第一話 生徒会との、模擬戦です!
魔法使いやグレンデルとの戦いから割とすぐの事だった
その日は偶には購買のパンも良いものだと思って一部の男子が目当てのパンに向かってダッシュしてるのを見ながら売店に辿り着き列に並ぶと、後ろに並んだヤツに声を掛けられた
「おっ、有間じゃねぇか。売店で見る何て珍しいな」
「お前もな、サジ。てっきりサジは弁当派だと思ってたんだけど?」
「そりゃこっちのセリフだ。まぁ俺も普段は弁当なんだが今日はうっかり作ったやつを家に置いてきちまってな。今日の俺の晩飯はお昼の弁当で決定だよ」
あらら、そりゃまたありがちな凡ミスをしちゃった訳だな
「ていうかお前弁当自分で作ってたんだな。女子力高めか?」
中々男子で弁当自分で作ってる奴は居ないと思うが
「あ~、俺んちって両親が居なくてさ・・・」
「あ、悪りぃ」
地雷踏みぬいたぁぁぁ!!
「謝んなよ。今はもう引きずってる訳でもねぇしよ・・・ただ、それでもやっぱり余り自分から話すような内容でもないからな」
そういうサジは確かに気負ったような感じは見られなかった
本当にそうなのかまでは流石に分からないけど引っ張っても仕方ないだろう
「分かった。なら、詫びの印に今日のお前のパンは俺が奢ってしんぜよう!」
「何で最後が上から目線なんだよ?まっ、そういう事なら一丁ゴチになるぜ」
そうして幾つかパンやドリンクを買ってから折角なら近場の生徒会室で喰わないか?と提案されたので二人でそちらに向かう途中、サジが話し掛けてくる
「そういやよ。有間の弁当は如何なんだよ?」
「如何って・・・今日は偶々気分でパンでも良いかなって」
「違げぇよ。聞いてんだぞ。お前、黒歌さんに塔城にフェニックスさんの全員が婚約者で同居してるんだろ?女の子の手作り弁当とかそういう話だよ」
あ~、そっちね
「そうだな。まず黒歌は性格ズボラなところが有るしどっちかと云えば食べ専だから無しだな。白音も同じく食べ専でしっかり料理出来るのはレイヴェルくらいか。だから基本俺の弁当は母親かレイヴェル謹製の何方かって感じだったけど最近は白音が少しずつレイヴェルを意識してか一緒に台所に立つ事が増えてきたな」
エプロン姿で一緒に料理してる白音とレイヴェルとか癒し空間が広がってるわ
最初の内は台所から破砕音とレイヴェルの怒号が聞こえてきた気がするけどレイヴェルが監督したお陰か弁当に少々形の崩れた玉子焼きとかが入ってても味は普通だったしな
黒歌は・・・一応過去の山籠もりの修行とかしてる時はサバイバル飯とか当番制で作ったりしてたから料理が壊滅的って感じのキャラじゃないだろうけど家庭料理とかは食べた事ないな
九重とは一緒に料理もしたけどね
「何だよ!結局女の子の手料理をコンプリートしてる事に変わりはねぇじゃねぇか!俺だって会長の手料理を食べた事なんか・・・一応・・・沢山あるけど・・・」
どんどんと語尾が小さくなっていき無意識にか腹を擦るサジ・・・ああ、料理下手なのね
会長LOVEを前面に押し出してるサジがこの反応って事は相当だな
そしてそうか。それをお前は沢山食べる機会が有ったんだな
無言でサジの肩を慰めるように叩きつつも生徒会室に辿り着いた
この時間帯は基本生徒会室に人は居ないとの事だったのだが、俺達が中に入るとそこには先客が居た。黒髪切れ目のクールキャラ。我らが生徒会長様と副会長様だ
「会長に副会長!いらしてたんですね」
「ええ、先日のはぐれ魔法使いの襲撃によってこの学園及びこの町の警備網の見直しと強化をしなければなりませんからね。今、その辺りの報告書が上がってきていたので此処でお昼を摂った後で目を通すつもりでした。教室でその手の物を見る訳にはいきませんからね。サジは有間君と一緒に昼食ですか?貴方たち二人だけとは珍しい組み合わせですね」
確かに基本教室は別だしオカルト研究部も生徒会メンバーも放課後は校舎に残ってるから態々お昼に一緒になるのはそこまで多くないし、その時はイッセーや木場も誘うからな
「ええ、さっき購買で偶然一緒に並びまして、折角なので有間を近場の此処に誘ったんですけど、お邪魔でしたか?」
「そんな事はありませんよ。雑談程度で気が紛れたりしませんし、態々来てくれたお客さんを追い出したりもしません。一緒にお昼をいただきましょうか」
ソーナ会長に「歓迎しますよ。有間君」とお許しも出たので生徒会室の卓を一緒に囲む事になった
食べ始めて少しするとソーナ会長が声を掛けてきた
「有間君は私の夢はご存知でしたでしょうか?」
「ええ、前にイッセーに聞いた事があります。冥界に子供たちが身分の差なく勉強できるレーティングゲームの学校を建てる事だと聞きました」
「その通りです。今の冥界で学校に通えるのは基本的に上級悪魔の貴族だけとなっています。一般の悪魔の教育も親任せなところが大きいですし、塾のようなものは一応在りますが戦闘訓練などを教える場所はありません―――この前、アガレス眷属とのゲームをした後で彼らを率いるシーグヴァイラと交友を深めましてね。魔王であるお姉様の妹の私がシトリー領などに学校を建てようとするとお姉様の政治に悪い影響が出てしまうので場所の選定に苦慮していたのですが、彼女がアガレス領の一角を提供してくれたのです」
平民の悪魔の為の学校を見下して嫌悪してる上役の上級悪魔がクソみたいなクレームをセラフォルーさんにネチネチと言いまくる訳かな?
悪魔の上役とかの話を聞くたびに思う事だけど合理性の欠片もないただの自己中集団だよな
というか『悪魔は合理的』って云うけど鍛える事とかしないで眷属のトレードやこの前の冥界騒動で沢山出たという強引に眷属にされた転生悪魔とかの話を聞いてると『合理的』じゃなくて『短慮』もしくは『目先の利益しか見えてない』って感じがしてならない
そういう奴らはリアス部長やソーナ会長の爪の垢を煎じて飲めば良いのに
「その学校ではレーティングゲームに役立つ様々な事を教えていくつもりです。中には悪魔であっても魔力の扱いが苦手なサイラオーグのような悪魔も居ますが強さと才能は魔力だけで測れるものではありませんからね。魔力が苦手でも魔法ならば得意だったり、サイラオーグのように体術を鍛えても良いです―――私は出来るだけ様々な可能性に子供たちを触れさせたいと考えています」
「それは、俺に仙術の講師役をして欲しいという事ですか?」
此処でその学校の話を振るって事はそういう事かな?
「・・・それについて正直迷っているので有間君の意見を聞かせて欲しいのです」
迷っている?
「仙術は希少であり強力な能力です。勿論才能の有無は有るでしょうが、基本的には多様な種族が努力すれば身に付ける事が出来る力です。ですが半面、リスクも在りますよね?世界の邪気を取り込んでしまうという点です―――この前の有間君の状態は例外だとしても子供に教えるには向いていないのではないかという点を仙術使いの視点からの意見を聴けたらと思いまして」
そうだよな。一歩間違えれば大惨事に為り兼ねない仙術は慎重にならざるをえないだろう
「そうですね。少なくとも現状では仙術を学校のように広く門戸を開くのは難しいと言えます。幼い子供であれば仙術の基礎が出来たらそれこそ好奇心から邪気を取り込む子も出てくるでしょう。それを防ぐ為にも監督出来る・・・いざという時に邪気を初期段階で体から叩き出せる仙術使いが居れば良いですけど、多くの子供たちの気配を同時に繊細に感じ取るのは出来なくはないですけど厳しいです。それにそもそも学校の授業の時間だけ仙術を教わっても基礎の世界の気を感じ取るところまで辿り着けません。それこそ仙術を身に付けようとするなら最初は毎日出来るだけ瞑想をする必要がありますけど、自宅で頑張って修行を続ける子が居たとしてもその子の傍に居られないんじゃ結局危険ですからね。仙術の習得に関しては先生と生徒の関係では補いきれない処が多々在ると思います」
俺は最初は一人だったけど精神的にはある程度成熟してたから何とかなったようなもんだしな
「やはり難しいですか・・・仙術に関しては私生活まで共に過ごして指導する師弟のような関係を結ばなければいけないのですね。仙術使いの講師が一人、五人まで弟子をみられると仮定して共に暮らすという問題を無視したとしても仙術の講師が建てる学校一つに数十人は必要になると・・・流石に現実的ではありませんね」
そこまで仙術使いが居るなら希少でも何でもないですからね
「それに仙術は最初の修行が兎に角地味です。やる気の有る子供でも―――1に瞑想、2に瞑想、3、4に瞑想、5に瞑想何て言われたらどれだけ付いて来れるかも分かりません。俺の場合は独学だったので参考になるかは微妙ですが気の流れを感じ取れるようになるのに1年掛かりました」
黒歌や白音、九重のように種族特性として最初から仙術に高い適正を持ってるなら兎も角ね・・・ああ、でもよくよく考えたら俺も【一刀修羅】瞑想なんて普通じゃない手段を用いていた訳だからそれ無しだったら瞑想だけで更に数年は必要だったかもしれん
しかし、否定ばかりしていても心苦しいな
仙術は今は良い案は浮かばないけど別の事なら提案してみるか
「ソーナ会長。子供たちに色んな戦闘で役立つ技術を教えたいんですよね?」
「ええ、その通りです。現状ではやはり仙術は厳しいと改めて思いましたが、それが?」
「ええ、実はですね・・・」
俺からの説明を聞いたソーナ会長は難しい顔で考え込む
「成程、秘密裡にという形にはなりますが一度接触してみる価値は有るかも知れませんね。有間君。素晴らしい意見を頂きました。アザゼル教諭が戻ってきたら相談してみましょう」
結構乗り気な反応を得られたと思ったらサジに小声でツッコまれた
「(おい有間!何て提案してんだよ!会長が妙に上機嫌になっちまったじゃねぇか!)」
「(いや~、俺も半分は冗談だったんだけど、真面目に考えたら悪くは無いと思わね?『好きこそものの上手なれ』とも云うし、冥界の子供たちも興味を持って楽しめると思うしさ)」
「(いや、そうかも知れないけどよぉ!)」
まぁ何にせよソーナ会長の相談には乗れたから良しとしよう
その後冥界が如何なっても俺にはあずかり知らない事だしな!
そうして全員が昼食を食べ終わり、俺とサジが五月蠅くならない程度に雑談したりソーナ会長たちが資料に目を通したりし始めて少し経ったところで生徒会室の一角に転移陣が現れた
「なっ!?あの紋章は!?」
それを見たサジが驚きながら立ち上がり、ソーナ会長たちが頭が痛そうにしている中、黒髪ツインテールな魔王少女さまが現れた
サジは素早くソーナ会長の後ろの眷属ポジションに椿姫先輩と一緒に着く
「やっほー☆ソーナちゃぁぁぁん♪お姉ちゃんが遊びに・・・じゃなくて視察に来たわよ♪」
ある意味ここまで公私混同して仕事するのも凄い事ではないだろうか?まぁ公私混同と云ってもダメな方向に向かってる訳でもないから問題無しか・・・ソーナ会長のストレス以外
「お姉様・・・いえ、魔王レヴィアタン様。本日こちらに来られるという予定は伺っていなかったのですが、情報の行き違いでしょうか?」
仮にも視察に来たという魔王相手の為か努めて冷静な仮面を被って一悪魔として対応するソーナ会長だけど僅かに目尻の辺りが痙攣してますよ
「こっちに来るのはさっき決めたの☆だってぇ、上役のおじさま達ってば先日現れたっていうグレイフィアちゃんの弟の事ばっかり『あ~でもない。こ~でもない』って一向に会議が進まないんだもん。それなら重要拠点の防衛力の再確認を兼ねて遊びに来たんだぞ☆」
この人、ついに遊びに来た事を隠さなくなったな!いや、仕事はちゃんとやる人なんだろうけど
「全くお姉様は何時まで経っても子供っぽいところが抜けないのですから・・・」
さっきは『レヴィアタン様』何て呼んでいたソーナ会長も最後の遊びに来たのセリフのせいかお姉様呼びに戻っている・・・多分大体何時もこんな感じの流れなんだろうな
「それで今回はソーナちゃんの新しい眷属だったりアザゼルちゃんのところの人工神器をどれだけ扱えているようになっているのかを視たいのよ♪」
成程、シトリー眷属は
「それでね♪出来れば皆が戦ってるところが見たいから、そうねぇ―――そこに居る有間君にも協力をお願いしても良い?」
「ぐぶふっ!?」
我関せずとイ〇モン茶ならぬ家康茶をしばいていた時に急に話題を振られた為にボトルの中身を吹き出しかけてしまった
「お姉様!いきなりで有間君が驚いているではありませんか!それにいきなり眷属の力が見たいなどと言われても困ります!此方にも調整というものが有るのですから、それは魔王のお仕事をなさっているお姉様の方がよく判っておいででしょう?」
「い~や~!私ソーたんの子たちの新しい力が見たいの~!」
諭されるような事を言われたセラフォルーさんは大きな瞳に涙を溜めてそのまま生徒会室の床をゴロゴロと転がり始める
汚・・・くはないか。ソーナ会長の根城なら掃除も行き届いてるだろう―――人(悪魔)として如何かとは思うが
「駄々を捏ねないで下さいお姉様!全く、皆揃って甘やかすから身内相手なら我が儘さえ言えば何とかなると思ってるのですから」
そこで椿姫先輩がソーナ会長に耳打ちする
「(会長・・・セラフォルー様はこうなると長いかと)」
「(分かっています、椿姫。結局願いを叶えてさっさと帰って貰うのが一番被害の少ない最適解なのだという事くらい、ただ)・・・お姉様、眷属の模擬戦でしたら見て行って構いませんが有間君は悪魔陣営の人間ではありません。公務の中で気軽に頼み事をしないで下さい」
「むぅぅ、ソーナちゃんったら御堅いんだから。でも、彼の力を見てみたいって云うのも有るのよ?何でも傍目には凄く危険な力って報告書にもあったから一度自分の目で確かめたかったしぃ」
どんな書かれ方をしたんだ俺の能力は(ヒント:この世全ての悪)
「え~っと、ソーナ会長。俺は構いませんよ?仕事というだけあってセラフォルー様の行動も理には適ってる訳ですし、合同の模擬戦というのも面白そうではありますので」
俺が前向きな姿勢を見せると魔王少女様は我が意を得たりとばかりにソーナ会長に迫る
「ほらほらソーナちゃん♪本人の許可も取ったんだから良いでしょう?」
「あ、有間君までお姉様を甘やかすのですか・・・しかし、有難いのも事実です。朱乃には私から断っておくので放課後に生徒会室まで来ていただけますか?」
「分かりました。放課後にまた来ますね。それでは俺はこれで一度失礼します」
このままこの空間に留まっても余り良い事は起きそうにないのでさっさと退室するに限る!
そうして俺はサジの『逃げんな!』という視線には気付かないフリをして教室に戻ったのだった
放課後、生徒会室に集まったシトリー眷属+俺+セラフォルーさんは転移陣でソーナ会長の家の地下に在るというレーティングゲーム用のトレーニングルームに来ていた
コレは俺やイッセーの家の地下のトレーニングルームと同じ仕様で造られているらしいがソーナ会長はこの部屋を実費で支払ったらしい・・・一体幾ら掛かるんだ?
因みにコレから模擬戦という事なので皆既にジャージに着替えている
「はいは~い、みんな♪今日は眷属の新しい力を私に見せてね☆」
いきなりの魔王の訪問で生徒会メンバーが緊張しているかと云えばそこまででもないのを見れば割とプライベートでも突撃訪問は有ったんだと察せられるな
「それで今日は特別ゲストとして悪の大幹部、邪人オール・エヴィルこと有間一輝君にも来て貰いました♪それではオール・エヴィルとして何か一言!」
無茶ぶり!?打ち合わせゼロで台本無しのネタ振りとかお笑い芸人でもキツイんじゃないか!?
考えろ!脳のリミッターを外して思考を加速し、他の知覚を遮断して脳のリソースに振り分けて時間を稼いで考えるんだ!(こんらん)
数瞬瞑目した俺は一歩前へ出て両腕を前で組み、高慢を顔に張り付けて渾身のガイナ立ちで生徒会メンバーに高笑いを飛ばす
「フハハハハ!貴様らは先日俺様が冥界をあの魔獣どもから『救った』などと勘違いしてはいるまいな!冥界も、冥府も!地獄に連なる世界はこの俺様が手に入れる!それを横合いからかき乱されるなど我慢出来なかっただけだ!だから奴らに体で分からせてやったのさ!いずれ俺様が支配する世界で勝手な事は許さんとなぁ!!」
っふ!決まったな!(こんらん)
そこに鳴り響いた拍手は二つだけだった
「う~ん。見事な悪役っぷりだったわね☆何時かおっぱいドラゴンとのコラボは考えてはいたけど、その時はオール・エヴィルも出演決定かしら?」
≪コレがおっぱいドラゴンの敵役のオール・エヴィルですか。今はまだショーやアニメで見る分には小者ってイメージが強かったっすけど、何時しかこんな風にカリスマを兼ね備えたキャラに成長するって考えると『おっぱいドラゴン』のファンとして先々の展開が気になるところですぜ≫
セラフォルーさんと死神の格好をした少女がそれぞれの意見を述べる
恥ずかしっ!真面目に分析された辺りで羞恥心が湧き上がって来たわ!
と云うか俺も何真面目に応対してるんだよ!「いきなり無茶ぶりしないで下さい」と軽く流して良い場面だったろうに!
「有間君は変なところでノリが良くなるとは聞いていましたが、こういうところですか」
俺ってリアス部長からそんな評価を受けてたの!?
驚きも在る中模擬戦に入る前にソーナ会長が新しく眷属になったという二人を紹介してくれるという事でさっきの死神少女と大柄な無口系頼れるあんちゃん的な雰囲気を出してる二人が前に出た
「こちらは私の新しい『騎士』―――最上級死神オルクスと人間のハーフのベンニーアです」
≪ご紹介に与かりやした。ベンニーアと申します。元
結構禍々しいデザインのドクロの仮面を取り外すと紫の長髪を後ろで結んだ金の瞳の少女の顔が在った。
まぁ、今のハーデスが違和感バリバリなのはしょうがないよね
そしてソーナ会長はベンニーアの隣の灰色の髪の大柄な男性の紹介に入る
「こちらは駒王学園大学部に在籍している新しい『戦車』として招いたルー・ガルーです。私達はルガールさんと呼んでいます。有間君も是非そう呼んで上げて下さい」
「ルー・ガルーだ。ルガールでいい。宜しく頼む」
第一印象と同じく無口系の人だな。必要最低限しか喋らないタイプか
「此方こそ宜しくお願いします。ルガールさん、それにベンニーアさん」
≪あっしの事はベンニーアで構わないですぜ?年上にさん付けされるのもむず痒いんで≫
「さて、ではそろそろ模擬戦に移りますか。お姉様が眷属の力を把握したいというのが趣旨なので此方からは2~3人ずつ出す形での試合形式での手合わせをお願い出来ますか?」
それが無難かな?最初は様子見と守備に力を回すか
そう思いつつ皆から少し距離を取った場所で邪気を取り込んでオーラを高めて質問する
「・・・『邪人モード』は如何しますか?」
「・・・無しでお願いします。今の有間君に触れたらそれだけでも死にかねませんので特に近接組は試合が成立しません。お姉様も有間君の力が見たいとの事ですがコレで良いですか?」
別に邪気を取り込む量を調整すれば良いけどそれでも今の俺には皆近寄りたくないのかちょっと遠巻きになってるのが学校のクラスのボッチポジションになったような感じがして嫌だな
「う~ん。確かにコレは原初クラスの悪神並みのオーラねぇ。それも魔王クラスでありながら神クラス並みに感じるって事は質だけみれば上回ってるって事かしら?中級クラスまでの悪魔なら触れただけで即死しそう。上級悪魔でも不用意に触れたら暫く入院生活ね」
体に薄く魔力を纏ってセラフォルーさんが近寄って観察してくるけど元は俺の操る邪気だから死んでさえいなければ取り除くのは難しくないと思うんだけどね
毒みたいなもんか?俺だけが一瞬で解毒出来る感じの
「ありがと♪もうそのオーラは仕舞ってくれて良いわよ☆」
十分観察し終わったみたいなので邪気を取り込むのを止めると生徒会の面々があからさまにホッとした様子を見せる。良く見ると冷や汗が頬を伝っている人も居れば無意識に片足が一歩後退して瞬時に後ろに跳べそうな人も居る
「改めて見ると頭が可笑しくなりそうなオーラだったぜ」
「うん。私あの状態の有間先輩と戦いたくない―――蹴り技が主体の私とか最高に相性悪いし」
「ある意味サーゼクスちゃんに近いかもね。サーゼクスちゃんも本気で戦う時は全身に滅びの魔力を纏って戦うから迂闊に触れたら削れちゃうから☆」
サーゼクスさんもえげつねぇ・・・しかも滅びの魔力って事は遠距離攻撃も消滅させる攻防一体の魔力の鎧って事だろ?どうやって勝つの?
超・超・超大規模攻撃で無理やり倒すか、もしくは消耗戦で相手の魔力を枯渇させる以外に思いつかないんだが(ただし相手は超越者)
「それではそろそろ始めましょうか―――私達シトリー眷属は余り有間君の戦っている姿を直接見た事は有りませんが、彼の力は紅の鎧のイッセー君や獅子の鎧を纏ったサイラオーグ・バアルと比べても互角以上です。今日は胸を借りる事としましょう」
「『はい!』」
≪今日は人工神器がメインみたい何で、あっしとルガールの旦那は見学ですぜ≫
成程、会長と副会長にサジ以外の生徒会メンバーが相手ね
「最初は
出てきたのは『戦車』の
「よろしく、有間」
「よろしくね~♪」
それぞれ軽く挨拶してきた後、ソーナ会長が手を上に上げる
「始め!」
号令と共に手を振り下ろし、同時に二人が挟み込むように迫って来る
俺から見て左から迫る光と闇の属性を纏った日本刀を顕現させた
受け止められたのを見た二人は素早く切り返して同時だったり態とタイミングをズラしたりしながらコンビネーションで攻撃を加えてくる
「っく!受け流される!」
「ていうか有間君。なんで後ろからの攻撃を視もせずに対処出来るの!?」
「こっちもだ!殴るのは止められるが掴み技に移行すると弾かれてしまう!」
夏休みに京都で300を超える妖怪の四方八方からの攻撃に対処していればこの程度はね!
猛攻を仕掛けていた二人は一息つく為か一旦距離を取るのでそこに威力抑え目の狐火を放つ
「広がれ!我が盾よ!―――『
迫りくる狐火を前に翼紗さんが左腕に盾を出現させ、ビームシールドのような光の盾が瞬時に広がって狐火を防いだ
威力を絞ったと云っても上級悪魔の攻撃程度の威力は有ったんだけどあっさり止められたな
「アレが二人の人工神器です。巴柄が持つのは『
四元素の精霊以外だとレーティングゲームで有利になるようにソーナ会長としては光の精霊と契約を結びたいだろうけど悪魔と契約を結ぶ奇特な精霊を探すところから始めないといけない訳だ
・・・もしも彼女がミルキー軍団の
そうして盾で防がれた狐火が消え切る前にその炎を突き破って盾がフリスビーのように投げられた。成程、物理を伴った属性遠距離攻撃にも使える訳だ
向かってくる炎に包まれた盾を神器で弾くが普通に軌道を変えて持ち主のところに戻るんだな
「アレがヨーヨーみたいに投げられる翼紗ちゃんの盾なのね♪それに巴柄ちゃんの光と闇の剣もカッコイイわ。こういうオシャレなノリが今の冥界の政治には必要なのよ☆」
まぁ確かに中々のオサレ武器だとは思うけど、それを取り込んでいったら冥界の会議風景が酷い絵面になりそうだな
そう思いながら再び飛んで来た盾を今度は
「熱ちちち!」
ついでに盾に宿る精霊の気を乱して炎の出力を抑えさせて貰った。コレで床を溶かして抜け出すという事は出来ないはずだ
「っく!外れない。だが無駄だ!」
翼紗さんは人工神器を一旦消して手元に再出現させる事で武器を取り戻した。人工神器でも結構出し入れは通常の神器と変わらないんだな
そのまま二人の動きを確かめるように5分ほど戦って最後に二人の額に仙術デコピンで一時的に体を麻痺させる事で決着となった
「あ~ん。強い~!」
「流石だな有間。今回改めて思ったが私はキミの強さには敬意を表するよ」
「いや、敬意って言われても・・・」
「謙遜するな。私は人間だった頃、自然と魔物の類を寄せ付ける体質でね。最初は肉弾戦のみで戦っていたんだが強い相手には結局逃げの一手しか打てずに対抗する力を身に付けるという意味も在って悪魔に転生したんだ・・・人間のままでは限界が有ると思ってね。だからこそ、人間でありながら最高クラスに強い有間には畏敬の念を覚えるよ」
おおぅ・・・此処までべた褒めされたのは初めてかも知れないな
と云うか魔物に襲われる体質とはまた難儀な
「それで、私達の戦いは有間から見てどうだったかな?」
「そうだな・・・翼紗さんは結構体術はしっかりしてたな。気になった処で云えば最初に俺の狐火を防いだ時に広範囲に光の盾を広げただろ?アレを近接戦でも取り入れたら良いとは思ったな」
「ふむ?」
「例えば盾の側面を相手に向けて盾を広げれば一種のシールドバッシュになるだろうし、相手の移動先を結界で封じて逃げにくくした処で巴柄さんが一撃加えるとかって感じかな。折角伸び縮みする武器ならもっと間合いの変化を上手く活用できると思う」
「そうか、属性を付与した盾は攻撃で広がる盾は防御だと割り切っていたが頭が固かったようだな。有難う、早速これからの特訓のメニューに加えてみるよ」
一通り所感を述べると今度は巴柄さんが手を挙げてきた
「はいは~い!じゃあ私は?」
「巴柄さんは・・・
「も、もう!その名前は恥ずかしいから言わないで!」
ほうほう!恥ずかしいとな?
「
「・・・有間君。態とやってるでしょう?」
はて?何の事やら
「反省はその辺りでそろそろ次に移りますよ。今度は三人です―――桃、憐耶、留流子」
呼ばれた三人が交代で前に出る
『僧侶』の
試合が始まるとまず最初に仁村さんの足が脚甲に覆われる
「アレが留流子の人工神器、『
説明と同時に瞬時に後ろに回り込んで来た仁村さんが放つ後頭部狙いの蹴りを体を90度回転させて腕で防ぐ
“ズドンッ!!”
おお!脚甲からオーラを噴出させる事で蹴りの威力を底上げしてるのか
闘気を全身に回した状態での防御だとかなり衝撃が来るな。連撃で同じ個所に中てられたら痣くらいは出来そうだ
それにしても脚甲タイプでオーラの噴出・・・どこぞの最速のアニキを思い出すな
ス〇ライド的な意味で
彼女は攻撃を防がれたと見るや即座に反対側の足のブーストを吹かして上半身を捻りつつもう一度後頭部を狙って来たので今度は屈んでその攻撃を回避する
二撃目を放った時に上半身が下を向いた彼女は地面に手を着いてバク転するように立ち上がって再び高速で最初の立ち位置に戻った
「ルルちゃん速~い!『騎士』寄りの『兵士』はゲームでも変則ルールに合わせやすいのよね♪これからのルルちゃんのゲームでの活躍に期待が持てちゃうかも☆」
なら、最初の二人にもやったように狐火の広範囲攻撃にはどう対処するのかな?そう思って掌から青白い炎を繰り出すがそれは三人を包み込む半球状の青い結界に阻まれた
「守備は任せなさい」
結界を張ったのは花戒さんだな。さっきまでは無かった腕輪を装着している
「桃の人工神器は『
ソーナ会長の紹介が有ったからか草下さんが周囲に少し不気味なデザインの仮面群を出してそれをこっちに飛ばしてぶつけてくる
見た目からして攻撃力が無さそうだったのでそのまま受けてみたけど、案の定というべきか“ベシベシ ぺちぺち”と体に当たるだけで攻撃力は皆無だった
棒立ち状態の俺に浮遊する仮面が全身に”ぺちぺち”と当たるだけとか傍目にはシュールだわ
「私、攻撃とかはあんまり得意じゃないから直接戦闘だとこれ位しか出来ないのよ。桃や翼紗が居る時は結界とか私が張る意味殆ど無くなっちゃうし。だからせめてこれ位はしようかなって」
まぁ確かにこんなのが周りを飛んでたらウザいとは思うけどさ
「ん~。でも草下さんの神器でその使い方だけってのは勿体なくはないですか?攻撃魔力なり魔法なりが苦手だとしても罠魔法(魔力)の応用で次元収納を仮面に付与して任意発動させれば爆弾なり毒薬の散布なり間接的に攻撃力は確保できると思いますよ?―――そうですね。花戒さんの結界って味方だけじゃなく相手も結界で包めます?」
「ええ、出来るわよ」
「なら仮面の一つを飛ばして相手と仮面を結界に閉じ込めて毒の煙幕を張ればフレンドリーファイアも最小限に抑えられる中々のコンビ技になりませんか?」
次元収納に潜ませるアイテムは買っても良いし、なんならこれから草下さんが錬金術とかを習って自前で用意しても良いだろうしね
「成程、これが有間君ですか・・・初見の能力であってもこうも容易く相手を潰す為の戦術を考え付くとは恐れ入りますね」
≪『オール・エヴィル』のキャラはなるべくして為ったって感じますぜ≫
椿姫先輩とベンニーアにコレは褒められた・・・と、取って良いのか?
「しかし憐耶の能力にそんな使い道が有ったとは・・・それならば何も直接的な爆弾などでなくとも捕縛陣や地雷などのトラップアイテムを各所に配置する事すら可能ですね。広域戦闘では諜報能力はそれだけで有用でしたが、今の案を組み合わせればフィールドの支配権すらもある程度コントロールが可能です」
眼鏡を光らせながら口元に薄く笑みを浮かべて様々な
「模擬戦は・・・どうなったんだ?」
「『あっ!』」
ルガールさんの言葉に皆の意識が引き戻る・・・そう云えば模擬戦真っ最中でしたね
「すみません。能力の考察が思いのほか楽しくて・・・」
「いえ、私も有間君の意見は大変興味深かったですから・・・では再開してください」
結局その後草下さんの案は下準備が必要な為実質仁村さんと花戒さんを相手取り、俺の攻撃から仁村さんを守ろうとした結界を闘気を集中させて貫通力を上げたパンチで突き破って結界内の二村さんの気を乱したところで残り二人も降参して終了となった
「・・・結界の強度には自信が有ったのですが、普通に突き破られてしまいましたね」
「オーラを集中させた一点突破は俺の得意技なので」
「はいは~い!有間先輩!私だけ今のところ何も言及されてないんですけど、もしかして私って完璧だったりしますか!」
元気よく手を挙げる仁村さんはその自信は何処から来るんだ?
「仁村さんは引き上がった脚力、特にブースト吹かした蹴りに体が流されちゃってるからもっと体幹を鍛えたら動作のキレ、速度、パワーが増すかな」
取り敢えずバッサリダメ出ししたら隣に居た花戒さんに「調子に乗るんじゃありません」と軽く頭を叩かれてたな
「うぅ、チョーシこいてすみません。後、有間先輩も私の事は呼び捨てで良いですよ。ベンニーアちゃんと同じで先輩に『さん』付けされると逆に委縮しちゃいそうなので」
「了解」
それからはソーナ会長が新人の二人に今の模擬戦の感想を聞いたりセラフォルーさんがベンニーアに抱き着いて話しかけている
「ベンちゃんはおっぱいドラゴンのファンなの!?マジカル☆レヴィアたんは見ないのかしら?」
≪あっしは生粋の乳龍帝のファンでっせ。レヴィアたんも悪くはないんですがね。元となったミルキーの方が好きなのでやり切れない部分もありますぜ≫
「ベンちゃんはミルキーも見るのね♪どのシリーズが好きなの?私は全部☆」
≪あっしは初代信者ですぜ。でも3作目のミルキーも味が有って良かったと感じてやす≫
・・・うん。十割趣味の話だったな
「さて、今日の有間君との模擬戦で色々見えてきたものも有ると思います。この後は何時も通り、反省会に移りますよ」
『はい!』
流石に反省会にまで付き合う必要はないとの事でソーナ会長に代表としてお礼を言われてシトリー眷属との交流会は幕を閉じたのだった