後半はブラックコーヒーをご用意下さい
魔法使いの襲撃と生徒会メンバーとの模擬戦から数日経った日曜日。リアス部長達がルーマニアの吸血鬼の領地に向かってから一週間程経とうとしている
とはいえ、面倒くさいルートでの移動なのでそれだけで数日使っているみたいだけどな
そして今日はと言えばイッセーの家の地下に在るプールを温水仕様にしてオカ研メンバーと生徒会メンバーが集まっていた
「最近は皆さん魔法使いの選考書類と睨み合うばかりで息が詰まるでしょうから少しだけリフレッシュを兼ねて本日はイッセー君の家のプールを貸して頂く運びになりました。遊びに来たと言っても節度を守るよう心掛けなさい」
「『はい!』」
そんな訳でソーナ会長が言うように連日書類と睨めっこしている皆が集まっているのだ
水着姿で泳ぐ気満々だったり、水着の上に上着やシャツを羽織って少なくとも最初は雑談しようというグループに分かれているな
名目上では書類選考の息抜きとソーナ会長は言っていたけど多分それだけじゃなくて先日の魔法使い襲撃で表の学園が襲われてから皆がピリピリした空気を漂わせていたからその緊張を解す意味合いが強いんじゃないかと思う
こういった交流会を態々リアス部長と祐斗の居ない今やるのは多分そういう事だろう
「うっひょぉぉぉ!オカルト研究部だけでなく、生徒会メンバーの水着姿も同時に拝めるとかなかなかにレア度の高い光景だぜ!基本美少女しか居ないとか最高かよ!」
「会長の・・・会長の水着姿とか初めて見た!これで俺は後5年は戦える!!」
サジの安すぎる発言にちょっと涙が溢れそうになったぞ。普段どれだけ報われてないんだよ
するとアーシアさんが思いついたように手を叩いた
「あ!それでしたらこの機会に私も皆さんに紹介したい方が居るんです」
そう言うと俺達の居る場所から少し離れた所に大きな黄金に輝く
「―――我が呼び声に応えたまえ、黄金の龍よ。地を這い、我が褒美を受けよ!お出で下さい!
呪文が終わると同時に光が弾け、そこに現れたのは黄金の鱗を纏った翼の無い四足歩行タイプのドラゴンだった。大きさは大体タンニーンさんと同じくらいだな
出てきたファーブニルは俺達と周囲を一瞥すると危険は無いと判断したのか頭を下げて腹ばいになり、リラックスモードへと移行する。ただし、視線はスク水姿のアーシアさんを捉えて離さない
「五大龍王の一角、ファーブニルですか・・・まさかアルジェントさんの使い魔になっているとは思いませんでしたね」
「そ、そうだよアーシア!ファーブニルって確かアザゼル先生と契約して人工神器に宿ってたドラゴンのはずだろう!?何時の間にアーシアと契約してたんだ!?」
思わず詰め寄るイッセーにアーシアさんが経緯を話していく
「はい、それが契約を結んだのは本当についこの間の事でして・・・皆さんに紹介するにしても何度か私自身がファーブニルさんとコミュニケーションを取った後の方が良いとも言われたので今回、お呼びする事になりました。あっ、リアスお姉様と朱乃さんにロスヴァイセさんは契約に立ち会って頂いたのでこの事は既にご存知です」
成程、つまりは現状では祐斗だけがハブられてる・・・と
「ええ、アザゼルは先日総督を辞めたでしょう?それを機に前線に立つのを極力減らしてバックアップに力を入れるそうですわ・・・ですがそうなるとファーブニルも一緒に前線から引く事になってしまうので、それは勿体ないとアーシアちゃんが新たな契約主になったんですの」
「だとしても龍王と契約を結べるとは破格ですね。ですが契約の対価は如何してるのです?ファーブニルと云えばドラゴンの中でも特に財宝に執着する者として有名です―――要求されるモノによってはグレモリーの財政すらも圧迫しかねないでしょう?このように気軽に呼び出してしまって良かったのですか?」
ソーナ会長の疑問にアーシアさんもやや動揺を見せながらも無難に答えていく
「そ、それは・・・ファーブニルさんは明確に何かをして欲しいと頼んだり働いて頂いたりしないで呼び出すだけなら特に対価を求められないんです」
『俺様、アーシアたんのお宝は労働の対価として貰いたい。その方がプレミアム感が付くから
―――アーシアたんの頼み聴く、俺様、アーシアたんのお宝貰う、これ、黄金の方程式』
ファーブニルが『労働とは尊い』みたいな事を語ってるけど頭に生えてる角の先端に水色の布が巻き付いていなかったら素直に関心も出来たんだろうけどな
「成程・・・ただ無節操に財宝を集めれば良い訳ではないのですね。ドラゴンの価値観は独特とは聞きますが所謂人間界で云うところのマニアという人種に近い拘りが有るという事でしょうか」
だがソーナ会長がそこまで考察したところでついにゼノヴィアがその存在に気付いてしまった
「なっ!?あの水色の布は何処かで見覚えが有ると思っていたが・・・アレはアーシアのお気に入りのパンツじゃないか!?」
ゼノヴィアの叫び声に全員の視線がそこに集中する
『金髪美少女シスター、アーシアたんのおパンティ、この上無いお宝。俺様、何時かアーシアたんのおパンティに埋もれられるくらいにコレクションしたい』
「『なぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?』」
ファーブニルの変態発言に全員の驚愕の声が重なる
「はうぅぅ!やっぱり見つかってしまいましたぁ!」
アーシアさんも羞恥心から顔を覆ってしまった・・・何食わぬ顔でシレッとしていれば気付かれないという淡い期待も有ったのだろうが、実はさっきから目線がチラチラとパンツに向いていたからその内誰かが気づいていたとは思うな
「待て待て待て!そりゃアーシアのパンツがお宝だってのは否定しないけど、まさか契約の対価ってパンツの事だったのか!?パンツで契約を結べる龍王ってどんなだよ!?まさかアザゼル先生も対価にパンツを支払っていたなんて事はねぇよなぁ!?」
『金髪美少女シスターのパンツにこそ価値が有る。アザゼル、俺様には伝説のアイテムとかくれた。おパンツシスターのパンツ、その価値レジェンダリー』
神話にも語られるような伝説のアイテムと美少女のパンツは等価値ですか・・・一部の男性は同意しそうと思えちゃう辺り男という生物の業の深さを感じるよ
『ば、馬鹿な!如何したファーブニル!?昔のお前はそんな感じでは無かったはずだ!』
『そうだ!お前は金銀財宝以外には特に興味を示さないドラゴンだったではないか!』
『俺様、初めてアーシアたんを見た時、衝撃走った。そして気付いた。今まで財宝だけ集めてたのはアーシアたんに出会ってなかったから、アーシアたんのおパンティ、プライスレス。お金に変えられない価値が有る』
「『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』」
赤龍帝と黒邪の龍王の問いただす声に黄金龍君は静かでありながら他のどんな言にも揺るがないと感じさせる力強い口調で返答するのに思わず二匹も閉口してしまったようだ
今までパンツを集めていなかったのは財宝に匹敵ないし凌駕するだけのファーブニル好みの美少女と出会っていなかったらに他ならないだけであったという事か―――ただ節操なく集めれば良いという訳ではないと・・・本当に自分の
『ック!何て事だ。ファーブニルのこのような姿はアルビオンには見せられん。最近は尻というワードに過敏になっているらしいからな・・・恐らくパンツはアウトだろう』
パンツと尻は連想ゲームなら容易に結びつくからな
そんなこんなでちょっとした(?)ハプニングは有れどもプールで遊んだり寛いだりという本来の目的を何とか思い出して皆で思い思いに過ごす事になった
ファーブニルは温水プールに浸かりつつ同じプールでビーチボールを使って何時もの教会トリオ以外にも生徒会メンバーも混じって遊んでいるアーシアさんをガン見している
『アーシアたんの浸かった水。俺様、このプールの水を飲みほしたいお・・・』
・・・ある意味イッセーより酷いオープンな変態だな
俺はといえば今は丸テーブルを囲う形で座っている。俺以外にはソーナ会長と朱乃先輩にレイヴェルだ。イッセーとサジはそれぞれ女の子にプールに引きずり込まれて一緒に遊んでるな
ギャスパー?アイツは女子枠だろ?もしくは『性別・ギャスパー』だ―――一々ツッコんでいたらキリがない
黒歌と白音は先ずは泳ぐ事にしたのか生徒会の翼紗さんに巴柄さんと一緒に爆速で泳いでいるな
≪あっしは此処でこうしているのが一番落ち着きやすぜ≫
おっと、この場にはもう一人、ベンニーアが水着こそ着なかったもののマントは外してテーブルの下で寛いでいる
ルガールさんは少し離れた場所で倒したデッキチェアで横になっているけどプールで遊んでいる皆を見る目が完全に保護者視線だ
余談だがこの温水プールだが勿論というべきかただの味気ないプールではなくジャングル風味な造りになっていて、何でも普通のプールと温水プールで仕様が違うらしい
今は鬱蒼としたジャングルの奥地をモチーフにしているようだが通常のプールとして水を張るとトロピカル風味になったり、波の出るプールとかなら砂浜すらも再現可能だという話だ
「うふふふ、この家を設計した方は様々な隠し要素を仕込むのが大好きなんですのよ。イッセー君の家では時折新しい発見がまだまだ続いているくらいですわ」
それはまた人によっては面倒だと感じてしまうかも知れない機能だな。まぁそういう人の場合はそもそもその人に依頼をしなきゃ良いだけなんだけどさ
「そう言えば有間君の家は
「・・・ええ、まぁ、多分宇宙まで行けますね。マニュアルの緊急脱出用プログラム最終フェーズで順次下の階から切り離していき、月まで行ってから帰って来れるそうです・・・帰って来る時には一番上の六階部分しか残ってないそうですが」
一応マニュアルにはそう書いてあったけど嘘だよね?そう思いたい今日この頃だ
「それはまた・・・壮大ですね・・・」
話題を振ってきたソーナ会長も反応に困っている
普通なら冗談の類で済ませられるのだがそこに『アザゼル』ないし『
個人的に宇宙に行ってみたいという気持ちは無い訳じゃないが、流石に自宅で宇宙旅行をするつもりもまた無いのだ
取り敢えず話題を変えるかな
「今回はリアス部長と祐斗・・・あとついでにアザゼル先生が居ないですけど何時か全員揃って騒いでみたりとかもしてみたいですよね」
可能なら九重も誘ったりしてな・・・今はテロの横行で中々そういうのは難しいけど
異世界の邪神とやらも異世界の乳神の居る陣営と戦ってる割には他の世界にも手を出したりとか、ちょっとばかし好戦的過ぎやしませんかねぇ?
「そうですね。後でリアスには皆でこうして集まっているという事が知れたら私が計画しなくともリアスが主導してまた今回のような集まりを企画する事でしょう」
「確かに、リアス様はこういったイベント事には力を入れる方ですからね」
すると朱乃先輩が意味深で楽し気な笑みを浮かべる
「あらあら、うふふ♪イベントと云えばレイヴェルちゃんも昨日はイベントが有ったのでしょう?イッキ君との初デートは如何だったのかしら?」
「なぁ!?」
突然話題を振られたレイヴェルは一気に挙動不審になって顔を紅く染めた
「おや?それは初耳ですね。詳しく聞かせて貰えませんか?」
ソーナ会長も話題に喰い付いた!やっぱり御堅いイメージが有っても恋バナとかは女子は好きな人が多いんだな・・・よし!
「あ~、俺もそろそろ泳いできますね」
そう言って立ち去ろうとしたがレイヴェルに右手を、朱乃先輩に左手を掴まれてしまった。正面に座っていたソーナ会長にも「有間君?私は詳しくと言いましたので当事者たる貴方には此処から去るという選択肢は用意されていませんよ」とゲンドウポーズで圧を掛けられてしまった
「イッキ様。どうせ後で私は女性陣に根掘り葉掘り聞かれると思いますので、こんな時くらい一緒にいて下さいまし」
「うふふ♪女の子一人を戦場に残すような真似をしてはいけませんわよ」
戦場ですか!この場は既に戦場と化していたんですか!?
そうして俺達は昨日のデートについて語る事になったのだった・・・コレなんて羞恥プレイ?
~デート回想~
魔法使いの襲撃の後すぐ、生徒会メンバーと模擬戦する前の時間に俺はレイヴェルに一つの提案をしていたのだ
学校や部活も終わり、家で寛いでいる時にレイヴェルに語り掛けていた
「レイヴェル。次の週末だけど何か予定有る?」
「予定ですか?今の所は特にこれと云って決めている訳ではありませんが」
「なら、一緒に何処か行こうか」
首を傾げるレイヴェルにその提案を口にすると後輩二人は目に見えて狼狽えだした
「な!?そ、それはもしやデ、デートのお誘いという事ですの?」
「そうなんですか!イッキ先輩!?」
詰め寄って来る二人の頭を"ポンポン"と叩いて落ち着かせて言う
「率直に言えばそうだな。前に白音とは遊園地でデートしたけどレイヴェルとは正式に付き合ってからデートに行った事無かっただろ?修学旅行とかサイラオーグさんとの試合に向けた集中特訓の手伝いとか冥界の危機が去ったと思いきや魔法使いとグレンデルの襲撃と色々忙しくてさ・・・しかも今は吸血鬼の問題も何時舞い込むか分からないときたもんだ。でも、婚約者の女の子とデートもせずにいる言い訳としたらそれは下の下だよ。だからさレイヴェル、デートに行かないか?」
それに襲撃してきた魔法使いたちの『工場』を見たレイヴェルの気分転換にもなったら良いと思った事もあるんだけどね
「そ、それは大変嬉しいお誘いなのですが、それでしたら私よりも先にイッキ様の一番初めの彼女である黒歌さんとのデートを先にした方が良いのではないですか?」
「あ~、私はパスにゃ。私もイッキと一緒にデートには一度行ってみたいけど今作成してる魔法が後は仕上げだけでね。先にそっちを終わらせないとモヤモヤしちゃうにゃ。だ・か・ら♪ちゃんと二人で楽しんでくるのにゃ♪」
実は黒歌にもデートの話は既にしたのだがそういう理由で断られたのだ。黒歌の部屋に行った時は作成中の魔法陣を展開してたのだがアジュカさんが
黒歌程の使い手がそれ程手間を掛ける魔法がどんなモノなのか一応直接聞いてみたけどその時は「秘密にゃ♪ただ完成した時には私がイッキとのデートを後回しにするだけの価値の有る魔法だって理解して貰えるはずにゃ♪」と自信満々の様子だったのでよっぽど凄い大魔法を組んでいるのだろう・・・ロキやタナトスのような神クラスとの戦いで決定打を打てなかった黒歌だから神すらぶっ飛ばせるような攻撃魔法とか?何だかんだ言っても
「そういう事でしたら是非ともご一緒させて下さいな」
レイヴェルが背景に華が咲くような笑顔を見せてくれるからこの反応を見るに誘って正解だったようだな―――白音も「そういう事なら」と納得してくれたみたいだし、今度黒歌とデートに行けたならその次は全員で旅行とかにも行けたなら良いんだけど・・・九重は如何だろう?レイヴェルはまだ目に見える形での実績を残してる訳じゃないけど俺と黒歌に白音が一緒なら遠出の許可も下りるかな?その時になったら八坂さんにも相談してみるか
「それで、何処に行くかはもう決めてあるのかにゃ?」
「ああ、沖縄に行こうと思う」
そんなやり取りも有った中でやって来た沖縄県!いや~、転移が有ると日本最南端(沖ノ鳥島とかは除外)にも気楽に来れるって良いよね!
季節は既に秋だけど沖縄は普通に暖かいから半袖の上に薄手のシャツ一枚で十分過ぎるしな
「イッキ様、今回は何故沖縄だったのでしょうか?」
レイヴェルの服装は白のワンピースに白のブーツサンダル、白のツバ広ハットにワンピースや帽子に青いリボンが結んである清涼感を前面に押し出した格好だ
どこぞの御令嬢と言われても違和感ゼロだな・・・って侯爵令嬢だったか
フェニックス家は成り上がりなんて揶揄されてる事もあるみたいだけど、侯爵家なら成り上がりも何もないと思うんだけどな
「そうだな。まず白音とは遊園地に行ったし、全く同じっていうのも芸がないと思ったのが一つ。あとあまり考えたくないけど途中で吸血鬼関連で呼び出しがあると乗り物によっては素早く抜けるのが難しいからそれに配慮した処もあるな。秋だから紅葉を見に行く案も有ったけどレイヴェル達は一年後には修学旅行で秋の京都に行くから今回は後回しにしたというのがまた一つ。それで最後にレイヴェルの・・・と言うか冥界に無いものを考えた時に冥界には海が無いってのを思い出してね。もしかしたら海くらいは見た事あるかも知れないけど今回のメインは水族館だ」
「水族館ですか?確か様々なお魚を代表とした海の生物を観られるのだとか」
「そっ、デートの定番でもあるし、川と湖だけの冥界だとやっぱりこの手の娯楽施設は無いんじゃないかと思ってね」
そもそも冥界には娯楽施設は最近まで余り無かったみたいだし(サーゼクスさんがゲーセンとか色々と増やしたらしいが)魚の種類とかも人間界の海の方が勝るだろうから『人間界を知る』一助にもなると考えたのだ
「それほど私の事情まで含めて考えて頂けるなんて感激ですわ。確かに冥界だとそういった施設は在りませんわね。種類もそうでしょうが下級悪魔程度なら簡単に食い千切れるお魚が跋扈する湖とかも在りますし、魚の飼育も補充も実力者でなくては務まりませんわ」
えっ、冥界の湖恐っ!魚というか魔物じゃん!・・・冥界と考えたら別に可笑しい事は無いのかも知れんけどさ
そうして冥界の湖事情に戦慄しつつも控えめに見積もっても日本水族館トップ3には入るであろう『美ら海水族館』にやって来た
入口の所でジンベエザメのオブジェが出迎えてくれる
水族館の目玉としてジンベエザメってその時点で反則級だと思う・・・その分、飼育とかエサ代とか大変なんだろうし、別にジンベエザメを飼育している水族館は此処以外にも在るけどやっぱりジンベエザメと言ったらこの水族館というイメージがあるな
観光スポットだけあって外国人観光客もチラホラ見られるけどレイヴェルクラスの美少女だとやっぱり注目を浴びるな―――「綺麗な娘」とか「可愛い」とか「セレブ?」とか聞こえてくる
駒王学園のオカ研や生徒会とかと一緒に居ると感覚可笑しくなってくるけどこの反応が普通だろう
「どうかされまして?」
ジッとレイヴェルの姿を見ていたら不思議そうな顔をさせてしまったようだ
「ああ、いや。言い忘れたけどその恰好似合ってるぞ。綺麗且つ可愛く見える」
「あ、有難う御座います。イッキ様の好みに合うように私も色々考えたんですの。派手過ぎず、それでいて少し大人な感じを装飾ではなくデザインで表してみましたわ」
俺としてはグッジョブと言わざるを得ない采配だ。流石にファッションに関してはレイヴェルが一歩抜きん出ているな。場合によっては子供っぽくも見えそうな組み合わせなのにデザイン性でそれらの要素を打ち消している。それと俺の性癖が把握され過ぎである・・・別に良いけどさ
「じゃあ行こうか。レイヴェル」
「はい♪」
俺が手を繋ぐように右手を差し出すとレイヴェルは手は繋がないで腕を組むように引っ付いてきた
「今日のイッキ様は私だけのものですから普段以上に甘えさせて貰いますわ♪」
ヤバい、可愛い。満開の笑顔だ・・・黒歌たちにも言える事だけど本気で可愛いと可愛い以外の言葉が咄嗟に出てこないものだよな
そうして入場してから最初に在るヒトデやナマコとかの触れ合いコーナーでは指先でチョンチョンと突いたりしてヒトデの硬さやナマコのぷにぷに感を堪能して次に向かった・・・俺としては同時に感じるレイヴェルの感触に意識が持っていかれそうだった
やっぱり家での触れ合いとデートでの触れ合いはまた違った新鮮さがあるものだ
それから水族館の最初の掴みとして色鮮やかな熱帯魚のコーナーで目を楽しませて暫く進むと毒持ちの魚やクラゲ、ヒトデなどを展示してあるコーナーに差し掛かる
飼育が難しい為か模型だったり単品で小さめの水槽に入ってるな
「毒ですか。海で遊ぶ際にはそういった点が危険だという話も聞きますがフェニックスたる私なら大丈夫ですわね」
「大丈夫って言っても痛みは有るんだろ?遊んでる途中で刺されたりしたら一気にテンション下がると思うぞ。一番分かり易く遭遇しそうなのはクラゲとかかな?海に遊びに行く機会が在っても出来ればそういうのには近づかないようにな」
「分かっていますわ。そう言えばイッキ様は毒などは大丈夫なのですか?」
「俺は仙術で解毒の印を結ぶ必要があるな。新陳代謝を操って毒が回り難くする事は出来るけどそれは解毒とは別だからな」
ドラゴン系等の毒なら体内に入った時点でサマエルの恩恵で解毒されるかも知れないけど流石に試したくはない・・・と云うか水族館に来ておきながら結構物騒な話してるな
・・・これが戦闘職の性ってやつか
そんな事を思いつつ先に進むとシアタールームに辿り着く。折角来たのだからこの水族館を堪能する為にも中に入る事にした
音声ガイドの下ガラス越しに見るのとはまた違う臨場感のある映像を巨大画面で見ていく・・・俺やイッセーの家に置いてある平均的なテレビより僅かに大きいだけというのには決してツッコんではいけないのだ
シアターを出てサメの展示場を抜けたらこの水族館最大の水槽にして代名詞とも云えるジンベエザメのいるアクアルームに辿り着く
「わぁ!大きいですわねイッキ様!それにとっても愛嬌のある顔立ちですわ」
確かにのっぺりとした顔で牙も無いし、泳いでる様も非常にゆったりとしていて基本的に恐いという要素が見当たらない・・・直前のサメのコーナーでサメらしいサメを展示してあるのはギャップ要素を狙ったものじゃないかと勘ぐってしまうくらいだ
そこで丁度ジンベエザメについて書かれた案内板が目に付いたので読む
「え~と、何々?大きい方のジンベイザメで体長8.7mか―――ジンベエザメが最大で20m前後まで成長するらしいからまだ子供って事かな?」
「これで子供ですか・・・ですがこれ以上大きくなるとこの水槽でも少々手狭になってしまうのではないでしょうか?」
「多分だけどある程度の大きさに成長すると海に返してまた別にもっと小さい子供のジンベエザメを捕まえるんじゃないかな?」
パンフレットかどこか別の案内板とかに載ってるかな?
そうしてジンベエザメやマンタなどが優雅に泳ぐのをある程度見た後はその場に在る『カフェ・オーシャンブルー』で昼食を摂る
此処でお昼を食べるために少し遅めに入館してシアターで時間調整とかもしたのだ
それを踏まえてもまだ11時半くらいだが誤差の範囲だろう
レイヴェルと昼食を食べ、折角だから限定のモノをとジンベエザメのラテアートコーヒーに紅芋アイスをデザートにしてカフェを後にし、深海魚のコーナーを抜けて少し進むと出口に辿り着いた
「あら、もう出口ですのね。楽しい時間はすぐに過ぎてしまいますわ」
「流石にデートで水族館だけなんて言わないさ。先ずはそこの土産屋で色々買って行こうか。黒歌とか沖縄のお菓子とか買ってなかったら恨みがましい視線を向けられそうだ」
「ふふっ、そうですわね。黒歌さんも白音も食いしん坊ですから」
可笑しそうに笑うレイヴェルと『ショップ・ブルーマンタ』に入り、一通り食べられそうなのを物色したら最後にレイヴェルが見ていたフワフワしたジンベエザメのぬいぐるみ(青色とピンク色を一匹ずつ)買う事にしてお土産屋を去る
え?国内郵送?そこは次元収納という名の手ぶら術が有ると便利ですよ?
水族館を出た俺達はその後も観光スポットである今となっては沖縄以外では幻の2000円札の首里城とその周辺の観光やビオスの丘という自然植物園で亜熱帯のアマゾンっぽいイメージの川を遊覧船でゆったり進んだり水牛の牛車に乗ったりと所謂『地域限定』を中心に巡っていった
夕方。今は二人きりで海に沈んでいく夕陽を海岸沿いにある手ごろな岩に座って眺めている
仙術感知を使えばその日その日の穴場を探るのも難しくない
「イッキ様。今日はとても楽しかったですわ。イッキ様のお家に住むようになってから実家に居る時とはまた違う彩りを感じます。やはりお慕いしている殿方と一緒だからでしょうか?」
そんな事言われたら否定する言葉なんて出る訳ないだろうに
「やっぱりそれが恋人っていう関係なんじゃないかな?俺も今日は楽しかったけどその根底に在るのはレイヴェルと一緒に居られて嬉しかったって感情も関係してると思う」
「そうですわね。私もイッキ様と同じ時間を過ごせたのが、ただそれだけで嬉しいですわ
―――きっとそれがゆくゆくは家族、いえ、『夫婦』に繋がっていくのでしょうね」
此処で『夫婦』と来ましたか。隣に座るレイヴェルも口に出して顔が紅いのは決して夕陽による見間違いではないだろう
「結婚はまだ先だけど一緒に住んでいるんだから殆ど似たようなもんだとは思うけどな。それでも数年後には夫婦になる訳だし、これから先は夫婦の時間が圧倒的に長くなるんだから今は『恋人』を十分満喫しようか」
実質変わらないのかも知れないけど気分の問題だ。そう思っているとレイヴェルがクスクスと口に手を当てて笑い始めた
「うふふ♪白音が言っていましたわ。イッキ様は二人きりの時などは少し積極的になる方だと」
う゛!指摘されると恥ずかしいな
「・・・もう帰る時間ですわね。では、最後に一つおねだりをしても宜しいですか?」
太陽が水平線に殆ど沈んで少し冷えた風がレイヴェルの髪を揺らす中でそんな事を言われた
「ああ、何でもこい」
俺が了承するとレイヴェルは何も答えず黙って目を閉じる
程なくして俺とレイヴェルの影が重なった
はい、そういう訳でレイヴェルとのデートでした。黒歌とのデートと迷いましたが最初に白音とデートしたなら黒歌はトリでも良いかな?と思ったので・・・何時しか黒歌ともデートさせたいですw