転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第二話 参曲(まがり)

中学に入学してから早くも一年半ほどたった

 

黒歌ともそれなりに気安い間柄にはなれたし、今では偶になら模擬戦の相手もしてくれる―――ベッドは占拠されたままだし部屋に置いてあるゲームもほとんど黒歌の方がプレイ時間が多かったりするけどね

 

でも自分としては実力が上がることよりも嬉しいと感じた成長がある。2年生になる頃に黒歌の身長を追い越すことができたのだ!!

 

初めて彼女に会ったときは小学生の時だった(卒業はしたけどまだ籍は小学生だったはず)ので彼女より身長が低いのは仕方なかったといえるが、俺も中身は成人しているためか割と気になっていたのだ・・・自然と牛乳を飲む頻度は増えたしな

 

学校の方はと云えば2年生になってもエロ馬鹿3人組とは同じクラスだった。多分あの3人組に関しては先生たちが問題児を一か所に集めるために同じクラスにしたのだと思うが、うちのクラスの女子達にとってはいい迷惑だろう

 

2年のクラス替えの発表があった時にその場で泣き崩れる女子がいた気もするが別の理由だったと思いたい・・・それはそれで問題か

 

そんな中俺はというと3バカをとっ捕まえる役だ。主にクラスの女子達から同情の視線を向けられつつも『あの3人を何とかしてほしい』と頼まれている・・・というか頭まで下げられたくらいだ

 

これでも鍛えているのであの3人を同時に制圧することもできるし、仙術で相手の位置も探れるのでどこぞの更衣室を覗いていれば分かるのだ―――どうやらその功績が女子生徒に認められたらしい・・・余り嬉しくないな

 

仙術は隠密・偵察にも向いている力だがこんな使い方で良かったのか?疑問は尽きないがあの三人を放置するのは良心の呵責が疼くので割り切る事にした

 

当の3人組からは隠れて覗きや盗撮を繰り返す自分たちをすぐに見つけて来るため最初のうちは逆ギレされたりもしたが、今では少し態度が軟化していたりもする

 

というのも周りに迷惑を掛けそうにない時なら、多少はエロトークに付き合っているのだ。流石にこいつらのような熱いリビドーで語るわけではないが俺の部屋には黒歌がいるため、『そっち系のもの』には手が出せないのである・・・そんな度胸は俺にはないのだ

 

ある時「ならお前の求める(エロの)神秘はなんだっ!!」と聞かれたとき、何を思ったのか黒歌が頭をよぎり、「見えそうで見えないチラリズム」と返してしまった

 

以来3人からは『公私は分けているが自分の芯(エロの)を持っているやつ』、『むっつり野郎』、『チラリスト』と言われている・・・あの時の俺はどうかしていたと思う

 

ともあれここ一年半、俺と黒歌もグレモリー眷属も特に大きな出来事も無かった。はぐれ悪魔が入ってきたこともあったがグレモリー眷属の方で対処していたので問題なしといえるだろう

 

そして明日からはついに修学旅行だ。行先は京都!原作の舞台の一つということもあるし、前世でも修学旅行で行ったのだがその時は正真正銘の子供だったため『古都の良さ』がいまいち理解できなかったのだ

 

精神的には大人となり、2回目だからこその楽しみを満喫したいものである

 

「黒歌、前にも言ったように二泊三日で帰ってくるけど、何か土産で欲しいものとかあるか?なければ適当に買ってくるけど」

 

ベッドの上にうつ伏せに近い形で寝転がって足をパタパタさせながら漫画を読んでいる黒歌に問う

 

「う~ん、八つ橋があればそれでいいにゃ、それ以外はそっちに任せるにゃん♪」

 

「了解」

 

明日の旅行に思いを馳せながらも、そうしてその日は眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

修学旅行当日、一度学校に集まってからバスで新幹線のある駅に移動、そこから京都に向かう手はずとなっている

 

班分けはいつものグループで基本班は男女混合となっているのだが俺たち四人組と一緒の班になりたいという奇特な女子は居なかった

 

松田なんかは担任の先生に「先生!俺達の班だけ女の子が居ないとかコレは差別です!」などと猛抗議していたが終ぞ望みは叶わなかった様だ

 

 

 

「革命!」

 

「この時を待っていたぞ!革命返し!!ふっふっふっふ、お前らはもう強い手札しか残ってないだろう?この勝負は俺が貰う!」

 

俺達は移動中の新幹線の中で前後の席を向かい合わせて大貧民の真っ最中だ。なんか付録として『旅館で女子風呂を覗く順番』を賭けているようで一誠たちは凄まじい熱意を放ちながら手札を切っている

 

実際今の元浜の革命で一誠と松田は絶望したような表情を浮かべた

 

「ほれっ、階段革命」

 

「おんぎゃ~~~!!!」

 

元浜の絶叫が新幹線の中に響く―――うるせぇよ

 

「よし!よくやったイッキ!」

 

「うむ、これで元浜は堕ちたな。イッキは覗きはしないだろうし実質、一誠との一騎打ちだ!負けんぞ!!」

 

「望むところだ!!」

 

・・・ホテルでは絶対にこいつ等の覗きを阻止しよう。そう思いながらも無事に(?)京都へ向かっていくのだった

 

 

 

 

 

 

≪間もなく京都に到着致します。お降りの際は足元に注意して、お荷物のお忘れ物を・・・≫

 

車内にアナウンスが流れた―――いよいよ京都に到着のようだ

 

着替えなどが入った荷物を持ち、新幹線が停車したので外に出る

 

「京都のお姉さま方~~!待っててくださいね~~~!!」

 

「うむ!着物美人を!輝くうなじを!このカメラに収めるのだ!!」

 

「フッ、我がスカウターは着物を着ていても問題なく作動する。気になるあの子の腰回りまで正確に知りたかったらこの元浜をいつでも頼るがいい」

 

「ほら、さっさと行くぞ3馬鹿ども」

 

流石に修学旅行の定番の一つである京都。周りを見渡せば他の学校の学生たちの姿もチラホラ見られる・・・もたもたしていたらうちの学校の生徒たちも見失ってしまいそうだ

 

そして俺たちは改札を潜りぬけ、その場で一度点呼を取り、先生の引率のもと今日泊まるホテルに歩いていく

 

20分ほど歩いて目的のホテルに辿り着く―――普通のホテルだ。決して『サーゼクスホテル』や『セラフォルーホテル』ではない。というか和平の前にそれらのホテルって在ったのかな?

 

ホテルのロビーで先生から夜中にバカ騒ぎしたり、非常ボタンを無意味に押したりといった行動をしたら、ぶちのめして縛り上げるぞ・・・との言葉をオブラートに包んで注意された

 

「では各自部屋に荷物を置いたら5時まで班ごとに自由行動。観光した場所の写真は最低でも一枚は撮れよ、写真を撮り忘れたらさぼって変なところに行ったとみなしてその場所のレポートを旅行が終わったら提出してもらうからな」

 

一部の生徒からのブーイングを受けながらも先生から注意事項は終わり、それぞれに割り当てられた部屋に向かう

 

「よし!他の班は荷物を置いたらすぐに神社・仏閣を巡るために動き出すだろう。その間に俺たちは女子部屋や女子風呂の最適な覗きスポットを下調べにいくぞ!!」

 

「ああ!」

 

「オウ!」

 

一瞬この場で止めようかと思ったがこの段階では被害が出ないのだし、実行に移す時だけ動けばいいと思い

 

「先にホテルの前で待ってるぞ。気が済んだならさっさと来いよ、これで予定通り回れなかったら俺の分のレポートお前らに書かすからな」

 

と言いつつ一人で外に向かった。流石に全部には付き合いきれん

 

「安心しろイッキ、時間は掛けん。京都のお姉さま方との素敵な出会いが俺たちを待っているのだからな!」

 

そんな叶わぬ望みを背に受けながらホテルの前に行くと黒い着物を着た女性が一人立っている

 

「にゃん♪」

 

なぜかそこに黒歌が居た

 

 

 

 

 

 

「はっ?え・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

なんでここに居るの!?今朝別れたばっかじゃん!!

 

「にゃーっはっはっは!期待通りの反応で嬉しいにゃ♪」

 

どうにも期待通りらしいが、こっちは完全に予想外の想定外だ!

 

「ゴメン訳が分からないっ、マジで何で居るの!?」

 

思わず詰め寄ると黒歌はイタズラっぽい笑顔を浮かべて説明してくれた

 

「あの町を拠点にした調べものは大体は問題なさそうって結論になっているのにゃ♪でも何かが起きた時の為にもあの拠点は確保しておきたいし・・・かと言ってずっとあそこに居続けるっていうのも性に合わないのにゃん♪」

 

「・・・つまり、一言でいうと?」

 

「遊びに来たにゃん♪」

 

・・・なるほど、遊びに来たと

 

「いや納得できるかよ!俺今修学旅行中なの分かってるよね!?」

 

「勿論イッキを揶揄うために決まってるにゃん♪」

 

畜生、無駄にいい笑顔しやがって!!可愛いなぁこの野郎!!

 

「一人でブラブラしていてもいいけど、折角目の前に面白そうなイベントがあるなら便乗しようと思ったのにゃ♪」

 

・・・黒歌と出会ってから約一年と半年、我が儘や気まぐれは何度もあったけど今回のは輪をかけて酷い、というか

 

「それなら朝からついて来ればよかったんじゃ・・?」

 

という俺の言葉は

 

「それじゃあツマラナイにゃん♪」

 

一言で切って捨てられた———そうこうしているうちに遠くから声が聞こえてきた

 

「「「ぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

一誠達が粉塵を巻き上げながらダッシュしてくる

 

「イッキ!!てめぇ俺たちを差し置いてこんなおっぱいの大きい着物美人さんと楽しそうにおしゃべりしやがって!!」

 

一誠、お前は往来で『おっぱいの大きい』とか叫ぶな

 

「上から98.57.86!これほどの戦闘力(スリーサイズ)を現実で目にするのは初めてだ!!」

 

元浜、せめてその数値は脳内だけで叫んでろ―――でもありがとう、良い(すうち)が聞けた

 

「しかし良くやった!後のことは俺たちに任せてお前はもう先に行ってていいぞ!!」

 

誰が任せるかバカ松田!!

 

「あ~、イッキがいつも言ってる3人組ってこいつらの事なのね。話半分に聞いてたけど実際目にすると色々酷いわね」

 

流石に表の人間相手には語尾に『にゃん』を付けないようにはしているようだ―――よく見れば他にも猫耳やしっぽも無いし、普段有り得ないほどはだけている着物も肩まで掛かっている

 

とはいえ肩も胸も半分位は露出してしまっているが、まだ『着崩している』の範疇だろう。というかいつもの恰好だったらそれだけで警察がやってくること間違いなしだ

 

だがそこで黒歌の胸の谷間を凝視しながらも彼女のセリフに敏感に反応するやつがいた

 

「なぁにぃ~!?『いつも言っている』だと~!?イッキ!!この人とは今知り合った訳じゃないのか!!」

 

「もしも彼女なんて言おうものなら俺たちはお前を末代まで祟るぞ。否!末代まで待たないで今ここで引導を渡してくれる!」

 

「こんな素敵なおっぱいの持ち主が知り合いに居るなんて聞いてねぇぞ!この裏切り者が!!あと紹介してください、お願いします!!!」

 

最後の一誠のセリフと共にホテルの前で土下座をかます3人組、胃のあたりが痛くなりながらも黒歌の方を見るとこの珍妙な光景が面白いのか腹を抱えて笑っている―――どうやら俺とは別の理由で腹が痛くなっているようだ

 

「おい、どうするんだよこの状況」

 

そう聞くと「ん~」と顎に手を当てて少し考え・・・一瞬薄く笑みを浮かべて

 

「イッキ~♡折角だからデートしましょう?」

 

といいつつ右腕に引っ付いて来た。当然俺の右腕は柔らかな山脈に挟まれる事となる

 

「「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」」」

 

俺達の様子を五体投地から頭を上げて垣間見た三人は絶叫を上げる

 

「くっ、黒歌!!」

 

「どうしたの?」

 

判ってて言ってるだろう!確かに今までスキンシップがない訳でもなかったが他人の前でやられるのは恥ずかしさのベクトルが違う!!

 

「そんな・・・お・・・お・・・俺たちだって・・・俺たちだって着物美人とデートしてやるぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「死ねぇ!この裏切り者ぉぉぉぉぉ!!」

 

「悔しくなんて無いんだからなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

一誠・松田・元浜の順に叫びながら京の都に消えていった―――最初は近場の東本願寺の予定のはずだが明後日の方向に走っていきやがったな

 

幸い各班に支給された使い捨てカメラは自分が持っているし、定刻の5時になる前に仙術で3人を補足してホテルに連れ帰ればそれでいいだろう

 

「ほどほどにしてくれよ、後のことを考えるだけで頭痛くなってくるから・・・」

 

「私としてはイッキと付き合ってあげてもいいのよ?鍛えてるから体つきは逞しいし、実力も上級悪魔位はあるし、神性も持ってるし、少し幼いけどそれもあと数年も経てば問題なしだにゃん♪」

 

そう、どうやら自分には神性が少しとはいえあるらしい。最初に黒歌にそう言われたときは訳が分からなかったが考えてみれば思い当たる節はある

 

『おっぱいドラゴン』こと『兵藤一誠』はドラゴン系の神器『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を持つことでその身に龍の因子を宿していた―――おそらくはそれと同じなのだろう

 

俺の神器である【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】は別に神が封じられている訳ではないし、そもそもFateの『アンリ・マユ』は本物のゾロアスター教の悪神の『アンリ・マユ』ではない

 

区別する為にも俺は一応本物の神様の方は『アンラ・マンユ』と呼ぶ事にしている

 

そして、Fate時空では神霊は元からいる神以外に人々の願い(信仰心)によって神となったものもいる

 

俺の神器の元となった『アンリ・マユ』も人々によって悪(神)であれと願われた存在であり、神性の一つや二つ持っていても不思議はないのだ・・・本物ではなくとも同質の力は持っているといったところか

 

あれだな、Fate風にいうなら【神性:E】みたいなものだろう。それはさておき

 

「それって魅力はあっても惚れてはないって言ってるように聞こえるんだけど?」

 

「遺伝子を提供してくれればそれでいいにゃん♪」

 

「・・・意地でも惚れさせてやる」

 

「まぁ期待しておくにゃん♪でも我慢できなくなったら何時でもいってね♪」

 

マジでそういう事を言うのはやめて欲しい。理性がゴリゴリ削れるから・・・

 

そうして予定の観光コースを回り終え、時刻は4時と少し早めだがこれからどこぞでナンパでもしているのであろう3馬鹿を見つけてホテルに連れ帰らないといけないと思えば丁度良かったのかもしれないな

 

そう思っていたところで突如として世界が区切られた

 

「結界!?」

 

「そんな!?何も感じなかったにゃ!!」

 

仙術使いが二人、しかも片方は最上級クラスでも予兆すら感じなかったことに戦慄しつつ臨戦態勢に移ると何処からか声が聞こえてきた

 

「以前よりは強くなっているみたいだけど、猫魈(ねこしょう)としては今一歩足りてないようだねぇ」

 

その声に対して黒歌は珍しく動揺を顕わにしていた

 

「にゃっ!まさか三毛ばあさん!?」

 

そうしているうちに目の前に七尾の三毛猫が降り立った

 

「『三毛ばあさん』呼びは変わらずかい?まったく、そっちの方でも少しは成長を見せて欲しいもんだよ」

 

すると黒歌は苦虫を噛み潰したような表情で「なんで三毛ばあさんがここに居るのにゃ?」と問いかける

 

「答えてやってもいいけど、まずはそっちの少年に私の事を紹介してくれないかい。随分と匂いが混ざってるし、一緒に住んでるんだろう?」

 

凄いな、匂いでそこまで分かるのか・・・恐るべし、獣系妖怪

 

「はぁ、分かったにゃ。イッキ、こちらは参曲(まがり)様。猫妖怪の長老にゃ」

 

「この黒猫みたいに素行の良くない悪猫たちからは『三毛ばあさん』なんて呼ばれているさね」

 

どうやら思った以上の大物のようだ

 

「初めまして、有間一輝(ありまいっき)と申します。縁あって黒歌・・さんからは仙術の指導を受けております。宜しくお願い致します」

 

やはり敬語は慣れない。咄嗟に『黒歌さん』なんて言ったけど自分の中では違和感が凄い

 

「ああ、宜しくね。礼儀がちゃんとしてるとは言い難いけど、礼を尽くそうとする姿勢は評価できるね。どこぞの黒猫も見習って欲しいもんだよ」

 

結構な言われようだ。端々の細かい所作などでかなり減点されていると見た・・・黒歌は黒歌でそっぽを向いているな

 

「それで、なんでここに居るのかだったね。あんたを見つけた事自体はただの偶然でね。京都には仕事で来たのさ」

 

「仕事?三毛ばあさんが直々に?」

 

「ああ、そうさね。実は京都には今かなり面倒なのが入り込んでいるのさ・・・『土蜘蛛』の名は聞いたことはあるかい?」

 

「・・・強いうえに誰彼構わずケンカを売る戦闘狂だって聞いてるにゃ。でも確か何処かの山に封じられているはずだったにゃ」

 

強いうえに戦闘狂って邪龍みたいなやつだな

 

「その封印がどうにも破られちまったみたいでね。関東の妖の里をいくつか襲いながら移動して今まさにこの都に入り込んでるのさ」

 

ヤレヤレといった感じで首を振る参曲(まがり)

 

「幸いにも土蜘蛛は強敵にしか興味を示さないから表の京都は平穏だけど、裏の京都はピリピリしてるんだよ―――仮にも関東地方で取り逃がしたこともあって京都にはあたし以外にも数匹手練れを派遣して八坂の姫と共同で対処に当たっているところなのさ」

 

成程、その『土蜘蛛』とやらが勝手に暴れているのであって別に関東の妖怪にコレといった罪はないのだろうが、要するに面子の問題で精鋭が派遣されたという事か・・・

 

参曲(まがり)様がいま此処にいるという事はその土蜘蛛の行方が分かっていないという事ですか?」

 

そうでなければ今此処でこうして雑談何てしてないよな?

 

「その通りさね、土蜘蛛は『土隠(つちごもり)』という特性を持っていてね、あたしら猫又の『火車(かしゃ)』みたいなもんだが霊脈に隠れることができるんだよ。京に来て既に一度ひと暴れしたから今頃どっかの霊脈で眠ってんじゃないのかい?」

 

好きに寝て、好きに起きて、好きに暴れる妖怪(超強い)という事か―――本当に質が悪いな

 

「それで?偶然私を見つけたからちょっかいを掛けたって事?」

 

「忠告も含めてね。今のあんたじゃ土蜘蛛と一対一(さし)でやり合うのは避けたほうがいいね。常時三尾でいられる位じゃないと厳しいよ」

 

「・・・素で七尾でいられる三毛ばあさんと一緒にしないで欲しいにゃん」

 

「とまぁそういう訳で、忠告はしたからね。逢引の邪魔をして悪かったね。ちゃんとその雄、堕とすんだよ」

 

そう言い残し消えていった―――目の前に居たのに消えた瞬間が判らなかったぞ

 

「すごい方だったな・・・」

 

「今の私じゃ逆立ちしたって勝てないにゃん・・・」

 

最上級悪魔クラスの黒歌が白旗挙げるレベルか下手な魔王クラスより強いんじゃないか?

 

「黒歌はどうする?今の話を聞いて」

 

「別にどうもしないにゃん、そんな危ない奴を相手に態々手助けするほどの義理も無いし、向こうで対処するというなら任せるだけにゃ」

 

「そんなもんか」

 

その後一旦黒歌と別れて5時までにナンパの代償に頬っぺに紅葉を浮かべた3馬鹿を回収してホテルに戻った

 

どうやら黒歌も一般客として同じホテルにチェックインしてるらしいが一緒にいると3馬鹿のブレーキが効かなくなるので別れて入ってもらった。———レストランの奢りと引き換えに・・・

 

ホテルに帰ってからは案の定というか黒歌について怒涛の質問攻めがあったが適当にぼかして(最後は物理で黙らせた)女子風呂の覗きを阻止し(物理)夜中に大声でエロトークするやつらを眠らせて(物理)修学旅行の一日目は終了した




参曲(まがり)様の口調が判りません;つД`)

黒歌と白音の猫魈というのがどうにも調べてみると三尾の猫らしいので今回ぶち込んでみました。・・・原作でもいつか三尾になったりするのかな?

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