俺とレイヴェルのデートの内容を話し終えると朱乃先輩は片手を頬に当てて楽し気な笑顔を浮かべている。逆に俺とレイヴェルは少し顔が紅くなってしまっているな
「あらあら、うふふ♪夕陽の落ち切る瞬間を狙った浜辺でのキスだなんてロマンチックですわ。今度イッセー君とデートする時の参考にさせて貰おうかしら?」
俺とレイヴェルのデート話を聞いた朱乃先輩は本当に上機嫌だ。お肌が心なしかさっきよりもツヤツヤしている感じすらしているよ
「ええ、それにお互いがお互いの事を分析して服装やデート先を考えた所も高評価ですね。貴族社会では血筋優先で恋愛結婚というのは難しいですがレイヴェルさんは問題なさそうで何よりです」
≪ラブラブってやつですか・・・あっしのパパ殿とママ殿を思い出しやすぜ≫
ラブラブなんて他人に言われると反応に困る・・・と云うか呼び方パパ殿とママ殿なんだ
「それにしてもイッキ君はイッセー君とは趣味が真逆ですわよね。イッセー君ならエッチな服装が大好きですのに―――家でそういうコスプレとかをすると大変喜んでくれますのよ」
それを聞いたソーナ会長は眉根を寄せて朱乃先輩に苦言を呈す
「朱乃、貴女は少し過激過ぎます。これはリアスにも言える事ですが学校にまで派手過ぎる下着を着て来ては風紀が乱れます。もう少し有間君達の清い交際を見習いなさい」
「あらあら、ソーナったらプライベートでも生徒会長なんですから―――ですがイッキ君だってイッセー君が認める程の芯(チラリスト魂)を持った殿方ですのよ。それが偶々学園の風紀と合致しただけなのではなくて?」
「それは・・・」
そこで言葉に詰まらないで!俺は学園の風紀を脅威(変態三人組)から守ってる方なんだから味方でしょう!?生徒会長として健全な一生徒を擁護して下さいよ!
まさかのソーナ会長に見捨てられる事態に嘆いているとこの部屋の入口から水色とんがり帽子の魔女であるルフェイと神喰狼であるフェンリル(大型犬モード)が入って来た
それとほぼ同時に競争していた皆も一旦休息の為かプールから上がる。翼紗さんと巴柄さんはプールサイドに腰かけて足だけ浸からせてビーチボール組に声を掛けているな
「皆さんお疲れ様です。先日の魔法使いの襲撃時はお役に立てず申し訳ございませんでした」
確かに魔法使い達が襲撃してきた時に家には既にルフェイが緊急で呼び出されたとのメッセージだけ残して居なくなっていたので参戦もバックアップもしていなかったのだが今の俺達の関係性を考えれば手を貸して貰うのもやはり難しかっただろう
ルフェイはテロリストたるヴァーリチームに所属しているが三大勢力重要拠点を守護しているシトリー眷属も当然ルフェイ達の情報は伝わっているようだ・・・サジが遠目に現れたフェンリルに絶賛ビビリ倒している最中だが他のメンバーはフェンリルと直接対峙した訳でも無いので反応は可もなく不可もなくって感じだな
「いや、大凡だけど事情は分かってるよ。こっちでは魔法使いの後でグレンデルが襲ってきて、その後白龍皇の所に行くって言ってたから少なくともグレンデルとは戦ってたんだろ?」
「はい。此方は最初にアジ・ダハーカが襲ってきた関係で呼び出されました」
「アジ・ダハーカですか。そちらもグレンデルと同じく滅んだとされる邪龍ですね。いえ、正確にはただ滅ぼすだけでは直ぐに復活しそうだったので封印に近い形で処理したそうですが」
「千の魔法を操りゾロアスターの善神に牙を剥いた邪悪なドラゴンですわね」
ゾロアスターの悪神であるアンラ・マンユが創り出したドラゴンでもあったな。だからと云って【
つーか俺のはアンリ・マユだし。関係ゼロと言っても過言じゃないくらいだ
「はい。ヴァーリ様を始め、私達のチーム総がかりでも倒れずに血を噴き出しながら笑って戦っていました。ですがそこにイッキさんの言ったようにグレンデルとユーグリット・ルキフグスと名乗る男の方が転移して来て、そこからはアジ・ダハーカとグレンデルがどちらが私達と戦うのかを言い争った上で私達そっちのけで殺し合いを始めたんです。余りにも場が混沌としてしまった為、私たちは一時退散する事にしました」
それってその二匹が気が付いた時にはヴァーリ達が居なかったって事だよな?内容が内容だけに笑えないけど一種のギャグだろうそれは
そう思った辺りでさっきまで泳いでいた白音と黒歌も水を滴らせながらも此方に歩いて来た
そしてそのまま白音は俺の膝の上に座る。白音の濡れた体が俺の体にフィットするぅぅぅ!!
Be cool!落ち着け俺!エロい方面に思考を回すな!白音が膝の上に座るのなんて何時もの事なんだから愛おしさの方面に意識を傾けろ!
「競争で勝った方がイッキ先輩の膝の上に座る事になったんです。黒歌姉様と云えどもこの場所は私の縄張りですので死守させて貰いました」
俺の膝の上が何時の間にか景品になっていたのか
「にゃはは、白音にちょっと発破を掛けたら思った以上に効果抜群だったみたいにゃ。でも折角だし私もイッキの膝の上には乗ってみたかったんだけどにゃ~。如何、白音?水着越しにイッキに後ろから抱きしめられる感想は?白音がそこを退いたら私も座るにゃ♪イッキの理性を今の内に溶かしてベッドで【一刀修羅】で寝るなんて発想が浮かばないで私達を押し倒す事しか考えられなくしてやるのにゃ♪レイヴェルも協力しなさい♬」
「そんな協力させようとすんな!」
だが俺の抗議を受け付けないで黒歌はシンプルな黒のビキニの格好で後ろから抱き着いて来る。後頭部辺りからマシュマロのような感触に包まれてしまった。超柔らかい!
「にゃっはははは♪そんな事言ってさっきからイッキが白音の感触を堪能して思考がエロエロ寄りになってるのなんて丸判りにゃ。必死に誤魔化そうとしているみたいだけど、それは詰まり誤魔化すべき何かが在るって事でしょう?答えは一つ!エロエロにゃ!」
っく!何という名推理だ!だが言わせてくれ。禁欲をほぼ強制させられてる俺がこの状況で何も感じなかったら俺は今すぐにでも仏の位に上がる事が出来ると思う
ダメだダメだ!白音もレイヴェルもまだ学生なんだし白音は万が一の時はガチで命の危険が在るんだから手を出してはダメだ!
落ち着け、平静になるんだ俺!こんな時は確かそう!素数だ。素数を数えるんだ。素数とは1と自分の数字でしか割る事の出来ない孤独な数字。俺に勇気と冷静さを与えてくれる・・・」
何時の間にか心の声が漏れていたようだが俺はそれに気付かずに素数を数えていた
「・・・黒歌さん。イッキ様を追い詰めるのも程々にして下さいまし、フラストレーションが日に日に溜まってこのままでは近いうちにイッキ様の精神が限界を迎えてしまいますわ」
レイヴェルが苦言を呈すと黒歌はイッキから離れた
「にゃはは~。ちょっちやり過ぎちゃったかもねぇ。まぁ今現在進行形でイッキに負荷を掛けているのは白音なんだけど♪」
「わ、私ですか!?うぅ、大切にされているのが伝わってくるからこそ、この場は離れるべきなんでしょうか?と言うか黒歌姉様はシレッと私に責任を全て押し付けないで下さい」
「あらあら、イッセー君のように欲望に忠実である程度発散させている訳でもないと、年頃の男子には少々刺激が強すぎるのでしょうね」
「こうして見ると有間君も普通の一男子高校生という感じがしますね」
「まっ、大丈夫にゃ。仮にイッキの精神が崩壊してもイッキなら最後の理性で白音やレイヴェルには手は出さないだろうからイッキの欲望は全部私が受け止めるからにゃ♪」
「「ダメです!!」」
暫く周囲の音は認識できなかったが意識が現実に戻ってきた後、取り敢えず黒歌やレイヴェルが続けて膝の上に乗る事は無かった―――冗談、もしくは何か心変わりでもしたのだろうか?
気のせいか一瞬記憶が飛んでるような感覚がするけど取り敢えず今は真面目な話題を振って黒歌が俺の妄想に刺激を与えるような事が起きないようにしよう
「あ~、邪龍達と一緒に居たユーグリットの事だけどグレイフィアさんはやっぱりまだ?」
露骨な話題逸らしだったけど幸いにも朱乃先輩は答えてくれた
「ええ、冥界の上役の方々はグレイフィア様が弟の死を偽っていたのではないか。それか少し前に接触されて今回の件を一緒に手引きしたのではないかなどと疑惑の目を向けている状態ですの。在り得ない事ですが今の冥界は前魔王に関する事には殊更敏感になっていますので、前魔王、特にルシファーに仕えていた6家筆頭であったルキフグスというのは彼らを刺激するのに十分なインパクト有ったようですわ。グレイフィア様は今はグレモリーの城でメイドの仕事も出来ずに軟禁状態だそうです。家に居るか審問を受けるかの二つに一つだそうでして、上役の方々の頭の固さを考えると暫くはこの状況が続きそうですわ―――グレイフィア様はコレを機にミリキャス様との時間を増やすと言っておられたようですが、最初にユーグリットの生存を聞かされたグレイフィア様は酷く狼狽していらしたみたいですのでやはり、少々無理をしているのではないかと思います」
死んだと思ってた弟が生きていた・・・だけなら未だしもテロリストとして再登場だからな
「ことは冥界の政治に絡む出来事ですからね。悔しいですが、これと云って強い発言力も持っていないデビュー前の私達では口を差し挟む隙もありません」
ソーナ会長がそう言って視線に影を落とす
うわ、もっと別の話題にしておけば良かった。一気にしんみりした空気が出来上がっちゃったよ
なら!
「口を出す事が出来ないなら手を出しましょう!」
「それは・・・上役の方々を暴力で黙らせるなんて事をすれば流石の私達も有間君をフォローする事が出来なくなってしまいますよ?貴方はもっと冷静な意見を出せる人だと思っていたのですが―――それとも冗談でしたか?だとしても余り面白くは無かったですね」
なんか超絶ボロクソに言われた!確かに言葉足らずだったとは思うけど一息にそこまで否定しなくても良くないですか!?
「いや、そういう意味じゃないですよ?ユーグリット・ルキフグスが
正直ユーグリットを捕まえないとグレイフィアさんの状況は好転しないとも思うんだよな
「ああ、そういう意味ですか―――確かに我々・・・特にオカルト研究部は和平の切っ掛けとなったコカビエルの時からイベントの目白押しでしたからね」
アザゼル先生も高性能盗撮機を仕掛けておけば近いうちに良い画が撮れると確信するレベルですからね・・・提案したのは俺だけど
「イベントって言うならライザーとのレーティングゲームが始まりかも知れませんね。あれは別にテロとかとは関係ないですけどリアス部長の結婚の掛かった一大イベントでしたよ」
ぶっちゃけレイナーレの件は和平前の裏の世界ではよくある事で、レイナーレ自身もただの下級堕天使だったからイベントと云うにはパンチが足りてないんだよな
「有間君が高めた力で聖書を朗読したあの試合ですね。ゲームの映像は私と椿姫もリアルタイムで視聴していましたが酷い光景でした。ライザー氏の眷属の方々はまだ動き出していなかったので全員同じ部屋でのたうち回っていたのですから・・・」
ああ~、映像越しだとバイオハザードな感じになってたのか。下手したら体から煙上げてる人とか居たんじゃないか?
「ソーナ様はまだ良いではありませんか。その時だけはゲームの音声は切れていたのでしょう?私なんてそののたうち回っていた一人でしたのよ?」
「御免なさいっ!!」
思わず謝ってしまった。あの時はまだ敵同士だったから謝る事じゃないのかも知れんがそれでも今この瞬間は罪悪感をヒシヒシと感じるぞ
「もう過ぎた事ですわ。それにゲームの戦略としては何も間違ってはいないのですからそもそも気にしてなどおりませんわ」
レイヴェルに苦笑混じりに許されたけど取り敢えずレイヴェルの頭を撫でると「もう、イッキ様ったら」と口にしながらも満更でもなさそうだ
するとルフェイと一緒に隣に在ったテーブルの椅子に座っていた黒歌がふと気になったのかソーナ会長に質問する
「そう言えばアレって婚約とか結婚とかを賭けてゲームしてたんでしょう?なら、そっちのシトリーの次期当主様はそういう話って無いのかにゃ?魔王の妹で次期当主―――条件は似通ってるから貴族社会なら婚約者の一人くらい居るんじゃないのかにゃ?」
ソーナ会長はアイスティーを一口飲んでから何でもないように答えた
「ええ、私にも婚約者は
既に過去形である
「うふふ♪ソーナは婚約相手にチェスの勝負を申し込んでコテンパンに叩き伏せる事で婚約を解消させたのですわ♪自分よりも頭の弱い男を婿に取るつもりは無いと言ってね」
マジですか!ソーナ会長の婿になるにはチェスかそれでなくとも頭脳戦で勝たなくちゃダメなの!?難易度高くね?・・・サジ、お前ソーナ会長と付き合うなら龍王の力を鍛えるよりチェスの名手になる方が夢に近づくんじゃないのか?
「流石に本気言っている訳ではありません。ある程度の地頭の良さが欲しいのは確かですが、ただ単に私の婚約相手が詰まらない方だったのでプライドを刺激して勝負に持ち込んだだけです―――あの程度の安い挑発にまんまと乗せられるようではチェスでなくとも私の勝ちでしたでしょうが」
おお!策士タイプらしいやり方で勝利(婚約解消)をもぎ取ったんですね。策士が勝負の土俵に上がる時には既に勝敗は9割方決しているってやつですか
「ふいぃぃぃ、疲れたぁぁぁ。皆何を話してたんだ?」
雑談に興じているとイッセー達がプールから上がって歩いて来た
一旦休息をとる事にしたようでそれぞれがプール備え付けの冷蔵庫から冷たいジュースを手に取っている。もっともまだ遊んでいる人も居るようで仁村やイリナさんなんかはジャングル設計の木に巻き付いていた蔓を使って「アーアアー!」とターザンごっこだ
あの二人が一番快活だよな
他にはプールに浸かっているファーブニルの上にオーフィスに捕まったフェンリルが座り、その上にオーフィスが跨り、オーフィスの頭の上にアーシアさんの使い魔のラッセーが乗っかっている
「我、この四段合体ならグレートレッドに挑める・・・と思う」
それただの四段重ねだし、何一つとして纏まってないよ―――ドラゴンの間に狼挟まってるし
いや、実際原作の三段重ねよりは強いのかも知れないけどグレートレッドには届かんだろう
ラッセーとか余波だけで消し飛ぶぞ
「何を話してたかって言えば色々だな。面倒な事件やイベントが今までも、それと多分これからも目白押しになりそうってな・・・後は恋バナとか?今はライザーとのゲームとか婚約者のアレコレについて話してたんだよ」
「男が恋バナとか言うなよ」
しょうがないだろ。他に何て言えば良いんだよ?
「まぁでも確かに実戦に次ぐ実戦だよな。強くならなきゃ死んでるし―――俺としてはもっと平和に過ごしたいんだけどなぁ」
「ふふっ、だが代わりと言っては何だがイッセーは強くなったじゃないか。一番初めに私とイリナが出会った時のイッセーはパワーは時間を掛ければ上級悪魔並みの力が出せたとしても単独の戦闘力は精々上位の下級悪魔程度だったのが今では素で上級、総合で最上級、パワーだけなら魔王級にすら手が届くじゃないか」
ゼノヴィアが褒めるけど当の本人は難しい表情だ
「そりゃフルチャージ出来ればそうかも知れねぇけど、そんな隙を見逃してくれるような相手が基本居ないってのが痛すぎる問題何だけどな―――それでも漸くイッキに追いついて来たと思ったらまた突き放されるしよ。また連敗記録が伸びちまうじゃねぇか」
そう言いつつイッセーがジト目を向けて来る。もう少しで俺に模擬戦で勝利を掴めるかもと手ごたえを感じていた矢先に俺がパワーアップしたからだろう
「そんな目を向けるなよ。お前が俺達の中で一番成長率がヤバいんだからな?少なくとも今のイッセーなら夏休み前の俺なら倒せると思うぞ・・・俺の10年以上の努力を半年で追い縋って来てるんだから満足しろとは言わないけど卑下するような事も言うんじゃねぇよ」
まぁ【一刀修羅】とか込みで考えれば最悪負けはしないかも知れないけど純粋な戦闘能力だけで考えるなら正直厳しいだろう
ヴァーリ相手じゃとことん触れさせないで半減の能力を封殺して互角って感じだったけど、倍化にそれは関係ないからな
それにしても
今のイッセーがオーラの最大値だけ見れば魔王級だとして、確か超越者モードのサーゼクスさんのオーラ量が前魔王の約10倍・・・封印前の二天龍の力がそれより少し上だと仮定するなら今のイッセーは
当然使いこなせるか如何かは別問題だけどさ
「分かったよ。確かに愚痴ばっか言ってたらドライグにも悪いしな。でもその内絶対に追い抜いてやるからな!」
イッセーが改めて強くなる決意と共に戦意を突きつけてきたがそれと同時にこのプールに追加のお客さんが入って来たようだ
「地下にプールだなんてとても楽しそうですね。それに丁度青春を謳歌しているみたいですし、やはり若い方は勢いが有る方が見ていて心地よいものです」
「グリゼルダ姐さん。今の発言は年寄り臭いっスよ?もっとヤングな感じを出して・・・って!イダダダダ!!」
「シスター・グリゼルダ。デュリオはシスターもまだまだ若いと言いたかったんですよ」
真ん中にこの地域の教会関係者を取り纏めているシスター兼転生天使のグリゼルダさんで両脇に男性が付いてきている
片方は金髪碧眼・・・青というよりは緑に近いかな?そんな瞳をした神父服の優男でもう片方は日本人に平均的な黒髪黒目の優男だ。ダブル優男の登場である
まぁデュリオと呼ばれた方は初っ端から頬っぺた引っ張られながらの登場になったが
突然の上司の登場にイリナさんも急いでこっちに来たし、つられて仁村さんも来たのでオーフィス達以外は全員集合だ
「本日は皆さんが集まっていると聞きまして、その上で此方の2人の都合も付きましたのでこれを機にご挨拶に伺わせて貰いました」
グリゼルダさんがそう言いながら抓っていた手を放すと頬を擦りながらも金髪の人が先に前に出て俺達に挨拶をする
「ど~も~。初めまして駒王学園の方々。自分、デュリオ・ジェズアルドといいまっす!以後お見知りおきを~」
かなり軽い挨拶だが直後にグリゼルダさんにまたもや頬を抓られてしまっていた
「デュリオ。貴方は天界の誇る
「いひゃいっスよ姐さん。全く敵わないっスねぇ」
デュリオが再び折檻を受けた次はもう一人の男性が今度は真面な挨拶をしてくれた
「初めまして、
そう言うと彼の影から一匹の黒い狗が這い出てきた
「コイツは
「うわ、何ていうか異質で底知れないオーラね。強いのは解るんだけどそれ以外がよく判らないわ。でも、とってもキュートな外見ね」
「イリナ。お前の感想はそれで良いのかよ?・・・でも確かに佇まいからして隙を感じさせないな。独立具現型って事はサイラオーグさんのレグルスに近いのかな?あっちは戦斧にも変化するし、今じゃ悪魔に転生してるっていう特大のイレギュラーだけど」
確かにイレギュラー性という一点を見つめたら今代のレグルスが
「奇しくも三大勢力の
「そう言えば、有間さんの神器もサマエルを取り込んだ事で14番目の
「そうなんですか!?」
グリゼルダさんから驚きの一言!確かにその可能性は考えていなかったな!
「とは云え、基本、半永久的に封印される事が前提なので態々
「そ・・・そうなんですか・・・」
サマエルが使えないならただの神器ですからね
例え翼が生えていようとも飛ばない豚はただの豚ですか
微妙に気落ちしてしまったがそんな中で
「皆さんはこの後は今日もトレーニングをする予定は有るのかな?」
「は、はい。毎日のトレーニングは欠かせませんから」
「なら、俺を模擬戦相手に如何かな?今の俺はアザゼルの代理だからね。キミたちの成長を手助けするようにも言われているんだよ。模擬戦相手が何時も同じメンバーだと悪い意味で慣れてしまうだろう?それに、俺にとってもキミたちとの模擬戦は己の力を高める事が出来そうだからね。此方としても願ったりなんだが、如何だろう?」
「あ!そう言えば俺もミカエル様にトレーニングの手伝いを命じられたかも。そんな訳で皆さん、俺も練習相手としてどうかな?」
「是非お願いします!こんなビッグチャンスは逃せませんよ!」
「ええ!私も天使パワーをもっと高めたいわ!」
「そうだな。自称天使はジョーカーから天使というものをもっと習った方が良い」
「もう!それならゼノヴィアだって
そんな事言ってたのかゼノヴィアは・・・でも確かに後の先を取る俺の戦闘スタイルと先手必勝のゼノヴィアのスタイルは噛み合わないかもな
そんな風に考えているとルフェイが口を挟んだ
「あ、それでしたら
それを聞いた
あの
「マジか。イッキといい、
「そう言われても多少逸脱した力でもないと裏の世界では生き残れないんだよ」
いや本当に最上級悪魔くらいで漸くスタートラインって感じだからな。ぶっちゃけ魔王級程度だとその内埋もれてしまいそうだ
「宜しければうちのヴリトラ使いも参加させて下さいませんか?そろそろ
ソーナ会長の提案にデュリオさんは快諾する
「いいっスよ~。んじゃ、龍王も特訓に参加って事で」
「三大勢力及びその同盟相手ですが中々テロリスト相手にすぐに動ける実力者というのは多くありません。超常の存在である各勢力の実力者は永い歳時の中で相応の立場に就いている場合が殆どですから。本来、テロリストの相手をあなた方若手にして貰うのは良くない事ですが一般の兵士には手に余る実力者が相手となっているのが現状です。先日現れたというユーグリットとグレンデルだけを見てもただの兵士では束になっても敵わないでしょう」
軍隊規模で動員すれば飽和攻撃で何とかなるかも知れないけど、結局それはそれですぐには動かせない戦力ですからね
「まだ若いあなた方すらも危険な戦場に送り出さなければいけない事は情けない限りですが、各神話勢力及び人間界の為、世界の平和の為にも力を貸して下さい」
そう言ってグリゼルダさんは頭を下げる。確かに神々が戦いに赴いたとして特に分かり易いのは豊穣を司る神とかかな?そういった神が死んだら人間界にも大打撃だからな
面倒くさいけどこの世界では『命の価値は等価じゃない』っていうのが結構ダイレクトに響いてるんだよね
皆もそれは解っているからかグリゼルダさんに頭を上げさせて『任せて下さい』と張り切っている様子だ。もっとも「平和が一番ですけどね」とも続いているのはご愛敬だろう
[アザゼル side]
ルーマニアの吸血鬼の本拠地に来てから大分経ったな
俺は今、カーミラ派の昼間の城下町の喫茶店の2階にあるテラスで一人寂しく紅茶を飲んでいる・・・一人というと微妙に語弊があるな。少しだけ離れた場所に監視役の吸血鬼が視線を向けてきてやがるから一人だけの優雅なティータイムとは言い難い
まぁ同盟を結んでいる訳でもない他勢力の要人に監視を付ける事自体は普通なのでその点で云えば文句はないのだが今の俺が文句を付けたい事は別にある
と云うのも俺はこの吸血鬼の町に着いてから一度もカーミラの女王とも要人とも会談を行えていないのだ。何でも丁度お偉いさん方が集まって会議を開いているらしく、しかもそれが長引いているからだと言われたな―――ったく、無礼な特使を送っておいてその上こっちに来る事を伝えてから移動やらこの町での待機やらで何日も潰しているのに未だに会う事も出来ないとはとことん自分達を中心に世界が回っていると勘違いしている連中だぜ
そんなこんなで今の俺は絶賛暇人真っ最中という訳だ
ツェペシュ派のギャスパーの実家に向かったはずのリアスと祐斗は上手くやっているかね?ひょっとして俺みたいに未だに話すら出来ない状態だとは考えたくないもんだ
あ~あ~。こんな事なら駒王町であいつ等の修行でも手伝っていたいくらいだぜ
定期報告じゃ元々頼んでいた
【神性】もまた一段と高まったらしいし『邪人』じゃなくてもう『邪神』じゃねぇのか?
『邪人』から『邪神』に進化か―――おっぱいドラゴンの敵役のオール・エヴィルの設定として使えるかもな。今度サーゼクスに提案してみるか
そんな事を考えていると突然監視役の吸血鬼がテーブルに突っ伏して眠ってしまった
それと同時に現れた気配を感じて俺は溜息をつく
「こんな所にまで何の用だ?ヴァーリ」
「何、見知った気配を偶然感じたものでね」
出てきたのはヴァーリとアーサー、それに美猴とサラマンダー・富田だ
相変わらずサラマンダー・富田の名前だけが異質だぜ
まぁこいつ等なら鎖国的な吸血鬼の町にだって潜入も出来るだろう
仙術と妖術の使い手である二人にアーサーだって聖王剣で空間を切り裂いて侵入も脱出も出来るだろうし、ヴァーリにしたってこいつは基本的に何でもできるタイプの天才だからな
北欧の魔術も覚えたらしいし便利そうな術式を幾つか持ってるのは想像に難くない
魔獣騒動の時も俺やサーゼクスが冥府に赴いた時はヴァーリの仲間たちが好きなだけ暴れまわってから颯爽と行方をくらましたくらいだからな
余り褒めるべきではないが、流石は世界中から狙われるヴァーリチームだぜ
「この町に来たのも目的在っての事だが先に聞きたい。邪龍の事についてだ」
「アジ・ダハーカは強かったか?」
「少なくともプルートよりはな」
おーおー、愉しそうな笑みを浮かべちゃってよ。隣の美猴はウンザリしてるぜ
「つーかヤベェよあのドラゴン。今まで戦ってきた奴らの中でもダントツでヤベェ。如意棒でぶっ叩こうがアーサーが聖剣で切り裂こうがフェンリルが噛み付こうがどんだけ攻撃を加えても笑いながら反撃して来やがる。あの様子じゃ体の大半を吹き飛ばしても終わらないかもな。そんぐらい兎に角強くてしぶとかったぜぃ」
「ええ、途中で現れたグレンデルもアジ・ダハーカ程ではありませんが強そうでしたね。なにより異常な戦意を放っているという点では同じでしたし、アレも相応にしぶといと見るべきでしょう」
「そこで聞きたい。アジ・ダハーカもグレンデルも既に滅んだ邪龍のはずだ。聖杯というのは死者の復活すらも可能とするだけの代物なのか?」
此奴らがこの町に来たのは聖杯について調べに来た訳だ。まぁ聖杯の噂が流れ始めたのとほぼ同時に死んだはずの邪龍と遭遇したら関連付けたくもなるよな
「魂の行方ってのは定義が色々ある。各神話体系の数だけは最低でも存在する程度にはな。単純に死者の魂というだけならばハーデスや日本なら閻魔大王のようなあの世を管理する神の下に行くって事になるな。他には天国や極楽のように死者の向かう場所という事も在るが消滅した魂の行く末ってのは解っていないと言ってもいい。本来ならば如何に聖杯と云えども完全に消滅した存在を復活させるなんて事は不可能に近いはずだ」
「・・・邪龍は別という事か?」
その言葉に俺は頷いて返す
「魂を引き裂かれてバラバラの神器に封印されたヴリトラは神器を寄せ集めただけで復活したろ?邪龍ってのは魂レベルでタフなんだ。邪龍の魂を聖杯で一欠けらでもサルベージできたなら、そこから邪龍を完全に複製する事は恐らく可能だろう」
封印されていたアジ・ダハーカは兎も角、ただ滅ぼされていただけのグレンデルならばその内自力で復活していたかも知れん―――もっとも、何千年掛かったかは分からないがな
「そうなっとやっぱ吸血鬼と
断定こそ出来んがそう考えるのが自然だろうよ
というか聖杯も使わずに
「・・・アザゼル。今回の件の黒幕、今の
何?今の
疑問に思う中でヴァーリは不快感や憎悪といった感情を隠さずにいる。コイツがそれだけの敵意を向ける相手といえば一人しか思い浮かばない
「奴だよ。アザゼル。あのクソッたれ野郎が今回の件の黒幕だ」
吐き捨てるように言うヴァーリの言葉を聞いて俺は思わず天を仰いだ
如何やら今回の一件は吸血鬼と
これから先、一体どれだけの被害が出るのか想像するだけで冷や汗が流れる俺だった
[アザゼル side out]
今回は繋ぎの裏方の説明回みたいな感じでしたね。次回から吸血鬼の章に移ります