア先輩みたいですよ。黒歌姉様」

 

さり気にディスられてるぞ。ゼノヴィアよ

 

そうして俺達はその辺りで話題を切り上げる事にして眠りにつくのだった

 

俺も3人の寝顔を堪能した後でいつも通り【一刀修羅】の後で眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

吸血鬼との会談から数日、リアス部長達が吸血鬼の領土に向かう日がやって来た。何でも幾つもの転移を経由した上に旅客機に乗ったり、車で移動したりと非常に面倒なルートを通らなければたどり着けないそうだ。勿論吸血鬼が使用する直通ルートも在るそうだが外部の者が入国するのにそのルートは使えない。これは吸血鬼の本拠地の場所を外部の者に分からせなくする為の措置のようで彼らの引きこもりという性質が色濃く出ているな

 

まぁ敵の多い吸血鬼としては一概に悪いと云える要素ではないのかも知れんが、先日の会談相手にも全力で見下す姿勢を見ていると擁護する気も失せるがな

 

それと如何にもレイヴェルは最近魔法で新技のようなものを試しているらしい。もっとも、まだ形になっていないから今は秘密と言われたが何でも「イッキ様の戦いから着想を得ましたの」と言われたけど流石にそれだけだとサッパリだ―――まさかミサイル抱えて自爆特効なんて話じゃないだろうしね

 

今は夕飯を終えて軽く寛いでいた時に白音に通信が入ったようだ

 

「イッキ先輩。リアス部長が今から出発するそうです。何でもルーマニアの天候不良が一時的に回復したらしいです」

 

それを聞いた俺達はすぐにイッセーの家の転移の間に向かった

 

 

 

転移の間に着いた時にはリアス部長がギャスパーを抱き締めていた

 

「大丈夫よギャスパー。貴方の事は私が守るわ。ヴラディ家からもしっかり話を聞いてくるから貴方もすぐに動けるようにしておいてね。そのヴァレリーという子がギャスパーの大切な人だと云うなら私だって助けたいからね」

 

流石は情愛の深い事で有名になるだけの事はあると思わせる主従愛っぷりである

 

すぐ隣ではイッセーが祐斗の胸に拳を当てて「リアスの事、頼んだぜ」、「勿論だよ」と男同士の青い春を展開してるな

 

この空間に腐った目線を持つ人が居たらエサにされる事間違いなしだ

 

すると祐斗の視線がこっちを向いたな

 

「やぁ、イッキ君も見送りに来てくれて有難う」

 

「そりゃな。そう云えば祐斗はリアス部長の護衛な訳だし『ジャッカル』は装備して行けよ」

 

「『ジャッカル』・・・ああ、あの銃の事かい?ははは、僕は剣士だからね。銃は必要ないよ」

 

ッチ、折角吸血鬼の本拠地に向かうんだから装備してみて欲しかったな

 

「相手は不死身を更に強化したらしい吸血鬼だからな。もしも戦闘になった時、聖魔剣でただ斬りつけても効果は薄いかも知れないから一つ、アドバイスをやろうか」

 

「アドバイス?」

 

俺の言に小首を傾げる祐斗。そんな彼にタフな吸血鬼も塵に出来そうな戦術を教授するとしよう

 

「祐斗は龍騎士の鎧をジークフリートと戦った時に着こんでたよな?」

 

「うん。そうだね。それが?」

 

最初にタナトスとプルートが出てきた時に祐斗は彼と戦闘してたからな

 

その時にまだ佑斗の動きまでは完璧に再現(トレース)出来てない龍騎士の一体に偽装してジークフリートに痛手を負わせていたのだ―――鎧を着ていない普段の佑斗の幻影を魔力で創り出してな

 

「その鎧を相手に着せた上で炎か雷辺りの龍騎士に属性を変化させて逃げ場ゼロの全方位から聖なる攻撃の継続ダメージを与えてやれば効果的なんじゃないかと思ってな。お前今まで龍騎士に持たせた聖剣の属性を変化させる事は在っても龍騎士自体の属性を弄った事なかっただろ?でもあの騎士団だって元は聖剣が変化したものなんだからやればイケるはずだ―――『鋼鉄の乙女(アイアン・メイデン)』から取って『鋼鉄の龍姫(アイアン・メイデン・ジャンヌ)』でいいか?」

 

俺の言う龍の姫はFateのジャンヌ・ダルク・オルタの方だけど英雄派のジャンヌも一応ドラゴンな力を使ってたし、不自然ではないだろう

 

一度鎧に入れて聖なる炎で炙ってやれば霧になって抜け出すことも難しいだろうしね

 

「・・・相変わらずエゲツない発想だね。僕の騎士団が拷問用処刑道具として見られるとは思わなかったよ。しかも普通に有用そうなのがまたイヤらしいね」

 

「・・・俺、絶対に実戦でイッキを敵に回すような真似はしたくねぇな」

 

何かドン引かれてしまったが祐斗なら本当にそれが必要になったなら今の案も採用するだろう

 

「朱乃、眷属の事はお願いね」

 

「ええ、勿論ですわ」

 

「はぐれ魔法使いの事もある。レイヴェルも含め、全員気を付けてくれ」

 

『はい!』

 

「ああそれとアーシアにオーフィス。例のだが一応何度か試運転はしておけよ。オーフィスもアーシアに付いていてやってくれ」

 

「は、はい。恥ずかしいけど頑張ります!」

 

「ん、我、アーシアの事、しっかり見る」

 

「それじゃあ行ってくるわね」

 

「何かあったら呼んで下さい。必ずリアスの下に駆けつけますから!」

 

最後に一通りの挨拶と注意事項などを告げてリアス部長達はルーマニアに向けて転移していった

 

 

 

 

あれから数日、今日は授業で体育があり、時折入る息抜き種目としてドッヂボールが行われていた。試合は既に佳境に入っており内野に残っているのは既にイッキとイッセー、そして敵チームの内野には松田と元浜だけが残っている

 

「行くぞイッキィィィ!!黒歌さんだけでも度し難いというのに白音ちゃんにフェニックスさんに九重ちゃんとロリ属性持ちに囲まれている貴様は此処で俺が引導を渡してくれるぅぅぅ!!」

 

10割の私怨を乗せて元浜がダイナミックな動きを魅せて渾身のボールをイッキに叩きつけて来る

 

「甘いぞ元浜!『第三秘剣・円』!」

 

迫りくるボールを体を一回転させながらボールの裏側を掴み、タイムロス無しで元浜に投げ返す

 

渾身のボールを放った直後の元浜は体勢が崩れたままだったが強引に腕だけ動かしてボールを上に向かって高く弾いた

 

「頼む、松田!!」

 

「応よ!」

 

その言葉に素早く反応した松田がオリンピック選手並みの跳躍力をみせて空中のボールに手を伸ばす。地面に落ちる前にキャッチすればセーフになるからだ

 

だが松田の取った行動はキャッチではなかった

 

「うおぉぉぉ!!松田!ダイナミックスパイクゥゥゥゥ!!」

 

そう!彼はボールをそのまま相手コートに向かって弾き返したのだ。イッキのキャッチしたとも取れるカウンターシュートと違い『弾く』という行為では相手に当たらず地面に接した瞬間二人ともアウトになる。だが松田はそのリスクを負ってでもワンテンポ、いや、ツーテンポ早い反撃で相手を討ち取る事を選択したのだ。自分と元浜よりもイッキとイッセーの方が単純な身体能力は高いと理解しているが故に奇をてらった攻撃に勝機を見出したのだ

 

狙った先はイッキよりは討ち取り易いイッセーだ。現に彼は捕球行動に移るのが遅れてしまっている。授業時間も残り僅か、此処で一人減らせれば逃げ切り勝利も視野に入れる事が出来る

 

「しまった!!」

 

案の定捕球に失敗したイッセー。ボールはと云えば彼の右腕の部分に当たり既にすぐ横の外野まで跳ばされている。ボールが落ちても外野の選手は敵の陣地の者達なので彼らがキャッチしてもイッセーは外野という名の敗者の一員となる

 

だがイッキは松田がスパイクを打った瞬間にはもう万が一に対して動き出していた

 

無駄に滑らかな身体操作によって最速で最高速に達したイッキ

 

「イッセー!跳ばせェェェ!!」

 

イッセーの左側から爆走してくるイッキを見た彼は瞬時にイッキの方を向いて両手を重ね合わせてイッキの踏み込みに備える

 

本来なら体操種目などで大ジャンプをする時のものだが目指すボールは後方だ

 

イッセーはイッキの片足が掌に乗った瞬間にリンボーダンスの如く上体を逸らし、本来上に撃ち上げるものをほぼ真横とも云える角度でイッキを撃ち出す。数舜後に自分が倒れるなどお構い無しだ

 

撃ち出されたイッキは外野の空中でボールをキャッチする

 

だが、このまま敵地である外野に降り立ったらその瞬間負けが確定する。先ほどの松田と元浜と立場が逆転した。ならばこそ、そのままお返ししてやれば良い!

 

外野に向かって跳んだ関係上敵である二人には背を向けた状態だ。だからこそ、そこから繰り出される技も有る。体が地面に落ちる寸前に極限まで体を捻らせた一投を放つ!

 

「『第七秘剣・天照』!!」

 

【一刀羅刹】状態だったとは云え最上級死神すらも屠った秘剣を用いてボールを撃ち出し、着地したばかりの松田にボールを当て、松田に当たった事で目の前で軌道が変わった事で対処の遅れた元浜をダブルで討ち取った事で勝敗は決したのである

 

なお、体育の先生はこの4人に対しては危ないプレーなんて言う気は失せている

 

倒れたイッセーも倒れ切る前にブリッジ状態からバク転気味に立ち上がるし、イッキも地面に落ちる前に手で地面をついてアクロバティックに体勢を整えたからだ

 

松田と元浜も大体似たようなものである。此処が駒王学園という特殊な力場に覆われた場所で無ければ、まともな体育教師なら校長や理事に『彼らをオリンピックに!』と直談判するくらいにはハイレベルの攻防であった・・・勿論闘気などは使って無く、4人の内3人は人間なのだが

 

「あー!敗けたぁぁぁ!やっぱり団体戦でイッキとイッセーが一緒のチームに居ると勝てねぇ!と云うかイッキ1人と俺達3人で互角位なのに絶対組み合わせ間違ってるぜ!」

 

「そこはランダムで決まったんだからしょうがないだろ」

 

単純な人間としての身体能力だけだと使えるテクニックも限定されるんだからお前ら3人を毎回相手取るのは流石にしんどいわ。それに毎度同じ組み合わせとか体育の授業的にダメだろう

 

そうして授業が終わり着替える為のロッカールームに向かおうとグランドを歩き始めた瞬間、俺の視界が切り替わった。これは転移などではなくイヅナの視界共有だ

 

視界の先では床に光る魔法陣から現れたであろう魔法使いのローブの人間がすぐ傍に居た生徒を捕まえて攻撃的な魔法陣を突きつけている処だった

 

イヅナにはもしも何か起こったら一瞬だけ視界を繋げる事で連絡してくれと言ってあったが本当に三大勢力の結界をすり抜けて転移して来やがったんだな!

 

クソ!折角ゲオルクを捕まえても手引きできるヤツが相手側に居れば意味がない!

 

「(イッセー、敵、恐らく禍の団(カオス・ブリゲード)だ)」

 

「な!?」

 

隣のイッセーにだけ聞こえるように簡潔に伝えると信じられないと云った表情になる

 

「先行くぞ」

 

悪いが返事を待っている暇はないのですぐにレイヴェル達の居る教室に向かう

 

グラウンドを抜けた先で魔法使いが二人転移して来て「よぉよぉ、急いで何処に行くんだ?俺らと一緒に遊んで・・・」とか言っていたけどすれ違いざまに二人の間を仙術ダブルラリアットで叩き伏せながら通り過ぎる。一応今は一般生徒の居る時間帯なので気絶に留めているけどな

 

だがそこで旧校舎の方角から強大な魔力反応が解き放たれた。籠められた魔力量は最上級クラス。学園及びその周辺は木っ端微塵、余波で町が崩壊するレベルだ

 

ハァ!?マジかよ!?あんなもん個人で対処できるのは俺かイッセー位だぞ!しかもイッセーは真昼間に鎧で飛ぶ訳にはいかないから実質俺一人だし!

 

白音も対処は出来るだろうけどかなりの怪我は負うだろうし、そもそも今は動けないはずだ

 

一瞬迷って足が止まった処で魔力反応は消え、同時にレイヴェル、白音、ギャスパーの気配も消えていた。ブラフか!

 

多分だけど今のはグレイフィアさんの弟の・・・名前はユーグリットだったっけ?そいつが魔法使いがレイヴェルを連れ去る為に態と攻撃的なオーラを放ったんだな

 

それで気を取られている間にまんまと連れ去ったと・・・ああもう!結界素通りの転移拉致とか分かってても防げねぇ!

 

まぁ防げないだろう事は見越してたので白音かレイヴェルが俺を召喚するのを待つか。今一年の教室に向かって人前で俺も転移する姿が見られるのは勘弁だしな

 

そう思ってるとイッセーが後ろから追い付いて来た

 

「イッキ!どうなったんだ!?俺も林の方に居た魔法使いと少し戦ったけどヤバいオーラが旧校舎から漂ってきたと思ったら奴らサッサと引き上げて行ったんだ」

 

「こっちは一般生徒が人質に取られて白音とレイヴェルにギャスパーの気配が消えた。本命はレイヴェルで他の二人はついでだろうけどな。二人とはまだ使い魔契約を継続してるしレイヴェルにイヅナの本体も付いてる上にこういう時にイヅナには特定のビーコンを出すように予め指示してあるからな。俺はすぐに召喚されると思うからイッセー達は後から来てくれ。イヅナの信号は魔法使いの黒歌とロスヴァイセ先生に術式渡してあるから」

 

出来るだけ早くリカバリーが効くようにはしておいたけど出来れば連れ去られるのを何とかしたかったんだけどな

 

心の中でつい愚痴が漏れてしまうが丁度召喚で引っ張られる感覚がした。良かった。俺の使い魔召喚術式は英雄派のゲオルクと曹操、それとプルートにタナトスは目にしていたけど二人はすぐに死亡してゲオルクと曹操は今は冥府だ。はぐれ魔法使いの派閥には情報は入って無かったようだな。流石にピンポイントで対処されてたら召喚術式も機能しなかっただろうし

 

「イッセー、呼ばれてるみたいだから後は頼む」

 

「応!こっちは任せろ!」

 

そうして一瞬視界が暗転して次に視界に映り込んで来たのは

 

 

 

 

 

「オ~ホッホッホッホッホ!何時までも私が守られてばかりの戦えない娘だと思って貰っては困りますわ!やはりクローン何て無粋なモノを製造していただなんて万死に値しますわ!私の業火で全て塵にしてさしあげましょう!ホ~ッホッホッホッホッホッホォ!!」

 

 

 

 

 

何だかテンションの壊れたレイヴェルが普段の何倍もの火力ではぐれ魔法使いの一団を蹂躙している光景だった・・・別に問題が在る訳じゃないけど、何だか思ってたのと違う

 

「えっと・・・如何いう状況?」

 

取り敢えず俺を召喚したであろう白音に状況を聞く事にした

 

 

 

 

~少し前~

 

 

突如として現れた魔法使いに虚を突かれ、クラスメイトを人質に取られた白音とレイヴェルとギャスパーは抵抗する術が無かった

 

敵が人質を取っている目の前の魔法使い一人だけならまだ何とかなったかも知れないが魔法使いは他にも見える位置に数人、気配を探れば校内の別の場所にも居る事から実質この学園そのものを人質に取られたようなものだ。悔しい想いを噛み殺して3人は後ろ手に魔法の縄のようなモノで拘束され、転移していった

 

転移先は真っ白い巨大な空間で四角い箱の中のような場所だった

 

そして3人を取り囲んでいるのは数十人の女魔法使いたち、その中の一人がクスクスと笑いながら話しかけて来る

 

「ようこそ、お嬢ちゃんたち・・・って確か一人は男だったわね。何で表の授業中に拉致して来たのに女子生徒の格好してるのよ?まぁ良いわ。今回あなた達と云うかそこのフェニックスのお嬢ちゃんにに来てもらったのはちょぉぉぉっと協力して欲しい事が有ったのよねぇ♡」

 

そう言って指を鳴らすと少し離れた場所に沢山の人一人入れる程度の大きさの生体ポッドが床からせり出してきた

 

「アレ、何なのか判るかしらぁ?フェニックスの悪魔のクローンよ。フェニックスの涙を造る為にちょっと量産してね。何でも『涙』の精製には感情の宿らない『無垢なる涙』が必要っていうけど、意識の無いクローンに電極張っ付けて強制的に涙を流させてやれば涙なんて幾らでも搾り取れるからね。ただ、クローンの基にしたフェニックスはどれも直系の者じゃ無かったからか失敗作も多くてね。マーケットには完成品だけを流しているんだけど出来ればもっとお金も『涙』も欲しいのよ。だ・か・ら♡貴女の生体データを調べさせて貰うわね♪」

 

俯いて顔を見せないレイヴェルに女のはぐれ魔法使いは愉しそうな声音で語り掛ける

 

「そんな事、させない!」

 

白音が『戦車』の膂力で拘束を引きちぎろうとするが力を籠める前に待ったが掛かった

 

「ああ、言い忘れたけどあなた達のその拘束は強引に外そうとすれば爆発する仕組みになってるわよ?折角だから猫又やヴァンパイアのデータも取りたい処だけどフェニックス以外は最悪死んでも良いから、大人しくしておく事ね」

 

それを聞いて力を籠めるのは止めたが代わりに猫の妖怪として爪を鋭く尖らせて掌を切る

 

イッキとの使い魔従属の相互契約を結んでいるのは黒歌だけではないし、魔獣騒動の後もイッキと黒歌だけが契約を続行するというのはイヤだった事もあって白音もレイヴェルも契約はそのままになっていたのだ。もしも契約を外そうという話になっていたなら最低でもイッキはフェニックス家の関係者が狙われている事を理由に契約を結び直していただろうが

 

だがいざ白音がイッキを口寄せしようとした処でレイヴェルから声が漏れた

 

「フフフフフ、本当にクローンを造っていたんですのね。流石はイッキ様ですわ。小悪党の考える程度の事はすぐさま見破られるだなんて凄いです」

 

「あらぁ?もしかして可笑しくなっちゃった?それともただの現実逃避かしら?」

 

「いいえ、違いますわ―――そうそう、この拘束魔法ですが無理やり外すのがダメだと云うなら別の手段で外せば良いだけの話ですわね。こんな風に!」

 

訝しむ魔法使いだったがレイヴェルの後ろから一瞬炎が上がると直ぐにレイヴェルは背後で縛られていたはずの手を前方に回し、その手には腕を縛っていたはずの魔法の縄が握られていた

 

「お返ししますわ!ついでに此方も受け取って下さいな」

 

レイヴェルは投げた『衝撃が加わると爆発する魔法の縄』に向かって右手を突き出すと魔法陣を展開し、右腕が一瞬炎に包まれる

 

直後に放たれた攻撃は兄であるライザー・フェニックスの業火にも匹敵、ともすれば上回る熱量ではぐれ魔法使い達を消し飛ばした

 

「ギャスパーさん!一度コウモリに変身して拘束から逃れて白音の拘束魔法を解呪して下さいな!イヅナは分身してギャスパーさんが解呪するまで専念出来るように護衛をお願いします!私は敵の数を減らしますわ!」

 

そう言うと今度は一度左腕を燃え上がらせたかと思えば周囲を圧壊するような暴風が吹き荒れ、魔法使いたちの防御魔法越しでも吹っ飛ばしていく

 

そうしてギャスパーが魔法を解呪した辺りで白音はイッキを召喚したのである

 

 

~少し前(完)~

 

 

「・・・と、そう云う感じです」

 

うん。分かるようで分からん。取り敢えずレイヴェルがクローンを実際目にしてブチ切れたのは分かったんだけどその戦闘力の向上は何?

 

「多分、クローンの事だけじゃなく、先日の魔獣騒動の時にずっと裏方だった事も絡んでいると思います。レイヴェルも仲間想いだから一人だけ後方に配置されてたのは口には出さなくても気にしてたと思うから」

 

「いや、気合が入ってるのは理解したけどそれだけであの火力は出ないよね?」

 

「うぅぅ・・・今のレイヴェルさんは何だか怖いですぅぅぅ」

 

ギャスパーの反応は何時もの事として成熟し、才能ある悪魔で最近トレーニングをちゃんと積み始めたライザー並みの火力を出せるってそこだけ見たらリアス部長を上回ってるって事になるぞ?

 

だがそこで蹂躙されている魔法使い達が魔法使いだからこそその答えに気づいたようだ

 

「嘘でしょう!?あの小娘が使ってる術式はさっきから禁術ばっかりよ!?」

 

「あら、漸くお気付きですの?以前私の最大の特性は『僧侶』の駒によって高められた魔力と魔法力だと言われました。私自身もこと戦闘力に置いてはその通りだとその時は思いましたが我らフェニックス家の最大の特性は何といっても不死身の再生力ですわ!今までそれは防御にしか役に立たないものだと思っていましたが多大なリスクと引き換えに強大な力を得るイッキ様の戦い、それと祐斗さんの身を削って力を得る魔剣たちを見ている時にピンと来ましたの。魔法には術者の肉体を犠牲に強大な力を得る事が出来る術式が在るのだと―――ですが私は不死のフェニックス。魂を明け渡すような術式でもない限り私の体力と魔力が続く限り幾らでも禁術を撃ち放てますのよ!」

 

え、恐!不死身の能力を攻撃力に転換してるのか。不死身と禁術の相性良すぎじゃね?

 

もしかしたらこれから先、フェニックス家の人は禁術を習うのが必須科目になっても可笑しくないレベルでヤバいだろ

 

と云うかさっきからレイヴェルが魔法を撃つ直前に腕とか足とかが一瞬炎に包まれてるのはその為の犠牲として消し去ってるからか・・・最初に腕を縛る拘束魔法を抜け出したって云うのも一瞬腕を物理的に消失させて抜け出した訳だな

 

考察している間にレイヴェルが全ての敵を倒したようだ・・・コレ、俺要らなかったか?

 

いやいや!敵がこれだけならそうだったかも知れないけど多分そうじゃないよな

 

するとレイヴェルがフラついて倒れそうになったので慌てて支える

 

「あ、申し訳ありませんイッキ様。流石に再生と禁術を平行して維持し続けるのは体力の消耗が激しいものでして・・・それにまだ習い始めたばかりの為か禁術という割にまだまだ威力は低いんですのよね。もっと精進を積まなければいけませんわ」

 

「付け焼き刃の段階でコレなら十分凄いよ」

 

確かに禁術というには地味だったかも知れないけどな

 

「いいえ、まだまだですわ。術の構築にも時間が掛かりますし、集中力が要るからその場から動くことも出来ませんの・・・今の私ではオカルト研究部の皆さんの誰にも勝てないでしょう」

 

あ~、確かにそれは冷静に対処すれば破るのは難しくなさそうだな

 

そんな事を思っていると転移魔法陣が展開され、空間に一人の男の声が響いてきた

 

「おやおや、これは・・・」

 

俺達が視線を向けるとそこにはフードを目深に被った銀のローブの人物が辺りを見渡していた

 

「駒王学園を襲撃した魔法使い達を回収してグレモリー眷属とシトリー眷属をおびき寄せる空間に居る彼らに注意事項を説明している間に全滅とは―――そちらの有間一輝の仕業でしょうか?いえ、この破壊痕からすると違うようですね・・・まぁ良いでしょう。彼らには好きにさせるように言われましたが失敗した処で私には関係の無い事ですしね。それにしてもお早い到着ですね、有間一輝。折角貴方にも招待状を送っておいたのですが必要無かったようです。如何やったのかお聞きしても?」

 

曹操もそうだったけど取り敢えず聞いて来るんだな・・・やっぱ中にはノリノリで答えちゃう人って居るんだろうか?

 

「そうだな。これからは例えテロリスト同士でももっと仲良くしてたら良かったんじゃないか?英雄派には使った手段だったんだけどな」

 

そう言うとローブの男は肩を竦めた

 

「それは難しいですね。元々禍の団(カオス・ブリゲード)は様々な派閥が混在している上に荒くれモノのテロリスト達です。他の派閥は追い落とす事が先ず前提になってる処もありますからね」

 

「そんなお前は魔法使いの派閥所属か?」

 

違うだろうけど一応ね

 

「いいえ、今は私があのお方(・ ・ ・ ・)の意向で禍の団(カオス・ブリゲード)の残党の指揮を取っております。有体に言えば今の禍の団(カオス・ブリゲード)のNo.2と認識して頂ければ・・・最も、旧魔王派と英雄派という二大派閥を失った彼らは好き勝手やっておりまして、私程度では中々に御し難いのですが」

 

それで昼間の学校を襲ってくるんだもんな。表の人間たちはどの神話勢力にとっても糧となる存在だ。勿論、信仰する神に違いは在るけどな。だから表の人間を見境なく襲えば各勢力が手を取りあって、または独自に制裁を下す為のエージェントを派遣する確率が高まる

 

はぐれ魔法使い達は今まで傍観してた奴らも自分達をぶっ殺しにやってくるレベルの大ポカやらかしてるって理解・・・してないんだろうなぁ

 

「さて、実はですね。そこのフェニックス家のお嬢さんのデータを取るのは私としてみれば『出来れば良い』程度の事でしてね。本命の実験は別にあったのですよ。本当は招待状を出したあなた方が来てから紹介するつもりでしたが貴方が相手なら彼もウォーミングアップとして満足してくれるでしょう。第一、貴方を前に私『一人』で立つのは怖いですからね」

 

そう言ってフードの男は床に巨大な龍門(ドラゴン・ゲート)を展開し、深緑の輝きが放たれる

 

完全に【一刀修羅】を警戒されてるな

 

「彼は常に強者との戦いに飢えていましてね。是非とも遊んで頂きたいのですよ。それではご紹介致しましょう。かつて滅ぼされた伝説のドラゴン―――大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴン)、『グレンデル』」

 

彼のセリフが終わると共に前にイッセーに言った『俺にとって相性の悪い相手』である『グレンデル』が俺達の前に現れたのだった




イッキたちの体育の授業が異次元の領域に突入しかけてる件について

あと、レイヴェルの強化案も出せましたねww
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